説明

水槽付き天板及びその製造方法

【課題】天板と水槽の接合強度が高く、天板と水槽との間に生じる継ぎ目が目立ちにくい水槽付き天板及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】上下方向に連通する開口5を有する天板2と、上面が開口する凹状の水槽3と、を備え、天板下面6における開口5の周縁部に水槽3の上端面を接合することにより、天板2の下面6側に水槽3が取り付けられてなる水槽付き天板1であって、天板下面6における少なくとも開口5の周縁部を平面状に切削して環状の天板側接合面5bを形成するとともに、水槽3の上端面における少なくとも内周縁部を平面状に切削して環状の水槽側接合面3fを形成し、天板側接合面5bと水槽側接合面3fとを接着剤8により接合することにより、天板2の下面6側に水槽3が取り付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天板の下面側に水槽が取り付けられてなる水槽付き天板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の水槽付き天板としては、例えば人工大理石製のカウンター板(天板)の開口部(開口)の周縁下面に、人工大理石製の凹状体(水槽)の上周縁部(上端面)を接着剤により固着(接合)してなるもの等がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特許第3345320号公報(第2頁、第3図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の水槽付き天板にあっては、人工大理石製のカウンター板及び凹状体を成型する際に、カウンター板の開口部の周縁下面及び凹状体の上周縁部、つまり互いの接合面にうねり等が生じることがあると、固着時にカウンター板の周縁下面と凹状体の上周縁部との間に大きな隙間が生じやすくなるため、固着強度が低下する虞があるばかりか、開口部の内側から見えるカウンター板と凹状体との間の継ぎ目が目立ってしまうという問題があった。
【0005】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、天板と水槽の接合強度が高く、天板と水槽との間に生じる継ぎ目が目立ちにくい水槽付き天板及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明の請求項1に記載の水槽付き天板は、
上下方向に連通する開口を有する天板と、上面が開口する凹状の水槽と、を備え、前記天板下面における前記開口の周縁部に前記水槽の上端面を接合することにより、前記天板の下面側に前記水槽が取り付けられてなる水槽付き天板であって、
前記天板下面における少なくとも前記開口の周縁部を平面状に切削して環状の天板側接合面を形成するとともに、前記水槽の上端面における少なくとも内周縁部を平面状に切削して環状の水槽側接合面を形成し、
前記天板側接合面と前記水槽側接合面とを接着剤により接合することにより、前記天板の下面側に前記水槽が取り付けられていることを特徴としている。
この特徴によれば、天板側接合面及び水槽側接合面が切削により平面状に形成されることで、天板及び水槽の成型時に接合面に生じるうねりや汚れが除去されるとともに、接着剤による接合力が接合面全体にムラなく均一に働くため、接合力が高まるばかりか、天板と水槽とが接合された状態において、天板下面における開口の周縁辺と水槽の上端面の内周縁辺とがより近接し、かつ、それぞれの周縁辺がうねり等の小さい直線状に形成されるため、天板の開口の内側から見える天板と水槽との間の継ぎ目が目立ちにくい。
【0007】
本発明の請求項2に記載の水槽付き天板は、請求項1に記載の水槽付き天板であって、
前記環状の天板側接合面は、前記水槽の上端面よりも幅方向に広く、かつ、前記天板下面に対して凹設されていることを特徴としている。
この特徴によれば、接合面同士を接合する際に、水槽により天板の開口が見えなくなっても、水槽側接合面の外周を天板側接合面の外周に合わせることができるため、天板側接合面に対する水槽側接合面の位置決めが容易になる。
【0008】
本発明の請求項3に記載の水槽付き天板は、請求項1または2に記載の水槽付き天板であって、
前記天板側接合面または前記水槽側接合面のうち少なくとも一方の外側に、環状の凹溝または凹部が形成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、天板側接合面と水槽側接合面との内周縁側の接着層を極力薄くして継ぎ目をより目立ちにくくしながら、外側の凹溝または凹部内に接着剤が充填されることにより、内側よりも厚い接着層が形成されるため、接着強度を向上させることができる。
【0009】
本発明の請求項4に記載の水槽付き天板は、請求項1ないし3のいずれかに記載の水槽付き天板であって、
前記天板下面における前記天板側接合面の外周には、前記天板の強度を補強するための裏打ち材が固着されるとともに、該固着された裏打ち材の内側周面と前記天板下面に接合された前記水槽の上端外側周面との間に環状の空間部が形成され、該環状の空間部には接着剤が充填されており、前記裏打ち材の内側周面は、前記天板下面に向けて前記開口の外側に向けて傾斜する傾斜面に形成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、天板の強度を補強するための裏打ち材を利用して、水槽の上端外側周面を囲むことで、接合面以外の箇所に接着層を形成することが可能となるため、水槽と天板との接合強度をより向上させることができるばかりか、裏打ち材の内側周面が傾斜面にて形成されることで、環状の空間部内で硬化した接着層により、水槽の天板からの離脱が効果的に防止される。
【0010】
本発明の請求項5に記載の水槽付き天板の製造方法は、
上下方向に連通する開口を有する天板と、上面が開口する凹状の水槽と、を備え、前記天板下面における前記開口の周縁部に前記水槽の上端面を接合することにより、前記天板の下面側に前記水槽が取り付けられてなる水槽付き天板の製造方法であって、
前記天板下面における少なくとも前記開口の周縁部を平面状に切削して環状の天板側接合面を形成するとともに、前記水槽の上端面における少なくとも内周縁部を平面状に切削して環状の水槽側接合面を形成した後、前記天板側接合面と前記水槽側接合面とを接着剤により接合することにより、前記天板の下面側に前記水槽を取り付けたことを特徴としている。
この特徴によれば、天板側接合面及び水槽側接合面が切削により平面状に形成されることで、天板及び水槽の成型時に接合面に生じるうねりや汚れが除去されるとともに、接着剤による接合力が接合面全体にムラなく均一に働くため、接合力が高まるばかりか、天板と水槽とが接合された状態において、天板下面における開口の周縁辺と水槽の上端面の内周縁辺とがより近接し、かつ、それぞれの周縁辺がうねり等の小さい直線状に形成されるため、天板の開口の内側から見える天板と水槽との間の継ぎ目が目立ちにくい。
【0011】
本発明の請求項6に記載の水槽付き天板の製造方法は、請求項5に記載の水槽付き天板の製造方法であって、
前記天板下面を上向きにした状態で、該天板下面における前記天板側接合面の外周に、前記天板を補強するための裏打ち材を固着するとともに、前記天板側接合面と前記水槽側接合面とを接着剤により接合した後、前記天板下面に固着された裏打ち材の内側周面と前記天板下面に接合された前記水槽の上端外側周面との間に形成された環状の空間部に接着剤を充填するとともに、前記裏打ち材に取り付けた固定手段により前記水槽を固定した状態で、前記天板を上下反転し、前記天板の開口内周面と前記水槽の内周面とが連続するように面取り加工することを特徴としている。
この特徴によれば、天板の強度を補強するための裏打ち材を利用して、水槽の上端外側周面を囲むことで、接合面以外の箇所に接着層を形成することが可能となるため、水槽と天板との接合強度をより向上させることができる。また、接合後に固定手段により水槽を固定することで、接着剤の硬化を待たずに、天板の開口内周面と水槽の内周面との面取り加工作業を進めることができるため、製造時間を短縮することができるとともに、天板の開口内周面と水槽の内周面とが連結するように仕上げられることで、天板の開口の内側から見える天板と水槽との間の継ぎ目が目立ちにくくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明に係る水槽付き天板を実施するための最良の形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例】
【0013】
本発明の実施例を図面に基づいて説明すると、先ず図1は、本発明の実施例における水槽付き天板の全体像を示す斜視図であり、図2は、図1におけるA−A面図であり、図3は、裏打ち材が貼り付けられた天板を示す底面図であり、図4(a)は、図3におけるB−B断面図であり、図4(b)は、天板下面及び裏打ち材が切削された状態を示すB−B断面図であり、図5(a)は、水槽のフランジを示す縦断面図であり、図5(b)は、水槽のフランジの上端面を切削した状態を示す縦断面図であり、図6は、水槽付き天板を示す組立斜視図であり、図7は、天板と水槽との接合を示す縦断面図であり、図8は、水槽を天板に固定する状態を示す縦断面図であり、図9は、天板の開口周面及び水槽の内周面を面取りする状態を示す縦断面図である。以下、図2、図5(a)、図5(b)、図9の紙面上側を天板及び水槽の上面側とし、図3の紙面奥側を天板の上端面側とし、図4(a)、図4(b)、図7、図8の紙面下側を天板及び水槽の上面側としてとして説明する。
【0014】
図1の符号1は、人工大理石等の合成樹脂材により板状に構成された天板2に、天板2の下面側からアクリル樹脂等の合成樹脂材で構成された水槽3を接合させて、台所のキッチンカウンターや洗面化粧台等に据え付けられる水槽付き天板である。
【0015】
この天板2は、図1及び図2に示すように、横長の長方形状に形成された板体に、上下方向に連通する略矩形状の開口5が形成され、天板下面6には裏打ち材7が貼り付けられている。この裏打ち材7は、図3に示すように、天板2を補強するための木材等からなる板体であり、開口5の周縁部を除く天板下面6の略全域に貼り付けられている。
【0016】
図4(b)に示すように、天板下面6における開口5の周縁部は、天板2の製造過程(成型時等)において表面に生じたうねりや汚れ等を取り除く為に、図示しないルーター等の切削器具によって水平面状に切削されており、これにより所定幅寸法L1を有する環状の天板側接合面5bが、開口5を囲むように天板下面6に凹設されている。また、開口5側に面している裏打ち材7の内側周面は、後述するように天板側接合面5bの形成とともに切削され、天板上面側から天板下面6側にかけて、開口5の内側に向けて傾斜する傾斜面7bに形成されている。
【0017】
このように、天板下面6における開口5の周縁部には、全周に亘って天板側接合面5bが形成されるとともに、この天板側接合面5bの外周には裏打ち材7が配置されている。尚、天板側接合面5bの上下方向の切削深さ寸法L2は、周縁部の表面のうねりや汚れ等が取り除かれれば特に限定されるものではないが、本実施例では約0.5mm程度の深さ寸法(L2≒0.5mm)に切削されている。
【0018】
水槽3は、図1に示すように、上面が開口するとともに内部が凹状に形成された略方形状に形成されており、水槽3の上面開口は、天板2の開口5とほぼ同形に形成されている。また、水槽3の上端部には、水槽3の全周に亘って外側に突出するフランジ3bが形成されている。このフランジ3bの外側周面は、水槽3の上方から下方に向けて、水槽3の内側に傾斜する傾斜面3eに形成されている。
【0019】
更に、フランジ3bの上端面は、図5(a)に示すように、水槽3の内周縁部から外側に向かって製造過程(成型時等)において表面に生じたうねりや汚れ等を取り除く為に、図示しないルーター等の切削器具によって全周に亘って環状の水平面状に切削されており、これによりフランジ3bの上端面全域が水槽側接合面3fとして形成されている(図5(b)参照)。
【0020】
この水槽側接合面3fの外側は、内側よりも更に深く環状に切削された、本発明における凹部としての外側接合面3hを構成し、水槽側接合面3fの内側は、内側接合面3gを構成している。つまり、フランジ3bの上端面である水槽側接合面3fは、内側接合面3gと、その外側に凹設された外側接合面3hとから構成されている。尚、水槽側接合面3fの幅寸法L3は、天板側接合面5bの幅寸法L1よりも短く(L1>L3)形成されている。
【0021】
そして、図7に示すように、上述したように構成された天板2と水槽3とは、水槽側接合面3fと天板側接合面5bとをアクリル系接着剤等で構成された接着層8を介して接合されている。水槽側接合面3fと天板側接合面5bとの間の接着層8は、外側接合面3h側の厚さ寸法L4’が、内側接合面3gの厚さ寸法L4よりも厚く形成されている。
【0022】
尚、内側接合面3gの接着層8の厚さ寸法L4は、全周に亘って0.3mm以下であることが望ましく、接着層8の厚さ寸法L4を極力薄く形成することによって、開口5の周縁辺5aと水槽3の上端面の内周縁辺3aとがより近接するので、天板2と水槽3との間の継ぎ目4が目立ちにくくなる。
【0023】
また、天板2と水槽3が接合された状態において、裏打ち材7の傾斜面7bとフランジ3bの傾斜面3eとの間には、環状の空間部9が形成されるとともに、この空間部9には、図8に示すように、ホットメルト等の接着剤が充填されて硬化することにより、環状の接着層10が全周に亘って形成されているため、天板2と水槽3との接合がより向上されている。更に、天板2と水槽3とが接合されている状態では、傾斜面3e,7bはともに天板上面側から天板下面6側に向けて水槽3の内側に傾斜していることで、水槽3の荷重は、接着層10を介して裏打ち材7で保持されるるため、水槽3の天板2からの離脱が防止される。
【0024】
尚、図8に示すように、裏打ち材7には、本発明における固定手段としての固定金具11が取り付けられており、フランジ3bの下面を上方に向かって押圧することによって、水槽3を天板2に確実に固定できるようになっている。これにより、接着層10が硬化する前に、後述する面取り加工等の作業を進めることが可能とされている。
【0025】
次に、上述のように構成された水槽付き天板1を製造する方法について説明する。
【0026】
先ず、図4(a)に示すように、天板2を天板下面6が上方に向くように裏向きに配置し、裏打ち材7を開口5を囲むように天板下面6の全域に亘り貼り付ける。そして、図示しないルーターによって天板下面6における開口5の周縁部と、裏打ち材7の内側周面とを切削し(図4(a)中2点鎖線)、平面状の天板側接合面5b及び傾斜面7bを形成する。
【0027】
また、図5(a)に示すように、水槽3のフランジ3bの上端面を図示しないルーターによって全周に亘って切削し(図5(a)中2鎖線)、内側接合面3g及びこの内側接合面3gよりも下方に位置する外側接合面3hを形成する。
【0028】
上述のように水槽側接合面3fを切削により形成した後、それぞれの接合面3f,5bに接着剤を塗布し、図6及び図7に示すように、水槽3のフランジ3bを下向きにした状態で、開口5を上方から覆うように水槽3を天板2に接近させて、天板側接合面5bと水槽側接合面3fとを接合する。このとき、水槽3を開口5に接近させることで開口5が見えなくなるが、天板側接合面5bとともに切削された裏打ち材7の傾斜面7bの上端周縁にフランジ3bの外周を合わせることで、天板側接合面5bに対する水槽側接合面3fの位置決めができるとともに、フランジ3bの外周が裏打ち材7の傾斜面7bによりガイドされることにより、水槽3の水平方向の位置ずれが防止される。
【0029】
そして、図7に示すように、天板側接合面5bと水槽側接合面3fとを接合した後、図8に示すように、空間部9の全周に亘って接着層10を充填し、裏打ち材7に取り付けた複数の固定金具11によってフランジ3bの所定箇所、例えばフランジ3bの角部等を天板2に対して押圧固定する。
【0030】
最後に、図9に示すように、天板2を上下反転させて、天板2の開口5の内周面と水槽3の内周面とが連続するように、図9中の2点鎖線Pに沿って面取り加工を行う。そして、必要があればサンドペーパー等で天板2の開口5の内周面と水槽3の内周面とを研磨する。このようにすることで、周縁辺3a,5aとの位置ずれによる段差等が除去されるため、うねりや段差のない継ぎ目4が形成される。
【0031】
以上、本発明における水槽付き天板1では、天板下面6における少なくとも開口5の周縁部を平面状に切削して環状の天板側接合面5bを形成するとともに、水槽3の上端面における少なくとも内周縁部を平面状に切削して環状の水槽側接合面3fを形成し、天板側接合面5bと水槽側接合面3fとを接着層8により接合することにより、天板下面6側に水槽3が取り付けられている。このように、天板側接合面5b及び水槽側接合面3fが切削により平面状に形成されることで、天板2及び水槽3の成型時に接合面3f,5bに生じるうねりや汚れが除去されるとともに、接着層8による接合力が接合面3f,5b全体にムラなく均一に働くため、接合力が高まる。
【0032】
そして、天板2と水槽3とが接合された状態において、天板下面6における開口5の周縁辺5aと水槽3の上端面の内周縁辺3aとがより近接するとともに、開口5の周縁辺5a及び水槽3の上端面の内周縁辺3aそれぞれが切削により形成されることにより、長手方向に向けてうねり等の小さい直線状とされるため、天板2の開口5の内側から見える天板2と水槽3との間に形成される継ぎ目4が目立ちにくい。
【0033】
また、環状の天板側接合面5bは、水槽3の上端面よりも幅方向に広く、かつ、天板下面6に対して凹設されているので、接合面3f,5b同士を接合する際に、水槽3により天板2の開口5が見えなくなっても、水槽側接合面3fの外周(フランジ3bの外周)を天板側接合面5bの外周(裏打ち材7の傾斜面7bの上端周縁)に合わせることができるため、天板側接合面5bに対する水槽側接合面3fの位置決めが容易になる。
【0034】
また、天板側接合面5bまたは水槽側接合面3fのうち少なくとも一方の外側に、環状の凹溝または外側接合面3hが形成されていることで、天板側接合面5bと水槽側接合面3fとの内周縁側の接着層8を極力薄くして継ぎ目4をより目立ちにくくしながら、外側の凹溝または外側接合面3h内に接着層10が充填されることにより、内側よりも厚い接着層8が形成されるため、接着強度を向上させることができる。
【0035】
また、天板下面6における天板側接合面5bの外周には、天板2の強度を補強するための裏打ち材7が固着されるとともに、固着された裏打ち材7の内側周面と天板下面6に接合されたフランジ3bの外側周面との間に環状の空間部9が形成され、環状の空間部9には接着層10が充填されており、裏打ち材7の内側周面は、天板下面6に向けて開口5の外側に向けて傾斜する傾斜面7bに形成されていることで、天板2を補強するための裏打ち材7を利用して、フランジ3bの外側周面を囲むことで、接合面3f,5b以外の箇所であるフランジ3bの側面から下面にかけて環状の接着層10を形成することが可能となるため、水槽3と天板2との接合強度をより向上させることができるばかりか、裏打ち材7の内側周面が傾斜面7bにて形成されることで、環状の空間部9内で硬化した接着層10により、水槽3の天板2からの離脱が効果的に防止される。
【0036】
また、天板下面6における少なくとも開口5の周縁部を平面状に切削して環状の天板側接合面5bを形成するとともに、水槽3の上端面における少なくとも内周縁部を平面状に切削して環状の水槽側接合面3fを形成した後、天板側接合面5bと水槽側接合面3fとを接着層8を介して接合することにより、天板下面6側に水槽3を取り付けたことで、天板側接合面5b及び水槽側接合面3fが切削により形成されることで、天板2及び水槽3の成型時に接合面3f,5bに生じるうねりや汚れが除去されるとともに、接着層8による接合力が接合面3f,5b全体にムラなく均一に働くため、接合力が高まるばかりか、天板2と水槽3とが接合された状態において、天板下面6における開口5の周縁辺5aと水槽3の上端面の内周縁辺3aとがより近接し、かつ、それぞれの周縁辺3a,5aがうねり等の小さい直線状に形成されるため、天板2の開口5の内側から見える天板2と水槽3との間の継ぎ目4が目立ちにくい。
【0037】
また、天板下面6を上向きにした状態で、天板下面6における天板側接合面5bの外周に、天板2の強度を補強するための裏打ち材7を固着するとともに、天板側接合面5bと水槽側接合面3fとを接着層8により接合した後、天板下面6に固着された裏打ち材7の内側周面と天板下面6に接合されたフランジ3bの外側周面との間に形成された環状の空間部9に接着層10を充填するとともに、裏打ち材7に取り付けた固定金具11により水槽3を固定した状態で、天板2を上下反転し、天板2の開口5内周面と水槽3の内周面とが連続するように面取り加工することで、天板2の強度を補強するための裏打ち材7を利用して、フランジ3bの外側周面を囲むことで、接合面3f,5b以外の箇所に接着層を形成することが可能となるため、水槽3と天板2との接合強度をより向上させることができる。
【0038】
また、接合後に固定金具11により水槽3を固定することで、接着層10の硬化を待たずに、天板2の開口5内周面と水槽3の内周面との面取り加工作業を進めることができるため、製造時間を短縮することができるとともに、天板2の開口5内周面と水槽3の内周面とが連結するように仕上げられることで、天板2の開口5の内側から見える天板2と水槽3との間の継ぎ目4が目立ちにくくなる。
【0039】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0040】
例えば、前記実施例では、天板下面6における開口5の周縁部とフランジ3bの上端面とを水平に切削することにより天板側接合面5b及び水槽側接合面3fが形成されていたが、天板下面6における開口5の周縁部とフランジ3bの上端面とは必ずしも水平面状に形成されなくても、互いに接合可能に略平行をなす平面状に切削されていれば、幅方向または周方向に向けて傾斜していてもよい。あるいは、切削後にフランジ3bの上端面全域が面一な水槽側接合面として形成されていてもよい。
【0041】
また、前記実施例では、内側接合面3gよりも深い外側接合面3hが、該内側接合面3gの外側に周方向に向けて延設されていたが、内側接合面3gの外側に凹部を周方向に向けて複数箇所に部分的に形成することにより、内側接合面3gの外側に、内側よりも厚みのある接着層が形成されるようにしてもよい。
【0042】
また、前記実施例では、開口5の周縁部を凹設することにより天板側接合面5bが凹溝状に形成されていたが、切削により天板側接合面5bが平面状に形成されれば、切削後に開口5の周縁部を含む天板下面6全域が面一になるように天板側接合面が形成されるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の実施例における水槽付き天板の全体像を示す斜視図である。
【図2】図1におけるA−A側面図である。
【図3】裏打ち材が貼り付けられた天板を示す底面図である。
【図4】(a)は、図3におけるB−B断面図であり、(b)は、天板下面及び裏打ち材が切削された状態を示すB−B断面図である。
【図5】(a)は、水槽のフランジを示す縦断面図であり、(b)は、水槽のフランジの上端面を切削した状態を示す縦断面図である。
【図6】水槽付き天板を示す組立斜視図である。
【図7】天板と水槽との接合を示す縦断面図である。
【図8】水槽を天板に固定する状態を示す縦断面図である。
【図9】天板の開口周面及び水槽の内周面を面取りする状態を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0044】
1 水槽付き天板
2 天板
3 水槽
3a 内周縁辺
3b フランジ
3e 傾斜面
3f 水槽側接合面
3g 内側接合面
3h 外側接合面
4 継ぎ目
5 開口
5a 周縁辺
5b 天板側接合面
6 天板下面
7 裏打ち材
7b 傾斜面
8 接着層(接着剤)
9 空間部
10 接着剤
11 固定金具(固定手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に連通する開口を有する天板と、上面が開口する凹状の水槽と、を備え、前記天板下面における前記開口の周縁部に前記水槽の上端面を接合することにより、前記天板の下面側に前記水槽が取り付けられてなる水槽付き天板であって、
前記天板下面における少なくとも前記開口の周縁部を平面状に切削して環状の天板側接合面を形成するとともに、前記水槽の上端面における少なくとも内周縁部を平面状に切削して環状の水槽側接合面を形成し、
前記天板側接合面と前記水槽側接合面とを接着剤により接合することにより、前記天板の下面側に前記水槽が取り付けられていることを特徴とする水槽付き天板。
【請求項2】
前記環状の天板側接合面は、前記水槽の上端面よりも幅方向に広く、かつ、前記天板下面に対して凹設されていることを特徴とする請求項1に記載の水槽付き天板。
【請求項3】
前記天板側接合面または前記水槽側接合面のうち少なくとも一方の外側に、環状の凹溝または凹部が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の水槽付き天板。
【請求項4】
前記天板下面における前記天板側接合面の外周には、前記天板の強度を補強するための裏打ち材が固着されるとともに、該固着された裏打ち材の内側周面と前記天板下面に接合された前記水槽の上端外側周面との間に環状の空間部が形成され、該環状の空間部には接着剤が充填されており、前記裏打ち材の内側周面は、前記天板下面に向けて前記開口の外側に向けて傾斜する傾斜面に形成されていることを特徴とする前記請求項1ないし3のいずれかに記載の水槽付き天板。
【請求項5】
上下方向に連通する開口を有する天板と、上面が開口する凹状の水槽と、を備え、前記天板下面における前記開口の周縁部に前記水槽の上端面を接合することにより、前記天板の下面側に前記水槽が取り付けられてなる水槽付き天板の製造方法であって、
前記天板下面における少なくとも前記開口の周縁部を平面状に切削して環状の天板側接合面を形成するとともに、前記水槽の上端面における少なくとも内周縁部を平面状に切削して環状の水槽側接合面を形成した後、前記天板側接合面と前記水槽側接合面とを接着剤により接合することにより、前記天板の下面側に前記水槽を取り付けたことを特徴とする水槽付き天板の製造方法。
【請求項6】
前記天板下面を上向きにした状態で、該天板下面における前記天板側接合面の外周に、前記天板を補強するための裏打ち材を固着するとともに、前記天板側接合面と前記水槽側接合面とを接着剤により接合した後、前記天板下面に固着された裏打ち材の内側周面と前記天板下面に接合された前記水槽の上端外側周面との間に形成された環状の空間部に接着剤を充填するとともに、前記裏打ち材に取り付けた固定手段により前記水槽を固定した状態で、前記天板を上下反転し、前記天板の開口内周面と前記水槽の内周面とが連続するように面取り加工することを特徴とする請求項5に記載の水槽付き天板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−75226(P2010−75226A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−243712(P2008−243712)
【出願日】平成20年9月24日(2008.9.24)
【出願人】(000002222)サンウエーブ工業株式会社 (196)
【Fターム(参考)】