説明

洗浄機

【課題】従来技術では、効果が発現されにくかったり、装置の起動時のみに効果がなかったり、表面に洗剤カスが残ってしまったりして、洗浄槽内は多湿な空間であるので、微生物の繁殖を抑えることはできないという問題があった。
【解決手段】洗浄機槽において、非粘着性に優れた機能層を表面に形成し、表面は水が接触することで初期には撥水、その後、水がぬれ広がる性質を持っており、非粘着性により洗剤カスなどの付着力を低減させ、水がぬれ広がった後には、付着力が弱まった洗剤カスなどを容易に洗い流すことができる。また、初期の撥水性により水は重力により落下し、水がぬれ広がった後は表面を伝い槽の底面に流される。さらに、ぬれ広がった水は乾燥が速く、洗浄機の槽内を乾燥させやすく微生物の繁殖しにくい空間を提供できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機能層を設けた槽を有する洗浄機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、洗浄機の内部は多湿な空間であること、また、内部に残された洗剤カスなどを栄養分として微生物が発生するという問題がある。
【0003】
従来の技術によれば、被覆する光触媒微粒子を含有するフッ素樹脂層の表面には、フッ素樹脂が有する非粘着性及び撥水性によって洗濯物から洗い出された汚れや石鹸成分等の有機物が付着しにくく、しかも、たとえ付着したとしても、当該表面に露出している光触媒微粒子に波長400nm以下の光を発する光源からの光が照射されることによって生ずる光触媒反応の強い酸化力によって付着した有機物が分解されることとなる。従って、内槽の外側面及び外槽の内側面へのカビの発生が防止され、悪臭や衣類等の洗濯物が黒く汚れるといった不具合を解消することができるとしている。(特許文献1参照)
他の従来の技術によれば、水を電気分解することにより電解水を生成する電解水生成装置と、上記槽内に溜められた水を排水するための排水機構と、電解水生成装置によって生成された所定濃度の電解水を上記槽内に溜めた状態にし、その状態で上記槽内の除菌に十分な時間が経過した後に、上記排水機構を動作させて上記槽内の電解水を排水させる槽洗浄運転を実行する槽洗浄運転実行手段とを含むことを特徴とする洗浄機であり、槽洗浄運転を実行することにより、市販の槽洗浄用クリーナを用いることなく、槽内に付着した微生物や黒かびを除去(除菌)することができ、また、槽洗浄運転を定期的に実行することにより、槽内における黒かびの発生を防止することができるとしている。(特許文献2参照)
更に別の従来の技術によると、機内に残存する水が、抗菌性を有する金属イオン水であるので、密閉性の高い機内でも、金属イオン水に含まれる金属イオン(銀イオン)による抗菌作用により、残水から臭気が発生したり、残水が原因で機内でカビが繁殖するのを確実に抑えることができるとしている。(特許文献3参照)
また、別の従来の技術によると、特許文献4によると、気泡噴射装置を設け、気泡を噴射することで、外槽の底面および内槽の底面に加え、外槽の内側面および内槽の外側面にも付着した汚れを除去して、外槽の内面および内槽の外面を清潔に保ち、洗濯物に汚れが付着するのを防止することができるとしている。(特許文献4参照)
【特許文献1】特開平9−313780号公報
【特許文献2】特開2004−073248号公報
【特許文献3】特開2004−321313号公報
【特許文献4】特開2008−043651号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の発明では、光触媒を用いるとしても光源が必要であったり、また、フッ素樹脂に大部分は覆われてしまっているので、光触媒の効果が発現されにくかったり、フッ素樹脂表面に洗剤カスが残ってしまったりと問題がある。また、特許文献2、特許文献3、特許文献4に記載の発明では、電解水発生装置や、金属イオンの発生装置、また、気泡噴射装置などが必要であり、構造が複雑になってしまう問題があった。さらに、電解水や金属イオンでは装置が起動している間は良いが、洗浄槽内は多湿な空間であるので、洗剤カスなど微生物の栄養分が残ってしまっていると、微生物の繁殖を抑えることはできない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、このような課題を解決するものであり、洗浄機槽において、撥水、撥油性を持つ非粘着性に優れた機能層を表面に形成し、表面は水が接触することで初期には撥水、その後、水がぬれ広がる性質を持っており、非粘着性により洗剤カスなどの付着力を低減させ、水がぬれ広がった後には、付着力が弱まった洗剤カスなどを容易に洗い流すことができる。また、初期の撥水性により水は重力により落下し、水がぬれ広がった後は表面を伝い槽の底面に流される。また、ぬれ広がった水は乾燥が速く、洗浄機の槽内を乾燥させやすく微生物の繁殖しにくい空間を提供できる。
【発明の効果】
【0006】
以上のように、請求項1から請求項12に記載の発明によると、洗浄機の槽における微生物の栄養分の除去および乾燥させやすい空間を提供でき、洗浄機内での微生物の繁殖を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の請求項1に記載の発明は、被洗浄物を洗浄する洗浄機であって、少なくとも洗浄のための水と接触する槽を有しており、前記槽の少なくとも前記水と接触する面が、純水との接触において、初期に撥水性を示し、その後、水がぬれ広がり、純水との接触がなくなれば撥水性に戻る機能層を設けた洗浄機であり、洗浄機槽において、撥水、撥油性を持つ非粘着性に優れた機能層を表面に形成し、表面は水が接触することで初期には撥水、その後、水がぬれ広がる性質を持っており、非粘着性により洗剤カスなどの付着力を低減させ、水がぬれ広がった後には、付着力が弱まった洗剤カスなどを容易に洗い流すことができる。また、初期の撥水性により水は重力により落下し、水がぬれ広がった後は表面を伝い槽の底面に流される。また、ぬれ広がった水は乾燥が速く、洗浄機の槽内を乾燥させやすく微生物の繁殖しにくい空間を提供できる。
【0008】
本発明の請求項2に記載の発明は、被洗浄物を洗浄する洗浄機であって、少なくとも被洗浄物の洗浄のための水を溜めることのできる外槽を有しており、前記水をためることができる外槽の少なくとも水をためる内面が、純水との接触において、初期に撥水性を示し、その後、水がぬれ広がり、純水との接触がなくなれば撥水性に戻る機能層を設けた洗浄機であり、洗浄機槽において、撥水、撥油性を持つ非粘着性に優れた機能層を表面に形成し、表面は水が接触することで初期には撥水、その後、水がぬれ広がる性質を持っており、非粘着性により洗剤カスなどの付着力を低減させ、水がぬれ広がった後には、付着力が弱まった洗剤カスなどを容易に洗い流すことができる。また、初期の撥水性により水は重力により落下し、水がぬれ広がった後は表面を伝い槽の底面に流される。また、ぬれ広がった水は乾燥が速く、洗浄機の槽内を乾燥させやすく微生物の繁殖しにくい空間を提供できる。
【0009】
本発明の請求項3に記載の発明は、被洗浄物を洗浄する洗浄機であって、少なくとも被洗浄物の洗浄のための水を溜めることのできる外槽と被洗浄物を保持する内槽とを有しており、前記水をためることができる外槽の少なくとも水をためる内面と、前記被洗浄物を保持する内槽の少なくとも洗浄物と接触しない外面が、純水との接触において、初期に撥水性を示し、その後、水がぬれ広がり、純水との接触がなくなれば撥水性に戻る機能層を設けた洗浄機であり、洗浄機槽において、撥水、撥油性を持つ非粘着性に優れた機能層を表面に形成し、表面は水が接触することで初期には撥水、その後、水がぬれ広がる性質を持っており、非粘着性により洗剤カスなどの付着力を低減させ、水がぬれ広がった後には、付着力が弱まった洗剤カスなどを容易に洗い流すことができる。また、初期の撥水性により水は重力により落下し、水がぬれ広がった後は表面を伝い槽の底面に流される。また、ぬれ広がった水は乾燥が速く、洗浄機の槽内を乾燥させやすく微生物の繁殖しにくい空間を提供できる。
【0010】
本発明の請求項4に記載の発明は、外槽および内槽が、少なくとも形を形成する基材と機能層により構成されている洗浄機であり、洗浄機槽において、撥水、撥油性を持つ非粘着性に優れた特徴的な機能層を表面に形成することができ、また、機能層の表面は水が接触することで初期には撥水、その後、水がぬれ広がる性質を持っており、非粘着性により洗剤カスなどの付着力を低減させ、水がぬれ広がった後には、付着力が弱まった洗剤カスなどを容易に洗い流すことができる特徴的な機能層を形成できる。
【0011】
本発明の請求項5に記載の発明は、機能層を構成する成分が、有機高分子とシリコーン成分であり、前記シリコーン成分は前記有機高分子を構成する特性基を有する固定したシリコーン成分と、前記有機高分子を構成する特性基で変性された遊離したシリコーン成分とを含む機能層を有する洗浄機であり、洗浄機槽において、撥水、撥油性を持つシリコーン成分により非粘着性に優れた特徴的な機能層を表面に形成することができ、また、機能層の表面は水が接触することで初期には撥水、その後、水がぬれ広がる性質を持っており、非粘着性により洗剤カスなどの付着力を低減させ、水がぬれ広がった後には、付着力が弱まった洗剤カスなどを容易に洗い流すことができる特徴的な機能層を形成できる。
【0012】
本発明の請求項6に記載の発明は、固定したシリコーン成分は塗料中に含まれ塗膜形成後に塗膜に固定したシリコーン成分であり、前記塗料は前記シリコーン成分を含有するアクリル系塗料、ウレタン系塗料、エポキシ系塗料もしくはそれらの混合塗料のいずれかであり、遊離したシリコーン成分はシリコーンオイル成分であり、前記塗料に前記シリコーンオイルを添加した塗料を基材に塗布し硬化させて形成する機能層を有する洗浄機であり、洗浄機槽において、撥水、撥油性を持つシリコーン成分により非粘着性に優れた特徴的な機能層を表面に容易に形成することができ、また、機能層の表面は水が接触することで初期には撥水、その後、水がぬれ広がる性質を持っており、非粘着性により洗剤カスなどの付着力を低減させ、水がぬれ広がった後には、付着力が弱まった洗剤カスなどを容易に洗い流すことができる特徴的な機能層を形成できる。
【0013】
本発明の請求項7に記載の発明は、シリコーン成分を含有するアクリル系塗料は、アクリル変性シリコーン樹脂を含む防汚塗料で、シリコーンオイルは前記防汚塗料の主成分である有機高分子を構成する特性基を有する変性シリコーンオイルである洗浄機であり、洗浄機槽において、撥水、撥油性を持つシリコーン成分により非粘着性に優れた特徴的な機能層を表面に容易に形成することができ、また、機能層の表面は水が接触することで初期には撥水、その後、水がぬれ広がる性質を持っており、非粘着性により洗剤カスなどの付着力を低減させ、水がぬれ広がった後には、付着力が弱まった洗剤カスなどを容易に洗い流すことができる特徴的な機能層を形成できる。
【0014】
本発明の請求項8に記載の発明は、変性シリコーンオイルはアクリル変性シリコーンオイルである洗浄機であり、洗浄機槽において、撥水、撥油性を持つシリコーン成分により非粘着性に優れた特徴的な機能層を表面に容易に形成することができ、また、機能層の表面は水が接触することで初期には撥水、その後、水がぬれ広がる性質を持っており、非粘着性により洗剤カスなどの付着力を低減させ、水がぬれ広がった後には、付着力が弱まった洗剤カスなどを容易に洗い流すことができる特徴的な機能層を形成できる。
【0015】
本発明の請求項9に記載の発明は、特性基がシリコーン側鎖に導入された変性シリコーン成分を有する洗浄機であり、洗浄機槽において、撥水、撥油性を持つシリコーン成分により非粘着性に優れた特徴的な機能層を表面に容易に形成することができ、また、機能層の表面は水が接触することで初期には撥水、その後、水がぬれ広がる性質を持っており、非粘着性により洗剤カスなどの付着力を低減させ、水がぬれ広がった後には、付着力が弱まった洗剤カスなどを容易に洗い流すことができる特徴的な機能層を形成できる。
【0016】
本発明の請求項10に記載の発明は、形を形成する基材と機能層との接触面に接着層が設けられている洗浄機であり、洗浄機槽において、撥水、撥油性を持つシリコーン成分により非粘着性に優れた特徴的な機能層を表面に容易に形成することができ、また、機能層の表面は水が接触することで初期には撥水、その後、水がぬれ広がる性質を持っており、非粘着性により洗剤カスなどの付着力を低減させ、水がぬれ広がった後には、付着力が弱まった洗剤カスなどを容易に洗い流すことができる特徴的な機能層を形成でき、機能層の剥離を防ぐことができる
本発明の請求項11に記載の発明は、形を形成する基材がポリプロピレン製であり、接着層が変性ポリプロピレンである洗浄機であり、洗浄機槽において、撥水、撥油性を持つシリコーン成分により非粘着性に優れた特徴的な機能層を表面に容易に形成することができ、また、機能層の表面は水が接触することで初期には撥水、その後、水がぬれ広がる性質を持っており、非粘着性により洗剤カスなどの付着力を低減させ、水がぬれ広がった後には、付着力が弱まった洗剤カスなどを容易に洗い流すことができる特徴的な機能層を形成でき、通常ポリプロピレン表面上に形成しにくい機能層を設けることができる。
【0017】
本発明の請求項12に記載の発明は、機能層に抗菌剤を含む洗浄機であり、機能層による微生物の繁殖を抑制するだけでなく、抗菌剤による効果でさらに微生物の繁殖を抑制できる。
【0018】
(実施の形態)
図1は本発明の実施の形態における洗浄機槽を構成する部材の断面模式図である。(A)は基材11に直接機能層12が設けられた洗浄機槽を構成する部材の断面模式図であり、(B)は基材11に接着層13を介して機能層12が設けられた洗浄機槽を構成する部材の断面模式図である。機能層12は基材1に化学的結合もしくは物理的結合もしくはアンカー効果により密着している。模式図では片面にのみ機能層を図示しているが、両面に機能層を設けることも可能である。基材11は鉄、ステンレス、アルミ等の金属材料、ポリプロピレンやABS、ポリスチレン、FRP等のプラスチック材料など特に限定されるものではないが、ポリプロピレンなどでは接着層13が必要となる場合がある。ポリプロピレンを基材として接着層13に変性ポリプロピレンを用いる。変性ポリプロピレンは塩素化ポリプロピレンあるいはポリプロピレンの一部にマレイン酸やオレイン酸などのカルボン酸を導入した酸変性ポリプロピレンである。塩素化ポリプロピレンを用いた場合、塩素が脱離し遊離してしまい、周りの金属などを腐食させる可能性があるので、周りに金属製の部品等がある場合、非塩素化の変性ポリプロピレンからなるものが望ましい。また、接着層13は機能層12の耐久性を上げることができる。材料としては、エポキシ系、ポリエステル系、アクリルウレタン系、チタン系カップリング剤、ジルコニア系カップリング剤、シラン系カップリング剤など密着性を向上できるものであればよい。
【0019】
機能層12は有機高分子と固定したシリコーン成分と遊離したシリコーン成分からなり、固定したシリコーン成分は有機高分子を構成する特性基を有するため有機高分子と親和性が高く塗料の硬化後に形成され、塗膜中に分散して存在する。遊離したシリコーン成分は有機高分子を構成する特性基を有するため有機高分子と固定したシリコーン成分と親和性が高く相溶しており、また、親水性を有する特性基であるため、水が接触することで水がぬれ広がる機能層12となる。
【0020】
機能層12の性質について例を挙げて述べる。アクリル変性シリコーン樹脂を含む塗料とアクリル変性シリコーンオイルからなる塗膜を形成したサンプルの接触角を例に挙げる。水滴を3μL滴下し、協和界面科学社製の接触角計(FACE S−150)を用い、水の接触角を測定した。初期には水の接触角が106度であったが、経時とともに接触角が低下し、13度にまで低下した。さらに、ウエスによる拭取り3000回後についても
同等の結果が得られた。
【0021】
次に機能層12の作成方法について説明する。アクリルシリコーン系塗料あるいはウレタンシリコーン系塗料など、防汚性をもつシリコーン成分を含有する塗料を用いる。本実施の形態1では、アクリル変性シリコーン樹脂を含む塗料を用いた。
【0022】
変性シリコーンオイルはアクリルシリコーン系塗料100gに対し、1g〜20g(1〜20重量部)程度の添加が望ましい。これは、添加量が少ないと遊離したシリコーン成分が少なくなるため非粘着性が弱くなり、多いと遊離したシリコーン成分が多くなり機能層表面に過度に浮き出てくるため、機能層表面がシリコーンオイルで濡れたようになってしまうという課題がある。また、添加量が多いと塗膜表面の硬度が低下するため変性シリコーンオイルの添加量は10重量部以下であることが望ましい。変性シリコーンオイルとしては、側鎖型、両末端型、片末端型がある。側鎖型のものが機能層12表面上での水のぬれ広がり性がよく防汚性を向上させるには望ましい。また、変性シリコーンオイルの変性の種類としては水との親和性が高い特性基であることが望ましく、アクリルシリコーン塗料を用いた場合、アクリル変性シリコーンオイルが機能層12表面上での水のぬれ広がり性がよく、表面を伝い槽の底面に水が洗剤を含み流される。また、ぬれ広がった水は乾燥が速く、洗浄機の槽内を乾燥させやすく微生物の繁殖しにくい空間を提供できる。アクリル系塗料、ウレタン系塗料、エポキシ系塗料など使用する塗料との親和性、機能層2表面上での水のぬれ広がり性がよい変性シリコーンオイルを選択することが望ましい。
【0023】
アクリルシリコーン系二液硬化型塗料を例として詳しく説明する。アクリルシリコーン系二液硬化型塗料の主剤と硬化剤とを5:1で混合し、それにアクリル変性シリコーンオイルを5重量部添加、攪拌し、基材1に塗布した。その後、十分に塗料に含まれる有機溶剤を蒸発乾燥させた後、シリコーン成分を機能層12表面に移行させる目的と、塗膜を硬化させる目的でエージングを行う。エージング条件は塗料によって異なっているが、本実施の形態で用いたアクリルシリコーン系塗料では100℃程度の温度で1〜2時間程度が望ましい。なお、塗布方法は、ディップ、スプレー、スピンコーター、スクリーン印刷、ローラー塗り、ハケ塗りなどが可能で、特に限定されるものではない。膜厚も特に限定されるものではないが、乾燥後膜厚として5μm〜30μm程度が望ましい。これより薄いと、擦ることによって機能層が破れやすくなり、またこれより厚いと基材1との密着力が低下することとなる。
【0024】
鉄やステンレス、アルミなどの金属基材である場合には、板状の段階でプレコートし、その後、洗浄槽として加工することが望ましい。
【産業上の利用可能性】
【0025】
以上のように、本発明にかかる洗浄機は、洗濯機、食器洗い乾燥機などに利用できる。また、水を使用する製品の槽として利用することで、水垢が溜まることを抑制することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】(A)本発明の実施の形態における基材に直接機能層が設けられた洗浄機槽を構成する部材の断面模式図(B)本発明の実施の形態における基材に接着層を介して機能層が設けられた洗浄機槽を構成する部材の断面模式図
【符号の説明】
【0027】
11 基材
12 機能層
13 接着層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被洗浄物を洗浄する洗浄機であって、少なくとも洗浄のための水と接触する槽を有し、前記槽の少なくとも前記水と接触する面が、純水との接触において、初期に撥水性を示し、その後、水がぬれ広がり、純水との接触がなくなれば撥水性に戻る機能層を設けた洗浄機。
【請求項2】
被洗浄物を洗浄する洗浄機であって、少なくとも被洗浄物の洗浄のための水を溜めることのできる外槽を有し、前記水をためることができる外槽の少なくとも水をためる内面が、純水との接触において、初期に撥水性を示し、その後、水がぬれ広がり、純水との接触がなくなれば撥水性に戻る機能層を設けた洗浄機。
【請求項3】
被洗浄物を洗浄する洗浄機であって、少なくとも被洗浄物の洗浄のための水を溜めることのできる外槽と被洗浄物を保持する内槽とを有しており、前記水をためることができる外槽の少なくとも水をためる内面と、前記被洗浄物を保持する内槽の少なくとも洗浄物と接触しない外面が、純水との接触において、初期に撥水性を示し、その後、水がぬれ広がり、純水との接触がなくなれば撥水性に戻る機能層を設けた洗浄機。
【請求項4】
外槽および内槽が、少なくとも形を形成する基材と機能層により構成されている請求項1から請求項3いずれか1項に記載の洗浄機。
【請求項5】
機能層を構成する成分が、有機高分子とシリコーン成分であり、前記シリコーン成分は前記有機高分子を構成する特性基を有する固定したシリコーン成分と、前記有機高分子を構成する特性基で変性された遊離したシリコーン成分とを含む機能層を有する請求項4に記載の洗浄機。
【請求項6】
固定したシリコーン成分は塗料中に含まれ塗膜形成後に塗膜に固定したシリコーン成分であり、前記塗料は前記シリコーン成分を含有するアクリル系塗料、ウレタン系塗料、エポキシ系塗料もしくはそれらの混合塗料のいずれかであり、遊離したシリコーン成分はシリコーンオイル成分であり、前記塗料に前記シリコーンオイルを添加した塗料を基材に塗布し硬化させて形成する機能層を有する請求項5に記載の洗浄機。
【請求項7】
シリコーン成分を含有するアクリル系塗料は、アクリル変性シリコーン樹脂を含む防汚塗料で、シリコーンオイルは前記防汚塗料の主成分である有機高分子を構成する特性基を有する変性シリコーンオイルである請求項6記載の洗浄機。
【請求項8】
変性シリコーンオイルはアクリル変性シリコーンオイルである請求項7に記載の洗浄機。
【請求項9】
特性基がシリコーン側鎖に導入された変性シリコーン成分を有する請求項5に記載の洗浄機。
【請求項10】
形を形成する基材と機能層との接触面に接着層が設けられている請求項1から請求項9いずれか1項に記載の洗浄機。
【請求項11】
形を形成する基材がポリプロピレン製であり、接着層が変性ポリプロピレンである請求項10に記載の洗浄機。
【請求項12】
機能層に抗菌剤を含む請求項1から請求項11いずれか1項に記載の洗浄機。

【図1】
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【公開番号】特開2010−227834(P2010−227834A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−78445(P2009−78445)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】