説明

流路付き部材及びその製造方法

【課題】流路を形成する壁面と金属部材との間の密着性を向上させた流路付き部材及びその製造方法を提供する。
【解決手段】流路付き部材100は、金属又は合金により形成された基材101と、金属又は合金により形成された板状をなし、幅方向の両端部に位置し、主面が同一平面上を通過する2つの平板部11と、該2つの平板部11の間に設けられ、板厚方向の断面が平板部に対して突起した形状をなす凸部12とを有し、流路106を形成する板状部材102と、平板部11の主面の内で凸部12の頂点と反対側の主面を基材101と対向させて配置した状態で、金属又は合金からなる粉末をガスと共に加速し、板状部材101の凸部12の頂点側の表面及び基材101の表面に固相状態のままで吹き付けて粉末を堆積させることによって形成された金属堆積層105とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体や液晶表示装置や光ディスク等の製造プロセスにおいて、基板の温度調節やガス供給等に用いられる流路付き部材及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プレート状の金属部材の内部に流体を流通させる流路を設けた構造物(流路付き部材)は、半導体や液晶表示装置や光ディスク等の製造における基板プロセス等において、様々な用途に用いられている。例えば、流路に熱媒体(冷媒)を流通させた流路付き部材は、基板の温度を調節(冷却又は加熱)する温度調節装置(コールドプレート等)として用いられる(例えば、特許文献1参照)。また、流路に所定の成分を有するガスを流通させた流路付き部材は、基板に該ガスを供給するシャワープレートとして用いられることもある。
【0003】
このような流路付き部材は、例えば、流体を流通させるパイプと、該パイプに対応する形状の凹部を掘削加工等で形成したプレート状の金属部材とを別々に作製し、パイプを金属部材の凹部に載置することにより製造される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−13497号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このように流路付き部材を作製する際に、金属部材に設けた凹部とパイプとの間に隙間が生じないように密着させて両者を接合することは困難である。このため、金属部材の凹部とパイプの壁面との間に隙間が生じ、熱抵抗が大きくなって、パイプ内を流通する流体と金属部材との間の熱伝導性や均熱性が低下したり、隙間に異物が混入したり、隙間によりパイプががたついたりするおそれがある。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、流路を形成する壁面と金属部材との間の密着性を向上させた流路付き部材及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る流路付き部材は、部材の内部に流路が設けられた流路付き部材において、金属又は合金により形成された基材と、金属又は合金により形成された板状をなし、幅方向の両端部に位置し、主面が同一平面上を通過する2つの平板部と、該2つの平板部の間に設けられ、板厚方向の断面が前記平板部に対して突起した形状をなす凸部とを有し、前記流路を形成する板状部材と、前記平板部の主面の内で前記凸部の頂点と反対側の主面を前記基材と対向させて配置した状態で、金属又は合金からなる粉末をガスと共に加速し、前記板状部材の前記凸部の頂点側の表面及び前記基材の表面に固相状態のままで吹き付けて前記粉末を堆積させることによって形成された金属堆積層とを備えることを特徴とする。
【0008】
上記流路付き部材は、金属又は合金によって形成された板状をなし、前記板状部材の前記反対側の主面と接合され、前記板状部材と共に前記流路を形成する第2の板状部材をさらに備えることを特徴とする。
【0009】
上記流路付き部材において、前記第2の板状部材は、平板状をなすことを特徴とする。
【0010】
上記流路付き部材において、前記第2の板状部材は、幅方向の両端部に位置し、主面が同一平面上を通過する2つの第2平板部と、該2つの第2平板部の間に設けられ、板厚方向の断面が前記第2平板部に対して突起した形状をなす第2凸部とを有し、前記2つの第2平面部の主面の内で前記第2凸部の頂点と反対側の主面において、前記板状部材の前記2つの平板部の前記反対側の主面とそれぞれ接合され、前記基材は、平面をなす表面に形成され、前記第2凸部を載置可能な凹部を有し、前記金属堆積層は、前記第2凸部を前記凹部に載置した状態で形成されたことを特徴とする。
【0011】
上記流路付き部材において、前記第2板状部材は、前記板状部材よりも幅方向の長さが長いことを特徴とする。
【0012】
上記流路付き部材において、前記板状部材の端部は、前記基材に近いほど幅方向の長さが長いことを特徴とする。
【0013】
上記流路付き部材において、前記板状部材の端部は、前記基材に近いほど幅方向の長さが長く、前記第2の板状部材の端部は、前記基材に近いほど幅方向の長さが長く、且つ、前記板状部材よりも外側に延出していることを特徴とする。
【0014】
上記流路付き部材において、前記平板部と該平板部に対して前記凸部が立ち上がる方向とのなす角度は、90度より小さいことを特徴とする。
【0015】
上記流路付き部材において、前記平板部と該平板部に対して前記凸部が立ち上がる方向とのなす角度は、70度より小さいことを特徴とする。
【0016】
上記流路付き部材において、前記基材の表面と前記板状部材の上面と間の段差が0.8mm以下であることを特徴とする。
【0017】
上記流路付き部材において、前記基材は、金属又は合金からなる粉末をガスと共に加速し、少なくとも前記第2の板状部材の表面に固相状態のままで吹き付けて前記粉末を堆積させることによって形成されたことを特徴とする。
【0018】
上記流路付き部材において、前記板状部材は、ステンレス又は銅若しくは銅系合金によって形成されており、前記基材及び前記金属堆積層は、アルミニウム又はアルミニウム系合金によって形成されていることを特徴とする。
【0019】
上記流路付き部材において、前記第2の板状部材は、ステンレス又は銅若しくは銅合金によって形成されていることを特徴とする。
【0020】
本発明に係る流路付き部材の製造方法は、金属又は合金により形成された部材の内部に流路が設けられた流路付き部材の製造方法において、金属又は合金により形成された基材上に、金属又は合金により形成された板状をなし、幅方向の両端部に位置し、主面が同一平面上を通過する2つの平板部と、該2つの平板部の間に設けられ、板厚方向の断面が前記平板部に対して突起した形状をなす凸部とを有し、前記流路を形成する板状部材を、前記平板部の主面の内で前記凸部の頂点と反対側の主面を前記基材と対向させて配置する工程と、前記基材上に前記板状部材を配置した状態で、金属又は合金からなる粉末をガスと共に加速し、前記板状部材の前記凸部の頂点側の表面及び前記基材の表面に固相状態のままで吹き付けて前記粉末を堆積させることにより、金属堆積層を形成する金属堆積層形成工程とを含むことを特徴とする。
【0021】
上記流路付き部材の製造方法において、前記板状部材配置工程は、金属又は合金によって形成された平板状をなし、前記板状部材の前記反対側の主面と接合され、前記板状部材と共に前記流路を形成する第2の板状部材を前記基材上に配置することを特徴とする。
【0022】
上記流路付き部材の製造方法において、前記板状部材配置工程は、金属又は合金により形成された板状をなし、幅方向の両端部に位置し、主面が同一平面上を通過すると共に前記板状部材の2つの前記平板部にそれぞれ接合される2つの第2平板部と、該2つの第2平板部の間に設けられ、板厚方向の断面が前記第2平板部に対して突起した形状をなす第2凸部とを有する第2板状部材を、前記基材の平面をなす表面に形成され、前記第2凸部を載置可能な凹部に配置し、前記金属堆積層形成工程は、前記第2凸部を前記凹部に載置した状態で前記金属堆積層を形成することを特徴とする。
【0023】
上記流路付き部材の製造方法において、前記基材を除去し、金属又は合金からなる粉末をガスと共に加速し、前記第2の板状部材の表面及び前記金属堆積層の露出面に固相状態のままで吹き付けて前記粉末を堆積させることにより、第2の金属堆積層を形成する第2金属堆積層形成工程をさらに含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、平板部及び凸部を有する板状部材を基材上に配置し、金属又は合金からなる粉末をガスと共に加速し、板状部材の凸部側の面及び基材の表面に固相状態のままで吹き付けて粉末を堆積させることにより、金属堆積層を形成するので、熱媒体の流路となる板状部材の凸部と金属堆積層からなる部材との密着性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1は、本発明の実施の形態1に係る流路付き部材の構造を示す断面図である。
【図2】図2は、図1に示すパイプの外観を示す斜視図である。
【図3】図3は、図1に示す流路付き部材の製造方法を示すフローチャートである。
【図4A】図4Aは、図1に示す流路付き部材の製造方法を説明する断面図である。
【図4B】図4Bは、図1に示す流路付き部材の製造方法を説明する断面図である。
【図5】図5は、コールドスプレー装置の概要を示す模式図である。
【図6】図6は、コールドスプレー法によりパイプ上に金属堆積層を形成した様子を示す断面図である。
【図7】図7は、比較例のパイプに対して金属堆積層を形成した様子を示す写真である。
【図8】図8は、板状部材の詳細な形状を示す断面図である。
【図9】図9は、図8に示す板状部材に対して金属堆積層を形成した様子を示す写真である。
【図10A】図10Aは、凸部の傾きθを変化させた場合の銅皮膜の状態を示す表である。
【図10B】図10Bは、θ=100°の場合の銅皮膜の状態を示す写真である。
【図10C】図10Cは、θ=110°の場合の銅皮膜の状態を示す写真である。
【図11A】図11Aは、端部の厚さtを変化させた場合の同皮膜の状態を示す表である。
【図11B】図11Bは、t=0.1mmの場合の銅皮膜の状態を示す写真である。
【図11C】図11Cは、t=0.2mmの場合の銅皮膜の状態を示す写真である。
【図11D】図11Dは、t=0.4mmの場合の銅皮膜の状態を示す写真である。
【図11E】図11Eは、t=0.8mmの場合の銅皮膜の状態を示す写真である。
【図11F】図11Fは、t=1.0mmの場合の銅皮膜の状態を示す写真である。
【図11G】図11Gは、t=2.0mmの場合の銅皮膜の状態を示す写真である。
【図12】図12は、変形例1−1に係る流路付き部材を示す断面図である。
【図13】図13は、変形例1−1に係る流路付き部材を示す断面図である。
【図14】図14は、変形例1−1に係る流路付き部材を示す断面図である。
【図15】図15は、変形例1−2に係る流路付き部材を示す断面図である。
【図16】図16は、変形例1−2に係る流路付き部材を示す断面図である。
【図17】図17は、変形例1−3に係る流路付き部材を示す断面図である。
【図18】図18は、変形例1−4に係る流路付き部材を示す断面図である。
【図19】図19は、変形例1−5に係る流路付き部材を示す断面図である。
【図20】図20は、本発明の実施の形態2に係る流路付き部材を示す断面図である。
【図21】図21は、図20に示すパイプの作製工程を示す斜視図である。
【図22】図22は、実施の形態3に係る流路付き部材を示す断面図である。
【図23】図23は、実施の形態4に係る流路付き部材の構造を示す断面図である。
【図24】図24は、実施の形態4に係る流路付き部材の製造方法を示すフローチャートである。
【図25A】図25Aは、実施の形態4に係る流路付き部材の製造方法を説明する断面図である。
【図25B】図25Bは、実施の形態4に係る流路付き部材の製造方法を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明を実施するための形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の実施の形態により本発明が限定されるものではない。また、以下の説明において参照する各図は、本発明の内容を理解し得る程度に形状、大きさ、及び位置関係を概略的に示してあるに過ぎない。即ち、本発明は各図で例示された形状、大きさ、及び位置関係のみに限定されるものではない。
【0027】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る流路付き部材の構造を示す断面図である。
図1に示すように、実施の形態1に係る流路付き部材100は、基材101と、2つの板状部材102、103からなり、基材101に載置されたパイプ104と、パイプ104及び基材101の表面に形成された金属堆積層105とを備える。このような流路付き部材100は、パイプ104内に所望の流体(液体又は気体)を流通させて、温度調節装置(例えばコールドプレート)や流体供給装置(例えばシャワープレート)等として用いられる。
【0028】
基材101は、金属又は合金により形成されている。金属又は合金の種類は、流路付き部材100の用途に応じて適宜選択される。例えば、流路付き部材100を温度調節装置として用いる場合には、基材101の材料として、熱伝導性の良好なアルミニウム又はアルミニウム合金等が用いられる。また、金属堆積層105側を温度調節される対象物の載置面とする場合には、加工容易性の観点から基材101の材料を選択しても良い。
【0029】
図2に示すように、パイプ104を構成する2つの板状部材102、103の各々は、幅方向の両端部に位置し、主面が同一平面上を通過する2つの平板部11と、該2つの平板部11の間に設けられ、板厚方向の断面が平板部11に対して突起した形状をなす凸部12とを有する。これらの板状部材102、103は、各々が有する平板部11の主面の内、凸部12の頂点とは反対側の主面同士を対向させて接合されている。それにより2つの凸部12の間に形成された空間106が、流体を流通させる流路となる。
【0030】
各板状部材102、103は、金属又は合金によって形成されている。金属又は合金の種類は、流路(空間)106に流通させる流体の種類に応じて選択される。例えば、流路付き部材100を温度調節装置として用いる場合において、熱媒体(冷媒)として市水や海水を用いるときには、良好な熱伝導性を有し、且つ上記熱媒体に対して耐食性を有するステンレス鋼(SUS)等を用いると良い。また、熱媒体としてPCW(process cooling water)、有機溶剤、不活性ガス等を用いるときには、熱伝導性に優れたアルミニウム又はアルミニウム合金を用いても良い。
【0031】
金属堆積層105は、金属又は合金からなる粉末をガスと共に加速し、パイプ104の表面やその周囲の基材101上面(以下、これらをまとめて堆積層形成面ともいう)に固相状態のままで吹き付けて粉末を堆積させる、所謂コールドスプレー法によって形成されている。金属又は合金の種類は、流路付き部材100の用途に応じて選択される。例えば、流路付き部材100を温度調節装置として用いる場合には、金属堆積層105を熱伝導性に優れた銅又は銅合金や、アルミニウム又はアルミニウム合金等で形成すると良い。なお、金属堆積層105の材料は、基材101の材料と同じであっても良いし、異なっていても良い。
【0032】
次に、流路付き部材100の製造方法について説明する。図3は、流路付き部材100の製造方法を示すフローチャートである。
まず、工程S11において、例えば圧延板をプレス加工等して凸部12を形成することにより、板状部材102、103を作製する。なお、板状部材102、103の形状や厚さの条件については後述する。
【0033】
続く工程S12において、図4Aに示すように、板状部材102、103の凸部12の頂点を外側に向けて平板部11同士を対向させ、平板部11をシーム溶接等で接合することにより、パイプ104を作製する(図2参照)。
【0034】
工程S13において、図4Bに示すように、凸部12が載置される凹部107を予め形成した基材101上に、板状部材102、103から作製したパイプ104を配置する。この際、一方の板状部材103をろう付や接着剤やボルト等により基材101に固定しても良いし、凸部12を凹部107に嵌め込むだけでも良い。
【0035】
工程S14において、パイプ104の表面及びその周囲の基材101上面(堆積層形成面108)に、コールドスプレー法により金属堆積層105を形成する。
図5は、金属堆積層105の形成に用いられるコールドスプレー装置の概要を示す模式図である。図5に示すように、コールドスプレー装置60は、圧縮ガスを加熱するガス加熱器61と、金属堆積層105の材料の粉末(以下、材料粉末又は単に粉末という)を収容し、スプレーガン63に供給する粉末供給装置62と、加熱された圧縮ガス及びそこに供給された材料粉末を基材67に噴射するガスノズル64と、ガス加熱器61及び粉末供給装置62に対する圧縮ガスの供給量をそれぞれ調節するバルブ65及び66とを備える。
【0036】
圧縮ガスとしては、ヘリウム、窒素、空気などが使用される。ガス加熱器61に供給された圧縮ガスは、例えば50℃以上であって、材料粉末の融点よりも低い範囲の温度に加熱された後、スプレーガン63に供給される。圧縮ガスの加熱温度は、好ましくは300〜900℃である。
一方、粉末供給装置62に供給された圧縮ガスは、粉末供給装置62内の材料粉末をスプレーガン63に所定の吐出量となるように供給する。
【0037】
加熱された圧縮ガスは末広形状をなすガスノズル64により超音速流(約340m/s以上)にされる。この際の圧縮ガスのガス圧力は、1〜5MPa程度とすることが好ましい。圧縮ガスの圧力をこの程度に調整することにより、基材67に対する材料粉末(皮膜)の密着強度の向上を図ることができるからである。より好ましくは、2〜4MPa程度の圧力で処理すると良い。スプレーガン63に供給された材料粉末は、この圧縮ガスの超音速流の中への投入により加速され、固相状態のまま基材67に高速で衝突して堆積する(図5参照)。なお、基材67に向けて固相状態のまま衝突させて皮膜を形成できる装置であれば、図5に示すコールドスプレー装置60に限定されるものではない。
【0038】
このようなコールドスプレー装置60において、基材67としてパイプ104を嵌め込んだ基材101を配置し、堆積層形成面108に皮膜を形成する。その際に、ガスノズル64から堆積層形成面108に向けて等しく材料粉末を吹き付けると、図6に示すように、金属堆積層105は、凸部12の頂点近傍が盛り上がった形状となる。このため、金属堆積層105の上面を平坦にする必要があれば、金属堆積層105を厚めに堆積させた後で、不要な部分を切削等により除去する。或いは、金属堆積層105の形成時に、凸部12以外の領域に対する粉末の吹き付け量(吹き付け時間や吹き付け回数)を増やして、金属堆積層105の上面が全体的に平坦となるような制御を行っても良い。
これにより、図1に示す流路付き部材100が完成する。
【0039】
次に、本実施の形態1において、板状部材102、103からパイプ104を作製する理由を説明する。
図7は、円形の一部を扁平にした断面を有するパイプ903を、基材901に設けた凹部902に載置し、パイプ903及び基材901の上面にコールドスプレー法により金属堆積層904を形成した構造物の断面を示す写真である。図7に示すように、基材901の上面やパイプ903の扁平の部分には、金属堆積層904が形成されている。しかしながら、パイプ903の側部、特にパイプ903と凹部902との間の隙間には、ほとんど金属堆積層904が形成されていない。
【0040】
このような実験結果から、本発明者らは、パイプと該パイプを載置する凹部との間に、粉末の吹き付け方向に対して略平行な方向に隙間がある場合や、粉末の吹き付け方向に対して平行な面がある場合に、パイプ及びその周囲に均一な金属堆積層を形成することが困難であることに想到した。
【0041】
そこで、本発明者らは、パイプ及びその周囲に均一な金属堆積層を形成することができるパイプの形状について鋭意研究を重ねた結果、凸部を設けた板状部材102、103を用いてパイプ104を形成する本発明をなすに至った。
【0042】
図8は、パイプ104を構成する部材の内、金属堆積層105側に配置される板状部材102の形状及び厚さに対して与えられる条件を説明する図である。
図8に示すように、平板部11と凸部12とのなす角度θは、90°以上であることが好ましく、110°以上にするとより好ましい。言い換えると、平板部11と、該平板部11に対して凸部12が立ち上がる方向とのなす角度(仰角、180°−θ)を90°より小さくし、より好ましくは70°より小さくすると良い。
【0043】
これは、仮に角度θが90°より小さい場合、ガスノズル64から噴射された粉末の吹き付け方向に対し、板状部材102上に影になる部分が発生するため、その部分には粉末をほとんど堆積させることができなくなるからである。それに対し、角度θを90°から大きくするほど、粉末が板状部材102に付着し易くなり、角度θが110°以上になると、ほぼ安定的に粉末を堆積させた均一な皮膜を形成することができる。なお、平板部11から凸部12に変化する部分は、角に丸み(R)がついていても良いし、ついていなくても良い。
【0044】
また、平板部11の端部における厚さtは、0.5mm未満(板状部材103の平板部11と接合した場合、トータル1.0mm未満)にすることが好ましく、0.1mm未満(板状部材103の平板部と接合した場合、トータル0.2mm未満)にするとより好ましい。これは、堆積層形成面108における段差(平板部11の上面と基材101上面との高さの差、図4B参照)が大きくなるほど、パイプ104の端面に粉末が付着しにくくなり、反対に、段差が小さくなるほど、パイプ104の端面を含む領域全体に、均一な皮膜を形成することができるようになるからである。
【0045】
以上説明したように、実施の形態1においては、基材101上にパイプ104を配置し、このパイプ104の表面(板状部材102側の面)及びその周囲の基材101上面に対し、コールドスプレー法により金属堆積層105を形成する。このように形成された金属堆積層105は、相変態がなく酸化も抑制されているため、高い熱伝導性を有する。また、材料粉末が基材(又は先に形成された皮膜)に衝突した際に粉末と基材との間で塑性変形が生じてアンカー効果が得られると共に、互いの酸化皮膜が破壊されて新生面同士による金属結合が生じるので、金属堆積層105とパイプ104との密着強度も高くなり、熱抵抗を抑制することができる。さらに、実施の形態1においては、上述した条件を満たす板状部材102を用いてパイプ104を形成するため、パイプ104の端面を含む堆積層形成面108の全体に渡って、均一な且つ下層に対する密着強度の高い金属堆積層105を形成することができる。従って、実施の形態1によれば、パイプ104と金属堆積層105との間で良好な熱伝導性を得ることができ、パイプ104の内部を流通する流体と、少なくとも金属堆積層105側の流路付き部材100の表面との間における熱伝導性を従来よりも向上させることが可能となる。また、パイプ104のがたつきを抑制することも可能となる。
【実施例】
【0046】
平板部11と凸部12とのなす角度θ及び平板部11の端部の厚さtを変化させた複数の板状部材102をSUSにより作製した。このSUS部材を、凸部を上方に向けた状態でアルミニウム(Al)基材上に直接載置し、コールドスプレー法により銅(Cu)皮膜を形成する実験を行った。その結果を図9〜図11Gに示す。なお、この実験において、厚さtは堆積層形成面の段差と等しい。
【0047】
図9は、Al基材上にSUS部材を配置し、それらの上からCu皮膜(金属堆積層)を形成した構造物の断面を示す写真であり、θ=120°、t=0.1mmとした場合を示している。図9に示すように、この場合、凸部の斜面の一部にはCu皮膜の厚さが薄い部分も見られるが、SUS部材及びAl基材上の全体に隙間なくCu皮膜を形成することができている。
【0048】
図10Aは、角度θを変化させた場合における領域A(図9)のCu皮膜の状態を示す表である。また、図10Bは、θ=100°の場合の領域A近傍を拡大して示す写真である。図10Cは、θ=110°の場合の領域A近傍を拡大して示すSEM(走査型電子顕微鏡)写真である。
【0049】
図10Aに示すように、θ≦100°とした場合、銅皮膜内に一部空孔が発生していた。これは、部分的にCu粉末の堆積密度が低下していたものと考えられる(図10B参照)。一方、θ≧110°とした場合、銅皮膜内に空孔は見られず、均一で密度の高いCu皮膜を形成することができた(図10C参照)。
【0050】
図11Aは、厚さtを変化させた場合における領域B(図9)のCu皮膜の状態を示す表である。また、図11B〜図11Gは、t=0.1mm、0.2mm、0.4mm、0.8mm、1.0mm、2.0mmとした場合に対応する領域B近傍のSEM写真である。
【0051】
図11A〜図11Cに示すように、SUS部材の端部の厚さ(Al基材からの段差)tを0.2mm以下とした場合、SUS部材の側面にも隙間なくCu皮膜を形成することができた。また、SUS部材及びAl基材上にも、均一なCu皮膜を一体的に形成することができた。
【0052】
図11D、図11Eに示すように、厚さt=0.4mm、0.8mmとした場合、堆積したCu皮膜内の一部に隙間は見られるものの、SUS部材の側面には隙間なくCu皮膜を形成することができた。
【0053】
一方、図11F、図11Gに示すように、厚さt=1.0mm、2.0mmとした場合、SUS部材の側面にCu皮膜を形成することが困難となり、厚さtを厚くするほど、SUS部材の側面とCu皮膜と間の隙間が大きくなった。また、Al基材上に形成されたCu皮膜と、SUS部材上に形成されたCu皮膜とは完全に分離してしまった。
【0054】
(変形例1−1)
次に、実施の形態1の変形例1−1について説明する。図12〜図14は、変形例1−1に係る流路付き部材の構造を示す断面図である。
流路付き部材において流路を形成する板状部材の凸部の形状は、図1に示すものに限定されない。例えば、図12に示すように、3辺に囲まれた凸部13を有する板状部材111、112を接合してパイプ113を作製し、断面形状が6角形の流路13aを形成しても良い。なお、6角形の角の部分には丸みをつけても良い。
【0055】
また、図13に示すように、略半楕円形状の凸部14を有する板状部材121、122を接合してパイプ123を作製し、断面形状が略楕円形の流路14aを形成しても良い。この場合、平板部11から凸部14に移行する領域において両者のなす角度が90°を超えるように、当該部分の角に丸みをつけたり、略楕円形の流路14aを若干扁平にしたりすると良い。
【0056】
或いは、図14に示すように、サインカーブ形状の凸部15を有する板状部材131、132を接合してパイプ133を作製しても良い。この場合、平板部11から凸部15に移行する領域はなだらかなカーブとなるため、当該移行する領域にも均一な金属堆積層105をより形成し易くなる。
【0057】
(変形例1−2)
次に、実施の形態1の変形例1−2について説明する。図15及び図16は、変形例1−2に係る流路付き部材の一部の構造を示す断面図であり、金属堆積層105(図1参照)の形成前の状態を示している。
【0058】
上述した実施の形態1においては、板状部材103側の凸部12のみを、基材101に設けた凹部107内に載置した。しかしながら、例えば図15に示すように、板状部材103側の平板部11までを基材141内に載置しても良い。この場合、板状部材103側の凸部12及び平板部11を載置可能な凹部142を基材141に設ければ良い。この変形例1−2によれば、各板状部材102、103の平板部11の厚さtに対する制約を軽減することができる。
【0059】
或いは、図16に示すように、板状部材102側の平板部11までを載置可能な凹部144を基材143に設けても良い。この場合、板状部材102の平板部11の上面と基材143の上面との高さが揃うので、平板部11の端部の厚さtに対する制約をなくすことができる。
なお、これらの変形例1−2を上述した変形例1−1に適用しても良い。
【0060】
(変形例1−3)
次に、実施の形態1の変形例1−3について説明する。図17〜図19は、変形例1−3に係る流路付き部材の一部の構造を示す断面図であり、金属堆積層105(図1参照)の形成前の状態を示している。
【0061】
上記実施の形態1においては板状部材102、103の平板部11の幅方向の長さを互いに揃えていた。しかしながら、図17に示すように、基材101側に配置される板状部材152の平板部17の幅方向の長さを、その上に配置される板状部材151の平板部16の長さよりも長くして、板状部材152の端部を板状部材151の端部よりも外側に延出させても良い。
【0062】
ここで、上述したとおり、コールドスプレー法により平板部11の端面にも均一な金属堆積層105(図1参照)を形成するためには、堆積層形成面108における段差を0.8mm以下とすることが好ましい。従って、実施の形態1においては2つの板状部材102、103を接合するので、各板状部材102、103の平板部11の厚さを0.4mm以下とする必要がある。しかしながら、変形例1−3においては、堆積層形成面153における段差を2段階で変化させるため、これらの段差に相当する板状部材152の厚さt及び151の厚さ(板厚)tを、各々0.8mm以下とすれば良い。従って、この場合、板厚t、tに対する制約を軽減することが可能となる。
【0063】
(変形例1−4)
図18に示すように、変形例1−4においては、板状部材161、162それぞれの平板部18、19の端部を、基材101に近いほど幅方向の長さが長くなるようにテーパー状にカットしている。なお、この際、基材101側の板状部材162の端面が、その上に配置される板状部材161の端面よりも外側に延出するようにする。それにより、基材101の上面から平板部18の上面までを傾斜面で繋げて、堆積層形成面163における段差の影響を抑制している。この場合、平板部18、19の端部(即ち、傾斜面)にも容易に均一な金属堆積層105を形成することができるので、平板部18、19の板厚に対する制約を軽減することが可能となる。
【0064】
(変形例1−5)
図19に示すように、変形例1−5においては、板状部材171、172それぞれの平板部20、21の端部を、基材101に近いほど幅方向の長さが長くなるようにテーパー状にカットすると共に、基材101側の平板部21をもう一方の平板部20よりも外側に延出させている。これにより、平板部20、21の板厚に対する制約をさらに軽減することが可能となる。
【0065】
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2について説明する。
図20は、実施の形態2に係る流路付き部材の構造を示す断面図である。図20に示すように、実施の形態2に係る流路付き部材200は、基材201と、板状部材202、203からなるパイプ204と、コールドスプレー法によって形成された金属堆積層205とを備える。なお、基材201、パイプ204、及び金属堆積層205を形成する材料は、実施の形態1において説明したものと同様である。
【0066】
図21に示すように、一方の板状部材202は、図1に示す板状部材102と同様に、主面が同一平面上を通過する2つの平板部22と、該2つの平板部22の間に設けられた凸部23とを有する。また、他方の板状部材203は平板状をなしている。板状部材202は、平板部22の主面の内、凸部23の頂点とは反対側の主面において板状部材203と接合されている。それにより、凸部23と板状部材203との間に、流体を流通させる流路206が形成される。なお、板状部材202の形状及び厚さに対する条件は、実施の形態1において説明した板状部材102と同様である。
【0067】
このような流路付き部材200は、平板状をなす基材201の上面にパイプ204を固定し、パイプ204の表面及びその周囲の基材201の上面にコールドスプレー装置60を用いて金属堆積層205を形成することにより製造される。
【0068】
以上説明した実施の形態2によれば、パイプ204の下側の面が平板状となっていることから、基材201に対して凹部を形成する必要がなくなり、製造工程を簡素化することができる。
【0069】
なお、実施の形態2においても、上述した実施の形態1の変形例1−1と同様に、凸部23の断面形状を所望の形状としても良い。また、変形例1−2〜1−5と同様に、基材201の上面に板状部材203や平板部22を載置する凹部を設けるなどして、基材201の上面と平板部22の上面との間の段差を低減又は解消することとしても良い。
【0070】
(変形例2−1)
次に、実施の形態2の変形例2−1について説明する。
実施の形態2においては、凸部23を有する板状部材202に対して平板状の板状部材203を接合したが、その代わりに、板状部材202と同じ向きの凸部を有する第2の板状部材を板状部材202に接合しても良い。この場合、第2の板状部材の凸形状を、凸部23よりも浅くすると良い。それにより、板状部材202と第2の板状部材との間に流路となる空間が形成される。なお、この場合、第2の板状部材が配置される基材201の上面を凸状に成形することにより、第2の板状部材との間に生じる空隙を低減することとしても良い。
【0071】
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3について説明する。
図22は、実施の形態3に係る流路付き部材の構造を示す断面図である。図22に示すように、実施の形態3に係る流路付き部材300は、基材301と、基材301と共に流路の一部をなす板状部材302と、金属堆積層303とを備える。
【0072】
板状部材302は、図1に示す板状部材102と同様に、主面が同一平面上を通過する2つの平板部31と、該2つの平板部31の間に設けられた凸部32とを有する。この板状部材302は、平板部31の主面の内、凸部32の頂点とは反対側の主面を基板301に向け、基板301上に直接配置される。それにより、凸部32と基材301との間に、流体を流通させる流路304が形成される。なお、板状部材302の形状及び厚さtに対する条件は、実施の形態1において説明したものと同様である。
【0073】
基材301、板状部材302、及び金属堆積層303の材料は、実施の形態1において説明したものと同様であり、流路304に流通させる流体に応じて適宜選択すると良い。特に、実施の形態3においては、基材301にも流体が直接接触するため、流体に対して耐食性を有する材料によって基材301を形成すると良い。例えば、市水や海水を流路に流通させる場合、SUSで基材301を形成することが好ましい。
【0074】
このような流路付き部材300は、基材301の上面に板状部材302を固定し、板状部材302の表面及びその周囲の基材301の上面にコールドスプレー装置60を用いて金属堆積層303を形成することにより製造される。
【0075】
以上説明した実施の形態3によれば、流路付き部材300を構成する部品点数を削減することができると共に、製造工程を簡素化することが可能となる。
なお、実施の形態3においても、実施の形態1の変形例1−1と同様に、凸部32の形状を所望の形状としても良い。また、変形例1−2、1−4と同様に、基材301の上面に平板部31を載置する凹部を設けたり、平板部31の端部をテーパー状にするなどして、基材301の上面と平板部31の上面と間の段差を低減又は解消することとしても良い。
【0076】
(実施の形態4)
次に、本発明の実施の形態4について説明する。
図23は、実施の形態4に係る流路付き部材の構造を示す断面図である。図23に示すように、実施の形態4に係る流路付き部材400は、板状部材102、103からなるパイプ104と、その両側にコールドスプレー法によって形成された金属堆積層401及び402とを備える。なお、板状部材102、103及び金属堆積層401、402を形成する材料については、実施の形態1において説明したものと同様である。
【0077】
実施の形態4に係る流路付き部材の製造方法を、図24〜図25Bを参照しながら説明する。図24は、実施の形態4に係る流路付き部材の製造方法を示すフローチャートである。なお、図24に示す工程S41及び42は、図3に示す工程S11及び12に対応しているため、説明を省略する。
【0078】
工程S43において、図25Aに示すように、板状部材103の凸部12が載置される凹部404を予め形成した治具403上に、板状部材102、103から作製したパイプ104を載置する。この際、一方の板状部材103を接着剤等により治具403に仮固定しておいても良いし、凸部12を凹部404に嵌め込むだけでも良い。
続く工程S44において、パイプ104の表面及びその周囲の治具403上面を堆積層形成面405として、コールドスプレー法により金属堆積層401を形成する。
【0079】
工程S45において、図25Bに示すように、板状部材102、103(パイプ104)及び金属堆積層401を治具403から取り外す。
さらに、工程S46において、露出した板状部材103及びその周囲の金属堆積層401表面を堆積層形成面406として、コールドスプレー法により金属堆積層402を形成する。これにより、パイプ104の周囲が金属堆積層401、402で覆われた流路付き部材400が完成する。なお、この後、さらに、不要な部分を掘削するなどして、金属堆積層401、402の表面を成形しても良い。
【0080】
以上説明した実施の形態4によれば、パイプ104の周囲全体に、パイプ表面との密着強度の高い金属堆積層401、402を形成するので、パイプ104の内部を流通する流体と流路付き部材400の両面との間における熱伝導性を従来よりも向上させることが可能となる。
【0081】
なお、実施の形態4に係る流路付き部材の製造方法を、実施の形態2及びその変形例2−1に係る流路付き部材に対して適用しても良い。
【符号の説明】
【0082】
11、16〜22、31 平板部
12〜15、23、32 凸部
13a、14a 流路
60 コールドスプレー装置
61 ガス加熱器
62 粉末供給装置
63 スプレーガン
64 ガスノズル
65、66 バルブ
100、200、300、400 流路付き部材
101、141、143、201、301、901 基材
102、103、111、121、131、151、152、161、171、202、203、302 板状部材
104、113、123、133、204、903 パイプ
105、205、303、401、402、904 金属堆積層
106、206、304 流路(空間)
107、142、144、404、902 凹部
108、153、163、405、406 堆積層形成面
403 治具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
部材の内部に流路が設けられた流路付き部材において、
金属又は合金により形成された基材と、
金属又は合金により形成された板状をなし、幅方向の両端部に位置し、主面が同一平面上を通過する2つの平板部と、該2つの平板部の間に設けられ、板厚方向の断面が前記平板部に対して突起した形状をなす凸部とを有し、前記流路を形成する板状部材と、
前記平板部の主面の内で前記凸部の頂点と反対側の主面を前記基材と対向させて配置した状態で、金属又は合金からなる粉末をガスと共に加速し、前記板状部材の前記凸部の頂点側の表面及び前記基材の表面に固相状態のままで吹き付けて前記粉末を堆積させることによって形成された金属堆積層と、
を備えることを特徴とする流路付き部材。
【請求項2】
金属又は合金によって形成された板状をなし、前記板状部材の前記反対側の主面と接合され、前記板状部材と共に前記流路を形成する第2の板状部材をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の流路付き部材。
【請求項3】
前記第2の板状部材は、平板状をなすことを特徴とする請求項2に記載の流路付き部材。
【請求項4】
前記第2の板状部材は、幅方向の両端部に位置し、主面が同一平面上を通過する2つの第2平板部と、該2つの第2平板部の間に設けられ、板厚方向の断面が前記第2平板部に対して突起した形状をなす第2凸部とを有し、前記2つの第2平面部の主面の内で前記第2凸部の頂点と反対側の主面において、前記板状部材の前記2つの平板部の前記反対側の主面とそれぞれ接合され、
前記基材は、平面をなす表面に形成され、前記第2凸部を載置可能な凹部を有し、
前記金属堆積層は、前記第2凸部を前記凹部に載置した状態で形成されたことを特徴とする請求項2に記載の流路付き部材。
【請求項5】
前記第2板状部材は、前記板状部材よりも幅方向の長さが長いことを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の流路付き部材。
【請求項6】
前記板状部材の端部は、前記基材に近いほど幅方向の長さが長いことを特徴とする請求項1に記載の流路付き部材。
【請求項7】
前記板状部材の端部は、前記基材に近いほど幅方向の長さが長く、
前記第2の板状部材の端面は、前記第2の板状部材の端部は、前記基材に近いほど幅方向の長さが長く、且つ、前記板状部材よりも外側に延出していることを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載の流路付き部材。
【請求項8】
前記平板部と該平板部に対して前記凸部が立ち上がる方向とのなす角度は、90度より小さいことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の流路付き部材。
【請求項9】
前記平板部と該平板部に対して前記凸部が立ち上がる方向とのなす角度は、70度より小さいことを特徴とする請求項8に記載の流路付き部材。
【請求項10】
前記基材の表面と前記板状部材の上面と間の段差が0.8mm以下であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の流路付き部材。
【請求項11】
前記基材は、金属又は合金からなる粉末をガスと共に加速し、少なくとも前記第2の板状部材の表面に固相状態のままで吹き付けて前記粉末を堆積させることによって形成されたことを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載の流路付き部材。
【請求項12】
前記板状部材は、ステンレス又は銅若しくは銅系合金によって形成されており、
前記基材及び前記金属堆積層は、アルミニウム又はアルミニウム系合金によって形成されていることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の流路付き部材。
【請求項13】
前記第2の板状部材は、ステンレス又は銅若しくは銅合金によって形成されていることを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載の流路付き部材。
【請求項14】
金属又は合金により形成された部材の内部に流路が設けられた流路付き部材の製造方法において、
金属又は合金により形成された基材上に、金属又は合金により形成された板状をなし、幅方向の両端部に位置し、主面が同一平面上を通過する2つの平板部と、該2つの平板部の間に設けられ、板厚方向の断面が前記平板部に対して突起した形状をなす凸部とを有し、前記流路を形成する板状部材を、前記平板部の主面の内で前記凸部の頂点と反対側の主面を前記基材と対向させて配置する工程と、
前記基材上に前記板状部材を配置した状態で、金属又は合金からなる粉末をガスと共に加速し、前記板状部材の前記凸部の頂点側の表面及び前記基材の表面に固相状態のままで吹き付けて前記粉末を堆積させることにより、金属堆積層を形成する金属堆積層形成工程と、
を含むことを特徴とする流路付き部材の製造方法。
【請求項15】
前記板状部材配置工程は、
金属又は合金によって形成された板状をなし、前記板状部材の前記反対側の主面と接合され、前記板状部材と共に前記流路を形成する第2の板状部材を前記基材上に配置することを特徴とする請求項14に記載の流路付き部材の製造方法。
【請求項16】
前記基材を除去し、金属又は合金からなる粉末をガスと共に加速し、前記第2の板状部材の表面及び前記金属堆積層の露出面に固相状態のままで吹き付けて前記粉末を堆積させることにより、第2の金属堆積層を形成する第2金属堆積層形成工程をさらに含むことを特徴とする請求項15に記載の流路付き部材の製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図10A】
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【図11A】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25A】
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【図25B】
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【図7】
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【図9】
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【図10B】
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【図10C】
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【図11B】
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【図11C】
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【図11D】
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【図11E】
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【図11F】
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【図11G】
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