説明

油圧式作業機

【課題】煩雑な着脱作業を不要としつつ、駆動力の増加を図ることができる油圧式作業機を提供すること。
【解決手段】通常時は、自機のエンジン30(油圧ポンプ40)により供給される圧油によりオーガ回転用油圧モータ24aを作動させる(上流側配管57aと下流側配管57bとを接続する)。オーガ24の駆動力を増加させる場合には、自機のエンジン30よりも出力の大きな外部エンジン110を備える外部圧油供給装置100から圧油を供給して(外部配管137を下流側配管57bに接続して)、オーガ回転用油圧モータ24aを作動させる。これにより駆動力が増加される。この場合、圧油の供給元の変更は、接続部60を繋ぎ替えるだけで良いので、煩雑な着脱作業を不要としつつ、駆動力の増加を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧式作業機に関し、特に、小型化を図ると共に、煩雑な着脱作業を不要としつつ、駆動力の増加を図ることができる油圧式作業機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
地盤改良機などの建設機械(油圧式作業機)を使用する現場が市街地などの狭隘地であると、狭い路地や直角に曲がった道路が多くあるため、大型の建設機械では、現場への搬入自体が制限されることがある。そのような場合には、小型のバックホーをベースマシンとして構成した建設機械を使用することが一般的である。即ち、ショベル(バケット)をリーダ及びオーガに取り替え、ベースマシンに搭載されるエンジン及び油圧ポンプを流用して、オーガ回転用油圧モータ及びオーガ昇降用油圧モータを駆動する。
【0003】
一方で、ベースマシンが小型になれば、その分、ベースマシンに搭載されるエンジン及び油圧ポンプも小型(小出力)となるので、オーガ回転用油圧モータ及びオーガ昇降用油圧モータを高回転および高トルクで駆動することが困難となる。
【0004】
この場合、オーガの出力(回転速度および回転トルク)を増加させる技術として、例えば、特許文献1には、オーガ25と、そのオーガ25により回転駆動されるスクリュー等の被回転体との間に、オーガ用出力増加装置30を介設し、そのオーガ用出力増加装置30が有する補助モータ37の駆動力を、オーガ25の駆動力に加えることで、出力を増加させる技術が開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−115477号公報(段落[0018,0021]、図2など)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した特許文献1の技術は、ベースマシンに搭載されるエンジン及び油圧ポンプの出力を増加させるものではないため、そのベースマシンに搭載されるエンジン及び油圧ポンプを流用して、モータ25c及び補助モータ37を駆動する場合には、オーガ25の回転数および回転トルクの双方を増加させ、掘削出力(駆動力)自体を大きくすることができないという問題点があった。また、補助モータ37や回転伝達ギヤ36,38等を備え重量物であるオーガ用出力増加装置30をオーガ25に装着する構造であるので、その着脱作業が煩雑であるという問題点があった。
【0007】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、小型化を図ると共に、煩雑な着脱作業を不要としつつ、駆動力の増加を図ることができる油圧式作業機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0008】
請求項1記載の油圧式作業機によれば、エンジンにより油圧ポンプが駆動されると、油圧ポンプから圧油がポンプ側配管を介してコントロール弁に圧送される共に、そのコントロール弁により制御された圧油が、アクチュエータ側配管を介して作業機械装置の作業用アクチュエータに圧送される。その結果、作業用アクチュエータが作動され、その作業用アクチュエータの駆動力により作業駆動部が駆動される。作業駆動部の駆動力の増加が必要な場合には、接続部を経由して外部圧油供給装置から圧油を供給して、作業機械装置の作業用アクチュエータを作動させることで、作業駆動部の駆動力の増加を図ることができる。
【0009】
即ち、請求項1によれば、アクチュエータ側配管は、その経路途中に介設される接続部を備え、その接続部を経由して外部圧油供給装置から供給された圧油により作業機械装置の作業用アクチュエータを作動可能に構成される。外部圧油供給装置の外部エンジンは、自機のエンジンよりも出力が大きいので、作業機械装置の作業用アクチュエータにより駆動される作業駆動部の駆動力の増加を図ることができる。
【0010】
この場合、外部圧油供給装置から作業機械装置の作業駆動部への圧油の供給は、外部圧油供給装置の外部配管をアクチュエータ側配管の接続部に接続すれば良く、簡素な作業で行うことができる。
【0011】
また、請求項1によれば、接続部は、コントロール弁よりも下流側のアクチュエータ側配管に設けられているので、外部圧油供給装置の外部エンジンから供給される圧油がコントロール弁を通過しない。よって、外部圧油供給装置の外部エンジンから作業機械装置の作業用アクチュエータへ圧油を供給する場合のためだけに、コントロール弁の容量を大きくしておく必要がない。よって、その分、部品コストを低減して、油圧式作業機全体としての製品コストの削減を図ることができると共に、油圧式作業機の小型化を図ることができる。
【0012】
請求項2記載の油圧式作業機によれば、請求項1記載の油圧式作業機の奏する効果に加え、作業機械装置の作業駆動部は、リーダに沿って昇降可能に設けられたオーガを備え、作業機械装置の作業用アクチュエータは、オーガを回転駆動するためのオーガ回転用油圧モータと、オーガをリーダに沿って昇降駆動するためのオーガ昇降用油圧モータとを備え、油圧回路のアクチュエータ側配管は、コントロール弁およびオーガ回転用油圧モータの間を接続するオーガ回転用配管と、コントロール弁およびオーガ昇降用油圧モータの間を接続するオーガ昇降用配管とを備え、オーガ回転用配管が接続部を備えるので、その接続部を経由して外部圧油供給装置から供給する圧油により、オーガ回転用油圧モータの駆動力の増加を効率的に図ることができるという効果がある。
【0013】
即ち、オーガ回転用油圧モータは、駆動力の増加が最も必要とされる作業用アクチュエータである一方、オーガ昇降用油圧モータはその駆動力の増加が比較的要求されない作業用アクチュエータであるところ、請求項2によれば、外部圧油供給装置から供給される圧油をオーガ回転用油圧モータに使用するので、かかるオーガ回転用油圧モータの駆動力の増加を効率的に図ることができる。
【0014】
請求項3記載の油圧式作業機によれば、請求項2記載の油圧式作業機の奏する効果に加え、オーガ回転用配管は、接続部よりも下流となるオーガ回転用油圧モータ側の配管内径が、少なくとも、接続部よりも上流となるコントロール弁側の配管内径よりも大きな寸法に設定されるので、接続部を経由して外部圧油供給装置からオーガ回転用油圧モータに圧油を供給する場合に、その圧油の流速が早くなりすぎることを抑制できる。その結果、圧力損失の発生を低減して、オーガ回転用油圧モータの駆動力の増加を図ることができるという効果がある。
【0015】
一方で、オーガ回転用配管の接続部よりも上流となるコントロール弁側の配管は、自機のエンジンにより駆動される油圧ポンプから圧油を圧送する場合にのみ使用される配管であるので、かかる配管の配管内径は不必要に大きくする必要がない。即ち、オーガ回転用配管の内の接続部よりも下流となるオーガ回転用油圧モータ側の配管内径のみを大きくすることで、駆動力の増加を図りつつ、製品コストが増加することを抑制することができるという効果がある。
【0016】
請求項4記載の油圧式作業機によれば、請求項2又は3に記載の油圧式作業機の奏する効果に加え、接続部は、外部圧油供給装置からオーガ回転用油圧モータへの圧油の供給を許容する場合、油圧回路のコントロール弁からオーガ回転用油圧モータへの圧油の供給を遮断するので、外部圧油供給装置から圧送される圧油をオーガ回転用油圧モータへ安定的に供給することができるという効果がある。即ち、オーガ回転用油圧モータを駆動した後の戻り油の戻り先が油圧式作業機側と外部圧油供給装置側との2カ所となり、通過抵抗などにより片側のみに戻り油が送られて、オーバーフローを引き起こすことを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1実施の形態における地盤改良機の側面図であり、第1状態が図示される。
【図2】地盤改良機および外部圧油供給装置の油圧回路を模式的に図示する回路模式図であり、第1状態が図示される。
【図3】(a)は、図2の接続部近傍を部分的に拡大した油圧回路の部分拡大模式図であり、第2状態が図示される。(b)は、第2実施の形態における接続部近傍を部分的に拡大した油圧回路の部分拡大模式図であり、第2状態が図示される。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の好ましい実施の形態について添付図面を参照して説明する。まず、図1を参照して、地盤改良機1について説明する。図1は、本発明の第1実施の形態における地盤改良機1の側面図である。
【0019】
図1に示すように、本実施の形態における地盤改良機1は、ベースマシン10と、そのベースマシン10の前部(図1左側)に配設された作業機械装置20とを備える。ベースマシン10は、クローラにより走行する走行装置11と、その走行装置11の上部(図1上側)に旋回可能に配設された上部旋回体12とを備える。
【0020】
なお、上部旋回体12の内部には、エンジン30、油圧ポンプ40、油圧回路50などが収容されると共に(いずれも図2参照)、上部旋回体12の上部(図1上側)略中央部には、運転台が設けられる。また、上部旋回体12の前部(図1左側)には、左右の隅部にそれぞれジャッキ13が配設される。
【0021】
作業機械装置20は、上部旋回体12の上部前方(運転席の前側)に配設されるリーダサポート21と、そのリーダサポート21の前端側(図1左側)に起伏可能に軸支されたリーダ22と、そのリーダ22の後面側(図1右側)に先端が軸支されると共にリーダサポート21に基端が軸支された起伏シリンダ23と、リーダ22に昇降可能に配設されるオーガ24と、そのオーガ24を昇降させる昇降装置25と、吊り上げ用のウインチ26(図2参照)とを備える。なお、リーダサポート21は、図示しない油圧シリンダの伸縮により左右(図1紙面垂直方向)に傾動可能に構成される。
【0022】
また、リーダ22の下端には、ロアガイド27が配設され、オーガ24により回転駆動される掘削ロッド28が回転可能に保持される。掘削ロッド28は、リーダ22よりも長尺であって、軸方向に沿って形成される内部空間が地盤改良剤の流通経路となるパイプ状に形成される。掘削ロッド28の下端には、掘削具28a及び撹拌具28bが配設される。
【0023】
外部圧油供給装置100は、可搬式の油圧供給ユニットであり、その本体ケース101内には、外部エンジン110、油圧ポンプ120、油圧回路130などが収容される(いずれも図2参照)。なお、外部圧油供給装置100から圧送される圧油は、外部配管137を介して、地盤改良機1の作業機械装置20に供給され、オーガ24の回転駆動に使用される。詳細については、図2において後述する。
【0024】
次いで、図2を参照して、地盤改良機1及び外部圧油供給装置100の油圧回路50,130について説明する。図2は、地盤改良機1及び外部圧油供給装置100の油圧回路50,130を模式的に図示する回路模式図であり、第1状態(オーガ回転用配管57の上流側配管57a及び下流側配管57bの他端同士を接続した状態)が図示される。
【0025】
なお、図2では、図面を簡素化して、理解を容易とするために、主要な回路構成のみを図示する。よって、例えば、各機器からの戻り回路やジャッキ13を作動せるための回路などは省略される。
【0026】
図2に示すように、地盤改良機1は、エンジン30と、そのエンジン30により駆動される油圧ポンプ40と、その油圧ポンプ40から圧送される圧油を制御する油圧回路50と、外部圧油供給装置100からの外部配管137が接続される接続部60と、各機器を操作するための遠隔操作弁であるリモコンバルブ70とを主に備える。
【0027】
油圧回路50は、複数の弁体からなるコントロール弁55を備える。コントロール弁55は、各配管(ポンプ側配管)を介して油圧ポンプ40から圧送される圧油を制御(圧力、流量、方向などを調整)すると共に各配管(各作業用アクチュエータに接続されるアクチュエータ側配管)への切替供給を行う。
【0028】
コントロール弁55には、走行装置11のクローラを駆動するための左右一対の走行用油圧モータ11aと、上部旋回体12を旋回させるための旋回用油圧モータ12aと、リーダ22を起伏させるための起伏シリンダ23と、オーガ24を回転駆動するためのオーガ回転用油圧モータ24aと、オーガ24をリーダ22に沿って昇降駆動するためのオーガ昇降用油圧モータ25aと、ウインチ26を駆動するためのウインチ駆動用油圧モータ26aとがそれぞれ接続され、これら各機器の駆動状態がコントロール弁55の作動により制御される。
【0029】
接続部60は、配管同士を着脱自在に接続するための油圧配管用継手(カップリング)により構成され、コントロール弁55とオーガ回転用油圧モータ24aとを接続するオーガ回転用配管57の途中に配設される。即ち、オーガ回転用配管57は、コントロール弁55に一端が接続される上流側配管57aと、オーガ回転用油圧モータ24aに一端が接続される下流側配管57bとを備え、上流側配管57aの他端には、接続部60を構成するカプラーのオス側が、下流側配管57bの他端には、接続部60を構成するカプラーのメス側が、それぞれ装着される。
【0030】
ここで、図2及び図3(a)を参照して、接続部60の繋ぎ替えについて説明する。図3(a)は、図2の接続部60近傍を部分的に拡大した油圧回路50,130の部分拡大模式図である。但し、図3(a)は、第2状態が図示される。
【0031】
図2及び図3(a)に示すように、外部圧油供給装置100の外部配管137の他端(コントロール弁135に接続された一端と反対側)にも、接続部60を構成するカプラーのオス側が装着される。
【0032】
よって、本実施の形態によれば、接続部60を構成する各カプラーを繋ぎ替えることで、オーガ回転用配管57の上流側配管57a及び下流側配管57bの他端同士を接続した図2に示す第1状態と、外部圧油供給装置100の外部配管137の他端とオーガ回転用配管57の下流側配管57bの他端とを接続した図3(a)に示す第2状態とを選択的に形成することができる。
【0033】
図2に戻って説明する。外部圧油供給装置100は、外部エンジン110と、その外部エンジン110により駆動される油圧ポンプ120と、その油圧ポンプ120から圧送される圧油を制御する油圧回路130とを主に備える。油圧回路130は、油圧ポンプ120から圧送される圧油を制御(圧力、流量、方向などを調整)して外部配管137へ供給するコントロール弁135を備える。
【0034】
なお、外部圧油供給装置100の外部エンジン110は、その出力(馬力)が、地盤改良機1のエンジン30の出力(馬力)よりも大きいものが使用される。本実施の形態では、地盤改良機1のエンジン30の出力が略50馬力に、外部圧油供給装置100の外部エンジン110の出力が略100馬力に、それぞれ設定される。
【0035】
また、オーガ回転用配管57は、接続部60よりも下流となる下流側配管57bの配管内径が、接続部60よりも上流となる上流側配管57aの配管内径よりも大きな寸法に設定される。なお、本実施の形態では、下流側配管57aの配管内径が3/4インチに、上流側配管57bの配管内径が1インチ(即ち、外部配管137の配管内径と同寸法)に、それぞれ設定される。
【0036】
このように、下流側配管57bの配管内径を大きな寸法に設定することで、後述するように、接続部60を経由して外部圧油供給装置100からオーガ回転用油圧モータ24aに圧油を供給する場合に(図3(a)参照)、その圧油の流速が早くなりすぎることを抑制できる。その結果、圧力損失の発生を低減して、オーガ回転用油圧モータ24aの駆動力の増加を効率的に図ることができる。
【0037】
一方で、接続部60よりも上流となる上流側配管57aは、自機のエンジン30により駆動される油圧ポンプ40から圧油を圧送する場合にのみ使用される配管であるので、かかる配管(上流側配管57a)の配管内径は不必要に大きくする必要がない。よって、接続部よりも下流となる下流側配管57bの配管内径のみを大きくすることで、駆動力の増加を図りつつ、部品コストが増加することを抑制することができる。
【0038】
なお、本実施の形態では、圧油の最大供給量が、自機のエンジン30(油圧ポンプ40)は、略120L/minに、外部圧油供給装置100(油圧ポンプ120)は、略200L/minに、それぞれ設定される。この場合、外部圧油供給装置100からオーガ回転用油圧モータ24aに圧油が供給される第2状態において、下流側配管57bの配管内径が、3/4インチであると流速が11.7m/sとなる一方、1インチであれば流速が6.6m/sとなる。即ち、下流側配管57bの配管内径を3/4インチとすることで、圧力損失の発生を低減できる。
【0039】
次いで、図2及び図3(a)を参照して、地盤改良機1及び外部圧油供給装置100を用いた施工方法について説明する。地盤改良作業を行う場合、通常時には、地盤改良機1のみにより地盤改良作業を行う。
【0040】
即ち、この場合は、接続部60のカプラーの繋ぎ替えにより、図2に示すように、オーガ回転用配管57の上流側配管57a及び下流側配管57bの他端同士を接続した第1状態とする。
【0041】
これにより、エンジン30により油圧ポンプ40が駆動され、油圧ポンプ40から圧油が各配管(ポンプ側配管)を介してコントロール弁に圧送される共に、そのコントロール弁により制御された圧油が、各配管(アクチュエータ側配管)を介して、各油圧モータ24a〜26a等に圧送される。その結果、各油圧モータ24a〜26a等が作動され、その駆動力により各作業駆動部(オーガ24や昇降装置25など)が駆動されることで、地盤改良作業が実施される。
【0042】
その際に、施工現場に岩盤などの硬い地層が出現したり、掘削径や掘削深さを大きくした施工の必要が生じた場合など、オーガ24(オーガ回転用油圧モータ24a)の駆動力の増加が必要とされる場合には、外部圧油供給装置100を利用する。
【0043】
即ち、この場合には、接続部60のカプラーの繋ぎ替えにより、図3(a)に示すように、外部圧油供給装置100の外部配管137の他端とオーガ回転用配管57の下流側配管57bの他端とを接続した第2状態とする。
【0044】
これにより、オーガ24のオーガ回転用油圧モータ24aを、接続部60を経由して(即ち、外部配管137から下流側配管57bを経由して)、外部圧油供給装置100から供給された圧油により駆動させることができる。外部圧油供給装置100の外部エンジン110は、地盤改良機1のエンジン30よりも出力(馬力)が大きいので、図2に示す第1状態の場合に比べて、オーガ24(オーガ回転用油圧モータ24a)の駆動力を増加させることができる。
【0045】
一方、施工条件の変化により、オーガ24(オーガ回転用油圧モータ24a)の駆動力の増加が不要となった場合には、接続部60のカプラーを繋ぎ替え、図3(a)に示す第2状態から、図2に示す第1状態に、変更する。これにより、柔らかい地層などでの地盤改良作業において、不必要に大きな駆動力を発揮することなく、経済的な施工を行うことができる。
【0046】
このように、本実施の形態における地盤改良機1によれば、外部圧油供給装置100を利用するか否かの選択は、接続部60のカプラーを繋ぎ替えるだけで簡易に行うことができ、例えば、従来品のように、重量物(オーガ出力補助装置)を作業機械装置20(図1参照)に着脱する作業を行う必要がない。即ち、煩雑な着脱作業を不要としつつ、駆動力の増加を図ることができる。
【0047】
また、本実施の形態における地盤改良機1によれば、接続部60は、コントロール弁55よりも下流側の配管(オーガ回転用配管57)に設けられており、外部圧油供給装置100の外部エンジン110から供給される圧油がコントロール弁55を通過しない。
【0048】
よって、外部圧油供給装置100の外部エンジン110からオーガ24(オーガ回転用油圧モータ24a)へ圧油を供給する場合のためだけに、コントロール弁55の容量を大きくしておく必要がない。その結果、部品コストを低減して、地盤改良機1全体としての製品コストの削減を図ることができると共に、地盤改良機1の小型化を図ることができる。
【0049】
即ち、接続部60は、コントロール弁55よりも上流側の配管(油圧ポンプ40とコントロール弁55との間を接続する配管)に設けられていると、外部圧油供給装置100の外部エンジン110の出力(圧油の流量)に見合った容量が必要となるため、コントロール弁55が大型化する。よって、部品コストが嵩み、製品コストの上昇を招く。また、コントロール弁55を大型化したとしても、外部圧油供給装置100の使用は一時的なものであり、通常時は、外部圧油供給装置100ではなく、自機のエンジン30(油圧ポンプ40)を利用するわけであるので、コントロール弁55の大型化は、かかるコントロール弁が不必要な容量を持つこととなり、不経済である。
【0050】
ここで、本実施の形態における地盤改良機1では、外部圧油供給装置100から供給される圧油を、オーガ24を回転駆動するためのオーガ回転用油圧モータ24aの駆動力の増加のために使用する。即ち、オーガ回転用油圧モータ24aは、最も大きな駆動力が要求されると共に、施工条件(地盤硬さや掘削径、掘削深さ)に応じて、要求出力が大きな幅で増減するだけでなく、駆動力の増加要求の絶対値も大きい。
【0051】
一方で、他の作業用アクチュエータ(例えば、オーガ昇降用油圧モータ25aやウインチ駆動用油圧モータ26a、或いは、起伏シリンダ23や旋回用油圧モータ12aなど)は、大きな駆動力は比較的要求されず、施工条件が変化したとしても、その要求出力の増減幅は比較的小さい。
【0052】
そこで、本実施の形態における地盤改良機1のように、オーガ回転用油圧モータ24aを、外部圧油供給装置100を利用する際の駆動対象とすることで、施工条件の変化に確実に対応しつつ、経済性の向上も図ることができる。
【0053】
また、このように、外部圧油供給装置100から供給される圧油によりオーガ回転用油圧モータ24aの駆動を行う場合には、その分、自機のエンジン30(油圧ポンプ40)から圧送される圧油を、オーガ回転用油圧モータ24a以外の他の作業用アクチュエータに使用することができる。よって、他の作業用アクチュエータの駆動力を増加させることができるので、この点においても、施工条件の変化に確実に対応しつつ、経済性の向上も図ることができる。
【0054】
なお、本実施の形態における地盤改良機1では、接続部60がカプラーを繋ぎ替える構成であるため、図3(a)に示す第2状態では、外部圧油供給装置100からオーガ回転用油圧モータ24aへの圧油の供給が許容され、かつ、コントロール弁55からオーガ回転用油圧モータ24aへの圧油の供給が遮断される状態となる。一方、図2に示す第1状態では、外部圧油供給装置100からオーガ回転用油圧モータ24aへの圧油の供給が遮断され、かつ、コントロール弁55からオーガ回転用油圧モータ24aへの圧油の供給が許容される状態となる。これにより、外部圧油供給装置100から圧送される圧油をオーガ回転用油圧モータ24aに安定的に供給することができる。
【0055】
即ち、接続部60に相当する部分を、オーガ回転用油圧モータ24aに一端が接続される下流側配管57bの他端と、コントロール弁55に一端が接続される上流側配管57aの他端と、外部圧油供給装置100の外部配管137の他端との3本の配管を連通状態で接続する構成として、オーガ回転用油圧モータ24aに、コントロール弁55側と外部圧油供給装置100側との両者から圧油を供給することで、オーガ24(オーガ回転用油圧モータ24a)の駆動力を更に増加させられるとも考えられる。
【0056】
しかし、この場合には、オーガ24を駆動した後の戻り油の戻り先が地盤改良機1側と外部圧油供給装置100側との2カ所となるが、通過抵抗などにより片側のみに戻り油が送られて、オーバーフローを引き起こす場合がある。本実施の形態によれば、これを回避して、オーガ回転用油圧モータ24aへの圧油の安定的な供給を達成できる。
【0057】
次いで、第2実施の形態について説明する。第1実施の形態では、接続部60を油圧配管用継手により構成する場合を説明したが、第2実施の形態における接続部260は、切り替え弁により構成される。なお、上述した第1実施の形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0058】
図3(b)は、第2実施の形態における接続部260近傍を部分的に拡大した油圧回路250,230の部分拡大模式図であり、第2状態が図示される。
【0059】
図3(b)に示すように、第2実施の形態における接続部260は、電磁式の切り替え弁により構成され、コントロール弁55とオーガ回転用油圧モータ24aと(いずれも図2参照)の間を接続するオーガ回転用配管257の途中に配設される。
【0060】
即ち、接続部260には、コントロール弁55に一端が接続される上流側配管257aの他端と、オーガ回転用油圧モータ24aに一端が接続される下流側配管57bの他端と、外部圧油供給装置100のコントロール弁135に一端が接続される外部配管237の他端と、がそれぞれ接続される。
【0061】
よって、接続部260の状態を外部操作により切り替えることで、オーガ回転用配管257の上流側配管257a及び下流側配管257bの他端同士が接続された状態(第1状態)と、外部圧油供給装置100の外部配管237の他端およびオーガ回転用配管257の下流側配管257bの他端が接続された図3(b)に示す第2状態と、を選択的に切り替えることができる。
【0062】
このように、第2実施の形態によれば、外部圧油供給装置100(図2参照)を利用するか否かの選択を、接続部260(即ち、電磁式の切り替え弁)の状態を外部操作により切り替えるだけで簡易に行うことができる。
【0063】
なお、第2実施の形態における上流側配管257a及び下流側配管257bの配管内径は、第1実施の形態における上流側配管57a及び下流側配管57bの配管内径とそれぞれ同一の内径に設定される。下流側配管257bの配管内径は、外部配管237の配管内径と同一の内径に設定される。また、接続部260内の各流路は、それら各流路に接続される上流側配管257a及び下流側配管257b(外部配管237)の配管内径にそれぞれ対応した容量(許容流量)の内径に設定される。
【0064】
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
【0065】
上記各実施の形態で挙げた数値は一例であり、他の数値を採用することは当然可能である。例えば、エンジン30や外部エンジン110の出力(馬力)の値は一例であり、施工条件などに応じて適宜選択することができる。また、上流側配管57a,257a及び下流側配管57b,257bや外部配管137,237の配管内径も一例であり、使用するエンジン(エンジン30や外部エンジン110)の出力などに応じて適宜選択することができる。
【0066】
なお、上記各実施の形態では、油圧回路50,250において、オーガ回転用配管57,257の配管内径のみを説明したが、他の配管の配管内径については、エンジン30(油圧ポンプ40)の出力(流量)に応じて適宜設定(例えば、上流側配管57aと同等またはそれ以下の内径に設定)することができる。なお、他の配管については、上述したように、外部圧油供給装置100から供給される圧油の流通経路とはならないため、これを考慮する必要がない。よって、他の配管の配管内径を不必要に大径化する必要がなく、部品コストを抑制できる。
【0067】
上記各実施の形態では、外部エンジン110の出力(馬力)がエンジン30の出力(馬力)の略2倍に設定される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、その比率は、外部エンジン110の出力がエンジン30の出力よりも高く設定される場合に、オーガ回転用油圧モータ24aの耐久性に影響を及ぼさない範囲で、適宜設定することができる。なお、一例としては、外部エンジン110の出力をエンジン30の出力の略2.5倍以下とする場合や略2倍以下とする場合が例示される。
【符号の説明】
【0068】
1 地盤改良機(油圧式作業機)
30 エンジン
40 油圧ポンプ
50,250 油圧回路
11 走行装置
10 ベースマシン
20 作業機械装置
23 起伏シリンダ(作業用アクチュエータ)
24 オーガ(作業駆動部)
25 昇降装置(作業用アクチュエータ)
24a オーガ回転用油圧モータ(作業用アクチュエータ)
25b オーガ昇降用油圧モータ(作業用アクチュエータ)
26 ウインチ(作業駆動部)
26a ウインチ駆動用油圧モータ(作業用アクチュエータ)
28 掘削ロッド(作業駆動部)
55 コントロール弁
57,257 オーガ回転用配管(アクチュエータ側配管)
110 外部エンジン
100 外部圧油供給装置
137,237 外部配管
60,260 接続部
22 リーダ
57a 上流側配管(接続部よりも上流となるコントロール弁側の配管)
57b 下流側配管(接続部よりも下流となるオーガ回転用油圧モータ側の配管)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジン、そのエンジンにより駆動される油圧ポンプ、その油圧ポンプから圧送される圧油を制御する油圧回路、及び、その油圧回路から供給される圧油により作動する走行装置を有するベースマシンと、そのベースマシンに取り付けられると共に前記油圧回路から供給される圧油により作動する作業機械装置と、を備える油圧式作業機において、
前記作業機械装置は、供給された圧油により作動する作業用アクチュエータと、その作業用アクチュエータの駆動力により駆動される作業駆動部と、を備え、
前記油圧回路は、コントロール弁と、そのコントロール弁および前記油圧ポンプの間を接続するポンプ側配管と、前記コントロール弁および前記作業用アクチュエータの間を接続するアクチュエータ側配管と、を備え、
前記アクチュエータ側配管は、その経路途中に介設され、前記エンジンよりも出力が大きい外部エンジンを有する外部圧油供給装置の外部配管が接続される接続部を備え、
その接続部を経由して前記外部圧油供給装置から供給された圧油により前記作業機械装置の作業用アクチュエータが作動可能に構成されることを特徴とする油圧式作業機。
【請求項2】
前記作業機械装置の作業駆動部は、リーダに沿って昇降可能に設けられたオーガを備え、
前記作業機械装置の作業用アクチュエータは、前記オーガを回転駆動するためのオーガ回転用油圧モータと、前記オーガを前記リーダに沿って昇降駆動するためのオーガ昇降用油圧モータと、を備え、
前記油圧回路のアクチュエータ側配管は、前記コントロール弁およびオーガ回転用油圧モータの間を接続するオーガ回転用配管と、前記コントロール弁およびオーガ昇降用油圧モータの間を接続するオーガ昇降用配管と、を備え、
前記オーガ回転用配管が前記接続部を備えることを特徴とする請求項1記載の油圧式作業機。
【請求項3】
前記オーガ回転用配管は、前記接続部よりも下流となる前記オーガ回転用油圧モータ側の配管内径が、少なくとも、前記接続部よりも上流となる前記コントロール弁側の配管内径よりも大きな寸法に設定されることを特徴とする請求項2記載の油圧式作業機。
【請求項4】
前記接続部は、前記外部圧油供給装置から前記オーガ回転用油圧モータへの圧油の供給を許容する場合、前記油圧回路のコントロール弁から前記オーガ回転用油圧モータへの圧油の供給を遮断するように構成されることを特徴とする請求項2又は3に記載の油圧式作業機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−225070(P2012−225070A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−94312(P2011−94312)
【出願日】平成23年4月20日(2011.4.20)
【出願人】(000004617)日本車輌製造株式会社 (722)
【Fターム(参考)】