油圧制御ロック機能を有する工具アタッチメント
本発明は、作業機械用の工具アタッチメントに関する。工具アタッチメントは、油圧アクチュエータ(1)を有するロックプランジャを備える。ロックプランジャは、工具とロック連動するように構成されている。油圧媒体供給手段(3、4、5)は、油圧媒体をアクチュエータ(1)に供給するように構成されている。本発明により、油圧供給手段(3、4、5)は、アクチュエータ(1)に供給される油圧媒体の体積を測定するように構成された測定デバイス(8、9、10)を装備している。本発明は、本発明の工具アタッチメントを装備した作業機械および本発明の工具アタッチメントの使用にも関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、作業機械用の工具アタッチメントであって、油圧アクチュエータを装備し、工具とのロック連動のために構成されたロックプランジャ手段、および油圧媒体をアクチュエータに供給するための油圧媒体供給手段を備える工具アタッチメントに関するものである。
【0002】
本発明は、本発明による工具アタッチメントを装備した作業機械にも関する。
本発明の第2の態様において、本発明は発明された工具アタッチメントの使用に関する。
【背景技術】
【0003】
過去数十年の間、ホイールローダ、マテリアルハンドラおよび他の種類の機械などの作業機械に関連するバケットおよび工具を迅速に交換するための工具アタッチメントシステムの使用は、欧州の市場の大半においては当然のことになってきている。同様に開発は、運転者が運転室を離れて、単純なレバーの動作によりアタッチメントのロック機構を固定または解除する単純な機械的ソリューションから、運転者が単に運転室のボタンを押すだけでアタッチメントのロック機構を作動させるロックシリンダを調節する、油圧ソリューションへと素早い進化を遂げている。ごく近年に、全自動工具アタッチメントシステムも市場へ進出を果たしている。ここで機械式バケットと油圧式バケットの連結および切り離しは、運転室から直接、全自動で行われる。油圧ホースおよび電気ケーブルも自動で接続される。
【0004】
したがってEP 602 165において、このようなシステムならびにこれに含まれる工具アタッチメントおよび作業工具が開示されている。EP 602 165で開示されたシステムでは、工具アタッチメントおよび作業工具の接続、締付けならびに油圧系と電気系との相互接続は、運転者が作業機械の自分の席を離れることなく行えるという事実によって、極めて多くの利点をもたらしている。
【0005】
大半の工具アタッチメントシステムは、工具アタッチメントが「捕捉側」と固定側とを有するという原則に基づく。機械設計で2方向から連結および固定することができる対称ブラケットアタッチメントは別として、大半の工具ブラケットは同じ捕捉側および固定側を有する。アタッチメントの捕捉側は、工具をピックアップして、所定位置に向けて、次にロックドエルまたはロックリップの形のロック機構によって工具をロックして、工具ブラケットのロック状態に入る。ロック機構は、アタッチメントの連結方向か本方向に対して90度水平方向のいずれかに延伸する。工具ブラケットは、工具アタッチメントに接続されている作業工具の一部である。
【0006】
EP 602 165によって開示されたシステムでは、ロックシステムは、バー要素、工具ブラケットのそれぞれの側方のいわゆるブラケットピンならびに工具アタッチメントの2個の、それぞれU字形およびL字形のグリップから成る。相互に連結されると、U字形グリップは爪形の捕捉手段として作用して、工具ブラケットの対応する側のブラケットピンに跨るようにされ、ブラケットピンはグリップ手段を構成している。次に工具アタッチメントおよび作業工具は、U字形グリップが跨ったブラケットピンの周囲で相互に、他方のブラケットピンがLグリップに当接する位置に向けられる。同じ位置において、ロックプランジャはL字形グリップ中に押出され、Lグリップと共に他方のブラケットピンを包囲する。これにより作業工具は、工具アタッチメントに締付けられる。ロック動作が実行されるのと同時に、工具アタッチメントの油圧連結ユニットは、作業工具の対応する油圧連結ユニットとの組合せ連結のために移動される。
【0007】
EP 602 165に開示された組合せ連結および他の同様のシステムにおいて、正確な組合せ連結を保証する点で問題が発生し得る。
さらにWO 2004/072387によれば、工具を工具アタッチメントと組合せて連結するときの安全性が改善されたシステムは既知である。
【0008】
システムは、センサ手段と、検知手段とを備え、検知手段は、センサ手段から検知手段への情報の伝送のために構成されている。センサ手段は、工具アタッチメントおよび作業工具の一方に構成された少なくとも1個のセンサユニットを有する。検知手段は、これらの他方に構成された少なくとも1個の検知ユニットを有する。このシステムにより、安全性の改善が達成されるが、苛酷かつ不潔な環境では比較的感度の高い構成要素の存在が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】欧州特許公報EP 602 165号
【特許文献2】国際特許出願公開公報WO 2004/072387号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
工具と工具アタッチメントとのこの種の組合せ連結に関する固有の問題は、1個または複数のロックプランジャが他方のブラケットピン、すなわちロックのためにロックプランジャと連動する工具の要素に対して正しく位置するようになるかどうかを判断できる可能性である。
【0011】
ロックプランジャがロックのために作動されるときに誤った方向を向けられた場合、ロックが達成されないリスクがある。ある誤配置では、これによりロックプランジャがブラケットピンに突き当るようになる。しかし通常、誤配置が比較的小さい問題であるのは、作業機械の運転者がこれを監視することが容易なためである。他の誤配置では、ロックプランジャがブラケットピンの誤った側に到達することがある。運転者がこれを検出することがより困難な理由は、ロックプランジャが駆動ストロークにていずれの障害物にも遭遇しておらず、これを目視できるようにするための視界が、通常は不明瞭であるためである。運転者が次に、工具が正しく装着されたと考えて工具を上昇させると、工具が緩んだときに事故のリスクがある。
【0012】
本発明の目的は、この問題を克服して、簡単な方法でこの種の誤った組合せ連結のリスクを排除または少なくとも低減することである。
【発明を解決するための手段】
【0013】
本発明により、説明された目的は、前置きとして挙げた種類の工具アタッチメントが、アクチュエータに供給される油圧媒体の体積を測定するよう構成された測定デバイスを油圧供給手段が装備するという特別な特徴を有するという事実によって実現される。
【0014】
プランジャ手段のストローク長は通常、そのアクチュエータに供給された油圧媒体の体積に正比例するため、体積の測定によってロックプランジャ手段が変位された距離の指標が与えられる。正確な締付けに相当するストローク長を表す体積を容易に決定することができる。
【0015】
これより小さい体積は、ロックプランジャ手段がたとえば、ロックプランジャ手段がロックが行われる間に連動するブラケットピンに突き当たるその外端によって、ロック位置への到達が防止されていることを示す。本状態は、明らかに運転者の位置を視覚的に決定することは比較的容易であり、よって多くの場合で体積測定を介して検出するためにはあまり重要でない。
【0016】
正確なストローク長に相当する体積よりも大きい体積は、ロックプランジャ手段の移動が大きすぎたことを示す。ロック動作の間のロックプランジャ手段が位置ずれを起こして、ロック連動が提供される工具のブラケットピンの誤った側にロックプランジャ手段が到達する場合に、起こり得る。ロックプランジャ手段が誤った側に到達した場合、そのアクチュエータがその端位置に到達する前にプランジャ手段の動作を停止させるものは通常はなく、またはそうでない場合は、プランジャ手段の動作は、正確なロック位置の場合よりも後で動作を停止する障害物によって停止される。これにより油圧媒体の供給体積の測定は、正確なロック位置に対応する体積よりも大きい体積を示し、それにより本状態が存在することを通知する。このことが最も深刻な状態となる理由は、運転室から視覚的に監視することが困難な点にある。
【0017】
したがってこの種の誤接続を明確に示す本発明の工具アタッチメントによって、誤った接続での継続運転を回避できるようになる。接続プロセスは中断およびやり直しが可能である。これにより事故のリスクが大幅に回避される。本指標を得るための本発明の技法は、極めて単純かつ信頼性が高く、加えて、本発明が通常使用される環境で多い泥などの侵入に対して比較的影響を受けにくい。
【0018】
本発明の好ましい実施形態によれば、油圧媒体供給手段は供給ラインを備え、測定デバイスは供給ラインを通る流量を測定するように構成されている。
このようにして測定デバイスの構成は、測定デバイスが供給ラインを通る流量を測定できるように、アクチュエータに供給される油圧媒体の体積を決定するための単純で信頼性の高い方法である。
【0019】
追加の好ましい実施形態によれば、測定デバイスは、供給ラインにおける狭窄部と、狭窄部のそれぞれの側方における圧力センサとを備える。
圧力センサによって、狭窄部にわたる圧力低下に関するデータが得られる。圧力低下に基づいて、ベルヌーイの等式を利用することによって、狭窄部を通じる流量およびその中に供給される油圧液の体積を単純な方法で計算することができる。
【0020】
圧力低下に対する流量の計算は、供給ラインの寸法に対して狭窄部が小さくなるほど、より正確になる。しかし詰まりのリスクによって、狭窄部の寸法の下限が設定される。好適には、狭窄部は、0.5から1.5mmの直径および0.5から2mmの間隔の長さに相当する流路面積を有する。本範囲では、いわゆる液圧絞りが生成され、これにより流量計算が非常に正確になる。
【0021】
追加の好ましい実施形態によれば、測定デバイスは、各圧力センサからの信号を受信するように構成され、圧力センサによって検知された圧力レベルに対して供給ラインを通る体積速度を定義するアルゴリズムおよび油圧媒体の供給量の計算のために体積流速を積分する積分アルゴリズムを備えた計算プログラムを装備した計算ユニットを備える。
【0022】
測定デバイスが検知された圧力レベルを流量レベルに関する情報に十分に変換するように予めプログラムされているという事実により、示された流量体積が正確であることが保証される。これにより圧力レベルの誤った取扱いによるミスのリスクが除去される。
【0023】
追加の実施形態によれば、測定デバイスは、インジケータと信号接続されている。
これにより、記録された情報は機械の運転者に提示され、必要な場合に迅速な措置を講じることができる。好適には、インジケータは運転者が容易に接近できる場所に、たとえば作業機械の運転室に位置する。
【0024】
追加の好ましい実施形態によれば、インジケータは、規定の測定体積を超えたときに警報信号を作動させるように構成されている。
本実施形態によれば、測定から十分な措置までの完璧な連鎖が完成される。運転者は、測定値の中断を気にする必要なく、OK(可)またはnot OK(不可)の形で結果を与えられる。警報信号は、ディスプレイ上に音声信号として、またはその組合せとして与えられる。
【0025】
追加の好ましい実施形態によれば、ロックプランジャ手段は、工具が工具アタッチメントに締付けられるときに、各ロックプランジャが工具本体に対して適用されるように構成された当接面を装備することを備える。ロックプランジャの当接面が当接する本体は、好適には捕捉側のブラケットピンである。当接によって、ロックプランジャの動作の明らかな停止が行われ、これにより正確なロッキングでのロックプランジャ位置の明白な基準が生成され、これはロック動作の間にもたらされた体積が関連し得る基準体積を表す。このようにして、ロックプランジャの変位が大きすぎたか否かを判断することが容易になる。
【0026】
追加の好ましい実施形態によれば、工具アタッチメントは、工具への接続のための油圧連結手段およびロックプランジャ手段のアクチュエータまたは油圧連結手段のいずれかへの供給ラインの選択的接続を行うためのバルブ手段を備える。
【0027】
このようなバルブ手段により、ロックならびに工具の操作に同じ油圧媒体供給を使用することが可能となり、このことは単純化および費用の節約を意味する。可逆性バルブ手段により、工具アタッチメントへの油圧ラインは、ロック機構の操作および作業工具の操作の2つの機能を果たすことができる。これにより、油圧ライン手段に必要な油圧ラインの数が減少され、例として、ラインの数は4つから2つに減少され得る。このことはクレーンアームに沿った油圧ラインの走行範囲ならびにスイベル流路の数を減少させるので、アセンブリはより単純になり、これによりさらに安価となる。
【0028】
これは測定デバイスと共に、取扱い上の大きな安全性と最小限のライン取回しを兼ね備えたトータルソリューションをもたらしている。
追加の好ましい実施形態によれば、工具アタッチメントは、作業機械への永久取付けのために構成された第1の部分と、第1の部分に着脱自在に接続するために構成された第2の部分とを備え、第1の部分は、第1の油圧アクチュエータを装備して、第2の部分とのロック連動するように構成された第1のロックプランジャ手段を備え、第2の部分は、第2の油圧アクチュエータを装備して、工具とのロック連動のために構成された第2のロックプランジャ手段を備え、油圧媒体供給手段は、第1ならびに第2のアクチュエータへの油圧媒体の供給のために構成され、測定デバイスは、それぞれ1台のアクチュエータに供給された油圧媒体の体積を測定するために構成されている。
【0029】
作業機械が取扱うことを目的とする多くの工具は、優れた可動性を必要とし、とりわけ工具は回転可能および傾斜可能であるべきである。ゆえにこのような機能は概して、いわゆるチルトローテータの工具アタッチメントに組み込まれている。ある作業運転において、またはある一定の工具については、これらの要件は課せられない。代わりに、利用可能な最大動力が興味の対象となっている。この理由のために、回転および傾斜の機能を作業機械のアームと工具との間の独立したアダプタユニットに割当てることで、工具を本ユニットと連結するまたは連結しない選択肢が得られるため好都合である。
【0030】
したがって、この場合、工具アタッチメントは2つの部分から成り、第1の部分は作業機械のアームに永久接続され、第2の部分はチルトローテータである。
次に、作業機械のアームとチルトローテータとの、ならびにチルトローテータと工具との相互接続において、正確な連結を容易に確立できることが重要である。このことは測定デバイスがこの両方の接続をチェックする本実施形態によって保証される。本発明によるチェック機能によって与えられる単純さが本接続において特に価値があるのは、保証されるべきことが2つの相互接続であり、チルトローテータによって他方の相互接続が運転者に同じ直接的な感覚を伝達しないためである。
【0031】
追加の好ましい実施形態によれば、ロックプランジャ手段は、同時に同じ方向に変位可能な少なくとも2個の並列ロックプランジャを備え、アクチュエータは、油圧連結手段をロックプランジャと並行に、およびロックプランジャと同じ方向に変位させるようにも構成されている。
【0032】
2個以上のロックプランジャは大きな連結安全性をもたらし、このようにして油圧部品のロック動作および相互接続動作の協調により、迅速かつ安全な接続がもたらされる。本発明による測定デバイスは、このような設計に適用するために特に適切である。しかし本発明は、他の方法で、たとえば反対方向に構成された、および油圧相互接続方向に対して交差方向に配列されたプランジャにも適用可能であることが認識されるべきである。
【0033】
上記の好ましい実施形態は、請求項1に従属する請求項で定義される。追加の好ましい実施形態は当然、上記の好ましい実施形態の実現可能なすべての組合せから成り得ることが強調されるべきである。
【0034】
本発明は、本発明による特に本発明の好ましい実施形態のいずれかによる工具アタッチメントを備える作業機械にも関する。
本発明は、工具を特に工具アタッチメントの好ましい実施形態のいずれかによる工具アタッチメントに取付けるための、本発明の工具アタッチメントの使用にさらに関する。
【0035】
本発明の作業機械および本発明の使用は、本発明の工具およびその好ましい実施形態と同様の相当する種類の利点、ならびに上で説明された利点をもたらしている。
本発明は、後述する本発明の実施形態の例の詳細な説明によって、添付図面を参照してより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】第1の相対位置における工具アタッチメントおよび作業工具の透視図である。
【図2】第2の相対位置における、図1の構成要素の透視図である。
【図3】第3の相対位置における、図1の構成要素の透視図である。
【図4】工具および工具アタッチメントの正確な組合せ連結を示す。
【図5】誤った組合せ連結の第1の例を示す。
【図6】誤った組合せ連結の第2の例を示す。
【図7】本発明による測定デバイスを表す油圧図である。
【図8】図7の測定デバイスの詳細を表す。
【図9】本発明の第2の実施形態の例を表す油圧図である。
【図10】別の動作状態を表す図9の油圧図の詳細である。
【図11】本発明の第3の実施形態の例による工具アタッチメントである。
【図12】追加の実施形態の例による測定デバイスを表す図である。
【図13】本発明による工具アタッチメントを装備した作業機械を図式的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1から3において、工具アタッチメントおよび作業工具の組合せ連結のための、公知のシステムが記載されている。したがってこれらの図に示されているものおよびこれに関連する説明は、例として言及したEP 602 165で開示され、ここで引用されているような従来技術に含まれる。
【0038】
したがって図1のシステムは、工具アタッチメント100および作業工具200から成る。工具アタッチメント100は作業機械に搭載されるものであるが、作業機械は図示されていない。作業工具200は、工具アタッチメント100と組合せて連結され、異なる種類の作業工具のための標準化設計の部品である工具ブラケット201を備える。作業工具の作用部品は図に示されていない。これは異なる目的において異なる形で形成されている。したがってシステムによって、異なる種類の作業を目的とする作業工具を機械の工具アタッチメント100に接続することができる。
【0039】
工具アタッチメントは、図の右側の捕捉側102および図の左側の固定側103によって形成されている接続部品101を有する。捕捉側102は2個のU字形外形の凹部104を有し、その一方のみが図示されている。固定側103はL字形外形を有し、これから2個のロックプランジャ105が突出して、L字形外形と共にU字形外形を形成するように構成されている。図1において、ロックプランジャは突出位置で示されている。
【0040】
図1に見られるように、ロックプランジャは、接続部品101の固定側103のL字形外形と共に、ロックが行われる間にブラケットピン203に当接する下部106を装備している。したがって下部106は、ブラケットピンに当接させるための当接面である。
【0041】
作業工具200の工具ブラケット201は、工具アタッチメントの捕捉側102と連動するように構成された第1のブラケットピン202および工具アタッチメントの固定側103と連動するように構成された第2のブラケットピン203を装備している。または各ブラケットピンは、代替的に工具ブラケットの各側方端部の短ピン基部と代えられることがある。
【0042】
工具アタッチメントが作業工具と組合せて連結されるときに、工具アタッチメントは図2に示すような捕捉位置まで移動される。このことは、工具アタッチメントのU外形104が作業工具の第1のブラケットピン202を跨ぐようにさせていることを意味する。したがって本位置において、該ブラケットピン202はU外形の下部またはほぼそのような位置に当接している。工具アタッチメント100は、図に見られるように、同じ位置で上に傾けられている。角度位置は本段階では特に重要ではなく、したがって工具アタッチメントと作業工具との間の角度は、ある間隔内のいずれかの角度である。
【0043】
次のステップは、図2に示す位置から、工具アタッチメント100および作業工具200を相互に、工具アタッチメント100が作業工具に面して内側に向く方向に向けることである。このことは挿入位置のロックプランジャによって行われるので、第2のブラケットピン203がL外形の所定位置に達する程度に工具アタッチメントを方向転換することができる。構成要素が配置されると、締付けの準備は完了である。このことは第2のブラケットピン203がL外形103の間にロックされるように突出させたロックプランジャ105によって行われ、ロックプランジャ15はこの2つの位置の間で油圧により作動される。
【0044】
図3では、構成要素が締付け位置で示されている。工具アタッチメントは、作業工具上に構成された対応のユニットと組合せ連結される多数の油圧連結ユニットおよび電気連結ユニットを装備している。連結ユニットは、それぞれのユニットの連結傾斜路上に構成されている。工具アタッチメントの連結傾斜路は、ロックプランジャを動作させる油圧シリンダによって傾斜路が動作されるような方法で搭載される。図3では、作業工具の連結傾斜路204の裏側が見えるが、その前側は工具アタッチメントの連結傾斜路と同様に隠されている。したがって、ロックプランジャの突出は、連結ユニットの組合せ連結と同時に行われる。本発明は当然、これが同時に行われる設計に限定されない。
【0045】
本発明は、ロックプランジャが図1から3のような工具アタッチメントの長手方向に操作される設計にも限定されない。したがってロックプランジャは、これらが本方向に対して垂直に、すなわち第1のブラケットピン202に対して平行に移動されるように構成され得る。このような場合、ロックプランジャは、工具ブラケットの側面ピースの開口に突入し得る。ロックプランジャの動作の他の構成も当然、本発明の範囲内で実現可能である。
【0046】
同様に捕捉手段は爪様要素に、すなわち工具アタッチメントのU外形とは異なるように形成され得て、グリップ手段はバー要素に、すなわち作業工具のブラケットピンとは異なるように形成され得る。したがって、作業工具は、例えば、工具アタッチメントの補完手段との連動のために爪様フックを装備し得る。
【0047】
組合せ連結の重要な段階は、工具アタッチメント100が図2に示す位置から、図4に示す組合せ連結位置に方向変換されるときである。正確な位置調整では、組合せ連結位置のロックプランジャ105は、ロックプランジャが突出したときに、第2のブラケットピン203の下、すなわちその内部に到達するように位置調整するべきである。
【0048】
誤った位置調整では、ロックプランジャ105は、ロックプランジャの外端が第2のブラケットピン203に突き当たるように、またはロックプランジャが第2のブラケットピンの上側、すなわち外側に到達する。これにより、工具上昇時に、工具200は工具アタッチメント100から緩み、このことは事故のリスクを意味する。
【0049】
以下では、本発明がこのような誤った位置調整を検知して、位置調整を修正する処置を講じる方法について記載する。原理は、締付け動作が行われるときのプランジャのストローク動作の長さを検知することである。すなわちストローク長は、上述の位置調整に対して異なるようになる。
【0050】
図4に示すように位置調整が正確であるとき、ストローク動作によってロックプランジャ105はブラケットピン203を過ぎて各ロックプランジャ105の当接面106がブラケットピンに当接する位置まで移動され、これでロックプランジャの連続動作が停止され、これにより正確なソリューションにおけるストローク長の基準が定義される。
【0051】
図5に示すように、ロックプランジャ105の外端がブラケットピン203に当接するような位置調整の場合、ロックプランジャの移動は早期段階で停止され、すなわちストローク長は基準長よりはるかに短くなり、この種の誤った位置調整が示される。大半の場合、運転者が誤った当接を目視で認知することは極めて簡単であることは事実であるため、本発明は通常、この指標のためにはあまり重要ではない。
【0052】
他方、図6に示すようにロックプランジャ105がブラケットピン203の外側に到達する場合、このような誤った位置調整は、検知が困難であり得る。このような位置調整では、ロックプランジャ105の動作は、アクチュエータを構成する油圧シリンダのストローク長が許す限り継続するストローク動作なしに、ブラケットピン203に突き当たるロックプランジャの当接面106によって停止されない。この場合、ストローク長は基準長より長くなり、これによりこの種の誤った位置調整の指標である。
【0053】
プランジャのストローク長は、アクチュエータの油圧シリンダに供給される油圧液の体積と正比例する。
図7は、図1のロックプランジャ105のアクチュエータを示す。アクチュエータは2個の油圧シリンダ1から成り、その各プランジャロッド2はそれぞれのロックプランジャ105と接続されている。油圧媒体供給手段はタンク3、ポンプ4、供給ライン5、および戻りライン6を備える。反転バルブ7は、ポンプ4を供給ライン5または戻りライン6のいずれかと接続する。反転バルブ7の表示された位置では、ポンプは供給ライン5と接続されている。油圧液、通常、油は供給ラインからそれぞれの分岐ライン51へ、それぞれの逆止めバルブ52を介して油圧シリンダ1の各圧力側に分配される。戻りライン6はそれぞれの分岐ライン61を介して、油圧シリンダ1の各戻り側に接続される。
【0054】
供給ライン5には測定デバイスが構成される。測定デバイスは、狭窄部8ならびに第1の圧力センサ9および第2の圧力センサ10から成る。ポンプ4が油圧シリンダ1のそれぞれの圧力側に供給ラインを通じて油を圧送するとき、狭窄部8は圧力低下を引き起こし、圧力低下は圧力センサ9、10によって記録される。これにより、図8に関連してさらに詳細に説明される方法での、油圧シリンダ1に供給される体積の決定が可能になる。
【0055】
狭窄部8はいわゆる縁の鋭い狭窄部であるため、狭窄部を通じる流量は油の粘度とは独立するように、いわゆる液圧絞りになる。狭窄部流路は、貫通穴89が設けられている壁88から成る。上流側では、貫通穴89は平面壁に開口しているので、壁に対する面積変化は貫通穴89の端部にてただちに行われる。下流側では、貫通穴はより平滑な面積変化で開口し得る。この種類の狭窄部を使用すると、流量は、狭窄部にわたる圧力低下、油の密度および定数Cdのみに依存することになる。流れの方向は矢印によって示されている。
【0056】
ベルヌーイの等式から得られる狭窄部を通る流量は、下の式に従って計算され、下で定義される条件の下にて高い精度まで有効である。
【0057】
【数1】
式中、Q=流量(l/秒)
Cd=流量係数、すなわちCv×Cc
A=断面積
ρ=油の密度
P1、P2=狭窄部前後の圧力(MPa)
式は、狭窄部前後の流速が狭窄部オリフィスにおける速度と比較して無視できる、すなわちφd<φDという条件、および流れの方向の狭窄部の長さLが他の寸法と比較して無視できるという条件で有効である。15から40cstの粘度範囲内の鉱油タイプでは、流量係数はCd=0.65から0.70に設定することができる。
【0058】
2個の圧力センサ9、10によりP1およびP2を測定することによって、供給ライン5を通じる瞬間流速Qの直接の値が得られる。ストローク移動の間の時間積分、すなわちΣQdtは、結果として供給された油の体積および、それによるストローク長の尺度を直接与える。下の表では、本発明の工具アタッチメントの異なるサイズの多数のモデルについて、興味深いデータが示されている。すべてのモデルにおいて、ロックは2個のロックプランジャによって行われ、アクチュエータは2個のシリンダを有する。
【0059】
体積のロックにより、プランジャによって正確なロック位置がとられたときに供給される油圧液の体積が参照される。体積空ストロークは、シリンダの完全変位によって表され、ロック位置が誤っている場合に成立するため、ロックプランジャはブラケットピンの外側にまで到達し、ここでプランジャ動作はいずれの障害物とも接触しない。
【0060】
【表1】
最も右側の列に見られるように、体積とストローク長の差はロック位置と空位置との間、すなわち誤った位置調整において顕著である。差はモデルサイズに応じて4.3から16.7%の間で変化する。示された測定方法によるこの差は、誤差範囲は数パーセントであるため、正確なまたは誤った状態が存在する場合に信頼性のある情報が得られるのに十分な広い範囲による。
【0061】
図9および10は、反転バルブロックシリンダまたは油圧連結のいずれかに油圧油を誘導するように構成されている、本発明の第2の実施形態の例を示す。
図9は、油圧部品が連結されて作業工具をロックするときの位置を示す。バルブ板109には、2個の切換バルブ55、56が構成されている。各バルブの進入側は、油圧動力源3からそれぞれの油圧ライン5、6に接続されている。各バルブ55、56は、油圧連結ユニット57、67または油圧シリンダ16a、16bのいずれの出口側の接続のために、2つの異なる位置に切換えることができる;示された位置では、油圧ライン24a、24bは油圧シリンダ1に接続される。工具アタッチメント200および作業工具が先に記載したような正確な位置に位置調整されているとき、図1から3に関連して記載されるように、供給ライン5がバルブ55および油圧シリンダライン53を介して加圧されるので、プランジャは図において、これにより一方ではロックプランジャ2をロック位置中に突出させるように、および他方では連結傾斜路104の連結ユニット57、67を工具ブラケットに構成された連結傾斜路204の連結ユニット58、68と接続させるように上方に変位される。
【0062】
ロックの工程が達成されると、バルブ55、56は図10に示す位置に切換えられる。ロックプランジャは、ここでは、ロック位置にあり、連結傾斜路104、204の連結ユニット57、67、58、68は組合せ連結される。これによりライン5、6は、作業工具の油圧部品にバルブ57、67、58、68を介して接続される。これにより、作業工具は動作状態にある。各油圧連結ライン56、66の間にロック中に加圧される油圧シリンダライン53への接合ライン59、69が構成されている。各接合ライン59、69には、逆止めバルブが構成されている。これらはそれぞれの油圧連結ラインから該油圧シリンダラインへの流れは許容されるが、逆方向は許容されないような方法で方向付けられている。これにより、油圧シリンダの圧力が低下する傾向にあるときに、油圧連結ライン56、57のいずれか一方から加圧された油圧油が油圧シリンダライン53中に圧入可能であるという事実により、圧力の各油圧シリンダの圧力側の維持が動作中も保証される。これによりこのバイパス機能はロックブロックを構成する。
【0063】
例えば工具の交換のために作業工具が工具アタッチメントから離脱されるとき、バルブは図5に示す位置まで切換えられ、ロックプランジャは各油圧シリンダの反対側(図の上側)が逆転バルブ7によって加圧されるという事実により退避される(図7を参照)。同時に、連結傾斜路104、204は相互に切り離される。
【0064】
図7に関連して記載されている測定デバイス8、9、10は、油圧シリンダライン53である供給ラインの一部に構成されている。
図11は、本発明による追加の実施形態の例の概略図である。この場合、工具アタッチメントは第1の部分100および第2の部分300から成る。第1の部分100は作業機械401のアームと永久に接続されており、図1に示す工具アタッチメント100として形成される。
【0065】
第2の部分300は、第1の部分100から容易に開放可能に接続され、第1の部分100との連結を意図した側では、図1の工具200の工具ブラケットに相当する連結ブラケットを用いて形成される。部分100、300の組合せ連結は、図1から3に関連して記載されるような相当する方法で行われる。
【0066】
第2の部分300は、工具200との組合せ連結のための工具連結側をさらに有する。組合せ連結側は図1に示す工具アタッチメントと同じ方法で形成され、工具との組合せ連結は対応する方法で行われる。
【0067】
第2の部分300との組合せ連結のための第1の部分の構成要素は原則として、工具200との組合せ連結のための第2の部分300の構成要素と同一である。したがって工具200は、第1の部分100に直接または第2の部分300経由のいずれかで作業機械に適用することができる。
【0068】
第2の部分300は、工具200を回転および傾斜させる機能を有するいわゆるチルトロータである。これはこれらの機能が工具に必要なときに連結される。これらの機能が必要とされないとき、たとえば利用可能な動力すべてが工具に利用されることが望まれる場合には、これを取り外すことができる。
【0069】
供給ライン5は、第1の部分100の油圧シリンダにそのロックプランジャの動作のために、ならびに第2の部分300の油圧シリンダにそのロックプランジャの動作のために接続可能である。測定デバイス8、9、10は、チルトロータ300の第1の部分100への接続および工具200のチルトロータ300への接続の両方を点検するために利用される。好適なバルブシステム(図示せず)は、測定デバイス8、9、10をそれぞれのロックプランジャの点検のために割当て、点検機能がチルトロータ300のシリンダに接続されているときに、第1の部分のシリンダ1にて圧力が維持されるようにする。
【0070】
図12は、測定デバイスが圧力センサ8、9からの情報を処理および転送する追加の構成要素を含む、実施形態の例を示す図である。
各圧力センサ8、9は、それぞれの信号ライン81、91を介して、検出された圧力の値に基づいて供給ラインを通じる瞬間流量を計算するようにプログラムされた計算ユニット80に接続されている。各圧力センサはさらに、アクチュエータの油圧シリンダに供給された油の総体積を計算するための時間積分機能をさらに装備している。計算ユニットには、正確な接続時の体積の基準データ、および正確な接続が行われた否かを判断するために必要とされる他の情報を含むデータも格納されている。
【0071】
計算ユニット80によって処理された情報は、信号ライン82を介して、作業機械の運転室に好適に構成されているインジケータ83に供給される。インジケータ83は、関連データを表示するディスプレイ84、ならびにたとえば警報灯85および/または警報器86などの警報ユニットを含有し得る。
【0072】
インジケータ83に関連して、運転者からの命令、たとえば計算ユニットへのそのパラメータおよびアルゴリズムに影響を及ぼす制御信号のためのならびにインジケータ83への信号の表示方式の選択のための入力を構成することが可能である。
【0073】
図13は、本発明による工具アタッチメントを装備した作業機械400を示す。
【技術分野】
【0001】
本出願は、作業機械用の工具アタッチメントであって、油圧アクチュエータを装備し、工具とのロック連動のために構成されたロックプランジャ手段、および油圧媒体をアクチュエータに供給するための油圧媒体供給手段を備える工具アタッチメントに関するものである。
【0002】
本発明は、本発明による工具アタッチメントを装備した作業機械にも関する。
本発明の第2の態様において、本発明は発明された工具アタッチメントの使用に関する。
【背景技術】
【0003】
過去数十年の間、ホイールローダ、マテリアルハンドラおよび他の種類の機械などの作業機械に関連するバケットおよび工具を迅速に交換するための工具アタッチメントシステムの使用は、欧州の市場の大半においては当然のことになってきている。同様に開発は、運転者が運転室を離れて、単純なレバーの動作によりアタッチメントのロック機構を固定または解除する単純な機械的ソリューションから、運転者が単に運転室のボタンを押すだけでアタッチメントのロック機構を作動させるロックシリンダを調節する、油圧ソリューションへと素早い進化を遂げている。ごく近年に、全自動工具アタッチメントシステムも市場へ進出を果たしている。ここで機械式バケットと油圧式バケットの連結および切り離しは、運転室から直接、全自動で行われる。油圧ホースおよび電気ケーブルも自動で接続される。
【0004】
したがってEP 602 165において、このようなシステムならびにこれに含まれる工具アタッチメントおよび作業工具が開示されている。EP 602 165で開示されたシステムでは、工具アタッチメントおよび作業工具の接続、締付けならびに油圧系と電気系との相互接続は、運転者が作業機械の自分の席を離れることなく行えるという事実によって、極めて多くの利点をもたらしている。
【0005】
大半の工具アタッチメントシステムは、工具アタッチメントが「捕捉側」と固定側とを有するという原則に基づく。機械設計で2方向から連結および固定することができる対称ブラケットアタッチメントは別として、大半の工具ブラケットは同じ捕捉側および固定側を有する。アタッチメントの捕捉側は、工具をピックアップして、所定位置に向けて、次にロックドエルまたはロックリップの形のロック機構によって工具をロックして、工具ブラケットのロック状態に入る。ロック機構は、アタッチメントの連結方向か本方向に対して90度水平方向のいずれかに延伸する。工具ブラケットは、工具アタッチメントに接続されている作業工具の一部である。
【0006】
EP 602 165によって開示されたシステムでは、ロックシステムは、バー要素、工具ブラケットのそれぞれの側方のいわゆるブラケットピンならびに工具アタッチメントの2個の、それぞれU字形およびL字形のグリップから成る。相互に連結されると、U字形グリップは爪形の捕捉手段として作用して、工具ブラケットの対応する側のブラケットピンに跨るようにされ、ブラケットピンはグリップ手段を構成している。次に工具アタッチメントおよび作業工具は、U字形グリップが跨ったブラケットピンの周囲で相互に、他方のブラケットピンがLグリップに当接する位置に向けられる。同じ位置において、ロックプランジャはL字形グリップ中に押出され、Lグリップと共に他方のブラケットピンを包囲する。これにより作業工具は、工具アタッチメントに締付けられる。ロック動作が実行されるのと同時に、工具アタッチメントの油圧連結ユニットは、作業工具の対応する油圧連結ユニットとの組合せ連結のために移動される。
【0007】
EP 602 165に開示された組合せ連結および他の同様のシステムにおいて、正確な組合せ連結を保証する点で問題が発生し得る。
さらにWO 2004/072387によれば、工具を工具アタッチメントと組合せて連結するときの安全性が改善されたシステムは既知である。
【0008】
システムは、センサ手段と、検知手段とを備え、検知手段は、センサ手段から検知手段への情報の伝送のために構成されている。センサ手段は、工具アタッチメントおよび作業工具の一方に構成された少なくとも1個のセンサユニットを有する。検知手段は、これらの他方に構成された少なくとも1個の検知ユニットを有する。このシステムにより、安全性の改善が達成されるが、苛酷かつ不潔な環境では比較的感度の高い構成要素の存在が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】欧州特許公報EP 602 165号
【特許文献2】国際特許出願公開公報WO 2004/072387号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
工具と工具アタッチメントとのこの種の組合せ連結に関する固有の問題は、1個または複数のロックプランジャが他方のブラケットピン、すなわちロックのためにロックプランジャと連動する工具の要素に対して正しく位置するようになるかどうかを判断できる可能性である。
【0011】
ロックプランジャがロックのために作動されるときに誤った方向を向けられた場合、ロックが達成されないリスクがある。ある誤配置では、これによりロックプランジャがブラケットピンに突き当るようになる。しかし通常、誤配置が比較的小さい問題であるのは、作業機械の運転者がこれを監視することが容易なためである。他の誤配置では、ロックプランジャがブラケットピンの誤った側に到達することがある。運転者がこれを検出することがより困難な理由は、ロックプランジャが駆動ストロークにていずれの障害物にも遭遇しておらず、これを目視できるようにするための視界が、通常は不明瞭であるためである。運転者が次に、工具が正しく装着されたと考えて工具を上昇させると、工具が緩んだときに事故のリスクがある。
【0012】
本発明の目的は、この問題を克服して、簡単な方法でこの種の誤った組合せ連結のリスクを排除または少なくとも低減することである。
【発明を解決するための手段】
【0013】
本発明により、説明された目的は、前置きとして挙げた種類の工具アタッチメントが、アクチュエータに供給される油圧媒体の体積を測定するよう構成された測定デバイスを油圧供給手段が装備するという特別な特徴を有するという事実によって実現される。
【0014】
プランジャ手段のストローク長は通常、そのアクチュエータに供給された油圧媒体の体積に正比例するため、体積の測定によってロックプランジャ手段が変位された距離の指標が与えられる。正確な締付けに相当するストローク長を表す体積を容易に決定することができる。
【0015】
これより小さい体積は、ロックプランジャ手段がたとえば、ロックプランジャ手段がロックが行われる間に連動するブラケットピンに突き当たるその外端によって、ロック位置への到達が防止されていることを示す。本状態は、明らかに運転者の位置を視覚的に決定することは比較的容易であり、よって多くの場合で体積測定を介して検出するためにはあまり重要でない。
【0016】
正確なストローク長に相当する体積よりも大きい体積は、ロックプランジャ手段の移動が大きすぎたことを示す。ロック動作の間のロックプランジャ手段が位置ずれを起こして、ロック連動が提供される工具のブラケットピンの誤った側にロックプランジャ手段が到達する場合に、起こり得る。ロックプランジャ手段が誤った側に到達した場合、そのアクチュエータがその端位置に到達する前にプランジャ手段の動作を停止させるものは通常はなく、またはそうでない場合は、プランジャ手段の動作は、正確なロック位置の場合よりも後で動作を停止する障害物によって停止される。これにより油圧媒体の供給体積の測定は、正確なロック位置に対応する体積よりも大きい体積を示し、それにより本状態が存在することを通知する。このことが最も深刻な状態となる理由は、運転室から視覚的に監視することが困難な点にある。
【0017】
したがってこの種の誤接続を明確に示す本発明の工具アタッチメントによって、誤った接続での継続運転を回避できるようになる。接続プロセスは中断およびやり直しが可能である。これにより事故のリスクが大幅に回避される。本指標を得るための本発明の技法は、極めて単純かつ信頼性が高く、加えて、本発明が通常使用される環境で多い泥などの侵入に対して比較的影響を受けにくい。
【0018】
本発明の好ましい実施形態によれば、油圧媒体供給手段は供給ラインを備え、測定デバイスは供給ラインを通る流量を測定するように構成されている。
このようにして測定デバイスの構成は、測定デバイスが供給ラインを通る流量を測定できるように、アクチュエータに供給される油圧媒体の体積を決定するための単純で信頼性の高い方法である。
【0019】
追加の好ましい実施形態によれば、測定デバイスは、供給ラインにおける狭窄部と、狭窄部のそれぞれの側方における圧力センサとを備える。
圧力センサによって、狭窄部にわたる圧力低下に関するデータが得られる。圧力低下に基づいて、ベルヌーイの等式を利用することによって、狭窄部を通じる流量およびその中に供給される油圧液の体積を単純な方法で計算することができる。
【0020】
圧力低下に対する流量の計算は、供給ラインの寸法に対して狭窄部が小さくなるほど、より正確になる。しかし詰まりのリスクによって、狭窄部の寸法の下限が設定される。好適には、狭窄部は、0.5から1.5mmの直径および0.5から2mmの間隔の長さに相当する流路面積を有する。本範囲では、いわゆる液圧絞りが生成され、これにより流量計算が非常に正確になる。
【0021】
追加の好ましい実施形態によれば、測定デバイスは、各圧力センサからの信号を受信するように構成され、圧力センサによって検知された圧力レベルに対して供給ラインを通る体積速度を定義するアルゴリズムおよび油圧媒体の供給量の計算のために体積流速を積分する積分アルゴリズムを備えた計算プログラムを装備した計算ユニットを備える。
【0022】
測定デバイスが検知された圧力レベルを流量レベルに関する情報に十分に変換するように予めプログラムされているという事実により、示された流量体積が正確であることが保証される。これにより圧力レベルの誤った取扱いによるミスのリスクが除去される。
【0023】
追加の実施形態によれば、測定デバイスは、インジケータと信号接続されている。
これにより、記録された情報は機械の運転者に提示され、必要な場合に迅速な措置を講じることができる。好適には、インジケータは運転者が容易に接近できる場所に、たとえば作業機械の運転室に位置する。
【0024】
追加の好ましい実施形態によれば、インジケータは、規定の測定体積を超えたときに警報信号を作動させるように構成されている。
本実施形態によれば、測定から十分な措置までの完璧な連鎖が完成される。運転者は、測定値の中断を気にする必要なく、OK(可)またはnot OK(不可)の形で結果を与えられる。警報信号は、ディスプレイ上に音声信号として、またはその組合せとして与えられる。
【0025】
追加の好ましい実施形態によれば、ロックプランジャ手段は、工具が工具アタッチメントに締付けられるときに、各ロックプランジャが工具本体に対して適用されるように構成された当接面を装備することを備える。ロックプランジャの当接面が当接する本体は、好適には捕捉側のブラケットピンである。当接によって、ロックプランジャの動作の明らかな停止が行われ、これにより正確なロッキングでのロックプランジャ位置の明白な基準が生成され、これはロック動作の間にもたらされた体積が関連し得る基準体積を表す。このようにして、ロックプランジャの変位が大きすぎたか否かを判断することが容易になる。
【0026】
追加の好ましい実施形態によれば、工具アタッチメントは、工具への接続のための油圧連結手段およびロックプランジャ手段のアクチュエータまたは油圧連結手段のいずれかへの供給ラインの選択的接続を行うためのバルブ手段を備える。
【0027】
このようなバルブ手段により、ロックならびに工具の操作に同じ油圧媒体供給を使用することが可能となり、このことは単純化および費用の節約を意味する。可逆性バルブ手段により、工具アタッチメントへの油圧ラインは、ロック機構の操作および作業工具の操作の2つの機能を果たすことができる。これにより、油圧ライン手段に必要な油圧ラインの数が減少され、例として、ラインの数は4つから2つに減少され得る。このことはクレーンアームに沿った油圧ラインの走行範囲ならびにスイベル流路の数を減少させるので、アセンブリはより単純になり、これによりさらに安価となる。
【0028】
これは測定デバイスと共に、取扱い上の大きな安全性と最小限のライン取回しを兼ね備えたトータルソリューションをもたらしている。
追加の好ましい実施形態によれば、工具アタッチメントは、作業機械への永久取付けのために構成された第1の部分と、第1の部分に着脱自在に接続するために構成された第2の部分とを備え、第1の部分は、第1の油圧アクチュエータを装備して、第2の部分とのロック連動するように構成された第1のロックプランジャ手段を備え、第2の部分は、第2の油圧アクチュエータを装備して、工具とのロック連動のために構成された第2のロックプランジャ手段を備え、油圧媒体供給手段は、第1ならびに第2のアクチュエータへの油圧媒体の供給のために構成され、測定デバイスは、それぞれ1台のアクチュエータに供給された油圧媒体の体積を測定するために構成されている。
【0029】
作業機械が取扱うことを目的とする多くの工具は、優れた可動性を必要とし、とりわけ工具は回転可能および傾斜可能であるべきである。ゆえにこのような機能は概して、いわゆるチルトローテータの工具アタッチメントに組み込まれている。ある作業運転において、またはある一定の工具については、これらの要件は課せられない。代わりに、利用可能な最大動力が興味の対象となっている。この理由のために、回転および傾斜の機能を作業機械のアームと工具との間の独立したアダプタユニットに割当てることで、工具を本ユニットと連結するまたは連結しない選択肢が得られるため好都合である。
【0030】
したがって、この場合、工具アタッチメントは2つの部分から成り、第1の部分は作業機械のアームに永久接続され、第2の部分はチルトローテータである。
次に、作業機械のアームとチルトローテータとの、ならびにチルトローテータと工具との相互接続において、正確な連結を容易に確立できることが重要である。このことは測定デバイスがこの両方の接続をチェックする本実施形態によって保証される。本発明によるチェック機能によって与えられる単純さが本接続において特に価値があるのは、保証されるべきことが2つの相互接続であり、チルトローテータによって他方の相互接続が運転者に同じ直接的な感覚を伝達しないためである。
【0031】
追加の好ましい実施形態によれば、ロックプランジャ手段は、同時に同じ方向に変位可能な少なくとも2個の並列ロックプランジャを備え、アクチュエータは、油圧連結手段をロックプランジャと並行に、およびロックプランジャと同じ方向に変位させるようにも構成されている。
【0032】
2個以上のロックプランジャは大きな連結安全性をもたらし、このようにして油圧部品のロック動作および相互接続動作の協調により、迅速かつ安全な接続がもたらされる。本発明による測定デバイスは、このような設計に適用するために特に適切である。しかし本発明は、他の方法で、たとえば反対方向に構成された、および油圧相互接続方向に対して交差方向に配列されたプランジャにも適用可能であることが認識されるべきである。
【0033】
上記の好ましい実施形態は、請求項1に従属する請求項で定義される。追加の好ましい実施形態は当然、上記の好ましい実施形態の実現可能なすべての組合せから成り得ることが強調されるべきである。
【0034】
本発明は、本発明による特に本発明の好ましい実施形態のいずれかによる工具アタッチメントを備える作業機械にも関する。
本発明は、工具を特に工具アタッチメントの好ましい実施形態のいずれかによる工具アタッチメントに取付けるための、本発明の工具アタッチメントの使用にさらに関する。
【0035】
本発明の作業機械および本発明の使用は、本発明の工具およびその好ましい実施形態と同様の相当する種類の利点、ならびに上で説明された利点をもたらしている。
本発明は、後述する本発明の実施形態の例の詳細な説明によって、添付図面を参照してより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】第1の相対位置における工具アタッチメントおよび作業工具の透視図である。
【図2】第2の相対位置における、図1の構成要素の透視図である。
【図3】第3の相対位置における、図1の構成要素の透視図である。
【図4】工具および工具アタッチメントの正確な組合せ連結を示す。
【図5】誤った組合せ連結の第1の例を示す。
【図6】誤った組合せ連結の第2の例を示す。
【図7】本発明による測定デバイスを表す油圧図である。
【図8】図7の測定デバイスの詳細を表す。
【図9】本発明の第2の実施形態の例を表す油圧図である。
【図10】別の動作状態を表す図9の油圧図の詳細である。
【図11】本発明の第3の実施形態の例による工具アタッチメントである。
【図12】追加の実施形態の例による測定デバイスを表す図である。
【図13】本発明による工具アタッチメントを装備した作業機械を図式的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1から3において、工具アタッチメントおよび作業工具の組合せ連結のための、公知のシステムが記載されている。したがってこれらの図に示されているものおよびこれに関連する説明は、例として言及したEP 602 165で開示され、ここで引用されているような従来技術に含まれる。
【0038】
したがって図1のシステムは、工具アタッチメント100および作業工具200から成る。工具アタッチメント100は作業機械に搭載されるものであるが、作業機械は図示されていない。作業工具200は、工具アタッチメント100と組合せて連結され、異なる種類の作業工具のための標準化設計の部品である工具ブラケット201を備える。作業工具の作用部品は図に示されていない。これは異なる目的において異なる形で形成されている。したがってシステムによって、異なる種類の作業を目的とする作業工具を機械の工具アタッチメント100に接続することができる。
【0039】
工具アタッチメントは、図の右側の捕捉側102および図の左側の固定側103によって形成されている接続部品101を有する。捕捉側102は2個のU字形外形の凹部104を有し、その一方のみが図示されている。固定側103はL字形外形を有し、これから2個のロックプランジャ105が突出して、L字形外形と共にU字形外形を形成するように構成されている。図1において、ロックプランジャは突出位置で示されている。
【0040】
図1に見られるように、ロックプランジャは、接続部品101の固定側103のL字形外形と共に、ロックが行われる間にブラケットピン203に当接する下部106を装備している。したがって下部106は、ブラケットピンに当接させるための当接面である。
【0041】
作業工具200の工具ブラケット201は、工具アタッチメントの捕捉側102と連動するように構成された第1のブラケットピン202および工具アタッチメントの固定側103と連動するように構成された第2のブラケットピン203を装備している。または各ブラケットピンは、代替的に工具ブラケットの各側方端部の短ピン基部と代えられることがある。
【0042】
工具アタッチメントが作業工具と組合せて連結されるときに、工具アタッチメントは図2に示すような捕捉位置まで移動される。このことは、工具アタッチメントのU外形104が作業工具の第1のブラケットピン202を跨ぐようにさせていることを意味する。したがって本位置において、該ブラケットピン202はU外形の下部またはほぼそのような位置に当接している。工具アタッチメント100は、図に見られるように、同じ位置で上に傾けられている。角度位置は本段階では特に重要ではなく、したがって工具アタッチメントと作業工具との間の角度は、ある間隔内のいずれかの角度である。
【0043】
次のステップは、図2に示す位置から、工具アタッチメント100および作業工具200を相互に、工具アタッチメント100が作業工具に面して内側に向く方向に向けることである。このことは挿入位置のロックプランジャによって行われるので、第2のブラケットピン203がL外形の所定位置に達する程度に工具アタッチメントを方向転換することができる。構成要素が配置されると、締付けの準備は完了である。このことは第2のブラケットピン203がL外形103の間にロックされるように突出させたロックプランジャ105によって行われ、ロックプランジャ15はこの2つの位置の間で油圧により作動される。
【0044】
図3では、構成要素が締付け位置で示されている。工具アタッチメントは、作業工具上に構成された対応のユニットと組合せ連結される多数の油圧連結ユニットおよび電気連結ユニットを装備している。連結ユニットは、それぞれのユニットの連結傾斜路上に構成されている。工具アタッチメントの連結傾斜路は、ロックプランジャを動作させる油圧シリンダによって傾斜路が動作されるような方法で搭載される。図3では、作業工具の連結傾斜路204の裏側が見えるが、その前側は工具アタッチメントの連結傾斜路と同様に隠されている。したがって、ロックプランジャの突出は、連結ユニットの組合せ連結と同時に行われる。本発明は当然、これが同時に行われる設計に限定されない。
【0045】
本発明は、ロックプランジャが図1から3のような工具アタッチメントの長手方向に操作される設計にも限定されない。したがってロックプランジャは、これらが本方向に対して垂直に、すなわち第1のブラケットピン202に対して平行に移動されるように構成され得る。このような場合、ロックプランジャは、工具ブラケットの側面ピースの開口に突入し得る。ロックプランジャの動作の他の構成も当然、本発明の範囲内で実現可能である。
【0046】
同様に捕捉手段は爪様要素に、すなわち工具アタッチメントのU外形とは異なるように形成され得て、グリップ手段はバー要素に、すなわち作業工具のブラケットピンとは異なるように形成され得る。したがって、作業工具は、例えば、工具アタッチメントの補完手段との連動のために爪様フックを装備し得る。
【0047】
組合せ連結の重要な段階は、工具アタッチメント100が図2に示す位置から、図4に示す組合せ連結位置に方向変換されるときである。正確な位置調整では、組合せ連結位置のロックプランジャ105は、ロックプランジャが突出したときに、第2のブラケットピン203の下、すなわちその内部に到達するように位置調整するべきである。
【0048】
誤った位置調整では、ロックプランジャ105は、ロックプランジャの外端が第2のブラケットピン203に突き当たるように、またはロックプランジャが第2のブラケットピンの上側、すなわち外側に到達する。これにより、工具上昇時に、工具200は工具アタッチメント100から緩み、このことは事故のリスクを意味する。
【0049】
以下では、本発明がこのような誤った位置調整を検知して、位置調整を修正する処置を講じる方法について記載する。原理は、締付け動作が行われるときのプランジャのストローク動作の長さを検知することである。すなわちストローク長は、上述の位置調整に対して異なるようになる。
【0050】
図4に示すように位置調整が正確であるとき、ストローク動作によってロックプランジャ105はブラケットピン203を過ぎて各ロックプランジャ105の当接面106がブラケットピンに当接する位置まで移動され、これでロックプランジャの連続動作が停止され、これにより正確なソリューションにおけるストローク長の基準が定義される。
【0051】
図5に示すように、ロックプランジャ105の外端がブラケットピン203に当接するような位置調整の場合、ロックプランジャの移動は早期段階で停止され、すなわちストローク長は基準長よりはるかに短くなり、この種の誤った位置調整が示される。大半の場合、運転者が誤った当接を目視で認知することは極めて簡単であることは事実であるため、本発明は通常、この指標のためにはあまり重要ではない。
【0052】
他方、図6に示すようにロックプランジャ105がブラケットピン203の外側に到達する場合、このような誤った位置調整は、検知が困難であり得る。このような位置調整では、ロックプランジャ105の動作は、アクチュエータを構成する油圧シリンダのストローク長が許す限り継続するストローク動作なしに、ブラケットピン203に突き当たるロックプランジャの当接面106によって停止されない。この場合、ストローク長は基準長より長くなり、これによりこの種の誤った位置調整の指標である。
【0053】
プランジャのストローク長は、アクチュエータの油圧シリンダに供給される油圧液の体積と正比例する。
図7は、図1のロックプランジャ105のアクチュエータを示す。アクチュエータは2個の油圧シリンダ1から成り、その各プランジャロッド2はそれぞれのロックプランジャ105と接続されている。油圧媒体供給手段はタンク3、ポンプ4、供給ライン5、および戻りライン6を備える。反転バルブ7は、ポンプ4を供給ライン5または戻りライン6のいずれかと接続する。反転バルブ7の表示された位置では、ポンプは供給ライン5と接続されている。油圧液、通常、油は供給ラインからそれぞれの分岐ライン51へ、それぞれの逆止めバルブ52を介して油圧シリンダ1の各圧力側に分配される。戻りライン6はそれぞれの分岐ライン61を介して、油圧シリンダ1の各戻り側に接続される。
【0054】
供給ライン5には測定デバイスが構成される。測定デバイスは、狭窄部8ならびに第1の圧力センサ9および第2の圧力センサ10から成る。ポンプ4が油圧シリンダ1のそれぞれの圧力側に供給ラインを通じて油を圧送するとき、狭窄部8は圧力低下を引き起こし、圧力低下は圧力センサ9、10によって記録される。これにより、図8に関連してさらに詳細に説明される方法での、油圧シリンダ1に供給される体積の決定が可能になる。
【0055】
狭窄部8はいわゆる縁の鋭い狭窄部であるため、狭窄部を通じる流量は油の粘度とは独立するように、いわゆる液圧絞りになる。狭窄部流路は、貫通穴89が設けられている壁88から成る。上流側では、貫通穴89は平面壁に開口しているので、壁に対する面積変化は貫通穴89の端部にてただちに行われる。下流側では、貫通穴はより平滑な面積変化で開口し得る。この種類の狭窄部を使用すると、流量は、狭窄部にわたる圧力低下、油の密度および定数Cdのみに依存することになる。流れの方向は矢印によって示されている。
【0056】
ベルヌーイの等式から得られる狭窄部を通る流量は、下の式に従って計算され、下で定義される条件の下にて高い精度まで有効である。
【0057】
【数1】
式中、Q=流量(l/秒)
Cd=流量係数、すなわちCv×Cc
A=断面積
ρ=油の密度
P1、P2=狭窄部前後の圧力(MPa)
式は、狭窄部前後の流速が狭窄部オリフィスにおける速度と比較して無視できる、すなわちφd<φDという条件、および流れの方向の狭窄部の長さLが他の寸法と比較して無視できるという条件で有効である。15から40cstの粘度範囲内の鉱油タイプでは、流量係数はCd=0.65から0.70に設定することができる。
【0058】
2個の圧力センサ9、10によりP1およびP2を測定することによって、供給ライン5を通じる瞬間流速Qの直接の値が得られる。ストローク移動の間の時間積分、すなわちΣQdtは、結果として供給された油の体積および、それによるストローク長の尺度を直接与える。下の表では、本発明の工具アタッチメントの異なるサイズの多数のモデルについて、興味深いデータが示されている。すべてのモデルにおいて、ロックは2個のロックプランジャによって行われ、アクチュエータは2個のシリンダを有する。
【0059】
体積のロックにより、プランジャによって正確なロック位置がとられたときに供給される油圧液の体積が参照される。体積空ストロークは、シリンダの完全変位によって表され、ロック位置が誤っている場合に成立するため、ロックプランジャはブラケットピンの外側にまで到達し、ここでプランジャ動作はいずれの障害物とも接触しない。
【0060】
【表1】
最も右側の列に見られるように、体積とストローク長の差はロック位置と空位置との間、すなわち誤った位置調整において顕著である。差はモデルサイズに応じて4.3から16.7%の間で変化する。示された測定方法によるこの差は、誤差範囲は数パーセントであるため、正確なまたは誤った状態が存在する場合に信頼性のある情報が得られるのに十分な広い範囲による。
【0061】
図9および10は、反転バルブロックシリンダまたは油圧連結のいずれかに油圧油を誘導するように構成されている、本発明の第2の実施形態の例を示す。
図9は、油圧部品が連結されて作業工具をロックするときの位置を示す。バルブ板109には、2個の切換バルブ55、56が構成されている。各バルブの進入側は、油圧動力源3からそれぞれの油圧ライン5、6に接続されている。各バルブ55、56は、油圧連結ユニット57、67または油圧シリンダ16a、16bのいずれの出口側の接続のために、2つの異なる位置に切換えることができる;示された位置では、油圧ライン24a、24bは油圧シリンダ1に接続される。工具アタッチメント200および作業工具が先に記載したような正確な位置に位置調整されているとき、図1から3に関連して記載されるように、供給ライン5がバルブ55および油圧シリンダライン53を介して加圧されるので、プランジャは図において、これにより一方ではロックプランジャ2をロック位置中に突出させるように、および他方では連結傾斜路104の連結ユニット57、67を工具ブラケットに構成された連結傾斜路204の連結ユニット58、68と接続させるように上方に変位される。
【0062】
ロックの工程が達成されると、バルブ55、56は図10に示す位置に切換えられる。ロックプランジャは、ここでは、ロック位置にあり、連結傾斜路104、204の連結ユニット57、67、58、68は組合せ連結される。これによりライン5、6は、作業工具の油圧部品にバルブ57、67、58、68を介して接続される。これにより、作業工具は動作状態にある。各油圧連結ライン56、66の間にロック中に加圧される油圧シリンダライン53への接合ライン59、69が構成されている。各接合ライン59、69には、逆止めバルブが構成されている。これらはそれぞれの油圧連結ラインから該油圧シリンダラインへの流れは許容されるが、逆方向は許容されないような方法で方向付けられている。これにより、油圧シリンダの圧力が低下する傾向にあるときに、油圧連結ライン56、57のいずれか一方から加圧された油圧油が油圧シリンダライン53中に圧入可能であるという事実により、圧力の各油圧シリンダの圧力側の維持が動作中も保証される。これによりこのバイパス機能はロックブロックを構成する。
【0063】
例えば工具の交換のために作業工具が工具アタッチメントから離脱されるとき、バルブは図5に示す位置まで切換えられ、ロックプランジャは各油圧シリンダの反対側(図の上側)が逆転バルブ7によって加圧されるという事実により退避される(図7を参照)。同時に、連結傾斜路104、204は相互に切り離される。
【0064】
図7に関連して記載されている測定デバイス8、9、10は、油圧シリンダライン53である供給ラインの一部に構成されている。
図11は、本発明による追加の実施形態の例の概略図である。この場合、工具アタッチメントは第1の部分100および第2の部分300から成る。第1の部分100は作業機械401のアームと永久に接続されており、図1に示す工具アタッチメント100として形成される。
【0065】
第2の部分300は、第1の部分100から容易に開放可能に接続され、第1の部分100との連結を意図した側では、図1の工具200の工具ブラケットに相当する連結ブラケットを用いて形成される。部分100、300の組合せ連結は、図1から3に関連して記載されるような相当する方法で行われる。
【0066】
第2の部分300は、工具200との組合せ連結のための工具連結側をさらに有する。組合せ連結側は図1に示す工具アタッチメントと同じ方法で形成され、工具との組合せ連結は対応する方法で行われる。
【0067】
第2の部分300との組合せ連結のための第1の部分の構成要素は原則として、工具200との組合せ連結のための第2の部分300の構成要素と同一である。したがって工具200は、第1の部分100に直接または第2の部分300経由のいずれかで作業機械に適用することができる。
【0068】
第2の部分300は、工具200を回転および傾斜させる機能を有するいわゆるチルトロータである。これはこれらの機能が工具に必要なときに連結される。これらの機能が必要とされないとき、たとえば利用可能な動力すべてが工具に利用されることが望まれる場合には、これを取り外すことができる。
【0069】
供給ライン5は、第1の部分100の油圧シリンダにそのロックプランジャの動作のために、ならびに第2の部分300の油圧シリンダにそのロックプランジャの動作のために接続可能である。測定デバイス8、9、10は、チルトロータ300の第1の部分100への接続および工具200のチルトロータ300への接続の両方を点検するために利用される。好適なバルブシステム(図示せず)は、測定デバイス8、9、10をそれぞれのロックプランジャの点検のために割当て、点検機能がチルトロータ300のシリンダに接続されているときに、第1の部分のシリンダ1にて圧力が維持されるようにする。
【0070】
図12は、測定デバイスが圧力センサ8、9からの情報を処理および転送する追加の構成要素を含む、実施形態の例を示す図である。
各圧力センサ8、9は、それぞれの信号ライン81、91を介して、検出された圧力の値に基づいて供給ラインを通じる瞬間流量を計算するようにプログラムされた計算ユニット80に接続されている。各圧力センサはさらに、アクチュエータの油圧シリンダに供給された油の総体積を計算するための時間積分機能をさらに装備している。計算ユニットには、正確な接続時の体積の基準データ、および正確な接続が行われた否かを判断するために必要とされる他の情報を含むデータも格納されている。
【0071】
計算ユニット80によって処理された情報は、信号ライン82を介して、作業機械の運転室に好適に構成されているインジケータ83に供給される。インジケータ83は、関連データを表示するディスプレイ84、ならびにたとえば警報灯85および/または警報器86などの警報ユニットを含有し得る。
【0072】
インジケータ83に関連して、運転者からの命令、たとえば計算ユニットへのそのパラメータおよびアルゴリズムに影響を及ぼす制御信号のためのならびにインジケータ83への信号の表示方式の選択のための入力を構成することが可能である。
【0073】
図13は、本発明による工具アタッチメントを装備した作業機械400を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機械用の工具アタッチメント(100;100、300)であって、油圧アクチュエータ(1、2)を装備すると共に、少なくとも1個のロックプランジャ(105)を備え、工具(200)とのロック連動のために構成されたロックプランジャ手段と、アクチュエータ(1、2)へ油圧媒体を供給するための油圧媒体供給手段(3、4、5)とを備える工具アッタチメントにおいて、
油圧媒体供給手段(3、4、5)は、アクチュエータ(1)に供給される油圧媒体の体積を測定するように構成された測定デバイス(8、9、10)を装備している
ことを特徴とする、工具アタッチメント。
【請求項2】
前記油圧媒体供給手段(3、4、5)が供給ライン(5)を備え、前記測定デバイス(8、9、10)が供給ライン(5)を通る流量を測定するように構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の工具アタッチメント。
【請求項3】
前記測定デバイス(8、9、10)が、供給ライン(5)中の狭窄部と前記狭窄部(8)の各側方に設けられた圧力センサ(9、10)とを備えることを特徴とする、請求項2に記載の工具アタッチメント。
【請求項4】
前記測定デバイスが計算ユニット(80)を備え、前記計算ユニット(80)は、各圧力センサ(9、10)からの信号(81、91)を受信するように構成され、圧力センサ(9、10)によって検知された圧力レベルに対して供給ライン(5)を通る流速を定義するアルゴリズムを備え、油圧媒体の供給量の計算のために流速を積分する積分アルゴリズムをさらに備えた計算プログラムを装備することを特徴とする、請求項3に記載の工具アタッチメント。
【請求項5】
前記測定デバイス(8、9、10)がインジケータ(83)に信号接続されることを特徴とする、請求項4に記載の工具アタッチメント。
【請求項6】
前記インジケータ(83)が規定の測定体積を超えたときに警報信号(85、86)を作動させるように構成されていることを特徴とする、請求項5に記載の工具アタッチメント。
【請求項7】
前記ロックプランジャ手段において、各ロックプランジャ(105)が、工具アタッチメント(100;100,300)に工具(200)が締付けられるときに工具(200)の本体(203)に対して当接するように構成された当接面(106)を装備するを特徴とする、請求項1から6のいずれか1項に記載の工具アタッチメント。
【請求項8】
前記工具アタッチメント(100;100、300)が、前記ロックプランジャ手段のアクチュエータ(1、2)または前記油圧連結手段(57、58)のいずれかに前記供給ライン(5)を選択的に接続するために、前記工具(200)およびバルブ手段(55、56)への接続のための油圧連結手段(57,58)を備えることを特徴とする、請求項1から7のいずれか1項に記載の工具アタッチメント。
【請求項9】
前記工具アタッチメント(100、300)が前記作業機械(400)への永久取付けのために構成された第1の部分(100)と前記第1の部分(100)に着脱自在に接続するために構成された第2の部分(300)とを備え、前記第1の部分(100)は、第1の油圧アクチュエータ(1)を装備して前記第2の部分(300)とのロック連動のために構成された第1のロックプランジャ手段(105)を備え、前記第2の部分(300)は、第2の油圧アクチュエータ(1a)を装備して前記工具(200)とのロック連動のために構成された第2のロックプランジャ手段を備え、前記油圧媒体供給手段(3、4、5)が第1(1)ならびに第2(1a)のアクチュエータへの油圧媒体の供給のために構成され、前記測定デバイス(8、9、10)がそれぞれ1台のアクチュエータ(1、1a)に供給された油圧媒体の体積を測定するために構成されていることを特徴とする、請求項1から8のいずれか1項に記載の工具アタッチメント。
【請求項10】
各ロックプランジャ手段が同時に同じ方向に変位可能な少なくとも2個の並列ロックプランジャ(105)を備えることと、各アクチュエータ(1、2)が、油圧連結手段(57、67)を前記ロックプランジャ(105)と並行に、且つ前記ロックプランジャ(105)と同じ方向に変位させるようにも構成されていることを特徴とする、請求項1から9のいずれか1項に記載の工具アタッチメント。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか1項に記載の工具アタッチメント(100;100、300)を備える作業機械(400)。
【請求項12】
工具を前記工具アタッチメントに取付けるための、請求項1から10のいずれか1項に記載の工具アタッチメントの使用。
【請求項1】
作業機械用の工具アタッチメント(100;100、300)であって、油圧アクチュエータ(1、2)を装備すると共に、少なくとも1個のロックプランジャ(105)を備え、工具(200)とのロック連動のために構成されたロックプランジャ手段と、アクチュエータ(1、2)へ油圧媒体を供給するための油圧媒体供給手段(3、4、5)とを備える工具アッタチメントにおいて、
油圧媒体供給手段(3、4、5)は、アクチュエータ(1)に供給される油圧媒体の体積を測定するように構成された測定デバイス(8、9、10)を装備している
ことを特徴とする、工具アタッチメント。
【請求項2】
前記油圧媒体供給手段(3、4、5)が供給ライン(5)を備え、前記測定デバイス(8、9、10)が供給ライン(5)を通る流量を測定するように構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の工具アタッチメント。
【請求項3】
前記測定デバイス(8、9、10)が、供給ライン(5)中の狭窄部と前記狭窄部(8)の各側方に設けられた圧力センサ(9、10)とを備えることを特徴とする、請求項2に記載の工具アタッチメント。
【請求項4】
前記測定デバイスが計算ユニット(80)を備え、前記計算ユニット(80)は、各圧力センサ(9、10)からの信号(81、91)を受信するように構成され、圧力センサ(9、10)によって検知された圧力レベルに対して供給ライン(5)を通る流速を定義するアルゴリズムを備え、油圧媒体の供給量の計算のために流速を積分する積分アルゴリズムをさらに備えた計算プログラムを装備することを特徴とする、請求項3に記載の工具アタッチメント。
【請求項5】
前記測定デバイス(8、9、10)がインジケータ(83)に信号接続されることを特徴とする、請求項4に記載の工具アタッチメント。
【請求項6】
前記インジケータ(83)が規定の測定体積を超えたときに警報信号(85、86)を作動させるように構成されていることを特徴とする、請求項5に記載の工具アタッチメント。
【請求項7】
前記ロックプランジャ手段において、各ロックプランジャ(105)が、工具アタッチメント(100;100,300)に工具(200)が締付けられるときに工具(200)の本体(203)に対して当接するように構成された当接面(106)を装備するを特徴とする、請求項1から6のいずれか1項に記載の工具アタッチメント。
【請求項8】
前記工具アタッチメント(100;100、300)が、前記ロックプランジャ手段のアクチュエータ(1、2)または前記油圧連結手段(57、58)のいずれかに前記供給ライン(5)を選択的に接続するために、前記工具(200)およびバルブ手段(55、56)への接続のための油圧連結手段(57,58)を備えることを特徴とする、請求項1から7のいずれか1項に記載の工具アタッチメント。
【請求項9】
前記工具アタッチメント(100、300)が前記作業機械(400)への永久取付けのために構成された第1の部分(100)と前記第1の部分(100)に着脱自在に接続するために構成された第2の部分(300)とを備え、前記第1の部分(100)は、第1の油圧アクチュエータ(1)を装備して前記第2の部分(300)とのロック連動のために構成された第1のロックプランジャ手段(105)を備え、前記第2の部分(300)は、第2の油圧アクチュエータ(1a)を装備して前記工具(200)とのロック連動のために構成された第2のロックプランジャ手段を備え、前記油圧媒体供給手段(3、4、5)が第1(1)ならびに第2(1a)のアクチュエータへの油圧媒体の供給のために構成され、前記測定デバイス(8、9、10)がそれぞれ1台のアクチュエータ(1、1a)に供給された油圧媒体の体積を測定するために構成されていることを特徴とする、請求項1から8のいずれか1項に記載の工具アタッチメント。
【請求項10】
各ロックプランジャ手段が同時に同じ方向に変位可能な少なくとも2個の並列ロックプランジャ(105)を備えることと、各アクチュエータ(1、2)が、油圧連結手段(57、67)を前記ロックプランジャ(105)と並行に、且つ前記ロックプランジャ(105)と同じ方向に変位させるようにも構成されていることを特徴とする、請求項1から9のいずれか1項に記載の工具アタッチメント。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか1項に記載の工具アタッチメント(100;100、300)を備える作業機械(400)。
【請求項12】
工具を前記工具アタッチメントに取付けるための、請求項1から10のいずれか1項に記載の工具アタッチメントの使用。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2013−501865(P2013−501865A)
【公表日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−524677(P2012−524677)
【出願日】平成22年6月4日(2010.6.4)
【国際出願番号】PCT/SE2010/050622
【国際公開番号】WO2011/019312
【国際公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(505287254)オイルクイック アーベー (3)
【氏名又は名称原語表記】OILQUICK AB
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月4日(2010.6.4)
【国際出願番号】PCT/SE2010/050622
【国際公開番号】WO2011/019312
【国際公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(505287254)オイルクイック アーベー (3)
【氏名又は名称原語表記】OILQUICK AB
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]