洗濯機の設置用部材
【課題】重量の大きなものでも、又、狭いスペースでも、洗濯機を防水パン上に容易に設置できるようにする。
【解決手段】棒状又は板状の設置用部材6であって、それを防水パン10の前部立上がり部11上と後部立上がり部12上との間に渡し置き、その上で、洗濯機を後上がり状態に傾けて、後部を設置用部材6の前部に載せる。次いで、洗濯機を押込みながら水平に上げ、その後、洗濯機を設置用部材6の上面をスライドさせて更に押込むことにより、防水パン10上に移動させる。そして、その後、洗濯機を左右方向に傾けて設置用部材6を抜き取り、洗濯機を防水パン10に置く。かくして、洗濯機を、重量の大きなものでも、又、狭いスペースでも、防水パン10上に容易に設置することができる。
【解決手段】棒状又は板状の設置用部材6であって、それを防水パン10の前部立上がり部11上と後部立上がり部12上との間に渡し置き、その上で、洗濯機を後上がり状態に傾けて、後部を設置用部材6の前部に載せる。次いで、洗濯機を押込みながら水平に上げ、その後、洗濯機を設置用部材6の上面をスライドさせて更に押込むことにより、防水パン10上に移動させる。そして、その後、洗濯機を左右方向に傾けて設置用部材6を抜き取り、洗濯機を防水パン10に置く。かくして、洗濯機を、重量の大きなものでも、又、狭いスペースでも、防水パン10上に容易に設置することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯機を防水パン上に設置するための洗濯機の設置用部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、洗濯機を防水パン上に設置して使用することが行われている。洗濯機用の防水パンは、洗濯機から滴下した水もしくは漏れた水を受け溜めて、家屋の床面にその水が及ばないようにするためのもので、洗濯機の平面形状に合って且つそれよりもやゝ大きな四角形状を成し、そして、その周囲四辺部にはそれぞれ立上がり部が設けられ、全体を囲っている。
【0003】
そのような防水パン上に洗濯機を設置するには、通常二人の作業者で、防水パンの一辺又は二辺の立上がり部を越えさせ、四辺の立上がり部の内方に洗濯機を位置させて降下させるようになっている。
なお、洗濯機の設置台や載置台としては多くのものがあるが、それらは洗濯機を載置するものであり、例えば防水パン自身であって、その防水パン上に洗濯機を設置するための洗濯機の設置用部材ではない(例えば特許文献1、2参照)。
【特許文献1】特開2002−35483号公報
【特許文献2】特開2004−344428号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年の洗濯機、特には洗濯機能、脱水機能だけでなく、乾燥機能まで具えた洗濯機、更にはその乾燥機能をヒートポンプで果たす洗濯機は、重量が100〔kg〕近く、もしくは100〔kg〕超あって、重い。このように重量の大きな洗濯機を上述のように持ち上げて防水パンの一辺又は二辺の立上がり部を越えさせることにより防水パン上に設置するのは、非常に困難であり、多大な労力を要していた。ことに、家屋の中でも、後及び左右の三方を壁で囲まれた狭いスペースでは、重量の大きな洗濯機を上述のようにして防水パン上に設置するのは、きわめて困難であった。
【0005】
本発明は上述の事情に鑑みてなされたものであり、従ってその目的は、重量の大きなものでも、又、狭いスペースでも、洗濯機を防水パン上に容易に設置することのできる洗濯機の設置用部材を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の洗濯機の設置用部材においては、棒状又は板状の部材であって、洗濯機を載置するための防水パンの前部立上がり部上と後部立上がり部上との間に渡し置かれ、上面を前記洗濯機がスライドして移動されることを特徴とする(請求項1の発明)。
【発明の効果】
【0007】
上記手段によれば、設置用部材を防水パンの前部立上がり部上と後部立上がり部上との間に渡し置き、その上で、洗濯機を後上がり状態に傾けて、後部を設置用部材の前部に載せる。次いで、洗濯機を押込みながら水平に上げ、その後、洗濯機を設置用部材の上面をスライドさせて更に押込むことにより、防水パン上に移動させる。そして、その後、洗濯機を左右方向に傾けて設置用部材を抜き取り、洗濯機を防水パンに載せる。かくして、洗濯機を、重量の大きなものでも、又、狭いスペースでも、防水パン上に容易に設置することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の第1実施例(第1の実施形態)につき、図1ないし図11を参照して説明する。
まず、図2には、洗濯機1を示している。この洗濯機1はドラム式の乾燥機能付き洗濯機であって、前面に扉2を有する外箱3の内部に、図示はしないが、洗濯装置及び脱水装置として、洗濯兼脱水槽であるドラムと、ドラムを横軸状に収納した水槽、水槽内に給水する給水装置、水槽内から排水する排水装置、ドラムを回転駆動する駆動装置であるモータを有している。
【0009】
そのほか、洗濯機1は、乾燥装置として、ドラム内に通じた空気循環路、空気循環路を通してドラム内の空気を循環させる送風機、空気循環路を通る空気を凝縮除湿する除湿手段としての蒸発器、蒸発器で除湿した空気を加熱する加熱手段としての凝縮器、これら凝縮器及び蒸発器と圧縮機並びに絞り器とで冷凍サイクルを構成したヒートポンプを有している。
外箱3の下面部には、後部の左右に脚部4を有しており(右側の一方のみ図示)、前部の左右に脚部5を有している。この場合、脚部4が固定構造であるのに対して、脚部5は突出寸法が調整可能なものである。
【0010】
これに対して、図3には、洗濯機の設置用部材6を示している。この設置用部材6は、棒状、特には断面が図4に示すように四角形の棒状部材であって、この場合、木製特には樫など堅固な木材から成っており、その表面は滑らかに処理している。又、この設置用部材6の上面には、上記洗濯機1が後述のようにスライドするときの抵抗を減ずる手段として、合成樹脂特にはフッ素樹脂製で、該設置用部材6の長手方向に延びる細い凸条7を長手方向と直角の方向に多数並べて有するシート8の貼着をしている。
【0011】
更に、この設置用部材6の厚みtは、上記シート8を含まなくても、洗濯機1の前記脚部4,5の突出寸法L(図6参照)よりも大きくしている。加えて、この設置用部材6の両端面部の一方には、家屋の壁面に当たったときのその壁面の保護をする手段として、フェルト9の貼着をしている。なお、このフェルト9の貼着は、設置用部材6の両端面部の両方に施すようにしても良い。又、壁面の保護をする手段としては、フェルト9以外の布や弾力性のあるシート等を用いるようにしても良い。
【0012】
一方、図1には、洗濯機用の防水パン10を示しており、この防水パン10は、例えばプラスチック製で、標準的洗濯機(全自動洗濯機)の平面形状に合って且つそれよりもやゝ大きな四角形状を成し、その周囲四辺部にはそれぞれ立上がり部11〜14を有し、この立上がり部11〜14によって全体を囲っている。そのほか、この防水パン10の四隅部には洗濯機の脚部を載置するための台部15を有しており、ほゞ中央部には、家屋の排水口につながるエルボ形のホース継手16を有している。
【0013】
上記防水パン10上には前記洗濯機1を設置するようになっており、以下には、その手順について述べる。
まず、図1に示すように、防水パン10を家屋の設置スペース17の床面18上に置く。設置スペース17は、図示例では、床面18のほかに、奥側壁面19、左側壁面20、右側壁面21で三方を囲まれており、狭小となっている。
【0014】
上記防水パン10が有したホース継手16には防水パン側の排水ホース22を接続する。そして、設置用部材6を複数例えば2本を用意し、それらをそれぞれ防水パン10の前部立上がり部11上と後部立上がり部12上との間に渡し置く。このとき、設置用部材6は、シート8を上側とし、フェルト9を奥側として設置スペース17の奥側壁面19に当接させる。
【0015】
次いで、図5に示すように、洗濯機1を後上がり状態に傾けて、後部を設置用部材6の最前部に載せる。その後、図6に示すように、洗濯機1を押込みながら水平に上げ、そして、その状態から、洗濯機1を設置用部材6の上面(シート8上)をスライドさせて更に押込むことにより、図7及び図8に示すように、防水パン10上(脚部4,5が台部15に臨む位置)に移動させる。
このとき、設置用部材6の上面では、シート8が洗濯機1のスライド抵抗を減ずる働きをし、設置用部材6の後端部では、フェルト9が設置スペース17の奥側壁面19の保護をする働きをする。
【0016】
この後、図9に示すように、洗濯機1を左右いずれか(図9例は左側)の設置用部材6を支点としてその方向に傾け、それにより下面を浮かせた反対側の下方にある設置用部材6を抜き取る。その後、洗濯機1を戻して、設置用部材6を抜き取った側の洗濯機1の脚部4,5をそれらの直下に位置した防水パン10の台部15に載せ、そこを支点として図10に示すように洗濯機1を上述とは反対の方向(図10例は右側)に傾ける。そして、それにより下面を浮かせた側の下方にある設置用部材6を抜き取る。その後、更に、洗濯機1を戻して、設置用部材6を抜き取った側の洗濯機1の脚部4,5をそれらの直下に位置した防水パン10の台部15に載せる。
【0017】
なお、その後には、前記防水パン側の排水ホース22と洗濯機1の排水ホース23との長さ調整をして、図11に示すように、それらを接続する。
かくして、防水パン10上の洗濯機1の設置が完了する。
【0018】
このように本構成のものによれば、設置用部材6を使用することにより、洗濯機1を、重量の大きなものでも、又、後及び左右の三方を壁で囲まれた狭い設置スペース17でも、防水パン10上に容易に設置できるものであり、洗濯機1の設置性の大幅な向上を図ることができる。
又、設置用部材6は個数を複数としており、それによって、洗濯機1を設置用部材6に載せるときや、載せて後にスライドさせるときの、洗濯機1の傾きをなくして安定性を良くすることができる。
【0019】
更に、設置用部材6の上面には、そこを洗濯機1がスライドするときの抵抗を減ずる手段としてフェルト9を貼着しており、それによって、洗濯機1を容易にスライドさせることができる。
加えて、厚みtは、洗濯機1の脚部4,5の突出寸法Lよりも大きくしており、それによって、設置用部材6の上面を洗濯機1がスライドするときの脚部4,5の引掛かりをなくして洗濯機1を容易にスライドさせることができる。
そのほか、設置用部材6の両端面部の少なくとも一方には、設置スペース17の奥側壁面19の保護をする手段としてフェルト9を貼着しており、それによって、その設置スペース17の奥側壁面19を傷付けないようにすることができる。
【0020】
以上に対して、図12ないし図14は本発明の第2及び第3実施例(第2及び第3の実施形態)を示すもので、それぞれ、第1実施例と同一の部分には同一の符号を付して説明を省略し、異なる部分についてのみ述べる。
【0021】
[第2実施例]
図12及び図13に示す第2実施例においては、設置用部材6の下面に、防水パン10の前部立上がり部11と後部立上がり部12に対して滑り止めをする手段として、ゴムシート31を貼着している。
これにより、設置用部材6の上面を洗濯機1がスライドするときの、防水パン10上での設置用部材6の滑り動き(特に斜め方向や横方向)を抑止して、洗濯機1を設置しやすくでき、洗濯機1の設置性の一層の向上を図ることができる。
【0022】
[第3実施例]
図14に示す第3実施例においては、設置用部材6に代えて、伸縮可能に構成した設置用部材41を用いるようにしている。この場合、設置用部材41は、例えば金属製で中空の半部41aと、金属又は木製で中空又は中実の半部41bとをスライド可能に嵌合して、任意のスライド位置で固定する固定ねじ42を設けることにより、伸縮可能に構成している。
【0023】
これにより、防水パン10の大きさ(特には奥行)の違いに、設置用部材41を伸縮させて対応することができる。
なお、設置用部材41を防水パン10上に置くには、半部41aと半部41bとの合わせ部の段41cが後ろ向きとなるようにすることによって、設置用部材41の上面を洗濯機1がスライドするときの引掛かりを生じないようにできる。
又、本例の設置用部材41にも、下面に、第2実施例のゴムシート31を貼着するようにしても良い。
【0024】
このほか、本発明は上記し且つ図面に示した実施例にのみ限定されるものではなく、特に設置用部材は棒状以外にそれよりも厚みの少ない板状であっても良く、又、洗濯機もその具体的機能、構成等は前述のようには限られないなど、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施し得る。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1実施例を示す、防水パン及び設置用部材を置いた設置スペースの斜視図
【図2】洗濯機の外観斜視図
【図3】設置用部材単体の斜視図
【図4】図3のA−A線に沿う設置用部材の断面図
【図5】洗濯機の設置手順を示す図その1(側面図)
【図6】同手順を示す図その2(側面図)
【図7】同手順を示す図その3(側面図)
【図8】同手順を示す図その4(斜視図)
【図9】同手順を示す図その5(斜視図)
【図10】同手順を示す図その6(斜視図)
【図11】同手順を示す図その7(斜視図)
【図12】本発明の第2実施例を示す図3相当図
【図13】図4相当図
【図14】本発明の第3実施例を示す図3相当図
【符号の説明】
【0026】
図面中、1は洗濯機、4,5は脚部、6は設置用部材、8はシート(抵抗を減ずる手段)、tは設置用部材の厚み、Lは脚部の突出寸法、9はフェルト(保護をする手段)、10は防水パン、11は前部立上がり部、12は後部立上がり部、31はゴムシート(滑り止めをする手段)、41は設置用部材を示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯機を防水パン上に設置するための洗濯機の設置用部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、洗濯機を防水パン上に設置して使用することが行われている。洗濯機用の防水パンは、洗濯機から滴下した水もしくは漏れた水を受け溜めて、家屋の床面にその水が及ばないようにするためのもので、洗濯機の平面形状に合って且つそれよりもやゝ大きな四角形状を成し、そして、その周囲四辺部にはそれぞれ立上がり部が設けられ、全体を囲っている。
【0003】
そのような防水パン上に洗濯機を設置するには、通常二人の作業者で、防水パンの一辺又は二辺の立上がり部を越えさせ、四辺の立上がり部の内方に洗濯機を位置させて降下させるようになっている。
なお、洗濯機の設置台や載置台としては多くのものがあるが、それらは洗濯機を載置するものであり、例えば防水パン自身であって、その防水パン上に洗濯機を設置するための洗濯機の設置用部材ではない(例えば特許文献1、2参照)。
【特許文献1】特開2002−35483号公報
【特許文献2】特開2004−344428号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年の洗濯機、特には洗濯機能、脱水機能だけでなく、乾燥機能まで具えた洗濯機、更にはその乾燥機能をヒートポンプで果たす洗濯機は、重量が100〔kg〕近く、もしくは100〔kg〕超あって、重い。このように重量の大きな洗濯機を上述のように持ち上げて防水パンの一辺又は二辺の立上がり部を越えさせることにより防水パン上に設置するのは、非常に困難であり、多大な労力を要していた。ことに、家屋の中でも、後及び左右の三方を壁で囲まれた狭いスペースでは、重量の大きな洗濯機を上述のようにして防水パン上に設置するのは、きわめて困難であった。
【0005】
本発明は上述の事情に鑑みてなされたものであり、従ってその目的は、重量の大きなものでも、又、狭いスペースでも、洗濯機を防水パン上に容易に設置することのできる洗濯機の設置用部材を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の洗濯機の設置用部材においては、棒状又は板状の部材であって、洗濯機を載置するための防水パンの前部立上がり部上と後部立上がり部上との間に渡し置かれ、上面を前記洗濯機がスライドして移動されることを特徴とする(請求項1の発明)。
【発明の効果】
【0007】
上記手段によれば、設置用部材を防水パンの前部立上がり部上と後部立上がり部上との間に渡し置き、その上で、洗濯機を後上がり状態に傾けて、後部を設置用部材の前部に載せる。次いで、洗濯機を押込みながら水平に上げ、その後、洗濯機を設置用部材の上面をスライドさせて更に押込むことにより、防水パン上に移動させる。そして、その後、洗濯機を左右方向に傾けて設置用部材を抜き取り、洗濯機を防水パンに載せる。かくして、洗濯機を、重量の大きなものでも、又、狭いスペースでも、防水パン上に容易に設置することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の第1実施例(第1の実施形態)につき、図1ないし図11を参照して説明する。
まず、図2には、洗濯機1を示している。この洗濯機1はドラム式の乾燥機能付き洗濯機であって、前面に扉2を有する外箱3の内部に、図示はしないが、洗濯装置及び脱水装置として、洗濯兼脱水槽であるドラムと、ドラムを横軸状に収納した水槽、水槽内に給水する給水装置、水槽内から排水する排水装置、ドラムを回転駆動する駆動装置であるモータを有している。
【0009】
そのほか、洗濯機1は、乾燥装置として、ドラム内に通じた空気循環路、空気循環路を通してドラム内の空気を循環させる送風機、空気循環路を通る空気を凝縮除湿する除湿手段としての蒸発器、蒸発器で除湿した空気を加熱する加熱手段としての凝縮器、これら凝縮器及び蒸発器と圧縮機並びに絞り器とで冷凍サイクルを構成したヒートポンプを有している。
外箱3の下面部には、後部の左右に脚部4を有しており(右側の一方のみ図示)、前部の左右に脚部5を有している。この場合、脚部4が固定構造であるのに対して、脚部5は突出寸法が調整可能なものである。
【0010】
これに対して、図3には、洗濯機の設置用部材6を示している。この設置用部材6は、棒状、特には断面が図4に示すように四角形の棒状部材であって、この場合、木製特には樫など堅固な木材から成っており、その表面は滑らかに処理している。又、この設置用部材6の上面には、上記洗濯機1が後述のようにスライドするときの抵抗を減ずる手段として、合成樹脂特にはフッ素樹脂製で、該設置用部材6の長手方向に延びる細い凸条7を長手方向と直角の方向に多数並べて有するシート8の貼着をしている。
【0011】
更に、この設置用部材6の厚みtは、上記シート8を含まなくても、洗濯機1の前記脚部4,5の突出寸法L(図6参照)よりも大きくしている。加えて、この設置用部材6の両端面部の一方には、家屋の壁面に当たったときのその壁面の保護をする手段として、フェルト9の貼着をしている。なお、このフェルト9の貼着は、設置用部材6の両端面部の両方に施すようにしても良い。又、壁面の保護をする手段としては、フェルト9以外の布や弾力性のあるシート等を用いるようにしても良い。
【0012】
一方、図1には、洗濯機用の防水パン10を示しており、この防水パン10は、例えばプラスチック製で、標準的洗濯機(全自動洗濯機)の平面形状に合って且つそれよりもやゝ大きな四角形状を成し、その周囲四辺部にはそれぞれ立上がり部11〜14を有し、この立上がり部11〜14によって全体を囲っている。そのほか、この防水パン10の四隅部には洗濯機の脚部を載置するための台部15を有しており、ほゞ中央部には、家屋の排水口につながるエルボ形のホース継手16を有している。
【0013】
上記防水パン10上には前記洗濯機1を設置するようになっており、以下には、その手順について述べる。
まず、図1に示すように、防水パン10を家屋の設置スペース17の床面18上に置く。設置スペース17は、図示例では、床面18のほかに、奥側壁面19、左側壁面20、右側壁面21で三方を囲まれており、狭小となっている。
【0014】
上記防水パン10が有したホース継手16には防水パン側の排水ホース22を接続する。そして、設置用部材6を複数例えば2本を用意し、それらをそれぞれ防水パン10の前部立上がり部11上と後部立上がり部12上との間に渡し置く。このとき、設置用部材6は、シート8を上側とし、フェルト9を奥側として設置スペース17の奥側壁面19に当接させる。
【0015】
次いで、図5に示すように、洗濯機1を後上がり状態に傾けて、後部を設置用部材6の最前部に載せる。その後、図6に示すように、洗濯機1を押込みながら水平に上げ、そして、その状態から、洗濯機1を設置用部材6の上面(シート8上)をスライドさせて更に押込むことにより、図7及び図8に示すように、防水パン10上(脚部4,5が台部15に臨む位置)に移動させる。
このとき、設置用部材6の上面では、シート8が洗濯機1のスライド抵抗を減ずる働きをし、設置用部材6の後端部では、フェルト9が設置スペース17の奥側壁面19の保護をする働きをする。
【0016】
この後、図9に示すように、洗濯機1を左右いずれか(図9例は左側)の設置用部材6を支点としてその方向に傾け、それにより下面を浮かせた反対側の下方にある設置用部材6を抜き取る。その後、洗濯機1を戻して、設置用部材6を抜き取った側の洗濯機1の脚部4,5をそれらの直下に位置した防水パン10の台部15に載せ、そこを支点として図10に示すように洗濯機1を上述とは反対の方向(図10例は右側)に傾ける。そして、それにより下面を浮かせた側の下方にある設置用部材6を抜き取る。その後、更に、洗濯機1を戻して、設置用部材6を抜き取った側の洗濯機1の脚部4,5をそれらの直下に位置した防水パン10の台部15に載せる。
【0017】
なお、その後には、前記防水パン側の排水ホース22と洗濯機1の排水ホース23との長さ調整をして、図11に示すように、それらを接続する。
かくして、防水パン10上の洗濯機1の設置が完了する。
【0018】
このように本構成のものによれば、設置用部材6を使用することにより、洗濯機1を、重量の大きなものでも、又、後及び左右の三方を壁で囲まれた狭い設置スペース17でも、防水パン10上に容易に設置できるものであり、洗濯機1の設置性の大幅な向上を図ることができる。
又、設置用部材6は個数を複数としており、それによって、洗濯機1を設置用部材6に載せるときや、載せて後にスライドさせるときの、洗濯機1の傾きをなくして安定性を良くすることができる。
【0019】
更に、設置用部材6の上面には、そこを洗濯機1がスライドするときの抵抗を減ずる手段としてフェルト9を貼着しており、それによって、洗濯機1を容易にスライドさせることができる。
加えて、厚みtは、洗濯機1の脚部4,5の突出寸法Lよりも大きくしており、それによって、設置用部材6の上面を洗濯機1がスライドするときの脚部4,5の引掛かりをなくして洗濯機1を容易にスライドさせることができる。
そのほか、設置用部材6の両端面部の少なくとも一方には、設置スペース17の奥側壁面19の保護をする手段としてフェルト9を貼着しており、それによって、その設置スペース17の奥側壁面19を傷付けないようにすることができる。
【0020】
以上に対して、図12ないし図14は本発明の第2及び第3実施例(第2及び第3の実施形態)を示すもので、それぞれ、第1実施例と同一の部分には同一の符号を付して説明を省略し、異なる部分についてのみ述べる。
【0021】
[第2実施例]
図12及び図13に示す第2実施例においては、設置用部材6の下面に、防水パン10の前部立上がり部11と後部立上がり部12に対して滑り止めをする手段として、ゴムシート31を貼着している。
これにより、設置用部材6の上面を洗濯機1がスライドするときの、防水パン10上での設置用部材6の滑り動き(特に斜め方向や横方向)を抑止して、洗濯機1を設置しやすくでき、洗濯機1の設置性の一層の向上を図ることができる。
【0022】
[第3実施例]
図14に示す第3実施例においては、設置用部材6に代えて、伸縮可能に構成した設置用部材41を用いるようにしている。この場合、設置用部材41は、例えば金属製で中空の半部41aと、金属又は木製で中空又は中実の半部41bとをスライド可能に嵌合して、任意のスライド位置で固定する固定ねじ42を設けることにより、伸縮可能に構成している。
【0023】
これにより、防水パン10の大きさ(特には奥行)の違いに、設置用部材41を伸縮させて対応することができる。
なお、設置用部材41を防水パン10上に置くには、半部41aと半部41bとの合わせ部の段41cが後ろ向きとなるようにすることによって、設置用部材41の上面を洗濯機1がスライドするときの引掛かりを生じないようにできる。
又、本例の設置用部材41にも、下面に、第2実施例のゴムシート31を貼着するようにしても良い。
【0024】
このほか、本発明は上記し且つ図面に示した実施例にのみ限定されるものではなく、特に設置用部材は棒状以外にそれよりも厚みの少ない板状であっても良く、又、洗濯機もその具体的機能、構成等は前述のようには限られないなど、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施し得る。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1実施例を示す、防水パン及び設置用部材を置いた設置スペースの斜視図
【図2】洗濯機の外観斜視図
【図3】設置用部材単体の斜視図
【図4】図3のA−A線に沿う設置用部材の断面図
【図5】洗濯機の設置手順を示す図その1(側面図)
【図6】同手順を示す図その2(側面図)
【図7】同手順を示す図その3(側面図)
【図8】同手順を示す図その4(斜視図)
【図9】同手順を示す図その5(斜視図)
【図10】同手順を示す図その6(斜視図)
【図11】同手順を示す図その7(斜視図)
【図12】本発明の第2実施例を示す図3相当図
【図13】図4相当図
【図14】本発明の第3実施例を示す図3相当図
【符号の説明】
【0026】
図面中、1は洗濯機、4,5は脚部、6は設置用部材、8はシート(抵抗を減ずる手段)、tは設置用部材の厚み、Lは脚部の突出寸法、9はフェルト(保護をする手段)、10は防水パン、11は前部立上がり部、12は後部立上がり部、31はゴムシート(滑り止めをする手段)、41は設置用部材を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒状又は板状の部材であって、洗濯機を載置するための防水パンの前部立上がり部上と後部立上がり部上との間に渡し置かれ、上面を前記洗濯機がスライドして移動されることを特徴とする洗濯機の設置用部材。
【請求項2】
個数を複数としたことを特徴とする請求項1記載の洗濯機の設置用部材。
【請求項3】
上面に、洗濯機がスライドするときの抵抗を減ずる手段を施したことを特徴とする請求項1記載の洗濯機の設置用部材。
【請求項4】
厚みを、洗濯機の脚部の突出寸法よりも大きくしたことを特徴とする請求項1記載の洗濯機の設置用部材。
【請求項5】
両端面部の少なくとも一方に、家屋の壁面の保護をする手段を施したことを特徴とする請求項1記載の洗濯機の設置用部材。
【請求項6】
下面に、防水パンの前部立上り部と後部立上り部に対して滑り止めをする手段を施したことを特徴とする請求項1記載の洗濯機の設置用部材。
【請求項7】
伸縮可能に構成したことを特徴とする請求項1記載の洗濯機の設置用部材。
【請求項1】
棒状又は板状の部材であって、洗濯機を載置するための防水パンの前部立上がり部上と後部立上がり部上との間に渡し置かれ、上面を前記洗濯機がスライドして移動されることを特徴とする洗濯機の設置用部材。
【請求項2】
個数を複数としたことを特徴とする請求項1記載の洗濯機の設置用部材。
【請求項3】
上面に、洗濯機がスライドするときの抵抗を減ずる手段を施したことを特徴とする請求項1記載の洗濯機の設置用部材。
【請求項4】
厚みを、洗濯機の脚部の突出寸法よりも大きくしたことを特徴とする請求項1記載の洗濯機の設置用部材。
【請求項5】
両端面部の少なくとも一方に、家屋の壁面の保護をする手段を施したことを特徴とする請求項1記載の洗濯機の設置用部材。
【請求項6】
下面に、防水パンの前部立上り部と後部立上り部に対して滑り止めをする手段を施したことを特徴とする請求項1記載の洗濯機の設置用部材。
【請求項7】
伸縮可能に構成したことを特徴とする請求項1記載の洗濯機の設置用部材。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2008−220477(P2008−220477A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−60115(P2007−60115)
【出願日】平成19年3月9日(2007.3.9)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(502285664)東芝コンシューマエレクトロニクス・ホールディングス株式会社 (2,480)
【出願人】(503376518)東芝ホームアプライアンス株式会社 (2,436)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月9日(2007.3.9)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(502285664)東芝コンシューマエレクトロニクス・ホールディングス株式会社 (2,480)
【出願人】(503376518)東芝ホームアプライアンス株式会社 (2,436)
【Fターム(参考)】
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