説明

流動食容器の取出口構造

【課題】口部を大気に開放することなく、コネクタ付きキャップを口部に強固に結合することができる流動食容器の取出口構造を提供する。
【解決手段】容器本体2から突出し外周に雄ねじ部32を有する口部3と、雄ねじ部32に螺合する雌ねじ部41を内周に有し、口部3の外周に着脱自在にねじ込み可能なキャップ本体4と、口部3の内方を閉塞し、環状薄肉部34が設けられて容器本体2の内部に流動食を封入しておく閉塞板33と、キャップ本体4を口部3にねじ込むことにより、閉塞板33の環状薄肉部34を先端44aで破断して閉塞板内方部33aを分離する筒部44とを備える。これにより、雄ねじ部32と雌ねじ部41とを介してキャップ本体4を口部3に強固に装着し、かつ、キャップ本体4の装着により閉塞板33を破断して口部3を連通する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経管栄養剤などの流動食を収容した流動食容器の取出口構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、経管栄養を投与するにあたって、流動様の栄養剤(流動食)を収容した容器に接続したチューブを鼻から胃に直接挿入し、そのチューブを介して栄養剤を患者に投与するようになっている。この投与を行う際には容器にチューブを接続する必要があるが、一般的には、容器の口部に螺着しているキャップを外し、口部を密閉しているプルトップの蓋を外し、その後にチューブを接続したコネクタ付きキャップを口部に装着するようになっている。
【0003】
このため、口部は一旦開放された後にコネクタ付きキャップで閉止されることになり、コネクタ付きキャップが装着されるまでの間は口部が開放された状態であり、容器を傾けると内容物が流出する状態となる。
【0004】
そこで、たとえば、特許文献1には口部の先端にシール材を接合して密封しておく一方、チューブを取り付けた連結部(キャップ)には突き刺し突起を設けた取出口構造が開示されている。この場合、経管栄養を投与する際には、突き刺し突起でシール材を突き破りつつ連結部を口部に差し込むことにより、ワンタッチでチューブを接続することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−193275号公報(図3参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された流動食容器の取出口構造では、連結部を口部の外周に差し込んだ際、この連結部の先端部内周に設けたリング状突起の圧接力のみで連結部が密着される構造となっている。
【0007】
ところが、経管栄養は、点滴スタンドなどに容器を吊り下げて、その容器から長いチューブを垂らした状態で投与される。このため、長いチューブ内に経管栄養剤が充満した状態で連結部が抜けてしまう可能性がある。このため、単にリング状突起の圧接力のみで密着する構造では、投与途中で誤ってチューブに接触した場合には、連結部の差し込み部分で栄養剤が漏れるなどの不具合が生ずる虞がある。
【0008】
また、従来のプルトップの蓋では耐熱性樹脂のPPなどのように剛性が高いとプルトップの蓋の開放が困難となる傾向にある。そのため、容器の口部を密封しているプルトップは開放に際して強い力が必要なことから開口時に誤って内容物の栄養剤をこぼしてしまう虞もある。
【0009】
そこで、本発明は、かかる従来の不具合に鑑みてなされたものであり、口部を開放することなくコネクタ付きキャップを口部に強固に結合することができ、かつ取出口を容易に開口させることができる流動食容器の取出口構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる目的を達成するために、本発明は、経管栄養剤などの流動食を収容する流動食容器の取出口構造であって、前記流動食容器から突出し外周に雄ねじ部を有する口部と、前記雄ねじ部に螺合する雌ねじ部を内周に有し、前記口部の外周に着脱自在にねじ込み可能であり、かつ、天板に流動食容器の内部の流動食を取り出すためのコネクタが設けられたキャップ本体と、前記口部の内方を閉塞し、破断可能な環状薄肉部が設けられて前記流動食容器の内部に前記流動食を封入しておく閉塞板と、前記キャップ本体の内側に前記コネクタの導入口を包含して設けられ、前記キャップ本体を前記口部にねじ込むことにより、前記閉塞板の前記環状薄肉部を先端で破断して閉塞板内方部を分離する筒部と、を備えたことを特徴とする。
【0011】
この場合、前記筒部の先端部と前記閉塞板内方部との間に、分離した閉塞板内方部を前記筒部で保持しておく係止部を設け、かつ、前記筒部の側面に、前記閉塞板内方部を保持した状態で該筒部の内外を連通する連通部を設けておくことが好ましい。
【0012】
また、前記キャップ本体に、前記キャップ本体を前記口部に装着完了した際に、該口部の内周に密接される環状リップ部を設けておくことが好ましい。
【0013】
更に、前記閉塞板内方部の前記流動食容器の内方側につまみを設けておくことが好ましい。
【0014】
更にまた、前記口部を含めた前記流動食容器をレトルト殺菌が可能な耐熱性樹脂で形成しておくことが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明にかかる流動食容器の取出口構造によれば、キャップ本体を口部にねじ込んで装着することにより、キャップ本体の内側に設けた筒部が、口部を閉塞していた閉塞板の閉塞板内方部を分離することができる。これにより、流動食容器の内方とコネクタとを連通させることができるため、キャップ本体を単に口部に装着することにより、口部を開放することなく流動食容器に収容した流動食を取り出すことができる。このとき、キャップ本体の口部への装着は、キャップ本体に設けた雌ねじ部と口部に設けた雄ねじ部とによるねじ込み構造であるため、キャップ本体を口部に強固に結合させることができる。
【0016】
この場合、筒部の先端部と閉塞板内方部との間に係止部を設けて、分離した閉塞板内方部を筒部で保持しておくことにより、分離後の閉塞板内方部が流動食容器内に進入してしまうのを防止できる。このとき、閉塞板内方部が係止部に保持されて筒部の先端部が閉塞板内方部によって閉塞された場合にも、筒部の側面に設けた連通部によって流動食容器の内方とコネクタとを連通させることができる。
【0017】
また、キャップ本体に環状リップ部を設けておくことにより、キャップ本体を口部に装着完了した際に、環状リップ部が口部の内周に密接してキャップ本体のシール性を高めることができる。
【0018】
更に、閉塞板内方部の流動食容器の内方側につまみを設けておくことにより、流動食の投与後にキャップ本体を取り外して、筒部の係止部に保持された閉塞板内方部を、つまみを摘んで引っ張ることにより、閉塞板内方部の取り外しを容易にすることができる。連続して投与する際には筒部の係止部に保持された閉塞板内方部を、つまみを摘んで引っ張って取り外して別の容器を開栓して投与することができる。
【0019】
更にまた、口部を含めた流動食容器をレトルト殺菌が可能な耐熱性樹脂で形成しておくことにより、加熱殺菌が可能となってレトルトを施した流動食を好適に提供することができる。このとき、耐熱性樹脂はPPなどのように剛性が高くなるため閉塞板の開放が困難となるが、本発明の取出口構造では、キャップ本体と口部とがねじ込み構造となっている。これにより、キャップ本体の回転により筒部に環状薄肉部を破断するための大きな押圧力を発生させることができる。特にキャップ本体に指の掛り部を設けることで、さらにキャップ本体を容易に回転させることが可能であり、口部を容易に開放させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、本発明にかかる取出口構造が設けられる流動食容器の一実施形態を示す分解斜視図である。
【図2】図2は、図1に示す取出口構造の口部を示す断面図である。
【図3】図3は、本発明にかかる取出口構造のキャップ本体をチューブ接続側から見た斜視図である。
【図4】図4は、図3に示すキャップ本体の断面図である。
【図5】図5は、口部にキャップ本体を装着する手順を(a)から(c)に順を追って模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る好適な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本実施形態を説明するにあたって、流動食容器に収容される経管栄養剤(流動食)を例にとって説明する。
【0022】
本実施形態の取出口構造が適用される経管栄養剤の投与は、図1に示すように、経管栄養剤が収容される流動食容器(以下、容器本体として述べる)1と、この容器本体2に一体化して設けられる口部3と、図3に示すように、口部3に装着されるキャップ本体4と、を備えて概ね構成される。なお、本実施形態では、図1に示すように、容器本体2の流通過程で口部3を密閉しておく捨てキャップ50を備えている。
【0023】
容器本体2は、PP(ポリプロピレン)などの耐熱性樹脂をブロー成形することにより中空タンク状に形成されるとともに、口部3も同じ耐熱性樹脂によって射出成形される。そして、容器本体2の一端部(図中上端部)には内外を連通する円形の開口21が設けられ、この開口21の先端周囲には口部3を取り付けるための円環状の第1のフランジ22が一体成形されている。一方、容器本体2の他端部(図中下端部)には、図示省略した点滴スタンドなどに引っ掛けるための係止穴23を設けた舌片24が突設されている。
【0024】
そして、流動食容器1を実際に使用する際には、図1に示す容器本体2を上下逆にして係止穴23を上方に位置させるとともに、開口21を下方に位置させるようになっている。なお、本実施形態の容器本体2はブロー成形品である場合を示したが、これに限ることなく耐熱性樹脂製フィルムを重ね合わせて、その周縁部を熱溶着によりシールしたパウチ袋として形成することもでき、特に、本実施形態では容器本体2の構造を限定するものではない。
【0025】
口部3は、同図に示すように、全体的にほぼ円筒状に形成され、一端には第1のフランジ22と同径の第2のフランジ31が設けられ、この第2のフランジ31は口部3の基部面となっている。そして、第2のフランジ31は、容器本体2に経管栄養剤を充填した後に第1のフランジ22に熱溶着して、容器本体2と口部3が一体化される。
【0026】
また、円筒状に形成された口部3の外周には雄ねじ部32が設けられるとともに、その口部3の内側には、図2に示すように、口部3の内方を閉塞して容器本体2の内部に経管栄養剤を封入しておく閉塞板33が設けられる。閉塞板33の下面には、断面V字状の環状薄肉部34が同心円状に形成されている。
【0027】
図4に示すように、キャップ本体4はほぼ有底筒状に形成され、内周には口部3の雄ねじ部32に螺合する雌ねじ部41が設けられて、キャップ本体4を口部3の外周に着脱自在にねじ込み可能となっている。
【0028】
また、キャップ本体4の天板42の外面中央部には、容器本体2に収容した経管栄養剤を取り出すためのコネクタ43が設けられる。このコネクタ43は中空管状に形成されてキャップ本体4の内方と連通しており、そのコネクタ43の先端部は縮径されてノズル孔43aとなっている。
【0029】
なお、経管栄養を投与する際には、ゴムやシリコンなどの柔軟なチューブTがコネクタ43に接続されることになる。このチューブTの接続は、チューブTの端部に設けた筒状取付部Taがコネクタ43の外側に所定長さに亘って圧入され、チューブTがコネクタ43から容易に抜け落ちないようになっている。このとき、本実施形態では、コネクタ43の外側に、図示するように筒状取付部Taの内面に咬み付く複数段の管状突部43cが設けられている。
【0030】
また、キャップ本体4の内側には、キャップ本体4を口部3にねじ込むことにより、閉塞板33の環状薄肉部34を先端44aで破断する筒部44が設けられている。この筒部44は、天板42の内面から突設して、コネクタ43の導入口43bを包含して天板42と同心状に設けられる。このとき、筒部44の突出量は、これの先端がキャップ本体4の下端近傍に位置するように設定される。
【0031】
そして、図5に示すように、キャップ本体4を口部3にねじ込んで装着することにより、筒部44の先端44aで閉塞板33の管状薄肉部34を破断し、この環状薄肉部34の内方領域となる閉塞板内方部33aを分離(図5(c)参照)するようになっている。このように閉塞板内方部33aが分離されることにより、容器本体2の内方はキャップ本体4の内方、ひいてはコネクタ43の中空部内と連通される。
【0032】
図5(a)に示すように、筒部44の先端部と閉塞板内方部33aとの間に、分離した閉塞板内方部33aを筒部44で保持しておく係止部5が設けられる。この係止部5は、筒部44の先端部内周を凹設した環状凹部51と、閉塞板内方部33aの外面(図中上面)に突設した環状突起52の先端部外周に突設した環状凸部53と、によって形成される。したがって、図5(b)に示すように、筒部44で閉塞板内方部33aを分離する際に、環状凹部51と環状凸部53とが係合した後、筒部44の先端44aが環状薄肉部34を破断するようになっている。
【0033】
また、このように係止部5によって筒部44の先端部に分離した閉塞板内方部33aを保持した状態では、筒部44の先端がその閉塞板内方部33aによって閉塞されることになる。このため、本実施形態では筒部44の側面に、閉塞板内方部33aを保持した状態で筒部44の内外を連通する連通部としての切欠部6を設けてある。
【0034】
図5(a)に示すように、切欠部6の深さDは、環状突起52の突出高さHよりも大きく設定される。これにより、同図(c)に示すように、筒部44に閉塞板内方部33aを保持した状態で、切欠部6が環状凸部52から突出する部分が筒部44の内外連通部分O(図中斜線部分で示す)となる。このとき、切欠部6は、筒部44の周方向に1箇所若しくは複数箇所形成され、その切欠部6の全ての内外連通部分Oの面積は、少なくとも容器本体2に収容した経管栄養剤の必要量を通過させるに十分な面積に設定される。
【0035】
更に、図5(c)に示すように、キャップ本体4には、このキャップ本体4を口部3に装着完了した際に、環状リップ部45の外径と口部3の内径において環状リップ部45は口部3の内径よりもわずかに大きく、口部3の内周に密接(密接部A)される環状リップ部45が設けられている。環状リップ部45は、筒部44の外側に位置して天板42の内面から筒部44と同心状に一体に突設される。この環状リップ部45の突出量は、同図に示すように、キャップ本体4を口部3に完全に装着した状態で、閉塞板33と干渉しない長さとなっている。また、環状リップ部45の先端部外側は、口部3の内側に挿入し易いように内方に傾斜させてある。
【0036】
また、図2に示すように、閉塞板内方部33aの容器本体2の内方側に、指で摘める程度のつまみ7が設けられている。このつまみ7は、閉塞板内方部33aから舌状に突設され、それの両面には指で摘んだ際の滑り止め突起7aが複数段設けられている。
【0037】
したがって、経管栄養の流動食容器1を使用する際は、まず、容器本体2の口部3を密閉している捨てキャップ50(図1参照)を取り外して口部3を露出させる。次に、図3および図4に示すキャップ本体4を、コネクタ43にチューブTを接続した状態で口部3に螺着する。 キャップ本体4の螺着は、図5の(a)から(c)に示すように、キャップ本体2の雌ねじ部41を口部3の雄ねじ部32にねじ込むことにより行われる。なお、図5では便宜上チューブTを省略して示してある。
【0038】
すなわち、図5(a)に示すように、キャップ本体4を口部3に対向させた後、同図(b)に示すように、口部3の雄ねじ部32にキャップ本体4の雌ねじ部41をねじ込んでいく。すると、筒部44が口部3の閉塞板33に向かって接近していき、筒部44の環状凹部51が閉塞板33に設けた環状凸部53に係合する。その後、筒部44の先端44aが、雄ねじ部32と雌ねじ部41の楔作用によって環状板33の環状薄肉部34を押圧する。このときの押圧力によって、同図(c)に示すように、環状薄肉部34が破断して閉塞板内方部33aを分離する。
【0039】
このように閉塞板内方部33aが分離されることにより、容器本体2の内方がキャップ本体4の内方と連通し、容器本体2に収容した経管栄養剤をコネクタ43から取り出し可能となる。キャップ本体4を接続した後に、容器本体2を口部3が下方となるように配置して、係止穴23を点滴スタンドに引っ掛ける。
【0040】
すると、容器本体2に収容した経管栄養剤は、筒部44の切欠部6の連通部分Oを通過した後、筒部44の内方を通ってコネクタ43からチューブTへと供給される。
【0041】
なお、本実施形態では、図5(c)中、密接部Aは、それぞれの部材を明確に示すため、便宜上、僅かに隙間を持たせて示したが、実際は密接および当接した状態となっている。
【0042】
以上の構成により、本実施形態の容器本体2の取出口構造によれば、口部3にキャップ本体4をねじ込んで螺着することにより、キャップ本体4の筒部44が、口部3を閉塞していた閉塞板33の閉塞板内方部33aを分離することができる。これにより、閉塞板33は環状薄肉部34の内方領域が開口されるため、容器本体2の内方とコネクタ43とを連通させることができる。
【0043】
したがって、キャップ本体4を単に口部3に螺着するのみで、口部3を大気に開放することなく容器本体2に収容した経管栄養剤をチューブTを介して投与することができる。
【0044】
このとき、キャップ本体4の口部3への螺着は、キャップ本体4に設けた雌ねじ部41と口部3に設けた雄ねじ部32とによるねじ込み構造であるため、キャップ本体4を口部3に強固に結合させることができる。これにより、投与中に誤ってチューブTに干渉してキャップ本体4に抜け方向の荷重が作用した場合にも、キャップ本体4が外れたり緩んだりするのを防止することができる。
【0045】
また、本実施形態によれば、筒部44で閉塞板内方部33aを分離する際、筒部44の先端部と閉塞板内方部33aとの間に係止部5を設けて、分離した閉塞板内方部33aを筒部44で保持できるようになっている。これにより、分離された閉塞板内方部33aが容器本体2内に進入してしまうのを防止できる。
【0046】
このとき、閉塞板内方部33aが係止部5に保持されることにより、筒部44の先端部が閉塞板内方部33aによって閉塞された場合にも、筒部44の側面に設けた切欠部6によって容器本体2の内方とコネクタ43とを連通させることができる。
【0047】
更に、キャップ本体4に、口部3の内周に密接する環状リップ部45を設けたので、キャップ本体4を口部3に螺着完了した際に、環状リップ部45を口部3の内周に密接させることができる。これにより、口部3とキャップ本体4との間のシール部分は、雄ねじ部32と雌ねじ部41との螺合により、口部3の内周と環状リップ部45との間の密接部Aにおいて、キャップ本体4のシール性を高めることができる。
【0048】
更にまた、閉塞板内方部33aの容器本体2内方側につまみ7を設けたので、経管栄養剤の投与後にキャップ本体4を取り外した際に、筒部44の係止部5に保持された閉塞板内方部33aをつまみ7を摘んで引っ張ることにより、閉塞板内方部33aの取り外しを容易にすることができる。
【0049】
また、流動食はレトルト殺菌に代表される加熱加圧殺菌を施す必要があり、前記口部を含めた前記流動食容器を構成する樹脂の連続使用耐熱温度(℃)はレトルトの殺菌温度よりも高い温度に耐える樹脂を選定する必要がある。レトルト殺菌温度は120℃、30〜60分が最も一般的であることから、100℃超から130℃のレトルト殺菌温度に対応できる耐熱性の樹脂を選択する必要がある。一般的な樹脂の耐熱温度は多少異なる場合も有るがHDPE(高密度ポリエチレン):110-120℃ 、LDPE(低密度ポリエチレン):85-90℃、PP(ポリプロピレン):130-140℃であることから、PPがレトルト殺菌用として有効に利用することができる。このとき、耐熱性樹脂はPPなどのように剛性が高くなるため閉塞板33の開放が困難となるが、本実施形態では、キャップ本体4と口部3とが雄ねじ部32と雌ねじ部41によるねじ込み構造となっている。これにより、キャップ本体4を回転した際の雄ねじ部32と雌ねじ部41との間の楔作用によって、筒部44に環状薄肉部34を破断するための大きな押圧力を発生させることができ、口部3を容易に開放させることができる。
【0050】
以上、本発明の好ましい実施例について詳述したが、この実施形態以外にも本発明の要旨を逸脱しない範囲で各種変更が可能である。
【符号の説明】
【0051】
1 流動食容器
2 容器本体
3 口部
3a 口部の先端
31 第2のフランジ(口部の基部面)
32 雄ねじ部
33 閉塞板
33a 閉塞板内方部
33b 閉塞板外方部
34 環状薄肉部
4 キャップ本体
4a キャップ本体の先端
41 雌ねじ部
42 天板
43 コネクタ
43b コネクタの導入口
44 筒部
44a 筒部の先端
45 環状リップ部
5 係止部
6 切欠部(連通部)
7 つまみ
50 捨てキャップ
L1 口部の突出長さ
L2 キャップ本体の長さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
経管栄養剤などの流動食を収容する流動食容器の取出口構造であって、
前記流動食容器から突出し外周に雄ねじ部を有する口部と、
前記雄ねじ部に螺合する雌ねじ部を内周に有し、前記口部の外周に着脱自在にねじ込み可能となり、かつ、天板に流動食容器の内部の流動食を取り出すためのコネクタが設けられたキャップ本体と、
前記口部の内方を閉塞し、破断可能な環状薄肉部が設けられて前記流動食容器の内部に前記流動食を封入しておく閉塞板と、
前記キャップ本体の内側に前記コネクタの導入口を包含して設けられ、前記キャップ本体を前記口部にねじ込むことにより、前記閉塞板の前記環状薄肉部を先端で破断して閉塞板内方部を分離する筒部と、を備えたことを特徴とする流動食容器の取出口構造。
【請求項2】
前記筒部の先端部と前記閉塞板内方部との間に、分離した閉塞板内方部を前記筒部で保持しておく係止部を設け、かつ、前記筒部の側面に、前記閉塞板内方部を保持した状態で該筒部の内外を連通する連通部を設けたことを特徴とする請求項1に記載の流動食容器の取出口構造。
【請求項3】
前記キャップ本体に、該キャップ本体を前記口部に装着完了した際に、該口部の内周に密接される環状リップ部を設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の流動食容器の取出口構造。
【請求項4】
前記閉塞板内方部の前記流動食容器の内方側につまみを設けたことを特徴とする請求項2から3のいずれか1項に記載の流動食容器の取出口構造。
【請求項5】
前記口部を含めた前記流動食容器をレトルト殺菌(100℃超から130℃)が可能な耐熱性樹脂で形成したことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の流動食容器の取出口構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−224373(P2012−224373A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−94197(P2011−94197)
【出願日】平成23年4月20日(2011.4.20)
【出願人】(000001421)キユーピー株式会社 (657)
【Fターム(参考)】