説明

汚泥かき寄せ装置

【課題】受け入れた水に含まれている汚泥が池底部に沈殿する沈殿池に設けられ、その池底部に沈殿した汚泥をフライト板によってかき寄せる汚泥かき寄せ装置に関し、無端チェーンの、回転輪からの脱輪を、汚泥のかき寄せ能力を犠牲にすることなく防止する。
【解決手段】無端チェーン31は、複数の連結ピン313と、貫通孔が設けられた複数のリンク部材310とを有し、リンク部材310どうしの貫通孔に連結ピン313を挿通してリンク部材310どうしを連結してなるものであって、複数の連結ピン313のうちの、無端チェーン31に取り付けられたフライト板32の数より多い数の所定の連結ピンは、ガイド部材342,352,362,372が配置された位置では、一方側の端部がガイド部材342とは連結ピン313の径方向に間隔をあけ、上から見たときにガイド部材342に重なる位置までリンク部材310から突出したものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受け入れた水に含まれている汚泥が池底部に沈殿する沈殿池に設けられ、その池底部に沈殿した汚泥をフライト板によってかき寄せる汚泥かき寄せ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記汚泥かき寄せ装置として、駆動輪や従動輪に一部が巻き掛けられた無端チェーンにフライト板を取り付け、駆動輪を回転させることでフライト板を循環移動させてフライト板によって汚泥をかき寄せるものが知られている。
【0003】
ところで、地震等が発生すると沈殿池内の水が大きく揺れる。無端チェーンにフライト板を取り付けた汚泥かき寄せ装置が設置された沈殿池では、池内の水の大きな揺れに伴って無端チェーンが駆動輪や従動輪といった回転輪から脱輪してしまうことがある。
【0004】
従来より、回転輪の径方向にガイド部材を配置し、無端チェーンの、回転輪に巻き掛けられた巻掛部分に、間隔をあけてガイド部材を上記径方向から対向させておき、地震等による揺れによって無端チェーンの巻掛部分が回転輪から径方向に外れそうになると、無端チェーンの巻掛部分がガイド部材に当接するようにして、脱輪を防止する提案がなされている(例えば、特許文献1又は2等参照。)。上述のごとく、無端チェーンにはフライト板が取り付けられている。無端チェーンに取り付けられたフライト板は、無端チェーンから回転輪の径方向に突出している。このため、フライト板が回転輪を通過する際に、フライト板と、回転輪の径方向に配置されたガイド部材とが干渉してしまう。そのため、上記特許文献に記載されたフライト板には、ガイド部材との干渉を避けるため、突出先端縁から無端チェーンに向けて切り欠きが設けられている。この切り欠きは、ガイド部材と干渉する位置に設けられたものであり、フライト板が回転輪を通過する際には、ガイド部材は切り欠き内に収まって、フライト板とガイド部材が干渉することはない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−326483号公報
【特許文献2】特開2011−5400号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、フライト板の、切り欠きが設けられた位置では、フライト板が汚泥をかき寄せる際に汚泥が抜けていってしまい、上記特許文献に記載された汚泥かき寄せ装置では、肝心の汚泥をかき寄せることに切り欠きが支障をきたしている。
【0007】
また、上記特許文献に記載された汚泥かき寄せ装置では、地震等による揺れによって無端チェーンの巻掛部分が回転輪から径方向に外れそうになることの対策としては有効であるが、巻掛部分が回転輪から、その回転輪の回転中心軸の軸方向に外れそうになることの対策としては不十分である。
【0008】
本発明は上記事情に鑑み、無端チェーンの、回転輪からの脱輪を、汚泥のかき寄せ能力を犠牲にすることなく防止することができる汚泥かき寄せ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を解決する本発明の第1の汚泥かき寄せ装置は、受け入れた水に含まれている汚泥が池底部に沈殿する沈殿池に設けられ、該池底部に沈殿した汚泥をフライト板によってかき寄せる汚泥かき寄せ装置において、
前記池底部に沿った軌道と該軌道よりも上方側の軌道とがつながった周回軌道を形成し、前記フライト板が間隔をあけて複数取り付けられた無端チェーンと、
前記無端チェーンよりも内側の複数箇所に中心軸が配置され、それぞれに前記無端チェーンの一部が巻き掛けられて該中心軸を回転中心にして回転する複数の回転輪と、
前記中心軸が延在する軸方向における該回転輪の少なくとも一方側の位置に配置されたガイド部材とを備え、
前記無端チェーンは、複数の連結ピンと、貫通孔が設けられた複数のリンク部材とを有し、該リンク部材どうしの貫通孔に該連結ピンを挿通して該リンク部材どうしを連結してなるものであって、
前記複数の連結ピンのうちの、前記無端チェーンに取り付けられた前記フライト板の数より多い数の所定の連結ピンは、前記ガイド部材が配置された位置では、前記一方側の端部が前記ガイド部材とは該連結ピンの径方向に間隔をあけ、上から見たときに該ガイド部材に重なる位置まで前記リンク部材から突出したものであることを特徴とする。
【0010】
本発明の第1の汚泥かき寄せ装置によれば、地震等による揺れによって無端チェーンの巻掛部分が回転輪から径方向に外れそうになると、上記所定の連結ピンの突出した端部の周面がガイド部材に当接し、脱輪が防止される。すなわち、上記所定の連結ピンは、地震等による揺れによって突出部分が上記ガイド部材に当接するように上記リンク部材から突出したものである。しかも、上記ガイド部材は、上記軸方向における上記回転輪の少なくとも一方側の位置に配置されており、上記回転輪の径方向から外れた位置に配置されていることになる。したがって、フライト板に切り欠きが不要になって、汚泥のかき寄せ能力が低下することもない。
【0011】
また、本発明の第1の汚泥かき寄せ装置では、上記所定の連結ピンの数は、上記フライト板の数より多ければよく、上記無端チェーンを構成する上記リンク部材どうしを連結する総ての連結ピンを上記所定の連結ピンにする必要はないが、上記所定の連結ピンの数が増えれば増えるほど、連結ピンの突出した一端が地震等による揺れによってガイド部材に当接する確率が高くなる。
【0012】
また、上記ガイド部材は、上記軸方向における上記回転輪の両側それぞれの位置に配置されたものであって、上記所定の連結ピンの両端それぞれが上から見たときにそのガイド部材に重なる位置まで上記リンク部材から突出したものである態様が好ましい。上記中心軸と上記連結ピンは平行あるいは略平行の関係にある。この態様によれば、上記所定の連結ピンの両端それぞれが地震等による揺れによってガイド部材に当接し、連結ピンが傾くことなく、連結ピンが回転輪の中心軸と平行関係を保つことができ、無端チェーンの、回転輪からの脱輪が確実に防止される。
【0013】
また、上記連結ピンは、上記リンク部材から突出した突出先端部分が、上記貫通孔の直径以下の太さであるものであってもよい。
【0014】
また、上記連結ピンは、上記貫通孔の直径より長い位置規制部材を有し、その位置規制部材によって、該連結ピンが延在する延在方向の位置を規制され、その位置規制部材から上記リンク部材とは反対方向に5mm以上30mm以下の長さで突出したものであってもよい。すなわち、上記連結ピンは、上記位置規制部材から突出先端までの長さが5mm以上30mm以下であってもよい。また、上記連結ピンの、上記位置規制部材から突出した部分が、上記貫通孔の直径以下の太さであるものであってもよい。
【0015】
上記目的を解決する本発明の第2の汚泥かき寄せ装置は、受け入れた水に含まれている汚泥が池底部に沈殿する沈殿池に設けられ、該池底部に沈殿した汚泥をフライト板によってかき寄せる汚泥かき寄せ装置において、
前記池底部に沿った軌道と該軌道よりも上方側の軌道とがつながった周回軌道を形成し、前記フライト板が間隔をあけて複数取り付けられた無端チェーンと、
前記無端チェーンよりも内側の複数箇所に中心軸が配置され、それぞれに前記無端チェーンの一部が巻き掛けられて該中心軸を回転中心にして回転する複数の回転輪と、
前記中心軸が延在する軸方向における該回転輪の少なくとも一方側の位置に配置されたガイド部材とを備え、
前記無端チェーンは、複数の連結ピンと、貫通孔が設けられた複数のリンク部材とを有し、該リンク部材どうしの貫通孔に該連結ピンを挿通して該リンク部材どうしを連結してなるものであって、
前記ガイド部材は、前記無端チェーンとは前記連結ピンが延在する延在方向に間隔をあけて配置されたものであることを特徴とする。
【0016】
本発明の第2の汚泥かき寄せ装置によれば、地震等による揺れによって無端チェーンの巻掛部分が回転輪から、上記中心軸の軸方向に外れそうになると、上記連結ピンの端面あるいは上記リンク部材がガイド部材に当接し、脱輪が防止される。すなわち、上記ガイド部材は、上記連結ピンの端面あるいは上記リンク部材が、地震等による揺れによって上記延在方向から当接するように配置されたものである。しかも、上記ガイド部材は、上記軸方向における上記回転輪の少なくとも一方側の位置に配置されており、上記回転輪の径方向から外れた位置に配置されていることになる。したがって、フライト板に切り欠きが不要となって、汚泥のかき寄せ能力が低下することもない。
【0017】
なお、上記ガイド部材は、上記軸方向における上記回転輪の両側それぞれに、上記無端チェーンとは上記延在方向に間隔をあけて配置されたものである態様が好ましい。この態様によれば、上記軸方向の揺れにより確実に対応することができ、無端チェーンの、回転輪からの脱輪が確実に防止される。
【0018】
また、本発明の第1の汚泥かき寄せ装置および第2の汚泥かき寄せ装置のいずれの汚泥かき寄せ装置においても、上記フライト板は、沈殿池の幅方向に延在するものであって、幅方向両端部それぞれが、上記無端チェーンに取り付けられたものであってもよい。
【0019】
また、本発明の第2の汚泥かき寄せ装置において、前記連結ピンは、少なくとも前記一方側が、前記リンク部材から前記延在方向に所定長突出したものであり、
前記ガイド部材は、前記無端チェーンとは前記延在方向に前記所定長以下の間隔をあけて前記一方側に配置されたものであってもよい。
【0020】
こうすることで、上記連結ピンの端面あるいは上記リンク部材が、上記ガイド部材に、地震等による揺れによって上記軸方向からより確実に当接するようになる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の汚泥かき寄せ装置によれば、無端チェーンの、回転輪からの脱輪を、汚泥のかき寄せ能力を犠牲にすることなく防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態である汚泥かき寄せ装置が設置された沈殿池の一例を示す平面図である。
【図2】図1のA−A断面を模式的に示した図である。
【図3】無端チェーンにおける、図2に示す中間軸を回転中心にして回転するスプロケットに巻き掛けられた部分を上方から見たときの様子を模式的に示す図である。
【図4】図2に示す駆動軸を回転中心にして回転するスプロケットを拡大して示した図である。
【図5】図4に示すA−A’切断線でスプロケットを切断したときの様子を沈殿池の下流側から見た図である。
【図6】(a)は、ステーが設けられたリンク部材がスプロケットに噛合している様子を示す図であり、(b)は、本実施形態の変形例を示す図である。
【図7】(a)は、樹脂チェーンを上方から見た図であり、(b)は、(a)に示す樹脂チェーンを側方から見た図である。
【図8】(a)は、駆動軸とともに回転するピン付きスプロケットを示す図であり、(b)は、中間軸、テール軸、および従動軸に対して回転するシーブ車を示す図である。
【図9】ノッチチェーンの一部が図8(a)に示すピン付きスプロケットに巻き掛けられた様子を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0024】
図1は、本発明の一実施形態である汚泥かき寄せ装置10が設置された沈殿池1の一例を示す平面図である。また、図2は、図1のA−A断面を模式的に示した図である。なお、図1では、図2に示す汚泥かき寄せ装置30を省略している。
【0025】
図1に示す沈殿池は、所定方向(図1では左から右方向)に延在した矩形状の池であり、延在方向の一端側(図1では左側)から汚水や雨水といった下水を受け入れ、受け入れた下水に含まれる汚泥を池底部1dに沈殿させ、他端側(図1では右側)から排水する。以下、図1における左方向を上流方向と称し、図1における右方向を下流方向と称することがある。また、図1における上下方向を幅方向と称することがある。
【0026】
図1に示すように、沈殿池1は、池幅方向両側に設けられた一対の側壁1aと、上流壁1bと、下流壁1cによって囲まれた、平面視で略長方形状をした池である。
【0027】
図2に示すように、この沈殿池1には、スカム除去装置10と、本実施形態の汚泥かき寄せ装置30と、排水樋40と、汚泥ピット50が設けられている。排水樋40は沈殿池1の下流側に設けられており、汚泥ピット50は沈殿池1の上流側に設けられている。
【0028】
本実施形態の汚泥かき寄せ装置30は、沈殿池1の池幅方向両端部それぞれに設けられ、沈殿池1内を走行する一対の無端チェーン31と、その一対のチェーン31の間に掛け渡された複数のフライト板32を備えている。無端チェーン31は、池底部1dに沿った軌道と水面Wに沿った軌道とがつながった周回軌道を形成した環状のチェーンである。環状である無端チェーン31には、全周にわたって、周方向に均等に間隔をあけてフライト板32が取り付けられている。なお、図2では、無端チェーン31を上記周回軌道で示している。
【0029】
池底部1dに沿った軌道の上流端付近と下流端付近、および水面Wに沿った軌道の上流端付近と下流端付近には、スプロケット34〜37が配置されている。これらのスプロケット34〜37は、上記周回軌道よりも内側に配置され、各スプロケット34〜37には、無端チェーン31の一部が巻き掛けられており、無端チェーン31の、各スプロケット34〜37に巻き掛けられた部分は、スプロケット34〜37に噛合している。
【0030】
水面Wに沿った軌道の上流端付近に配置されたスプロケット34の中心部分には、駆動軸341が回転不能に固定されており、駆動軸341が不図示のモータによって回転することで、スプロケット34も回転する。すなわち、このスプロケット34は、不図示のモータの駆動力が伝達され、無端チェーン31を走行させる駆動輪である。図2に示すスプロケット34は時計回りに回転駆動し、無端チェーン31も時計回りに走行する。一方、その他のスプロケット35〜37は、無端チェーン31の走行に伴って回転する従動輪である。従動輪のスプロケット35〜37の中心部分には固定軸351,361,371が通されている。従動輪のスプロケット35〜37はいずれも、その固定軸351,361,371に対して回動自在であり、各軸351,361,371は軸回りに回転不能に固定配置されている。
【0031】
各スプロケット34〜37は、本発明にいう回転輪の一例に相当する。また、各スプロケット34〜37は、駆動軸341や固定軸351,361,371を回転中心にして回転するものであり、駆動軸341や固定軸351,361,371は、本発明にいう中心軸の一例に相当する。また、以下の説明では、水面Wに沿った軌道の下流端付近に配置された従動輪のスプロケット35に通された中心軸を中間軸351と称し、池底部1dに沿った軌道の下流端付近に配置された従動輪のスプロケット36に通された軸をテール軸361と称し、反対側の上流端付近に配置された従動輪のスプロケット37に通された軸を従動軸371と称することがある。
【0032】
さらに、図2に示す駆動軸341、中間軸351、テール軸361、および従動軸371はいずれも、紙面に対して垂直方向に延在したものであり、これらの軸が延在する軸方向における各スプロケット34〜37の両側には、ガイド部材342,352,362,372が配置されている。ガイド部材342,352,362,372についての詳しい説明は後述する。
【0033】
無端チェーン31が走行すると、フライト板32が池底部1dに沿った軌道を下流側から上流側に向かって走行し、池底部1dに沈殿した汚泥は、フライト板32によって上流側の汚泥ピット50にかき寄せられる。汚泥ピット50に掻き寄せられた汚泥は、図示しない汚泥ポンプによって沈殿池1の外部に排出される。
【0034】
また、スカム除去装置10は、堰11と、トラフ12と、スカムピット16(図1参照)を備えている。トラフ12は、池底部1dから所定の高さ位置に固定されたものである。このトラフ12は、沈殿池1を池幅方向に横切って、沈殿池1の外部に設けられたスカムピット16(図1参照)まで延在している。図2に示すトラフ12の、池幅方向に延在した上流側の壁121の上縁よりも高い所定の水位が、この沈殿池1の最低水位になる。堰11は、トラフ12に対して下端を回動中心にして回動自在に、接続部材13によってそのトラフ12に接続されている。堰11は、上端が水面Wよりも上に位置する堰止状態と、上段が水中に没した呑込状態との間で状態変化するものである。図2に示す堰11は堰止状態である。この堰止状態にある堰11は、不図示の駆動機構によってその上端が押し下げられると下端を回動中心にして回動し、呑込状態になる。堰11は、堰止状態では沈殿池1内の水がトラフ12に流入するのを阻止するのに対して、呑込状態では沈殿池1内の水がトラフ12に流入する。
【0035】
沈殿池1の水面Wにはスカムが浮遊している。無端チェーン31が走行すると、フライト板32が水面Wに沿った軌道を上流側から下流側に向かって走行し、沈殿池1の水面Wに浮かんだスカムは、呑込状態の堰11に向けてフライト板32によって移送される。スカムは、沈殿池1内の水とともに呑込状態にある堰11の上端を越えてトラフ12内に流入する。トラフ12の底は、沈殿池1の外部にあるスカムピット16に向けて下方へ傾斜しており、スカムが混入したスカム混入水は、トラフ12を通って図1に示すスカムピット16に到達する。スカムピット16には、ポンプ161を備えている。このポンプ161は、スカムピット16に溜まったスカム混入水を汲み上げるものである。
【0036】
沈殿池1内の水は、トラフ12の下をくぐって排水樋40から図示しない排水路に流れ、沈殿池1の外部に排水される。
【0037】
図3は、無端チェーンにおける、図2に示す中間軸を回転中心にして回転するスプロケットに巻き掛けられた部分を上方から見たときの様子を模式的に示す図である。この図3では、スプロケット35は省略しているが、中間軸351の一部は示されている。
【0038】
図3に示す無端チェーン31は、池幅方向(図3では左右方向)に対向する一対のリンク板311が、池幅方向に延在した貫通孔を有するバレル部312によってつながったリンク部材310を連結ピン313で連結してなる金属製のチェーンである。すなわち、複数の連結ピン313と、貫通孔が設けられた複数のリンク部材310とを有し、リンク部材310どうしの貫通孔に連結ピン313を挿通してリンク部材310どうしを連結してなるものである。より詳しく説明すれば、無端チェーン31の周回方向上流側に位置する一対のリンク板311の下流側部分それぞれに設けられた貫通孔に、下流側に位置するリンク部材310のバレル部312の貫通孔を合わせた状態で、これらの貫通孔に連結ピン313を挿入し、一対のリンク板311の外側から連結ピン313を抜け止め防止用のナット3131で固定する。ナット3131で固定された連結ピン313は、リンク板311に対して回転不能である。このナット3131は、連結ピン313の延在方向の位置を規制するための位置規制部材である。連結ピンの313の両端部分それぞれは、ナット3131からリンク部材310とは反対方向である外側へさらに突出している。この連結ピンの313の、ナット3131からさらに外側へ突出した部分の径は、リンク部材310の貫通孔の直径以下の太さである。なお、ナット3131に代えて、連結ピン313の一端側に、貫通孔の径より大きな頭部を設けておき、他端側には、貫通孔の径より長い、抜け止め防止ピンを配置した態様であってもよい。こうすることによっても、連結ピン313の延在方向の位置が規制される。また、抜け止め防止ピンは、連結ピン313がリンク板311に対して回転することを規制する回り止めピンとしても機能する。この態様では、連結ピン313は、上記頭部からさらに外側へ突出し、抜け止め防止ピンからもさらに外側へ突出している。
【0039】
各スプロケット34〜37の歯は、一対のリンク板311の間に入り込む。駆動軸341とともに回転するスプロケット34では、歯の回転方向下流側の縁がバレル部312に係合することでスプロケット34の回転駆動力がリンク部材310に伝わり、無端チェーン31が周回軌道を走行する。なお、無端チェーン31によって形成される周回軌道(図2参照)には、図3に示す無端チェーン31の隣り合う連結ピン313の一端を結んだ軌跡が相当する。
【0040】
図3に示すように、中間軸351が延在する延在方向も、連結ピン313が延在する軸方向も池幅方向と平行、あるいは略平行である。ガイド部材352は、中間軸351の軸方向における、ここでは不図示のスプロケット35の両側に、無端チェーンに沿って配置されている。このガイド部材352は、上下方向(図3では紙面に対して垂直方向)の断面が上下を逆さまにしたL字状の板部材である。ガイド部材352の長手方向は、無端チェーンの周回方向であり、池幅方向を短手方向とする部分を連結ピン径方向規制部3521と称し、池幅方向を厚み方向とする部分を連結ピン延在方向規制部3522と称する。図3では、連結ピン径方向規制部3521の面が示されている。
【0041】
図3に示す無端チェーン31が有する総ての連結ピン313は、ガイド部材352が配置された位置では、上から見たときにガイド部材352に重なる位置までリンク部材310から突出している。すなわち、連結ピン313の両端部それぞれが点線で示されるように、その両端部それぞれは、連結ピン径方向規制部3521に重なっている。なお、連結ピン313の両端部それぞれは、連結ピン径方向規制部3521と連結ピン313の径方向に間隔をあけて配置されているが、この点については後述する。
【0042】
また、図3に示すガイド部材352の連結ピン延在方向規制部3522は、無端チェーン31とは連結ピン313の延在方向に間隔S1をあけて配置されている。本実施形態では、この間隔S1は、地震等による揺れによって、無端チェーン31の巻掛部分が、スプロケット35から中間軸351の軸方向に外れそうになる、あるいは外れないまでにしても想定を超えた軸方向への動きをすると、連結ピン313の端面313aが連結ピン延在方向規制部3522に当接し、脱輪を防止することができる間隔に設計されている。すなわち、本実施形態における連結ピン延在方向規制部3522は、連結ピン313の端面313aが、地震等による揺れによって上記延在方向から当接するように配置されたものである。
【0043】
以上述べたガイド部材352の説明は、他のガイド部材342,362,372にも共通することである。
【0044】
図4は、図2に示す駆動軸を回転中心にして回転するスプロケットを拡大して示した図である。この図4では、複数の連結ピン313と、複数のリンク部材310を有する無端チェーン31が示されている。図4では、紙面に対する垂直方向が、池幅方向になり、駆動軸341が延在する軸方向にもなり、連結ピン313が延在する延在方向にもなる。なお、この図4には、連結ピン313の径方向の例を細い矢印で表している。
【0045】
図4に示す無端チェーン31の一部は、スプロケット34に巻き掛けられているが、ちょうどその部分のほとんどは、スプロケット34の一方側に配置されたガイド部材342の連結ピン延在方向規制部3422で隠されている。また、この図4には、フライト板32も示されている。本実施形態では、無端チェーン31の周回方向に連結された4つのリンク部材310おきに、ステー3101が設けられたリンク部材310が配置されている。フライト板32は池幅方向に延在した断面コ字状の板部材である。上述のごとく、無端チェーン31は、池幅方向両端部それぞれに配置されたものである。池幅方向一端側に配置された無端チェーン31と、同方向他端側に配置された無端チェーン31は、互いに同じ周回軌道を形成しており、池幅方向に延在したフライト板32の両端部分それぞれは、池幅方向両端部それぞれに配置された無端チェーン31におけるリンク部材310のステー3101に取付部材3102を介して取り付けられている。したがって、無端チェーン31に取り付けられたフライト板32の数より、無端チェーン31が有する総ての連結ピン313の数の方が多い。
【0046】
図5は、図4に示すA−A’切断線でスプロケットを切断したときの様子を沈殿池の下流側から見た図である。したがって、この図5では、紙面奥側が沈殿池の上流側になる。また、図5では、無端チェーン31のうち、スプロケット34の12時の位置に噛合した部分のみを示し、他の部分は図示省略している。また、フライト板32も図示省略されている。
【0047】
図5に示す駆動軸341は、沈殿池1の一方側の側壁1aに設けられた軸受3411と、この図5では不図示の他方側の側壁に設けられた軸受との間に架け渡されている。また、沈殿池1の側壁1aには、無端チェーン31の周回軌道およびフライト板32を避けた位置に台座61が設けられており、スプロケット34の両側に配置されたガイド部材342は、この台座61に、取付部材611によって取り付けられている。
【0048】
図5には、ガイド部材342が、上下を逆さまにしたL字状の板部材であることが示されている。また、図5に示すように、連結ピン313の両端部それぞれは、ガイド部材342の連結ピン径方向規制部3421とは、連結ピン313の径方向に間隔S2をあけて配置されている。本実施形態では、この間隔S2は、地震等による揺れによって無端チェーン31の巻掛部分がスプロケット34から径方向に外れそうになると、連結ピン313の端部における周面313bが連結ピン径方向規制部3421に当接し、脱輪を防止することができる間隔に設計されている。すなわち、連結ピン313は、地震等による揺れによって突出部分が連結ピン径方向規制部3421に当接するようにリンク部材310から突出したものである。
【0049】
なお、この図5にも、ガイド部材342の連結ピン延在方向規制部3422が、無端チェーン31とは連結ピン313の延在方向に間隔S1をあけて配置されている様子が示されている。地震等による揺れによって、長い周長の無端チェーン31は、例えば、連結ピン313が斜めになりながら浮き上がったりする等、思いもよらない挙動をとることがあり、連結ピン延在方向規制部3422を設けておくことで、無端チェーン31がスプロケット35から脱輪してしまうことを確実に防止することができる。特に、間隔S2を長めにとっている場合、あるいは連結ピン径方向規制部3421を省略している場合には、連結ピン延在方向規制部3422は有効である。
【0050】
図4および図5を用いて説明したガイド部材342の説明は、他のガイド部材352,362,372にも共通することである。
【0051】
以上説明したガイド部材342等は、スプロケット34〜37の径方向の位置から外れた位置に配置されており、連結ピン313の、リンク部材310から突出した突出部分とは、連結ピン313の延在方向にも径方向にも離間している。すなわち、連結ピン径方向規制部3421等は、連結ピン313の突出部分の周面313bに径方向から間隔をあけて対向しており、連結ピン延在方向規制部3422等は、連結ピン313の突出部分の端面313aに上記延在方向から間隔をあけて対向している。
【0052】
図6(a)は、ステー3101が設けられたリンク部材310がスプロケット34に噛合している様子を示す図である。この図6(a)でも、紙面奥側が沈殿池の上流側になる。
【0053】
上述のごとく、ガイド部材342は、スプロケット34の径方向の位置から外れた位置に配置されており、その径方向には、フライト板32が位置している。図6(a)に示すように、フライト板32は、スプロケット34の径方向に突出したものであり、突出先端縁32aは平坦であって、何ら切り欠き等は設けられておらず、汚泥をしっかりとかき寄せることができる。
【0054】
また、上述のごとく、連結ピン313は、ナット3131によってリンク部材310に固定されており、連結ピン313の、ナット3131から突出先端までの突出長Lは、5mm以上30mm以下であることが好ましい。この突出長Lが、5mm未満であると、連結ピンの端部が連結ピン径方向規制部3421に当接する長さが短すぎて、無端チェーン31の、スプロケット径方向への脱輪を防止することが困難になる。一方、突出長Lが、30mmを超えると、連結ピン313の突出部分にゴミ等が引っかかって、汚泥のかき寄せに支障をきたす恐れがある。また、ガイド部材342の連結ピン延在方向規制部3422は、無端チェーン31とは連結ピン313の延在方向に間隔S1をあけて配置されているが、この間隔S1の長さは上記突出長L以下の長さである。こうしておくことで、連結ピン313の端面313aが、連結ピン延在方向規制部3422に、地震等による揺れによって上記延在方向からより確実に当接するようになる。
【0055】
さらに、上述の説明では、地震等による揺れによって無端チェーン31の巻掛部分がスプロケット34から、ここでは不図示の駆動軸341の軸方向に外れそうになると、連結ピン313の端面313aが連結ピン延在方向規制部3422に当接するように間隔S1が設けられていたが、連結ピン313の端面313aの代わりにリンク部材310がガイド部材342に当接するように間隔S3を定めておいてもよい。すなわち、図6(a)に示すように、ガイド部材342の連結ピン径方向規制部3421は、連結ピン延在方向規制部3422から90度折れ曲がって先端はリンク部材310に対向している。リンク部材310と連結ピン径方向規制部3421の先端との上記延在方向の間隔S3を、連結ピン313の端面313aと連結ピン延在方向規制部3422との上記延在方向の間隔S1よりも狭い間隔にして、地震等による揺れによってリンク部材310が連結ピン径方向規制部3421の先端に当接するようにしてもよい。あるいは、間隔S3と間隔S1を同じ長さにしておいてもよい。
【0056】
なお、連結ピン313に代えて、リンク部材310から板状の突出片を突出させてもよい。ただし、ガイド部材342は板部材でありさほど厚みはなく、無端チェーン31の重量増加を抑えるためには突出片は薄い方が好ましい。このため、地震等による揺れによってその突出片が連結ピン径方向規制部3421に当接すると、板状の両者が撓んで、連結ピン径方向規制部3421を超えて突出片がスプロケット34の径方向に飛び出してしまう恐れがある点に注意しなければならない。
【0057】
図6(b)は、本実施形態の変形例を示す図である。
【0058】
この変形例では、ガイド部材342を、スプロケット34の厚み方向一端側にのみ配置している。連結ピン313も、ガイド部材342が設けられた側のみナット3131から突出している。この連結ピン313の突出部分には、ローラ3132が設けられている。ローラ3132は、弾性材料からなるものであり、連結ピン313に対して回転自在に取り付けられている。なお、上述のごとく、ナット3131で固定された連結ピン313は、リンク部材310に対して回転不能である。この回転自在なローラ3132を設けたことにより、連結ピン313が連結ピン径方向規制部3421に当接した際の摩擦抵抗が軽減される。
【0059】
また、この変形例における連結ピン径方向規制部3421は、連結ピン延在方向規制部3422から90度折れ曲がった後、先端部分3421aが連結ピン313に向けてさらに90度折れ曲がっている。この結果、連結ピン313の径よりも大きな径のローラ3132は、連結ピン313の延在方向に間隔をあけた状態でガイド部材342によって囲まれていることになる。こうしておくことで、ガイド部材を一方側にしか設けていなくても、無端チェーン31の巻掛部分がスプロケット34から、駆動軸341の軸方向どちら側に外れそうになっても対応することができる。
【0060】
なお、連結ピン径方向規制部3421の折れ曲がった先端部分3421aと連結ピン313の間隔よりも、ローラ3132の外周とそれに対向する連結ピン径方向規制部3421の間隔の方が短く、無端チェーン31の巻掛部分がスプロケット34から径方向に外れそうになると、ローラ3132が連結ピン径方向規制部3421に当接する。
【0061】
続いて、無端チェーンに樹脂チェーンを用いる例について説明する。
【0062】
図7(a)は、樹脂チェーンを上方から見た図であり、同図(b)は、同図(a)に示す樹脂チェーンを側方から見た図である。
【0063】
この樹脂チェーン71も、図3に示す金属製のチェーンと同じく、池幅方向(図7では上下方向)に対向する一対のリンク板711が、池幅方向に延在した貫通孔を有するバレル部712によってつながったリンク部材710を連結ピン713で連結してなるチェーンである。図7に示す樹脂チェーン71では、ナットに代えて、連結ピン713の一端側に、貫通孔の径より大きな頭部7131を設けておき、他端側には、貫通孔の径より大きな径をもった馬蹄形の抜け止め防止ピン7132を配置し、連結ピン713の延在方向の位置を規制している。また、抜け止め防止ピン7132は、連結ピン713がリンク部材710に対して回転することを規制する回り止めピンとしても機能している。頭部7131と抜け止め防止ピン7132は、樹脂チェーン71の周回方向にわたって互い違いに設けられている。一番右側に示すリンク部材710には、ステー7101が設けられている。このステー7101にも、ここでは不図示の取付部材を介してフライト板32が取り付けられる。この樹脂チェーン71は、図の左から右に向かって走行する。
【0064】
この樹脂チェーン71では、連結ピン713が樹脂チェーン71の周回方向に連結された1つのリンク部材310おきに、頭部7131からリンク部材710とは反対方向にさらに突出し、抜け止め防止ピン7132からもリンク部材710とは反対方向にさらに突出している。すなわち、一番右側に示すリンク部材710の周回方向下流側の貫通孔に挿通されている連結ピン713と、一番左側に示すリンク部材710の周回方向下流側の貫通孔に挿通されている連結ピン713が、連結ピン713の延在方向両側にそれぞれ突出している。
【0065】
図7に示す樹脂チェーン71に対しても、これまでに説明したスプロケット34〜37およびガイド部材342,352,362,372が適用される。
【0066】
続いて、無端チェーンにいわゆるノッチチェーンを用いる例について説明する。
【0067】
ノッチチェーンも、図3に示す金属製のチェーンと同じく、池幅方向に対向する一対のリンク板が、池幅方向に延在した貫通孔を有するバレル部によってつながったリンク部材を連結ピンで連結してなる樹脂製のチェーンである。リンク部材には、ノッチ部が設けられており、このノッチ部に、スプロケットに設けられたピンが係合することでスプロケットの回転駆動力がリンク部材に伝わり、ノッチチェーンが周回軌道を走行する。
【0068】
図8(a)は、駆動軸341とともに回転するピン付きスプロケット81を示す図である。
【0069】
図8に示すピン付きスプロケット81は、時計回り回転する。ピン付きスプロケット81の各歯811には、回転方向下流側となる位置にピン812が設けられている。このピン812は、ピン付きスプロケット81の厚み方向に突出したものである。
【0070】
図8(b)は、中間軸351、テール軸361、および従動軸371に対して回転するシーブ車82を示す図である。
【0071】
図8に示すシーブ車82は、スプロケット35〜37に代えて設けられるものである。このシーブ車の、ノッチチェーンが巻き掛けられる厚み面の中央部分には、一対のリンク板の間に入り込む突条帯821が設けられている。
【0072】
図9は、ノッチチェーン83の一部が図8(a)に示すピン付きスプロケット81に巻き掛けられた様子を示す模式図である。図9に示すピン付きスプロケット81は時計回りに回転駆動する。
【0073】
図9には、複数の連結ピン833と、貫通孔が設けられた複数のリンク部材830とを有し、リンク部材830どうしの貫通孔に連結ピン833を挿通してリンク部材830どうしを連結してなるノッチチェーン83の一部が示されている。このノッチチェーン83では、連結ピン833が、ノッチチェーン83の周回方向に連結された2つのリンク部材830おきに、連結ピン833の延在方向両側にそれぞれ突出している。図9では、ピン付きスプロケット81の回転方向上流側のリンク部材830から、連結ピン833が突出している。また、その回転方向上流側のリンク部材830には、ステー8301が設けられ、このステー8301にも、取付部材8302を介してフライト板32が取り付けられている。
【0074】
さらに、リンク部材830にはノッチ部835が設けられており、図9に示すノッチ部835には、ピン付きスプロケット81のピン812が係合している。
【0075】
また、ピン付きスプロケット81の両側にはガイド部材842が配置されており、連結ピン径方向規制部8421は、連結ピン833の突出部分の周面に、その連結ピン833の径方向から間隔をあけて対向しており、連結ピン延在方向規制部8422は、連結ピン833の突出部分の端面833aに、その連結ピン833の延在方向から間隔をあけて対向している。
【0076】
以上説明した汚泥かき寄せ装置30によれば、無端チェーン31の、各種スプロケットやシーブ車からの脱輪を、汚泥のかき寄せ能力を犠牲にすることなく防止することができる。
【0077】
なお、これまでの説明では、図2等に示す4つのスプロケット34〜37や、図8(a)に示すピン付きスプロケット81や、図8(b)に示すシーブ車82のいずれの両側あるいは一方側に、ガイド部材を配置したが、4つのスプロケット34〜37のうちのいずれか1つ又は複数のスプロケットや、ピン付きスプロケット81および3つのシーブ車82のうちのいずれか1つ又は複数の回転輪に限って、ガイド部材を配置してもよい。
【0078】
また、ガイド部材は、連結ピン径方向規制部および連結ピン延在方向規制部のうちのいずれか一方のみを有するものであってもよい。
【符号の説明】
【0079】
1 沈殿池
1d 池底部
30 汚泥かき寄せ装置
31 無端チェーン
310 リンク部材
313 連結ピン
32 フライト板
34,35,36,37 スプロケット
341 駆動軸
351 中間軸
361 テール軸
371 従動軸
342,352,362,372 ガイド部材
3421 連結ピン径方向規制部
3422 連結ピン延在方向規制部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受け入れた水に含まれている汚泥が池底部に沈殿する沈殿池に設けられ、該池底部に沈殿した汚泥をフライト板によってかき寄せる汚泥かき寄せ装置において、
前記池底部に沿った軌道と該軌道よりも上方側の軌道とがつながった周回軌道を形成し、前記フライト板が間隔をあけて複数取り付けられた無端チェーンと、
前記無端チェーンよりも内側の複数箇所に中心軸が配置され、それぞれに前記無端チェーンの一部が巻き掛けられて該中心軸を回転中心にして回転する複数の回転輪と、
前記中心軸が延在する軸方向における該回転輪の少なくとも一方側の位置に配置されたガイド部材とを備え、
前記無端チェーンは、複数の連結ピンと、貫通孔が設けられた複数のリンク部材とを有し、該リンク部材どうしの貫通孔に該連結ピンを挿通して該リンク部材どうしを連結してなるものであって、
前記複数の連結ピンのうちの、前記無端チェーンに取り付けられた前記フライト板の数より多い数の所定の連結ピンは、前記ガイド部材が配置された位置では、前記一方側の端部が前記ガイド部材とは該連結ピンの径方向に間隔をあけ、上から見たときに該ガイド部材に重なる位置まで前記リンク部材から突出したものであることを特徴とする汚泥かき寄せ装置。
【請求項2】
受け入れた水に含まれている汚泥が池底部に沈殿する沈殿池に設けられ、該池底部に沈殿した汚泥をフライト板によってかき寄せる汚泥かき寄せ装置において、
前記池底部に沿った軌道と該軌道よりも上方側の軌道とがつながった周回軌道を形成し、前記フライト板が間隔をあけて複数取り付けられた無端チェーンと、
前記無端チェーンよりも内側の複数箇所に中心軸が配置され、それぞれに前記無端チェーンの一部が巻き掛けられて該中心軸を回転中心にして回転する複数の回転輪と、
前記中心軸が延在する軸方向における該回転輪の少なくとも一方側の位置に配置されたガイド部材とを備え、
前記無端チェーンは、複数の連結ピンと、貫通孔が設けられた複数のリンク部材とを有し、該リンク部材どうしの貫通孔に該連結ピンを挿通して該リンク部材どうしを連結してなるものであって、
前記ガイド部材は、前記無端チェーンとは前記連結ピンが延在する延在方向に間隔をあけて配置されたものであることを特徴とする汚泥かき寄せ装置。
【請求項3】
前記連結ピンは、少なくとも前記一方側が、前記リンク部材から前記延在方向に所定長突出したものであり、
前記ガイド部材は、前記無端チェーンとは前記延在方向に前記所定長以下の間隔をあけて前記一方側に配置されたものであることを特徴とする請求項2記載の汚泥かき寄せ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−223666(P2012−223666A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−90766(P2011−90766)
【出願日】平成23年4月15日(2011.4.15)
【出願人】(508165490)アクアインテック株式会社 (51)