説明

流動性食品素材の成形方法及び成形装置

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、色違いの複数の粘性のある流動性食品素材を、特定の比率で3つ以上の領域に色分けされた食品にする流動性食品素材の成形方法及び成形装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、例えば、チョコレート、キャンデー、アイスクリーム等の粘性のある流動性食品素材を用いて、複数の領域に色分けされた食品を製造する場合、例えばデポジッターを用いて、色違いの複数の流動性食品素材を導入し、それらを単に合流させて接合した状態にして押出す方法が採用されていた。
【0003】図12には、従来の流動性食品素材の成形装置の一例が示されている。この成形装置51は、一般的にデポジッターと称されているものであって、2つの原料槽52、53を有している。原料槽52、53の底部には、それぞれ導入口54、55が設けられ、これらの導入口54、55は、バルブ56、57内に設けられた流路58、59に連通している。これらの流路58、59は、バルブ56、57を、図の位置に配置した場合、それぞれ流路60、61に連通し、流路60、61の先方には、それぞれピストン62、63が設けられている。
【0004】また、流路58は、バルブ56を矢印ホの方向に90度回すことにより、導入口54に連通していた側が、流路60に連通し、流路60に連通していた側が、流路64に連通するようにされている。一方、流路59は、バルブ57を矢印トの方向に90度回すことにより、導入口55に連通していた側が、流路61に連通し、流路61に連通していた側が、流路65に連通するようにされている。更に、流路64、65は、流路66で合流し、流出口67に連通する。
【0005】上記成形装置51を用いて、色違いの流動性食品素材A、Bを用いて、2色に色分けされた食品を成形する場合、まず、原料槽52、53に、流動性食品素材A、Bをそれぞれ入れ、バルブ56、57を、図の位置に配置した状態で、ピストン62を矢印イの方向に引いて、流動性食品素材Aを、導入口54を経て、流路58に導入すると共に、ピストン63を矢印ハの方向に引いて、流動性食品素材Bを、導入口55を経て、流路59に導入する。
【0006】次に、バルブ56を矢印ホの方向に90度回すと共に、バルブ57を矢印トの方向に90度回した後、ピストン62を矢印ロの方向に押して、流路58内の流動性食品素材Aを、流路64を経て流路66に押し出すと共に、ピストン63を矢印ニの方向に押して、流路59内の流動性食品素材Bを、流路65を経て流路66に押し出すと、流動性食品素材A、Bは、流路66において2色に色分けされた合流体となり、流出口67から押し出される。
【0007】その後、バルブ56を矢印ヘの方向に90度回すと共に、バルブ57を矢印チの方向に90度回すと、図に示す位置に配置されるので、上記操作を繰り返す。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記のようにして、色違いの複数の流動性食品素材を単に合流させた場合、例えば、3つ以上の領域に色分けされた食品を得る場合、得ようとする領域と同じ数の導入口が必要であるという問題があった。
【0009】また、例えば、色違いの流動性食品素材を複数の導入口から導入して合流させた場合、複数に分割された領域は、断面が半円又は扇形をなして等分に分割された画一的な模様しか形成することができず、三層以上の層状模様等の各種の模様にすることは困難であるという問題があった。
【0010】したがって、本発明の目的は、色違いの複数の粘性のある流動性食品素材を用いて、特定の比率の3つ以上の領域に色分けされた食品にすることができる流動性食品素材の成形方法及び成形装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明の第1は、色違いの複数の粘性のある流動性食品素材を1つの流路に合流させて色分けされた断面の第1合流体を形成し、この第1合流体を2つ以上の流路に1回以上分岐させて、特定の比率で色分けされた断面の複数の分岐流体を形成し、これらの分岐流体を合流させて3つ以上の領域に色分けされた断面の第2合流体を形成して流出させる工程を含むことを特徴とする流動性食品素材の成形方法を提供するものである。
【0012】本発明の第2は、前記第1の発明において、前記第1合流体を、前記色分けされた界面に対して交差する面を境界にして、2つの流路に分岐させる流動性食品素材の成形方法を提供するものである。
【0013】本発明の第3は、前記第1又は2の発明において、最終の出口近傍で緩やかな乱流を起こさせる流動性食品素材の成形方法を提供するものである。
【0014】本発明の第4は、前記第1〜3のいずれか1つの発明において、最終の出口近傍で、前記第2合流体の内部にセンター素材を注入する流動性食品素材の成形方法を提供するものである。
【0015】本発明の第5は、前記第1〜4のいずれか1つの発明において、前記流動性食品素材が、チョコレート、キャンデー、アイスクリーム、魚肉練製品から選ばれた1種である流動性食品素材の成形方法を提供するものである。
【0016】本発明の第6は、色違いの複数の粘性のある流動性食品素材をそれぞれ導入する導入口と、前記各導入口に連通し、流出方向の先方で1つの流路に集合される第1流路群と、前記集合された流路を2つ以上の流路に1回以上分岐させる第2流路群と、前記第2流路群を再び集合させる第3流路群と、前記第3流路群で集合された流路に連通する流出口とを備えていることを特徴とする流動性食品素材の成形装置を提供するものである。
【0017】本発明の第7は、前記第6の発明において、前記第1流路群の集合部と、前記第2流路群の分岐部とが、平面的に見て互いに重ならないで交差している流動性食品素材の成形装置を提供するものである。
【0018】本発明の第8は、前記第6又は7の発明において、前記導入口が形成された第1プレート、前記第1流路群が形成された第2プレート、前記2流路群が形成された第3プレート、前記第3流路群が形成された第4プレート、前記流出口が形成された第5プレートを順次積層して構成された流動性食品素材の成形装置を提供するものである。
【0019】本発明の第9は、前記第6〜8のいずれか1つの発明において、前記流出口近傍に拡散手段が設けられた流動性食品素材の成形装置を提供するものである。
【0020】本発明の第10は、前記第6〜9のいずれか1つの発明において、前記流出口近傍の流路内に、センター素材の供給管が配置され、前記流出口が、前記センター素材供給管の出口を囲む環状の開口をなしている流動性食品素材の成形装置を提供するものである。
【0021】本発明の第1によれば、まず、色違いの複数の粘性のある流動性食品素材を1つの流路に合流させることにより、半円又は扇形等に色分けされた断面の第1合流体が形成される。この第1合流体を2つ以上の流路に1回以上分岐させると、それぞれが色分けされた断面の分岐流体となる。この場合の色分けは、分岐方向によって定まる特定の比率でなされる。次に、これらの分岐流体を各種の方法で合流させると、3つ以上の領域に色分けされた断面の第2合流体が形成される。この第2合流体を型等に注入することにより、特定の比率で3つ以上の領域に色分けされた断面を有する、目新しい外観の食品を、容易に、再現性よく得ることができる。
【0022】本発明の第2によれば、第1合流体を、色分けされた界面に対して交差する面を境界にして、2つの流路に分岐させるので、分岐流体の断面を効果的に色分けすることができる。
【0023】本発明の第3によれば、最終の出口近傍で緩やかな乱流を起こさせるので、3つ以上の領域に色分けされたまま、その界面において乱れを生じさせることができ、例えば、大理石調等の複雑な模様を形成することができる。
【0024】本発明の第4によれば、最終の出口近傍で、第2合流体の内部にセンター素材を注入するので、センター素材の周囲を、3つ以上の領域に色分けされた食品で被覆した食品を得ることができる。
【0025】本発明の第5によれば、流動性食品素材として、チョコレート、キャンデー、アイスクリーム、魚肉練製品から選ばれた1種を用いるので、適度な粘性を有しており、流動過程で色分けされた界面が混じり合うことが少なく、3つ以上の領域に色分けされた食品を容易に得ることができる。また、種々の食品素材に適用することにより、製品の多様化を図ることができる。
【0026】本発明の第6によれば、色違いの複数の粘性のある流動性食品素材を、各導入口からそれぞれ導入し、各導入口に連通する第1流路群を通してその先方で1つの流路に集合させ、次いで、第2流路群に通して、集合された流路を2つ以上の流路に1回以上分岐させた後、第3流路群に通して再び集合させることにより、特定の比率で3つ以上の領域に色分けされた断面とし、最後に流出口から流出させることにより、特定の比率で3つ以上の領域に色分けされた食品を得ることができる。
【0027】本発明の第7によれば、第1流路群の集合部と、第2流路群の分岐部とが、平面的に見て互いに重ならないで交差しているので、第2流路群で分岐された分岐流体の断面を効果的に色分けすることができる。
【0028】本発明の第8によれば、導入口が形成された第1プレート、第1流路群が形成された第2プレート、第2流路群が形成された第3プレート、第3流路群が形成された第4プレート、流出口が形成された第5プレートを順次積層して構成されるので、複雑な流路群を備えた流動性食品素材の成形装置を容易に得ることができる。
【0029】本発明の第9によれば、流出口近傍に拡散手段が設けられているので、3つ以上の領域に色分けされたまま、その界面において乱れを生じさせることができ、例えば、大理石調等の複雑な模様を形成することができる。
【0030】本発明の第10によれば、流出口近傍の流路内に、センター素材の供給管が配置され、流出口が、センター素材供給管の出口を囲む環状の開口をなしているので、センター素材の周囲を、3つ以上の領域に色分けされた食品で被覆した食品を得ることができる。
【0031】
【発明の実施の形態】図1〜3には、本発明による流動性食品素材の成形装置の一実施例が示されている。図1は同成形装置の内部流路を示す斜視説明図、図2(a) 〜(e) は同成形装置を構成する5枚のプレートの平面図、図3は同成形装置に食品素材を供給するための食品素材供給装置を示す模式断面図である。なお、図1、2における黒白の色分けは、導入された2色の食品素材を示しており、装置の流路自体は単なる空洞となっている。
【0032】この成形装置11は、図2(a) 〜(e) に示す5枚のプレート21〜25を上下に積層して構成されている。最も上部に配置される第1プレート21には、所定間隔をおいて上下に貫通する2つの導入口12、13が形成されている。この導入口12、13には、後述する食品素材供給装置の流出口が連結される。
【0033】第1プレート21の下面に接合された第2プレート22には、上記導入口12に連結する流路14aと、上記導入口13に連通する流路14bとからなる直線的に伸びる溝状の第1流路群14が形成され、それらの合流部に食品素材を下面に流出させる貫通孔からなる流路15が形成されている。
【0034】第2プレート22の下面に接合された第3プレート23には、上記第2プレート22の流路15に連通し、この流路から分岐する流路16a、16bからなる第2流路群16が形成されている。第1流路群14の合流部と、第2流路群16の分岐部とは、平面的に見て交差するように、この実施例では直交して形成されている。第2流路群16の分岐した流路16a、16bは、第2プレート22上に溝状に形成され、先方でL字状に折れ曲がって互いに平行に伸びている。そして、各流路16a、16bの先端には、食品素材を下面に流出させる貫通孔からなる流路17a、17bが形成されている。
【0035】第3プレート23の下面に接合された第4プレート24には、上記第3プレート23の流路17a、17bに連通する溝状の流路18a、18bが形成され、これらの流路18a、18bが先方で合流して一つの流路18cをなし、これらの流路18a、18b、18cによって第3流路群18が構成されている。合流した流路18cの先端には、食品素材を下面に流出させる貫通孔からなる流路19が形成されている。
【0036】そして、第4プレート24の下面に接合された第5プレート25は、上記流路19に連通する貫通孔からなる流出孔20が形成されている。この流出孔20には、図示しない流出管等が接続され、型や容器等に食品素材を注入できるようになっている。
【0037】この成形装置11の第1プレート21は、図3に示す食品素材供給装置71の下面に連結される。食品素材供給装置71は、図12に示した従来の流動性食品素材の成形装置51の食品導入部、すなわちデポジッターと呼ばれるものと同様な構造をなすので、図12に示した成形装置51と同様の部分には同符号を付してその説明を省略する。
【0038】成形装置11は、最上部の第1プレート21の導入口12、13が、食品素材供給装置71の出口側の流路64、65に連通するように、食品素材供給装置71の下面に連結されている。食品素材供給装置71の原料槽52、53、導入口54、55、バルブ56、57、流路60、61、ピストン62、63、流路64、65の構造は、図12に示した成形装置51と同じ構造をなしている。
【0039】したがって、バルブ56、57の回転位置が図示の状態で、ピストン62、63を矢印イ、ハの方向に引くことによって、原料槽52、53の食品素材A、Bが流路60、61に流入する。次に、バルブ56、57を矢印ホ、トの方向に90度回転させ、ピストン62、63を矢印ロ、ニに方向に押すと、流路60、61に流入した食品素材A、Bが流路64、65から流出して第1プレート21の導入口12、13に供給されるようになっている。
【0040】次に、上記成形装置11を用いた本発明による流動性食品素材の成形方法の一実施例を説明する。
【0041】本発明において、流動性食品素材としては、上記食品素材供給装置71によって供給可能な程度の流動性を有していて、異なる色の食品素材を流路内で合流させたとき、その界面において容易に混じり合わないものであればよく、例えば、チョコレート、キャンデー、アイスクリーム、魚肉練製品等を用いることが好ましい。
【0042】図3に示す食品素材供給装置71の原料槽52、53に色違いの食品素材A、Bを供給する。その状態で、バルブ56、57、及びピストン62、63を前述したように作動させ、成形装置11の第1プレート21の導入口12、13に、色違いの食品素材A、Bを同時に定量ずつ供給する。
【0043】図1、2を併せて参照すると、食品素材A、Bは、第2プレート22の第1流路群14にそれぞれ導入され、その中間で合流して第1合流体Cとなり、流路15から流出する。第1合流体Cは、その断面が半円状に色分けされた模様を有している。
【0044】第1合流体Cは、第2プレート22の流路15から第3プレート23の第2流路群16に導入され、2つの流路16a、16bに別れて、分岐流体D1 、D2となる。各分岐流体D1 、D2 は、流路16a、16bに沿って進み、それぞれの先端に設けた流路17a、17bから流出する。分岐流体D1 、D2 は、その断面が半円状に色分けされた模様を有している。
【0045】更に、分岐流体D1 、D2 は、第3プレート23の流路17a、17bから第4プレート24の第3流路群18の流路18a、18bにそれぞれ導入され、それらの先方の流路18cにおいて再度合流し、上方から見て食品素材の流動方向に沿った3層の縞模様を有する第2合流体Eとなる。この第2合流体Eが、流出口20から図示しない型等に充填され、食品の成形がなされる。
【0046】なお、上記流出口20から流出する第2合流体Eを成形する方法としては、ベルトコンベア上に所定量ずつ直接分注するデポジット法、所定の形状の型に注入して成形するモールド法、所定形状のダイを通して押出した後、所定長さでカッティングする方法など、各種の方法を採用することができる。
【0047】図4には、上記成形装置11の流出口20の近傍に拡散手段を設けた他の実施例が示されている。なお、図4は、第5プレートに形成する流路を取り出して示した斜視説明図である。
【0048】この実施例においては、第4プレートの流路19が、第5プレートに設けた溝状の流路26の一端に連通し、流路26の他端に流出口20が形成されており、この流路26の中間に幅を狭くした部分26aが形成されている。したがって、第2合流体Eが流路26を通るとき、その中間の幅狭の部分26aで緩やかな乱流が形成され、色違いの界面が少し混ざり合って、大理石調等の複雑な模様を形成することができる。
【0049】図5には、上記成形装置11の流出口20近傍に拡散手段を設けた更に他の実施例が示されている。なお、図5は、第5プレートに形成する流路を取り出して示した斜視説明図である。
【0050】この実施例においては、第4プレートの流路19が、第5プレートに設けた溝状の流路27の一端に連通し、流路27の他端に流出口20が形成されている。そして、流出口20の中心に円柱状の拡散体28が配置され、流出口20は、その部分において環状をなしている。したがって、第2合流体Eが流路27を通って流出口20から流出するとき、拡散体28によって緩やかな乱流が形成され、色違いの界面が少し混ざり合って、大理石調等の複雑な模様を形成することができる。
【0051】なお、成形装置11の流出口20の近傍で、第2合流体Eに緩やかな乱流を起こさせる手段としては、図4、5に示した手段に限定されず、例えば、流出口20の近傍の流路内に突起を設ける方法等であってもよい。
【0052】図6には、上記成形装置11を、センターを有する食品の成形に適用した他の実施例が示されている。なお、図6は、第5プレートに形成する流路を取り出して示した斜視説明図である。
【0053】この実施例においては、第4プレートの流路19が、第5プレートに設けた溝状の流路27の一端に連通し、流路27の他端に流出口20が形成されている。そして、流出口20の中心にセンター素材注入用筒体29が設けられ、センター素材注入用筒体29には、図示しない別の食品素材供給装置からセンター素材が供給されるようになっている。流出口20は、センター素材注入用筒体29の回りを囲む環状をなしている。
【0054】この実施例では、まず、流出口20から第2合流体Eのみを所定量押し出して型等に注入し、その後、流出口20から第2合流体Eを押し出すと同時に、センター素材注入用筒体29からセンター素材を所定量ずつ押出し、最後に、再び流出口20から第2合流体Eのみを所定量押し出して型内を完全に充填することによって、センター素材の外周を3色に色分けされた模様を有する第2合流体Eで包み込んだ食品を得ることができる。
【0055】図7、8には、本発明の流動性食品素材の成形装置の他の実施例が示されている。図7は同成形装置の内部流路を示す斜視説明図、図8(a) 〜(e) は同成形装置を構成する5枚のプレートの平面図である。なお、図1〜3に示した実施例と同一部分には、同符号を付してその説明を省略することにする。
【0056】この成形装置31は、図1〜3に示した成形装置11と比較して、第4プレート34の構造が違うだけであり、他の部分の構造は上記実施例と同じである。すなわち、第4プレート34には、第3プレート23の出口側の流路17a、17bに連通する溝状の流路32a、32bからなる第3流路群32が形成されている。この場合、流路32bの始端部が流路17bに連通し、流路32bの終端部が流路17aに至り、その部分から流路32aが直線的に伸び、その先端に貫通孔からなる流路33が形成されている。そして、流路33が第5プレート25の流路20に連通している。
【0057】この成形装置31を用いた成形方法について説明すると、図3に示した食品素材供給装置71を用いて、成形装置11の第1プレート21の導入口12、13に、色違いの食品素材A、Bを同時に定量ずつ供給する。食品素材A、Bは、第2プレート22の第1流路群14にそれぞれ導入され、その中間で合流して第1合流体Cとなり、流路15から流出する。第1合流体Cは、その断面が半円状に色分けされた模様を有している。
【0058】第1合流体Cは、第2プレート22の流路15から第3プレート23の第2流路群16に導入され、2つの流路16a、16bに別れて、分岐流体D1 、D2となる。各分岐流体D1 、D2 は、流路16a、16bに沿って進み、それぞれの先端に設けた流路17a、17bから流出する。分岐流体D1 、D2 は、その断面が半円状に色分けされた模様を有している。
【0059】更に、分岐流体D1 、D2 は、第3プレート23の流路17a、17bから第4プレート34の第3流路群32の流路32a、32bにそれぞれ導入される。このとき、流路17bから導入されて流路32bを流れてくる分岐流体D2 の上に、流路17aから導入された分岐流体D1 が重なって第2合流体E’となり、流路32aを流れていく。この第2合流体E’は、分岐流体D1 、D2 で色分けされた模様が上下に層状に重なって、3層に色分けされた模様となる。この第2合流体E’が、流路32aの先端の流路33を通して、第5プレート25の流出口20から図示しない型等に充填され、食品の成形がなされる。
【0060】図9、10には、本発明の流動性食品素材の成形装置の更に他の実施例が示されている。図9は同成形装置の内部流路を示す斜視説明図、図10(a) 〜(e) は同成形装置を構成する5枚のプレートの平面図である。なお、図1〜3に示した実施例と同一部分には、同符号を付してその説明を省略することにする。
【0061】この成形装置41は、図1〜3に示した成形装置11と比較して、第3プレート45及び第4プレート46の構造が違うだけであり、他の部分の構造は図1R>1〜3の実施例と同じである。
【0062】すなわち、第3プレート45には、第2プレート22の出口側の流路15に連通し、溝状に形成された2つの流路42a、42bに別れる第2流路群42が形成されている。これらの流路42a、42bは、それぞれ180度反対方向に伸びた後、反対方向にL字状に90度曲がっており、それらの先端に貫通孔からなる流路43a、43bが形成されている。
【0063】第4プレート46には、第3プレート23の上記流路43a、43bに連通する溝状の流路44a、44bと、これらの流路が先方で合流した流路44cとからなる第3流路群44が形成されている。そして、第3流路44の合流した流路44cの先端に、貫通孔からなる流路45が形成されている。そして、流路45が第5プレート25の流路20に連通している。
【0064】この成形装置41を用いた成形方法について説明すると、図3に示した食品素材供給装置71を用いて、成形装置11の第1プレート21の導入口12、13に、色違いの食品素材A、Bを同時に定量ずつ供給する。食品素材A、Bは、第2プレート22の第1流路群14にそれぞれ導入され、その中間で合流して第1合流体Cとなり、流路15から流出する。第1合流体Cは、その断面が半円状に色分けされた模様を有している。
【0065】第1合流体Cは、第2プレート22の流路15から第3プレート45の第2流路群42に導入され、2つの流路42a、42bに別れて、分岐流体D1 、D2となる。各分岐流体D1 、D2 は、流路42a、42bに沿って進み、それぞれの先端に設けた流路43a、43bから流出する。分岐流体D1 、D2 は、その断面が半円状に色分けされた模様を有している。
【0066】この場合、図1〜3の実施例と相違するのは、流路43a、43bを通る分岐流体D1 、D2 の平面的に見たときの模様が、いずれも図10中の上が白で下が黒となっている点にある。これは、第3プレート45の流路42a、42bがそれぞれ180度反対方向に伸びた後、反対方向にL字状に90度曲がって形成されていることに起因するものである。
【0067】更に、分岐流体D1 、D2 は、第3プレート45の流路43a、43bから第4プレート46の第3流路群44の流路44a、44bにそれぞれ導入される。そして、これらの流路44a、44bを通った後、流路44cで合流されて、第2合流体E”となる。この第2合流体E”は、分岐流体D1 、D2 の白黒模様が交互になるように接合されているので、その断面が層状に4つの領域に色分けされた模様となる。そして、この第2合流体E”が、流路44cの先端の流路45を通して、第5プレート25の流出口20から図示しない型等に充填され、食品の成形がなされる。
【0068】図11には、本発明の成形方法によって得られる、色分けされた模様を有する食品の例が示されている。
【0069】同図(a)は、角錐台状に成形したもので、平面的に見て3層の縞模様に色分けされている。同図(b)は、正方形の板状に成形したもので、碁盤目状に4つの領域に色分けされている。同図(c)は、半円球状に成形したもので、3層に色分けされているが、半球状をなすため、模様の境界が曲線をなしている。同図(d)は、断面円弧状をなすかまぼこ状に成形したもので、3層に色分けされているが、模様の界面が曲線をなしている。更に、前述したように拡散手段を設けることによって、上記模様の界面をぼやけさせて、大理石調の模様にすることもできる。
【0070】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、色違いの複数の粘性のある流動性食品素材を用いて、特定の比率で3つ以上の領域に色分けされた断面を有する、目新しい外観の食品を、容易に、再現性よく得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の流動性食品素材の成形装置の一実施例の内部流路を示す斜視説明図である。
【図2】同成形装置を構成する5枚のプレートの平面図である。
【図3】同成形装置に食品素材を供給するための食品素材供給装置を示す模式断面図である。
【図4】本発明の成形装置の流出口の近傍に設けられる拡散手段の一例を示す斜視説明図である。
【図5】本発明の成形装置の流出口の近傍に設けられる拡散手段の他の例を示す斜視説明図である。
【図6】本発明の成形装置をセンターを有する食品の成形に適用できるようにした他の実施例を示す斜視説明図である。
【図7】本発明の流動性食品素材の成形装置の他の実施例の内部流路を示す斜視説明図である。
【図8】同成形装置を構成する5枚のプレートの平面図である。
【図9】本発明の流動性食品素材の成形装置の更に他の実施例の内部流路を示す斜視説明図である。
【図10】同成形装置を構成する5枚のプレートの平面図である。
【図11】本発明の成形方法によって得られる色分けされた模様を有する食品の例を示す斜視図である。
【図12】従来の流動性食品素材の成形装置の一例を示す模式断面図である。
【符号の説明】
11、31、41 流動性食品素材の成形装置
12、13 導入口
14 第1流路群
15 流路
16、42 第2流路群
17a、17b 流路
18、32、44 第3流路群
19 流路
20 流出口
21 第1プレート
22 第2プレート
23、45 第3プレート
24、34、46 第4プレート
25 第5プレート
A、B 色違いの食品素材
C 第1合流体
1 、D2 分岐流体
E、E’、E” 第2合流体

【特許請求の範囲】
【請求項1】 色違いの複数の粘性のある流動性食品素材を1つの流路に合流させて色分けされた断面の第1合流体を形成し、この第1合流体を2つ以上の流路に1回以上分岐させて、特定の比率で色分けされた断面の複数の分岐流体を形成し、これらの分岐流体を合流させて3つ以上の領域に色分けされた断面の第2合流体を形成して流出させる工程を含むことを特徴とする流動性食品素材の成形方法。
【請求項2】 前記第1合流体を、前記色分けされた界面に対して交差する面を境界にして、2つの流路に分岐させる請求項1記載の流動性食品素材の成形方法。
【請求項3】 最終の出口近傍で緩やかな乱流を起こさせる請求項1又は2記載の流動性食品素材の成形方法。
【請求項4】 最終の出口近傍で、前記第2合流体の内部にセンター素材を注入する請求項1〜3のいずれか1つに記載の流動性食品素材の成形方法。
【請求項5】 前記流動性食品素材が、チョコレート、キャンデー、アイスクリーム、魚肉練製品から選ばれた1種である請求項1〜4のいずれか1つに記載の流動性食品素材の成形方法。
【請求項6】 色違いの複数の粘性のある流動性食品素材をそれぞれ導入する導入口と、前記各導入口に連通し、流出方向の先方で1つの流路に集合される第1流路群と、前記集合された流路を2つ以上の流路に1回以上分岐させる第2流路群と、前記第2流路群を再び集合させる第3流路群と、前記第3流路群で集合された流路に連通する流出口とを備えていることを特徴とする流動性食品素材の成形装置。
【請求項7】 前記第1流路群の集合部と、前記第2流路群の分岐部とが、平面的に見て互いに重ならないで交差している請求項6記載の流動性食品素材の成形装置。
【請求項8】 前記導入口が形成された第1プレート、前記第1流路群が形成された第2プレート、前記2流路群が形成された第3プレート、前記第3流路群が形成された第4プレート、前記流出口が形成された第5プレートを順次積層して構成された請求項6又は7記載の流動性食品素材の成形装置。
【請求項9】 前記流出口近傍に拡散手段が設けられた請求項6〜8のいずれか1つに記載の流動性食品素材の成形装置。
【請求項10】 前記流出口近傍の流路内に、センター素材の供給管が配置され、前記流出口が、前記センター素材供給管の出口を囲む環状の開口をなしている請求項6〜9のいずれか1つに記載の流動性食品素材の成形装置。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図2】
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【図7】
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【図9】
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【図8】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【特許番号】特許第3272972号(P3272972)
【登録日】平成14年1月25日(2002.1.25)
【発行日】平成14年4月8日(2002.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平9−59982
【出願日】平成9年2月27日(1997.2.27)
【公開番号】特開平10−234303
【公開日】平成10年9月8日(1998.9.8)
【審査請求日】平成13年5月28日(2001.5.28)
【出願人】(000006116)森永製菓株式会社 (130)
【参考文献】
【文献】特開 平3−180145(JP,A)
【文献】特開 平2−135054(JP,A)