流体制御弁
【課題】流体の流れの偏りを矯正すること。
【解決手段】
出力ポート76と連通する出力流路75と、出力ポート76と平行に形成され内側に出力流路75に連通する出力孔74が形成された中空円筒部96と、出力孔74が形成された弁室54と、弁室54に連通する入力ポート71と連通する入力流路72とが形成される流体制御弁1である。さらに、流体制御弁1の入力流路71は弁室54に対して流体をガイドするガイド傾斜面721を有すること、ガイド傾斜面721に流路内凸部722が形成する。それにより、流路内凸部722にガイド傾斜面721によりガイドされた流体がぶつかり弁室54の出力ポート75側の圧力を低下させることができる。
【解決手段】
出力ポート76と連通する出力流路75と、出力ポート76と平行に形成され内側に出力流路75に連通する出力孔74が形成された中空円筒部96と、出力孔74が形成された弁室54と、弁室54に連通する入力ポート71と連通する入力流路72とが形成される流体制御弁1である。さらに、流体制御弁1の入力流路71は弁室54に対して流体をガイドするガイド傾斜面721を有すること、ガイド傾斜面721に流路内凸部722が形成する。それにより、流路内凸部722にガイド傾斜面721によりガイドされた流体がぶつかり弁室54の出力ポート75側の圧力を低下させることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出力ポートと連通する出力流路と、前記出力ポートと平行に形成され内側に前記出力流路に連通する弁孔が形成された中空円筒部と、前記弁孔が形成された弁室と、前記弁室に連通する入力ポートと連通する入力流路とが形成される流体制御弁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の流体制御弁は、固定鉄心に対して通電又は非通電状態とすることで可動鉄心を動作させ、ダイアフラム弁体を弁座に当接又は離間させている。それより、入力流路から流入した流体を弁室を介して出力流路へと流すことを行っていた。
このような流体制御弁には、下記の特許文献1の流体制御弁等がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−145226号公報
【特許文献2】特許第4029076号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術には、以下の問題があった。
すなわち、従来の流体制御弁においては、入力流路から弁室へと流体がスムーズに流れるようにするため、弁室方向に向かって入力流路内に傾斜面を形成している。流体の多くは傾斜面に沿った形で流れる。そのため、流体は、傾斜面が弁室に接続する出力流路側に偏った流れとなる。
流体が出力流路側に対して偏った流れとなり弁室に流入することにより、図15に示すように、その影響で弁室内に圧力差が生じる。図15は、従来の流体制御弁の中心に円形状の弁孔101が形成された弁室100内の圧力状況を表したものである。なお、圧力が高い部分ほど色を濃く表している。図15中、弁孔101の左側のL101が出力ポート側に当たり、弁孔101の右側のR101が入力ポート側に当たる。図15に示すように、弁室内の出力ポート側のL101は、直接流体が流れ込むため圧力が高くなる。他方、弁室内の入力ポート側のR101は、流体が直接流れ込まないため圧力が低くなる。その結果、弁室内は出力ポート側のみ圧力が高くなり圧力差が生じるため、ダイアフラム弁体が傾いた状態で動作する恐れがある。ダイアフラム弁体が傾いた状態で弁座に当接すると、ダイアフラム弁体が弁座に片当たりして内部漏れが生じる問題がある。
また、ダイアフラム弁体が傾いた状態で弁座に当接すると、ダイアフラム弁体が片当たりするため、片当たりする部分の摩耗が進む。その結果、ダイアフラム弁体の交換頻度が多くなるため問題となる。
さらに、ダイアフラム薄膜部では傾くことによって、膜部も引っ張られ膜部の破損につながる恐れがある。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、流体の流れの偏りを矯正する流路を有する流体制御弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一態様における流体制御弁は、以下の構成を有する。
(1)出力ポートと連通する出力流路と、前記出力ポートと平行に形成され内側に前記出力流路に連通する弁孔が形成された中空円筒部と、前記弁孔が形成された弁室と、前記弁室に連通する入力ポートと連通する入力流路とが形成される流体制御弁において、前記入力流路は前記弁室に対して流体をガイドするガイド傾斜面を有すること、前記ガイド傾斜面に流路内凸部が形成されていること、前記流路内凸部に前記ガイド傾斜面によりガイドされた流体がぶつかることで前記弁室の出力ポート側の圧力を低下させること、を特徴とする。
【0007】
(2)(1)に記載する流体制御弁において、前記流路内凸部は前記傾斜面の中央部に設けられていること、前記流路内凸部は断面略三角形状であること、が好ましい。
【0008】
(3)(1)又は(2)に記載する流体制御弁において、前記流路内凸部は、前記ガイド傾斜面を流れる流体に対して垂直方向に横断して形成されていること、が好ましい。
【発明の効果】
【0009】
上記流体制御弁の作用及び効果について説明する。
(1)入力流路は弁室に対して流体をガイドするガイド傾斜面を有すること、ガイド傾斜面に流路内凸部が形成されていること、流路内凸部にガイド傾斜面によりガイドされた流体がぶつかることで弁室の出力ポート側の圧力を低下させる。すなわち、入力流路内のガイド傾斜面にガイドされた流体が流路内凸部にぶつかり、流体は弁室のうち入力ポート側へと流れる。流体が弁室のうち入力ポート側へと流れることにより、弁室内の出力ポート側の圧力のみが高い状態を解消することができ、弁室内の入力ポート側と出力ポート側の圧力の均衡を図ることができる。弁室内の圧力の均衡を図ることで、ダイアフラム弁体が傾いた状態で弁座に当接しなくなり、内部漏れが生じなくなる。
また、ダイアフラム弁体が傾いた状態で弁座に当接しないため、ダイアフラム弁体が片当たりすることがないため、ダイアフラム弁体の摩耗は全周にわたり均等に進む。その結果、ダイアフラム弁体の交換する頻度が少なく済む。
さらに、ダイアフラム薄膜部では傾きが抑えられ膜部の局所的な伸びが減り、破損の懸念が解消される。
【0010】
(2)(1)に記載する構成及び作用効果のほか、流路内凸部は傾斜面の中央部に設けられていること、流路内凸部は断面略三角形状であることにより、入力流路を流れる流体を弁室内の入力ポート側へと流すことができる。すなわち、断面略三角形状であることにより、流体が流路内凸部にぶつかったときに弁室内の入力ポート側へとガイドし流すことができるためである。
【0011】
(3)(1)又は(2)に記載する構成及び作用効果のほか、流路内凸部は、ガイド傾斜面を流れる流体に対して垂直方向に横断して形成されていることにより、入力流路のうちガイド傾斜面を沿って流れる流体のほとんどは、流路内凸部により流れが妨げられる。そのため、入力流路のうち入力ポートに近い入力ポート側の方へ流体が流れる。それにより、弁室内の入力ポーと側の圧力を高くすることができ、弁室内の出力ポート側の圧力のみが高い状態を解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る流体制御弁(閉弁時)の断面図である。
【図2】本発明に係る流体制御弁(開弁時)の断面図である。
【図3】本発明に係る本体弁部の上面図である。
【図4】本発明に係る図3に示す本体弁部のAA断面図である。
【図5】本発明に係る弁中心部材の外観下方斜視図である。
【図6】本発明に係る弁中心部材の外観上方斜視図である。
【図7】本発明に係る流路ブロック体の流路内凸部の位置解析実験の指示図である。
【図8】本発明に係る図7に示す破線Tの一部拡大図を示す。
【図9】本発明に係る流路ブロック体の弁室内を圧力計測した圧力計測実験結果を示した図である。
【図10】本発明に係る図9に示すJ00の拡大図である。
【図11】本発明に係る図9に示すJ60の拡大図である。
【図12】本発明に係る図9に示すJ04の拡大図である。
【図13】本発明に係る図9に示すJ40の拡大図である。
【図14】本発明に係る図9に示すJ03の拡大図である。
【図15】従来技術に係る流体制御弁の弁室内の圧力計測実験の結果図面である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明に係る流体制御弁の一実施の形態について図面を参照して以下の順番で説明する。
A.流体制御弁の全体構成
B.流体制御弁の作用効果
C.流体制御弁を用いた実験結果
D.変形例
【0014】
<A.流体制御弁の全体構成>
<流体制御弁の全体構成>
図1には、流体制御弁1(ノーマルクローズ)の閉弁時の断面図を示す。図2には、流体制御弁1(ノーマルクローズ)の開弁時の断面図を示す。
図1に示すように、流体制御弁1は、パイロット弁部2、本体弁部7により構成されている。本体弁部7の上部にパイロット弁2が固定されている。
【0015】
[パイロット弁部の構成]
図1に示すように、パイロット弁部2は、カバー21に覆われている。カバー21の側面には、配線28が接続されている。パイロット弁部2は、中空円筒状コイルボビン26に導線が巻かれたコイル22が形成され、コイルボビン26の中空部の一端には、固定鉄心23が固設され、他端には可動鉄心24が非磁性体であるカラー25により摺動可能に保持されている。可動鉄心24の先端には、中空部が形成されておりその中空部内にはパイロット弁体29を備える。可動鉄心24の先端部周端には、復帰ばね27の一端が係合されており、復帰ばね27の他端はカラー25に係合されている。可動鉄心24は、コイル22に対して非通電時には、復帰ばね27の付勢力により、固定鉄心23とは反対側へ付勢される。可動鉄心24の先端のパイロット弁体29は、復帰ばね27の付勢力により、弁座30を押圧する。
【0016】
パイロット弁体29は、パイロット室34内に形成されている。パイロット弁体29は、パイロット室34を移動することにより、弁座30内の弁孔36と連通する出力流路連通路32を閉じることができる。
パイロット室34には、入力流路連通路31のパイロット式連通路311、及び、出力流路連通路32の一端が連通している。パイロット室34と出力流路連通路32の当接部に、中心部に弁孔36が形成された弁座30が形成されている。
入力流路連通路31は、入力流路72と連通している。また、出力流路連通路32は、出力流路75と連通している。
【0017】
入力流路連通路31は、パイロット室34手前で、パイロット室連通路311と弁室上部連通路312に分岐する。パイロット室連通路311は、パイロット室34に連通する。弁室上部連通路312は、弁室上部47へと連通する。
図1に示すように、弁室54は、ダイアフラム弁体8によって分離された弁室上部47及び弁室下部60により構成されている。本実施形態において、弁室54は、図1において弁座55よりもパイロット室34に近い位置に形成される。
【0018】
[ダイアフラム弁体の構成]
図1に示すように、ダイアフラム弁体8は、弁部材80及び弁中心部材85により構成されている。弁部材80の中心には弁中心部材85を嵌合するための中心嵌合孔90が形成されている。弁部材80の円周状の端部は、ダイアフラム弁体8を弁室54内に固定するための固定端部83が成形されている。固定端部83は、パイロット弁部2の弁室54の壁面に固定されている。固定端部83と弁中心部材85の間には変形することにより弁中心部材85を上下方向に摺動させる薄膜状のダイアフラム薄膜部88が形成されている。
【0019】
図5に弁中心部材85の外観下方斜視図を示す。図6に弁中心部材85の外観上方斜視図を示す。
図5及び図6に示すように、弁中心部材85は、略椀形状をしている。弁中心部材85の下面85Bには、3本のガイドピン851が形成されている。ガイドピン85は3本が等間隔の距離を保って離れている。3本のガイドピン851の外周は、図1に示すように、出力流路75の流路内径と接触する位置に形成されている。3本のガイドピン851の外周が出力流路75の流路内径と接触することにより、ダイアフラム弁体8はガイドされ、出力流路75の軸心と同軸心上に移動することができる。
【0020】
図1及び図6に示すように、弁中心部材85のうち略椀形状の中心底にあたる底部85Aには、ガイド部852が形成されている。ガイド部852は4本の部材により構成され、中心にガイド柱92を挟み込むことで、ダイアフラム弁体8が、ガイド柱92の軸心と同軸心上に移動することができる。
ガイド柱92は、弁室上部47の上面部から弁座55方向に垂直に形成されている。またガイド柱92の軸心は出力流路75の軸心と同軸心上に位置する。そのため、ガイド柱92及び出力流路75を軸として移動するダイアフラム弁体8は、ガイド柱92と出力流路75の軸心と同軸心上に移動することができる。
【0021】
[本体弁部の構成]
図3に、本体弁部7の上面図を示す。図4に、図3に示す本体弁部7のAA断面図を示す。
図1に示すように、本体弁部7内には、入力流路72及び出力流路75が形成されている。入力流路72の一端は、入力ポート71と連通し、他端は本体弁部7の上面7Aに形成された入力孔73に連通する。出力流路75の一端は出力ポート76と連通し、他端は本体弁部7の上面7Aに形成された出力孔74と連通する。出力流路75の一部分は、中空円筒部96内に形成されている。中空円筒部96は、出力ポート76に対して水平に形成されている。中空円筒部96は、弁室54の中心に配置されており、中空円筒部96の弁室54内の中心には弁座55が形成されている。弁座55の内径部には、弁孔56が形成されている。
【0022】
図3に示すように、本体弁部7の上面7Aの中心に、出力流路75へと連通する出力孔74が形成された中空円筒部96が形成されている。また、円形状の中空円筒部96を囲むように周辺には入力流路72へと連通する入力孔73が形成されている。入力孔73は、下部に形成される出力流路75を避け出力孔74を囲む略C型形の形状である。入力孔73は、入力流路72と連通しているため、入力ポート71から流入した流体を入力孔73へと流入させることができる。
【0023】
図4に示すように、入力流路72を断面から見た場合、入力孔73へ向かってガイド傾斜面721が形成されている。ガイド傾斜面721が形成されていることにより、入力ポート71から流入した流体を入力孔73方向へと流速を落とさずに流すことができる。本実施形態におけるガイド傾斜面721は、入力ポート71から垂直方向に形成されている流路底面723に対して約45度の傾斜角度を有する。なお、傾斜角度は、流体制御弁1の大きさ等により変更することができる。
【0024】
図4に示すように、ガイド傾斜面721に対して垂直方向に断面略三角形状の流路内凸部722が形成されている。流路内凸部722は、頂上部722Aが最もガイド傾斜面721から離れた頂上部に位置する。頂上部722Aから流路底面723に対して垂直方向に垂直面722Bが形成される。また、頂上部722Aから流路底面723に対して水平方向かつ垂直面722Bと直角方向に水平面722Cが形成される。垂直面722B及び水平面722Cは、同じ長さである。そのため、本実施形態においては、流路内凸部722は、断面略直角二等辺三角形状となる。
また、図3に示すように、流路内凸部722の一端は中空円筒部96に係合しており、他端は入力流路72の壁面に係合している。そのため、流路内凸部722は、ガイド傾斜面721を流れる流体に対して垂直方向に横断して形成された形状となる。流路内凸部722をガイド傾斜面721から単独で取り外した場合には、略三角柱形状となる。
【0025】
流体は直線状に流れる性質を有する。そのため、入力流路72内の流体の多くは、ガイド傾斜面721に沿って流れ、入力孔73のうち出力ポート76から近い出力ポート側73Bに流れる。
本実施形態においては、流路内凸部722が形成されており、流れる流体に対して垂直方向に横断して形成された形状である。そのため、入力流路72のうち流路底面723及びガイド傾斜面721を沿って流れる流体のほとんどは、流路内凸部722により流れが妨げられる。具体的には、ガイド傾斜面721に沿って流れる流体は、垂直面722Bにぶつかりその流体の流れの軌道は垂直面722Bに沿って流れる。そのため、図4に示す入力流路72のうち入力ポート71に近い入力ポート側73Aの方へ流体P1及びP2となって流れる。
【0026】
<B.流体制御弁の作用効果>
ノーマルクローズ状態の流体制御弁1についての作用効果について、図1及び図2を用い説明をする。
図1に示す、パイロット弁部2は非通電状態であるため、可動鉄心24は、復帰ばね27の付勢力によりパイロット弁座30側へ付勢されている。そのため、可動鉄心24と係合するパイロット弁体29がパイロット弁座30に押圧された状態となり、出力流路連通路32を閉じた状態とする。
【0027】
流体は入力ポート71を通り、入力流路72、入力流路連通路31を通り、パイロット室34及び弁室上部47へ流体が流入する。
弁室上部47へ流体が流入すると、弁室上部47と弁室下部60との間の圧力の差がなくなる。弁室上部47の方が弁室下部60より受圧面積が大きいため、ダイアフラム弁体8を閉止する力が発生する。同時に、ダイアフラム弁体8は、ばね91の付勢力により弁座55へ押圧される。
よって、ダイアフラム弁体8が弁座55に当接し弁孔56は塞いでいるため、入力流路71から出力流路75へ流体は流入しない。
【0028】
図1に示す状態で、パイロット弁部2を通電状態とすると、図2に示すように、固定鉄心23に磁界が発生し可動鉄心24を吸引する。その結果、パイロット弁体29を固定鉄心23側へ付勢し、パイロット弁座30から離間させ、図2に示すように、出力流路連通路32が開いた状態となる。
【0029】
図2に示すように、流体は入力ポート71を通り、入力流路連通路31を通り、パイロット室34及び弁室上部47へ流体が流れる。さらに、パイロット室34へ流入した流体は、出力流路連通路32、出力孔74及び出力流路75へと流れる。
流体が出力流路連通路32を通り出力孔74へと流入することにより、弁室上部47の圧力が弁室下部60の圧力よりも低くなる。弁室上部47と弁室下部60の間に圧力差が生じることでダイアフラム弁体8が、圧力が低い弁室上部47へ押し上げられる。その際の押し上げ力は、ばね91の付勢力よりも勝っているため、ダイアフラム弁体8は弁座55から離間した状態となる。
したがって、ダイアフラム弁体8が弁座55から離間し弁孔56が塞がれていない状態となるため、流体を入力流路71から出力流路75へ流入させることができる。
【0030】
流体が入力流路72から出力流路75へ流れる際に、流体は図4に示すように、ガイド傾斜面721に沿って流れる。入力流路72のガイド傾斜面721の途中には流路内凸部722が形成されている。流体は直線状に進む性質を有するため、ガイド傾斜面721を流れる流体は、流路内凸部722にぶつかり流体P1及びP2のように真上に上昇する流体となる。流体P1及びP2のように真上に上昇する流体があることにより、出力孔74の中心線Iよりも入力ポート71に近い方に流体が多く流れ込むようになる。それにより、流路内凸部722が存在していない場合と比較して、弁室54の出力ポート76側の圧力を低下させることができる。
【0031】
すなわち、入力流路72内のガイド傾斜面721にガイドされた流体が流路内凸部722にぶつかり、図4に示す流体P1及びP2は弁室54のうち入力ポート71側へと流れる。流体P1及びP2が弁室54のうち入力ポート71に近い方へと流れることにより、弁室54内の出力ポート76側の圧力のみが高い状態を解消することができ、弁室54内の入力ポート71側と出力ポート76側の圧力の均衡を図ることができる。弁室54内の圧力の均衡を図ることで、ダイアフラム弁体8が傾いた状態で弁座55に当接しなくなり、内部漏れが生じなくなる。
また、ダイアフラム弁体8が傾いた状態で弁座55に当接しないため、ダイアフラム弁体8が片当たりすることがないため、ダイアフラム弁体8の摩耗は全周にわたり均等に進む。その結果、ダイアフラム弁体8の交換する頻度が少なく済む。
さらに、ダイアフラム弁体8が傾いた状態で弁座55に対して当接しないことで、ダイアフラム薄膜部88の傾きも抑えられ薄膜部の局所的な伸びが減り、破損の懸念が解消される。
【0032】
さらに、流路内凸部722が、図3に示すように、流路内凸部722の一端は中空円筒部96に係合しており、他端は入力流路72の壁面に係合され、流れる流体に対して垂直方向に横断して形成された形状である。そのため、流路内凸部722は、入力流路72のガイド傾斜面721に対して流れる全ての流体が流路内凸部722の垂直面722Bにぶつかることになる。したがって、ガイド傾斜面721を流れる流体は流路内凸部722にぶつかりその多くは流体P1及びP2となり、出力孔74の中心線Iよりも入力ポート71に近い方に流体が多く流れ込むようになる。それにより、流路内凸部722が存在していない場合と比較して、弁室54の出力ポート76側の圧力を低下させることができる。
【0033】
また、流路内凸部722をガイド傾斜面721に設けることにより流体が直線状に流れる性質を利用し、入力流路72を流れるほとんどの流体を流路内凸部722にぶつけることができる。それにより、弁室54の出力ポート76側の圧力を低下させることができ、流路内凸部722がガイド傾斜面721に形成されていない場合と比較してより弁室54内の圧力の均衡を図ることができる効果を発生させることができる。
【0034】
<C.流体制御弁を用いた実験結果>
流体制御弁1を用い弁室54内の圧力計測実験の実験結果について、図7乃至図14を用い説明をする。図7に、図9に示す圧力計測実験結果における流路内凸部722の頂上部722Aのポイントを示したものである。図8は、図7に係る破線Tの部分拡大図を示す。図9は、図7における流路内凸部722の頂上部722Aポイントに流路内凸部722を設けた場合の圧力計測実験結果である。図9は中心に弁孔を有する弁室内を上方から見た場合の圧力の分布計測実験を行った場合の実験シミュレーション結果である。図10乃至図14は、図9の圧力分布計測実験の一部拡大図を示したものである。
【0035】
流体制御弁1を用いた実験においては、流路内凸部722の頂上部722Aの位置を変えることにより、弁室54内の圧力差がいかに変化するかを調べたものである。流路内凸部722の頂上部722Aの位置は、図7及び図8に示すように、横軸Xは出力孔74の中心軸線Iと垂直面722Bが同線上にある場合を基準する。また、縦軸Yは出力孔74の中心軸線Iとガイド傾斜面721が交差する交差点Wと上面7Aとの間の約中心である水平線を基準とする。図7に示す頂上部722Aの位置を横軸X−0、縦軸Y−0とする。横軸X及び縦軸Yは、所定間隔により1,2,3等と位置を変更して実験を行う。
図9に示す、弁室54のうち図中左側が出力ポート76側である。他方、図中右側が入力ポート71側である。図9乃至図14のうち、色合いが濃い部分の圧力は高く、薄い部分は低く表されている。
【0036】
図8及び図9に示すように、横軸X−0、縦軸Y−0の場合をJ00とする。図9に示すJ00の拡大図を図10に示す。図10に示すように、弁室54内の圧力は、出力ポート76側のL1に高い圧力部KL1が存在する。他方、入力流路72側のR1には高い圧力部が存在しない。そのため、弁室54内の圧力は、出力流路75側のL1が高く、入力流路72側のR1が低くなり、圧力の均衡を図ることができない。
【0037】
図8及び図9に示すように、横軸X−6、縦軸Y−0の場合をJ60とする。図9に示すJ60の拡大図を図11に示す。J60は、縦軸Yの位置は図8に示す位置から変えず、横軸Xを本実験内で最大限入力ポート71側に移動させた場合である。図11に示すように、弁室54内の圧力は、出力ポート76側のL2は高圧力部KL2が存在する。また、入力ポート71側のR2についても高圧力部KR2が存在する。そのため、弁室54内の圧力は出力ポート76側のL2及び入力ポート71側のR2ともに高くなる。そのため、弁室54内の圧力の均衡を図ることができる。弁室54内の圧力の均衡を図ることにより、ダイアフラム弁体8は水平に移動することができる。
本実験結果から、横軸Xの移動量を多くすると、図4に示す流路内凸部722にぶつかり上昇する流体P1及びP2がより入力ポート71側へ流入することが分かった。その結果として、入力ポート71側の弁室54内の圧力を高くすることができた。
【0038】
図8及び図9に示すように、横軸X−0、縦軸Y−4の場合をJ04とする。図9に示すJ04の拡大図を図12に示す。J04は、横軸Xの位置は図8に示す位置から変えず、縦軸Yを本実験内で最大限弁室54側に移動させた場合である。図12に示すように、弁室54内の圧力は、出力ポート76側のL3は高圧力部KL3が存在する。また、入力ポート71側のR3がL3と同じく高圧力部LR3が存在する。そのため、弁室54内の圧力の均衡を図ることができる。弁室54内の圧力の均衡を図ることにより、ダイアフラム弁体8は水平に移動することができる。
本実験結果から、縦軸Yの移動量を多くすると、図4に示す流路内凸部722にぶつかり上昇する流体P1及びP2がより入力流路72側へ流入することが分かった。また、流路内凸部722を超えて弁室54へと流れる流体P3が少なくなり、出力ポート76側の圧力が下がることが分かった。その結果として、入力ポート71側の弁室54内の圧力が高くなり、出力ポート76側の弁室54内の圧力を低くすることができた。
【0039】
図8及び図9に示すように、横軸X−4、縦軸Y−0の場合をJ40とする。図9に示すJ40の拡大図を図13に示す。J40は、縦軸Yの位置は図8に示す位置から変えず、横軸Xを実験内で最大限入力ポート71側に移動させた位置の3分の2の位置である横軸X−4とした場合である。図13に示すように、弁室54内の圧力は、出力ポート76側のL4は高圧力部KL4が存在する。また、入力ポート71側のR4についても高圧力部KR4が存在する。そのため、弁室54内の圧力は出力ポート76側のL4及び入力ポート71側のR4ともに高くなる。そのため、弁室54内の圧力の均衡を図ることができる。弁室54内の圧力の均衡を図ることにより、ダイアフラム弁体8は水平に移動することができる。
【0040】
なお、図9に示すように、横軸X−4以下とした横軸X−3とした場合には、入力ポート71側の圧力が低くなり、出力ポート76側と圧力の均衡を図ることができない。そのため、横軸は横軸X−4以上とすることが好ましい。
【0041】
図8及び図9に示すように、横軸X−0、縦軸Y−3の場合をJ03とする。図9に示すJ03の拡大図を図14に示す。J03は、横軸Xの位置は図8に示す位置から変えず、縦軸Yを実験内で最大限入力ポート71側に移動させた位置の4分の3の位置である縦軸X−3とした場合である。図14に示すように、弁室54内の圧力は、出力ポート76側のL5は高圧力部KL5が存在する。また、入力ポート71側のR5がL5と同じく高圧力部KR5が存在する。そのため、弁室54内の圧力の均衡を図ることができる。弁室54内の圧力の均衡を図ることにより、ダイアフラム弁体8は水平に移動することができる。
【0042】
なお、図9に示すように、縦軸Y−3以下とした縦軸Y−2とした場合には、入力ポート71側の圧力が低くなり、出力ポート76側と圧力の均衡を図ることができない。そのため、縦軸は縦軸Y−3以上とすることが好ましい。
【0043】
上記より、流路内凸部722は、弁室54の入力ポート71側の圧力が高くなる位置に形成する。それにより、弁室54内の入力ポート71側の圧力を高くすることができる。弁室54内の出力ポート76側の圧力のみが高い状態を解消することができ、弁室54内の入力ポート71側と出力ポート76側の圧力の均衡を図ることができる。
【0044】
図9に示すように、横軸X及び縦軸Yの移動量が必要となることが実験により判断できる。具体的には、図9に示すものでは、J50、J60、J40、J41、J51、J61、J22、J32、J42、J52、J62、J13、J43、J53、J64、に関しては、出力ポート76側と入力ポート71側の圧力差が少ない。
【0045】
<D.変形例>
尚、本発明は、上記実施の形態に限定されることなく、発明の趣旨を逸脱することのない範囲で色々な応用が可能である。
例えば、本実施形態においては、流路内凸部を断面略三角形状としたが、断面四角形状、断面多角形状、断面丸形状等とすることができる。ただし、断面略三角形状とした場合が入力流路内の流体の流れを最も阻害することなく流すことができる。断面略三角形状以外とした場合には、流体がぶつかった場合にスムーズに流れず渦を巻く。流体が渦を巻くと流速が遅くなり流体の流れが悪くなるためである。
【0046】
例えば、本実施形態においては、流体制御弁1をパイロット式電磁弁として記載したが、入力流路と出力流路が形成された本体弁部が用いられるものであればどのような弁に用いることもできる。すなわち、パイロット弁、直動弁、ロッカー弁、ポペット弁等とすることもできる。さらに、それらの駆動系式はエア、モータ、電磁式、手動等とすることができる。
【0047】
例えば、本実施形態においては、ガイド傾斜面の角度を約45度としたが、傾斜角度は、流体制御弁の大きさ等により変更することができる。
【0048】
例えば、本実施形態においては流体制御弁1をノーマルクローズのものとしたが、ノーマルオープンのものとすることもできる。
【符号の説明】
【0049】
1 流体制御弁
54 弁室
56 弁孔
71 入力ポート
72 入力流路
721 ガイド傾斜面
722 流路内凸部
74 出力孔
75 出力流路
76 出力ポート
96 中空円筒部
【技術分野】
【0001】
本発明は、出力ポートと連通する出力流路と、前記出力ポートと平行に形成され内側に前記出力流路に連通する弁孔が形成された中空円筒部と、前記弁孔が形成された弁室と、前記弁室に連通する入力ポートと連通する入力流路とが形成される流体制御弁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の流体制御弁は、固定鉄心に対して通電又は非通電状態とすることで可動鉄心を動作させ、ダイアフラム弁体を弁座に当接又は離間させている。それより、入力流路から流入した流体を弁室を介して出力流路へと流すことを行っていた。
このような流体制御弁には、下記の特許文献1の流体制御弁等がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−145226号公報
【特許文献2】特許第4029076号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術には、以下の問題があった。
すなわち、従来の流体制御弁においては、入力流路から弁室へと流体がスムーズに流れるようにするため、弁室方向に向かって入力流路内に傾斜面を形成している。流体の多くは傾斜面に沿った形で流れる。そのため、流体は、傾斜面が弁室に接続する出力流路側に偏った流れとなる。
流体が出力流路側に対して偏った流れとなり弁室に流入することにより、図15に示すように、その影響で弁室内に圧力差が生じる。図15は、従来の流体制御弁の中心に円形状の弁孔101が形成された弁室100内の圧力状況を表したものである。なお、圧力が高い部分ほど色を濃く表している。図15中、弁孔101の左側のL101が出力ポート側に当たり、弁孔101の右側のR101が入力ポート側に当たる。図15に示すように、弁室内の出力ポート側のL101は、直接流体が流れ込むため圧力が高くなる。他方、弁室内の入力ポート側のR101は、流体が直接流れ込まないため圧力が低くなる。その結果、弁室内は出力ポート側のみ圧力が高くなり圧力差が生じるため、ダイアフラム弁体が傾いた状態で動作する恐れがある。ダイアフラム弁体が傾いた状態で弁座に当接すると、ダイアフラム弁体が弁座に片当たりして内部漏れが生じる問題がある。
また、ダイアフラム弁体が傾いた状態で弁座に当接すると、ダイアフラム弁体が片当たりするため、片当たりする部分の摩耗が進む。その結果、ダイアフラム弁体の交換頻度が多くなるため問題となる。
さらに、ダイアフラム薄膜部では傾くことによって、膜部も引っ張られ膜部の破損につながる恐れがある。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、流体の流れの偏りを矯正する流路を有する流体制御弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一態様における流体制御弁は、以下の構成を有する。
(1)出力ポートと連通する出力流路と、前記出力ポートと平行に形成され内側に前記出力流路に連通する弁孔が形成された中空円筒部と、前記弁孔が形成された弁室と、前記弁室に連通する入力ポートと連通する入力流路とが形成される流体制御弁において、前記入力流路は前記弁室に対して流体をガイドするガイド傾斜面を有すること、前記ガイド傾斜面に流路内凸部が形成されていること、前記流路内凸部に前記ガイド傾斜面によりガイドされた流体がぶつかることで前記弁室の出力ポート側の圧力を低下させること、を特徴とする。
【0007】
(2)(1)に記載する流体制御弁において、前記流路内凸部は前記傾斜面の中央部に設けられていること、前記流路内凸部は断面略三角形状であること、が好ましい。
【0008】
(3)(1)又は(2)に記載する流体制御弁において、前記流路内凸部は、前記ガイド傾斜面を流れる流体に対して垂直方向に横断して形成されていること、が好ましい。
【発明の効果】
【0009】
上記流体制御弁の作用及び効果について説明する。
(1)入力流路は弁室に対して流体をガイドするガイド傾斜面を有すること、ガイド傾斜面に流路内凸部が形成されていること、流路内凸部にガイド傾斜面によりガイドされた流体がぶつかることで弁室の出力ポート側の圧力を低下させる。すなわち、入力流路内のガイド傾斜面にガイドされた流体が流路内凸部にぶつかり、流体は弁室のうち入力ポート側へと流れる。流体が弁室のうち入力ポート側へと流れることにより、弁室内の出力ポート側の圧力のみが高い状態を解消することができ、弁室内の入力ポート側と出力ポート側の圧力の均衡を図ることができる。弁室内の圧力の均衡を図ることで、ダイアフラム弁体が傾いた状態で弁座に当接しなくなり、内部漏れが生じなくなる。
また、ダイアフラム弁体が傾いた状態で弁座に当接しないため、ダイアフラム弁体が片当たりすることがないため、ダイアフラム弁体の摩耗は全周にわたり均等に進む。その結果、ダイアフラム弁体の交換する頻度が少なく済む。
さらに、ダイアフラム薄膜部では傾きが抑えられ膜部の局所的な伸びが減り、破損の懸念が解消される。
【0010】
(2)(1)に記載する構成及び作用効果のほか、流路内凸部は傾斜面の中央部に設けられていること、流路内凸部は断面略三角形状であることにより、入力流路を流れる流体を弁室内の入力ポート側へと流すことができる。すなわち、断面略三角形状であることにより、流体が流路内凸部にぶつかったときに弁室内の入力ポート側へとガイドし流すことができるためである。
【0011】
(3)(1)又は(2)に記載する構成及び作用効果のほか、流路内凸部は、ガイド傾斜面を流れる流体に対して垂直方向に横断して形成されていることにより、入力流路のうちガイド傾斜面を沿って流れる流体のほとんどは、流路内凸部により流れが妨げられる。そのため、入力流路のうち入力ポートに近い入力ポート側の方へ流体が流れる。それにより、弁室内の入力ポーと側の圧力を高くすることができ、弁室内の出力ポート側の圧力のみが高い状態を解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る流体制御弁(閉弁時)の断面図である。
【図2】本発明に係る流体制御弁(開弁時)の断面図である。
【図3】本発明に係る本体弁部の上面図である。
【図4】本発明に係る図3に示す本体弁部のAA断面図である。
【図5】本発明に係る弁中心部材の外観下方斜視図である。
【図6】本発明に係る弁中心部材の外観上方斜視図である。
【図7】本発明に係る流路ブロック体の流路内凸部の位置解析実験の指示図である。
【図8】本発明に係る図7に示す破線Tの一部拡大図を示す。
【図9】本発明に係る流路ブロック体の弁室内を圧力計測した圧力計測実験結果を示した図である。
【図10】本発明に係る図9に示すJ00の拡大図である。
【図11】本発明に係る図9に示すJ60の拡大図である。
【図12】本発明に係る図9に示すJ04の拡大図である。
【図13】本発明に係る図9に示すJ40の拡大図である。
【図14】本発明に係る図9に示すJ03の拡大図である。
【図15】従来技術に係る流体制御弁の弁室内の圧力計測実験の結果図面である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明に係る流体制御弁の一実施の形態について図面を参照して以下の順番で説明する。
A.流体制御弁の全体構成
B.流体制御弁の作用効果
C.流体制御弁を用いた実験結果
D.変形例
【0014】
<A.流体制御弁の全体構成>
<流体制御弁の全体構成>
図1には、流体制御弁1(ノーマルクローズ)の閉弁時の断面図を示す。図2には、流体制御弁1(ノーマルクローズ)の開弁時の断面図を示す。
図1に示すように、流体制御弁1は、パイロット弁部2、本体弁部7により構成されている。本体弁部7の上部にパイロット弁2が固定されている。
【0015】
[パイロット弁部の構成]
図1に示すように、パイロット弁部2は、カバー21に覆われている。カバー21の側面には、配線28が接続されている。パイロット弁部2は、中空円筒状コイルボビン26に導線が巻かれたコイル22が形成され、コイルボビン26の中空部の一端には、固定鉄心23が固設され、他端には可動鉄心24が非磁性体であるカラー25により摺動可能に保持されている。可動鉄心24の先端には、中空部が形成されておりその中空部内にはパイロット弁体29を備える。可動鉄心24の先端部周端には、復帰ばね27の一端が係合されており、復帰ばね27の他端はカラー25に係合されている。可動鉄心24は、コイル22に対して非通電時には、復帰ばね27の付勢力により、固定鉄心23とは反対側へ付勢される。可動鉄心24の先端のパイロット弁体29は、復帰ばね27の付勢力により、弁座30を押圧する。
【0016】
パイロット弁体29は、パイロット室34内に形成されている。パイロット弁体29は、パイロット室34を移動することにより、弁座30内の弁孔36と連通する出力流路連通路32を閉じることができる。
パイロット室34には、入力流路連通路31のパイロット式連通路311、及び、出力流路連通路32の一端が連通している。パイロット室34と出力流路連通路32の当接部に、中心部に弁孔36が形成された弁座30が形成されている。
入力流路連通路31は、入力流路72と連通している。また、出力流路連通路32は、出力流路75と連通している。
【0017】
入力流路連通路31は、パイロット室34手前で、パイロット室連通路311と弁室上部連通路312に分岐する。パイロット室連通路311は、パイロット室34に連通する。弁室上部連通路312は、弁室上部47へと連通する。
図1に示すように、弁室54は、ダイアフラム弁体8によって分離された弁室上部47及び弁室下部60により構成されている。本実施形態において、弁室54は、図1において弁座55よりもパイロット室34に近い位置に形成される。
【0018】
[ダイアフラム弁体の構成]
図1に示すように、ダイアフラム弁体8は、弁部材80及び弁中心部材85により構成されている。弁部材80の中心には弁中心部材85を嵌合するための中心嵌合孔90が形成されている。弁部材80の円周状の端部は、ダイアフラム弁体8を弁室54内に固定するための固定端部83が成形されている。固定端部83は、パイロット弁部2の弁室54の壁面に固定されている。固定端部83と弁中心部材85の間には変形することにより弁中心部材85を上下方向に摺動させる薄膜状のダイアフラム薄膜部88が形成されている。
【0019】
図5に弁中心部材85の外観下方斜視図を示す。図6に弁中心部材85の外観上方斜視図を示す。
図5及び図6に示すように、弁中心部材85は、略椀形状をしている。弁中心部材85の下面85Bには、3本のガイドピン851が形成されている。ガイドピン85は3本が等間隔の距離を保って離れている。3本のガイドピン851の外周は、図1に示すように、出力流路75の流路内径と接触する位置に形成されている。3本のガイドピン851の外周が出力流路75の流路内径と接触することにより、ダイアフラム弁体8はガイドされ、出力流路75の軸心と同軸心上に移動することができる。
【0020】
図1及び図6に示すように、弁中心部材85のうち略椀形状の中心底にあたる底部85Aには、ガイド部852が形成されている。ガイド部852は4本の部材により構成され、中心にガイド柱92を挟み込むことで、ダイアフラム弁体8が、ガイド柱92の軸心と同軸心上に移動することができる。
ガイド柱92は、弁室上部47の上面部から弁座55方向に垂直に形成されている。またガイド柱92の軸心は出力流路75の軸心と同軸心上に位置する。そのため、ガイド柱92及び出力流路75を軸として移動するダイアフラム弁体8は、ガイド柱92と出力流路75の軸心と同軸心上に移動することができる。
【0021】
[本体弁部の構成]
図3に、本体弁部7の上面図を示す。図4に、図3に示す本体弁部7のAA断面図を示す。
図1に示すように、本体弁部7内には、入力流路72及び出力流路75が形成されている。入力流路72の一端は、入力ポート71と連通し、他端は本体弁部7の上面7Aに形成された入力孔73に連通する。出力流路75の一端は出力ポート76と連通し、他端は本体弁部7の上面7Aに形成された出力孔74と連通する。出力流路75の一部分は、中空円筒部96内に形成されている。中空円筒部96は、出力ポート76に対して水平に形成されている。中空円筒部96は、弁室54の中心に配置されており、中空円筒部96の弁室54内の中心には弁座55が形成されている。弁座55の内径部には、弁孔56が形成されている。
【0022】
図3に示すように、本体弁部7の上面7Aの中心に、出力流路75へと連通する出力孔74が形成された中空円筒部96が形成されている。また、円形状の中空円筒部96を囲むように周辺には入力流路72へと連通する入力孔73が形成されている。入力孔73は、下部に形成される出力流路75を避け出力孔74を囲む略C型形の形状である。入力孔73は、入力流路72と連通しているため、入力ポート71から流入した流体を入力孔73へと流入させることができる。
【0023】
図4に示すように、入力流路72を断面から見た場合、入力孔73へ向かってガイド傾斜面721が形成されている。ガイド傾斜面721が形成されていることにより、入力ポート71から流入した流体を入力孔73方向へと流速を落とさずに流すことができる。本実施形態におけるガイド傾斜面721は、入力ポート71から垂直方向に形成されている流路底面723に対して約45度の傾斜角度を有する。なお、傾斜角度は、流体制御弁1の大きさ等により変更することができる。
【0024】
図4に示すように、ガイド傾斜面721に対して垂直方向に断面略三角形状の流路内凸部722が形成されている。流路内凸部722は、頂上部722Aが最もガイド傾斜面721から離れた頂上部に位置する。頂上部722Aから流路底面723に対して垂直方向に垂直面722Bが形成される。また、頂上部722Aから流路底面723に対して水平方向かつ垂直面722Bと直角方向に水平面722Cが形成される。垂直面722B及び水平面722Cは、同じ長さである。そのため、本実施形態においては、流路内凸部722は、断面略直角二等辺三角形状となる。
また、図3に示すように、流路内凸部722の一端は中空円筒部96に係合しており、他端は入力流路72の壁面に係合している。そのため、流路内凸部722は、ガイド傾斜面721を流れる流体に対して垂直方向に横断して形成された形状となる。流路内凸部722をガイド傾斜面721から単独で取り外した場合には、略三角柱形状となる。
【0025】
流体は直線状に流れる性質を有する。そのため、入力流路72内の流体の多くは、ガイド傾斜面721に沿って流れ、入力孔73のうち出力ポート76から近い出力ポート側73Bに流れる。
本実施形態においては、流路内凸部722が形成されており、流れる流体に対して垂直方向に横断して形成された形状である。そのため、入力流路72のうち流路底面723及びガイド傾斜面721を沿って流れる流体のほとんどは、流路内凸部722により流れが妨げられる。具体的には、ガイド傾斜面721に沿って流れる流体は、垂直面722Bにぶつかりその流体の流れの軌道は垂直面722Bに沿って流れる。そのため、図4に示す入力流路72のうち入力ポート71に近い入力ポート側73Aの方へ流体P1及びP2となって流れる。
【0026】
<B.流体制御弁の作用効果>
ノーマルクローズ状態の流体制御弁1についての作用効果について、図1及び図2を用い説明をする。
図1に示す、パイロット弁部2は非通電状態であるため、可動鉄心24は、復帰ばね27の付勢力によりパイロット弁座30側へ付勢されている。そのため、可動鉄心24と係合するパイロット弁体29がパイロット弁座30に押圧された状態となり、出力流路連通路32を閉じた状態とする。
【0027】
流体は入力ポート71を通り、入力流路72、入力流路連通路31を通り、パイロット室34及び弁室上部47へ流体が流入する。
弁室上部47へ流体が流入すると、弁室上部47と弁室下部60との間の圧力の差がなくなる。弁室上部47の方が弁室下部60より受圧面積が大きいため、ダイアフラム弁体8を閉止する力が発生する。同時に、ダイアフラム弁体8は、ばね91の付勢力により弁座55へ押圧される。
よって、ダイアフラム弁体8が弁座55に当接し弁孔56は塞いでいるため、入力流路71から出力流路75へ流体は流入しない。
【0028】
図1に示す状態で、パイロット弁部2を通電状態とすると、図2に示すように、固定鉄心23に磁界が発生し可動鉄心24を吸引する。その結果、パイロット弁体29を固定鉄心23側へ付勢し、パイロット弁座30から離間させ、図2に示すように、出力流路連通路32が開いた状態となる。
【0029】
図2に示すように、流体は入力ポート71を通り、入力流路連通路31を通り、パイロット室34及び弁室上部47へ流体が流れる。さらに、パイロット室34へ流入した流体は、出力流路連通路32、出力孔74及び出力流路75へと流れる。
流体が出力流路連通路32を通り出力孔74へと流入することにより、弁室上部47の圧力が弁室下部60の圧力よりも低くなる。弁室上部47と弁室下部60の間に圧力差が生じることでダイアフラム弁体8が、圧力が低い弁室上部47へ押し上げられる。その際の押し上げ力は、ばね91の付勢力よりも勝っているため、ダイアフラム弁体8は弁座55から離間した状態となる。
したがって、ダイアフラム弁体8が弁座55から離間し弁孔56が塞がれていない状態となるため、流体を入力流路71から出力流路75へ流入させることができる。
【0030】
流体が入力流路72から出力流路75へ流れる際に、流体は図4に示すように、ガイド傾斜面721に沿って流れる。入力流路72のガイド傾斜面721の途中には流路内凸部722が形成されている。流体は直線状に進む性質を有するため、ガイド傾斜面721を流れる流体は、流路内凸部722にぶつかり流体P1及びP2のように真上に上昇する流体となる。流体P1及びP2のように真上に上昇する流体があることにより、出力孔74の中心線Iよりも入力ポート71に近い方に流体が多く流れ込むようになる。それにより、流路内凸部722が存在していない場合と比較して、弁室54の出力ポート76側の圧力を低下させることができる。
【0031】
すなわち、入力流路72内のガイド傾斜面721にガイドされた流体が流路内凸部722にぶつかり、図4に示す流体P1及びP2は弁室54のうち入力ポート71側へと流れる。流体P1及びP2が弁室54のうち入力ポート71に近い方へと流れることにより、弁室54内の出力ポート76側の圧力のみが高い状態を解消することができ、弁室54内の入力ポート71側と出力ポート76側の圧力の均衡を図ることができる。弁室54内の圧力の均衡を図ることで、ダイアフラム弁体8が傾いた状態で弁座55に当接しなくなり、内部漏れが生じなくなる。
また、ダイアフラム弁体8が傾いた状態で弁座55に当接しないため、ダイアフラム弁体8が片当たりすることがないため、ダイアフラム弁体8の摩耗は全周にわたり均等に進む。その結果、ダイアフラム弁体8の交換する頻度が少なく済む。
さらに、ダイアフラム弁体8が傾いた状態で弁座55に対して当接しないことで、ダイアフラム薄膜部88の傾きも抑えられ薄膜部の局所的な伸びが減り、破損の懸念が解消される。
【0032】
さらに、流路内凸部722が、図3に示すように、流路内凸部722の一端は中空円筒部96に係合しており、他端は入力流路72の壁面に係合され、流れる流体に対して垂直方向に横断して形成された形状である。そのため、流路内凸部722は、入力流路72のガイド傾斜面721に対して流れる全ての流体が流路内凸部722の垂直面722Bにぶつかることになる。したがって、ガイド傾斜面721を流れる流体は流路内凸部722にぶつかりその多くは流体P1及びP2となり、出力孔74の中心線Iよりも入力ポート71に近い方に流体が多く流れ込むようになる。それにより、流路内凸部722が存在していない場合と比較して、弁室54の出力ポート76側の圧力を低下させることができる。
【0033】
また、流路内凸部722をガイド傾斜面721に設けることにより流体が直線状に流れる性質を利用し、入力流路72を流れるほとんどの流体を流路内凸部722にぶつけることができる。それにより、弁室54の出力ポート76側の圧力を低下させることができ、流路内凸部722がガイド傾斜面721に形成されていない場合と比較してより弁室54内の圧力の均衡を図ることができる効果を発生させることができる。
【0034】
<C.流体制御弁を用いた実験結果>
流体制御弁1を用い弁室54内の圧力計測実験の実験結果について、図7乃至図14を用い説明をする。図7に、図9に示す圧力計測実験結果における流路内凸部722の頂上部722Aのポイントを示したものである。図8は、図7に係る破線Tの部分拡大図を示す。図9は、図7における流路内凸部722の頂上部722Aポイントに流路内凸部722を設けた場合の圧力計測実験結果である。図9は中心に弁孔を有する弁室内を上方から見た場合の圧力の分布計測実験を行った場合の実験シミュレーション結果である。図10乃至図14は、図9の圧力分布計測実験の一部拡大図を示したものである。
【0035】
流体制御弁1を用いた実験においては、流路内凸部722の頂上部722Aの位置を変えることにより、弁室54内の圧力差がいかに変化するかを調べたものである。流路内凸部722の頂上部722Aの位置は、図7及び図8に示すように、横軸Xは出力孔74の中心軸線Iと垂直面722Bが同線上にある場合を基準する。また、縦軸Yは出力孔74の中心軸線Iとガイド傾斜面721が交差する交差点Wと上面7Aとの間の約中心である水平線を基準とする。図7に示す頂上部722Aの位置を横軸X−0、縦軸Y−0とする。横軸X及び縦軸Yは、所定間隔により1,2,3等と位置を変更して実験を行う。
図9に示す、弁室54のうち図中左側が出力ポート76側である。他方、図中右側が入力ポート71側である。図9乃至図14のうち、色合いが濃い部分の圧力は高く、薄い部分は低く表されている。
【0036】
図8及び図9に示すように、横軸X−0、縦軸Y−0の場合をJ00とする。図9に示すJ00の拡大図を図10に示す。図10に示すように、弁室54内の圧力は、出力ポート76側のL1に高い圧力部KL1が存在する。他方、入力流路72側のR1には高い圧力部が存在しない。そのため、弁室54内の圧力は、出力流路75側のL1が高く、入力流路72側のR1が低くなり、圧力の均衡を図ることができない。
【0037】
図8及び図9に示すように、横軸X−6、縦軸Y−0の場合をJ60とする。図9に示すJ60の拡大図を図11に示す。J60は、縦軸Yの位置は図8に示す位置から変えず、横軸Xを本実験内で最大限入力ポート71側に移動させた場合である。図11に示すように、弁室54内の圧力は、出力ポート76側のL2は高圧力部KL2が存在する。また、入力ポート71側のR2についても高圧力部KR2が存在する。そのため、弁室54内の圧力は出力ポート76側のL2及び入力ポート71側のR2ともに高くなる。そのため、弁室54内の圧力の均衡を図ることができる。弁室54内の圧力の均衡を図ることにより、ダイアフラム弁体8は水平に移動することができる。
本実験結果から、横軸Xの移動量を多くすると、図4に示す流路内凸部722にぶつかり上昇する流体P1及びP2がより入力ポート71側へ流入することが分かった。その結果として、入力ポート71側の弁室54内の圧力を高くすることができた。
【0038】
図8及び図9に示すように、横軸X−0、縦軸Y−4の場合をJ04とする。図9に示すJ04の拡大図を図12に示す。J04は、横軸Xの位置は図8に示す位置から変えず、縦軸Yを本実験内で最大限弁室54側に移動させた場合である。図12に示すように、弁室54内の圧力は、出力ポート76側のL3は高圧力部KL3が存在する。また、入力ポート71側のR3がL3と同じく高圧力部LR3が存在する。そのため、弁室54内の圧力の均衡を図ることができる。弁室54内の圧力の均衡を図ることにより、ダイアフラム弁体8は水平に移動することができる。
本実験結果から、縦軸Yの移動量を多くすると、図4に示す流路内凸部722にぶつかり上昇する流体P1及びP2がより入力流路72側へ流入することが分かった。また、流路内凸部722を超えて弁室54へと流れる流体P3が少なくなり、出力ポート76側の圧力が下がることが分かった。その結果として、入力ポート71側の弁室54内の圧力が高くなり、出力ポート76側の弁室54内の圧力を低くすることができた。
【0039】
図8及び図9に示すように、横軸X−4、縦軸Y−0の場合をJ40とする。図9に示すJ40の拡大図を図13に示す。J40は、縦軸Yの位置は図8に示す位置から変えず、横軸Xを実験内で最大限入力ポート71側に移動させた位置の3分の2の位置である横軸X−4とした場合である。図13に示すように、弁室54内の圧力は、出力ポート76側のL4は高圧力部KL4が存在する。また、入力ポート71側のR4についても高圧力部KR4が存在する。そのため、弁室54内の圧力は出力ポート76側のL4及び入力ポート71側のR4ともに高くなる。そのため、弁室54内の圧力の均衡を図ることができる。弁室54内の圧力の均衡を図ることにより、ダイアフラム弁体8は水平に移動することができる。
【0040】
なお、図9に示すように、横軸X−4以下とした横軸X−3とした場合には、入力ポート71側の圧力が低くなり、出力ポート76側と圧力の均衡を図ることができない。そのため、横軸は横軸X−4以上とすることが好ましい。
【0041】
図8及び図9に示すように、横軸X−0、縦軸Y−3の場合をJ03とする。図9に示すJ03の拡大図を図14に示す。J03は、横軸Xの位置は図8に示す位置から変えず、縦軸Yを実験内で最大限入力ポート71側に移動させた位置の4分の3の位置である縦軸X−3とした場合である。図14に示すように、弁室54内の圧力は、出力ポート76側のL5は高圧力部KL5が存在する。また、入力ポート71側のR5がL5と同じく高圧力部KR5が存在する。そのため、弁室54内の圧力の均衡を図ることができる。弁室54内の圧力の均衡を図ることにより、ダイアフラム弁体8は水平に移動することができる。
【0042】
なお、図9に示すように、縦軸Y−3以下とした縦軸Y−2とした場合には、入力ポート71側の圧力が低くなり、出力ポート76側と圧力の均衡を図ることができない。そのため、縦軸は縦軸Y−3以上とすることが好ましい。
【0043】
上記より、流路内凸部722は、弁室54の入力ポート71側の圧力が高くなる位置に形成する。それにより、弁室54内の入力ポート71側の圧力を高くすることができる。弁室54内の出力ポート76側の圧力のみが高い状態を解消することができ、弁室54内の入力ポート71側と出力ポート76側の圧力の均衡を図ることができる。
【0044】
図9に示すように、横軸X及び縦軸Yの移動量が必要となることが実験により判断できる。具体的には、図9に示すものでは、J50、J60、J40、J41、J51、J61、J22、J32、J42、J52、J62、J13、J43、J53、J64、に関しては、出力ポート76側と入力ポート71側の圧力差が少ない。
【0045】
<D.変形例>
尚、本発明は、上記実施の形態に限定されることなく、発明の趣旨を逸脱することのない範囲で色々な応用が可能である。
例えば、本実施形態においては、流路内凸部を断面略三角形状としたが、断面四角形状、断面多角形状、断面丸形状等とすることができる。ただし、断面略三角形状とした場合が入力流路内の流体の流れを最も阻害することなく流すことができる。断面略三角形状以外とした場合には、流体がぶつかった場合にスムーズに流れず渦を巻く。流体が渦を巻くと流速が遅くなり流体の流れが悪くなるためである。
【0046】
例えば、本実施形態においては、流体制御弁1をパイロット式電磁弁として記載したが、入力流路と出力流路が形成された本体弁部が用いられるものであればどのような弁に用いることもできる。すなわち、パイロット弁、直動弁、ロッカー弁、ポペット弁等とすることもできる。さらに、それらの駆動系式はエア、モータ、電磁式、手動等とすることができる。
【0047】
例えば、本実施形態においては、ガイド傾斜面の角度を約45度としたが、傾斜角度は、流体制御弁の大きさ等により変更することができる。
【0048】
例えば、本実施形態においては流体制御弁1をノーマルクローズのものとしたが、ノーマルオープンのものとすることもできる。
【符号の説明】
【0049】
1 流体制御弁
54 弁室
56 弁孔
71 入力ポート
72 入力流路
721 ガイド傾斜面
722 流路内凸部
74 出力孔
75 出力流路
76 出力ポート
96 中空円筒部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力ポートと連通する出力流路と、前記出力ポートと平行に形成され内側に前記出力流路に連通する弁孔が形成された中空円筒部と、前記弁孔が形成された弁室と、前記弁室に連通する入力ポートと連通する入力流路とが形成される流体制御弁において、
前記入力流路は前記弁室に対して流体をガイドするガイド傾斜面を有すること、
前記ガイド傾斜面に流路内凸部が形成されていること、
前記流路内凸部に前記ガイド傾斜面によりガイドされた流体がぶつかることで前記弁室の出力ポート側の圧力を低下させること、
を特徴とする流体制御弁。
【請求項2】
請求項1に記載する流体制御弁において、
前記流路内凸部は前記傾斜面の中央部に設けられていること、
前記流路内凸部は断面略三角形状であること、
を特徴とする流体制御弁。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載する流体制御弁において、
前記流路内凸部は、前記ガイド傾斜面を流れる流体に対して垂直方向に横断して形成されていること、
を特徴とする流体制御弁。
【請求項1】
出力ポートと連通する出力流路と、前記出力ポートと平行に形成され内側に前記出力流路に連通する弁孔が形成された中空円筒部と、前記弁孔が形成された弁室と、前記弁室に連通する入力ポートと連通する入力流路とが形成される流体制御弁において、
前記入力流路は前記弁室に対して流体をガイドするガイド傾斜面を有すること、
前記ガイド傾斜面に流路内凸部が形成されていること、
前記流路内凸部に前記ガイド傾斜面によりガイドされた流体がぶつかることで前記弁室の出力ポート側の圧力を低下させること、
を特徴とする流体制御弁。
【請求項2】
請求項1に記載する流体制御弁において、
前記流路内凸部は前記傾斜面の中央部に設けられていること、
前記流路内凸部は断面略三角形状であること、
を特徴とする流体制御弁。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載する流体制御弁において、
前記流路内凸部は、前記ガイド傾斜面を流れる流体に対して垂直方向に横断して形成されていること、
を特徴とする流体制御弁。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2013−32819(P2013−32819A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−169673(P2011−169673)
【出願日】平成23年8月2日(2011.8.2)
【出願人】(000106760)CKD株式会社 (627)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月2日(2011.8.2)
【出願人】(000106760)CKD株式会社 (627)
【Fターム(参考)】
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