説明

永久固定ボルト・ナット

【課題】 従来の、ナットのボルトへの永久的な固定はナットの締め付け方向に回転させる事が出来るが緩める方向には工具が掛からないようにするか、ボルトとナットの間にライナーを打ち込む方法がある。しかし、その用途はナットの緩み防止が主たる目的である。しかし前記は特殊工具を使用すれば締め戻す事は可能であり、後者は一般現実に応用した場合実用的とは言い難い。
【解決手段】 ボルトの任意の場所にボルト軸に交差する方向に穴を開け、この穴にピンとバネを配し挿入したものを組み合わせたボルトにナットの内側に前述のピンが収まる溝、または凹部を付けたナットをねじ込む事によって、ピンがナットの内側の溝、または凹部の位置でバネにより広がる事でナットが固定され取り外す事が出来ない構造となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボルトにネジ込んだナットが取り外すことが出来ないようにした構造に係わる。
【背景技術】
【0002】
従来の、ナットのボルトへの永久的な固定はナットの締め付け方向に回転させる事が出来るが緩める方向には工具が掛からないような構造か、ボルトとナットの間にライナーを打ち込み固定する方法である。しかし、その目的はあくまでもナットの緩み防止が主たる目的である。
【特許文献1】特開 昭63−26409号公報
【特許文献2】特開 平09−68211号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、以上の技術はあくまでもナットの緩み防止を目的とするものであり、本発明が解決しようとする課題は機械装置や特殊回路を組み込んだ部品を公開したくない時、または特殊な設定をした場合その設定を部外者が勝手に変更できないようにする為の対策として提供するものである。従来はボックスなどで対象部分を収納しボルト・ナットで固定し、ボルト先端に穴を開けこれに針金などを通し鉛などで封印し解除出来ないようにしている。だが往々にして封印が巧みに解除されその痕跡すら残らない場合がある。
【0004】
さらに一般社会の中では、例えば自動車のナンバープレートのように一度固定したものは自動車車検場以外では取付取り外しをしてはいけないものであるが、ナンバープレートの盗難が頻発し犯罪に悪用され社会問題化している。
【0005】
そこで、本発明はボルトにねじ込んだナットの取り外しを不可能とした構造のボルト・ナットを提供する事を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は以上の課題を解決するために、第一発明はボルト軸に交差する方向に穴を開けバネを配したピンを挿入出来るようにしたボルトとピンを組合せたもの。
【0007】
第二発明はナットの内側のネジ部に前記のボルトに取り付けたピンが収まるようにネジに平行な溝、もしくはピンが収まるような凹部を持ったナットを提供するものである。第一発明のボルトにこのナットをねじ込み、このときボルトに取り付けたピンをボルト外径と同じに成るまでピンを押し込みながらナットをねじ込む。さらにナットをねじ込み、ピンの位置とナットの溝または凹部の位置が同じになるとピンに配したバネの力によりピンがナットの溝または凹部に食い込む。この事によりナットはピンの位置で固定される。
【0008】
前述のナットを取りはずにはボルトを切断するしか方法がない事となる。そこで第三の発明は何らかの事情によりボルトとナットの組合せを解除する場合、もしくは故意にボルトからナット緩めて組合せを解除しようとして、人力以上のトルクでボルトとナットを回した場合にボルトが剪断するようにボルト外周の任意の部分に剪断用のスリットを付けたボルトとする。
【発明の効果】
【0009】
以上説明したように、この発明によれば一度組み合わせたボルトとナットは取り外す事は出来ない。外見上は普通のボルト・ナットの組合せにしか見えないので、もしボルトを切断したならばボルト頭部に識別刻印などが施すことによりボルトが切断された場合、一般のボルト・ナットを持ってして復旧してもボルト頭部に識別刻印などが無ければ封印が解除された事となり簡単に封印が解除された事が判断できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
この発明の一実施形態を、図1に示す。
図1のFIG.Aは実地形態の代表的な例としての断面を示すものである。頭2を有するネジの切られたボルト1の任意の部分にボルト1に交わる方向に孔21を設けこの孔21に収まる大きさのピン10とその内側にバネ11を配したもの挿入し、ピン10をボルト1に押し込みながらナット3をボルト1にねじ込む。
【0011】
図1のFIG.Bは前述のナット3がボルト1にねじ込まれピン10の位置までねじ込まれた形態を表す。このときナット3にはナット内側にピン10が収まる幅の溝もしくは凹部22を設けてあるのでナット3がねじ込まれてピン10の位置とナット3の内側の溝もしくは凹部22と一致する場所でピン10はバネ11の力によりナット3の溝もしくは凹部22に食い込む事になる。この前述の食い込んだ事によりナット3はこの位置に固定され永久に取り外す事は出来なくなる。
【0012】
図1のFIG.Cは永久に固定されたボルト1とナット3は前述したように解除する事は出来ない、しかし場合によっては解除しなければならない事もあり得る。その為にはボルト1を切断する事によってボルト1とナット3の組合せを解除する事が可能となる。その為にボルト1の一部にスリット23を切り込む事によって剪断が可能となるようにする。
【0013】
その場合でもボルト1が剪断され固定されていたものが取り外されたり他のボルトと交換されたとしてもその事実が簡単に判明するようにボルト1の頭部2の表面に刻印31などをしたボルト1を使用する事によってこの刻印31の無いボルトを使用すれば一般のボルトを持って復旧した事が容易に判断できる。
【0014】
図1のFIG.Dはボルト1が十分に外径が大きくピン10とバネ11を収納する孔21がボルト1を貫通するほどでない場合の実施形態を示す。また同じように図1のFIG.Eはピン10とバネ11を収納する孔21を確保できない場合ボルト1を貫通するような孔21となる場合の実施形態を示す。この場合バネ11を挟んでピン10を両側に取り付ける。また、ピンとバネを組み合わせるにはボルト1の径が十分でない場合はピンとバネを一体化したものを使用する。
【実施例】
【0015】
この実施形態によれば、ボルト1にナット3をねじ込み、ボルト1に埋め込んだピン10がナット3の内側の溝、または凹部22の位置でバネ11により広がる事で、ナット3はこの位置より緩めて取り外す事が出来ない。
【0016】
取り外すにはボルト1を剪断出来るようにボルト1に剪断用のスリット23を施し、それぞれの用途に適した設定の剪断応力のスリット23とする。
【0017】
永久的に取り外す必要が無い場合、スリット23は不要である。
【0018】
もし、特別な工具を持って切断した場合、ボルト1の頭部2に刻印31などを施す事によって一般のボルト・ナットにて代用した事が直ちに判別できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】この発明の一実施形態を示す一連の図である。 FIG.Aは本発明を構成する部品の代表例を示すものである。 FIG.Bはピン10とバネ11をボルト1に挿入しナット3をねじ込んでピン10とナット3の内側の溝また凹部が一致した断面を示す。 FIG.Cはボルト1とナット3緩めようと過大なトルクを掛けた場合、ボルト1の破断用スリット23の部分で破断した状態を示す。 FIG.Dはボルト1の径が十分に大きくピン10とバネ11を収納する孔がボルト1を貫通しない場合の横断面の状態を示す。 FIG.Eはボルト1の径が十分でなくピン10とバネ11を収納する孔がボルト1を貫通した場合の横断面の状態を示す。
【符号の説明】
【0020】
1.ボルト
2.ボルト頭部
3.ナット
10.ピン
11.バネ
21.ボルトのピンとバネの収納用孔
22.ナット内側のピンの収納用溝または凹部
31.ボルト頭部の刻印

FIG.A ボルト1とナット3組合せ前断面
FIG.B ボルト1とナット3組合せ断面
FIG.C ボルト1スリット23部での破断断面
FIG.D ボルト1の径が十分大きい場合の切断面
FIG.E ボルト1の径が十分でない場合の切断面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボルトの任意の場所にボルト軸に交差する方向に穴を開け、この穴にピンとバネを組み合わせ挿入出来るようにしたボルトとピン及びバネ。
【請求項2】
ボルトとナットの締め付けトルクが設定以上のトルクが掛けられた場合、ボルトが剪断するような構造としたことを特徴とする請求項1記載のボルト。
【請求項3】
ナットの内ネジ部の部分に請求項1のピンが収まるような構造の溝、または凹部を付けたナット。

【図1】
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【公開番号】特開2006−144894(P2006−144894A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−335224(P2004−335224)
【出願日】平成16年11月19日(2004.11.19)
【出願人】(300080504)共同エンジニアリング株式会社 (1)