説明

水質浄化装置及び該水質浄化装置の運用システム

【課題】浄化処理能力を高めることができる水質浄化装置を提供する。
【解決手段】有機性汚濁成分及び窒素・リンの栄養塩類を少なくとも含む原水を傾斜土槽法により浄化する浄化方法に用いる水質浄化装置100である。遮水性の底面11と側面12及び開放された上面を有して浄化作用を有する担体15が充填された土槽容器10を、複数の土槽容器10内を流れる水流が同方向となるように鉛直方向に多段に積み重ねられている。この多段に積み重ねた土槽容器10は、水の流れる方向で一定の長さに区切ったブロックBとし、ブロックBごとの移動と交換が可能であることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、傾斜土槽を排水処理の技術分野に適用するものであり、水中の有機性汚濁成分の浄化、総窒素・総リンの除去を行うことができる水質浄化装置及び該水質浄化装置の運用システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の傾斜土槽には、傾斜した土地を利用するもの、底面に傾斜のある薄層容器に担体を充填したものがある(例えば、特許文献1、2参照。)。このような傾斜土槽を利用した水質の浄化方法によれば、水中に酸素を供給するための曝気操作を必要とせずに好気性浄化が可能であるという特徴を有する。
【0003】
傾斜した広い土地が利用できる場合には、その地形を利用することによって大型の傾斜土槽を造成できる。このような傾斜した土地を利用するものでは、比較的安価に大規模な設備を設置することが可能である一方、設置は広い傾斜した土地であって、かつ広い面積を必要とすることから、設置場所が制限されるという課題がある。また、設置場所が屋外となるので、外気温の影響も受けやすいという課題もある。
【0004】
これに対し、薄層容器(槽)内に担体を充填させるもの(以下、容器型傾斜土槽ということがある。)では、底面の傾斜を人工的に設けることができるので、設置場所が制限されず、必要とする場所に設置することが可能であるという特徴を備えている。
【0005】
このような容器型傾斜土槽を用いる一例として、特許文献1では、水質浄化装置の処理能力を高めるために、薄層容器を多段に積み重ねることを提案している。このような薄層容器を多段に積み重ねた水質浄化装置によれば、例えば、1個の大きさが長さ1m、幅0.5m、高さ約0.2mの容器を3段積みとして、実家庭の台所排水の全量を二年半にわたって浄化した試験結果では、平均処理水量は90L/d、水質の平均除去率は、SS:78%、BOD:85%、COD:86%、T−N:80%、T−P:87%が達成された。これによる傾斜土槽の単位面積当たりの平均除去量は、SS:8.6g/(m2・d)、BOD:49.4g/(m2・d)、COD:27.3g/(m2・d)、T−N:1.82g/(m2・d)、T−P:0.369g/(m2・d)であったと報告されている(例えば、非特許文献1参照。)。これによって浄化装置のコンパクト化が達成でき、設置面積が制約される家庭においても水質浄化が可能となった。
【0006】
また、特許文献2では、傾斜土槽を利用した浄化方法であって、最上流側から浄化に伴って生成する有用資源及び担体を回収するとともに不足となった担体を最下流から供給する資源回収型浄化方法、及びそれに用いる資源回収型浄化装置が提案され、また、この浄化装置でも、水質浄化装置の処理能力を高めるために、薄層容器を多段に積み重ねることを提案されている。このような資源回収型浄化装置では、水質浄化に伴って生成する土壌や有用資源であるリンを回収するために、装置全体を移動させる方式とし、最上段に位置する土槽容器を装置から取り外して有用資源および担体を回収している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−319861号公報(図11、図12)
【特許文献2】特許平2004−154668号公報(図2、図5)
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】生地正人,末次綾「傾斜土槽法による台所排水の有機性汚濁と栄養塩類の同時浄化」,水環境学会28(5),pp.347-352 (2005)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
容器型傾斜土槽は、設置場所が制限されず、必要とする場所に設置することが可能であるという特徴を備えている。また、容器型傾斜土槽では、薄層容器を多段に積み重ねることにより水質浄化装置の処理能力を高めることができる。これにより、容器型傾斜土槽を積み重ねる方式を採用すれば、狭い場所での傾斜土槽の利用を可能にし、設置面積が制約される家庭においても水質浄化を可能にしている。
【0010】
しかしながら、このような容器型傾斜土槽を工業的に利用する際には、設置面積や設置場所の選定のみならず、容器型傾斜土槽が必要とする全体の体積が課題となる。すなわち、屋外での設置を前提としていた家庭における水質浄化に対して、工業的な利用においては、しばしば、傾斜土槽を建物屋内等に配設する必要が生じる。そして、このような傾斜土槽を建物屋内に設置する場合には、設置面積のみならず、天井位置も制限対象となり、したがって単位体積あたりの浄化能力を高めることが必要となる。
【0011】
しかしながら、容器型傾斜土槽では、単位時間当たりの処理量を増大させるために注水量(注水速度)を増大させて浄化を継続すると原水の流入部側において目詰まりが進行するという課題がある。この課題を解決するため、水の流れと逆方向になるように上流側(上向きに)傾斜土槽全体を移動させ、最上流に位置する原水流入部の傾斜土槽を交換することが提案されている(例えば、特許文献2参照。)。しかしながら、傾斜土槽全体を移動させる方式では、処理能力を増大させるために傾斜土槽の容量を増大させると傾斜土槽全体の重量が増加して傾斜土槽全体を移動させるのが困難となる。
【0012】
そこで、本発明の目的は、浄化処理能力を高めることができる水質浄化装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するため、本発明は、有機性汚濁成分及び窒素・リンの栄養塩類を少なくとも含む原水を傾斜土槽法により浄化する浄化方法に用いる水質浄化装置であって、
遮水性の底面と側面及び開放された上面を有して浄化作用を有する担体が充填された槽を、複数の槽内を流れる水流が同方向となるように鉛直方向に多段に積み重ねたことを特徴とする水質浄化装置である。
【0014】
本発明に従えば、水の流れが同方向(並行)になるように槽を鉛直方向多段に積み重ねる方式を採用しているので、原水の流入部と処理水の流出部が左右交互になるように槽が積み重ねられている従来の場合に比べて浄化に関与しない大きな空間部分が存在しないことにより、水質浄化装置の単位体積当りの浄化能力を高めることができる。これにより、屋内に設置するに適した水質浄化装置を提供することが可能となる。
【0015】
また、本発明の水質浄化装置は、上記の多段に積み重ねた槽は、槽内を流れる水の流れ方向で一定の長さに区切ったブロックとし、該ブロック間の接合部分は、水質浄化を行っている通水時は漏水のない構造で、養生・交換作業を行う一時的な非通水時には、ブロック単位で分離可能な構造とすることによりブロック単位の移動または交換が可能である。これにより、例えば台座上に積み重ねたものを一単位のブロックとし、複数のブロックを直列に組合せることで、大量の水処理が可能な水質浄化装置であって、分割可能な装置が提供される。ブロック単位で分割可能な装置であれば、装置全体を移動させることなく、ブロック単位での交換・養生が行えるので、処理能力を増大させても、維持が容易となる。
【0016】
また、原水の流入部に近いほど高頻度で養生・交換作業を行う必要性が生じることからこのように構成すれば、、原水の流入部に近いブロックのみを選択的に交換することがよういとなる。
【0017】
以上に記載の本発明に係る水質浄化装置では、多段に積み重ねられた複数の各槽(又は各傾斜土槽系列)へ原水を注水する必要が生じる。このように注水対象が多数となると、各注水口への原水の注水量をそれぞれ個別に安定的に供給することが困難となる問題がある。この対策として原水の注水部を移動式とする方式を発明した。すなわち、本発明の好ましい態様では、前記注水設備は各槽(又は各傾斜土槽系列)に向けて注水できるように移動可能に構成された注水口を備えていることである。注水口を移動方式とすることで、注水口の数を減じても、多数の槽への注水が可能となる。
【0018】
従来から提案されている各槽(又は各傾斜土槽系列)へ同時並行的に注水する注水設備としては、各槽(又は各傾斜土槽系列)への注水口途中に注水量調整用のバルブを介在させる設備が知られている。しかしながら、処理すべき原水には異物(例えば、固形物)が含まれているので、長期間に亘る運転では、バルブへの異物の介在により注水量が変動し、安定的な注水量の確保が困難となる場合があり、バルブを介しての注水量の調整には限界があった。
【0019】
これに対し、各槽(又は各傾斜土槽系列)に注水される注水量を所定の注水量とするために各槽(又は各傾斜土槽系列)での注水時間を制御する制御装置であれば、各槽(又は各傾斜土槽系列)への注水量は各槽(又は各傾斜土槽系列)へ注水する注水時間を制御すればよく、注水量調整用のバルブを介在させることが不必要になり、長期間の運転により発生する可能性があるバルブ介在に係る注水量の変動という課題点を生じることがない。また、例えば、各槽(又は各傾斜土槽系列)への注水時間を均等にすれば、各槽(又は各傾斜土槽系列)へ注水される注水量を均等に維持することができる。
【0020】
ここで、多段に積み重ねた槽が、水の流れる方向で一定の長さに区切ったブロックとし、ブロック単位の交換が可能である水質浄化装置においては、前記移動可能に構成された注水口より注水される注水速度を一定に保つとともに各槽への注水時間を等しく制御することが好ましい。
【0021】
典型的な本発明に係る水質浄化装置では、多段に構成される各槽は実質的に同等である。すなわち、各槽は同一形状であり、また、充填される担体量も同等であり、かつ、それぞれの槽の傾斜角度も同一に設計されている。それ故、多段に構成される各槽への注水量(注水速度)を等しくすることにより、多段に構成される各槽内(傾斜土槽系列)での水質浄化状況を同一に保つことができる。
【0022】
水質浄化状況を同等に保つことができれば、概略、各ブロック単位での目詰まりなどの諸要因による交換目安がほぼ同一時期となり、ブロック単位での交換できる構成を有効に発揮することができる。
【0023】
これにより、本発明に係る水質浄化装置は、処理能力に対して必要なブロックの数よりも余剰のブロックを予備ブロックとして備えて運用するのが好ましい。このような水質浄化運用システムによれば、浄化中に養生が必要なブロックが発生した場合には、養生が必要なブロックを前記水質浄化装置から取り外すとともに前記予備ブロックを前記ブロックが取り出された位置に組み込んで浄化操作を継続させることができる。その一方で、前記水質浄化装置から取り外したブロックは、養生操作により、再び前記水質浄化装置に搬入して浄化が行える予備ブロックとして再生することができる。
【0024】
なお、本発明に係る槽(土槽容器)を組立方式とすれば、輸送に際しては嵩張るという問題の解決が図られる。例えば、各槽の構造を、底面と側面の枠組みを組立方式とすることで、輸送に際しては嵩張ることなく、一層効率的な輸送が可能となる。底面と側面の遮水性は、耐水性の接着剤の使用や遮水性のシートで枠組みを覆うことで達成される。
【0025】
ここで、各ブロックを接合させて組み立てた場合において各ブロック間には水漏れがなく直列に水が流れる構造である必要がある。このような構造は、例えば、各ブロックの下流側末端部に貯留した浄化水を自然流下により下流側ブロックの上流側末端部に注水できる構造である。ここで組み立て後の各ブロック間に水漏れの無い構造とする必要があることはいうまでもない。
【0026】
これにより、組み立て状態において水質浄化を行い、水質浄化操作を一時的に中断した際に、ブロック単位の取り外しと移動が可能となる。また、各ブロックを構成する各槽は、必要に応じて解体され、また、必要に応じて組み立てられる。
【発明の効果】
【0027】
本発明に従えば、単位体積当りの浄化能力を高めることができる。また、多段に積み重ねた槽は、水の流れる方向で一定の長さに区切ったブロックとすることにより、単位体積当りの浄化能力を高めることができる浄化装置であって、処理量を増大させた場合にも装置のメンテナンスが容易な水質浄化装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係る水質浄化装置の一例を斜視図により説明する図である。
【図2】図1の水質浄化装置を側面より説明する図である。
【図3】図1に用いる土槽容器の一例の組立分解図である。
【図4】図1に用いる土槽容器の他の例について説明する図である。
【図5】水質浄化装置を構成する傾斜土槽ブロックの他の例を側面より説明する図である。
【図6】図5の傾斜土槽ブロックを利用した水質浄化装置を説明する図である。
【図7】図2の接続部付近の構造を流れ方向に伸びる鉛直面により切断した端面により説明する図である。
【図8】移動式の注水設備の構造の一例を説明する図であり、図8(a)は、移動式の注水装置を用いて原水を複数の流入部へ注水している状況を示す図であり、図8(b)は、A系列の1列目ブロック1Bを一例とする注水設備の詳細を説明する図である。
【図9】本発明に係る水質浄化装置の変形例を斜視図により説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0029】
以下、本発明に係る好ましい実施例を図面に基づき説明する。
【0030】
図1において、符号100は、本発明に係る水質浄化装置を示し、この水質浄化装置100は、有機性汚濁成分及び窒素・リンの栄養塩類を少なくとも含む原水を傾斜土槽法により浄化するための傾斜土槽Kと、その傾斜土槽Kの最上流となる位置に向けて処理すべき原水を注水する注水設備30から大略構成されている。
【0031】
この実施例に係る水質浄化装置100では、それぞれ構造、容量などを含めた処理能力が等しいA系列、B系列、C系列、D系列、E系列の5系列の傾斜土槽を備え、各A〜E系列の傾斜土槽は、それぞれ、構造、容量などを含めた処理能力が等しく、かつ、水流が同方向となるように鉛直方向に多段に積み重ねられた傾斜土槽系列を含んで構成されている。
【0032】
この傾斜土槽系列は、図2に示すように、それぞれ6段の傾斜土槽系列(A1系列〜A6系列)を備え、最下段である1段目の傾斜土槽系列をA1系列と呼称し、このA1系列の上に積み重ねられている2段目の傾斜土槽系列をA2系列と呼称する。また同様に、A2系列である2段目の傾斜土槽系列の上に積み重ねられる3段目の傾斜土槽系列をA3系列と呼称し、同様にして4段目、5段目、6段目(最上段)の傾斜土槽系列をそれぞれA4系列、A5系列、A6系列(最上段の系列)と呼称する。
【0033】
ここで、各系列(A系列〜E系列)の傾斜土槽Kは、図1に示すように、上流側から下流側に向けて、ブロック単位で移動と交換が可能な一定の長さに区切られている。この実施例では、1列目、2列目、3列目、4列目、5列目から構成される5列のブロック(1B〜5B)が直列に接続されて構成され、それぞれのブロック(1B〜5B)では、それぞれ鉛直方向に積み重ねられた6段の土槽容器10を有している。これらの各ブロック(1B〜5B)は、相互に交換可能な同一構造とされている。
【0034】
積み重ね前の各土槽容器(槽)10単体の好ましい構成は、例えば、図3に示されている。この図3において、土槽容器10は、底面(底壁)11を構成する波板(または平板)と、底面(底壁)11から両側に立設された側面(側壁)12と、前後に立設された上流側端壁13、下流側端壁14とから構成されている。これらの各部材(11〜14)が組み立てられた状態で、波板の波は、その波の伝播方向が処理水の流れ方向と一致している。これにより、この波板の上面の窪みには、流下する処理水を適度に滞留させることができる。
【0035】
組み立てに際して、底面11と側面12の接合部分は、耐水性の接着剤とコーキング剤を用いることや遮水性シートで覆うことで水漏れ防止が達成できる。このように各土槽容器を組み立て方式とすることにより、規格化された、同一体積の多数の土槽容器10を大量に供給することができる。
【0036】
このように構成された各土槽容器10内には、浄化作用を有する担体(例えば、土壌)15のほぼ同一量がそれぞれ充填される。担体の充填量は適宜であるが、各土槽容器10が鉛直方向に積み重ねられた状態(ブロックの状態)で、各土槽容器10に充填された担体(土壌)15の上面(上方)は空気が流通可能に構成されて好気条件が維持可能にされていることは重要である。
【0037】
本発明において底壁11は、図3に示すように、波板により構成されるのが好ましい。このような波板は、市販のものをそのまま用いることができる。一般的に市販されている波板は、JIS G 3316に「鋼板製波板の形状及び寸法」が規定され、波板1号(大波)では、ピッチが約76.2mmであり、波の深さは約18mmである。また、波板2号(小波)では、ピッチが約31.8mmであり、その波の深さは、約9mmである。これらに準じるサイズであれば、特注品であるサイズの異なる波板であっても、概ね本発明に係る好ましい波板に該当する。塩ビ系の波板、ガラスネット系の波板、ポリカーボネート系の波板、カラー鉄板系の波板などが入手容易な波板として例示される。
【0038】
土槽容器10の他の例は、図4に示されている。この図4において、符号111は、遮水壁を示し、この遮水壁111は底壁11を構成する平板より立設されて設けられている。また、底壁11の四辺よりそれぞれ側壁12,12及び上流側端壁13,下流側端壁14が立設されて、上方が開放された土槽容器10が構成されている。
【0039】
各ブロック(1B〜5B)の一例は、図2に示すように、土槽容器10を傾斜させて支持する台座20を備えている。この台座20は、土槽容器10の上下流側に沿って傾斜して支持する傾斜支持部21と傾斜支持部21を水平に移動可能に支持する台車22とを備えている。これにより、この実施例では、土槽容器10は、台座20の上に傾斜して支持されて傾斜土槽Kが形成される。
【0040】
この台車22の下面(例えば、四隅)には、重荷重用車輪付自在車などの車輪23を備えている。この車輪23は、例えば、地面に敷設されたレールに沿って走行される構成でもよい。ここで、図1に示す実施例では、レール(軌道)24は、傾斜方向と直交する水平方向である一方向に延びる凹溝型である。これにより、レール24の敷設方向に向けて、傾斜土槽Kは、水質浄化装置100の全体が、またはブロック単位でこの凹溝内を誘導されて水平移動され、この実施例では、傾斜土槽Kは、ブロック単位(例えば、A系列の1列目ブロック1B又はA系列の2列目ブロック2Bなど)で自然の流下する方向とは直交する方向で移動可能とされている。
【0041】
また、図5に示す実施例では、例えば、鉄製のフレーム25により概略方形で、上面が開放された槽状構造体26が形成されている。この槽状構造体26内の底部に敷材27が一方向に傾斜して敷き詰められている。この敷材27の上方に多数の土槽容器10…が順次積層されている。これにより、槽状構造体26の内部に多段の傾斜した土槽容器10…がパッケージ状に充填された傾斜土槽ブロックBが形成されている。このように形成された傾斜土槽ブロックBは、例えば、フォークリフトのパレット28に積載された状態で運搬可能である。
【0042】
また、このように構成された傾斜土槽ブロックBは、図6に示すように、1列目ブロック1B、2列目ブロック2B、3列目ブロック3B…のようにパレット28の積載段数を増減することにより、順次直列に配列されて傾斜土槽Kが形成され、これにより本発明に係る水質浄化装置が形成される。
【0043】
本発明において、各ブロックを接合させて組み立てた場合において、各ブロック間は水漏れがなく、かつ、水が流れる構造である必要がある。このような接続部の構造の一例は、例えば、図7に示されている。この図は、土槽容器10がブロック単位で流れ方向に接続される接続部付近の構造を流れ方向に伸びる鉛直面により切断した端面により説明する図である。符号1113は、土槽容器10の上流側端壁13から上流側に向けて延出して底面11に対応する領域の外部まで延在する延出部であり、また、符号1114は、土槽容器10の下流側端壁14から下流側に向けて延出して底面11に対応する領域の外部まで延在する延出部である。
【0044】
これにより、上流側である1列目ブロック1Bの土槽容器10の下流側端壁14より溢れ出した中間処理水は、下流側延出部1114から上流側延出部1113を流下し、下流側である2列目ブロック2Bの土槽容器10の上流側端壁13を通過して2列目ブロック2B(下流側)の土槽容器10に注水される。この間、1列目ブロック1Bと2列目ブロック2Bとの各ブロック間には水漏れがなく、これによりブロック間を直列に水が流れる構造が維持される。
【0045】
また、ブロックの交換、または移動に際しては、例えば、上流側に位置する1列目ブロック1Bを上流側に移動させた後に処理水が流れる方向と直交する方向(横側)に引き抜くことにより、上流側に位置する1列目ブロック1Bを取り外すことができる。
【0046】
また、処理水が流れる方向と直交する方向(横側)に引き抜くことにより、上流側に位置するブロック1Bを取り外す際に、上流側延出部1113の両側から立ち上がる側壁(不図示)が干渉することがあるが、これらの側壁を簡易に取り外せる構造とすれば、ブロックの交換、または移動に際しては、2列目ブロックの2Bの上流側延出部1113の手前側から立ち上がる側壁を取り外した後に、上流側に位置する1列目ブロック1Bを処理水が流れる方向と直交する方向(横側)に引き抜くことにより、1列目ブロック1Bを取り外すことができる。この場合も、ブロック間の接合部分が接合状態で漏水のない構造である必要があることはいうまでもない。
【0047】
つぎに、図8は、本発明の好ましい注水設備30の構造の一例を説明する図である。
【0048】
本発明に係る水質浄化装置のように複数の傾斜土槽Kを用いて同時に水質浄化を行う場合には、原水を複数の流入部へ注水する必要が生じる。特に、図1に係る水質浄化装置100では、A系列〜E系列の5系列のブロックを備え、かつ、各A系列〜E系列には、それぞれ6段の土槽容器10が積層され、これによりA1系列からE6系列まで、順次、5系列×6系列=30系列の傾斜土槽Kを有している。
【0049】
このように30系列という多数の傾斜土槽Kを有する場合、目詰まり等の諸要因による交換目安が同一ブロック内で同等であることが好ましい。目詰まり等の諸要因による交換目安が同一ブロック内で同等であれば、ブロック単位で交換することにより、一度の交換作業により、目詰まりの可能性のある部位の全てを交換することができる。
【0050】
そこで、本発明における放水側の注水設備30では、図8(a)に示すように、傾斜土槽K中を処理水が流下する方向と直交する水平方向に延びる一本のガイド筒31により水平方向に移動式の一個の注水口32を備えている。この注水口32は、注水口32より処理すべき原水の注水量が、毎分当り一定になるように構成されている。ここで、注水口32より処理すべき原水の注水量が、毎分当り一定になるように構成するには、例えば、バルブが配設されている場合には、バルブを全開状態にするなどすればよい。最も単純な構造は、バルブを設けずに、単なる配管のみで構成すればよい。これにより、処理すべき原水に固形物などの不純物が含まれていても、配管中での閉塞を極力抑えることができ、長期間に亘って毎分あたり一定の処理水を注水することができる。
【0051】
一方、注水設備30の受け部側では、一つのブロックに積層されている土槽容器10の数(6段)と等しい数(6個)の注水受け筒33が配設され、この実施例では、A系列、B系列、C系列、D系列、E系列の5系列において、それぞれ6段の土槽系列の数に相当する30個の注水受け筒33が配設されている。
【0052】
例えば、図8(b)に示すように、A系列の注水受け筒33(A6〜A1)の下方には、各段の土槽容器10への注水が可能なように、それぞれに誘導パイプ34(A6〜A1)が設けられている。各誘導パイプ34(A6〜A1)は、それぞれA6系列、A5系列、A4系列、A3系列、A2系列、A1系列の傾斜土槽系列の1列目ブロック1Bの土槽容器10へと注水受け筒33に受け入れた注水を誘導している。
【0053】
つぎに、以上のように構成された水質浄化装置100の作用について説明する。
【0054】
各ブロックに積み重ねられる土槽容器10の数は、系列毎にそれぞれ等しく構成されている。これにより、例えば、1列目ブロック1Bと2列目ブロック2Bとを直列に配列させてそれらの接続部を接合させた場合に、1列目のブロック1Bを構成する1段目(最下段)の土槽容器10から流出する処理水(中間処理水)は、2列目のブロック2Bを構成する1段目(最下段)の土槽容器10へと注水される。また、1列目のブロックを構成する2段目の土槽容器10から流出する処理水(中間処理水)は、2列目のブロックを構成する2段目の土槽容器10へと注水される。このようにして、1列目のブロックを構成する6段目(最上段)の土槽容器10から流出する処理水(中間処理水)は、2列目のブロックを構成する6段目(最上段)の土槽容器10へと注水される。
【0055】
以上により、1段目(最下段)の直列構造によりA1系列の傾斜土槽系列が形成され、2段目の直列構造によりA2系列の傾斜土槽系列が形成され、順次、6段目(最上段)の直列構造によりA6系列の傾斜土槽系列が形成される。これにより、A系列には、A1系列〜A6系列の6系列の傾斜土槽系列が形成される。
【0056】
また、B系列、C系列、D系列、E系列の他の4系列でもそれぞれ同様なB1系列〜B6系列、C1系列〜C6系列、D1系列〜D6系列、E1系列〜E6系列の傾斜土槽系列が形成されているが、以下の説明では、A系列のみ説明する。
【0057】
このように構成された水質浄化装置100では、注水設備30によりA1系列〜A6系列の各傾斜土槽系列に対して有機性汚濁成分及び窒素・リンの栄養塩類を少なくとも含む原水を注水すると、遮水性の底面と側面及び開放された上面を有して浄化作用を有する担体が充填された槽内を処理水が流下することによる、いわゆる傾斜土槽法により浄化が行える。
【0058】
ここで、本発明に係る水質浄化装置では、複数の槽内を流れる水流が同方向(並行)となるように鉛直方向に多段に積み重ねられている。これにより、槽内を流れる水流が逆方向になるように槽が積み重ねられている従来の場合に比べて浄化に関与しない大きな空間部分が存在しないことにより、水質浄化装置の単位体積当りの浄化能力を高めることができる。これにより、屋内に設置するに適した水質浄化装置を提供することが可能となる。
【0059】
水質浄化法として広く普及している活性汚泥法では水質浄化に伴って発生する余剰汚泥の処理が必要である。これに対し、本発明に係る傾斜土槽法では、活性汚泥法に比べてミミズ等の大型土壌動物が浄化に寄与するために余剰汚泥相当の発生量は少ない。しかし長期間の浄化を継続すると補足物質の堆積や生物量の増加により目詰まりが進行する。目詰まりが進行した槽は、浄化能力が低下する。
【0060】
ここで、このような槽において、目詰まりが進行した槽であっても、一定期間放置するなどの養生操作を行えば、目詰まりの原因となっている内部の有機物が分解されるので、目詰まりが解消されるという、自然回復力を備えている。そして、この目詰まりの発生頻度は、原水流入部に近いほど高頻度であることが本発明者等の長い運転観察により確認されている。
【0061】
さらに上述の実施の形態によれば、A1系列〜A6系列により説明される複数の傾斜土槽系列では、全ての系列が概略同条件で浄化できる構成が採用されている。それ故、多段に積み重ねられた同じブロックに該当する土槽容器10内の目詰まりの状況は、A1系列〜A6系列のどの系列でも概略、同等になる。
【0062】
そこで、本発明に係る好ましい態様では、必要なブロックの数よりも余剰のブロックを備えた水質浄化装置システムを提案する。このような水質浄化システムによれば、目詰まりが発生した部位を含むブロックを、ブロック単位で浄化系外に一端水質浄化系列から搬出し、余剰のブロックを浄化系列に搬入して浄化を行う。これによりブロック交換後の水質浄化装置では、目詰まりが発生せずに通常の浄化を行える。一方、水質浄化系外に搬出したブロックは、一定期間屋外に放置するなどの養生操作を行うことにより再び水質浄化を行える余剰のブロックとすることができる。
【0063】
例えば、本発明に係る水質浄化装置100において、1列目ブロック1Bに目詰まりが発生した場合には、1列目ブロックを水質浄化装置100から取り外す。ついで、余剰のブロックを1列目ブロック1Bとして空いた箇所へ組み込み水質浄化装置100を稼動させる。取り外したブロックは、養生操作の後、余剰のブロックとして再利用される。
【0064】
すなわち、本発明においては、上記の多段に積み重ねた槽は、水の流れる方向で一定の長さに区切ったブロックとし、ブロック単位の移動または交換が可能である構成を提案している。槽をブロック単位の移動または交換が可能である構成を採用すれば、目詰まりの発生頻度に応じて、目詰まりが発生した部位の該当ブロックのみを交換すれば、効率的、かつ、経済的な運転が行える。
【0065】
なお、本発明においては、槽は、ブロック単位で交換されるので、重量が増加する場合があるが、図1に示すように、レール24を水質浄化装置100に組み込むことにより、傾斜土槽Kの一部をブロック形態で移動させることが容易となる。
【0066】
ここで、狭い室内に水質浄化装置100を配設する場合、前記ブロック単位の移動と交換は、水の流れ方向と交差する方向であることが好ましい。これにより、例えば台座上に積み重ねたものを一単位のブロックとし、複数のブロックを直列に組合せることで、大量の水処理が可能な大型の水質浄化装置であっても、分割したブロック単位での交換が行える。
【0067】
このような本発明に係る水質浄化装置では、多段に積み重ねられた複数の各槽10(又は各系列)のそれぞれへ均等に原水を注水する必要が生じる。そして、複数の各槽10(又は各系列)のそれぞれへ均等に原水を注水する設備として、各系列への注水口へバルブ等を設けてその注水量を調整することが最も簡易に考えられる。
【0068】
しかしながら、本発明者等の運転実績によれば、各系列への注水口へバルブ等を設けてその注水量を調整する手法では経時的に注水量を安定に維持することが困難な場合があることが見出されている。これは、処理すべき原水に含まれる異物(例えば、固形物)が大きく影響している。これにより、本発明のように注水対象が多数となると、各注水口への原水の注水量をそれぞれ安定的に供給することが困難となる問題がある。
【0069】
この対策として原水の注水部を移動式とする方法を発明した。すなわち、本発明の好ましい態様では、注水設備30は各槽10(又は各系列)に向けて注水できるように移動可能に構成された一個の注水口32と、その注吸口32の移動に応じて配設された傾斜土槽系列の数に応じた数の注水受け筒33とを備えている。
【0070】
このような構成の注水設備においては、注水口32には、バルブが不必要であり、バルブ操作に基づく注水速度の変動が殆ど無く、長期間に亘って運転しても、注水量(注水速度)が経時的に安定し、常に一定速度で注水できる。
【0071】
ここで、注水口32より一定速度で注水できれば、例えば、各注水受け筒33への注水時間を一定にすれば、複数の注水受け筒33には、それぞれ等しい量の注水を行うことができる。
【0072】
また、本発明に係る別の好ましい実施の形態では、これらの各注水受け筒33(A1〜E1)の水平方向の幅Wは、図8(b)に示すように、それぞれ互いに等しく設計されるとともに、注水口32の駆動は、ガイド筒31により誘導されて一定速度で、矢印方向に往復移動可能に構成されている。
【0073】
このように、注水口32を一定速度で移動し、かつ、注水受け筒33の幅Wを等しく設計すれば、各注水受け筒33上に滞留する注水口32の滞留時間が等しくなるので、各注水受け筒33には、それぞれ等しい量の注水を行うことができる。
【0074】
各注水受け筒33に注水された処理水は、各誘導パイプ34…中を流下し、それぞれの系列の土槽容器10に注水される。これにより、本発明によれば、多数系列の傾斜土槽系列(A1系列〜A6系列)への等しい注水が安定的に可能となる。
【0075】
底面に波板が採用される場合には、処理水は、波板の凹凸が遮水壁としての作用を兼ねることができ、また、槽内を流下する処理水の「水道」の発生による編流を防止することできる。また、波板は、平板に比べて強度も強く、土槽容器の軽量化にも寄与できる。
【0076】
上述の本発明に係る水質浄化装置では、多段に構成される各傾斜土槽系列は実質的に同等であり、また、多段に構成される各傾斜土槽系列(A1系列〜A6系列)への注水量(注水速度)が等しいので、各傾斜土槽系列(A1系列〜A6系列)での水質浄化状況は実質的に等しい。これにより、概略、各ブロック単位での目詰まりなどの諸要因による交換目安がほぼ同一時期となり、ブロック単位での交換できる構成を有効に発揮することができる。
【0077】
これにより、組み立て状態において水質浄化を行い、水質浄化操作を一時的に中断した際に、ブロック単位の取り外しと移動が可能となる。また、各ブロックを構成する各槽は、必要に応じて解体され、また、必要に応じて組み立てられる。
【0078】
なお、本発明に係る水質浄化装置100では、原水の位置エネルギーが低い場合には、原水を揚水するためのエネルギーが必要であるが、水質浄化の主体である好気性浄化は、槽内を自然流下することで達成される。これによって曝気装置と曝気に要する動力は不要となる。
(変形例)
【0079】
つぎに、図9は、本発明に係る水質浄化装置100の変形例に係る模式図である。この図においては、処理水の流れ方向がブロック単位で変更されている。
【0080】
この図9において、各ブロック(図面では、1列目ブロック1B及び2列目ブロック2Bのみが示されている。)は、それぞれ5個の土槽容器10が不図示の支持体により支持されて鉛直方向に距離dだけ離間されて重層されて構成されている。各土槽容器10の内部には担体15が充填され、また、各土槽容器10の最下流側端の底面11には、処理水排出口(不図示)が設けられている。この処理水排出口より排出された水は、排水受け16にて受けられ、その排水受け16の先端16aは、側方へと突出している。
【0081】
このような各ブロック(1B.2B)を傾斜方向が交互となるように互いに隣接させて配設させる。これにより、例えば、原水を1列目ブロック1Bの各土槽容器10の上流側へと注水すると原水は各土槽容器10内を下流側に向けて流下する。最上段に位置する土槽容器10の排水受け16の先端16aから流出する処理水は、下流側に位置するブロック2Bの最上段に位置する土槽容器10の上流側へと注水される。また、n段目に位置する土槽容器10の排水受け16の先端16aから流出する処理水は、下流側に位置するブロック2Bのn段目に位置する土槽容器10の上流側へと注水される。
【0082】
これにより、上述した図1−8により説明された水質浄化装置と大略同一乃至は均等な作用効果を奏することができる。
〔実験例〕
この実験例は、平板である底面に遮水壁を立設させた従来型の土槽容器(標準)に対比して、底面を波板とした薄層タイプの土槽容器を用いた本発明に係る改良型の土槽容器を用いた場合の傾斜土槽の有効性を実証するための実験である。
【0083】
ここで、従来型(標準)では、1段の厚さが17cmで、底面は長さ100cmの平板で、高さ2cmの遮水板を長さ方向に20cmの等間隔に3列設けた土槽容器を用いている。
【0084】
これに対し、本発明の改良型では、1段の厚さは基本的には9cm(1段目と2段目とは17cm、3段目〜17段目は9cm)で、底面は長さ100cmの波板を用いることで、遮水板は設けていない土槽容器を用いている。波板は、ピッチが約32mmであり、その波の深さが約9mmである、いわゆる小波が用いられた。
【0085】
全体の体積を同一とするために、標準では、9段積みとする一方、改良型では17段積みとした。これにより、両者の幅と長さ及び多段積みでの高さは同じである。本発明に係る改良型は、同一体積でも薄く構成できるので、以下「薄層」と呼称する。
【0086】
それぞれに最上段に0.18m3/日の原水を導水し、最下段から得られる処理水の水質を測定した。この実験結果を表1に示す。
【0087】
標準に比べて薄層は、浄化効果の立ち上りが早く、良好な処理水質が得られることが判った。従って、底面を波板とした傾斜土槽(薄層)は有効と考えられる。
【0088】
【表1】

【符号の説明】
【0089】
100:水質浄化装置
K:傾斜土槽
B:ブロック(傾斜土槽ブロック)
1B:1列目ブロック
2B:2列目ブロック
3B:3列目ブロック
4B:4列目ブロック
5B:5列目ブロック
10:土槽容器(槽)
11:底面(底壁)
111:遮水壁
1113:上流側延出部(延出部)
1114:下流側延出部(延出部)
12:側面(側壁:右側面または左側面)
13:上流側端壁
14:下流側端壁
15:担体
16:排水受け
20:台座
21:傾斜支持部
22:台車、
23:車輪
24:レール
25:フレーム
26:槽状構造体
27:敷材
28:パレット
30:注水設備
31:ガイド筒
32:注水口
33:注水受け筒
34:誘導パイプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機性汚濁成分及び窒素・リンの栄養塩類を少なくとも含む原水を傾斜土槽法により浄化する浄化方法に用いる水質浄化装置であって、
遮水性の底面と側面及び開放された上面を有して浄化作用を有する担体が充填された槽を、複数の槽内を流れる水流が同方向となるように鉛直方向に多段に積み重ねたことを特徴とする水質浄化装置。
【請求項2】
前記多段に積み重ねた槽は、槽内を流れる水の流れる方向で一定の長さに区切ったブロックとし、該ブロック間の接合部分は、水質浄化を行っている通水時は漏水のない構造で、養生・交換作業を行う一時的な非通水時には、ブロック単位で分離可能な構造とすることによりブロック単位の移動と交換が可能なことを特徴とする請求項1に記載の水質浄化装置。
【請求項3】
処理すべき所定量の原水を前記各槽に対してそれぞれ注水できる注水設備を備え、
該注水設備は、各槽に向けて注水できるように移動可能に構成された注水口と各槽に注水される注水量を所定の注水量とするために各槽への注水時間を制御する注水時間制御装置とを備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の水質浄化装置。
【請求項4】
前記槽の底面は凹凸のある板や波板が用いられることを特徴とする請求項1記載の水質浄化装置。
【請求項5】
請求項2に記載の水質浄化装置の運用システムであって、
処理能力に対して必要なブロックの数よりも余剰のブロックを予備ブロックとして備え、
浄化中に養生が必要なブロックが発生した場合には、養生が必要なブロックを前記水質浄化装置から取り外すとともに前記予備ブロックを前記ブロックが取り出された位置に組み込んで浄化操作を行い、
前記水質浄化装置から取り外したブロックは、再び前記水質浄化装置に搬入して浄化が行えるように養生操作を行うことにより前記予備ブロックとして再生することを特徴とする水質浄化装置の運用システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2012−192391(P2012−192391A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−60415(P2011−60415)
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【出願人】(592250698)株式会社四電技術コンサルタント (15)
【Fターム(参考)】