説明

浴室カウンター

【課題】本発明は、蓋部材を持ち上げること無く、貯留部材を設置可能な浴室カウンターを提供することを目的とした。
【解決手段】浴室の側壁8に設置される浴室カウンター1であって、浴室の床面とほぼ水平に設けられる載置板3と、液体を貯留可能な貯留部材5を有し、前記載置板3は、浴室の側壁8に立設されており、天地方向に貫通した切り欠き保持孔7を有し、切り欠き保持孔7は、突出方向先端から浴室の側壁8に向けて延伸して形成されており、蓋部材6は、切り欠き保持孔7に係合可能であり、蓋部材6、切り欠き保持孔7に沿って略水平方向にスライドさせて着脱可能である構成となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室の壁面に設置されて使用される浴室カウンターに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の浴室には、洗髪する際に使用するシャンプーやリンス、体を洗う際のボディソープや石鹸等を載置することができるとともに、入浴者が楽な姿勢で洗顔や洗髪等を行なえるように載置板が、浴室の壁面に沿って設けられている。また、当該載置板は、混合水栓の蛇口と浴室の床面との間に設置され、載置板上に洗面器を設置して使用されている。そして、近年では、入浴者が椅子に着座状態で洗髪や洗顔を行なえるように、載置板に洗面器が嵌りこみ一体化した浴室カウンターが提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−228663号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1の浴室カウンターは、載置板から洗面器(以下、貯留部材ともいう)を外し、浴槽から湯水をすくう際に、貯留部材の下面を載置板以上の高さまで持ち上げる必要がある。しかしながら、着座状態で使用しやすいように載置板の高さを混合水栓の蛇口に近づけて設置されている。そのため、蛇口と載置板との距離が近くなっており、貯留部材を持ち上げる際に、貯留部材と蛇口とが接触してしまう。それ故に、貯留部材を着脱するためには、蛇口の向きを変更して取り外す必要があった。そのため、使用者は、蛇口の向きを変更する作業が煩わしく、不快に感じる恐れがあった。
【0005】
そこで、本発明では、従来技術の問題に鑑み、貯留部材の底面を載置板の天面以上の高さに持ち上げること無く、貯留部材を設置可能であり、蓋部材を着脱自在に係合できる浴室カウンターを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、浴室の側壁に設置される浴室カウンターであって、浴室の床面とほぼ水平に設けられる載置板を有し、前記載置板は、浴室の側壁に立設されており、天地方向に貫通した切り欠き保持孔を有し、前記切り欠き保持孔は、突出方向先端から浴室の側壁に向けて延伸して形成され、蓋部材は切り欠き保持孔に係合可能であり、切り欠き保持孔に沿って略水平方向にスライドさせて着脱可能であることを特徴とする浴室カウンターである。
【0007】
かかる構成によれば、前記蓋部材は、切り欠き保持孔に沿って略水平方向にスライドさせて着脱可能であるため、蓋部材の底面を載置板の天面以上の高さに持ち上げること無く、蓋部材を載置板に脱着可能である。それ故に、着脱時に蓋部材と蛇口とが接触してしまうことがない。また、蛇口の向きを変更して蓋部材を取り外すといった作業が必要無く、使用者に不快感を与える恐れがない。
【0008】
かかる構成によれば、蓋部材は、切り欠き保持孔に係合可能である。また、例えば貯留部材を切り欠き保持孔に挿入することで、混合水栓の蛇口の高さを変更することなく、載置板の設置位置を高くできる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、切り欠き保持孔の上部の開口から下部の開口の間に外側に傾斜する斜面を有することを特徴とする請求項1に記載の浴室カウンターである。
【0010】
かかる構成によれば、切り欠き保持孔の上部の開口から下部の開口の間に外側に傾斜する斜面を有する。例えば、上部の開口から下部の開口にかけて外側に傾斜する斜面を設けることで、蓋部材を切り欠き保持孔に設置した際に、蓋部材がガタツクことなく係合し、切り欠き保持孔にはまり込む。それ故に、蓋部材の抜け落ちを防止できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の浴室カウンターによれば、前記蓋部材は、切り欠き保持孔に沿って略水平方向にスライドさせて着脱可能であるため、蓋部材の底面を載置板の天面以上の高さに持ち上げること無く、貯留部材を載置板に脱着可能である。それ故に、着脱時に蓋部材と蛇口とが接触してしまうことがない。また、蛇口の向きを変更して蓋部材を取り外すといった作業が必要無く、使用者に不快感を与える恐れがない。
【0012】
また、本発明の浴室カウンターによれば、貯留部材は、切り欠き保持孔に係合可能である。即ち、例えば貯留部材を切り欠き保持孔に挿入することで、混合水栓の蛇口の高さを変更することなく、載置板の設置位置を高くできる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1実施形態の浴室カウンターの説明図であり、(a)貯留部材装着前、(b)貯留部材装着時、(c)貯留部材装着後の斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態の浴室カウンターの説明図であり、(a)蓋部材装着前、(b)蓋部材装着後の斜視図である。
【図3】浴室カウンターの断面図であり、(a)図1(a)のA−A断面図であり、(b)図1(c)のB−B断面図であり、(c)図2のC−C断面図である。
【図4】本発明の第2実施形態の浴室カウンターの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0015】
本実施形態の浴室カウンター1は、図1(a)のように浴室の側壁に沿って設けられており、混合水栓2と、載置板3とを備えている。そして、浴室カウンター1は、液体貯留時には、図1(c)のように貯留部材5を取り付け、貯留部材5を不使用時には、図2(b)のように蓋部材6に付け替えて使用可能である。また、貯留部材以外の高さの高い容器(例えば、加湿器のタンク)などに液体を導入する際には、図1(a)のように貯留部材5及び蓋部材6を外した状態で使用可能である。
【0016】
以下に浴室カウンター1の各部材に構成について説明する。
【0017】
まず、混合水栓2の構成について説明する。
【0018】
混合水栓2は、公知の水栓であり、水栓本体21と、水と湯水などの液体を流出可能な蛇口20を備えている。蛇口20は、混合水栓2の水栓本体21に対して水平方向に回動可能となっており、所望の角度で固定可能となっている。そして、蛇口20の回動軌跡上には、後述する載置板3の切り欠き保持孔7が位置している。
【0019】
続いて、載置板3の構成について説明する。
【0020】
載置板3は、シャンプーやリンスなどの洗髪具やボディソープや石けんなどの洗剤を載置する部材である。
【0021】
載置板3は、浴室の側壁8に立設されており、浴室の床面とほぼ水平に設けられている。また、載置板3は、天地方向に貫通した切り欠き保持孔7を有している。切り欠き保持孔7は、突出方向先端から浴室の側壁8に向けてほぼ同じ幅で延伸して形成されており、その開口形状は、略U字状となっている。
【0022】
切り欠き保持孔7は、図3(a)のように下面から上面に向けてテーパー状に広がった傾斜面17を有している。即ち、切り欠き保持孔7の上面側の上部開口10は、下面側の下部開口11に対して大きい。
【0023】
切り欠き保持孔7の幅方向の大きさは、貯留部材5の受け皿部15の最大外径とほぼ同程度の大きさとなっており、切り欠き保持孔7の延伸方向の大きさは、貯留部材5の受け皿部15の最大外径とほぼ同程度となっている。即ち、切り欠き保持孔7の内側に貯留部材5を挿入可能となっている。
【0024】
切り欠き保持孔7の内部には、混合水栓2側から浴室の床面に向かって開放された開放空間12を有している。即ち、貯留部材以外の高さの高い容器(例えば、加湿器のタンク)であっても開放空間12内に容器を設置することで、混合水栓2の蛇口20から流入する液体を導入可能である。
【0025】
続いて、貯留部材5の構成について説明する。
【0026】
貯留部材5は、受け皿部15と、受け皿部15の上端から外側に張り出したフリンジ部16を有している。受け皿部15は、内部に水や湯水などの液体を貯留可能となっている。フリンジ部16は、文字通りフリンジ状となっており、その外径は、切り欠き保持孔7の幅方向の長さより大きい。
【0027】
続いて、蓋部材6の構成について説明する。
【0028】
蓋部材6は、貯留部材5の不使用時において、載置板3の切り欠き保持孔7を塞ぐ部材である。蓋部材6により切り欠き保持孔7を塞ぐと載置板3は通常の浴室カウンターとして使用することができるものである。蓋部材6は、断面形状が略等脚台形状となっており、載置板3の切り欠き保持孔7の開口に係合可能となっている。即ち、蓋部材6は、上面に対して下面の面積が小さい。また、蓋部材6の輪郭は、略U字状となっている。また、蓋部材6は、水平方向の移動により切り欠き保持孔7に係合することができる。
【0029】
続いて、浴室カウンター1の貯留部材5の取り付け方法に沿って、浴室カウンター1の各部材の位置関係について主に図1を用いて説明する。
【0030】
図1(a)〜図1(c)のように貯留部材5を載置板3の切り欠き保持孔7に沿って、略水平方向にスライドさせる。取り付け完了時、貯留部材5の受け皿部15の外側面は、図3(b)のように載置板3の切り欠き保持孔7の傾斜面17と係合している。そして、貯留部材5のフリンジ部16の下面は、載置板3の切り欠き保持孔7付近の上面と当接している。また、受け皿部15の上方には、混合水栓2の蛇口20が配設可能となっている。
【0031】
続いて、浴室カウンター1の蓋部材6の取り付け方法に沿って、浴室カウンター1の各部材の位置関係について主に図2を用いて説明する。
【0032】
図2(a)〜図2(b)のように蓋部材6を載置板3の切り欠き保持孔7に沿って、略水平方向にスライドさせる。取り付け完了時、蓋部材6の外側面は、図3(c)のように載置板3の切り欠き保持孔7の傾斜面17と係合している。そして、蓋部材6の上面と載置板3の上面は、面一となっており、蓋部材6の下面と載置板3の下面も、面一となっている。即ち、蓋部材6は、載置板3の切り欠き保持孔7に嵌り込んでいる。それ故に、載置板3及び蓋部材6全体を載置板として使用可能である。
【0033】
本実施形態の浴室カウンター1であれば、貯留部材5は、切り欠き保持孔7に沿って略水平方向にスライドさせて着脱可能であるため、貯留部材5の底面を載置板3の天面以上の高さに持ち上げること無く、貯留部材5を載置板3に脱着可能である。それ故に、着脱時に貯留部材5と混合水栓2の蛇口20とが接触してしまうことがない。また、混合水栓2の蛇口20の向きを変更して貯留部材5を取り外すといった作業が必要無く、使用者に不快感を与える恐れがない。
【0034】
上記した実施形態では、切り欠き保持孔7全体にかけて同一の傾斜面17形成したが、本発明はこれに限定されるものではなく、部分的に傾斜面17の形状を変形してもよい。即ち、図4のように、切り欠き保持孔7の張出方向中間から先端に向けて、傾斜面の傾斜角度を小さくしたかさ上げ部18を設けてもよい。
【符号の説明】
【0035】
1 浴室カウンター
3 載置板
5 貯留部材
6 蓋部材
7 切り欠き保持孔
8 側壁
10 上部開口
11 下部開口
17 傾斜面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴室の側壁に設置される浴室カウンターであって、浴室の床面とほぼ水平に設けられる載置板と、蓋部材を有し、前記載置板は、浴室の側壁に立設されており、天地方向に貫通した切り欠き保持孔を有し、前記切り欠き保持孔は、突出方向先端から浴室の側壁に向けて延伸して形成されており、前記蓋部材は、切り欠き保持孔に係合可能であり、切り欠き保持孔に沿って略水平方向にスライドさせて着脱可能であることを特徴とする浴室カウンター。
【請求項2】
切り欠き保持孔の上部の開口から下部の開口の間に外側に傾斜する斜面を有することを特徴とする請求項1に記載の浴室カウンター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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