説明

洗車受付システム

【課題】 本発明の課題は、洗車設定や料金決済を手早く確実に行え、電波事情にも大きく左右されない洗車受付システムを提供することにある。
【解決手段】 無線通信によって洗車アプリケーションプログラムをダウンロードした電子マネー機能を有する携帯端末1と、チャージした現金に基づくプリペイド情報と洗車機で実行可能な洗車コース情報とを携帯端末1に送信するプリペイドチャージ装置2と、洗車コースの受付と洗車料金の決済を行う洗車受付装置3とを備え、携帯端末で洗車アプリケーションプログラムを実行して洗車コースを選択し、この携帯端末1を洗車受付装置3に接近させることで洗車受付と料金決済を行うものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話に内蔵される電子マネー機能を利用した洗車受付システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ドライブスルー方式の洗車装置において、ユーザが自動車の窓を開けたり、降車したりしないで洗車コースの設定や料金決済を行えるようにしたものが特許文献1で提案されている。特許文献1によれば、ドライバーが所有する携帯端末と洗車機とを無線通信で接続し、洗車コース選択・料金決済・緊急停止等の操作を携帯端末で行うことができる。
【0003】
しかしながら、このシステムでは、電話回線を用いた通信であるため、洗車機側に電話回線による送受信を行うための装備が必要になり設備投資が嵩むとともに、洗車設定中もしくは洗車作業中に携帯端末からの操作を有効にするため、常に電話回線を接続した状態にしておかなければならず、通信費が嵩むという問題がある。また、電波事情や割り込み着信等で通信が途中で切断する可能性もあり、操作ミスに繋がるという問題がある。更に、洗車設定作業は自動車を洗車位置に停車してから行うため、不慣れなユーザでは余計に設定作業に手間取り洗車稼働率が低下するとともに、後方で待機する次のユーザが不満を抱く可能性がある。
【特許文献1】特開2000−255392号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで本発明が解決しようとする課題は、洗車設定や料金決済を手早く確実に行え、電波事情にも大きく左右されない洗車受付システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記課題を解決するため、無線通信によって洗車アプリケーションプログラムをダウンロードした電子マネー機能を有する携帯端末と、チャージした現金に基づくプリペイド情報と洗車機で実行可能な洗車コース情報とを前記携帯端末に送信するプリペイドチャージ装置と、洗車コースの受付と洗車料金の決済を行う洗車受付装置とを備え、前記携帯端末で前記洗車アプリケーションプログラムを実行して洗車コースを選択し、この携帯端末を前記洗車受付装置に接近させることで洗車受付と料金決済を行うものである。
【0006】
携帯端末は、洗車アプリケーションプログラムを実行して洗車コース・車種・装備品を選択することができ、この携帯端末をプリペイドチャージ装置に接近させることで、電子マネーのチャージと洗車アプリケーションプログラムで選択する洗車コースの更新が行える。また、携帯端末を洗車受付装置に接近させることで、携帯端末で選択した洗車コースを送信するとともに、洗車受付装置から携帯端末に電子マネー残金・ポイント・洗車履歴データを受信することができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、洗車場に限定されたローカルネットワークが構築され、携帯端末の電子マネー機能を媒体として洗車コースの設定と料金決済が可能になるため、電波事情に大きく左右されずに各情報の授受を行うことができる。また、携帯端末にダウンロードした洗車アプリケーションプログラムを用いて事前に洗車コースの設定が行えるため、ユーザの要望に即したコース選択を正確に行えるとともに、洗車機の前でとまどうことなく迅速にコース選択が行え、洗車稼働率を向上することができる。
【実施例】
【0008】
以下、図面を用いて本発明の実施例について説明する。図1は本発明の洗車受付システムを示す説明図である。
このシステムは、洗車場内に設置される洗車装置について顧客が所有する携帯端末1に内蔵される電子マネー機能を用いて洗車料金の決済を可能とするものであり、携帯端末1に電子マネーをチャージするプリペイドチャージ機2と、携帯端末1からの洗車受付と料金決済を可能とした洗車受付装置3と、洗車受付装置3からの洗車指令により洗車実行する洗車機4とから構成されている。プリペイドチャージ機2と洗車受付装置3、及び洗車受付装置3と洗車機4とは、それぞれシリアル伝送用ケーブルで接続され、相互に各データの送受を行う。これにより、携帯端末1を媒体としたローカルネットワークが構築されるものであり、グローバルな電子マネーシステムに接続する必要がなく、独自のシステム運用と導入コストの軽減が図られている。
【0009】
携帯端末1は、電子マネー機能とインターネット接続機能とを有する携帯電話等からなり、内蔵される電子マネーのメモリ領域Mに、プリペイドチャージ機2でチャージする電子マネーバリュー・洗車受付用のアプリケーション・洗車メニューリスト・ユーザ洗車設定が書き込まれる。
【0010】
洗車受付用のアプリケーションは、このシステムを提供する管理者Oがインターネット上に公開するもので、顧客はこのアプリケーションを携帯端末1にダウンロードすることで、管理者Oが運営する洗車場において、携帯端末1での電子マネーによる決済や携帯端末1からの洗車メニュー設定が行えるようになり、チャージや洗車によって付与されるポイントを用いたキャッシュバック等の特典サービスが受けられるようになる。
【0011】
プリペイドチャージ機2は、前面の受付操作パネル20上に、現金を投入する現金受付部21と、電子マネーとしてチャージする金額を設定するチャージ金額設定部22と、携帯端末1に記憶されている電子マネーバリューと洗車メニューリストの書き換えを行うリーダライタ部23と、操作手順などを表示する表示部24とを備え、チャージ制御ボード25によって制御される。チャージ制御ボード25には、ユーザ情報を記憶するユーザ情報DB26と、洗車メニューリストを記憶する洗車DB27とが接続され、携帯端末1から取得する顧客データが管理される。
【0012】
ここで、ユーザ情報DB26には、図2に示すように、携帯端末1が有するユーザID毎に、ユーザデータとして電子マネーバリュー残高と、ポイント残高を記憶し、ユーザ履歴データとして電子マネーチャージ履歴と、洗車実行履歴と、ポイント履歴を記憶している。また、洗車DB27には、図3に示すように、洗車機4で実行可能な洗車コースの種類と、洗車トッピングの種類と、洗車コース・トッピングの料金と、洗車コース・トッピングの付与ポイントが記憶されている。尚、洗車DB27の内容は、図示しない外部入力装置により書き換え可能であり、書き換えられた洗車メニューリストは電子マネーのチャージ時に携帯端末1に送信される。
【0013】
チャージ制御ボード25は、リーダライタ部23から携帯端末1に記憶されているユーザID・電子マネーバリュー・洗車メニューリストを取得し、チャージ金額設定部22で指定されたチャージ金額を加算した電子マネーバリューに書き換えるとともに、洗車DB27の洗車メニューリストを読み出し、最新の洗車メニューリストに書き換える。また、ユーザ情報DB26に記憶されたこのユーザIDの顧客データに対して電子マネーバリュー残高・ポイント残高・電子マネーチャージ履歴を更新する。
【0014】
洗車受付装置3は、前面に受付操作パネル30を配し、携帯端末1に記憶されている電子マネーバリュー・ユーザ洗車設定を受け付けるリーダライタ部31と、現金により洗車料金を受け付ける現金受付部32と、車種・洗車コース・装備品等の洗車メニューを選択する洗車設定部33と、スタートキー34と、キャンセルキー35と、受け付けた洗車メニューを表示する表示部36とを備え、受付制御ボード37によって制御される。
【0015】
受付制御ボード37は、リーダライタ部31から携帯端末1に記憶されているユーザID・電子マネーバリュー・ユーザ洗車設定を取得し、洗車メニューの洗車料金を差し引いた電子マネーバリューに書き換えるとともに、チャージ制御ボード25にアクセスしてIDコードの電子マネー残金・洗車履歴を更新する。尚、現金受付部で洗車料金を受け付けること、洗車メニューのみを洗車設定部で行うことも可能である。
【0016】
洗車機4は、洗車ブラシや乾燥ブロワ等の洗車処理装置を装備した門型洗車機であり、内部に各洗車処理装置を制御する洗車制御ボード40を備えている。洗車制御ボード40は、受付制御ボード35からの洗車メニュー実行指令に基づいて予め記憶された洗車プログラムを実行するものである。尚、図1によれば洗車機は1台のみ接続しているが、複数種・複数台接続してもよい。
【0017】
続いて、このように構成する洗車受付システムの動作について詳細に説明する。
まず、この洗車受付システムを利用するために、携帯端末1からインターネットを介して洗車場HPにアクセスし、図4に示す初期画面(1−A)から洗車受付用のアプリケーションをダウンロードする。ダウンロードが完了すると、携帯端末1にメニュー画面(1−B)が表示され、洗車場内の洗車機4について携帯端末1による電子マネー決済や洗車メニュー設定が可能になる。
【0018】
携帯端末1に電子マネーをチャージする際には、プリペイドチャージ機2のチャージ金額設定部22でチャージする金額を入力し、現金受付部21からチャージ金額に相当する現金を投入して携帯端末1をリーダライタ部23にかざすことで行われる。この際、電子マネーバリューと一緒に洗車メニューリストが携帯端末1に送信され、携帯端末1のメモリM内の電子マネーバリューと洗車メニューリストが書き換えられる。プリペイドチャージ機2の表示部24は、図5に示すように、操作手順画面(2−A)〜(2−C)が順次表示され、チャージが終了すると、チャージした電子マネー情報と洗車メニューリストを更新した旨が受付完了画面(2−D)として表示される。すなわち、チャージした電子マネーの金額・バリュー残高・チャージによる獲得ポイント・ポイント残高が表示される。また、携帯端末1のユーザID毎に管理されるユーザ情報DB26内のユーザデータが更新される。
【0019】
ちなみに、携帯端末1内のデータは、洗車受付用のアプリケーションを立ち上げて、メニュー画面(1−B)の履歴から確認することができる。すなわち、図4に示すメニュー画面(1−B)から洗車履歴を選択すると、これまでに実行した洗車メニューと洗車した日付が確認できるので、次回の洗車メニュー設定や洗車タイミングの参考にすることができる。また、ポイント履歴を選択すると、これまでに獲得したポイントの残高が確認できるので、ポイント利用に活用することができる。尚、洗車受付用のアプリケーションを立ち上げた際に、洗車を促す表示を出すようにすることも可能である。
【0020】
さて、携帯端末1を用いて洗車メニュー設定を行うには、洗車受付用のアプリケーションを立ち上げて、アプリケーション上のメニュー画面(1−B)から洗車メニュー選択を選ぶことで行われる。メニュー選択では、図6に示すように、携帯端末1の洗車メニュー選択画面(1−D)〜(1−F)を送りながら、洗車コース(水洗車・シャンプー洗車等)・トッピング(下部洗浄)・車種(普通車・ワンボックス等)・装備品(リアミラー・キャリア等)を順次選んでいき、最後に決定すると設定確認画面(1−G)が表示され、決定すると携帯端末1のメモリMに登録される。
【0021】
こうした事前の設定(電子マネーのチャージ・洗車メニューの設定)が終了すると、この携帯端末1を用いて洗車受付装置3で洗車受付と決済が可能になる。この場合、携帯端末1を洗車受付装置3のリーダライタ部32にかざすと、携帯端末1のメモリMに記憶された電子マネーバリューと洗車メニュー設定を読み込んで、洗車メニューの受付と洗車料金の決済が行われる。洗車受付装置4の表示部36は、図7に示すように、携帯端末1をリーダライタ部32にかざすと、待機画面(3−A)から洗車メニュー受付画面(3−B)に切り替わり、事前に設定した洗車コース・トッピング・装備品が表示される。表示内容を確認した後、洗車メニュー受付画面(3−B)の表示に従って、再び携帯端末1をリーダライタ部32にかざすと、料金受付画面(3−C)に切り替わり、洗車メニューの洗車料金と獲得ポイントが表示される。ここからスタートキー34を入力すると洗車が可能となり、ユーザ情報DB26に登録されたユーザIDに対応したユーザ情報の電子マネー残金・ポイント・洗車履歴を更新される。尚、待機画面(3−A)に表示されるように、従来通り、洗車受付装置3の洗車設定部33から洗車メニューを設定することも可能である。また、洗車メニュー受付画面(3−B)で表示される洗車メニューを変更する場合は、料金決済前であるので、キャンセルキー35を入力して再設定することも可能である。
【0022】
本実施例は以上のように構成するものであり、携帯端末の電子マネー機能を用いて洗車料金の決済と洗車受付を行えるようにしたものである。このシステムは、上記実施例に限定されるものではない。例えば、プリペイドチャージ機に各データベースを持たずに、携帯端末のメモリのみを利用して洗車受付・料金決済を行うようにしてもよい。また、プリペイドチャージ機や洗車受付装置を別設せずに、洗車機本体に併設するようにしてもよい。更にデータベースとして管理するユーザ情報や洗車コース情報は特に限定されるものではなく、必要に応じて変更することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の本発明の洗車受付システムを示す説明図である。
【図2】ユーザ情報DB26に記憶されたデータを示す説明図である。
【図3】洗車DB27に記憶されたデータを示す説明図である。
【図4】携帯端末1におけるアプリダウンロード時の画面表示例を示す説明図である。
【図5】プリペイドチャージ装置2におけるチャージ時の画面表示例を示す説明図である。
【図6】携帯端末1における洗車メニュー設定時の画面表示例を示す説明図である。
【図7】洗車受付装置3における洗車受付時の画面表示例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0024】
1 携帯端末
2 プリペイドチャージ装置
3 洗車受付装置
4 洗車機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信によって洗車アプリケーションプログラムをダウンロードした電子マネー機能を有する携帯端末と、チャージした現金に基づくプリペイド情報と洗車機で実行可能な洗車コース情報とを前記携帯端末に送信するプリペイドチャージ装置と、洗車コースの受付と洗車料金の決済を行う洗車受付装置とを備え、前記携帯端末で前記洗車アプリケーションプログラムを実行して洗車コースを選択し、この携帯端末を前記洗車受付装置に接近させることで洗車受付と料金決済を行うことを特徴とする洗車受付システム。
【請求項2】
前記携帯端末で前記洗車アプリケーションプログラムを実行して洗車コース・車種・装備品を選択することを特徴とする上記請求項1記載の洗車受付システム。
【請求項3】
前記携帯端末を前記プリペイドチャージ装置に接近させることで、前記洗車アプリケーションプログラムで選択する洗車コースを更新することを特徴とする上記請求項1記載の洗車受付システム。
【請求項4】
前記携帯端末を前記洗車受付装置に接近させることで、前記携帯端末で選択した洗車コースを送信するとともに、前記洗車受付装置から携帯端末に電子マネー残金・ポイント・洗車履歴データを送信することを特徴とする上記請求項1記載の洗車受付システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−301073(P2009−301073A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−151147(P2008−151147)
【出願日】平成20年6月10日(2008.6.10)
【出願人】(000103138)エムケー精工株式会社 (174)