説明

水産廃棄物のリサイクルプラント

【課題】比較的簡易な装置と少ない手間により、水産廃棄物のリサイクルを可能とするプラントを提供すること。
【解決手段】水産廃棄物のリサイクルプラントPは、ウロを処理する減圧発酵乾燥装置1と、減圧発酵乾燥装置1で処理されたウロと可燃性材料とを用いて固形燃料を製造する成形装置2と、成形装置2で形成された固形燃料の一部を燃焼する熱源装置5と、減圧発酵乾燥装置1から排出される凝縮水及び気体と、成形装置2から排出される塵及び気体と、熱源装置5から排出される気体とを吸着水に接触させる接触装置3と、熱源装置5で生成された灰を洗浄する洗浄装置6と、接触装置3からの吸着水と、洗浄装置6からの洗浄水とを処理して重金属を沈殿凝集させる凝集装置4と、廃魚網から可燃性材料を形成する可燃性材料製造ライン7を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばホタテガイ(帆立貝)のウロ等の水産廃棄物から燃料を製造するリサイクルプラントに関する。
【背景技術】
【0002】
ホタテガイのウロ(中腸腺)やイカのゴロ(内臓)には、海水中のカドミウム等の重金属が蓄積し、100ppmを越える高濃度を呈することがある。したがって、水産加工の過程で排出されるウロやゴロは、産業廃棄物として埋立処分や焼却処分が行われている。
【0003】
しかしながら、ウロやゴロの埋立処分を行った場合、腐敗により周辺に悪臭を放散する問題や、重金属が浸出して周辺海域や土壌を汚染する問題がある。また、ウロやゴロの焼却処分を行った場合、焼却により気化した重金属が大気へ拡散する問題や、塩分の焼却によりダイオキシンを発生する問題がある。さらに、焼却処分は、高水分のウロやゴロを焼却するために、比較的大量の化石燃料を燃焼する必要があり、比較的大量の温室効果ガスを排出する問題がある。
【0004】
そこで、従来、ホタテガイのウロの重金属を流出又は拡散することなく回収するため、ウロを希硫酸水溶液に浸漬して重金属を硫酸水溶液に浸出させ、希硫酸水溶液に凝集剤を添加してウロのタンパク質及び脂質を凝集除去した後、電解により重金属を分離して回収する方法が提案されている(特許文献1参照)。
【0005】
この方法では、希硫酸水溶液を保持してウロを順次浸漬させる2つの浸漬槽と、2つの浸漬槽でウロが浸漬した浸漬液に凝集剤を添加して攪拌し、タンパク質及び脂質を凝集させて除去する凝集濾過装置と、凝集濾過装置で処理された浸漬液から重金属を採取する電解装置とを用いている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−229618号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記希硫酸水溶液にウロを浸漬して重金属を回収する方法は、強酸である希硫酸水溶液を取り扱う浸漬槽、凝集濾過装置及び電解装置が必要であるため、装置が複雑となり、また、希硫酸水溶液及び浸漬液の取り扱い操作に手間がかかる問題がある。
【0008】
そこで、本発明の課題は、比較的簡易な装置と少ない手間により、水産廃棄物のリサイクルを可能とするプラントを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の水産廃棄物のリサイクルプラントは、水産廃棄物を減圧環境下で発酵及び乾燥させる減圧発酵乾燥装置と、
上記減圧発酵乾燥装置によって乾燥発酵処理が行われた被処理物と、可燃性廃棄物から形成された可燃性材料とを混合及び成形して固形燃料を製造する成形装置と、
上記減圧発酵乾燥装置による水産廃棄物の乾燥発酵処理に伴って生じる気体又は液体と、上記成形装置から排出される塵又は気体との少なくとも一方から重金属を除去する重金属除去装置とを備えることを特徴としている。
【0010】
上記構成によれば、減圧発酵乾燥装置により、水分量が70%を越える水産廃棄物を、減圧環境下で迅速に発酵及び乾燥させることができる。この減圧発酵乾燥装置で乾燥発酵処理が行われた被処理物と、可燃性廃棄物から形成された可燃性材料とを成形装置で混合及び成形して固形燃料を製造することにより、従来は廃棄されていた水産廃棄物を燃料に再利用することができる。ここで、上記減圧発酵乾燥装置による水産廃棄物の乾燥発酵処理に伴って生じる気体又は液体や、上記成形装置から排出される塵又は気体には、水産廃棄物に含まれるカドミウム等の重金属が混在する場合があるため、これらの少なくとも一方から、重金属除去装置で重金属を除去する。これにより、重金属を含む水産廃棄物を、重金属の環境への漏洩を低減しながら燃料として再利用することができ、その結果、水産廃棄物を焼却処分する場合の石油燃料の消費や、温室効果ガスの排出を防止できる。また、希硫酸を用いることなく水産廃棄物の再利用を行うことができるので、装置の複雑化や、被処理物の取り扱いの手間を削減できる。
【0011】
ここで、上記乾燥発酵処理において、水産廃棄物にタンパク質分解菌を添加し、水産廃棄物のタンパク質を分解することにより、タンパク質に結合されていたカドミウム等の重金属を遊離させてもよい。この場合、水産廃棄物から遊離させた重金属を硫化物イオンと反応させることにより、難溶解性の重金属硫化物を生成して不溶化するのが好ましい。このため、上記乾燥発酵処理において、水産廃棄物に硫酸還元菌を添加してもよく、硫酸還元菌により生成された硫化水素により、遊離した重金属を硫化して、不溶性の重金属硫化物を形成するのが好ましい。
【0012】
また、上記水産廃棄物とは、ホタテガイをはじめとする貝類の中腸腺やイカの内臓のように、水産物から可食部位が採取されて残った不要部位のほか、クラゲやヒトデ等のような魚網に混入して捕獲される生物等も該当し、水産業で生じる廃棄物を広くいう。
【0013】
また、上記可燃性材料とは、紙系廃棄物、木質系廃棄物、又は、プラスチック系廃棄物のような可燃性廃棄物で形成された可燃性の材料が該当する。紙系廃棄物としては、使用後の事務用紙、新聞紙及び書籍等の古紙等が該当し、木質系廃棄物としては、木材の端材、間伐材、樹皮及び建築廃材等が該当する。プラスチック系廃棄物としては、合成樹脂製の廃棄物が広く該当するが、ダイオキシンの発生を防止するため、塩素を含まない合成樹脂製の廃棄物を用いるのが好ましい。いずれの廃棄物も、破砕機で破砕して5〜20mmの寸法の破砕片とされた後、成形装置により、減圧発酵乾燥装置によって乾燥発酵処理が行われた水産廃棄物と混練及び成形される。また、木質系の可燃性廃棄物を5mm以下に破砕してなるオガ粉を減圧発酵乾燥装置に投入することにより、乾燥発酵処理がなされる水産廃棄物の水分割合を低減させてもよい。
【0014】
一実施形態の水産廃棄物のリサイクルプラントは、上記重金属除去装置は、上記減圧発酵乾燥装置からの気体又は液体と、上記成形装置からの塵又は気体との少なくとも一方を吸着液に接触させる接触装置と、この接触装置から排出された吸着液に含まれる重金属を凝集させて除去する凝集装置とを有する。
【0015】
上記実施形態によれば、接触装置により、上記減圧発酵乾燥装置からの気体又は液体と、上記成形装置からの塵又は気体との少なくとも一方が吸着液に接触されて吸着され、凝集装置により、上記接触装置から排出された吸着液に含まれる重金属が凝集されて除去される。これにより、固形燃料の製造過程で水産廃棄物から分離する重金属を、効果的に除去することができる。
【0016】
ここで、上記接触装置としては、吸着液の流れの中に、減圧発酵乾燥装置からの気体又は液体と、成形装置からの塵又は気体との少なくとも一方を放出して吸着液に接触させ、上記気体又は液体を吸着液に吸着させるように構成されたスクラバを用いることができる。また、上記凝集装置としては、吸着液が導かれる沈殿槽と、この沈殿槽に導かれた吸着液に凝集剤を供給する凝集剤供給部と、吸着液と凝集剤とを攪拌する攪拌羽根とを有するものにより構成することができる。また、重金属除去装置は、凝集装置で凝集された凝集物を遠心分離等により分離する分離装置を備えてもよい。
【0017】
一実施形態の水産廃棄物のリサイクルプラントは、上記固形燃料を燃焼させる燃焼炉を有する熱源装置を備え、
上記重金属除去装置は、上記熱源装置の燃焼炉から排出される燃焼ガスから重金属を除去する。
【0018】
上記実施形態によれば、上記熱源装置の燃焼炉で固形燃料を燃焼して生成した熱を、種々の用途に使用することができる。また、重金属除去装置により、上記熱源装置の燃焼炉から排出される燃焼ガスに含まれる重金属を回収するので、重金属が周辺環境に漏洩することを防止できる。その結果、固形燃料の製造過程のほか、固形燃料の燃焼過程においても、水産廃棄物に由来する重金属を効果的に除去することができる。
【0019】
一実施形態の水産廃棄物のリサイクルプラントは、上記熱源装置の燃焼炉で燃焼した固形燃料の燃焼残渣を洗浄する洗浄装置と、
上記洗浄装置で焼却残渣を洗浄した洗浄液に含まれる重金属を除去する第2の重金属除去装置とを備える。
【0020】
上記実施形態によれば、水産廃棄物を用いて形成された固形燃料が熱源装置の燃焼炉で燃焼し、この固形燃料の燃焼残渣が洗浄装置で洗浄される。洗浄装置で焼却残渣を洗浄した洗浄液に含まれる重金属が、第2の重金属除去装置で除去される。その結果、水産廃棄物を用いて形成された固形燃料に含まれる重金属を効果的に回収でき、周辺環境に重金属が漏洩する不都合を効果的に防止できる。
【0021】
一実施形態の水産廃棄物のリサイクルプラントは、上記減圧発酵乾燥装置は、
内部が減圧され、被処理物を酵素が添加された状態で収容する処理室と、
処理室内に配置され、熱媒体が内部に供給される回転軸と、上記処理室内で回動可能に上記回転軸に連結され、熱媒体が内部に供給されるコイル状管体と、このコイル状管体の外周側に配置されたブレードとを有する加熱攪拌部と、
処理室の壁面に形成され、熱媒体が供給されるジャケットと
を備える。
【0022】
上記実施形態によれば、酵素が添加されて処理室内に収容された被処理物としての水産廃棄物が、回転する加熱攪拌部に接触しながら、この加熱攪拌部のコイル状管体とブレードとで攪拌される。被処理物は、接触する加熱攪拌部の回転軸とコイル状管体から、回転軸とコイル状管体の内部に供給される熱媒体の熱を受けて加熱される。加熱攪拌部の回転軸とコイル状管体は、被処理物との接触面積が大きいので、内部に供給される熱媒体の熱を効率的に被処理物に伝えて、被処理物を迅速に乾燥することができる。また、処理室の壁面に形成されたジャケットに供給される熱媒体の熱により、被処理物を効率的に乾燥することができる。こうして、減圧発酵乾燥装置により、水分量が比較的多い水産廃棄物で形成される被処理物を効率的に乾燥させることができる。
【0023】
また、処理室の内部が減圧されるので、被処理物に含まれる水分の沸点が100℃よりも下降するから、加熱攪拌部及びジャケットによる被処理物の加熱温度を低くできて酵素菌の死滅を防止できる。したがって、被処理物の分解を促進でき、被処理物からの重金属の分離を促進できる。
【0024】
一実施形態の水産廃棄物のリサイクルプラントは、上記減圧発酵乾燥装置は、
内部が減圧され、被処理物を酵素が添加された状態で収容する処理室と、
処理室内に配置され、熱媒体が内部に供給される回転軸と、上記処理室内で回動可能に上記回転軸に連結され、熱媒体が内部に供給されるコイル状管体と、このコイル状管体の外周側に配置されたブレードとを有する加熱攪拌部と、
処理室の壁面に形成され、熱媒体が供給されるジャケットと、
上記処理室内に設けられ、被処理物からの蒸気を冷却して凝縮させる凝縮部と、
上記処理室内の空気を、上記凝縮部で凝縮されてなる凝縮水と共に吸引する吸引ポンプと、
酵素が添加されて上記凝縮部との間を循環する冷却水を冷却すると共に、上記吸引ポンプで吸引した処理室内の空気と凝縮水を上記冷却水に接触させる冷却脱臭装置とを備え、
上記減圧発酵乾燥装置の冷却脱臭装置が、上記重金属除去装置の接触装置を兼ねている。
【0025】
上記実施形態によれば、酵素が添加されて処理室内に収容された被処理物としての水産廃棄物が、回転する加熱攪拌部に接触しながら、この加熱攪拌部のコイル状管体とブレードとで攪拌される。被処理物は、接触する加熱攪拌部の回転軸とコイル状管体から、回転軸とコイル状管体の内部に供給される熱媒体の熱を受けて加熱される。加熱攪拌部の回転軸とコイル状管体は、被処理物との接触面積が大きいので、内部に供給される熱媒体の熱を効率的に被処理物に伝えて、被処理物を迅速に乾燥することができる。また、処理室の壁面に形成されたジャケットに供給される熱媒体の熱により、被処理物を効率的に乾燥することができる。こうして、減圧発酵乾燥装置により、水分量が比較的多い水産廃棄物で形成される被処理物を効率的に乾燥させることができる。
【0026】
さらに、上記処理室内で乾燥する被処理物からの蒸気が凝縮部で冷却されて凝縮し、この凝縮水が処理室内の空気と共に吸引ポンプで吸引される。吸引ポンプで吸引された処理室内の空気と凝縮水が冷却脱臭装置に導かれ、この冷却脱水装置と凝縮部との間を循環する冷却水に、処理室内の空気と凝縮水が接触されて吸着される。冷却脱臭装置を流れる冷却水に、臭気を分解する酵素を添加することにより、被処理物を発生源として冷却水に吸着された臭気を分解して除去することができる。
【0027】
ここで、上記冷却脱臭装置が上記重金属除去装置の接触装置を兼ねるので、処理室内の空気と凝縮水を脱臭するほか、減圧発酵乾燥装置による水産廃棄物の乾燥発酵処理に伴って生じる気体又は液体と、上記成形装置から排出される塵又は気体との少なくとも一方から重金属を除去するために冷却脱臭装置を利用することができる。したがって、比較的簡易な装置により、水産廃棄物から固形燃料の製造過程で生じる臭気の除去と、重金属の除去とを行うことができる。
【0028】
一実施形態の水産廃棄物のリサイクルプラントは、上記熱媒体を、上記固形燃料の燃焼熱で加熱する。
【0029】
上記実施形態によれば、水産廃棄物を用いて作製された固形燃料を燃焼させて得た燃焼熱により、減圧発酵乾燥装置の加熱攪拌部及びジャケットに供給されて被処理物を乾燥させるための熱媒体を加熱するので、熱媒体を化石燃料で生成した熱で加熱する場合と比較して、燃料費を削減でき、また、温室効果ガスの発生を防止できる。
【0030】
一実施形態の水産廃棄物のリサイクルプラントは、上記熱源装置は、水産業用のボイラの熱源装置である。
【0031】
上記実施形態によれば、従来は廃棄処分を行っていた水産廃棄物を用いて固形燃料を作成し、この固形燃料を水産業用のボイラの熱源装置に用いるので、水産業内で資源のリサイクルを行うことができ、廃棄物の処理費用の削減と燃料費の削減とを行うことができる。
【0032】
一実施形態の水産廃棄物のリサイクルプラントは、上記可燃性材料は、可燃性廃棄物としての廃魚網及び廃フロートのうちの少なくとも一方が破砕された破砕片を含む。
【0033】
上記実施形態によれば、可燃性廃棄物として、一般に合成樹脂で形成された廃魚網及び廃フロートのうちの少なくとも一方を用い、これら廃魚網及び廃フロートのうちの少なくとも一方が破砕された破砕片を含む可燃性材料を用いることにより、発熱量の比較的大きい固形燃料を製造することができる。また、廃魚網又は廃フロートを可燃性材料に再利用することにより、廃魚網又は廃フロートの廃棄の手間と費用を削減できる。すなわち、水産業内で資源のリサイクルを行うことができ、廃棄物の処理費用の削減と燃料費の削減とを行うことができる。
【0034】
ここで、廃魚網は、ポリエチレン、ポリアミド及びポリエステルのいずれかで形成されたものを用いることができ、廃フロートは、ポリスチレン又はポリエチレンで形成されたものを用いることができる。
【0035】
一実施形態の水産廃棄物のリサイクルプラントは、上記成形装置に投入される可燃性材料を形成する可燃性材料形成ラインを備え、
この可燃性材料形成ラインは、
塩抜きされた廃魚網を破砕する魚網破砕機と、
破砕された廃魚網から金属部材を除去する風力選別機と、
分別された廃魚網の破砕片を洗浄脱水する乾式洗浄脱水機と
を有する。
【0036】
上記実施形態によれば、可燃性材料形成ラインにより、従来は廃棄処分が行われていた廃魚網を用いて、固形燃料の製造に利用可能な可燃性材料を形成することができる。例えば、塩抜きされた廃魚網を魚網破砕機で破砕し、廃魚網に混在する例えば錘等の金属部材を風力選別機で除去し、分別された廃魚網の破砕片を、乾式洗浄脱水機で少ない水により洗浄されて脱水することにより、廃魚網から、焼却後の不燃物残渣の少ない可燃性材料を効率的に形成することができる。また、可燃性材料に廃魚網を用いることにより、高熱量の固形燃料を製造できる。
【0037】
ここで、上記乾式洗浄脱水機は、回転軸に取り付けられた複数の送り羽根と、送り羽根の外側に配置された透過網を有し、透過網の内側に少量の水と共に廃魚網の破砕片が投入され、回転する送り羽根の作用により破砕片を攪拌して洗浄し、送り羽根から破砕片に作用する遠心力により、透過網の外側に水と汚れを放出して少ない水量で洗浄するように構成されたものを用いることができる。
【0038】
一実施形態の水産廃棄物のリサイクルプラントは、上記水産廃棄物は、貝類の内臓、イカの内臓、クラゲ、ヒトデ、海藻の仮根の少なくとも1つを含む。
【0039】
上記実施形態によれば、重金属を多く含み、従来は海洋投棄や焼却処分が行われていた水産廃棄物を利用して、重金属を回収して周辺環境への漏洩を防止しながら、固形燃料を製造することができる。
【0040】
一実施形態の水産廃棄物のリサイクルプラントは、上記成形装置は、スクリュー式成形装置、又は、リングダイ式成形装置、若しくは、フラットダイ式成形装置である。
【0041】
上記実施形態によれば、スクリュー式成形機、又は、リングダイ式成形機、若しくは、フラットダイ式成形機を用いることにより、水産廃棄物と可燃性材料から、固形燃料を効率的に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】実施形態の水産廃棄物のリサイクルプラントを示すブロック図である。
【図2】減圧発酵乾燥装置を示す模式図である。
【図3】可燃性材料形成ラインを示すブロック図である。
【図4】風力選別装置の主要部を示す模式図である。
【図5】洗浄脱水装置及び風力選別装置を示す模式図である。
【図6】成形装置の一部を示す断面図である。
【図7】リングダイ式成形装置の主要部を示す模式図である。
【図8】重金属除去装置を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、本発明の水産廃棄物のリサイクルプラントの実施形態を、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0044】
本実施形態の水産廃棄物のリサイクルプラントは、水産廃棄物としてのホタテガイのウロ(中腸腺)を処理して固形燃料を製造するものであり、図1は、リサイクルプラントの主要な構成を示すブロック図である。
【0045】
本実施形態のリサイクルプラントPは、ウロを処理する減圧発酵乾燥装置1と、減圧発酵乾燥装置1で処理されたウロと可燃性材料とを用いて固形燃料を製造する成形装置2を備える。成形装置2で形成された固形燃料の一部は熱源装置5に導かれ、この熱源装置5で固形燃料を燃焼して、減圧発酵乾燥装置1の熱媒体を加熱する熱を生成すると共に、水産加工工場等で用いられる蒸気を生成するボイラ8の水を加熱する熱を生成するように構成されている。このリサイクルプラントPは、減圧発酵乾燥装置1から排出される凝縮水及び気体と、成形装置2から排出される塵及び気体と、熱源装置5から排出される気体とを吸着水に接触させる接触装置3を備える。また、リサイクルプラントPは、熱源装置5で固形燃料を燃焼して生成された灰を洗浄する洗浄装置6を備える。さらに、リサイクルプラントPは、上記接触装置3からの吸着水と、洗浄装置6からの洗浄水とを処理して重金属を沈殿凝集させる凝集装置4を備える。また、リサイクルプラントPには、可燃性廃棄物としての廃魚網から可燃性材料を形成する可燃性材料製造ライン7を備える。
【0046】
図2は、減圧発酵乾燥装置1を示す模式図である。減圧発酵乾燥装置1は、被処理物であるウロを減圧環境下で乾燥及び発酵させて、固形燃料の材料を形成するものである。この減圧発酵乾燥装置1は、被処理物を酵素と共に収容し、内部気圧を大気圧以下に保持して減圧乾燥を行う筒状のケーシング11と、ケーシング11の下部に設けられたヒータージャケット12と、ケーシング11の上部に設けられて残渣から蒸発した水蒸気を凝縮させる凝縮部13と、ケーシング11内に配置されたコイル型攪拌部材14を有する。
【0047】
コイル型攪拌部材14は、回転軸14aと、攪拌コイル14bと、攪拌コイル14bの外周側に配置されてケーシング11の内周面の付着物を掻き取る掻き取り板14cを有する。回転軸14a及び攪拌コイル14bの内部には、熱源装置5から供給された熱媒体としての蒸気が流通するように形成されている。また、ヒータージャケット12に、熱源装置5で生成された熱で加熱された蒸気が供給され、被処理物をケーシング11の壁面側から加熱するように形成されている。
【0048】
この減圧発酵乾燥装置1は、ケーシング11の上部の一端側の投入口11aから投入された被処理物を、コイル型攪拌部材14で攪拌しながら他端側に送りをかけると共に、コイル型攪拌部材14とヒータージャケット12に供給される蒸気の熱で加熱して乾燥させる。ここで、ケーシング11内を、真空ポンプVPで室内空気を吸引して大気圧以下に保持することにより、水の沸点を降下させて、比較的低温の加熱温度で被処理物を乾燥させる。例えば、ケーシング11内の気圧を大気圧よりも0.03MPa減圧すると水の沸点が約90℃に降下し、ケーシング11内の気圧を大気圧よりも0.07MPa減圧すると水の沸点が約68℃に降下する。ヒータージャケット12とコイル型攪拌部材14には、ケーシング11内の気圧に応じた温度の蒸気が供給される。
【0049】
凝縮部13は、冷却水が内部に流通して表面に凝縮水を析出させる冷却管と、冷却管から滴下した凝縮水を受ける受水樋と、受水樋の凝縮水を吸引する吸引口を有する。凝縮部13で生成された凝縮水は、真空ポンプVPにより、ケーシング11内の空気と共に吸引されて、矢印Vで示すように、冷却脱臭装置として機能する接触装置3に送られる。接触装置3と凝縮部13との間は、冷却水ポンプPによって冷却水の循環流が形成されている。冷却水には脱臭酵素が添加されており、冷却水に吸着される室内空気と凝縮水に含まれる臭気が、脱臭酵素の作用で分解され、脱臭を行うようになっている。また、後に詳述するように、室内空気と凝縮水に含まれる重金属が、接触装置3で冷却水に吸着されるようになっている。
【0050】
ケーシング11内の被処理物に添加される酵素と、接触装置3の冷却水に添加される酵素は、以下のうちの少なくとも1つを用いることができる。以下の酵素の少なくとも1つを有する微生物を添加することにより、被処理物及び冷却水に存在する有機物に対応する微生物が活性化し、被処理物及び冷却水の有機物が分解される。各酵素名に続く括弧内に、各酵素が作用する物質を記している。アルコールデハイドロゲナーゼ(アルコール)、ラクテートデハイドロゲナーゼ(乳糖)、グルコース6リン酸デハイドロゲナーゼ(糖質)、アルデヒドデハイドロゲナーゼ(アルデヒド)、L・アスパルテイト・ベーターセミアルデヒド・NADPオキシドレクターゼ(アルデヒド)、グルタミン酸デハイドロゲナーゼ(アミノ酸)、アスパラギン酸セミアルデヒド・デハイドロゲナーゼ(アミノ酸)、NADPH2チクトクロームC・リアクターゼ(NADP)、グルタチオン・デハイドロゲナーゼ(グルタチオン)、トレハローズリン酸シンテクターゼ(糖質)、ポリフォスヘエードキナーゼ(ATP)、エタノールアミンフォスヘエードサイチジル・トランスフェラーゼ(CTP)、トレハローズフォスファターゼ(糖質)、メタルチオ・フォスフォ・グリセレート・フォスファターゼ(グリセリン)、イヌラーゼ(イヌリン)、β−マンノシターゼ(糖質)、ウリジン・ヌクレオシターゼ(アミノ酸)、シトシン・ジアミナーゼ(シトシン)、メチルシステインシンテターゼ(アミノ酸)、アスパラギン酸シンテターゼ(ATP)、コハク酸デハイドロゲナーゼ(コハク酸)、アコニチン酸ハイドロゲナーゼ(クエン酸)、フマレイトハイドロゲナーゼ(マロン酸)、マレイトデハイドロゲナーゼ(マロン酸)、クエン酸シンテターゼ(アセチルCouA)、イソクエン酸デハイドロゲナーゼ(クエン酸)、LSNADPオキシダクターゼ(クエン酸)、モノアミンオキシダクターゼ(アミン)、ヒスタミナーゼ(アミン)、ピルビン酸デカルボキシラーゼ(オキソ酸)、ATPアーゼ(ATP)、ヌクレオチドピロフォスファターゼ(核酸)、エンドポリフォスファターゼ(ATP)、ATPフォスフォハイドロラーゼ(ATP)、オロチジン5リン酸デカルボキシラーゼ(オロチジン)。これらの酵素の作用によって、被処理物及び冷却水に含まれる有機物が分解され、ウロに起因する臭気を低減することができる。
【0051】
また、ケーシング11内の被処理物のウロが、所定の酵素の作用によって分解されることにより、カドミウム等の重金属がウロから解離する。ここで、ケーシング11内に凝集剤を添加することにより、ウロから解離した重金属を凝集させて、重金属の拡散を防止してもよい。上記凝集剤として、硫化ナトリウム等の硫黄含有物を用いることにより、不溶性の重金属硫化物を生成して凝集させることができる。また、重金属のウロからの解離を行った後に、ケーシング11内を嫌気性環境とし、硫黄還元菌を活性化させて硫化物を生成することにより、重金属硫化物を形成してもよい。
【0052】
この減圧発酵乾燥装置1により、水分量が80wt%のウロを処理する場合、大気圧からの減圧値が0.03〜0.07MPa、熱媒体の温度が60〜80℃の条件で、1〜3時間にわたって攪拌し、酵素の活動を促す酵素運転を行うのが好ましい。引き続いて、大気圧からの減圧値が0.05〜0.09MPa、熱媒体の温度が80〜120℃の条件で、30分〜1時間にわたって攪拌し、水蒸気の蒸発を促す乾燥運転を行うのが好ましい。このような酵素運転と乾燥運転を行うことにより、水分量が質量比で約20%以下であって臭気が殆ど無い粉状の発酵乾燥ウロが得られる。
【0053】
この減圧発酵乾燥装置1でウロが発酵及び乾燥されてなる発酵乾燥ウロは、ケーシング11の下部の他端側の排出口11bから排出され、減圧乾燥機1内の低圧を保持するための図示しないロータリーバルブを介して、貯蔵サイロと一体に形成された定量供給機に送られる。発酵乾燥ウロは、固形燃料の材料として、定量供給機から所定量が巻き出されて成形装置2に供給される。
【0054】
図3は、可燃性材料形成ライン7を示すブロック図である。可燃性材料形成ライン7は、可燃性廃棄物として水産業で発生する廃魚網を処理して、可燃性材料としての廃魚網チップを形成して固形燃料の材料を作製するラインである。
【0055】
可燃性材料形成ライン7は、図3に示すように、水洗装置71と、破砕装置72と、第1風力選別装置73と、乾式洗浄脱水装置74と、第2風力選別装置75を含んで構成されている。
【0056】
この可燃性材料形成ライン7には、プラスチック系廃棄物であって、ポリエチレン等の合成樹脂で形成された廃魚網が投入される。廃魚網は、まず、水洗装置71で水により洗浄され、海塩が除去される。水洗装置71は、円筒形の水槽と、水槽の中心軸に回転軸を一致して設置された攪拌羽根とを備え、水槽内に投入された廃魚網を、攪拌羽根によって水中で攪拌する湿式の水洗装置を用いることができる。水洗装置71で廃魚網を水洗して海塩を除去することにより、固形燃料が燃焼する際にダイオキシンが生じる不都合を防止できる。
【0057】
水洗装置71で水洗された廃魚網は、破砕装置72に投入されて破砕される。破砕装置72は、装置本体に固定された固定刃に近接して、回転刃を有する1つの回転軸が回転駆動される一軸型の破砕機を用いることができる。破砕装置72は、投入された廃魚網を回転軸に向かって押圧する油圧式のプッシャを有する。この破砕装置72により、プッシャで回転軸に向かって押圧された廃魚網を固定刃と回転刃とのせん断作用で破砕して、5〜20mmの寸法の破砕片を形成する。
【0058】
破砕装置72によって形成された廃魚網の破砕片は、第1風力選別装置73に導かれて、錘や金属ワイヤ等の重量物が分別して除去される。第1風力選別機73は、図4に主要部を示すように、竪形のジグザグ管路731の下部の供給口731aへ矢印Bで示すように連続的に供給された破砕物を、ジグザグ管路731内に形成される上向きの空気流により、軽量物と重量物とに選別する。軽量物は、空気流によってジグザグ管路731の上端部からサイクロンセパレータ732に搬送され、サイクロンセパレータ732で空気流から分離される。サイクロンセパレータ732で軽量物が分離された空気は、ブロワ733によって吸引された後に圧送され、ジグザグ管路731の下部の空気供給口731bに戻されて、ジグザグ管路731に上向きの空気流を形成する。廃魚網の樹脂部分等の可燃物が主体の軽量物は、矢印BLで示すように、ロータリーシール弁を介して、サイクロンセパレータ732の下端から排出され、貯蔵サイロと一体に形成された図示しない定量供給機に貯蔵される。錘等の不燃物が主体の重量は、矢印BHで示すように排出され、廃棄又は他の再生処理に付される。
【0059】
重量物が除去された軽量物は、乾式洗浄脱水装置74によって洗浄される。乾式洗浄脱水機74は、図5に模式的に示すように、ケーシング741の一端に投入口741aを有し、この投入口741aに、矢印Pで示すように、軽量物が水及び空気と共に投入される。水には、オゾンや脱臭酵素等の脱臭剤を添加することができる。ケーシング741内には、回転軸742に取り付けられて、軽量物に送りをかけるように回転駆動される複数のパドル743が配置されている。また、ケーシング741内には、パドル743を取り囲むように筒状の透過体744が配置されている。なお、透過体744は筒状でなくてもよく、パドル743の先端が描く回転軌跡の一部を覆うのであれば、形状は限定されない。また、透過体744は、網状の素材で形成してもよく、また、スリット状の素材で形成してもよい。軽量物は、パドル743によって透過体744の内側を他端側に向かって送られるに伴い、汚れが水分と共に除去されて洗浄されると共に乾燥する。軽量物から水と共に除去された汚れは、汚水となって透過体744の外側に排出され、ケーシング741の下部に集められる。この汚水は、ケーシング741の下部に配置された排出コンベヤ745により、矢印Dで示すようにケーシング741外に排出され、廃棄される。このように、乾式洗浄脱水機74は、加熱することなく、パドル743による回転力によって軽量物を洗浄及び脱水できる。したがって、比較的簡易な構成の装置により、比較的少ないエネルギー消費のもと、可燃性材料を得ることができる。
【0060】
乾式洗浄脱水装置74で洗浄されて乾燥した軽量物は、ケーシング741の他端に形成された排出口741bから、この排出口741bに接続された取り出しコンベヤ746によって排出される。取り出しコンベヤ746の終端には、図5に示すように、第2風力選別装置75が接続されている。
【0061】
第2風力選別装置75は、図5に示すように、取り出しコンベヤ746の終端に接続されて上下に直線状に延びる縦管751を備え、縦管751の取り出しコンベヤ746との接続位置よりも下方に、ブロワ753からの空気を供給する給気管751aが接続されている。この給気管751aで供給されて縦管751内を下から上に向かって流れる空気により、取り出しコンベヤ746から排出された軽量物が縦管751内を上向きに搬送される。空気流によって搬送される軽量物は、矢印PLで示すように縦管の上端751bからサイクロンセパレータ752へ導かれ、サイクロンセパレータ752で空気流から分離され、可燃性材料として、図示しない貯蔵サイロと一体に形成された定量供給機に貯蔵される。サイクロンセパレータ752で軽量物が分離された空気流は、ブロワ753に吸引される。一方、取り出しコンベヤ746から排出されて軽量物に混入していた重量物は、縦管751内を空気流に抗して落下し、矢印PHで示すように、縦管の下端751cから排出される。
【0062】
このようにして、可燃性材料形成ライン7により、可燃性廃棄物である廃魚網から、固形燃料の材料である可燃性材料を形成する。
【0063】
なお、可燃性材料形成ライン7により、可燃性廃棄物として、例えばポリスチレンで形成される廃フロートを用いて可燃性材料を作成してもよい。このように、水産業で排出される廃魚網及び廃フロート等の可燃性廃棄物から可燃性材料を作成し、固形燃料の材料に用いることにより、水産業で排出される廃棄物を効率的に再利用することができる。なお、可燃性廃棄物としては、水産業で排出される廃魚網及び廃フロートのほか、一般家庭や他業種で排出されるプラスチック系廃棄物又は紙系廃棄物を用いてもよい。プラスチック系廃棄物としては、合成樹脂製の廃棄物が広く該当し、ダイオキシンの発生を防止するため、塩素を含まない合成樹脂製の廃棄物を用いるのが好ましい。また、紙系廃棄物としては、使用後の事務用紙、新聞紙及び書籍等の古紙等が該当する。さらに、可燃性廃棄物として、農業、林業及び建設業で排出される木質系廃棄物を用いてもよい。木質系廃棄物としては、木材の端材、間伐材、樹皮及び建築廃材等が該当する。いずれの廃棄物も、破砕機で破砕して5〜20mmの寸法の破砕片に形成した後、成形装置2に投入し、発酵乾燥ウロと混練及び成形する。また、木質系の可燃性廃棄物を5mm以下に破砕してなるオガ粉を減圧発酵乾燥装置1に投入することにより、ウロの水分割合を低減させてもよい。
【0064】
図6は、本実施形態のリサイクルプラントPに用いられる成形装置2の一部を模式的に示す断面図である。この成形装置2は、回転軸が略平行に配列された1対のスクリュー羽根22,22を備えるスクリュー式の成形装置である。このスクリュー式の成形装置2は、1対のスクリュー羽根22,22により、材料の逆流を阻止しつつ材料の混練、圧縮及び成形を行うものであり、材料の圧縮及び混練に伴って発生する摩擦熱を利用して、高効率に加熱と圧縮と成形を行うように構成されている。
【0065】
この成形装置2は、被処理物の投入口を上部に有するケーシング21内に、材料を混練及び圧縮する1対のスクリュー羽根22,22を収容している。ケーシング21の投入口には、投入口28aと排気管28bとを有する投入口カバー28が設置されている。投入口カバー28の投入口28aを通して矢印Mで示すように材料をケーシング21内に投入すると共に、スクリュー羽根22,22で材料を混練、圧縮及び成形するに伴って生じる塵や気体を排気管28bから矢印G1で示すように排出するようになっている。排気管28bから排出された塵や気体は、後述する接触装置3に送られる。
【0066】
上記1対のスクリュー羽根22,22の先端側であって、上記ケーシング21の端面には、端面板23が取り付けられている。端面板23には、圧縮された材料を円形断面の棒状に成形して排出する複数の成形ノズル24が取り付けられている。この端面板23の外側面には、成形ノズル24の出口を取り囲むように、燃料排出口29aと排気管29bとを有する排出口カバー29が取り付けられている。排出口カバー29は、成形ノズル24から押し出された固形燃料を燃料排出口29aから排出すると共に、成形ノズル24から固形燃料に混ざって吐出される塵や気体を排気管29bから排出するようになっている。排気管29bから排出された塵や気体は、後述する接触装置3に送られる。
【0067】
ケーシング21内に収容されるスクリュー羽根22,22は、これらスクリュー羽根22,22の基端側でケーシング21の外側から内側に挿入して設置された一対の回転軸25,25の先端に取り付けられている。これら回転軸25,25の先端に、断面六角形の取付部25a,25aが形成されており、これら取付部25a,25aの外周側に、スクリュー羽根22,22が嵌合している。
【0068】
スクリュー羽根22は、上記回転軸25の取付部25aに取り付けられる軸部と、この軸部の周面に形成された螺旋羽根部とを有する。一対の回転軸25,25に取り付けられた一対のスクリュー羽根22,22は、螺旋羽根部が互いに逆回りに形成されており、軸部の延在方向から見て螺旋羽根部が重なり合うように配置されている。一対の回転軸25,25は、互いに逆向きに回転駆動され、これにより、ケーシング21内に投入された材料を一対のスクリュー羽根22,22が挟み込み、混練及び圧縮しながら端面板23側に移送するように形成されている。
【0069】
ケーシングの端面には、端面板23の成形ノズル24から排出された棒状の材料を切断する図示しない切断機が取り付けられている。この切断機は、成形ノズル24の出口に回転可能に配置された回転刃と、この回転刃を駆動するモータを備える。
【0070】
上記一対のスクリュー羽根22,22は、ケーシング21内の投入口側から端面板23側に向かって、順に、第1螺旋軸221と、第2螺旋軸222と、第3螺旋軸223とで形成されている。各螺旋軸221,222,223は、回転軸25に連結された軸部と、軸部の外周面に固定された螺旋羽根部とで形成されている。上記第1螺旋軸221と、第2螺旋軸222と、第3螺旋軸223は、この順に、軸部の径が大きく形成されていると共に、螺旋羽根部のピッチが、この順に小さく形成されている。更に、螺旋羽根部の厚みが、この順に大きく形成されている。これにより、各螺旋軸の表面と、ケーシング21の内側面との間に形成される処理室の容積を、上記第1螺旋軸221と、第2螺旋軸222と、第3螺旋軸223との順に小さくしている。その結果、第1螺旋軸221、第2螺旋軸222及び第3螺旋軸223は、材料を、噛み込み等の不都合を生じることなく確実に後段に移送すると共に、順次大きい圧縮力を材料に与えることができる。このスクリュー羽根22により、投入時にカサ比重が0.025の材料を、端面板の成形ノズル24からの排出時に、カサ比重が概ね0.45から0.5の間となる程度に圧縮することができる。また、投入時にカサ比重が0.025の材料を、成形ノズル24からの排出時に、真比重が概ね0.8から1の間となる程度に圧縮することができる。
【0071】
第3螺旋軸223は、螺旋羽根部の先端に平面部を有し、平面部が端面板23の内側面に近接配置されて第3螺旋軸223が回転駆動されることにより、高密度に圧縮された材料を端面板23の成形ノズル24から確実に押し出すようにしている。この第3螺旋軸223は、材料に各螺旋軸221,222,223が与える圧縮力のうち最大の圧縮力を与えるので、クロム鋼で形成した基部と、この基部の表面に例えばタングステンカーバイド系材料等のような耐磨耗材料を用いて形成された肉盛部とで構成している。
【0072】
ケーシング21内には、第2及び第3螺旋軸222,223を取り囲む複数のライニングブロック27,27,・・・が配置されている。この複数のライニングブロック27と、第2及び第3螺旋軸222,223の外側面との間に、材料の処理室を形成している。
【0073】
端面板23は、第3螺旋軸の先端の平面部が近接して通過する領域に、複数の貫通孔が設けられており、この貫通孔に成形ノズル24が挿入されている。端面板23には、抵抗加熱式のヒータが内蔵されており、成形ノズル24を通して排出する材料を加熱して、柔軟性を保持するようになっている。
【0074】
この成形装置2は、次のようにして固形燃料を製造する。
【0075】
まず、端面板23のヒータに電力を供給し、端面板23の予備加熱を行った後、図示しないモータを起動して一対の回転軸25,25を互いに逆向きに回転させ、一対のスクリュー羽根22,22を互いに逆向きに回転させる。スクリュー羽根22の回転速度は、例えば30rpm以上60rpm以下の比較的低速度で回転するのが好ましい。続いて、ケーシング21の投入口に、減圧発酵乾燥装置1で発酵乾燥処理を行った発酵乾燥ウロと、可燃性材料とを投入する。
【0076】
ケーシング21内では、投入された材料を、一対の第1螺旋軸221で挟み込み、混練し、強力な挟み込み力によって第2螺旋軸222側に確実に移送する。第2螺旋軸222は、この第2螺旋軸222とライニングブロック27との間に形成された処理室内に材料を導いて、材料の混練及び圧縮を行う。上記処理室内に導かれた材料を、上記第2螺旋軸222の回転動作によって端面板23側に送りながら混練及び圧縮し、材料の逆流を効果的に防止する。続いて、第3螺旋軸223が、この第3螺旋軸223とライニングブロック27との間に形成された処理室内に材料を導いて、更なる混練と圧縮を行う。第1、第2及び第3螺旋軸221,222,223は、この順に、軸部の径が大きく形成され、螺旋羽根部のピッチが大きく形成され、かつ、螺旋羽根部の厚みが大きく形成されているので、材料の噛み込みや密度の低下等の不都合なく、材料を効果的に混練及び圧縮することができる。
【0077】
また、第1、第2及び第3螺旋軸221,222,223は、順次大きい圧縮力を材料に与えて混練を行うことにより、材料に圧縮熱と摩擦熱を効果的に生じさせて、主に可燃性材料に含まれる合成樹脂等の溶融物を効果的に溶融させることができる。このように、材料の圧縮熱や摩擦熱によって十分に溶融物を融解できるので、端面板23のヒータによって補助的に加熱するのみにより、材料中の溶融物を十分に溶解することができる。
【0078】
第3螺旋軸223に導かれて高圧力で圧縮された材料は、溶融物が溶融した状態で、端面板23の成形ノズル24から棒状に押し出される。押し出された棒状の材料は、切断機によって所定長さに切断され、温度が降下するに伴って溶融物が固化して固形燃料が得られる。
【0079】
図7は、成形装置の他の例としてのリングダイ式成形装置102の主要部を示す図である。この成形装置102は、所謂ペレットミルと呼ばれる成形装置であり、回転駆動される回転円筒体120の内側から、胴部に設けられたダイ孔120aを通して材料を押し出すことにより、ペレット状の固形燃料を製造するものである。
【0080】
このリングダイ式成形装置102は、ダイ孔120aが設けられた回転円筒体120と、この回転円筒体の内側面に外側面が近接して配置された2つの転動輪121,121とを備える。2つの転動輪121は、回転円筒体120の直径上の対向位置に配置され、転動輪121の表面には、材料のスリップを低減して取り込みを容易にする多数の軸方向溝が形成されている。回転円筒体120と、転動輪121,121とを夫々矢印R1,R2で示す方向に回転駆動した状態で、回転円筒体120内に、発酵乾燥ウロと可燃性材料を投入する。投入された材料は、回転円筒体120の内側面と転動輪121の外側面との間に挟み込まれて圧縮され、回転円筒体120の胴部のダイ孔120aから外側に押し出される。押し出された材料は、回転円筒体120の胴部に対向して配置された固定刃122,122によって所定長さに切り取られて、ペレット状の固形燃料が得られる。リングダイ式成形装置102は、直径が10mm程度までの比較的小径の固形燃料を製造するのに好適であり、また、成形前の材料の水分量が少なくて材料の加熱が不要である場合に好適である。
【0081】
なお、本発明の成形装置としては、上述のようなスクリュー式成形装置2やリングダイ式成形装置102を用いることができるが、例えばフラットダイ式成形装置等、他の形式の成形装置を用いることもできる。ここで、フラットダイ式成形装置としては、環状の領域に複数のダイ孔が形成され、このダイ孔が形成された環状の領域の中心に公転軸を有する平面状のフラットダイと、この公転軸周りに外周面がフラットダイの表面に対して摺動状態で公転駆動されて、フラットダイの表面との間に供給された材料をダイ孔に押し込むローラとを備えるものを用いることができる。
【0082】
このように、成形装置2,102で製造された固形燃料は、図示しない冷却機で冷却されて貯蔵サイロに貯蔵される。貯蔵サイロに貯蔵される固形燃料の一部は、熱源装置5の燃料として用いられる。また、固形燃料の他の一部は、ボイラや暖房等の種々の用途の燃料として販売される。
【0083】
熱源装置5は、ウロと廃魚網を用いて製造された固形燃料を燃焼させて、減圧発酵乾燥装置1とボイラ8で使用する熱を生成する。熱源装置5は、固形燃料が供給される燃焼炉と、燃焼炉からの排出ガスに含まれる煙を収集する集塵装置を備える。燃焼炉には、ストーカ炉や流動床炉等の公知の炉を適用できる。また、集塵装置は、バグフィルタ、サイクロン式集塵機、電機集塵機等の公知の装置を適用できる。この熱源装置5の燃焼炉で生成された燃焼ガスを、減圧発酵乾燥装置1の熱媒体が通過する熱交換管の外周を通過させて熱媒体を加熱する。また、上記熱源装置5の燃焼炉で生成された燃焼ガスを、ボイラ8の水管に導いて、水管内の水を加熱する。このように、水産業で生成された廃棄物を用いて固形燃料を製造し、この固形燃料を燃焼させて、固形燃料を製造するための減圧発酵乾燥装置1の熱源に用いると共に、水産業で利用する蒸気をボイラ8により生成する。その結果、水産業において、資源を効率的に再利用することができ、廃棄物の最終処分量を削減することができると共に、化石燃料の使用量を削減することができる。
【0084】
熱源装置5で生成され、減圧発酵乾燥装置1の熱媒体の加熱とボイラ8の加熱を行なった後の燃焼ガスは、ウロに由来する重金属を含むため、後述する重金属除去装置に導いて重金属の除去処理を行う。また、熱源装置5の燃焼炉で固形燃料を燃焼して生じる燃焼残渣は、ウロに由来する重金属が残留しているため、洗浄装置6に導いて洗浄を行う。洗浄装置6は、燃焼残渣が投入されて洗浄水が供給される水槽と、水槽内に凝集剤を供給する供給手段と、水槽内の燃焼残渣と凝集剤が投入された洗浄水を攪拌する攪拌手段とを備えたものを用いることができる。この洗浄装置6により、燃焼残渣を攪拌手段で水と攪拌し、混合させて、燃焼残渣の水溶成分を水に溶出させる。この後、凝集剤で不溶成分を凝集させた後、凝集沈殿した不溶成分を収集する一方、燃焼残渣の水溶成分が溶出した水を凝集装置4に導いて、この水に含まれる重金属成分を凝集装置4で凝集させる。このように、洗浄装置6と凝集装置4は、第2の重金属除去装置として機能する。洗浄装置6で用いる凝集剤としては、公知の高分子凝集剤を用いることができる。なお、凝集剤として、硫化ナトリウム等の硫黄含有物を用いてもよく、この場合、カドミウム等の重金属を不溶化できるので、洗浄水を凝集装置4で処理しなくてもよい。この場合、洗浄装置6のみにより、第2の重金属除去装置として機能することができる。また、洗浄装置6では、熱源装置5から生成される燃焼残渣のほか、集塵装置で回収された塵の洗浄を行ってもよい。
【0085】
図8は、減圧発酵乾燥装置1及び成形装置2から排出された凝縮水等から重金属を回収する重金属除去装置を示す模式図である。重金属除去装置は、接触装置3と凝集装置4で構成されており、上記接触装置3は、減圧発酵乾燥装置1の冷却脱臭装置の機能を兼ねている。
【0086】
接触装置3は、減圧発酵乾燥装置1から導かれる凝縮水及び気体と、成形装置2から導かれる気体と、熱源装置5から導かれる気体とを吸着水に接触させるものである。吸着水は、減圧発酵乾燥装置1の凝縮部13の冷却管内に供給される冷却水としても機能し、凝縮部13から接触装置3に戻されたときに、冷却水及び吸着水として機能する。この接触装置3は、大気の流通口を上部と下部に有するケーシング31と、ケーシング31の下端に設置された水槽32と、水槽32の水をケーシング31内の上部に導く散水管33と、散水管33に介設された散水ポンプSPと、散水管33の分岐した先端部に設けられた複数の散水ノズル33a,33a,・・・と、散水ノズル33aからの水が流下して接触する接触体35と、ケーシング31内の上端部に設けられたファン36を備える。ケーシング31には、図2の矢印Vで示すように減圧発酵乾燥装置1から排出された凝縮水及び空気と、図6の矢印G1及びG2で示すように成形装置2から排出された塵及び気体と、後述する熱源装置5から排出された燃焼ガスとを導く接触導管34が配管されている。接触導管34の分岐した先端部には、接触導管34で導かれた凝縮水、気体及び塵を、上記散水ノズル33aから吐出された水の流れに向かって吐出するように、複数の吐出ノズル34a,34a,・・・が設けられている。上記接触体35は、樹脂で形成された多孔性の充填材が配置され、脱臭酵素の担体となっている。水槽32には、水槽32内の吸着水を凝集装置4に排出するための配水管37が接続され、配水管37には排水ポンプAPが介設されている。また、水槽32には、水槽32内の吸着水を、冷却水として減圧発酵乾燥装置1の凝縮部13に供給する冷却水配管38が接続され、この冷却水配管38に、冷却水を接触装置3と凝縮部13との間に循環させる冷却水ポンプPが介設されている。
【0087】
凝集装置4は、接触装置3の水槽32から配水管37を介して導かれた吸着水を貯留する沈殿槽41と、沈殿槽41内に凝集剤を供給する凝集剤供給管42と、凝集剤が添加された吸着水を攪拌する攪拌羽根43を備えて構成されている。
【0088】
上記接触装置3と凝集装置4で構成された重金属除去装置は、次のように動作する。まず、接触装置3において、散水ポンプSPによって水槽32から散水管33を通って汲み上げられた吸着水が、接触装置3の上部の散水ノズル33aから接触体35に向けて噴射される。ここで、散水ノズル33aの下方に配置された吐出ノズル34aから、接触導管34で導かれた凝縮水と塵と気体が吐出され、吸着水に凝縮水が混合すると共に、吸着水に塵と気体が接触し、少なくとも一部が吸着される。凝縮水が混合して塵と気体を吸着した吸着水は、接触体35を通って水槽32内に流下する。こうして、吸着水が水槽32と散水管33と散水ノズル33aと接触体35を循環して流れる間に、接触体35に担持された脱臭酵素の作用によって吸着水の臭気が分解されると共に、ファン36によって下から上に流れる空気で冷却され、さらに、凝縮水と塵と気体に含まれる重金属が吸着水に保持される。このように、接触装置3は、冷却水の冷却機能と、凝縮水の脱臭機能と、重金属の吸着機能を発揮する。なお、接触導管34は、先端部が水槽32内に位置して水槽32内の吸着水に凝縮水と塵と気体を吐出するように構成されてもよい。水槽32内の吸着水の一部は、冷却水として冷却水ポンプPで減圧発酵乾燥装置1の凝縮部13に戻される。また、水槽32内の吸着水の他の一部は、重金属を凝集させるため、排水ポンプAPによって配水管37を通って凝集装置4に送られる。
【0089】
凝集装置4では、接触装置3の水槽32から配水管37を介して送られた吸着水を貯留し、吸着水が所定量に達すると、排水ポンプAPが停止する。沈殿槽41内に所定量の吸着水が貯留されると、凝集剤供給管42から所定量の凝集剤が吐出され、沈殿槽41内の吸着水に添加される。凝集剤としては、硫化ナトリウムを用いることができるが、他の硫黄含有物を用いてもよい。凝集剤が添加された後、攪拌羽根43が回転し、吸着水と凝集剤を攪拌する。攪拌羽根43による攪拌を開始して所定時間が経過すると、攪拌羽根43の動作を停止し、凝集剤によって凝集された不溶物を沈殿させる。不溶物は、凝集剤が硫化ナトリウムの場合、硫化カドミウム等の重金属硫化物である。攪拌羽根43による攪拌が停止した後、沈殿槽41内の底部に重金属を含む不溶物Sが沈殿すると、沈殿槽41内の水を排出し、不溶物Sをホッパ等で収集し、安定化された廃棄物として最終処分を行う。沈殿槽41から排出される沈殿槽41内の水は、重金属が不溶化されて除去されているので、重金属の漏洩を防止できる。また、重金属は、硫化物等の不溶性の沈殿Sとして回収されるので、環境汚染を生じることなく、安定化重金属として、最終処分場等で処分することができる。
【0090】
このように、固形燃料の製造過程で生じた塵や気体に含まれる重金属と、固形燃料の燃焼過程で生じた塵や排出ガスや燃焼残渣に含まれる重金属を、吸着装置3と凝集装置4で除去するので、ウロ等の水産廃棄物を、重金属の漏洩及び拡散を防止しながら資源のリサイクルを行うことができる。
【0091】
上記実施形態において、熱源装置5は、水産廃棄物を用いて成形された固形燃料を燃焼して熱を生成したが、熱源装置5の燃料は、水産廃棄物を用いた固形燃料でなくてもよく、例えば、木屑や木質チップ等の木質廃棄物を燃料に用いてもよい。この場合、熱源装置5の排出ガスを接触装置3で処理しなくてもよい。また、成形装置2で製造した全ての固形燃料を熱源装置5で燃焼させて、プラント内において全ての固形燃料を消費してもよい。
【0092】
また、上記実施形態において、水産廃棄物としてホタテガイのウロを用いたが、他の貝類の内蔵を用いてもよく、また、イカの内臓、クラゲ、ヒトデ及び海藻の仮根等、水産業において排出される他の廃棄物であってもよい。
【符号の説明】
【0093】
1 減圧発酵乾燥装置
2 成形装置
3 接触装置
4 凝集装置
5 熱源装置
6 洗浄装置
7 可燃性材料製造ライン
8 ボイラ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
水産廃棄物を減圧環境下で発酵及び乾燥させる減圧発酵乾燥装置と、
上記減圧発酵乾燥装置によって乾燥発酵処理が行われた被処理物と、可燃性廃棄物から形成された可燃性材料とを混合及び成形して固形燃料を製造する成形装置と、
上記減圧発酵乾燥装置による水産廃棄物の乾燥発酵処理に伴って生じる気体又は液体と、上記成形装置から排出される塵又は気体との少なくとも一方から重金属を除去する重金属除去装置とを備えることを特徴とする水産廃棄物のリサイクルプラント。
【請求項2】
請求項1に記載の水産廃棄物のリサイクルプラントにおいて、
上記重金属除去装置は、上記減圧発酵乾燥装置からの気体又は液体と、上記成形装置からの塵又は気体との少なくとも一方を吸着液に接触させる接触装置と、この接触装置から排出された吸着液に含まれる重金属を凝集させて除去する凝集装置とを有することを特徴とする水産廃棄物のリサイクルプラント。
【請求項3】
請求項1に記載の水産廃棄物のリサイクルプラントにおいて、
上記固形燃料を燃焼させる燃焼炉を有する熱源装置を備え、
上記重金属除去装置は、上記熱源装置の燃焼炉から排出される燃焼ガスから重金属を除去することを特徴とする水産廃棄物のリサイクルプラント。
【請求項4】
請求項3に記載の水産廃棄物のリサイクルプラントにおいて、
上記熱源装置の燃焼炉で燃焼した固形燃料の燃焼残渣を洗浄する洗浄装置と、
上記洗浄装置で焼却残渣を洗浄した洗浄液に含まれる重金属を除去する第2の重金属除去装置とを備えることを特徴とする水産廃棄物のリサイクルプラント。
【請求項5】
請求項1に記載の水産廃棄物のリサイクルプラントにおいて、
上記減圧発酵乾燥装置は、
内部が減圧され、被処理物を酵素が添加された状態で収容する処理室と、
処理室内に配置され、熱媒体が内部に供給される回転軸と、上記処理室内で回動可能に上記回転軸に連結され、熱媒体が内部に供給されるコイル状管体と、このコイル状管体の外周側に配置されたブレードとを有する加熱攪拌部と、
処理室の壁面に形成され、熱媒体が供給されるジャケットと
を備えることを特徴とする水産廃棄物のリサイクルプラント。
【請求項6】
請求項2に記載の水産廃棄物のリサイクルプラントにおいて、
上記減圧発酵乾燥装置は、
内部が減圧され、被処理物を酵素が添加された状態で収容する処理室と、
処理室内に配置され、熱媒体が内部に供給される回転軸と、上記処理室内で回動可能に上記回転軸に連結され、熱媒体が内部に供給されるコイル状管体と、このコイル状管体の外周側に配置されたブレードとを有する加熱攪拌部と、
処理室の壁面に形成され、熱媒体が供給されるジャケットと、
上記処理室内に設けられ、被処理物からの蒸気を冷却して凝縮させる凝縮部と、
上記処理室内の空気を、上記凝縮部で凝縮されてなる凝縮水と共に吸引する吸引ポンプと、
酵素が添加されて上記凝縮部との間を循環する冷却水を冷却すると共に、上記吸引ポンプで吸引した処理室内の空気と凝縮水を上記冷却水に吸着させる冷却脱臭装置とを備え、
上記減圧発酵乾燥装置の冷却脱臭装置が、上記重金属除去装置の接触装置を兼ねていることを特徴とする水産廃棄物のリサイクルプラント。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の水産廃棄物のリサイクルプラントにおいて、
上記熱媒体を、上記固形燃料の燃焼熱で加熱することを特徴とする水産廃棄物のリサイクルプラント。
【請求項8】
請求項3に記載の水産廃棄物のリサイクルプラントにおいて、
上記熱源装置は、水産業用のボイラの熱源装置であることを特徴とする水産廃棄物のリサイクルプラント。
【請求項9】
請求項1に記載の水産廃棄物のリサイクルプラントにおいて、
上記可燃性材料は、可燃性廃棄物としての廃魚網及び廃フロートのうちの少なくとも一方が破砕された破砕片を含むことを特徴とする水産廃棄物のリサイクルプラント。
【請求項10】
請求項9に記載の水産廃棄物のリサイクルプラントにおいて、
上記成形装置に投入される可燃性材料を形成する可燃性材料形成ラインを備え、
この可燃性材料形成ラインは、
塩抜きされた廃魚網を破砕する魚網破砕機と、
破砕された廃魚網から金属部材を除去する風力選別機と、
分別された廃魚網の破砕片を洗浄脱水する乾式洗浄脱水機と
を有することを特徴とする水産廃棄物のリサイクルプラント。
【請求項11】
請求項1に記載の水産廃棄物のリサイクルプラントにおいて、
上記水産廃棄物は、貝類の内臓、イカの内臓、クラゲ、ヒトデ、海藻の仮根の少なくとも1つを含むことを特徴とする水産廃棄物のリサイクルプラント。
【請求項12】
請求項1に記載の水産廃棄物のリサイクルプラントにおいて、
上記成形装置は、スクリュー式成形装置、又は、リングダイ式成形装置、若しくは、フラットダイ式成形装置であることを特徴とする水産廃棄物のリサイクルプラント。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−218312(P2011−218312A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−91844(P2010−91844)
【出願日】平成22年4月12日(2010.4.12)
【出願人】(591119624)株式会社御池鐵工所 (86)
【Fターム(参考)】