説明

浴室の間仕切り収納棚

【課題】 使用時には物を置くスペースを拡張することができ、不使用時にも脱衣室側から物を出し入れすることができる浴室の間仕切り収納棚を提供する。
【解決手段】 浴室3と脱衣室2との間を仕切る間仕切壁1内には収納スペース5が設けられ、この収納スペース5の開放された脱衣室2側には、起立状態で収納スペース5の下部のみをカバーする落下防止材6が設けられ、この落下防止材6は、軸12を介し脱衣室2側へ略水平な突出状態となるように回動可能に構成されており、起立状態において、脱衣室側へ何ら突出せず、突出状態において、収納スペース5の底面5bと面一となるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、浴室と脱衣室とを仕切る間仕切り収納棚に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に開示されているように、浴室と脱衣室間を仕切る間仕切壁に、浴室から脱衣室に貫通する開口を設け、この開口内を収納部として、開口の浴室側及び脱衣室側にそれぞれ開閉可能に扉を設けた構成が存在する。
また、特許文献2に開示されているように、浴室と脱衣室を仕切る収納棚本体に回転式載置台を設け、この回転式載置台を、使用時には脱衣室側へ略水平状となり、不使用時には垂直状態で保持されるように構成したものが存在する。
【特許文献1】特開平9−72118号公報
【特許文献2】特開2003−210256公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の特許文献1に開示されている構成では、間仕切壁内に形成されている収納部の奥行き幅が狭く、収納部内に物を置く十分なスペースが取れないという問題点があり、また、脱衣室側に洗面器台が設置されるような場合には、扉が邪魔になるという問題点があった。
また、前記特許文献2に開示されている構成では、回転式載置台を垂直状態に保持させた状態では、脱衣室側から収納棚内に物を入れることができず、使用勝手が悪いという問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は上記従来の問題点に鑑み案出したものであって、物を置く十分広いスペースを確保することができ、また、不使用時においても脱衣室側から物を良好に出し入れできる浴室の間仕切り収納棚を提供せんとするものであり、その請求項1は、浴室と脱衣室との間の間仕切壁内には収納スペースが設けられ、該収納スペースの開放された脱衣室側には、起立状態で該収納スペースの下部のみをカバーする落下防止材が設けられ、該落下防止材は、軸を介し前記脱衣室側へ略水平な突出状態となるように回動可能に構成されていることである。
また、請求項2は、前記落下防止材は、前記起立状態において前記脱衣室側へ何ら突出せず、前記突出状態において収納スペースの底面と面一となるように構成されていることである。
また、請求項3は、前記収納スペースの浴室側は開口され、該開口には開閉可能に蓋部材が設けられていることである。
【発明の効果】
【0005】
本発明の浴室の間仕切り収納棚は、起立状態で収納スペースの下部のみをカバーする落下防止材が設けられ、落下防止材は、軸を介し脱衣室側へ略水平な突出状態となるように回動可能に構成されていることにより、落下防止材を起立状態にして収納スペース内に収納されている物の脱衣室側への落下を良好に防ぐことができ、また、落下防止材の起立状態で良好に脱衣室側から収納スペース内の物を出し入れすることができ、また、落下防止材を軸を介し脱衣室側へ略水平な突出状態とすることにより、バスタオルや着替えなどの大きな物を良好に置くことができるものとなる。
【0006】
また、落下防止材は、起立状態において脱衣室側へ何ら突出せず、突出状態において収納スペースの底面と面一となるように構成されていることにより、落下防止材を起立状態に保持させておけば、間仕切壁に近接して脱衣室側に洗面化粧台などを設置する場合にも邪魔になることがなく、また、脱衣室側へ落下防止材を水平に突出状態として用いる場合には、収納スペースの底面と落下防止材が面一となり、広いスペースを確保することができて大きな物を置くことができ、また、面一であるためボトル等を置いても倒れにくいものとなり、より多くの物を置くことができ、使い勝手が良好なものとなる。
【0007】
また、収納スペースの浴室側は開口され、開口には開閉可能に蓋部材が設けられていることにより、落下防止材を水平状態に突出させた状態で、落下防止材上にバスタオルや着替えなどを置いておくことができ、蓋部材を閉めておけば、湿気でそれらを濡らしてしまうこともなく、浴室内で入浴後に蓋部材を開けて、バスタオルや着替えなどを浴室内に取り込み、浴室内で着替え等を行うことができるものとなり、冬季等において、暖かい浴室内から寒い脱衣室側へ出る際に寒さを感じることがなく、良好な使い勝手が得られるものとなる。
【実施例】
【0008】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1は、脱衣室2と浴室3を仕切る間仕切壁1の縦断面構成図であり、この図1は、脱衣室側から見た図2の正面構成図におけるA−A線断面を示すものである。また図3は、間仕切壁1を浴室内側から見た正面構成図である。
【0009】
間仕切壁1は脱衣室2と浴室3を仕切り、側方には浴室3内への出入りができるドア8が設置されている。
間仕切壁1を構成する脱衣室側壁1aと浴室側壁1b間は、例えば135mm程度の幅に設定されており、上方には間隔をおいて複数段に棚4,4,4が設けられており、棚4,4間に、それぞれ収納スペース5,5,5が形成されている。この各収納スペース5,5,5の浴室3側には、閉塞パネル9が設けられて浴室3側は閉じられており、脱衣室2側は開放されたものとなっている。
【0010】
また、最下段の収納スペース5には、その脱衣室2側に、起立状態から脱衣室側へ略水平に突出状態となるように回動可能に落下防止材6が設けられており、この落下防止材6を脱衣室2側へ略水平に突出させた状態では、脱衣室側壁1aからの突出寸法が135mm程度となるように設定されている。
また、最下段の収納スペース5の浴室3側は、貫通された開口5aとなっており、この開口5aには、浴室3側から開閉できる蓋部材7が設けられている。
【0011】
図4には、最下段の収納スペース5の部分を拡大して示しており、図4において、落下防止材6及び蓋部材7を詳細に説明する。
落下防止材6は、最下段の収納スペース5の底面5bを形成する棚4の脱衣室2側に、軸12を介して起立状態から脱衣室2側へ略水平に突出する突出状態に亘り回動できるように構成されており、板状または金網状等の面材6aの上端には、コの字状に引っ掛け片6bが形成されて、この引っ掛け片6bを係止ダボ11に引っ掛けて、起立状態に保持できるように構成されており、面材6aの下端には長孔6cが形成されて、この長孔6cを介し面材6aを上下動させて、良好に引っ掛け片6bを係止ダボ11に掛けることができるように構成されている。
【0012】
この起立状態では、収納スペース5の脱衣室2側下部のみが面材6aでカバーされるものであり、収納スペース5の上部は開放状態となっており、脱衣室2側から良好に収納スペース5内に物を出し入れすることができ、収納スペース5の底面5b上に物を置いて、この物の脱衣室2側への落下を良好に落下防止材6で防止できるものである。
また必要に応じ、引っ掛け片6bを係止ダボ11から外して、落下防止材6を脱衣室2側へ略水平状に突出させて使用することもでき、この突出状態では、面材6aが収納スペース5の底面5bと面一状となるように設定されている。
【0013】
即ち、底面5bを形成する棚4の脱衣室2側には、段部4aが形成されており、この段部4aに軸12が配置されて、水平に落下防止材6が突出された時に、面材6aの上面と収納スペース5の底面5bが面一となるように設定されている。
なお、面材6aはステー10で支持されており、起立状態及び突出状態の何れの状態をも良好にステー10で保持できるように構成されている。
【0014】
なお、落下防止材6は、起立状態では、脱衣室側壁1aとほぼ面一状態となり、脱衣室2側へは何ら突出することがないため、脱衣室2側に洗面器台等を設置する場合にも、落下防止材6が邪魔になることなく、洗面器台を脱衣室側壁1aにほぼ当接状態として設置することができるものである。
【0015】
なお、落下防止材6を脱衣室2側へほぼ水平に突出させた状態では、前述した如く、面材6aの上面と収納スペース5の底面5bが面一状となるため、ボトル等を置いた場合にも倒れにくいものとなり、しかも、広い面積が確保されて、タオルとか着替え等の大きな物も良好に置くことができるものとなり、置ける物の種類が限定されずに使い勝手が良好なものとなる。
【0016】
次に、浴室3側に設けられた蓋部材7は、収納スペース5の開口5aの下部に起立状に固定された固定パネル7aと、開閉可能な閉止板7bで構成されており、固定パネル7aの上端及び下端にはそれぞれ軸13a,13bが設けられ、各軸13a,13bにはそれぞれ上アーム14a,下アーム14bが連結されて、上アーム14aの先端に軸を介し閉止板7bの上端が連結され、また、下アーム14bの先端に閉止板7bの下端が軸を介し連結されている。
なお、閉止板7bの上端には、浴室3側へクの字状に突出して操作用のハンドル7cが設けられている。
【0017】
この蓋部材7は、図4に示すように、ハンドル7cを浴室3側へ引くことで、上アーム14a,下アーム14bを浴室3側へ回動させて、閉止板7bを固定パネル7aに対し開けて開口5aを開けることができるように構成されており、開けた状態で、棚4の浴室3側に形成されている傾斜面4bに沿って下アーム14bが当接保持されて、所定の角度以上に下側へ移動しないように構成されている。
また、閉止板7bを閉じる際には、上アーム14a,下アーム14bを上方へ回転させてゆき、閉止板7bを固定パネル7aの上方へほぼ面一状に立設固定させて、開口5aを閉止することができるものである。
【0018】
浴室3内で入浴する際等には、この蓋部材7は開口5aを閉止した状態に保持されて、収納スペース5内に浴室3側からの湿気が入らないようにしておくことができ、例えば、落下防止材6を脱衣室2側へ水平に突出させ、この上にタオルや着替えを置いておき、浴室3で入浴後に脱衣室2側へ出る前に蓋部材7を開けて、開口5aから落下防止材6上に置かれているタオルや着替えを浴室3内に取り込んで、浴室3内でタオルで身体を拭き、またガウン等を着て脱衣室2側へ出ることができ、冬季等において、脱衣室2が寒い状態となっている場合でも、寒さを感じることなく良好に浴室3から脱衣室2へ出ることができるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】間仕切壁の縦断面構成図である。
【図2】間仕切壁を脱衣室側から見た正面構成図である。
【図3】間仕切壁を浴室の室内側から見た正面構成図である。
【図4】間仕切壁の最下段の収納スペース周辺の要部拡大断面構成図である。
【符号の説明】
【0020】
1 間仕切壁
1a 脱衣室側壁
1b 浴室側壁
2 脱衣室
3 浴室
4 棚
4a 段部
4b 傾斜面
5 収納スペース
5a 開口
5b 底面
6 落下防止材
6a 面材
6b 引っ掛け片
6c 長孔
7 蓋部材
7a 固定パネル
7b 閉止板
7c ハンドル
8 ドア
9 閉塞パネル
10 ステー
11 係止ダボ
12 軸
13a,13b 軸
14a 上アーム
14b 下アーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴室と脱衣室との間の間仕切壁内には収納スペースが設けられ、該収納スペースの開放された脱衣室側には、起立状態で該収納スペースの下部のみをカバーする落下防止材が設けられ、該落下防止材は、軸を介し前記脱衣室側へ略水平な突出状態となるように回動可能に構成されていることを特徴とする浴室の間仕切り収納棚。
【請求項2】
前記落下防止材は、前記起立状態において前記脱衣室側へ何ら突出せず、前記突出状態において収納スペースの底面と面一となるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の浴室の間仕切り収納棚。
【請求項3】
前記収納スペースの浴室側は開口され、該開口には開閉可能に蓋部材が設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の浴室の間仕切り収納棚。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−22474(P2006−22474A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−198639(P2004−198639)
【出願日】平成16年7月5日(2004.7.5)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】