説明

油圧四輪駆動型作業車輌

【課題】駆動輪の駆動速度及び駆動トルクの可変領域を変更させ得る油圧四輪駆動型作業車輌を提供する。
【解決手段】車輌前後方向一方側及び他方側に配設された一対の第1駆動輪及び一対の第2駆動輪をそれぞれ駆動する一対の第1ホイールモータ装置及び一対の第2ホイールモータ装置を備える。各ホイールモータ装置は、油圧モータ本体、モータ側容積調整機構、油圧作動機構及びハウジングを有する。前記4つのホイールモータ装置における前記油圧作動機構は単一の油圧源からの作動油によって作動制御される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車輌前後方向一方側及び他方側にそれぞれ配設された一対の第1駆動輪及び一対の第2駆動輪のそれぞれが油圧モータ本体を有するホイールモータ装置によって駆動される油圧四輪駆動型作業車輌に関する。
【背景技術】
【0002】
車輌前後方向一方側及び他方側にそれぞれ配設された一対の第1駆動輪及び一対の第2駆動輪のそれぞれが油圧モータ本体を有するホイールモータ装置によって駆動される油圧四輪駆動型作業車輌は従前から提案されている(例えば、下記特許文献1参照)。
【0003】
詳しくは、前記油圧四輪駆動型作業車輌は、駆動源に作動連結された可変容積型の油圧ポンプ本体を含む油圧ポンプユニットと、前記一対の第1駆動輪及び前記一対の第2駆動輪のそれぞれを駆動する4つのホイールモータ装置とを備えている。
【0004】
前記ホイールモータ装置は、対応する駆動輪を作動的に駆動する固定容積型の油圧モータ本体を有しており、前記油圧モータ本体は、前記油圧ポンプ本体と配管等の油圧ラインを介して流体接続されている。
【0005】
前記油圧四輪駆動型作業車輌は、前記油圧ポンプ本体及び前記油圧モータ本体の間を配管等の油圧ラインで流体接続させることができる為、前記一対の第1駆動輪の間、及び/又は、前記一対の第2駆動輪の間に自由空間を確保する必要のあるモアトラクタ等の作業車輌に好適に適用される。
【0006】
ところで、モアトラクタ等の作業車輌においては、走行状況(使用状況)に応じて駆動速度及び駆動トルクの可変領域を設定するのが望ましい。即ち、作業時においては低速・高トルクモードで駆動輪の駆動速度及び駆動トルクを変化させ、且つ、路上走行時においては高速・低トルクモードで駆動輪の駆動速度及び駆動トルクを変化させるのが望ましい。
【0007】
しかしながら、従来の四輪油圧駆動型作業車輌においては、駆動輪の駆動速度及び駆動トルクの可変範囲は、前記可変容積型油圧ポンプ本体の吸引/吐出量の可変範囲のみに依存している。
つまり、従来構成においては、前記油圧ポンプ本体の可変容積範囲内でしか、前記駆動輪の駆動速度及び駆動トルクを変化させることができず、走行状況に応じて駆動モードを変化させることができない。
【特許文献1】特開2002−219959号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、前記従来技術に鑑みなされたものであり、作業走行又は路上走行等の走行状況に応じて駆動輪の駆動速度及び駆動トルクの可変領域を変更させ得る油圧四輪駆動型作業車輌の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、前記目的を達成する為に、駆動源と、車輌前後方向一方側に配設された左右一対の第1駆動輪と、車輌前後方向他方側に配設された左右一対の第2駆動輪と、前記駆動源によって作動的に駆動される油圧ポンプ本体及び人為操作可能な主変速操作部材の操作に応じて前記油圧ポンプ本体の吸引/吐出量を変化させるポンプ側容積調整機構を含む油圧ポンプユニットと、前記一対の第1駆動輪をそれぞれ駆動する左右一対の第1ホイールモータ装置と、前記一対の第2駆動輪をそれぞれ駆動する左右一対の第2ホイールモータ装置とを備えた油圧四輪駆動型作業車輌であって、前記一対の第1ホイールモータ装置及び前記一対の第2ホイールモータ装置の各々は、前記油圧ポンプ本体と共働してHSTを形成するように前記油圧ポンプ本体にHSTラインを介して流体接続され且つ対応する駆動輪を作動的に駆動する油圧モータ本体と、前記油圧モータ本体の吸引/吐出量を変化させるモータ側容積調整機構と、前記モータ側容積調整機構を作動させる油圧作動機構と、前記油圧モータ本体,前記モータ側容積調整機構及び前記油圧作動機構を収容するハウジングとを備え、前記一対の第1ホイールモータ装置及び前記一対の第2ホイールモータ装置における前記油圧作動機構は単一の油圧源からの作動油によって作動制御される油圧四輪駆動型作業車輌を提供する。
【0010】
一形態においては、前記モータ側容積調整機構は、前記油圧モータ本体の回転軸線と直交する揺動軸線回りに傾転可能なモータ側可動斜板と、第1端部が前記油圧作動機構に作動連結された状態で軸線回り回転可能に前記ハウジングに支持され且つ第2端部が前記モータ側可動斜板に作動連結されたモータ側制御軸とを有し、前記モータ側制御軸は、前記油圧作動機構によって前記第1端部が軸線回りに回転されることで前記第2端部が前記モータ側可動斜板を前記揺動軸線回りに傾転させるように、前記第2端部の軸線が前記第1端部の軸線に対して偏心された偏心軸とされる。
【0011】
前記一形態において、好ましくは、前記油圧作動機構は、前記ハウジングに形成されたピストン収容空間と、前記ピストン収容空間を軸線方向一方側の受圧室及び軸線方向他方側のバネ室に液密に画するように前記ピストン収容空間に軸線方向移動可能に収容されたピストンと、前記ピストンを軸線方向一方側へ付勢するように前記バネ室に収容された付勢部材とを有し得る。
前記油圧四輪駆動型作業車輌は、人為操作に応じて前記油圧源から前記受圧室へ作動油を供給する供給状態及び前記受圧室から作動油を排出する排出状態を選択的にとり得る変速切換弁をさらに備える。
前記ピストンは、軸線方向位置に応じて前記モータ側制御軸の前記第1端部を軸線回りに回転させるように前記第1端部に作動連結される。
【0012】
より好ましくは、前記作業車輌は、人為操作に応じて操作信号を出力する副変速操作部材と、前記操作信号に基づき前記変速切換弁の作動制御を行う制御装置とをさらに備え得る。そして、前記油圧作動機構は、前記ピストンの軸線方向位置を検出する位置検出センサを有し得る。
前記制御装置は、前記一対の第1ホイールモータ装置及び前記一対の第2ホイールモータ装置における4つの前記位置検出センサからの信号が同一でない場合には、前記副変速操作部材からの操作信号に拘わらず、前記変速切換弁を排出状態とさせて前記ピストンを前記付勢部材の付勢力によって軸線方向一方側の初期位置に位置させるように構成される。
【0013】
前記油圧ポンプユニットは、前記油圧ポンプ本体と共に前記駆動源によって作動的に駆動される補助ポンプ本体を有し得る。
前記作業車輌は、一端部が前記補助ポンプ本体の吐出側に流体接続され且つ他端部が油圧機器に流体接続された作動油ラインと、前記作動油ラインの油圧を設定するリリーフ弁と、一端部が前記作動油ラインに流体接続され且つ他端部が前記変速切換弁の一次側に流体接続された供給ラインと、一端部が前記変速切換弁の二次側に流体接続され且つ他端部が前記一対の第1ホイールモータ装置及び前記一対の第2ホイールモータ装置における4つの前記ピストン収容空間の前記受圧室にそれぞれ流体接続された給排ラインとを備え得る。
前記変速切換弁は、前記供給状態においては前記供給ラインを前記給排ラインに流体接続させ、且つ、前記排出状態においては前記供給ラインの他端部を遮断し、前記給排ラインをドレンさせるように構成される。
【0014】
より好ましくは、前記ハウジングは、前記油圧モータ本体が挿通可能な開口を有する中空のモータケース本体と、前記開口を閉塞するように前記モータケース本体に着脱可能に連結されるモータ側ポートブロックであって、前記HSTラインの一部を構成するモータ側HST油路が形成されたモータ側ポートブロックとを有し得る。
前記ハウジングは、対応する駆動輪と対向する支持フレームに、前記モータ側ポートブロックが前記支持フレームより車輌幅方向内方に位置するように支持される。
前記ハウジングには、前記給排ラインの一部を構成する給排油路が形成されており、前記給排油路は、一端部が前記受圧室に流体接続され且つ他端部が前記支持フレームより車輌幅方向内方において外表面に開口されて給排ポートを形成する。
【0015】
前記モータ側可動斜板には、前記揺動軸線を基準にして径方向に延びる係入溝が設けられる。
前記モータ側制御軸は、前記第2端部が前記係入溝に係入されることで、前記モータ側可動斜板に対して前記揺動軸線を基準にして径方向には相対移動可能且つ周方向には相対移動不能とされる。
前記ピストンが軸線方向一方側の第1移動端に位置する際に、前記第2端部の軸線が前記揺動軸線及び前記第1端部の軸線を結ぶ仮想基準線より前記揺動軸線回り一方側において前記揺動軸線を中心とし且つ前記第1端部の軸線を通る仮想円弧上の第1位置に位置し、且つ、前記ピストンが軸線方向他方側の第2移動端に位置する際に、前記第2端部の軸線が前記仮想基準線より前記揺動軸線回り他方側において前記仮想円弧上の第2位置に位置するように構成される。
【0016】
より好ましくは、前記油圧作動機構は、さらに、それぞれが独立的に前記ピストンの軸線方向に沿って位置変更可能に前記ハウジングに固定される第1及び第2停止部材を備え得る。
前記第1停止部材は、前記モータ側制御軸の前記第2端部が前記第1位置に位置する際に前記ピストンと係合して前記ピストンの軸線方向一方側の前記第1移動端を画する。
前記第2停止部材は、前記モータが制御軸の前記第2端部が前記第2位置に位置する際に前記ピストンと係合して前記ピストンの軸線方向他方側の前記第2移動端を画する。
【0017】
前記種々の構成において、前記HSTラインは、前進時に前記油圧ポンプ本体から吐出される作動油を前記一対の第1ホイールモータ装置における油圧モータ本体へ供給する前進時高圧ラインと、前進時に前記一対の第1ホイールモータ装置における油圧モータ本体から吐出される作動油を前記一対の第2ホイールモータ装置における油圧モータ本体へ供給する接続ラインと、前進時に前記一対の第2ホイールモータ装置における油圧モータ本体から吐出される作動油を前記油圧ポンプ本体へ戻す前進時低圧ラインとを備え得る。
前記接続ラインは、左側の前記第1ホイールモータ装置における油圧モータ本体及び左側の前記第2ホイールモータ装置における油圧モータ本体を流体接続させる左側接続ラインと、右側の前記第1ホイールモータ装置における油圧モータ本体及び右側の前記第2ホイールモータ装置における油圧モータ本体を流体接続させる右側接続ラインと、前記左側接続ライン及び前記右側接続ラインを選択的に連通又は遮断させる駆動モード切換弁とを有し得る。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る油圧四輪駆動型作業車輌は、前記油圧ポンプ本体に加えて、前記一対の第1ホイールモータ装置及び前記一対の第2ホイールモータ装置における4つの前記油圧モータ本体の吸引/吐出量も可変とされている。従って、駆動輪の駆動速度及び駆動トルクの可変領域を作業車輌の走行状態に応じて変更させることができる。
さらに、本発明においては、前記4つの油圧モータ本体の吸引/吐出量が単一の油圧源からの作動油によって作動制御される油圧作動機構によって変化される。従って、前記4つの油圧モータ本体の吸引/吐出量を制御性良く同期変化させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
実施の形態1
以下に、本発明の好ましい一実施の形態について添付図面を参照しつつ説明する。
図1及び図2に、それぞれ、本発明の一実施の形態に係る油圧四輪駆動型作業車輌1Aの側面図及び油圧回路図を示す。
【0020】
本実施の形態においては、前記作業車輌1Aは、図1に示すように、胴体屈折式(articulate)の乗用芝刈り機とされている。
具体的には、前記作業車輌1Aは、図1及び図2に示すように、車輌前後方向一方側(本実施の形態においては後方側)に配設された第1フレーム11(1)及び車輌前後方向他方側(本実施の形態においては前方側)に配設された第2フレーム11(2)であって、前記第1フレーム11(1)に対して略垂直方向に沿った枢支軸12回り揺動自在に連結された第2フレーム11(2)を含む車輌フレーム10と、前記第1及び第2フレーム11(1),11(2)の一方(本実施の形態においては第1フレーム11(1))に支持された駆動源30と、前記駆動源30によって作動的に駆動される一つの油圧ポンプ本体420を有する油圧ポンプユニット40であって、前記一方のフレームに支持された油圧ポンプユニット40と、前記車輌フレーム10(本実施の形態においては第2フレーム11(2))に支持された運転席60と、車輌前後方向一方側(本実施の形態においては後方側)に配設された左右一対の第1駆動輪20(1)と、車輌前後方向他方側(本実施の形態においては前方側)に配設された左右一対の第2駆動輪20(2)と、前記左右一対の第1駆動輪20(1)をそれぞれ駆動する左右一対の第1ホイールモータ装置50(1)であって、前記油圧ポンプ本体420にHSTラインを介して流体接続される油圧モータ本体120を有し且つ対応する前記第1駆動輪20(1)と対向するように前記車輌フレーム10に支持された一対の第1ホイールモータ装置50(1)と、前記左右一対の第2駆動輪20(2)をそれぞれ駆動する左右一対の第2ホイールモータ装置50(2)であって、前記油圧ポンプ本体420にHSTラインを介して流体接続される油圧モータ本体120を有し且つ対応する前記第2駆動輪20(2)と対向するように前記車輌フレーム10に支持された一対の第2ホイールモータ装置50(2)とを備えている。
【0021】
本実施の形態においては、図1及び図2に示すように、前記作業車輌1Aは、さらに、前記運転席60の近傍に配置されたステアリングホイール等の人為操作可能な操舵部材5と、前記操舵部材5への人為操作に連動して、前記第1フレーム11(1)及び前記第2フレーム11(2)を前記枢支軸12回りに相対的に揺動させる油圧操舵機構70と、前記第2駆動輪20(2)よりも車輌前後方向外方(本実施の形態においては前方)に位置するように前記第2フレーム11(2)に支持されたモア装置80とを備えている。
【0022】
前記第1フレーム11(1)は、図1に示すように、左側の前記第1駆動輪20(1)と対向する左側の第1支持フレーム13(1)と、右側の前記第1駆動輪20(1)と対向する右側の第1支持フレーム(図示せず)とを有している。
同様に、前記第2フレーム11(2)は、図1に示すように、左側の前記第2駆動輪20(2)と対向する左側の第2支持フレーム13(2)と、右側の前記第2駆動輪20(2)と対向する右側の第2支持フレーム(図示せず)とを有している。
【0023】
なお、本実施の形態においては、前記枢支軸12は、図1に示すように、前記一対の第1駆動輪20(1)及び前記一対の第2駆動輪20(2)の間の車輌前後方向中央に配設されている。
即ち、前記一対の第1駆動輪20(1)の回転中心及び前記枢支軸12の間の車輌長手方向長さL1は、前記一対の第2駆動輪20(2)の回転中心及び前記枢支軸12の間の車輌長手方向長さL2と同一とされている。
【0024】
前記油圧ポンプユニット40は、図1及び図2に示されるように、前記駆動源30に作動連結されたポンプ軸410と、前記ポンプ軸410に相対回転不能に支持された前記油圧ポンプ本体420と、前記ポンプ軸410を支持すると共に前記油圧ポンプ本体420を収容するポンプ空間を形成するポンプケース430とを備えている。
【0025】
前記油圧ポンプ本体420は、図2に示すように、前記一対の第1ホイールモータ装置50(1)及び前記一対の第2ホイールモータ装置50(2)における4つの前記油圧モータ本体120と共働してHSTを形成するように、前記各油圧モータ本体120とHSTラインを介して流体接続されている。
なお、前記HSTラインを含む油圧回路については後述する。
【0026】
前記ポンプケース430には、図2に示すように、前記油圧ポンプ本体420に流体接続されたポンプ側前進時高圧作動油路441及びポンプ側前進時低圧作動油路442が設けられている。
【0027】
詳しくは、前記ポンプ側前進時高圧作動油路441は、一端部が前記油圧ポンプ本体420の車輌前進時吐出側に流体接続され且つ他端部が外表面に開口してポンプ側前進時高圧作動油ポート441(P)を形成している。
前記ポンプ側前進時低圧作動油路442は、一端部が前記油圧ポンプ本体420の車輌前進時吸引側に流体接続され且つ他端部が外表面に開口してポンプ側前進時低圧作動油ポート442(P)を形成している。
【0028】
本実施の形態においては、前記油圧ポンプユニット40は、外部操作に基づき、前記油圧ポンプ本体420の吸引/吐出量を変化させ得るように構成されている。
即ち、前記油圧ポンプユニット40は、図2に示すように、前記構成部材に加えて、外部操作に基づき前記油圧ポンプ本体420の吸引/吐出量を変更させるポンプ側容積調整機構450を有している。
【0029】
本実施の形態においては、前記油圧ポンプ本体420はアキシャルピストンタイプとされている。従って、前記ポンプ側容積調整機構450は、前記油圧ポンプ本体420のピストンの進退動作範囲を画するポンプ側可動斜板(図示せず)と、前記ポンプ側可動斜板を傾転動作させ得るように該ポンプ側可動斜板に作動連結されたポンプ側制御軸451(図1参照)とを有している。
【0030】
前記ポンプ側制御軸451は、図1に示すように、ポンプ側制御アーム455及び連結部材(図示せず)を介して、前記運転席60の近傍に配置された人為操作可能な主変速操作部材15に作動連結されている。
即ち、前記主変速操作部材15及び前記ポンプ側容積調整機構450は、前記作業車輌1Aの走行速度を変化させる主変速操作機構として作用する。
【0031】
なお、本実施の形態においては、前記ポンプ側可動斜板は、中立位置を挟んで正逆双方向に傾転可能とされている。
即ち、前記主変速操作部材15を前進方向へ操作すると前記ポンプ側可動斜板は前進方向へ傾転し、且つ、前記主変速操作部材15を後進方向へ操作すると前記ポンプ側可動斜板は後進方向へ傾転するようになっている。なお、本実施の形態においては、前記主変速操作部材15をシーソーペダル式に構成したが、前進専用、後進専用それぞれの2ペダル式でも構わない。
【0032】
さらに、前記ポンプケース430には、図2に示すように、前記ポンプ側前進時高圧作動油路441及び前記ポンプ側前進時低圧作動油路442の間を連通するバイパス油路480と、一端部が前記ポンプケース430の内部油溜めに開口されたドレン油路485と、前記バイパス油路480に介挿された外部操作可能なバイパス弁490とが設けられている。
前記バイパス弁490は、前記バイパス油路480を遮断し且つ前記ドレン油路485を前記バイパス油路480に対して遮断する遮断位置と、前記バイパス油路480を連通し且つ前記ドレン油路485を前記バイパス油路480に対して連通させる連通位置とをとり得るように構成されている。
【0033】
さらに、本実施の形態においては、前記油圧ポンプユニット40は、前記構成部材に加えて、前記ポンプ軸410によって作動的に駆動される第1補助ポンプ本体460及び第2補助ポンプ本体470を備えている。
図2に示すように、前記第1補助ポンプ本体460は、前記HSTに対して作動油を補給するチャージポンプとして作用する。
前記第2補助ポンプ本体470は、前記油圧操舵機構70に対して作動油を供給すると共に、後述する油圧作動機構200に作動油を供給している。
前記第1補助ポンプ本体460は、例えば、トロコイドポンプとされ、前記第2補助ポンプ本体470は、例えば、ギヤポンプとされ得る。
【0034】
なお、前記作業車輌1Aは、図2に示すように、外部タンク90を有しており、前記第1及び第2補助ポンプ本体460,470は前記外部タンク90を油源として作用するように構成されている。
なお、図2中の符号435は、前記ポンプケース430の内部油溜めを前記外部タンク90に流体接続させるドレン配管である。又、符号95は、前記第1及び第2補助ポンプ本体460,470の吸引ラインに介挿されたフィルタである。
【0035】
次に、前記一対の第1ホイールモータ装置50(1)及び前記一対の第2ホイールモータ装置50(2)について説明する。
前記一対の第1ホイールモータ装置50(1)は、それぞれ、対応する第1駆動輪20(1)と対向するように前記左側及び右側の第1支持フレーム13(1)(図1参照)に支持されている。
又、前記一対の第2ホイールモータ装置50(2)は、それぞれ、対応する第2駆動輪20(2)と対向するように前記左側及び右側の第2支持フレーム13(2)(図1参照)に支持されている。
【0036】
なお、本実施の形態においては、前記第1及び第2ホイールモータ装置50(1),50(2)は互いに同一構成とされている。
従って、以下においては、前記第1ホイールモータ装置50(1)について説明し、前記第2ホイールモータ装置50(2)については前記第1ホイールモータ装置50(1)と同一符号又は末尾のカッコを(2)に変更した同一符号を付して、その説明を省略する。
【0037】
図3に、前記第1ホイールモータ装置50(1)の縦断面図を示す。
又、図4に、前記第1ホイールモータ装置50(1)の部分横断面図を示す。
【0038】
図2〜図4に示すように、前記第1ホイールモータ装置50(1)は、前記油圧ポンプ本体420と前記HSTラインを介して流体接続される前記油圧モータ本体120と、前記油圧モータ本体120の吸引/吐出量を変化させるモータ側容積調整機構150と、前記モータ側容積調整機構150を作動させる油圧作動機構200と、前記油圧モータ本体120,前記モータ側容積調整機構150及び前記油圧作動機構200を収容するハウジング55とを備えている。
【0039】
本実施の形態においては、前記第1ホイールモータ装置50(1)は、前記油圧モータ本体120の回転動力を減速して対応する駆動輪に伝達するように構成されている。
詳しくは、前記第1ホイールモータ装置50(1)は、図2〜図4に示すように、前記油圧モータ本体120,前記モータ側容積調整機構150及び前記油圧作動機構200を含む油圧モータユニット100と、前記油圧モータ本体120の回転動力を減速する減速ギヤ機構310を有する減速ギヤユニット300と、前記減速ギヤ機構310によって減速された回転出力を対応する対応する駆動輪20(1)へ向けて出力する出力部材390とを備えている。
【0040】
前記油圧モータユニット100は、図2〜図4に示すように、前記油圧モータ本体120と、前記モータ側容積調整機構150と、前記油圧作動機構200と、前記ハウジング55の一部を形成するモータケース130であって、前記油圧モータ本体120及び前記モータ側容積調整機構150を収容するモータ空間130Mを形成するモータケース130と、前記油圧モータ本体120を相対回転不能に支持した状態で前記モータケース130に軸線回り回転自在に支持されたモータ軸110とを備えている。
【0041】
前記油圧モータ本体120は、図3及び図4に示されるように、前記モータ軸110に相対回転不能に支持されたモータ側シリンダブロック121と、前記モータ側シリンダブロック121に軸線回り相対回転不能且つ軸線方向進退可能に支持された複数のモータ側ピストン122とを備えている。
【0042】
前記モータケース130は、前記油圧モータ本体120が挿通可能な開口131cが設けられた中空のモータケース本体131と、前記開口131cを閉塞して前記モータ空間130Mを形成するように前記モータケース本体131に着脱可能に連結されるモータ側ポートブロック135とを備えている。
【0043】
図2に示されるように、前記モータケース130には、前記HSTラインの一部を形成するモータ側前進時高圧作動油路511及びモータ側前進時低圧作動油路512が形成されている。
前記モータ側前進時高圧作動油路511は、一端部が前記油圧モータ本体120における車輌前進時吸引側に流体接続され且つ他端部が外表面に開口されてモータ側前進時高圧作動油ポート511(P)を形成している。
前記モータ側前進時低圧作動油路512は、一端部が前記油圧モータ本体120における車輌前進時吐出側に流体接続され且つ他端部が外表面に開口されてモータ側前進時低圧作動油ポート512(P)を形成している。
本実施の形態においては、前記モータ側前進時高圧作動油路511及び前記モータ側前進時低圧作動油路512は、図4に示すように、前記モータ側ポートブロック170に形成されている。
【0044】
詳しくは、前記モータ側ポートブロック135には、前記油圧モータ本体120が摺接するモータ摺接面に開口された第1キドニーポート136と、前記モータ軸110を挟んで前記第1キドニーポート136とは反対側において前記モータ摺接面に開口された第2キドニーポート137と、前記一端部が前記第1キドニーポート136を介して前記油圧モータ本体120に流体接続され且つ他端部が前記モータ側前進時高圧作動油ポート511(P)を形成する前記モータ側前進時高圧作動油路511と、前記一端部が前記第2キドニーポート137を介して前記油圧モータ本体120に流体接続され且つ他端部が前記モータ側前進時低圧作動油ポート512(P)を形成する前記モータ側前進時低圧作動油路512とが形成されている。
【0045】
前記モータケース本体131は、図3及び図4に示されるように、前記モータ軸110と略直交する方向に延びる端壁131aと、前記端壁131aから前記モータ軸110の軸線方向に延びる周壁131bとを有しており、前記周壁131bの自由端部側が前記開口131cとされている。
【0046】
なお、本実施の形態においては、前記モータケース本体131は、図3及び図4に示すように、前記端壁131aの周縁部131dが前記周壁131bより径方向外方へ延在されており、前記端壁161の周縁部131dが前記第1ホイールモータ装置50(1)を前記支持フレーム13(1)に取り付ける為の取付フランジとして作用している。
又、前記モータケース本体131には、前記モータ空間130M内の貯留油を、配管を通じて前記外部タンク90に流体接続させるためのドレンポートが備えられる。
【0047】
前記モータ軸110は、図3及び図4に示されるように、前記モータケース本体131及び前記モータ側ポートブロック135によって画される前記モータ空間130M内において前記油圧モータ本体120を相対回転不能に支持し且つ対応する駆動輪20(1)に近接する側の第1端部111が外方へ延在された状態で、前記モータケース130に軸線回り回転自在に支持されている。
【0048】
前記モータケース本体131の前記端壁131aには前記モータ軸110の第1端部111を支持する為の支持孔が設けられている。
前述のように、前記モータ軸110の前記第1端部111は外方へ延在されている。従って、前記支持孔は貫通孔とされている。そして、前記モータ軸110は、図3及び図4に示すように、前記第1端部111が前記支持孔を介して外方へ延在された状態で、前記支持孔内に設置されたベアリング部材115を介して前記端壁131aに軸線回り回転自在に支持されている。
なお、図3及び図4における符号116は、前記支持孔を液密に閉塞する為のシール部材である。
【0049】
前記モータ軸110における対応する駆動輪20(1)から離間された側の第2端部112は、前記モータ側ポートブロック135によって軸線回り回転自在に支持されている。
詳しくは、前記モータ側ポートブロック135には、前記モータ軸110の第2端部112を支持する為の支持孔が設けられている。
【0050】
本実施の形態においては、図3に示されるように、前記モータ軸110の前記第2端部112は前記モータ側ポートブロック135から外方へ延在された外方延在部を有している。
前記第2端部112の前記外方延在部は、前記第1ホイールモータ装置50(1)に付設されるブレーキ機構56の被作動部として作用している。
【0051】
即ち、前記第1ホイールモータ装置50(1)は、図3に示すように、前記構成要件に加えて、前記ブレーキ機構56を備えている。
前記ブレーキ機構56は、前記減速ギヤ機構310によって減速される前の前記モータ軸110に対して選択的に制動力を付加し得るように構成されている。
斯かる構成によれば、前記ブレーキ機構56に必要とされるブレーキ容量を小さくすることができ、前記ブレーキ機構56の小型化を図ることができる。
なお、本実施の形態においては、図3に示すように、前記ブレーキ機構56は内拡ドラムブレーキとされているが、これに代えて、ディスクブレーキタイプやバンドブレーキなどの他のタイプのブレーキを用いることも可能である。
【0052】
前記一対の第1ホイールモータ装置50(1)又は前記一対の第2ホイールモータ装置(2)の一方において、前記ブレーキ機構56を削除することも可能である。
即ち、例えば、前記一対の第2ホイールモータ装置50(2)にのみ前記ブレーキ機構56を備え、且つ、前記一対の第1ホイールモータ装置50(1)においては前記ブレーキ機構56を削除することも可能である。
【0053】
図5及び図6に、それぞれ、図4におけるV−V線及びVI−VI線に沿った断面図を示す。
図3〜図6に示すように、前記モータ側容積調整機構150は、前記モータ側ピストン122の進退動作範囲を画するように前記モータ軸110と直交する揺動軸線160R回り傾転可能とされたモータ側可動斜板160と、前記揺動軸線160Rと平行な状態で軸線回り回転可能に前記ハウジング55(本実施の形態においては、前記モータケース本体131)に支持されたモータ側制御軸170であって、外部操作による軸線回りの回転に応じて前記モータ側可動斜板160を前記揺動軸線160R回りに傾転させるモータ側制御軸170とを有している。
なお、図6(a)及び(b)は、それぞれ、前記モータ側可動斜板160が低速位置及び高速位置に位置されている状態を示している。
【0054】
詳しくは、前記モータ側可動斜板160は、前記モータ側ピストン122の自由端部と直接又は間接的に係合した状態で前記揺動軸線160R(図6参照)回りに傾転可能とされており、前記揺動軸線160R回りの傾転角度に応じて前記モータ側ピストン122の進退動作範囲を変更する。
【0055】
前記モータ側制御軸170は、図4〜図6に示すように、前記ハウジング55(本実施の形態においては前記モータケース本体131)に軸線171R回り回転可能に支持された第1端部171と、前記第1端部171の軸線171R回りの回転に応じて前記モータ側可動斜板160を前記揺動軸線160R回りに傾転させるように、前記モータ側可動斜板160に係合された第2端部172とを有している。
【0056】
前記第2端部172は、図5及び図6に示すように、前記第1端部171に対して偏心されており、且つ、前記モータ側可動斜板160に形成された係入溝165に係入されている。
即ち、前記モータ側可動斜板160は、図4及び図6に示すように、前記モータ軸110の軸線方向に沿った方向を向くピストン係合面161であって、前記モータ側ピストン122の自由端部と直接又は間接的に係合するピストン係合面161と、前記モータ側制御軸170と対向するように前記揺動軸線160Rに沿った方向を向く制御端面162とを有している。
【0057】
前記係入溝165は、図6に示すように、前記揺動軸線160Rを基準にして径方向に延びるように前記制御端面162に形成されている。
そして、前記モータ側制御軸170の第2端部172は、前記第1端部171の軸線171Rに対して偏心された軸線172Rを有しており(図5及び図6参照)、前記係入溝165に係入されることで、前記モータ側可動斜板160に対して前記揺動軸線160Rを基準にして径方向には相対移動可能で且つ周方向には相対移動不能とされている。
なお、本実施の形態においては、前記第2端部172は、該第2端部に外挿される平面視矩形状の外挿部材173を介して前記係入溝165に係入されている。
【0058】
斯かる構成の前記モータ側制御軸170は、前記第1端部171が軸線171R回りに回転すると、前記第2端部172が前記第1端部171の軸線171R回りに回転し、これにより、前記モータ側可動斜板160を前記揺動軸線160R回りに傾転させる。
【0059】
前記油圧作動機構200は、油圧の作用を利用して前記モータ側制御軸170の前記第1端部171を軸線171R回りに回転させるように構成されている。
図7に、図5におけるVII−VII線に沿った断面図を示す。
【0060】
図5及び図7に示すように、前記油圧作動機構200は、前記モータ軸110の軸線方向及び前記モータ制御軸170の軸線方向の双方と直交する方向に延びるように前記ハウジング(本実施の形態においては前記モータケース本体131)に形成されたピストン収容空間210と、前記ピストン収容空間210を軸線方向一方側の受圧室211及び軸線方向他方側のバネ室212に液密に分離しつつ前記ピストン収容空間210に軸線方向移動可能収容されたピストン220と、前記ピストン220を軸線方向一方側へ付勢するように前記バネ室212に収容された付勢部材230とを備えている。
【0061】
本実施の形態においては、図4,図5及び図7に示すように、前記モータケース本体131の前記端壁131aには、前記モータ軸110の軸線及び前記モータ側制御軸170の軸線の双方と直交する方向に延び、両端部が外表面に開口された穿孔215が形成されている。
そして、前記穿孔215の両端部をキャップ部材216によって閉塞することで前記ピストン収容空間210が形成されている。
【0062】
前記受圧室211には下記給排油路731が流体接続されており、前記給排油路731を介して作動油が供給又は排出される。
なお、前記バネ室212は、図5に示すように、開放孔735を大気に開放されており、これにより、前記ピストン220がスムースに軸線方向に移動するようになっている。
本実施の形態においては、前記開放孔735は、前記バネ室212を前記モータ空間130Mに連通させている。
【0063】
前記ピストン220は、軸線方向位置に応じて前記モータ側制御軸170の前記第1端部171を軸線171R回りに回転させるように、前記第1端部171に作動連結されている。
本実施の形態においては、図4,図5及び図7に示すように、前記モータ側制御軸171の前記第1端部171にはギヤ175が相対回転不能に設けられ、且つ、前記ピストン210には前記ギヤ175と噛合するラック225が設けられており、これにより、前記ピストン220が軸線方向に移動すると前記モータ側制御軸170の第1端部171が軸線171R回りに回転するようになっている。
【0064】
本実施の形態においては、前記油圧作動機構200は、前記モータ側可動斜板160を中立位置からの傾転角度が大とされた低速位置に位置させることで前記油圧モータ本体の吸引/吐出量を大とし、これにより、前記油圧ポンプ本体420からの所定作動油量に対する前記油圧モータ本体120の回転速度を低速とする低速モード(図6(a)参照)と、前記モータ側可動斜板160を中立位置からの傾転角度が小とされた高速位置に位置させることで前記油圧モータ本体120の吸引/吐出量を小とし、これにより、前記油圧ポンプ本体420からの所定作動油量に対する前記油圧モータ本体120の回転速度を高速とする高速モード(図6(b)参照)とを選択的に切り換え得るように構成されている。
【0065】
具体的には、前記油圧作動機構200は、前記構成部材に加えて、前記ピストン220の軸線方向一方側の第1移動端を画する第1停止部材240と、前記ピストン220の軸線方向他方側の第2移動端を画する第2停止部材250とを備えている。
図8に、図7に対応した断面図であって、前記ピストン220が前記油圧源からの作動油によって前記付勢部材230の付勢力に抗して第2移動端に位置された状態の断面図を示す。
【0066】
好ましくは、前記ピストン220が前記第1移動端に位置されることで前記モータ側可動斜板160が前記低速位置に位置する際には、前記モータ側制御軸170の前記第2端部172の軸線172Rが前記揺動軸線160R及び前記第1端部171の軸線171Rを結ぶ仮想基準線FLより前記揺動軸線160R回り一方側において前記揺動軸線160Rを中心とし且つ前記第1端部171の軸線171Rを通る仮想円弧FC上の第1位置に位置するように構成される(図6(a)参照)。
そして、前記モータ側可動斜板160が前記高速位置に位置する際には、前記第2端部172の軸線172Rが前記仮想基準線FLより前記揺動軸線160R回り他方側において前記仮想円弧FC上の第2位置に位置するように構成される(図6(b)参照)。
【0067】
斯かる構成によれば、前記モータ側可動斜板160を前記高速位置及び前記低速位置に安定して保持することができる。
即ち、前記油圧モータ本体120は、前記油圧ポンプ本体420から供給される作動油によって回転軸線回りに回転駆動されるが、その際、前記油圧ポンプ本体420から前記油圧モータ本体120へ供給された作動油は前記モータ側可動斜板160を中立位置へ移動させるように該モータ側可動斜板160に作用する。
つまり、前記モータ側可動斜板160は、前記作動油によって、常時、中立位置へ向けて付勢されることになり、前記モータ側可動斜板160を所定傾転位置に保持する為には、前記作動油によって中立位置へ付勢される力(以下、中立方向付勢力という)に抗する保持力が必要となる。
【0068】
ところで、本実施の形態においては、前述の通り、前記モータ側制御軸170の前記第2端部172は、前記第1端部171に対して偏心された状態で前記モータ側可動斜板160の前記係入溝165に係入されている。
斯かる構成においては、前記第2端部172を前記第1端部171の軸線171R回りに回転させる方向の力が前記第2端部172に作用すると、前記高速位置又は前記低速位置に位置する前記モータ側可動斜板が前記揺動軸線160R回りに傾転することになる。
逆に言うと、前記第2端部172を前記第1端部171の軸線171R回りに回転させる方向の力が前記第2端部172に作用しないように構成すれば、前記モータ側可動斜板160を所定傾転位置に保持することができる。
【0069】
つまり、前記中立方向付勢力が前記第2端部172を前記第1端部171の軸線171R回りに回転させる方向の力として作用しないように構成すれば、前記モータ側可動斜板160を前記高速位置及び前記低速位置に安定的に保持できることになる。
【0070】
この点に関し、前記モータ側可動斜板160が前記高速位置及び前記低速位置に位置する際に前記モータ側制御軸170の前記第2端部172の軸線172Rが前記仮想円弧FC上に位置するように構成すれば、前記仮想円弧FCに沿った前記中立方向付勢力の向きを、前記第2端部172の軸線172R及び前記第1端部171の軸線171Rを結ぶ直線と略一致させることができる。
従って、前記中立方向付勢力が前記第2端部172を前記第1端部171の軸線171R回りに回転させる力として作用することを可及的に防止でき、これにより、前記モータ側可動斜板160を前記高速位置及び前記低速位置に安定的に保持することができる。
【0071】
より好ましくは、前記第1及び第2停止部材240,250は、それぞれが独立して前記ピストン220の軸線方向に沿って位置変更可能に前記ハウジング55に直接又は間接的に固定される。
斯かる構成によれば、前記第2端部172の軸線172Rが前記仮想円弧FC上の前記第1位置及び前記第2位置に位置する際に前記ピストン220がそれぞれ前記第1及び第2停止部材240,250と当接するように、前記第1及び第2停止部材240,250の固定位置を容易に調整することができる。
なお、本実施の形態においては、前記第1及び第2停止部材240,250は、前記ピストン収容空間210を形成する為に前記穿孔215の両端部を閉塞する前記キャップ部材216に螺入されており、これにより、前記ピストン220の軸線方向に沿って位置変更可能に前記ハウジング55に固定されている。
【0072】
前記減速ギヤユニット300は、図2及び図3に示されるように、前記減速ギヤ機構310と、前記ハウジング55の一部を形成するギヤケース350であって、前記減速ギヤ機構310を収容するギヤ空間を形成するように前記モータケース130に着脱可能に連結されるギヤケース350とを備えている。
【0073】
本実施の形態においては、前記減速ギヤ機構310は、図3に示すように、互いに対して直列配置された第1及び第2遊星ギヤ機構320a,320bを有している。
【0074】
詳しくは、前記モータケース130における前記支持孔は、前述の通り、前記モータ軸110の第1端部111が前記ギヤ空間へ突入することを許容するように貫通孔とされている。
前記減速ギヤ機構310は、前記モータ軸110の前記第1端部111からの回転動力を減速して、前記出力部材390に伝達するように構成されている。
【0075】
前記第1遊星ギヤ機構220aは、前記モータ軸110の前記第1端部111に相対回転不能に支持された第1サンギヤと、前記第1サンギヤの回りを公転し得るように該第1サンギヤと噛合する第1遊星ギヤと、前記第1遊星ギヤを相対回転自在に支持すると共に該第1遊星ギヤの公転に従って前記第1サンギヤの回りを公転する第1キャリアと、前記第1遊星ギヤと噛合する第1インターナルギヤとを備えている。
前記第2遊星ギヤ機構220bは、前記第1キャリアに作動連結された第2サンギヤと、前記第2サンギヤの回りを公転し得るように該第2サンギヤと噛合する第2遊星ギヤと、前記第2遊星ギヤを相対回転自在に支持すると共に該第2遊星ギヤの公転に従って前記第2サンギヤの回りを公転する第2キャリアと、前記第2遊星ギヤと噛合する第2インターナルギヤとを備えている。
【0076】
前記第1及び第2インターナルギヤは回転不能に固定されている。
本実施の形態においては、図3に示すように、前記第1及び第2インターナルギヤは前記ギヤケース350の一部を形成する中空部材351の内周面によって一体形成されている。
【0077】
詳しくは、前記ギヤケース350は、両端が開口とされた前記中空部材351と、前記中空部材351を挟んで前記モータケース130に連結されるギヤケース本体355とを有している。
前記ギヤケース本体355は、対応する駆動輪20(1)から離間された側が開口とされ、且つ、対応する駆動輪20(1)に近接する側が端壁によって閉塞された中空形状とされている。
【0078】
前記出力部材390は、図3に示されるように、前記第2キャリアの前記第2サンギヤ回りの回転に伴って軸線回りに回転するように該第2キャリアに連結されたフランジ部391と、前記フランジ部391から対応する駆動輪20(1)に近接する方向へ延び、自由端部が外方へ延在された出力軸部392とを有している。
図示の形態においては、前記出力軸部392及び前記フランジ部391は一体形成されている。
【0079】
本実施の形態においては、前記出力部材390は、前記ギヤケース350の内周面及び前記フランジ部391の外周面の間に配設された第1ベアリング部材395と、前記ギヤケース350の内周面及び前記出力軸部392の外周面の間に配設された第2ベアリング部材396とによって2点支持されている。
【0080】
このように、前記油圧モータ本体120の回転動力を前記減速ギヤ機構310によって減速させ、この減速された回転動力を対応する駆動輪20(1)に伝達することにより、前記油圧モータ本体120として、例えばアキシャルピストンタイプのような低トルク・高回転型油圧モータ本体を用いることができる。従って、前記油圧モータ本体120の小型化と共に、該油圧モータ本体120からの作動油リーク量の減少を図り、HSTの伝動効率を向上させることができる。
【0081】
ここで、前記HSTラインを含む前記作業車輌の油圧回路について説明する。
前記HSTラインは、前記一対の第1ホイールモータ装置50(1)における油圧モータ本体120及び前記一対の第2ホイールモータ装置50(2)における油圧モータ本体120を単一の前記油圧ポンプ本体420に対して直列接続するように構成されている。
【0082】
具体的には、前記HSTラインは、前進時に前記油圧ポンプ本体420から吐出される作動油を前記一対の第1ホイールモータ装置50(1)における油圧モータ本体120へ供給する前進時高圧ライン610と、前進時に前記一対の第1ホイールモータ装置50(1)における油圧モータ本体120から吐出される作動油を前記一対の第2ホイールモータ装置50(2)における油圧モータ本体120へ供給する接続ライン630と、前進時に前記一対の第2ホイールモータ装置50(2)における油圧モータ本体120から吐出される作動油を前記油圧ポンプ本体420へ戻す前進時低圧ライン650とを備えている。
【0083】
前記前進時高圧ライン610は、図2に示すように、前記ポンプ側前進時高圧作動油路441と、前記一対の第1ホイールモータ装置50(1)における前記モータ側前進時高圧作動油路511と、前記一対の第1ホイールモータ装置50(1)における前記モータ側前進時高圧作動油ポート511(P)を前記油圧ポンプユニット40におけるポンプ側前進時高圧作動油ポート441(P)に対して並列状態で流体接続させる前進時高圧配管611とを含んでいる。
【0084】
前記接続ライン630は、図2に示すように、前記一対の第1ホイールモータ装置50(1)における前記モータ側前進時低圧作動油路512と、前記一対の第2ホイールモータ装置50(2)における前記モータ側前進時高圧作動油路511とを含み、前記一対の第1ホイールモータ装置50(1)における前記モータ側前進時低圧作動油ポート512(P)から排出される作動油を前記一対の第2ホイールモータ装置50(2)における前記モータ側前進時高圧作動油ポート511(P)に供給するように構成されている。
【0085】
前記前進時低圧ライン650は、図2に示すように、前記一対の第2ホイールモータ装置50(2)における前記モータ側前進時低圧作動油路512と、前記油圧ポンプユニット40における前記ポンプ側前進時低圧作動油路442と、前記一対の第2ホイールモータ装置50(2)における前記モータ側前進時低圧作動油ポート512(P)を前記油圧ポンプユニット40における前記ポンプ側前進時低圧作動油ポート442(P)に並列状態で流体接続させる前進時低圧配管651とを含んでいる。
【0086】
好ましくは、図2に示すように、前記接続ライン630は、左側の前記第1ホイールモータ装置50(1)における油圧モータ本体120及び左側の前記第2ホイールモータ装置50(2)における油圧モータ本体120を流体接続させる左側接続ライン631Lと、右側の前記第1ホイールモータ装置50(1)における油圧モータ本体120及び右側の前記第2ホイールモータ装置50(2)における油圧モータ本体120を流体接続させる右側接続ライン631Rと、前記左側接続ライン631L及び前記右側接続ライン631Rを選択的に連通又は遮断させる駆動モード切換弁635とを有し得る。
【0087】
斯かる構成を備えることにより、前記一対の第1ホイールモータ装置50(1)における一対の油圧モータ本体120が油圧的に差動駆動され且つ前記一対の第2ホイールモータ装置50(2)における一対の油圧モータ本体120が油圧的に差動駆動される左右デフ・前後デフ状態と、左側の前記第1及び第2ホイールモータ装置50(1),50(2)における左側の前後一対の油圧モータ本体120と右側の前記第1及び第2ホイールモータ装置50(1),50(2)における右側の前後一対の油圧モータ本体120とが互いに対する負荷割合に応じて油圧的に差動駆動される左右デフ・前後デフロック状態とを選択的に得ることができる。
【0088】
即ち、前記駆動モード切換弁635によって前記左側接続ライン631L及び前記右側接続ライン631Rを連通させると、前記油圧ポンプ本体420から吐出された作動油は前記一対の第1ホイールモータ装置50(1)における左右一対の油圧モータ本体120の負荷割合に応じて該左右一対の油圧モータ本体120へ分配供給され、且つ、前記一対の第1ホイールモータ装置50(1)における左右一対の油圧モータ本体120から吐出された作動油は、前記一対の駆動モード切換弁635を介して合流された後に、前記一対の第2ホイールモータ装置50(2)における左右一対の前記油圧モータ本体120の負荷割合に応じて該左右一対の油圧モータ本体120へ分配供給される。
つまり、前記駆動モード切換弁635が連通状態とされると、前記一対の第1ホイールモータ装置50(1)における左右一対の油圧モータ本体120が互いに対する負荷割合に応じて油圧的に差動駆動され且つ前記一対の第2ホイールモータ装置50(2)における左右一対の前記油圧モータ本体120も互いに対する負荷割合に応じて油圧的に差動駆動される左右デフ・前後デフ状態となる。
【0089】
これに対し、前記駆動モード切換弁635によって前記左側接続ライン631L及び前記右側接続ライン631Rを互いに対して遮断させると、前記油圧ポンプ本体420から吐出される作動油は、左側の作動油ライン及び前記右側の作動油ラインの負荷割合(即ち、左側の前記第1及び第2ホイールモータ装置50(1),50(2)における前後一対の左側油圧モータ本体120の合計負荷と右側の前記第1及び第2ホイールモータ装置50(1),50(2)における前後一対の右側油圧モータ本体120の合計負荷との比率)に応じて、左側の作動油ライン及び右側の作動油ラインに分配される。
つまり、前記駆動モード切換弁635が遮断状態とされると、左側の前記第1ホイールモータ装置50(1)における油圧モータ本体120から吐出された作動油はそのまま左側の前記第2ホイールモータ装置50(2)における油圧モータ本体120へ供給され、且つ、右側の前記第1ホイールモータ装置50(1)における油圧モータ本体120から吐出された作動油はそのまま右側の前記第2ホイールモータ装置50(2)における油圧モータ本体120へ供給される左右デフ・前後デフロック状態となる。
【0090】
前記左右デフ・前後デフロック状態においては、前記一対の第1駆動輪20(1)及び前記一対の第2駆動輪20(2)の何れか一の駆動輪が凹部又は泥地等に入り込んで該一の駆動輪の回転負荷が極端に小さくなったとしても、該一の駆動輪に対して左右方向他方側に位置する駆動輪を駆動する他の油圧モータ本体120へも作動油が供給されることになり、前記作業車輌1Aの走行状態を安定化させることができる。
【0091】
即ち、前記左右デフ・前後デフ状態において前記一対の第1駆動輪20(1)及び前記一対の第2駆動輪20(2)の何れか一の駆動輪が凹部又は泥地等に入り込んで該一の駆動輪の回転負荷が極端に小さくなると、前記一の駆動輪を駆動する油圧モータ本体120へ作動油が集中して流れ込むことになり、その結果、前記一の駆動輪に対して左右方向他方側に位置する他の駆動輪を駆動する油圧モータ本体へは作動油が供給されない事態が生じる。
【0092】
これに対し、前記左右デフ・前後デフロック状態においては、前述の通り、前記油圧ポンプ本体420から吐出される作動油は、左側の作動油ライン及び前記右側の作動油ラインの負荷割合に応じて、左側の作動油ライン及び右側の作動油ラインに分配される。
従って、前記一の駆動輪の負荷が極端に小さくなったとしても、前記一の駆動輪に対して左右方向他方側に位置する駆動輪を駆動する油圧モータ本体へも、前記左側の作動油ライン及び前記右側の作動油ラインの負荷割合に応じて分配される作動油量が供給され、これにより、前記他方側の駆動輪も有効に駆動される。
【0093】
本実施の形態においては、前記左側接続ライン631Lは、図2に示すように、左側の前記第1ホイールモータ装置50(1)における前記モータ側前進時低圧作動油路512と、左側の前記第2ホイールモータ装置50(2)における前記モータ側前進時高圧作動油路511と、左側の前記第1ホイールモータ装置50(1)における前記モータ側前進時低圧作動油ポート512(P)及び左側の前記第2ホイールモータ装置50(2)における前記モータ側前進時高圧作動油ポート511(P)を流体接続する左側接続配管632Lとを含んでいる。
【0094】
前記右側接続ライン631Rは、右側の前記第1ホイールモータ装置50(1)における前記モータ側前進時低圧作動油路512と、右側の前記第2ホイールモータ装置50(2)における前記モータ側前進時高圧作動油路511と、右側の前記第1ホイールモータ装置50(1)における前記モータ側前進時低圧作動油ポート512(P)及び右側の前記第2ホイールモータ装置50(2)における前記モータ側前進時高圧作動油ポート511(P)を流体接続する右側接続配管632Rとを含んでいる。
【0095】
そして、前記接続ライン630は、前記左側接続ライン631L及び前記右側接続ライン631Rに加えて、前記左側接続配管632L及び前記右側接続配管632Rを流体接続する左右接続配管633を備えており、前記駆動モード切換弁635は前記左右接続配管635に介挿されている。
【0096】
前記作業車輌1Aは、さらに、図2に示すように、前記HSTに作動油を補給するチャージライン660と、前記チャージライン660の油圧を設定するチャージリリーフ弁665とを有している。
前記チャージライン660は、一端部が前記第1補助ポンプ本体460に吐出側に流体接続され且つ他端部が一対のチェック弁663を介して前記HSTラインの前進時高圧側及び前進時低圧側にそれぞれ流体接続されている。
【0097】
本実施の形態においては、前記チャージライン660は、前記油圧ポンプユニット40の前記ポンプケース430に形成されたチャージ油路661を有している。
即ち、前記チャージ油路661は、一端部が前記第1補助ポンプ本体460の吐出側に流体接続され且つ他端部が前記一対のチェック弁663を介して前記ポンプ側前進時高圧作動油路441及び前記ポンプ側前進時低圧作動油路442のそれぞれに流体接続されている。
そして、前記チャージリリーフ弁665は、一次側が前記一対のチェック弁663より上流側において前記チャージ油路661に流体接続されるように前記ポンプケース430に装着されている。
【0098】
さらに、前記作業車輌1Aは、図2に示すように、一端部が前記第2補助ポンプ本体470の吐出側に流体接続され且つ他端部が油圧機器(本実施の形態においては前記油圧操舵機構70)に流体接続された作動油ライン670と、前記作動油ライン670の油圧を設定するリリーフ弁675とを備えている。
なお、図2中の符号680は、前記油圧操舵機構70からの戻り油及び前記リリーフ弁675からのリリーフ油を前記油タンク90へ戻す為の戻しラインである。
【0099】
前記一対の第1ホイールモータ装置50(1)及び前記一対の第2ホイールモータ装置50(2)における4つの前記油圧作動機構200は、単一の油圧源からの作動油によって作動制御されている。
【0100】
本実施の形態においては、前記4つの油圧作動機構200は、前記第2補助ポンプ本体470から吐出される圧油の一部を利用して、作動制御されている。
詳しくは、前記作業車輌1Aは、図2に示すように、一端部が前記作動油ライン670に流体接続された供給ライン710と、前記供給ライン710の他端部に流体接続された変速切換弁720と、一端部が前記変速切換弁720に流体接続され且つ他端部が前記4つの前記油圧作動機構200の前記ピストン収容空間にそれぞれ流体接続された給排ライン730とを備えている。
【0101】
前記変速切換弁720は、前記供給ライン710を前記給排ライン730に流体接続させる供給状態と前記供給ライン710の他端部を遮断し且つ前記給排ライン730をドレンさせる排出状態とを選択的にとり得るように構成されている。
【0102】
前記変速切換弁720は、前記運転席15の近傍に配置されるスイッチ等の副変速操作部材16によって操作される。
即ち、前記作業車輌1Aは、図2に示すように、人為操作に応じて操作信号を出力する前記副変速操作部材16と、前記副変速操作部材16からの操作信号に基づき前記変速切換弁720の作動制御を行う制御装置3とを備えている。
【0103】
本実施の形態においては、前記供給ライン710は、図2に示すように、一端部が前記作動油ライン670に流体接続され且つ他端部が前記変速切換弁720の一次側ポートに流体接続された供給配管711を有している。
【0104】
前記給排ライン730は、図2に示すように、前記一対の第1ホイールモータ装置50(1)及び前記一対の第2ホイールモータ装置50(2)に形成された4本の給排油路731と、一端部が前記変速切換弁720の二次側ポートに流体接続され且つ他端部が前記4本の給排油路731に流体接続された給排配管732とを有している。
【0105】
本実施の形態においては、図3,図7及び図8に示すように、前記給排油路731は、一端部が前記ピストン収容空間210の前記受圧室211に流体接続され且つ他端部が外表面に開口されて給排ポート731(P)を形成している。
前記給排配管732の他端部は前記給排ポート731(P)に流体接続される。
【0106】
好ましくは、前記給排ポート731(P)は、前記第1及び第2ホイールモータ装置50(1),50(2)がそれぞれ連結される支持フレーム13(1),13(2)より車輌幅方向内方側に位置される。
【0107】
詳しくは、図3及び図4に示すように、前記一対の第1ホイールモータ装置50(1)及び前記一対の第2ホイールモータ装置50(2)は、それぞれ、前記モータ側ポートブロック135が対応する前記支持フレーム13(1),13(2)より車輌幅方向内方に位置するように、対応する前記支持フレーム13(1),13(2)に支持されている。
そして、前記給排ポート731(P)は、対応する前記支持フレーム13(1),13(2)より車輌幅方向内方側に位置される。
【0108】
斯かる構成によれば、前記モータ側ポートブロック135に設けられた前記モータ側前進時高圧作動油ポート511(P)及び前記モータ側前進時低圧作動油ポート512(P)に流体接続される配管611,632L,632R,651と共に、前記給排ポート731(P)に流体接続される前記給排配管732を平面視において車輌フレーム10内に位置させることができ、これにより、前記配管が外部障害物と接触して損傷等することを有効に防止できる。
【0109】
このように、本実施の形態に係る前記作業車輌1Aにおいては、前記単一の油圧ポンプ本体420の吸引/吐出量が可変とされていることに加えて、前記一対の第1ホイールモータ装置50(1)及び前記一対の第2ホイールモータ装置50(2)における前記4つの油圧モータ本体120の吸引/吐出量も可変とされている。
従って、油圧ポンプ本体420の吸引/吐出量だけが可変とされた従来の油圧四輪駆動型作業車輌に比して、駆動輪20(1),20(2)の駆動速度及び駆動トルクの可変領域を広げることができる。
【0110】
さらに、本実施の形態においては、前述の通り、前記一対の第1ホイールモータ装置50(1)及び前記一対の第2ホイールモータ装置50(2)における前記モータ側容積調整機構150を作動させる4つの前記油圧作動機構200が単一の油圧源(本実施の形態においては前記第2補助ポンプ本体470)からの作動油によって作動制御されている。
従って、前記一対の第1ホイールモータ装置50(1)及び前記一対の第2ホイールモータ装置50(2)における4つの前記油圧モータ本体120の吸引/吐出量を制御性良く同期変化させることができる。
【0111】
即ち、前記4つの油圧モータ本体120のうち何れか一の油圧モータ本体の吸引/吐出量が残りの油圧モータ本体の吸引/吐出量と異なると、前記一の油圧モータ本体の回転速度が残りの油圧モータ本体の回転速度と異なることになり、前記作業車輌1Aが意に反して旋回する虞がある。
この点に関し、本実施の形態においては、前述の通り、前記一対の第1ホイールモータ装置50(1)及び前記一対の第2ホイールモータ装置50(2)における4つの前記油圧作動機構200が単一の油圧源からの作動油によって作動制御されている。
従って、前記一対の第1ホイールモータ装置50(1)及び前記一対の第2ホイールモータ装置50(2)における前記モータ側容積調整機構150が機械式リンクによって作動される構成に比して、前記4つの油圧モータ本体120の吸引/吐出量を制御性良く同期変化させることができる。
【0112】
さらに、本実施の形態においては、前述の通り、前記油圧機器の油圧源として作用する前記第2補助ポンプ本体470からの作動油によって前記4つの油圧作動機構200の作動制御を行っており、これにより、部品点数の増加を可及的に防止している。
【0113】
より好ましくは、前記作業車輌1Aは、前記一対の第1ホイールモータ装置50(1)及び前記一対の第2ホイールモータ装置50(2)における前記4つの油圧作動機構200が同一作動状態でない場合には、前記副変速操作部材16の操作状態に拘わらず、前記4つの油圧作動機構200における前記ピストン220を前記付勢部材230の付勢力によって軸線方向一方側の初期位置(低速位置)に位置させるように、構成される。
斯かる構成を備えることにより、前記作業車輌1Aが意に反して旋回等することを有効に防止できる。
【0114】
本実施の形態においては、図2及び図5に示すように、前記油圧作動機構200に、前記ピストン220の軸線方向位置を検出する位置検出センサ260が備えられている。
そして、前記制御装置3は、前記一対の第1ホイールモータ装置50(1)及び前記一対の第2ホイールモータ装置50(2)における4つの前記位置検出センサ260からの信号が同一でない場合には、前記副変速操作部材16からの操作信号に拘わらず、前記変速切換弁720を強制的に排出状態とさせるように構成されている。
斯かる構成によれば、前記一対の第1ホイールモータ装置50(1)及び前記一対の第2ホイールモータ装置50(2)における前記4つの油圧ポンプ本体120の吸引/吐出量が異なる状態となることを有効に防止できる。
【0115】
実施の形態2
以下、前記第1及び第2ホイールモータ装置50(1),50(2)の変形形態が適用された油圧四輪駆動型作業車輌1Bについて添付図面を参照しつつ説明する。
図9は、変形形態に係る第1ホイールモータ装置51(1)及び変形形態に係る第2ホイールモータ装置51(2)が適用された作業車輌1Bの油圧回路図である。
なお、図中、前記実施の形態1におけると同一部材には同一符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0116】
前記実施の形態1における前記一対の第1ホイールモータ装置50(1)及び前記一対の第2ホイールモータ装置50(2)は互いに同一構成とされている。
即ち、前記一対の第1ホイールモータ装置50(1)及び前記一対の第2ホイールモータ装置50(2)は全て、前記油圧モータ本体の吸引/吐出量を変化させ得るように構成されている。
【0117】
前記ホイールモータ装置50(1),50(2)は、前記枢支軸12が前記一対の第1駆動輪20(1)及び前記一対の第2駆動輪20(2)の間の車輌前後方向中央に配置されている作業車輌において走行速度の変速幅を広げる為に好適に利用される。
【0118】
これに対し、本実施の形態における前記一対の第1ホイールモータ装置51(1)及び前記一対の第2ホイールモータ装置51(2)は、前記第1フレーム11(1)及び前記第2フレーム11(2)を揺動自在に連結する前記枢支軸12が前記一対の第1駆動輪20(1)及び前記一対の第2駆動輪20(2)の車輌前後方向中央を基準にして一方側に変位されている胴体屈折式作業車輌1Bにおいて、前記一対の第1駆動輪20(1)及び前記一対の第2駆動輪20(2)の間に生じる旋回半径差を補償する為に利用される。
【0119】
即ち、前記実施の形態1におけるように、前記枢支軸12が前記一対の第1駆動輪20(1)及び前記一対の第2駆動輪20(2)の間の車輌前後方向中央に配置されている作業車輌1Aにおいては、前記一対の第1駆動輪20(1)及び前記一対の第2駆動輪20(2)の間に旋回半径差は生じない。
【0120】
これに対し、前記枢支軸12が前記一対の第1駆動輪20(1)及び前記一対の第2駆動輪20(2)の間の車輌前後方向中央を基準にして一方側に変位されている作業車輌1Bにおいては、車輌旋回時に前記一対の第1駆動輪20(1)及び前記一対の第2駆動輪20(2)の間に旋回半径差が生じる。
【0121】
斯かる旋回半径差を補償する為に、前記一対の第1駆動輪20(1)及び前記一対の第2駆動輪20(2)のうち前記枢支軸12に近接する側の一対の駆動輪(本実施の形態においては一対の第1駆動輪20(1))を駆動するホイールモータ装置(本実施の形態においては前記第1ホイールモータ装置51(1))は前記油圧モータ本体120の吸引/吐出量が車輌旋回角度に応じて無段階に変化するように構成されている。
なお、他方のホイールモータ装置(本実施の形態においては前記第2ホイールモータ装置51(2)は前記油圧モータ本体120の吸引/吐出量が固定とされている。
【0122】
前記第1ホイールモータ装置51(1)は、前記実施の形態1における前記第1ホイールモータ装置50(1)の構成部材を可及的に利用して形成されている。
具体的には、前記第1ホイールモータ装置50(1)は、前記油圧モータユニット100から変形された油圧モータユニット100Bと、前記減速ユニット300と、前記出力部材390とを備えている。
【0123】
前記油圧モータユニット100Bは、前記油圧作動機構200に代えて機械式作動機構200Bを備えている点においてのみ、前記実施の形態1における油圧モータユニット100と相違している。
【0124】
図10に、前記機械式作動機構200Bの横断平面図を示す。
前記機械式作動機構200Bは、前記油圧作動機構200の構成部材を可及的に兼用して構成されている。
【0125】
即ち、前記機械式作動機構200Bは、図10に示すように、前記穿孔215の両端部が前記キャップ部材216によって閉塞されることで形成された前記ピストン収容空間210と、前記ピストン収容空間210に軸線方向移動可能に収容された前記ピストン220と、前記ピストン220を軸線方向一方側へ向けて付勢する前記付勢部材230と、前記ピストン220の軸線方向一方側の第1移動端を画する前記第1停止部材240と、第1端部が前記ピストン220に軸線方向相対移動不能に連結された状態で第2端部が外部操作可能とされるように、前記ピストン収容空間210の軸線方向他方側を閉塞する前記キャップ部材213を貫通する連結ロッド270とを備えている。
【0126】
前記ピストン220は、前記実施の形態1におけると同様に、軸線方向位置に応じて前記モータ側制御軸170の前記第1端部171を軸線回りに回転させる。
即ち、前記ピストン220が軸線方向一方側から他方側へ移動するに従って、前記モータ側制御軸170は、前記モータ側可動斜板160を低速位置から高速位置へ前記揺動軸線160R回りに傾転させるように、前記第1端部171の軸線171R回りに回転する。
【0127】
前記連結ロッド270は、図9及び図10に示すように、前記操舵部材5が直進位置から旋回操作されるに従って、前記ピストン220を前記付勢部材230の付勢力に抗して軸線方向他方側へ移動させるように、適宜のリンク機構280を介して前記操舵部材5に作動連結されている。
【0128】
詳しくは、前記リンク機構280は、図10に示すように、一端部が前記操舵部材5に作動連結され、且つ、2方向に分岐された他端部が前記一対の第1駆動輪20(1)をそれぞれ駆動する前記一対の第1ホイールモータ装置51(1)における一対の前記連結ロッド270に作動連結されており、これにより、前記操舵部材5の操作に応じて前記一対の第1ホイールモータ装置51(1)における一対の前記ピストン220が同期して軸線方向に移動するようになっている。
【0129】
前記ハウジング55には、図10に示すように、前記ピストン220が前記ピストン収容空間210内において軸線方向に移動することを許容する為に、前記ピストン収容空間210における前記ピストン220より軸線方向一方側の室211B(前記実施の形態1における受圧室211に相当する室)を開放する為の開放孔731Bが形成されている。
本実施の形態においては、前記開放孔731Bは、前記給排油路731を利用して形成されている。
即ち、図10に示すように、前記開放孔731Bは、前記給排油路731と、前記給排油路731を前記モータ空間130Mに連通させる追加穿孔731’とを有している。
なお、前記バネ室212は、前記開放孔735を利用して、前記モータ空間130Mに開放されている。
【0130】
前記機械式作動機構200Bは、前記構成部材に加えて、前記ピストン220の軸線方向他方側の第2移動端を画する為に、前記第2停止部材250に代えて第2停止部材250Bを備えている。
前記第2停止部材250Bは、図10に示すように、前記連結ロッド270の軸線方向他方側の端部と係合することで前記ピストン220の軸線方向他方側の第2移動端を画するように、前記ハウジング55に直接又は間接的に装着されている。
【0131】
本実施の形態においては、前記第2停止部材250Bは、前記ハウジング55に固定された取付ステー52に装着されている。
好ましくは、前記第2停止部材250Bは、前記ピストン220の軸線方向に沿って位置変更可能に前記取付ステー52に固定される。
斯かる構成により、前記モータ側可動斜板160の最高速位置を画する前記ピストン220の第2移動端を容易に調整することができる。
【0132】
なお、前記第2ホイールモータ装置51(2)は、図9に示すように、前記実施の形態1における前記第2ホイールモータ装置50(2)において、前記モータ側容積調整機構150に代えて固定斜板を有し、且つ、前記油圧作動機構200が削除されている。
【図面の簡単な説明】
【0133】
【図1】図1は、本発明の第1実施の形態に係る油圧四輪駆動型作業車輌の側面図である。
【図2】図2は、図1に示す作業車輌の油圧回路図である。
【図3】図3は、図1及び図2に示す作業車輌における第1ホイールモータ装置の縦断面図である。
【図4】図4は、図3に示す前記第1ホイールモータ装置の部分横断面図である。
【図5】図5は、図4におけるV−V線に沿った断面図である。
【図6】図6は、図4におけるVI−VI線に沿った断面図であり、図6(a)及び図6(b)は、それぞれ、モータ側可動斜板が低速位置及び高速位置に位置している状態を示している。
【図7】図7は、図5におけるVII−VII線に沿った断面図であり、ピストンが第1移動端(低速位置)に位置している状態を示している。
【図8】図8は、図5におけるVII−VII線に沿った断面図であり、ピストンが第2移動端(高速位置)に位置している状態を示している。
【図9】図9は、前記実施の形態1における第1及び第2ホイールモータ装置の変形形態を備えた作業車輌の油圧回路図である。
【図10】図10は、図9に示す第1ホイールモータ装置の部分断面図である。
【符号の説明】
【0134】
1A,1B 作業車輌
3 制御装置
13(1),13(2) 支持フレーム
15 主変速操作部材
16 副変速操作部材
20(1) 第1駆動輪
20(1) 第2駆動輪
30 駆動源
40 油圧ポンプユニット
50(1),51(1) 第1ホイールモータ装置
50(2),51(2) 第2ホイールモータ装置
55 ハウジング
120 油圧モータ本体
131 モータケース本体
135 モータ側ポートブロック
150 モータ側容積調整機構
160 モータ側可動斜板
160R 揺動軸線
165 係入溝
170 モータ側制御軸
171 第1端部
171R 第1端部の軸線
172 第2端部
172R 第2端部の軸線
200 油圧作動機構
200B 機械式作動機構
210 ピストン収容空間
211 受圧室
212 バネ室
220 ピストン
230 付勢部材
240 第1停止部材
250 第2停止部材
260 位置検出センサ
420 油圧ポンプ本体
450 ポンプ側容積調整機構
470 第2補助ポンプ本体(油圧作動機構の油圧源)
610 前進時高圧ライン
630 接続ライン
631L 左側接続ライン
631R 右側接続ライン
635 駆動モード切換弁
650 前進時低圧ライン
670 作動油ライン
675 リリーフ弁
710 供給ライン
720 変速切換弁
730 給排ライン
731 給排油路
731(P) 給排ポート
FL 仮想基準線
FC 仮想円弧

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源と、車輌前後方向一方側に配設された左右一対の第1駆動輪と、車輌前後方向他方側に配設された左右一対の第2駆動輪と、前記駆動源によって作動的に駆動される油圧ポンプ本体及び人為操作可能な主変速操作部材の操作に応じて前記油圧ポンプ本体の吸引/吐出量を変化させるポンプ側容積調整機構を含む油圧ポンプユニットと、前記一対の第1駆動輪をそれぞれ駆動する左右一対の第1ホイールモータ装置と、前記一対の第2駆動輪をそれぞれ駆動する左右一対の第2ホイールモータ装置とを備えた油圧四輪駆動型作業車輌であって、
前記一対の第1ホイールモータ装置及び前記一対の第2ホイールモータ装置の各々は、前記油圧ポンプ本体と共働してHSTを形成するように前記油圧ポンプ本体にHSTラインを介して流体接続され且つ対応する駆動輪を作動的に駆動する油圧モータ本体と、前記油圧モータ本体の吸引/吐出量を変化させるモータ側容積調整機構と、前記モータ側容積調整機構を作動させる油圧作動機構と、前記油圧モータ本体,前記モータ側容積調整機構及び前記油圧作動機構を収容するハウジングとを備え、
前記一対の第1ホイールモータ装置及び前記一対の第2ホイールモータ装置における前記油圧作動機構は単一の油圧源からの作動油によって作動制御されることを特徴とする油圧四輪駆動型作業車輌。
【請求項2】
前記モータ側容積調整機構は、前記油圧モータ本体の回転軸線と直交する揺動軸線回りに傾転可能なモータ側可動斜板と、第1端部が前記油圧作動機構に作動連結された状態で軸線回り回転可能に前記ハウジングに支持され且つ第2端部が前記モータ側可動斜板に作動連結されたモータ側制御軸とを有し、
前記モータ側制御軸は、前記油圧作動機構によって前記第1端部が軸線回りに回転されることで前記第2端部が前記モータ側可動斜板を前記揺動軸線回りに傾転させるように、前記第2端部の軸線が前記第1端部の軸線に対して偏心された偏心軸とされていることを特徴とする請求項1に記載の油圧四輪駆動型作業車輌。
【請求項3】
前記油圧作動機構は、前記ハウジングに形成されたピストン収容空間と、前記ピストン収容空間を軸線方向一方側の受圧室及び軸線方向他方側のバネ室に液密に画するように前記ピストン収容空間に軸線方向移動可能に収容されたピストンと、前記ピストンを軸線方向一方側へ付勢するように前記バネ室に収容された付勢部材とを有し、
前記油圧四輪駆動型作業車輌は、人為操作に応じて前記油圧源から前記受圧室へ作動油を供給する供給状態及び前記受圧室から作動油を排出する排出状態を選択的にとり得る変速切換弁をさらに備え、
前記ピストンは、軸線方向位置に応じて前記モータ側制御軸の前記第1端部を軸線回りに回転させるように前記第1端部に作動連結されていることを特徴とする請求項2に記載の油圧四輪駆動型作業車輌。
【請求項4】
人為操作に応じて操作信号を出力する副変速操作部材と、前記操作信号に基づき前記変速切換弁の作動制御を行う制御装置とをさらに備え、
前記油圧作動機構は、前記ピストンの軸線方向位置を検出する位置検出センサを有し、
前記制御装置は、前記一対の第1ホイールモータ装置及び前記一対の第2ホイールモータ装置における4つの前記位置検出センサからの信号が同一でない場合には、前記副変速操作部材からの操作信号に拘わらず、前記変速切換弁を排出状態とさせて前記ピストンを前記付勢部材の付勢力によって軸線方向一方側の初期位置に位置させることを特徴とする請求項3に記載の油圧四輪駆動型作業車輌。
【請求項5】
前記油圧ポンプユニットは、前記油圧ポンプ本体と共に前記駆動源によって作動的に駆動される補助ポンプ本体を有し、
前記油圧四輪駆動型作業車輌は、一端部が前記補助ポンプ本体の吐出側に流体接続され且つ他端部が油圧機器に流体接続された作動油ラインと、前記作動油ラインの油圧を設定するリリーフ弁と、一端部が前記作動油ラインに流体接続され且つ他端部が前記変速切換弁の一次側に流体接続された供給ラインと、一端部が前記変速切換弁の二次側に流体接続され且つ他端部が前記一対の第1ホイールモータ装置及び前記一対の第2ホイールモータ装置における4つの前記ピストン収容空間の前記受圧室にそれぞれ流体接続された給排ラインとを備え、
前記変速切換弁は、前記供給状態においては前記供給ラインを前記給排ラインに流体接続させ、且つ、前記排出状態においては前記供給ラインの他端部を遮断し、前記給排ラインをドレンさせることを特徴とする請求項3又は4に記載の油圧四輪駆動型作業車輌。
【請求項6】
前記ハウジングは、前記油圧モータ本体が挿通可能な開口を有する中空のモータケース本体と、前記開口を閉塞するように前記モータケース本体に着脱可能に連結されるモータ側ポートブロックであって、前記HSTラインの一部を構成するモータ側HST油路が形成されたモータ側ポートブロックとを有し、
前記ハウジングは、対応する駆動輪と対向する支持フレームに、前記モータ側ポートブロックが前記支持フレームより車輌幅方向内方に位置するように支持され、
前記ハウジングには、前記給排ラインの一部を構成する給排油路が形成されており、
前記給排油路は、一端部が前記受圧室に流体接続され且つ他端部が前記支持フレームより車輌幅方向内方において外表面に開口されて給排ポートを形成していることを特徴とする請求項5に記載の油圧四輪駆動型作業車輌。
【請求項7】
前記モータ側可動斜板には、前記揺動軸線を基準にして径方向に延びる係入溝が設けられ、
前記モータ側制御軸は、前記第2端部が前記係入溝に係入されることで、前記モータ側可動斜板に対して前記揺動軸線を基準にして径方向には相対移動可能且つ周方向には相対移動不能とされており、
前記ピストンが軸線方向一方側の第1移動端に位置する際に、前記第2端部の軸線が前記揺動軸線及び前記第1端部の軸線を結ぶ仮想基準線より前記揺動軸線回り一方側において前記揺動軸線を中心とし且つ前記第1端部の軸線を通る仮想円弧上の第1位置に位置し、且つ、前記ピストンが軸線方向他方側の第2移動端に位置する際に、前記第2端部の軸線が前記仮想基準線より前記揺動軸線回り他方側において前記仮想円弧上の第2位置に位置することを特徴とする請求項3から6の何れかに記載の油圧四輪駆動型作業車輌。
【請求項8】
前記油圧作動機構は、さらに、それぞれが独立的に前記ピストンの軸線方向に沿って位置変更可能に前記ハウジングに固定される第1及び第2停止部材を備え、
前記第1停止部材は、前記モータ側制御軸の前記第2端部が前記第1位置に位置する際に前記ピストンと係合して前記ピストンの軸線方向一方側の前記第1移動端を画し、
前記第2停止部材は、前記モータが制御軸の前記第2端部が前記第2位置に位置する際に前記ピストンと係合して前記ピストンの軸線方向他方側の前記第2移動端を画することを特徴とする請求項7に記載の油圧四輪駆動型作業車輌。
【請求項9】
前記HSTラインは、前進時に前記油圧ポンプ本体から吐出される作動油を前記一対の第1ホイールモータ装置における油圧モータ本体へ供給する前進時高圧ラインと、前進時に前記一対の第1ホイールモータ装置における油圧モータ本体から吐出される作動油を前記一対の第2ホイールモータ装置における油圧モータ本体へ供給する接続ラインと、前進時に前記一対の第2ホイールモータ装置における油圧モータ本体から吐出される作動油を前記油圧ポンプ本体へ戻す前進時低圧ラインとを備え、
前記接続ラインは、左側の前記第1ホイールモータ装置における油圧モータ本体及び左側の前記第2ホイールモータ装置における油圧モータ本体を流体接続させる左側接続ラインと、右側の前記第1ホイールモータ装置における油圧モータ本体及び右側の前記第2ホイールモータ装置における油圧モータ本体を流体接続させる右側接続ラインと、前記左側接続ライン及び前記右側接続ラインを選択的に連通又は遮断させる駆動モード切換弁とを有していることを特徴とする請求項1から8の何れかに記載の油圧四輪駆動型作業車輌。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−196517(P2009−196517A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−41051(P2008−41051)
【出願日】平成20年2月22日(2008.2.22)
【出願人】(000125853)株式会社 神崎高級工機製作所 (210)
【Fターム(参考)】