説明

洗濯乾燥機

【課題】回転ドラム内の洗濯物に乾燥風を偏りなく確実に接触させ、乾燥効率の向上及び乾燥運転時間の短縮を実現し得る洗濯乾燥機を提供する。
【解決手段】回転ドラム3の底面中央部に乾燥風の導入孔35を形成する。この導入孔35の形成位置を覆うように、回転ドラム3の底面上に回転翼6を配置する。回転翼6には、複数の通気孔61,61…を形成し、導入孔35から導入される乾燥風を、回転翼6の回転により拡散し、通気孔61,61…を通して回転ドラム3内に送り込む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、横姿勢又は斜め横姿勢に支持された外槽の内部にて回転する回転ドラムを備える洗濯乾燥機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年広く普及しているドラム式の洗濯乾燥機は、有底円筒形の洗濯槽を、一側の開口を横向きとした横姿勢、又は斜め上向きとした斜め横姿勢にて外筐の内部に支持し、この洗濯槽の内部に有底円筒形の回転ドラムを、一側の開口を洗濯槽の開口と同側に向けて収容して構成されている。回転ドラムは、洗濯槽の外部底面に固定したドラムモータにより洗濯槽と同軸上にて回転駆動される。
【0003】
洗濯物は、回転ドラムの内部に投入され、底部に溜まる洗濯水中に浸され、回転ドラムの回転による持ち上げ及び落下を繰り返し、落下時に回転ドラムの周面に叩きつけられて洗濯される。洗濯を終えた洗濯物は、残留水分の多くを脱水された後、回転ドラム及び洗濯槽の内部に導入される乾燥風と接触することにより乾燥せしめられる。乾燥風は、回転ドラム及び洗濯槽から導出され、洗濯槽の外側に設けられた乾燥風路内を流れて回転ドラム内に導入される。
【0004】
乾燥風路の内部には、乾燥風を送風する送風ファンが設けられ、該送風ファンの上流側に冷却部及びフィルタが、下流側に加熱部が夫々設けられている。回転ドラムから導出される乾燥風は、冷却部を通過する際に冷却されて含有水分を凝縮除去され、フィルタにより塵埃を捕捉除去された後、加熱部を通過する際に加熱されて、高温低湿の状態で回転ドラム内に導入されて洗濯物に当たり、該洗濯物の残留水分を奪う。洗濯物は、乾燥風路を経て回転ドラム内を循環する乾燥風との接触を繰り返すことにより乾燥する。
【0005】
以上の如く洗濯乾燥機においては、回転ドラム内に導入される乾燥風を洗濯物に偏りなく接触させることで乾燥効率を高め、短時間で良好に洗濯物を乾燥させることを目的として、乾燥風路の配置及び構成、特に、回転ドラム内に乾燥風を導入する導入部の構成に関する種々の提案がなされている(例えば、特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−90094号公報
【特許文献2】特開2006−75614号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の洗濯乾燥機の乾燥風路は、洗濯槽の底面下部に開口する導出口と、洗濯槽の一側開口の上部周縁に回転ドラムの内部を臨むように開設された導入口とを備え、該導入口から回転ドラム内に乾燥風を導入するように構成してある。また特許文献2の洗濯乾燥機の乾燥風路は、洗濯槽の底面下部に開口する導出口と、回転ドラムの底面中央部に開設された導入口とを備え、該導入口から回転ドラム内に乾燥風を導入するように構成されている。
【0008】
特許文献1の洗濯乾燥機においては、開口周縁部の複数箇所に導入口を開設し、各導入口から回転ドラム内に広範囲に亘って乾燥風が導入されるようにし、また特許文献2の洗濯乾燥機においては、回転ドラム底面に複数の導入口を開設し、各導入口から乾燥風が導入されるようにしているが、いずれの構成においても、回転ドラム内の洗濯物、特に、脱水直後に回転ドラムの周面に張り付いた状態にある洗濯物に乾燥風を偏りなく当てることは難しく、満足すべき乾燥効率の向上効果は得られない。
【0009】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、回転ドラム内の洗濯物に乾燥風を偏りなく確実に接触させ、乾燥効率の向上及び乾燥運転時間の短縮を実現し得る洗濯乾燥機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る洗濯乾燥機は、外筐内に横姿勢又は斜め横姿勢に支持された洗濯槽と、該洗濯槽の内部で同軸上にて回転する回転ドラムとを備え、該回転ドラムの内部の洗濯物を、洗濯及び脱水すると共に、前記回転ドラム内に導入される乾燥風と接触させて乾燥せしめるように構成された洗濯乾燥機において、前記回転ドラムの底面中央部に開設された前記乾燥風の導入口と、該導入口を覆うように前記回転ドラムの底面上に配してあり、前記導入口から導入される乾燥風を拡散する回転翼とを備えることを特徴とする。
【0011】
本発明においては、回転ドラムの底面中央部に設けた導入口から導入される乾燥風を、回転翼の回転により拡散して回転ドラム内に送り込み、該回転ドラム内の洗濯物に、偏りなく確実に乾燥風を接触させる。
【0012】
また本発明に係る洗濯乾燥機は、前記回転翼が、前記乾燥風を通気させ、前記回転ドラムの内部に送り込む複数の通気孔を備えることを特徴とする。
【0013】
この発明においては、導入口から導入される乾燥風を、回転翼に設けた複数の通気孔を通して回転ドラム内に送り込む。通気孔の夫々を通る乾燥風は、回転翼の回転による拡散を伴って回転ドラム内に良好に分散した状態で送り込まれ、回転ドラム内の洗濯物に、偏りなく確実に接触する。
【0014】
また本発明に係る洗濯乾燥機は、前記回転翼が、前記回転ドラムを駆動するドラムモータの出力端に固定され、該ドラムモータにより回転駆動されることを特徴とする。
【0015】
この発明においては、回転ドラムの底面中央部に位置する回転翼を、ドラムモータにより回転ドラムと共に回転駆動し、回転翼の回転による乾燥風の拡散を良好に行わせる。
【0016】
また本発明に係る洗濯乾燥機は、前記回転翼が、前記回転ドラムの底面に回転自在に支持してあり、前記通気孔内の通気の作用に回転するように構成してある。
【0017】
この発明においては、通気孔を通る通気の作用により、駆動源を必要とせずに回転翼を回転させ、この回転による乾燥風の拡散を実現する。
【0018】
また本発明に係る洗濯乾燥機は、前記通気孔が、前記回転翼の中心部から外周部に向けて順次多くなるように形成してあることを特徴とする。
【0019】
この発明においては、通気孔を通して送り込まれる乾燥風の量を回転ドラムの外周側において多くし、脱水後に回転ドラムの内周に張り付いた状態にある洗濯物に確実に当て、乾燥運転初期の所要時間の短縮を図る。
【0020】
また本発明に係る洗濯乾燥機は、前記通気孔が、前記回転翼の中心部から外周部に向けて順次少なくなるように形成してあることを特徴とする。
【0021】
この発明においては、通気孔を通して送り込まれる乾燥風の量を回転ドラムの中心部において多くし、回転ドラムの回転により持ち上げられて落下する洗濯物に確実に当て、乾燥運転中期の所要時間の短縮を図る。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る洗濯乾燥機においては、回転ドラム内に導入される乾燥風が、回転翼の作用により拡散され、回転ドラム内の洗濯物に偏りなく確実に接触するから、乾燥効率の向上及び乾燥運転時間の短縮を効果的に実現することが可能となる等、本発明は優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】実施の形態の洗濯乾燥機の外観を略示する斜視図である。
【図2】実施の形態の洗濯乾燥機の内部構成を略示する縦断面図である。
【図3】導入ダクトの形成態様を示す洗濯槽の斜視図である。
【図4】回転翼の平面図である。
【図5】回転翼の平面図である。
【図6】回転翼の他の実施の形態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。図1は、本発明に係る洗濯乾燥機の外観を略示する斜視図、図2は、本発明に係る洗濯乾燥機の内部構成を略示する縦断面図である。
【0025】
図2に示すように本発明に係る洗濯乾燥機は、外筐1の内部に洗濯槽2及び回転ドラム3を備えている。洗濯槽2は、一側に開口20を備える大径の有底円筒体であり、外筐1の底面に立設された複数本の支持脚21(1本のみ図示)により、前記開口20の側を上とし、水平面に対して軸心を傾けた傾斜姿勢を保って弾性支持されている。
【0026】
外筐1の前面(図2の左側面)には、洗濯槽2の開口20を臨む位置に、蓋体10により開閉自在に洗濯物の投入口11が開設されており、この投入口11と洗濯槽2の開口20との間は、ベローズ12により液密に封止されている。図1に示すように、外筐1の前面には、蓋体10の近傍にドア開ボタン13が設けてある。蓋体10は、ドア開ボタン13の操作により開放される。
【0027】
洗濯槽2の内部には、回転ドラム3が収容されている。回転ドラム3は、洗濯槽2よりもやや小径の有底円筒体であり、一側の開口30を洗濯槽2の開口20の内側に臨ませ、洗濯槽2の底部中央に固設されたドラムモータ4の出力軸40の端部に後述するように連結してあり、該ドラムモータ4の駆動により、洗濯槽2の内部で同軸上にて回転するようになしてある。回転ドラム3は、開口30の外側に周設された流体バランサ31を備えている。流体バランサ31は、回転ドラム3の回転に伴う振動を吸収、緩和する公知の動作をなす。
【0028】
図2に示すように回転ドラム3の周壁には、多数の小孔32が全面に亘って貫通形成されており、また回転ドラム3の内面には、軸長方向に延びるバッフル33が周方向に等配をなして複数突設されている。なお図2中には、図面の煩雑化を避けるべく、小孔32の一部と一つのバッフル33のみを図示してある。
【0029】
以上の如く構成された洗濯乾燥機の洗濯運転は、蓋体10を開放し、投入口11の内側に位置する開口20,30を経て回転ドラム3内に洗濯物を投入し、前記蓋体10を閉止した後、後述するように、洗濯槽2の内部に洗濯水を給水し、ドラムモータ4を駆動して回転ドラム3を回転せしめて実施される。前述のように回転ドラム3の周壁には、多数の小孔32が貫通形成され、また回転ドラム3の内面には、複数のバッフル33が突設されているため、回転ドラム3の内部の洗濯物は、前記小孔32を経て回転ドラム3内に流入する洗濯水中に浸され、前記バッフル33の作用による持ち上げ及び落下を繰り返し、落下時に回転ドラム3の内周面に叩きつけられて洗濯される。
【0030】
図1に示すように、外筐1の前面上部には、各種の操作のための操作キー及び各種の表示のための表示部を備える操作パネル15が設けてある。該操作パネル15は、これの内側に位置して外筐1の内部に設けた運転制御部16(図2参照)に接続してあり、前述した洗濯運転、及び後述する乾燥運転、更には、これらの間に実施されるすすぎ運転及び脱水運転は、操作パネル15の操作に応じた運転制御部16の動作により実行される。
【0031】
図1に示すように、外筐1の後部上面には、水道への接続端となる給水口17が設けてある。該給水口17は、図2に示すように、外筐1の内側に設けた給水弁18に接続してある。給水弁18は、複数の給水出口を有する多連形の電磁弁である。給水弁18の第1給水出口は、給水管19を介して洗濯槽2の上部周面に接続されており、給水弁18が第1給水出口に切り換えられた場合、給水口17への給水は、給水弁18及び給水管19を経て洗濯槽2の内部に供給され、前述した洗濯運転に使用される。なお給水管19の中途には、公知のように洗剤ケースを配置し、給水と共に適量の洗剤が導入されるように構成することができる。
【0032】
また洗濯槽2には、底板近傍の下部周面に導水管22が接続されている。該導水管22は、外筐1内側の前下部に固定支持された筒形のフィルタケース23に接続されている。フィルタケース23の内部には、繊維屑等の異物を捕捉するリントフィルタ24が収容されている。フィルタケース23の下部は、排水弁25を介して外筐1の底面に沿って敷設された排水管26に接続されている。またフィルタケース23の後端部には、循環ポンプ27が付設してあり、該循環ポンプ27の吐出側は、戻し管28を介して洗濯槽2の前側上部に連通されている。
【0033】
洗濯槽2内に給水される洗濯水は、導水管22を経てフィルタケース23に導入され、該フィルタケース23の内部に充満する。フィルタケース23の内部の洗濯水は、循環ポンプ27を駆動することにより、該循環ポンプ27に吸い込まれて昇圧され、戻し管28を経て洗濯槽2の上部に送られ、該戻し管28の先端から回転ドラム3の内部に、図2中に矢符により示す如く、シャワー状に拡がって給水される。
【0034】
循環ポンプ27は、前述した洗濯運転中に連続又は間欠的に駆動される。この駆動により回転ドラム3内に給水される洗濯水は、該回転ドラム3内の洗濯物に降り注ぎ、洗濯効果を高めるべく作用する。フィルタケース23の内部に設けたリントフィルタ24は、循環する洗濯水中に含まれる繊維屑等の異物を捕捉、除去する作用をなす。
【0035】
フィルタケース23の下部に設けられた排水弁25は、洗濯運転の後に開放される。この開放により洗濯槽2内部の洗濯水は、導水管22及びフィルタケース23を経て排水管26に排水される。この排水に際しても、洗濯水中に含まれる異物は、フィルタケース23内のリントフィルタ24に捕捉、除去され、排水管26を経て下水管に排出される虞れがない。
【0036】
洗濯乾燥機の乾燥運転は、以上の洗濯運転の後、脱水運転を経て実施される。この乾燥運転においては、ドラムモータ4の駆動により回転ドラム3を回転させると共に、該回転ドラム3の内部に乾燥風が循環せしめられる。
【0037】
図2中には、乾燥風を循環させる乾燥風路が略示してある。乾燥風路5は、後部ダクト50、上部ダクト51及び導入ダクト52を備えている。後部ダクト50は、洗濯槽2の底面に開設された導出口53に下端を連結し、洗濯槽2の底面に沿って上方に延設されている。なお後部ダクト50は、ドラムモータ4が設けられた洗濯槽2の中央部を避け、一側に偏倚した位置にて上方に延長されており、図2中の後部ダクト50は、ドラムモータ4の奥側に一部が重なった状態で示してある。
【0038】
前記給水弁18の第2給水出口は、冷却水管(図示を省略する)を介して後部ダクト50に接続してある。給水弁18が第2給水出口に切り換えられた場合、給水口17への給水は、後部ダクト50の内部に供給されるようになしてある。このように供給される冷却水は、後述のように後部ダクト50内を流れる乾燥風と接触し、該乾燥風を冷却した後、前記導出口53を経て洗濯槽2内に入り、前記導水管22、フィルタケース23及び排水管26を経て機外に排出される。
【0039】
上部ダクト51は、図2に示すように、洗濯槽2の上側の外筐1の内部空間に配設してある。上部ダクト51の一端部は、洗濯槽2の後側で下方に屈曲してあり、蛇腹管54を介して後部ダクト50の上端部に連結してある。蛇腹管54は、弾性支持された洗濯槽2に運転中に発生する振動を吸収し、上部ダクト51への伝播を防止すべく設けてある。上部ダクト51の中途部には、塵埃捕捉用のフィルタ55、乾燥風を起風する送風ファン56、及び乾燥風を加熱するPTC(Positive Temperature Coefficient)ヒータ57が後部ダクト50との連結側からこの順に介装してある。
【0040】
導入ダクト52は、洗濯槽2の外側に一体形成されている。図3は、導入ダクトの形成態様を示す洗濯槽の斜視図である。本図は、洗濯槽2を後側から見た状態を示しており、図の上下は、図2の上下に対応させてある。なお、洗濯槽2の外面には、強度確保のための多数のリブが設けてあるが、図3においては、これらのリブの図示を省略してある。
【0041】
導入ダクト52は、円環ダクト部 52aと、矩形ダクト部 52bとを備えている。円環ダクト部 52aは、図3に示すように、洗濯槽2の底面の中心部に同心上にて後向きに張り出すように設けてある。円環ダクト部 52aは、ドラムモータ4の固定ブラケットを兼ねている。ドラムモータ4は、円環ダクト部 52aの後面に開口する円形穴に嵌め込まれ、該円形穴を縁取る座部 52cにフランジ固定されている。
【0042】
矩形ダクト部 52bは、円環ダクト部 52aの上部に連続し、洗濯槽2の底面に沿って上方に延び、周面に沿って前方に延びるように設けてある。矩形ダクト部 52bの前端部には、上方に延びるように連結管52dが立設してあり、上部ダクト51の他端部は、図2に示すように、連結管 52dを介して矩形ダクト部 52bに連結してある。
【0043】
また円環ダクト部 52aは、内側の中心位置に円形断面の開口部 52eを有しており、該開口部 52eは、図2に示すように、回転ドラム3の底面に中心部に外向きに張り出すように設けられた短寸の導入管34に、相対回転可能で気密を保って嵌め込まれている。ドラムモータ4の出力軸40は、前記開口部 52e及び導入管34の内側にて回転ドラム3に連結してある。回転ドラム3の底面には、導入管34の内側の複数箇所に、内外に貫通する複数の導入孔35,35…が開設してある。これらの導入孔35,35…は、後述のように、回転ドラム3内に導入する導入口として設けてある。
【0044】
一方、回転ドラム3の内部には、底面に形成された導入孔35,35…の開設部を覆うように回転翼6が配してある。図4及び図5は、回転翼6の平面図である。図示のように回転翼6は、円板の一面(表面)に中心部から放射状に延びる複数の突条60,60…を設けてなり、全面の複数箇所に、表裏に貫通形成された多数の通気孔61,61…を備えている。
【0045】
これらの通気孔61,61…は、回転翼6と同心の複数の円周上において、突条60,60…の頂部を含めて等配をなすように各複数並設してあり、図4においては、外周側の円周上に多数の通気孔61が、内周側の円周上に少数の通気孔61が夫々設けてあり、逆に、図5においては、外周側の円周上に少数の通気孔61が、内周側の円周上に多数の通気孔61が夫々設けてある。なお通気孔61,61…は、図4、5に示す位置に限らず、例えば、回転翼6の全面に適宜に分散した位置に形成されていればよい。
【0046】
このように構成された回転翼6は、図2に示すように、ドラムモータ4の出力軸40の先端に突設された回転軸41に同軸をなして嵌着固定されている。回転軸41は、ドラムモータ4の駆動により、出力軸40と一体又は独立して回転可能であり、回転翼6は、回転軸41の回転に応じて回転ドラム3の底板上で回転する。
【0047】
以上の如く構成された乾燥風路5を備える洗濯乾燥機の乾燥運転は、ドラムモータ4を駆動し、回転ドラム3及び回転翼6を低速度で反復回転させる一方、送風ファン56を駆動し、PTCヒータ57を動作させると共に、前記給水弁18を第2給水出口に切換え、後部ダクト50の内部に冷却水を供給することによりなされる。
【0048】
送風ファン56を駆動することにより乾燥風路5の内部には、空気(乾燥風)の流れが生じる。この乾燥風は、PTCヒータ57により加熱され、連結管 52dを経て導入ダクト52内に送り込まれ、該導入ダクト52の矩形ダクト部 52bを通って円環ダクト部 52a内に達し、回転ドラム3の底面に形成された導入孔35,35…を経て回転ドラム3内に入り、これらの導入孔35,35…を覆うように位置する回転翼6に設けられた通気孔61,61…の夫々から噴出する。
【0049】
回転翼6は、回転ドラム3と共に回転しており、通気孔61,61…から噴出する乾燥風は、図2中に破線の矢符により示すように、遠心力の作用により径方向外向きに拡がるように回転ドラム3内に導入される。乾燥風の拡がりは、図2に示すように、回転翼6の径方向に傾斜するように通気孔61,61…を設けることで、より確実にすることができる。また通気孔61,61…の開口位置は、回転翼6の回転に伴って周方向に移動するから、各通気孔61,61…から回転ドラム3内に噴出する乾燥風は、周方向にも拡散した状態で回転ドラム3内に導入される。回転翼6に設けられた突条61,61…は、周辺の空気を撹拌し、各通気孔61,61…から噴出する乾燥風の周方向の拡散を助長する作用をなす。
【0050】
以上のように回転ドラム3内に導入される乾燥風は、該回転ドラム3内の洗濯物に当たり、該洗濯物の水分を奪って湿り空気となり、回転ドラム3前部の開口30、及び回転ドラム3の周壁に形成された小孔33,33…を通って洗濯槽2内に流出し、該洗濯槽2の底面下部に開口する導出口53を経て乾燥風路5に導出される。乾燥風路5に戻った乾燥風(湿り空気)は、後部ダクト50内で前述した冷却水と接触して冷却され、含有水分を凝縮除去された乾き空気となる。凝縮除去された水分は、冷却水と共に導出口53を経て洗濯槽2内に入り、導水管22、フィルタケース23及び排水管26を経て機外に排出される。
【0051】
乾き空気となった乾燥風は、後部ダクト50内を上昇して上部ダクト51に移行し、フィルタ55の通過により塵埃を捕捉され、更に、PTCヒータ57により再加熱された後、前述したように、導入ダクト52を経て回転ドラム3の内部に導入される。このように導入される乾燥風は、高温、低湿の状態にある上、回転翼6の前述した作用により回転ドラム3の内部で径方向及び周方向に拡散するから、回転ドラム3内の洗濯物に偏りなく接触し、該洗濯物の水分を効率的に奪うことができ、乾燥効率を向上し、乾燥運転時間の短縮を実現することができる。
【0052】
図4に示す回転翼6を使用した場合、多くの通気孔61,61…が形成された外周側に多くの乾燥風が噴出する。このように噴出する乾燥風は、乾燥運転前に実施される脱水運転において、回転ドラム3の内面に張り付いた状態となる洗濯物に良好に接触するから、乾燥運転の初期の所要時間の短縮に有効である。
【0053】
一方、図5に示す回転翼6を使用した場合、多くの通気孔61,61…が形成された内周側に多くの乾燥風が噴出する。このように噴出する乾燥風は、乾燥運転が進行し、回転ドラム3の回転に応じてバッフル33の作用に持ち上げられて落下する洗濯物に良好に接触するから、乾燥運転の中期の所要時間の短縮に有効である。
【0054】
図6は、回転翼6の他の実施の形態を示す平面図である。本図に示す回転翼6は、多数の通気孔61,61…の一部(突条60の頂部に開口を有する通気孔61,61…)が、周方向の同向きに傾斜するように形成されている。このような回転翼6には、通気孔61,61…を通って噴出する乾燥風の作用により回転力が加わるから、回転ドラム3の底面に回転自在に支持することにより、ドラムモータ4の駆動によらずに回転することができる。
【符号の説明】
【0055】
1 外筐
2 洗濯槽
3 回転ドラム
4 ドラムモータ
6 回転翼
35 導入孔(導入口)
61 通気孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外筐内に横姿勢又は斜め横姿勢に支持された洗濯槽と、該洗濯槽の内部で同軸上にて回転する回転ドラムとを備え、該回転ドラムの内部の洗濯物を、洗濯及び脱水すると共に、前記回転ドラム内に導入される乾燥風と接触させて乾燥せしめるように構成された洗濯乾燥機において、
前記回転ドラムの底面中央部に開設された前記乾燥風の導入口と、
該導入口を覆うように前記回転ドラムの底面上に配してあり、前記導入口から導入される乾燥風を拡散する回転翼とを備えることを特徴とする洗濯乾燥機。
【請求項2】
前記回転翼は、前記乾燥風を通気させ、前記回転ドラムの内部に送り込む複数の通気孔を備える請求項1に記載の洗濯乾燥機。
【請求項3】
前記回転翼は、前記回転ドラムを駆動するドラムモータの出力端に固定され、該ドラムモータにより回転駆動される請求項1又は請求項2に記載の洗濯乾燥機。
【請求項4】
前記回転翼は、前記回転ドラムの底面に回転自在に支持してあり、前記通気孔内の通気の作用に回転するように構成してある請求項2に記載の洗濯乾燥機。
【請求項5】
前記通気孔は、前記回転翼の中心部から外周部に向けて順次多くなるように形成してある請求項2から請求項4のいずれか1つに記載の洗濯乾燥機。
【請求項6】
前記通気孔は、前記回転翼の中心部から外周部に向けて順次少なくなるように形成してある請求項2から請求項4のいずれか1つに記載の洗濯乾燥機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−81014(P2012−81014A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−228889(P2010−228889)
【出願日】平成22年10月8日(2010.10.8)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】