説明

沿岸保護用の装置

本発明は、ある地点に固定され、石材及び樹脂からなる複合材料を含む少なくとも1種の沿岸保護用の装置に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海岸を高波から保護する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高潮や津波による損害は、相当なものであるので、沿岸の保護、特に、海岸、又は河川が海岸に流れ込む領域の保護が、多くの地域で必要とされている。上述のような自然事象からの自然保護を提供するマングローブ林は、多くの地域で取り除かれているので、より大きな損傷が発生する。影響を受ける地域におけるマングローブ林の再植林は、非常に難しく、特に、時間が消費され、迅速な保護を行なうことができない。
【0003】
従って、構築物による人工的な保護が要求されている。
【0004】
一般的にコンクリートの塊である人工岩礁が、しばしば、高潮や津波からの保護のために沿岸領域に建造される。この人工岩礁は、水中にあって防波堤として作用するので、水から突出しない。人工岩礁は、波がそのコンクリート製の塊にのみ集中して1つの岩礁で打ち砕かれるような大きさに形成される。高い安定性及び透水性が重要である。緩く積み重ねられたコンクリート製の塊は、波によって複合体から切り離されるか、或いは、波を砕くことなく逸らすことができるだけであるので、今日までの建造の方法では、限定された範囲の要求しか満たさない。
【0005】
さらなる防波システムの構築の可能性がある。しかしながら、この場合、環境における障害があるだけでなく、沿岸部の美観を損ねるので、この手段は、特に、観光に広く開放されている地域においては適切ではない。
【0006】
これらの問題を解決する多くの試みが知られている。特許文献1には、沿岸の岩礁、又は内部で多数の浮遊可能な円盤が浮遊可能な帯に結合されたフローティング式の防波堤が記載されている。そして、この帯は、水面下の6から18フィートの位置に延在し、そのような状態で沿岸に沿って侵食作用を減少させる。しかしながら、それの実現は、技術的に非常に複雑であり、機械的安定性が低い。
【0007】
特許文献2には、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、又はポリウレタンなどの合成樹脂を、フレームラミネート加工によりコンクリートブロックの表面とその上の金属膜に施すことが記載されている。この強化ブロックを防波堤として使用することができ、海水に対して良好な耐性が得られる。しかしながら、この解決法も技術的に複雑である。また、ブロックは、小型に構造に設計されるので、限定された保護しか提供されない。
【0008】
特許文献3には、底部の安定化、或いは、水から保護する装置を安定、又は強化するために使用される人工構造物のために、ポリウレタンベースの化学物質を組み込むための複合材料が記載されている。この複合材料は、強度の高さにおいて際立っており、極めて良好な透水性を有している。ケイ酸塩が疎水性を与えるための手段として機能する。
【0009】
特許文献4には、沿岸を強化するために構造を安定化する方法が記載されている。石材に穴を開け、ケイ酸塩とポリイソシアネートをこの穴の中に挿入する。しかしながら、この方法は、複雑であり、極めて大きな石を使用する場合にのみ実現可能である。
【0010】
【特許文献1】US4130994
【特許文献2】JP02308005
【特許文献3】JP2001152153
【特許文献4】JP2002047490
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、ほとんど手間をかけることなく実現させることができる、高潮や津波から沿岸を保護する可能性を見出すことであった。
【課題を解決するための手段】
【0012】
その目的は、驚くべきことに、基体に強固に接着されることである地点に固定され石材と樹脂からなる少なくとも1種の多孔質複合材料を含む装置によって達成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
従って、本発明は、沿岸を保護する装置に関し、詳細には、洪水からの保護、特に、高潮又は津波からの保護する装置に関する。そして、この装置は、一点に固定され石材と樹脂からなる少なくとも1種の多孔質複合材料を含む。
【0014】
その成形体は、樹脂を用いて相互に接着した石材からなる。その樹脂は、例えば、ポリウレタン、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アクレート類、及びメタアクリルレート類で良い。ポリウレタンの使用が好適である。
【0015】
石材は、好ましくは、粗石である。その石材は、一般的にその粒度が1から50cm、好ましくは、1から20cm、特に好ましくは、2から16cm、さらに好ましくは、2.5cmから6.5cmである。
【0016】
石材は、上記樹脂によって接触面においてのみ強固に相互接着されている。従って、成形体は、多孔質であり、水が成形体の内部に流れ込む。
【0017】
石材は、樹脂により表面的にのみ被覆されている。石材における樹脂の層の厚さは、一般的に2〜3ミリメートルほどであり、好ましくは、多くても5mmであり、特に、0.1から5mmである。結果として、その複合材料の本体に対して、少量の樹脂しか要求されない。それにもかかわらず、樹脂と石材の複合材料は、強固であるので、高潮や津波で生じる高い圧力にも耐えることができる。
【0018】
水が多孔質複合材料に流れ込むので、その水の複合材料本体への衝突エネルギーは、孔部に入り込む水のぶれによってより良好に吸収され、成形体が破壊されない。更に、それによって、波の力がより大きく減少される。
【0019】
上記複合材料の固定は、好ましくは、多孔質複合材料が地面にはめ込まれた構造物に強固に接着されることによって行なわれる。この構造物は、海底にある所定の基礎で良い。
【0020】
更に、その構造物は、海底にはめ込まれており通路を備えた建築物でも良い。
【0021】
海底にはめ込まれている構造物は、コンクリートからなることが好ましい。原則的に石造りの建造物も可能である。しかしながら、これは、コンクリートのものよりも安定せず、それ故に好ましくはない。また、構造物は、圧縮された金属、例えば、再生金属で構成されていても良い。
【0022】
さらなる実施の形態として、上記構造物は、上記複合材料が固定される金属建造物でも良い。この建造物は海底に直接固定することができる。しかしながら、それを、例えば、コンクリートなどの基礎に固定することもできる。
【0023】
基礎における上記成形体の固定を、例えば、コンクリートの混和又は液体状やペースト状で塗布されて硬化する樹脂系接着剤等の接着剤などの固定手段を用いて該成形体を構造物の表面に固定することによって行っても良い。この固定手段に代えて、或いは、この固定手段に加えて、金属構造物を用いて成形体の固定を行なっても良い。この金属構造物には、例えば、金属格子、金属網、金属檻が含まれても良い。使用される金属には、腐食性があってはならない。上述の固定を、シートパイルボックス(sheet pile box)、或いは、少なくとも部分的に上記構造物及び成形体を囲う同様の器具で行なっても良い。
【0024】
より良好な成形体の固定のために、成形体を受け入れる凹みが構造物の表面にあっても良い。
【0025】
本発明による沿岸を保護する装置は、それが完全に水面よりも下に存在するように設置されることが好ましい。従って、対応する沿岸部分の全ての景観が損なわれない。潮が満ち干する沿岸部分において、本発明による装置を、それが引き潮時の水面上に存在するように、設置することが可能である。
【0026】
従って、本発明による装置の大きさ及び形状、すなわち、この装置によって吸収される必要のある力の大きさは、それぞれ、流量状況、沿岸の性質、及び他の種々の要素に依存する。従って、この装置は、常に、現地における環境ごとに適応される必要がある。
【0027】
本発明による装置の製造は、さまざまな方法で行うことができる。第1に、固定のための基礎は、通常は底部分にはめ込まれる。このはめ込みは、慣例的で知られている方法により行われる。
【0028】
複合材料本体は、それが波によってその位置から外れることがないように構造物に取り付けられる。この取り付けは、上述の通りである。
【0029】
また、複合材料本体の製造を、種々の方法で行っても良い。
【0030】
複合材料本体の製造の一つの実施の形態において、これを成形体として製造し、製造の後に上述の基礎に取り付けることができる。
【0031】
この成形体の製造において、樹脂の液体出発成分と石材の混合物を、好ましくは上端が開放されている型に導入する。この型の中で樹脂が硬化する。成形体は、支障なく輸送することができて、基礎に取り付けることができる100+50×15+10cmの寸法を有することが好ましい。
【0032】
成形体の製造において、石材を型に導入し、樹脂の液体出発成分をその型に施しても良い。そこで、樹脂の液体出発成分は、石材を湿潤させ、硬化し、最終的な樹脂が与えられる。製造の好ましい一つの実施の形態において、石材を、混合装置内の樹脂の液体出発成分と混合させ、このようにして湿潤された石材を型に導入する。これにより、それが硬化し成形体が与えられる。この実施の形態の利点は、第1に混合がより良好に行なわれることであり、第2により厚さの大きい成形体が得られることである。混合時間は、少なくとも石材が液体混合物により可能な限り完全に湿潤し、樹脂が硬化してしまわない程度の時間である。更に、表面上に不純物がゆるく接着している石材を使用しても良い。混合工程における機械的圧力の結果として、不純物は、石材の表面から除去される。従って、その不純物は、もはや石材相互の接着に悪影響を与えることはない。
【0033】
上述のように、形成された複合材料本体を、基礎に設置し固定することができる。
【0034】
沿岸を保護する装置の製造方法の他の実施の形態において、成形体を直接その使用場所に製造する。この目的のために、石材を樹脂の液体出発成分と混合して、基礎に塗布する。この塗布した状態で、それが硬化する。上述のように、石材を樹脂の液体出発成分と混合器内で混合し、この混合物を基礎に塗布する(塗布した状態でその混合物は硬化する)ことは有効である。同時に基礎への強固な接着が、実現される。
【0035】
使用することが可能な樹脂は、上述のような高分子化合物である。良好な長期安定性を達成するために、樹脂を疎水化するべきである。
【0036】
好ましく使用される樹脂は、ポリウレタン、及びエポキシ樹脂である。
【0037】
本発明の好ましい実施の形態において、使用される樹脂は、特に、緻密なポリウレタンである。
【0038】
好ましく使用されるポリウレタンについて、以下に記載する。
【0039】
本発明において、ポリウレタンの成分とは、ほとんどの場合、遊離イソシアネート基を有する成分、及びイソシアネート基に反応する基を有する成分を意味するとして理解される。イソシアネート基に反応する基は、一般的にヒドロキシル基、又はアミノ基である。アミノ基は、非常に反応性が強く、それゆえに反応混合物を早急に処理しなければならないので、ヒドロキシル基が、好ましい。これら成分の反応によって生成される生成物は、通常、ポリウレタンとして以下に言及される。
【0040】
両方の工程において、石材は乾いた状態である必要はない。驚くべきことに、湿った石材が存在して水中であってもポリウレタンと石材の間の良好な接着を得ることができる。
【0041】
使用されるポリウレタンは、慣例的なもので、この種の知られているもので良い。これら材料の製造は、ポリイソシアネートを少なくとも2個の活性水素原子を有する成分と反応させることによって行われる。使用することのできるポリイソシアネートは、原則的に、室温で液体であり少なくとも2個のイソシアネート基を有する全てのポリイソシアネート、混合物、及びプレポリマーである。好ましくは、芳香族ポリイソシアネート、特に好ましくは、トリレンジイソシアネート(TDI)及びジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)の異性体、特に、MDIの混合物、及びポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネート(粗製MDI)が使用される。ポリイソシアネートは、例えば、イソシアヌレート基を組み込むことによって、及び特にウレタン基を組み込むことによって修飾されていても良い。最後に述べた成分は、少なくとも2個の活性水素原子を有する成分の化学量論量未満の化学量論量を有するポリイソシアネートを反応させることによって製造され、通常、NCOプレポリマーとして言及される。そのNCO含有率は、一般的に2から29質量%である。
【0042】
一般的に、多官能性アルコール、いわゆる、ポリオール(又は、これより好適ではないが、多官能性アミン)が、イソシアネート基と反応する少なくとも2つの水素原子を含む成分として使用される。
【0043】
本発明の方法の好ましい実施の形態において、緻密なポリウレタン、特に、疎水化処理されたものが、ポリウレタンとして使用される。特に、油脂化学において慣例的なヒドロキシ官能性成分をポリウレタン系の少なくとも1種の出発成分、好ましくはポリオール成分に添加することよって、撥水作用が達成される。
【0044】
油脂化学において慣例的な多数のヒドロキシ官能性成分は、知られており、使用することができる。例として、ヒマシ油や、グレープシードオイル、ブラッククミンオイル、パンプキン種子オイル、ルリヂサ種子オイル、大豆油、小麦胚芽油、菜種油、ひまわり油、ピーナッツ油、杏仁油、ピスタッチオカーネルオイル、へんとう油、オリーブオイル、マカデミアンナッツオイル、アボガドオイル、シーバックソーンオイル、ゴマ油、ヘーゼルナッツ油、月見草油、ワイルドローズオイル、大麻油、サフラワー油、クルミ油、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、バルセン酸、ペトロセリン酸、ガドレイン酸、エルカ酸、ネルボン酸、リノール酸、リノレン酸、ステアリドン酸、アラキドン酸、ティルノドン酸、クルパノドン酸、及びドコサヘキサエン酸に基づきヒドロキシル基で修飾された脂肪酸エステルのようなヒドロキシル基で修飾された油である。ここで、好ましくは、ヒマシ油とそのアルキレンオキサイドとの反応生成物、又はケトンホルムアルデヒド樹脂が使用される。
【0045】
更に、使用される油脂化学において慣例的なポリオールの群は、アルコールとの併発反応をともなうエポキシ化脂肪酸エステルの開環により得られ、必要に応じて、次いで、さらにエステル交換反応が行われる。ヒドロキシル基の油及び脂肪への組み込みは、一般的にこの生成物内に存在するオレフィン二重結合のエポキシ化によって行なわれ、続いて、一価又は多価アルコールで形成されるエポキシ基の反応が行われる。ヒドロキシル基は、エポキシ環、又は多官能性アルコールの場合、多数のOH基を有する構造体から得られる。油と脂肪酸は、一般的にグリセロールエステルであるので、上述の反応において、並行エステル交換反応も発生する。従って、得られる化合物は、好ましくは、500から1500g/molの分子量を有する。その生成物は、例えば、ヘンケル社から入手可能である。
【0046】
本発明による方法の特に好ましい実施の形態において、使用される緻密なポリウレタンは、ポリイソシアネートをイソシアネート基と反応する少なくとも2個の水素原子を有する化合物であり、その少なくとも2個の反応性のある水素原子を有する化合物が、油脂化学において慣例的な少なくとも1種のポリオールを含み、及び少なくとも1種のフェノール修飾された芳香族炭化水素樹脂、特に、インデン/クマロン樹脂を含む。このポリウレタン及びその成分は、高い撥水性を有しているので、原則として、水中であっても硬化する。
【0047】
フェノール修飾され末端フェノール基を有する芳香族炭化水素樹脂として、フェノール修飾されたインデン―クマロン樹脂が使用されることが好ましく、特に、実質的な構成要素として、一般式1の化合物を含むものが好ましい。
【0048】
【化1】

【0049】
(nは、2から28である。)
上述の生成物は、商業的に利用可能であり、例えば、Ruetgers VFT社より商標名NOVARES(登録商標)の下、売り出されている。
【0050】
フェノール修飾された芳香族炭化水素樹脂、特に、フェノール修飾されたインデン―クマロン樹脂は、一般的に、0.5から5.0質量%のOHを含んでいる。
【0051】
油脂化学において慣例的なポリオール、及びフェノール修飾された芳香族炭化水素樹脂、特に、インデン―クマロン樹脂は、質量比100:1から100:50で使用されることが好ましい。
【0052】
上記化合物と一緒に、少なくとも2個の活性水素原子を有するさらなる化合物を使用しても良い。それには、加水分解に対して高い安定性を有するので、ポリエーテルアルコールが好ましい。これは、慣例的な知られている方法、一般的にアルキレンオキサイドとH−官能性の出発物質との付加反応で製造される。付随して使用されるポリエーテルアルコールは、好ましくは、少なくとも3官能性、及び少なくとも400mgKOH/g、好ましくは少なくとも600mgKOH/g、特に、少なくとも400から1000mgKOH/gのヒドロキシル価を有する。それは、少なくとも3官能性の出発物質をアルキレンオキサイドと反応させることによって、慣例的な方法で製造される。使用され得る出発物質は、分子内に少なくとも3個のヒドロキシル基を有するアルコール、例えば、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、ソルビトール、又はスクロースであることが好ましい。好ましく使用されるアルキレンオキサイドは、プロピレンオキサイドである。
【0053】
さらなる慣例的な要素、例えば、触媒、及び慣例的な助剤や添加剤を、ポリウレタンの製造のために反応混合物に添加しても良い。特に、乾燥剤、例えば、ゼオライトを、成分内の水の集積を避けてポリウレタンを発泡させるために、反応混合物に添加するべきである。これらの物質の添加は、好ましくは、イソシアネート基と反応する少なくとも2個の水素原子を有する化合物に対して行なわれる。この混合物は、業界において、しばしば、ポリオール成分と称される。複合材料の長期安定性の改善のために、微生物の攻撃を防ぐ助剤を添加することがさらに有効である。また、成形体の脆化を避けるために紫外線安定剤を添加することが有効である。
【0054】
使用されるポリウレタンは、原則的に、触媒なしで製造することができる。硬化状態の改善のために、触媒を付随して使用しても良い。選択される触媒は、できるだけ長い反応時間を与えるものであることが好ましい。結果として、反応混合物が長い時間液体の状態に維持されることが可能である。上述のように、そのポリウレタンは、原則的に、触媒なしでも完全に機能する。
【0055】
ポリイソシアネートとイソシアネート基と反応する少なくとも2個の水素原子を有する化合物の化合は、化学量論的に過剰なイソシアネート基、好ましくは、少なくとも5%、特に、5から60%のものが存在するような比率で行なわれるべきである。
【0056】
好ましく使用される疎水性ポリウレタンは、特に良好な処理可能性によって区別される。従って、このポリウレタンは、特に湿式ロック(wet rock)、特に花こう岩の断片のような湿潤物質への良好な接着状態を示す。ポリウレタンの硬化は、花こう岩の断片であっても行なわれる。ポリウレタンの硬化は、水が存在するにもかかわらず、実質的に緻密な形態で行われる。使用される緻密なポリウレタンは、薄い層であっても完全に緻密な硬化を示す。
【0057】
従って、好ましく使用されるポリウレタンは、沿岸を高潮や津波から保護する本発明の装置における使用に極めて適している。
【0058】
本発明における高潮や津波から沿岸を保護する装置によって、危険にさらされている沿岸部分の効率的な保護が、容易な方法で確実なものとなる。
【0059】
海底地震の場合に水面の下を進む波面が生じるので、沿岸保護用の装置の安定性には、複数の高い要求が満たされる必要がある。多孔質で疎水性の複合材料本体を含む本発明の装置は、従来の沿岸保護装置よりも明らかに良好にこれら複数の要求を満たすことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ある地点に固定され、石材及び樹脂からなる少なくとも1種の多孔質複合材料を含む沿岸保護用の装置。
【請求項2】
固定が、多孔質複合材料を構造物に結合することにより行なわれることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
構造物が、海底又は河口に存在する基礎であることを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
構造物が、通路を備えた建造物であることを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項5】
構造物が、コンクリートからなることを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項6】
全体が水面の下に存在することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項7】
部分的に水面の上に存在することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項8】
樹脂が、ポリウレタン、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アクリレート、及びメタアクリレートからなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項9】
樹脂が、ポリウレタンであることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項10】
樹脂が、緻密なポリウレタンであることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項11】
樹脂が、疎水性の緻密なポリウレタンであることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項12】
樹脂が、エポキシ樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項13】
a)底部上の構造物用の基礎構築工程と、
b)石材及び樹脂からなる一種の多孔質複合材料を構造物に対して設置する工程と、
必要に応じて、
c)石材及び樹脂からなる多孔質複合材料を構造物に固定する工程と、
を有することを特徴とする請求項1に記載の装置の製造方法。
【請求項14】
石材及び樹脂からなる多孔質複合材料を、石材を樹脂の液体出発成分に接触させ、その後、樹脂を硬化させることにより製造することを特徴とする請求項13に記載の製造方法。
【請求項15】
石材及び樹脂からなる多孔質複合材料を、陸上で処理し、これにより、得られた成形体を構造物に導入し、必要に応じて、固着することを特徴とする請求項13に記載の製造方法。
【請求項16】
樹脂の液体出発成分を、構造物、及び/又は石材及び樹脂からなる多孔質複合材料に施与し、その後、複合材料と構造物を接触させ、樹脂の硬化で強固な結合が生じることにより固着が行なわれることを特徴とする請求項13に記載の製造方法。
【請求項17】
石材及び樹脂からなる多孔質複合材料の製造を、石材を樹脂の出発成分と接触させ、この混合物を構造物と接触させ樹脂を硬化させることにより行うことを特徴とする請求項13に記載の製造方法。
【請求項18】
石材及び樹脂からなる多孔質複合材料の製造を、石材を構造物に対して設置し、その後、樹脂の液体出発成分を添加し、次に樹脂を硬化させることにより行なうことを特徴とする請求項13に記載の製造方法。

【公表番号】特表2009−507148(P2009−507148A)
【公表日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−528479(P2008−528479)
【出願日】平成18年8月23日(2006.8.23)
【国際出願番号】PCT/EP2006/065587
【国際公開番号】WO2007/025920
【国際公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】