説明

洗濯機置台

【課題】洗濯機本体の大型化や高重量化を抑えて、使用者が必要に応じて追加や分離をすることのできる洗濯排水の浄化処理装置を有した洗濯機置台を提供する。
【解決手段】上面に洗濯機の載置面を有する洗濯機置台1の筺体2内部に、内部を貯水可能とした中空容器状の貯水槽6を配置し、洗濯機の排水口と貯水槽6とを連通させる第1の連通状態と、洗濯機の排水口と機外とを連通させる第2の連通状態と、貯水槽6と機外とを連通させる第3の連通状態とを選択的に切替え可能な排水入出部17を設け、貯水槽6に隣接した収納箱9内にオゾン発生装置10及びエアポンプ11を設け、これにより貯水槽6に貯留される排水中にオゾンを供給して該排水を浄化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯に使用した後の排水を浄化して排出するための浄化処理機能を有した洗濯機置台に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、生活雑排水による河川や海洋などの環境汚染が問題となっている。生活雑排水とは、台所や風呂、洗濯など家庭から排出される生活排水のうちトイレ排水(屎尿)を除いたものをいい、この生活雑排水は下水道処理施設や合併浄化槽が完備された地域では浄化処理がされるが、これらの施設が完備されていない地域では未処理のまま河川などに排出される。すると、例えば生活雑排水の一部である洗濯排水には、洗剤や衣類の汚れなどによる有機物が多量に含まれていて、この有機物が未処理のまま排出されることで、河川や湖沼、海洋などの水域における水質の富栄養化を招き、生態系を壊して自然環境に影響を及ぼすことになる。
【0003】
このような問題に対応するために、例えば、特許文献1のような、洗濯機内部に洗濯に使用した排水を浄化して排出させる浄化処理機能を有したものが開示されている。この特許文献1の洗濯機は、ドラム式洗濯機の筺体内部において、ドラムの下方に洗濯後の排水を溜めるためのタンクが設けられ、筺体内部の上部にはオゾン発生装置が設けられている。このオゾン発生装置から発生されるオゾンを含む空気を前記タンク内に供給することで、タンク内に溜められた排水を浄化する構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−98033号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記の構成の洗濯機は、浄化処理装置を洗濯機本体内に組込んで構成されているため、洗濯機本体が大型化し、重くなるという問題があった。また、例えば、浄化処理施設が完備されている地域で浄化処理装置を有さない洗濯機を使用していた者が、浄化処理設備が完備されていない地域に引っ越す場合などにおいては、浄化処理装置が組込まれた洗濯機を新たに購入しなければならず、今まで使用していた既存の洗濯機は使えなくなるという不都合があった。このことからも、洗濯機の排水を浄化する浄化処理装置は、使用者の必要に応じて追加できたり、あるいは分離できたりする構成が望まれている。
【0006】
そこで、本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、洗濯機本体の大型化や高重量化を抑えるとともに、使用者が必要に応じて追加、あるいは分離をすることのできる洗濯排水の浄化処理装置を有した洗濯機置台を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した目的を達成するために、本発明の洗濯機置台は、洗濯機を載置するための洗濯機置台であって、上面に前記洗濯機の載置面を有した箱状をなす筺体と、前記筺体内に配置され、内部を貯水可能とした中空容器状の貯水槽と、前記洗濯機の排水口と前記貯水槽との間に設けられ、前記洗濯機の排水口と前記貯水槽とを連通させる第1の状態と、前記洗濯機の排水口と機外とを連通させる第2の状態と、前記貯水槽と機外とを連通させる第3の状態とを選択的に切替え可能な排水入出部と、前記貯水槽に貯留される排水中に浄化媒体を供給して該排水を浄化する浄化手段と、を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、上面に洗濯機の載置面を有した箱状をなす筺体の内部に貯水可能な貯水槽を設け、この貯水槽に貯留される洗濯機からの排水中に、浄化手段から浄化媒体を供給して該排水を浄化する構成とした。これによれば、洗濯機本体とは別体の洗濯機置台が、洗濯排水の浄化処理装置を有して構成されているため、浄化処理装置を洗濯機本体内に組込む必要が無く、従って洗濯機本体の大型化や高重量化を抑えることができるとともに、使用者が必要に応じて浄化処理機能(浄化処理装置を有した洗濯機置台)の追加、あるいは分離をすることができる。そして、浄化処理装置を洗濯機の使用に際してその利便性を図るための洗濯機置台に組込む構成としたから、付加価値も高い。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態を示す洗濯機置台の上面にドラム式洗濯機を置いた状態で示す斜視図
【図2】(a)は洗濯機置台の横断平面図、(b)は縦断正面図
【図3】洗濯機置台の貯水槽を引出した状態で示す斜視図
【図4】浄化処理を示すフローチャート
【図5】本発明の他の実施形態を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明をドラム式洗濯機用の洗濯機置台に適用した一実施形態について、図1から図4を参照して説明する。
図1は一般的なドラム式洗濯機100を、本発明の洗濯機置台1の上部に載置した状態で示しており、まず、この洗濯機100の構成及び洗濯運転について簡単に説明する。洗濯機100の外殻はほぼ矩形箱状をなし、その内部には有底円筒状の水槽及び回転ドラムが開口部を前面に位置させて、横軸状にモータに直結されて設けられている(いずれも図示しない)。洗濯機100の前面には前記開口部からなる洗濯物出入口(図示しない)を開閉する扉101が、横方向に開閉可能に設けられている。洗濯機100の前面において、扉101の右側やや上方には扉開閉ボタン102が設けられていて、この扉開閉ボタン102を押圧操作することで扉101が開放して、前記洗濯物出入口から洗濯物が出し入れ可能となる。
【0011】
扉101の左側上方には、引出し可能な箱状の洗剤投入部103が設けられている。扉101の上方には各種の操作スイッチや表示部などを備えた操作パネル104が設けられて、その裏側には制御回路(図示しない)が設けられている。この制御回路はマイクロコンピュータを主体として、ROM、RAMなどを備えて構成されており、各種の入力信号や予め記憶された制御プログラムに基づいて、洗濯機100の動作全般を制御するようにしている。
【0012】
次に、洗濯機100の洗濯運転について説明する。標準的な運転コースでは、周知のように、前記モータに直結された前記回転ドラムの回転速度の制御を中心に、洗剤洗い、すすぎ洗い、脱水の各運転が自動的に実行される。この場合、洗濯機100に接続されている水道(図示しない)から、水道水が洗剤洗い用水やすすぎ洗い用水として各運転状況に応じて洗濯機100の水槽内に供給される。このとき、例えば、洗剤洗い運転開始初期において洗剤投入部103に洗剤が投入されている状態であれば、この洗剤が前記水道水に溶かされて洗剤洗い用の水として水槽内に供給される。その後、洗剤洗いやすすぎ洗いで汚れた洗剤洗い用水やすすぎ洗い用水は、洗濯機100の下部に設けられた排水口(図示しない)から洗濯機100の機外に排出される。
【0013】
次に、本発明の洗濯機置台1の詳細について、図2及び図3を参照して説明する。
洗濯機置台1の外殻をなす筺体2は、図3に示すように、比較的薄形の箱形状をなしており、その上面の四隅に洗濯機100を載置するために補強された三角形の凹状の載置面2aを有し、該筺体2の前面に開口部2bを有して構成されている。この筺体2の前面の開口部2bには、該開口部2bを開閉する扉3が前方下方向に回動可能に設けられている。このとき、前記扉3の開状態においては、該扉3の内側面3aが筺体2の内側底面とほぼ同じ高さに位置するようになっている。
【0014】
図1で示すように、筺体2の扉3の前面右側には、コントロールユニット4が該扉3内に組込まれて設けられている。このコントロールユニット4は、操作スイッチなどからなる操作部4aと、表示部4bと、制御手段たる制御装置5(図1参照)とがユニット化されて構成されており、そのうち操作部4aと表示部4bとが扉3の前面に露出されて、前面から操作可能となっている。この制御装置5はマイクロコンピュータを主体として、ROM、RAMなどを備えて構成されており、各種の入力信号や予め記憶された制御プログラムに基づいて、洗濯機置台1の処理全般を制御するようにしている。
【0015】
操作部4aは、例えば、操作スイッチとして電源スイッチや選択スイッチを有し、洗濯機置台1の電源の入り切り、浄化処理を行う時間や水量の選択をすることができる。また、表示部4bは液晶パネルなどから構成されていて、前述の操作部4aの選択結果や、現在の処理状況などが表示される。
【0016】
図2で示すように、筺体2の内部には、内部を貯水可能としたほぼ矩形状をなす中空容器状の貯水槽6が、開口部2bから前方外部に引出し可能に配置されている。この貯水槽6は、容器部6aと蓋部6bとから構成されている。容器部6aと蓋部6bとの間には図示しないパッキンが設けられており、これにより貯水槽6は、容器部6aに対して蓋部6bが水密に取付可能となっている。蓋部6bの上面には開口部からなる通気孔6dが設けられており(図2の(b)参照)、その通気孔6dを覆うように、後述するオゾンを分解するためのオゾン分解触媒7が設けられている。このオゾン分解触媒7には、例えばアルミニウムからなるハニカム形状の基体に、二酸化マンガンや活性炭を担持させた構成のものが用いられる。
【0017】
貯水槽6の内部底面には、該貯水槽6の内部底面の全体に亘る皿状の底板8が脱着可能に配設されている。この底板8は、外周に若干の立ち上がりを有し、貯水槽6の蓋部6bを取外して容器部6aの上部を開口させると該開口から貯水槽6外に取出すことができる。また、貯水槽6の前面には、該貯水槽6を前方に引出し易いように凹陥部からなる取手部6cが設けられている。ちなみに、この貯水槽6は、上述の通り洗濯機100の置台として供される洗濯機置台1の内部に配設されるため、洗濯機100の内部に設けるよりも大容量を確保することができる。例えば、本実施形態においては、洗濯機置台1の高さを250mm程度とすると、貯水槽6の容量は30〜40リットル程度を確保することができる。これは、洗濯機100から1回の洗剤洗いで排出される排水を貯留するに十分な容量となっている。
【0018】
前記貯水槽6の右側に隣接されて、水密にして内部に配設された機器を保護可能な収納箱9が設けられている。この収納箱9内には、浄化媒体たるオゾンを生成するオゾン発生装置10と、オゾン発生装置10で生成されたオゾンを貯水槽6内に供給するエアポンプ11が設けられている。これらオゾン発生装置10及びエアポンプ11により、浄化手段が構成されている。ちなみに、オゾン発生装置10のオゾン発生方法には、詳細は図示しないが、例えば、ガラスあるいはセラミックといった誘電体を挟んだ一対の電極に交流電圧を印加し、無声放電を生じさせて電極間を通過する空気中の酸素の一部をオゾンに変化させる、いわゆる無声放電式や、紫外線照射によってオゾンを発生させる方法がある。
【0019】
オゾン発生装置10のオゾン吐出口10aは、エアポンプ11の吸入側に接続されている。エアポンプ11の吐出側は、制御装置5により開閉制御可能な給気弁12を介して、貯水槽6内に設けられた給気部13に接続されている。この給気部13は、貯水槽6の上方から下方に(水面上から水中に)延びて設けられ、その先端が開口されるか若しくは途中部から先端にかけて複数の小孔が設けられて構成されている。これにより、オゾン発生装置10で生成されたオゾンは、エアポンプ11による送気によって貯水槽6内に供給されるとともに、貯水槽6に貯留された排水が給気部13からエアポンプ11に逆流しないようになっている。
【0020】
この場合、給気部13や貯水槽6などは、腐食性の高いオゾンに曝されるため、フッ素加工などが施された耐腐食性に優れたものを使用することが望ましい。また、収納箱9内において貯水槽6に隣接する面には、該貯水槽6内に流入される排水の貯留水量を検出するための水位検出手段たる水位センサ14が設けられている。そして、収納箱9の前面にも、貯水槽6と同様に、該収納箱9を前方に引出し易いように凹陥部からなる取手部9aが設けられている(図3参照)。
【0021】
貯水槽6の右後方において、洗濯機100の排水口に一端が接続された接続用ホース15cの他端が、図示しない三方継手の3箇所の接続部のうちの一つに接続されている。そして、この三方接手の残り2箇所の接続部のうち、一方には貯水槽6に一端が接続された入出用ホース15aが入出用開閉弁16aを介して接続され、他方には一端が機外に連通された排出用ホース15bが排出用開閉弁16bを介して接続されている。これにより、開閉弁16a、16bの選択的な開閉により、ホース15a〜15cが相互に連通可能に構成されている。ここで、ホース15a〜15cは蛇腹状で可撓性を有してなり、特に入出用ホース15aは横向きのU字状に畳まれて配設されて、貯水槽6の引出しの際の前後移動に伴って該入出用ホース15aも前後に伸縮するように配置されている。ここで、これらホース15a〜15c、開閉弁16a、16bによって排水入出部17が構成されている。
【0022】
排水入出部17は、前記制御装置5により開閉弁16a、16bを次の第1〜第3の開閉形態に制御されることにより、貯水槽6と洗濯機100の排水口、及び機外との連通状態を次の第1〜第3の連通状態(第1〜第3の状態)に選択的に切替えることができる。即ち、入出用開閉弁16aを開状態とし排出用開閉弁16bを閉状態とする第1の開閉形態では、洗濯機100の排水口と貯水槽6とを連通させる第1の連通状態(第1の状態)とされる。また、入出用開閉弁16aを閉状態とし排出用開閉弁16bを開状態とする第2の開閉形態では、洗濯機100の排水口と機外とを連通させる第2の連通状態(第2の状態)とされる。そして、入出用開閉弁16aと排出用開閉弁16bとをともに開状態とする第3の開閉形態では、貯水槽6と機外とを連通させる第3の連通状態(第3の状態)とされる。
【0023】
筺体2の底面には、貯水槽6及び収納箱9の側面に沿うように前後方向に延びる凸形状のガイド部18、18が設けられている。また、筺体2の底面において貯水槽6の後方には、貯水槽6及び収納箱9の後方への移動限度位置を決めるために、左右方向に延びる凸形状のストッパ部19が設けられている。これにより、貯水槽6及び収納箱9は、ガイド部18に沿って容易に引出せるとともに、ストッパ部19に衝止させることで容易に押入れ可能となる。
【0024】
次に、図4に示すフローチャートを参照して本実施形態における浄化処理について説明する。
まず、使用者により洗濯機100に洗濯物が投入され、洗濯機100の電源が投入された後、洗剤投入部103に規定量の洗剤が投入され、操作パネル104が操作されて洗濯運転が開始される。続いて、使用者が洗濯機置台1におけるコントロールユニット4の操作部4aを操作して、洗濯機置台1の電源を投入する。すると、制御装置5が通電されて次に述べるように、一連の浄化処理が実行される。このとき、貯水槽6の排水貯留量設定値や、浄化処理設定時間などは、前回浄化処理が実行されたときの設定状態が保持されているが、コントロールユニット4の操作部4aを操作して変更することもできる。
【0025】
浄化処理が開始されると、まず、入出用開閉弁16aが開状態にされた後(ステップS1)、排出用開閉弁16bが閉状態にされて(ステップS2)、開閉弁16a、16bが第1の開閉形態となる。これにより、排水入出部17は、洗濯機100の排水口と貯水槽6とが連通された第1の連通状態に切替えられて、洗濯機100から排出される排水が貯水槽6に貯留可能な状態になる。そして、洗濯機100の洗剤洗い運転が終了すると、洗剤や汚れを含んだ洗剤洗い用水(排水)が洗濯機100の排水口から機外へ排出される。すると、この排水は接続用ホース15cから入出用ホース15aを通って貯水槽6に流入し、排水の貯水が開始される(ステップS3)。
【0026】
ここで、上述の通り、貯水槽6は洗濯機100から1回の洗剤洗いで排出される排水を全て貯留するに十分な容量となっている。また、浄化処理を開始するための水位センサ14の検出水位は、通常の洗剤洗い運転で1回に排出される排水量より若干多めの貯水量の水位に所定の水位として予め設定されていて、洗剤洗い用水全量を確実に収容できるようになっている。このため、通常の洗剤洗い運転後に、この洗剤洗い運転で排出される排水、即ち、洗剤や皮脂汚れなどを含んだ最も汚れた排水が全て貯水槽6に貯留され、その後実行されるすすぎ洗い運転で排出されるすすぎ洗い用水が更に追加されると、水位センサ14によって所定の水位に達したことが検出される(ステップS4でYES)。すると、入出用開閉弁16aが閉状態にされるとともに(ステップS5)、排出用開閉弁16bが開状態にされて(ステップS6)、開閉弁16a、16bが第2の開閉形態となる。これにより、排水入出部17は、洗濯機100の排水口と機外とが連通された第2の連通状態に切替えられて、貯水槽6の排水の貯留状態が維持される。そして、これ以降の、例えば、すすぎ洗い運転や脱水運転により洗濯機100から排出される、比較的汚れの少ない排水は、排出用ホース15bを通って機外に排出される。
ちなみに、洗濯物の量が少ない場合には、通常よりも少ない洗剤洗い用水で洗われるため、貯水槽6には洗剤洗い用水に加えて、次の工程のすすぎ洗い用水がより多く貯留される。
【0027】
続いて、給気弁12が開かれてエアポンプ11と貯水槽6とが連通され(ステップS7)、その後エアポンプ11が作動される(ステップS8)。そして、オゾン発生装置10が作動されて(ステップS9)、給気部13から貯水槽6内にオゾンを含んだ空気が供給される。貯水槽6内に貯留された排水がオゾンに曝気されると、この排水中に含まれている、例えば洗剤の界面活性剤や酵素成分、あるいは洗濯物に付着していた皮脂汚れなどの有機物成分が、オゾンの強力な酸化作用によって分解されて、汚染物質たる有機物が低減されて排水が浄化される。
【0028】
このとき、貯水槽6に供給されたオゾンのうち、排水中に溶解されなかったオゾンは排水面から貯水槽6内の空気中に放出される。この場合、高濃度のオゾンは人体に対して有害となるが、本実施形態では、貯水槽6の蓋部6b上面の通気孔6dを覆うようにして設けられたオゾン分解触媒7によりオゾンが酸素に分解されて、無害化された状態で貯水槽6外に放出される。
【0029】
次に、ステップS9の後、終了条件として予め設定された所定時間を経過し、制御装置5によってその終了条件を満たしたと判断されると(ステップS10でYES)、オゾン発生装置10が停止される(ステップS11)とともにエアポンプ11も停止され(ステップS12)、給気弁12も閉じられて(ステップS13)、貯水槽6へのオゾンの供給が停止される。そして入出用開閉弁16aが開状態にされる(ステップS14)とともに排出用開閉弁16bの開状態が維持されて、第3の開閉形態となる。これにより、排水入出部17は、貯水槽6と機外とを連通させる第3の連通状態に切替えられる。すると、貯水槽6に貯留されて浄化処理をされた後の排水は、入出用ホース15aを通って排出用ホース15bから機外へと排出される(ステップS15)。
【0030】
そして、貯水槽6内に貯留されていた排水が排出されると、制御装置5への通電が遮断されて、洗濯機置台1の電源が落とされて、浄化処理が終了する。この電源の遮断については、例えば、水位センサ14によって貯水槽6内の排水の排出終了を検出した後に自動で遮断するようにしても良いし、使用者がコントロールユニット4に設けられた電源スイッチを操作して手動で遮断するようにしても良い。
【0031】
ここで、オゾンの曝気により分解されない不水溶性の無機物(ゴミ)は、浄化処理中に貯水槽6の底面に設けられた底板8に沈殿堆積される。この不水溶性の無機物には、例えば、洗濯物から落ちたリントや、砂塵、泥汚れ、洗剤中の水軟化成分(例えばゼオライト)などがある。これらの沈殿物は、筺体2の前面の扉3を開いて貯水槽6(及び収納箱9)を引出した後、貯水槽6の蓋部6bを取り外して、底板8を貯水槽6から取出すことによって、容易に清掃することができる。
【0032】
このような本実施形態によれば、次のような効果を得ることができる。
本実施形態の構成によれば、筺体2の内部に貯水槽6を設け、この貯水槽6に洗濯機100からの排水を貯留し、この貯留された排水中にオゾン発生装置10から発生されるオゾンを供給して、前記排水中にオゾンを曝気させて浄化が行われる構成とした。これによれば、洗濯機100とは別体の洗濯機置台1が浄化処理装置を有して構成されているため、浄化処理装置を洗濯機100内に組込む必要がなく洗濯排水の浄化処理を行うことができ、洗濯機100の大型化や高重量化を抑えることができるとともに、使用者が必要に応じて浄化処理機能の追加、あるいは分離をすることができる。
【0033】
また、本実施形態の構成によれば、制御装置5が通電されると開閉弁16a、16bの開閉が制御され、洗濯機100から貯水槽6を連通させて排水を貯水槽6に流入させ、その後水位センサ14が所定の水位を検出するとオゾン発生装置10及びエアポンプ11が作動して貯水槽6へのオゾンの供給が行われて浄化処理がされる。そして、終了条件として予め設定された所定時間を経過すると、オゾン発生装置10及びエアポンプ11が停止されるとともに開閉弁16a、16bの開閉が制御されて、浄化された排水が機外に排出される構成となっている。これによれば、簡単な構成で一連の浄化処理をほぼ自動で行うことができ、使用者の手を煩わすこともない。
【0034】
また、浄化処理の開始は電源の投入のタイミングにより任意に変更できるため、例えば、洗濯機100の洗濯運転開始(若しくは洗濯機100の電源投入)とほぼ同時に洗濯機置台1の電源も投入すれば、洗濯機100からその洗濯運転の最初に排出される排水を浄化処理することができる。つまり、洗剤や皮脂などが最も多く汚れた排水を効果的に浄化処理することができるため、排水に含まれる有機物を効果的に浄化することができ、洗濯機100から排出される排水全体の浄化効果を高めることができる。
【0035】
さらに、本実施形態においては、貯水槽6及び収納箱9は筺体2の前面から引出し可能に配置され、貯水槽6の上部が開口可能なように蓋部6bを設け、貯水槽6の内部に底板8が脱着可能に配設される。これによれば、底板8に沈殿堆積された不水溶性の無機物(ゴミ)は、蓋部6bを取外した状態で貯水槽6の上部の開口から該底板を貯水槽6外に取出して、容易に清掃することができるためメンテナンス性が良い。
【0036】
また、本実施形態では、浄化媒体としてオゾン発生装置10から発生されるオゾンを貯水槽6に貯留される排水に曝気させて浄化処理を行う構成としている。これによれば、浄化媒体となるオゾンは、空気中の酸素から例えば無声放電や紫外線照射などによって半永久的に生成されるため、メンテナンス性が良くランニングコストも抑えることができる。さらに、オゾンは一定期間で酸素に分解されるため、環境悪化の虞もない。
【0037】
そして、貯水槽6の蓋部6bに設けられた通気孔6dには、この通気孔6dを覆うようにオゾン分解触媒7が設けられている。これによれば、貯水槽6で排水中に溶解されなかったオゾンは、このオゾン分解触媒7によって酸素に分解されて、無害化された状態で貯水槽6の外部に放出されるため、使用者や環境に対する悪影響がない。
【0038】
(他の実施形態)
前記実施形態に対し、図5は本発明の他の実施形態を示し、同一部分には同一符号を付して示している。前記実施形態では、筺体2の上面の四隅には、洗濯機100を載置するための三角形の凹状の載置面2aが設けられている。これに対し、この実施形態では、筺体2の上面は、補強された平面状の上板20が四隅を残して八角形に切抜かれた構成としている。これによれば、前記実施形態と同様の作用効果を得られるとともに、筺体2の軽量化を図ることができる。さらに、使用者はこの八角形に切抜かれた部分から筺体2の内部を見ることが出来るため、メンテナンスなどの作業をより容易に行うことができる。
【0039】
なお、上記実施形態では、浄化媒体としてオゾンを供給する構成としたが、これに限られず、貯水槽6内に紫外線を照射して浄化する方法や、光触媒を用いた方法なども採用できる。
また、水位センサ14は、圧力センサなどを用いて、浄化処理を開始する検出水位を任意に変更可能とするのが望ましい。検出水位を任意に設定変更可能とすれば、載置される洗濯機の機種によって排出される排水量が異なっていても、検出水位を変更することで異なる機種の洗濯機に対応することができ、浄化処理を開始するタイミングが大きく変化するのを防ぐことができる。
【0040】
そして、オゾンを貯水槽6内に供給する給気部13は、その先端が開口されるか若しくはホース途中に複数の小孔が設けられた構成としたが、貯水槽6の底面全体に亘って配置されて表面に多数の小孔が設けられた中空プレートに給気部13の先端が接続されて、この多数の小孔からオゾンが供給される形態でも良い。
その他、上記実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施し得るものである。
【符号の説明】
【0041】
図面中、1は洗濯機置台、2は筺体、2aは載置面、5は制御装置、6は貯水槽、6dは通気孔、7はオゾン分解触媒、8は底板、10はオゾン発生装置(浄化手段)、11はエアポンプ(浄化手段)、14は水位センサ(水位検出手段)、16aは入出用開閉弁(開閉弁)、16bは排出用開閉弁(開閉弁)、17は排水入出部、100は洗濯機を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗濯機を載置するための洗濯機置台であって、
上面に前記洗濯機の載置面を有した箱状をなす筺体と、
前記筺体内に配置され、内部を貯水可能とした中空容器状の貯水槽と、
前記洗濯機の排水口と前記貯水槽との間に設けられ、前記洗濯機の排水口と前記貯水槽とを連通させる第1の状態と、前記洗濯機の排水口と機外とを連通させる第2の状態と、前記貯水槽と機外とを連通させる第3の状態とを選択的に切替え可能な排水入出部と、
前記貯水槽に貯留される排水中に浄化媒体を供給して該排水を浄化する浄化手段と、を具備することを特徴とする洗濯機置台。
【請求項2】
制御手段と、
前記貯水槽に貯留される排水の水位を検出する水位検出手段と、を有し、
前記排水入出部は、前記制御手段により第1の開閉形態、第2の開閉形態及び第3の開閉形態に制御される開閉弁を有して構成され、
前記制御手段は、通電されると、前記開閉弁を前記第1の開閉形態に制御して前記排水入出部を前記第1の状態とし、その後前記水位検出手段が所定の水位を検出すると前記開閉弁を前記第2の開閉形態に制御して前記排水入出部を前記第2の状態とするとともに前記浄化手段から前記貯水槽に浄化媒体を供給させて該貯水槽に貯留された排水を浄化し、その後所定の終了条件を満たすと前記浄化手段の浄化媒体の供給を停止させるとともに前記開閉弁を前記第3の開閉形態に制御して前記排水入出部を前記第3の状態とすることを特徴とする請求項1記載の洗濯機置台。
【請求項3】
前記貯水槽の内部には皿状の底板を脱着可能に配設したことを特徴とする請求項1又は2記載の洗濯機設置台。
【請求項4】
前記浄化手段は、前記浄化媒体としてオゾンを発生させるオゾン発生装置と、該オゾンを前記貯水槽内に送気するエアポンプとから構成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項記載の洗濯機設置台。
【請求項5】
前記貯水槽の上部には通気孔を設けるとともにオゾン分解触媒を配設したことを特徴とする請求項4記載の洗濯機設置台。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2011−200393(P2011−200393A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−70011(P2010−70011)
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(502285664)東芝コンシューマエレクトロニクス・ホールディングス株式会社 (2,480)
【出願人】(503376518)東芝ホームアプライアンス株式会社 (2,436)
【Fターム(参考)】