説明

流体流れから水銀を除去する装置および方法

本発明は、元素状ヨウ素が装填されたポリエーテルスルホン(PES)または陰イオン交換樹脂で被覆されたフィルター、すなわち陰イオン交換樹脂で被覆された面に流体流れを曝すことによって、該流体流れから水銀、特に、元素状水銀を除去する装置および方法を提供する。元素状ヨウ素は、PES基材または陰イオン交換樹脂で被覆された基材をヨウ素/ペンタン溶液に浸漬し、その基材を該ヨウ素/ペンタン溶液から取り出してペンタンですすぐことにより、PES面または陰イオン交換樹脂で被覆された面に装填される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2001年9月24日に出願された米国特許出願番号09/962177の一部継続出願である2002年10月11日に出願された米国特許出願番号10/269846の分割出願である。これら先行出願の優先権は明確に請求されており、これらの開示内容は番号を引用することによりすべて本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、ガス流からの水銀(Hg)の除去に関し、特に、ガス流から水銀、特に、元素状水銀(elemental Hg)を除去する装置および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
水銀は神経毒であり、自然環境中に放出されると、人間の健康とその他生物圏を構成する要素との両方に対する懸念となる。大気中の水銀濃度がたとえ低くても、人間とその他の種の食物連鎖の中で蓄積される可能性がある。環境利用性(environmental availability)の度合いは、水銀の化学形態にある程度依存する。健康への影響が広く認識されていることから、この元素は、規制されるべき主たる汚染物質とされている。したがって、工業プロセスで水銀を使用したり、水銀を含む製品を使用したりすることを禁止している国や州もある。そういうものとして、バッテリーや蛍光電球のような製品等の発生源からの水銀量の低減や、工業プロセス、焼却、埋立地、およびボイラのような発生源からの水銀の排出の低減は極めて重要なことである。
【0004】
水銀の排出許容限度が厳しくなるにつれて、より低レベルの水銀を検出することができる分析方法が求められている。求められる感度が、公知の分析方法で達成可能な感度を超える場合もあるため、これらの測定方法で一般的なガス流中の低濃度の水銀を測定するには、分析の前に、水銀を含むガス流をあらかじめ濃縮しなければならないことが多い。
【0005】
さらに面倒なことには、水銀やその容易に形成される化合物のいくつかは比較的揮発しやすい。例えば、水銀は塩化物と容易に化合して塩化第二水銀(HgCl)となる。しかしながら、元素状水銀(elemental mercury)も塩化第二水銀も、一般的な雰囲気温度や煙突内温度では高い蒸気圧を有する。そういうものであるから、元素状水銀と塩化第二水銀の両方の蒸気を、排出制御および/または引き続き行われる分析のために、ガス流からを除去することは難しい。
【0006】
このような理由から、ガス流からの水銀の除去は広く研究されており、ガス流からの元素状水銀および水銀化合物の効果的な除去を志向した数々の方法が報告されている。
【0007】
水銀のヨウ素と化合しやすい性質が、何らかの形態で水銀とヨウ素を化合させてガス流から水銀を除去するという数々の成果をもたらしている。例えば、特開昭49−43197は、アルカリ電解セルガスを、少なくともひとつの無機還元剤を含む、Li、K、Ca、Mg、Zn、Al、Fe、Ni、またはCoのヨウ化物またはRNIの一般式で表される化合物(式中、Rは、Hまたは遊離Iを含まない炭素数1ないし4のアルキルを表す)と接触させることにより該ガスから水銀を除去することを教示している。キャリアは炭素、ゼオライト、またはシリカゲルである。
【0008】
特開昭50−6438は、ガス流を、Al、Zn、Sr、Fe、Na、Ni、Mg、Li、テトラエチルアンモニウム、メチレン、ナフタレン、オルトフェノール、またはベンゼンのヨウ化物を吸着させた陽イオン交換樹脂と接触させることにより該ガス流から水銀を除去することを教示している。該樹脂には、ヨウ化化合物に加えてヨウ素が任意に装填される。
【0009】
米国特許第4474896号は、多硫化物含有吸着剤組成物である水銀の吸着剤を開示している。ひとつの実施形態においては、吸着剤は、蒸気の形態または有機性溶液のいずれかのスルファンにさらされた時に不溶性多硫化物を形成することができる金属カチオンを含有するように処理されたゼオライトである。
【0010】
上記の方法はいずれも、ある程度ガス流から水銀を除去することに成功しているが、どれもそれほど定量的に、すなわち水銀の規制手段の下流に存在する可能性もある低い濃度で行うことはできず、また、X線蛍光等の非破壊分析手法に適用できるかもしれない形で水銀を捕捉することはできない。したがって、これらの公知の方法はどれも、プロセスガス流または廃ガス流のいずれからの完全な水銀の除去に求められるレベルまでの水銀の除去、排出ガスの規制、またはガス流中の水銀含有蒸気の定量分析には適さない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、本発明の目的は、ガス流から水銀蒸気を除去することができる構成物および方法を提供することである。
【0012】
本発明の他の目的は、ガス流から、揮発性の水銀含有化合物を除去する構成物および方法を提供することである。
【0013】
本発明のさらに他の目的は、ガス流から定量的に揮発性の水銀および水銀含有化合物を除去する構成物および方法を提供することである。
【0014】
本発明のさらに他の目的は、ガス流から、元素状態の水銀蒸気、揮発性および粒状の水銀含有化合物、特に酸化された水銀を含有する化合物を含むすべての水銀の化学種を除去する構成物および方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明のこれらおよびその他の目的は、元素状ヨウ素(elemental iodine)が装填されたポリエーテルスルホン(PES)フィルター基材、元素状ヨウ素が装填された陰イオン交換樹脂で被覆されたPESフィルター基材、元素状ヨウ素が装填された陰イオン交換樹脂で被覆されたその他のフィルター基材が設けられた本発明の好適な実施形態により達成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明は、元素状ヨウ素が装填されたポリエーテルスルホン(PES)フィルター面、または元素状ヨウ素が装填された陰イオン交換樹脂で被覆されたPESおよびその他のフィルター面を含む構成物、ガス流から水銀を除去するのに用いられるこれらの面に元素状ヨウ素を装填する方法、およびガス流中の水銀を採集し、これらのフィルター面にその水銀を固定する方法において具現化される。ひとつの実施形態においては、ヨウ素とペンタンとの溶液でPES基材を処理した後、そのPES基材をすすいで乾燥させることにより、ヨウ素をPES基材に装填する。このように処理されたPES面は、ある条件下でガス流から99%を超える水銀を除去することが分かっている。好適な実施形態においては、陰イオン交換樹脂で被覆されたPESフィルター基材にヨウ素が装填されており、そのPESフィルター基材は、広範な操作条件で石炭焚き発電装置の排出ガスから99%の水銀を除去する。本発明は、プロセスガス流や環境中に排出する前の排出ガス流を処理したり、ガス流中の水銀を分析するためにあらかじめ濃縮したり、ガス流中の水銀の化学形態および/または物理形態を確認したりするのに使用できるため、多くの分野で有益である。
【0017】
ある好適な実施形態においては、前記基材は、ポール社(Pall Corporation)のMustang QやSB6407等のポリエーテルスルホン濾紙を強塩基性の塩化物の形態の四級アミンイオン交換樹脂で被覆したものである。この基材を、0.0079Mのヨウ素の無水ペンタン溶液で処理する。この処理溶液は、ヨウ素を1000mLの無水ペンタンに対して1gの割合で溶解して作る。このヨウ素/ペンタン溶液を前記濾紙に通して吸引した後、該濾紙を純粋なペンタンですすいで乾燥させる。他の実施形態においては、前記濾紙をこの処理溶液に浸漬させてもよい。この形態のフィルター材およびその他の形態のフィルター材を使用した他の実施形態においても、基材を前記ペンタン/ヨウ素溶液に十分な時間浸漬させて、確実にフィルターマトリックス(filter matrix)を飽和させフィルター材の全面を該処理溶液にさらすようにしてもよい。その後、このフィルター材を処理溶液から取り出し、無水ペンタンですすいで乾燥させる。このフィルター材は、そのままで水銀を含むガス流にさらして使用することができる。本発明は、フィルター材の形態、溶媒、および陰イオン交換樹脂を特定のものに限定するものではない。例えば、その他の実施形態においては、PESまたはその他の陰イオン交換樹脂(AER)で被覆されたフィルターテープ、織布、繊維状マット、固体状のシート、多孔性の固体、膜、粉末、およびエタノールやヘキサン等のその他溶媒が含まれる。
【0018】
現時点では、処理されたフィルター基材とヨウ素とが相互作用する正確な機構はわからないが、本発明により、処理された基材が水銀(粒状、酸化された蒸気、および元素状態の蒸気の水銀)を含むガス流中に置かれると、結合したヨウ化物またはヨウ素と水銀が反応するように基材に元素状ヨウ素が保持されると考えられる。本出願において、「化学吸着された(“chemisorbed”)」という用語は、処理されたフィルター面へのヨウ素の付着を説明する際に使用される。この用語は、ヨウ素が溶解しやすいペンタンで基材をすすいでも除去されないように、処理されたフィルター面にヨウ素が保持または結合されることを意味するために使用される。「化学吸着された」とは、ある特定の反応や上記面に対する結合力を示すように過度に限定的に説明することを意図したものではない。ヨウ化第二水銀またはヨウ化第一水銀と思われる反応生成物は、ヨウ素処理された基材に結合し続け、それによりすでに気相の水銀が除去され固定される。
【0019】
表1は、前述の方法に従って処理された濾紙の有効性を示すものである。いずれの場合も、このフィルター材を、0.24ないし1.02L/min/cmの流量で石炭焚きユーティリティボイラの排出ガス流にさらした。なお、ガス流中の元素状水銀蒸気の濃度は42ないし304マイクログラム/mであった。同様の実験室でのテストにおいて、未処理フィルターの元素状水銀の捕集効率は1%未満であった。
【0020】
【表1】

【0021】
下記表2を参照し、本発明によるフィルターを、Ontario Hydro法として知られる水銀スペシエーションのための工業規格と比較した。水銀は、多くの場合、煙道ガス等の環境で同時に複数の酸化状態で生じる。本発明によるフィルター組立品と水銀化学種のスペシエーションのためのOntario Hydro法との相関性を確認するために、該フィルター組立品を試験した。表2からわかるように、本発明のフィルター組立品(水銀スペシエーションカートリッジ)は、水銀スペシエーションのためのOntario Hydro法によく対応している。
【0022】
【表2】

【0023】
表1で詳述したように、本発明の元素状水銀を除去する能力は、塩化第二水銀等の酸化された水銀の化学種を除去するフィルター材の捕集効率を低減させることなく向上している。下記の表3を参照し、試験No1および2は、本発明に従って処理された濾紙(Pall SB6407)を使用した試験の結果を示し、一方試験No3は、未処理の濾紙(Pall SB6407)を使用した結果を示す。表3の結果は、本発明によるフィルター組立品および方法は、酸化された水銀の捕集効率を低減することなく、著しく高い元素状水銀の除去効率を実現することを実証している。処理されたフィルターは元素状水銀の捕集効率が高いが、未処理のフィルターは元素状水銀の捕集効率が低く(<1%)、酸化された水銀の捕集効率が高い(>99%)という事実は、表2に列挙した水銀スペシエーション試験の結果の根拠である。
【0024】
【表3】

【0025】
説明した実施形態は、本発明のひとつの実施形態にすぎない。本発明は、ガス流の状態または特性、特定の用途の経済的側面、および使用目的に応じて、様々な形態で利用可能である。例えば、本発明は、ろ過、拡散、およびろ過と拡散の組み合わせのいずれかを含む分離工程で使用可能である。また、本発明は、PES−lまたは陰イオン交換樹脂で被覆されたフィルターlの粉末を流体流れに挿入した後、そのPES−lまたは陰イオン交換樹脂で被覆されたフィルターlの粉末をろ過、固着、または液体インピンジャーによって除去することにより実施してもよい。本発明は、概して、石炭焚き発電装置(表1)、ガス焚き発電装置、焼却装置、天然ガス精製工程、埋立地ガスの放出、およびその他多くの熱的および化学的処理環境に関連する状況での水銀除去に有効である。本発明の方法は、連続排出モニタリング、間欠的なサンプリング、ガス流からの水銀の除去、定量分析を含む分析に先立つ水銀の濃縮のために使用可能である。本発明の元素状水銀に対する選択性は、水銀のスペシエーションも可能にする(表2)。さらなる実施形態をいくつか説明する。それらは、いずれも本発明を気相の水銀を除去するために利用している。
【0026】
連続排出モニタリングに特に適したある好適な実施形態においては、前記フィルター材はテープ状である。そのテープは間欠的に送られ、テープの新しい「フレーム」がガス流にさらされる。そのフィルターテープ材の「フレーム」は、ガス流にさらされた後、そのテープ上の水銀量を測定するための分析チャンバに送られ、サンプリングされた体積と組み合わせて、ガス中の水銀濃度を算出するのに使用される。そして、この情報は、規制基準に準拠しているかどうか確認するため、またはプロセス制御に使用するために蓄積されたり転送されたりする。
【0027】
他の実施形態においては、酸化された水銀粒子、酸化された水銀蒸気、および元素状態の気相の水銀を含むガス流を処理して水銀を除去すると同時に、水銀スペシエーションの情報を提供する。スペシエーションとは、合計の水銀量だけでなく、様々な酸化状態の水銀の量も求める工程のことを言う。本実施形態においては、前記ガス流をまずグラスファイバーフィルター等の不活性フィルターに通過させて、粒状の酸化された水銀を除去する。そして、そのガス流を未処理のPESフィルターまたは未処理の陰イオン交換樹脂で被覆されたフィルターに通過させて、気相の酸化された水銀を除去する。さらに、そのガス流を上述したように元素状ヨウ素を装填させたPESフィルターまたは陰イオン交換樹脂で被覆されたフィルターに通過させる。ガス流をこのフィルターに通過させることにより、上述したように元素状水銀を除去することができる。その後、それらのフィルターを分析して、それぞれのフィルター上に採集された水銀の量を測定し、それらの量を合計してガス流中の合計の水銀量を求める。この方法は、連続排出モニタリング、間欠的なサンプリング(EPAの参照方法29等)、およびOntario Hydro法に有効である。本方法は水銀の合計含有量に関する情報および水銀スペシエーションのための情報も提供することができる。
【0028】
その他の実施形態においては、酸化された水銀粒子、酸化された水銀蒸気、および元素状態の気相の水銀を含むガス流をまず未処理のPESフィルター面または未処理の陰イオン交換樹脂で被覆されたフィルター面を有するデニューダーに導入し、気相の酸化された水銀を除去する。次に、そのガス流を本発明の方法に従って元素状ヨウ素が装填された複数のPESフィルター面または陰イオン交換樹脂で被覆されたフィルター面を有する拡散デニューダーに通し、元素状態の水銀蒸気を除去する。最後に、そのガス流を不活性のフィルターに通過させて、水銀粒子を除去する。各デニューダーおよび不活性フィルターを分析して採集された水銀の量を測定し、それらの量を合計してガス流の全水銀の分析を行う。
【0029】
前述の実施形態は、本発明のある実施形態を例証するためのものであり、限定することを目的にしたものではない。本発明を具現化するそのほかのサンプリング方法、分析方法、およびガス清浄方法が可能であることは当業者により理解されるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス流から水銀を除去する装置であって、
ポリエーテルスルホン面または陰イオン交換樹脂で被覆された面と、
該面上に配置された元素状ヨウ素と、からなることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記ポリエーテルスルホン面上または樹脂で被覆された面上に配置された元素状ヨウ素は、該面上に化学吸着されていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ポリエーテルスルホン面または樹脂で被覆された面は、外表面と間隙面とからなる群から選択されることを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記元素状ヨウ素は、有機性流体と元素状ヨウ素との溶液を前記ポリエーテルスルホン面に接触させることにより、該ポリエーテルスルホン面上または樹脂で被覆された面上に沈着されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記ガス流の温度は、約300°Fまでであることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記ポリエーテルスルホン面または樹脂で被覆された面は、基材の面であって、該基材は、織布、繊維状マット、多孔性の固体、非多孔性の固体、および微粉化された固体からなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記基材は、多孔性の固体であって、固体を貫通する複数の通路を画成しており、該複数の通路は、少なくともひとつのポリエーテルスルホン面または樹脂で被覆された面を含むことを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項8】
基材支持体、ガス注入口、およびガス排出口を含むチャンバと、
該チャンバ内に配置されており、前記ヨウ素が面上に配置されているポリエーテルスルホン面または樹脂で被覆された面と、を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項9】
ガス流から水銀蒸気を除去する方法であって、
ポリエーテルスルホン面または樹脂で被覆された面を設ける工程と、
該ポリエーテルスルホン面上または樹脂で被覆された面上に元素状ヨウ素を装填する工程と、
気相の水銀を含むガス流を、該ヨウ素が装填されたポリエーテルスルホン面または樹脂で被覆された面に接触させる工程と、を有することを特徴とする方法。
【請求項10】
前記ポリエーテルスルホン面上または樹脂で被覆された面上にヨウ素を装填する工程は、
有機性流体に元素状ヨウ素を溶解させる工程と、
前記ポリエーテルスルホン面または樹脂で被覆された面に、該有機性流体/ヨウ素溶液を接触させる工程と、を含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記ポリエーテルスルホン面上にヨウ素を装填する工程は、前記ポリエーテルスルホン面上に元素状ヨウ素を化学吸着させることを含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記有機性流体に元素状ヨウ素を溶解させる工程は、ペンタンに元素状ヨウ素を溶解させることを含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記ガス流の温度は、約300°Fまでであることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記ポリエーテルスルホン面または樹脂で被覆された面を設ける工程は、ポリエーテルスルホン面または樹脂で被覆された面を有しており、織布、繊維状マット、多孔性の固体、非多孔性の固体、および微粉化された固体からなる群から選択される基材を設けることを含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項15】
少なくともひとつのポリエーテルスルホン面またはイオン交換樹脂で被覆された面は、元素状水銀を含む前記ガス流が流れる複数の通路を画成する複数のポリエーテルスルホン面またはイオン交換樹脂で被覆された面からなることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項16】
フィルターチャンバと、
該フィルターチャンバに装着されたフィルター支持体と、
該フィルター支持体に装着されたフィルターと、
該フィルターチャンバと連通している注入管および排出管と、を更に含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項17】
前記ペンタンに元素状ヨウ素を溶解させる工程は、元素状ヨウ素をペンタン1リットルに対して少なくとも0.001モルの割合で溶解させることを含むことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記ペンタンに元素状ヨウ素を溶解させる工程は、元素状ヨウ素をペンタン1リットルに対して少なくとも0.005モルの割合で溶解させることを含むことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項19】
前記ペンタンに元素状ヨウ素を溶解させる工程は、元素状ヨウ素をペンタン1リットルに対して0.05ないし0.10モルの割合で溶解させることを含むことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項20】
前記ペンタンに元素状ヨウ素を溶解させる工程は、元素状ヨウ素をペンタン1リットルに対して約0.0079モルの割合で溶解させることを含むことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項21】
前記ペンタンと元素状ヨウ素との溶液は、元素状ヨウ素がペンタン1リットルに対して少なくとも0.001モルの割合で溶解していることを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項22】
前記ペンタンと元素状ヨウ素との溶液は、元素状ヨウ素がペンタン1リットルに対して少なくとも0.01モルの割合で溶解していることを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項23】
前記ペンタンと元素状ヨウ素との溶液は、元素状ヨウ素がペンタン1リットルに対して0.01ないし0.10モルの割合で溶解していることを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項24】
前記ペンタンと元素状ヨウ素との溶液は、元素状ヨウ素がペンタン1リットルに対して約0.0079モルの割合で溶解していることを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項25】
前記ポリエーテルスルホン基材またはイオン交換樹脂で被覆された基材は、ペンタンと元素状ヨウ素との溶液に浸漬された後、ペンタンですすがれることを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項26】
前記ポリエーテルスルホンろ過基材またはイオン交換樹脂で被覆されたろ過基材にヨウ素を装填する工程は、前記ペンタンとヨウ素との溶液からポリエーテルスルホン基材またはイオン交換樹脂で被覆された基材を取り出した後、該ポリエーテルスルホン基材または陰イオン交換樹脂で被覆された基材をペンタンですすぐ工程を含むことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項27】
前記ガス流中の元素状水銀は蒸気であることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項28】
前記ガス流から元素状水銀を除去する方法は、前記ガス流中の元素状水銀の量を求めるために該ガス流を分析する方法を含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項29】
水銀を含有するガス流を供給する工程と、
該ガス流の一部を抽出する工程と、
該抽出された一部分を一連のフィルターに通過させる工程と、を含むことを特徴とするガス流中の水銀を分析する方法であって、前記一連のフィルターは、粒状の酸化された水銀を抽出する第1のフィルターと、酸化された気相の水銀を抽出する第2のフィルターと、元素状態の気相の水銀を抽出する第3のフィルターとから構成され、該第3のフィルターは、ガス透過性のポリエーテルスルホン基材または陰イオン交換樹脂で被覆された基材からなり、該基材の面上には元素状ヨウ素が配置されていることを特徴とする方法。
【請求項30】
前記ガス透過性ポリエーテルスルホン基材または陰イオン交換樹脂で被覆された基材の面上に配置された元素状ヨウ素は、該面上に化学吸着されていることを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記面上に元素状ヨウ素が配置されたガス透過性ポリエーテルスルホン基材または陰イオン交換樹脂で被覆された基材は、ポリエーテルスルホンろ過基材または陰イオン交換樹脂で被覆されたろ過基材をペンタン/ヨウ素溶液に浸漬させることにより形成されることを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記ヨウ素/ペンタン溶液は、ヨウ素がペンタン1リットルに対して少なくとも0.01モルの割合であることを特徴とする請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記ヨウ素/ペンタン溶液は、ヨウ素がペンタン1リットルに対して0.05ないし0.10モルの割合であることを特徴とする請求項31に記載の方法。
【請求項34】
前記ヨウ素/ペンタン溶液は、ヨウ素がペンタン1リットルに対して約0.08モルの割合であることを特徴とする請求項31に記載の方法。
【請求項35】
前記ヨウ素/ペンタン溶液は、ヨウ素がペンタン1リットルに対して少なくとも0.001モルの割合であることを特徴とする請求項31に記載の方法。
【請求項36】
前記ヨウ素/ペンタン溶液は、ヨウ素がペンタン1リットルに対して少なくとも0.01モルの割合であることを特徴とする請求項31に記載の方法。
【請求項37】
前記ヨウ素/ペンタン溶液は、ヨウ素がペンタン1リットルに対して0.05ないし0.10モルの割合であることを特徴とする請求項31に記載の方法。
【請求項38】
前記ヨウ素/ペンタン溶液は、ヨウ素がペンタン1リットルに対して約0.08モルの割合であることを特徴とする請求項31に記載の方法。
【請求項39】
前記ポリエーテルスルホン面または陰イオン交換樹脂で被覆された面は、基材の面であって、該基材は、濾紙、フィルターテープ、および膜からなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項40】
前記ポリエーテルスルホン面または陰イオン交換樹脂で被覆された面を設ける工程は、ポリエーテルスルホン面または陰イオン交換樹脂で被覆された面を有しており、濾紙、フィルターテープ、および膜からなる群から選択される基材を設けることを含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。

【公表番号】特表2006−502840(P2006−502840A)
【公表日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−543783(P2004−543783)
【出願日】平成15年10月14日(2003.10.14)
【国際出願番号】PCT/US2003/032538
【国際公開番号】WO2004/033072
【国際公開日】平成16年4月22日(2004.4.22)
【出願人】(505133663)クーパー エンバイロメンタル サービスィズ (1)
【氏名又は名称原語表記】COOPER ENVIRONMENTAL SERVICES
【住所又は居所原語表記】10170 S.W. Nimbus Avenue, Suite H5, Portland, OR 97223 U.S.A.
【出願人】(305051510)
【氏名又は名称原語表記】COOPER, John, Arthur
【住所又は居所原語表記】18375 S.W. Horse Tale Drive, Beaverton, OR 97007 U.S.A.
【出願人】(305051532)
【氏名又は名称原語表記】FRY, Serah, Catherine
【住所又は居所原語表記】17712 S.W. Ivy Glenn Drive, Beaverton, OR 97007 U.S.A.
【出願人】(305051576)
【氏名又は名称原語表記】JOHNSEN, Bruce, Edward
【住所又は居所原語表記】11120 S.W. 124th Place, Tigard, OR 97223 U.S.A.
【Fターム(参考)】