説明

浴室用暖房乾燥機

【課題】 浴室及び浴室と仕切られた別箇所の換気に簡単に対応できて、しかも低価格な浴室用暖房乾燥機を提供する。
【解決手段】 吸い込まれた浴室の空気を再び浴室に供給するように通風するための循環用通風路2と、循環用通風路2に通風作用する循環用通風手段3と、循環用通風路2を通風する空気を加熱する加熱手段4とが一体型のユニットUに構成された浴室用暖房乾燥機において、浴室の空気を浴室の外に排出するための浴室換気用通風路5が、循環用通風路2と仕切られた状態で、ユニットUに設けられている。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、吸い込まれた浴室の空気を再び前記浴室に供給するように通風するための循環用通風路と、前記循環用通風路に通風作用する循環用通風手段と、前記循環用通風路を通風する空気を加熱する加熱手段とが一体型のユニットに構成された浴室用暖房乾燥機に関する。
【0002】
【従来の技術】かかる浴室用暖房乾燥機において、従来は、図3に示すように、循環用通風路2の一部を、浴室の空気を浴室の外に排出するための浴室換気用通風路5に共用するように構成するとともに、浴室換気用通風路5に共用する循環用通風路2に通風作用する換気用通風手段7をユニットUに設け、浴室換気用通風路5に共用する循環用通風路2を通風する空気の一部を換気用通風手段7にて浴室の外に排出し、残部を循環用通風手段3にて浴室に供給するように構成していた(例えば、実開平7−2879号公報参照)。尚、図3中の4は、循環用通風路2を通風する空気を加熱する加熱手段である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来は、浴室と仕切られた別箇所を換気する場合には、専用の換気手段を設けていた。ちなみに、従来の浴室用暖房乾燥機を使用して別箇所の換気を行おうとしても、換気用通風手段を、単に、別箇所の空気を別箇所の外に排出するための別箇所換気用通風路にも通風作用するように構成しただけでは、循環用通風手段を作動させると循環用通風手段にて別箇所の空気を浴室に供給する等の不具合が生じるため、別箇所の換気に対応することができない。又、その不具合を防止するためには、高価なダンパ等を必要とするとともに、そのダンパの作動を制御するための制御構成が複雑となるため、高価なものとなって実用的でない。
【0004】本発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、浴室及び浴室と仕切られた別箇所の換気に簡単に対応できて、しかも低価格な浴室用暖房乾燥機を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の構成によれば、浴室の空気を浴室の外に排出するための浴室換気用通風路が、循環用通風路と仕切られた状態でユニットに設けられているので、浴室及び浴室と仕切られた別箇所の換気を行う場合には、浴室換気用通風路に通風作用する換気用通風手段を設け、その換気用通風手段を、単に、別箇所の空気を別箇所の外に排出するための別箇所換気用通風路にも通風作用するように構成するだけで、別箇所の空気が循環用通風手段にて浴室に供給されるといった不具合が生じることなく、浴室及び別箇所の換気を行うことができる。つまり、単に浴室換気用通風路を循環用通風路と仕切った状態で設けるだけの軽微な改造で、浴室用暖房乾燥機を別箇所の換気にも対応可能なようにすることができるのである。従って、浴室及び浴室と仕切られた別箇所の換気に簡単に対応できて、しかも低価格な浴室用暖房乾燥機を提供することができるようになった。
【0006】請求項2に記載の構成によれば、換気用通風手段がユニットに組付けられているので、ユニットを浴室の所定の箇所に設置するだけの作業で、換気用通風手段も設置することができる。従って、請求項1に記載の構成により得られる効果に加えて、設置作業が簡単になるという効果を奏する。
【0007】請求項3に記載の構成によれば、切り換え手段により、浴室のみ換気する状態と、別箇所のみ換気する状態と、浴室及び別箇所の両方を換気する状態に自在に切り換えることができる。従って、請求項2に記載の構成により得られる効果に加えて、浴室及び別箇所のうち使用者の所望の箇所だけを換気することができるという効果を奏する。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、図1及び図2に基づいて、本発明の実施の形態を説明する。図1中の1は、循環用吸気口1a、換気用吸気口1b、吹出口1cが下面に形成され、側面に排気口1dが形成されたケーシングである。ケーシング1内に、循環用吸気口1aから吹出口1cに至る循環用通風路2と、その循環用通風路2に通風作用する循環用通風手段としての循環ファン3と、循環用通風路2を通風する空気を加熱する加熱手段としての熱交換器4と、換気用吸気口1bから排気口1dに至り且つ循環用通風路2と仕切った浴室換気用通風路5と、浴室用暖房乾燥機の各種制御を司る制御装置6を設け、並びに、浴室換気用通風路5に通風作用する換気用通風手段としての換気ファン7をケーシング1外に位置させた状態でケーシング1に組付けて、浴室用暖房乾燥機を一体型のユニットUに構成してある。
【0009】換気ファン7は、その吸い込み口7aを排気口1dに連通接続した状態で、ケーシング1の側壁に取り付けてある。循環用吸気口1aには吸い込みグリル8を、換気用吸気口1bには吸い込みグリル9を、吹出口1cには可動ルーバ10を夫々備えつけてある。更に、循環用通風路2における循環用吸気口1aの近傍には、浴室の空気の温度を検出する温度センサ11、及び、浴室の空気の湿度を検出する湿度センサ12を設けてある。
【0010】浴室用暖房乾燥機とは別置きの熱源機(図示せず、例えば、浴槽へ給湯するための給湯器等)から温水を熱交換器4に循環供給するように、熱交換器4に温水循環路17を接続し、温水循環路17には、熱交換器4への温水供給を断続する熱動弁18を介装してある。
【0011】上述のようにユニットUに構成した浴室用暖房乾燥機を、循環用吸気口1a、換気用吸気口1b及び吹出口1cを浴室R1の天井部に形成した給排気口K1に位置合わせした状態で、浴室R1の天井の上に取り付けてある。
【0012】浴室R1と仕切られた別室R2(例えば洗面室、脱衣室)の空気を屋外に排出するための別箇所換気用通風路としての別室換気用ダクト13を、別室R2の天井に形成した排気口K2と換気ファン7の吸い込み口7aとに連通接続し、換気ファン7の吐き出し口には、換気ファン7が吸い込んだ空気を屋外に排出する排気ダクト14を連通接続してある。つまり、換気ファン7を、別室換気用ダクト13にも通風作用するように構成してある。
【0013】浴室換気用通風路5には浴室換気用ダンパ15を、別室換気用ダクト13には別室換気用ダンパ16を夫々介装してある。浴室換気用ダンパ15のみを開作動させることにより、換気ファン7が浴室換気用通風路5のみに通風作用する状態となり、別室換気用ダンパ16のみを開作動させることにより、換気ファン7が別室換気用ダクト13のみに通風作用する状態となり、浴室換気用ダンパ15及び別室換気用ダンパ16の両方を開作動させることにより、換気ファン7が浴室換気用通風路5及び別室換気用ダクト13の両方に通風作用する状態となる。従って、浴室換気用ダンパ15及び別室換気用ダンパ16を利用して、切り換え手段を構成してある。
【0014】別室R2の壁面には、制御装置6に対して各種制御情報を指令するリモートコントローラ19を設置してある。
【0015】図2に示すように、リモートコントローラ19には、乾燥モードを指令する乾燥運転スイッチ19a、暖房モードを指令する暖房運転スイッチ19b、浴室換気モードを指令する浴室換気スイッチ19c、別室換気モードを指令する別室換気スイッチ19d、及び、暖房モード時の浴室の目標温度を設定する温度設定スイッチ19e等を備えてある。尚、乾燥運転スイッチ19a、暖房運転スイッチ19b及び浴室換気スイッチ19cは、それらのうちの一つのみ択一的にオン操作できるように連動させてあり、別室換気スイッチ19dは、乾燥運転スイッチ19a、暖房運転スイッチ19b及び浴室換気スイッチ19cと関係なく、単独でオン操作できるようにしてある。
【0016】温度センサ11及び湿度センサ12夫々の検出情報は、制御装置6に入力されるように構成してあり、制御装置6は、リモートコントローラ19からの各種指令、及び、温度センサ11及び湿度センサ12夫々の検出情報に基づいて、循環ファン3、換気ファン7、浴室換気用ダンパ15、別室換気用ダンパ16、熱動弁18夫々の作動の制御を行う。
【0017】以下、制御装置6の制御構成について説明する。乾燥運転スイッチ19aにより、乾燥モードが指令されると、乾燥運転を開始する。乾燥運転では、熱動弁18を開作動させ、浴室換気用ダンパ15を開作動させ、循環ファン3及び換気ファン7を起動させる。従って、浴室R1の空気が循環用吸気口1aから吸い込まれ、その吸い込み空気が循環用通風路2を通風する過程で熱交換器4によって加熱され、その加熱空気が吹出口1cから浴室R1に再び供給され、それと並行して、換気用吸気口1bから吸い込まれた浴室R1の空気が、換気用通風路5及び排気ダクト14を通じて屋外に排出される。そして、湿度センサ12の検出湿度が設定値まで低下すると、熱動弁18を閉作動させ、浴室換気用ダンパ15を閉作動させ、循環ファン3及び換気ファン7を停止させて、乾燥運転を終了する。
【0018】暖房運転スイッチ19bにより、暖房モードが指令されると、暖房運転を開始する。暖房運転では、浴室換気用ダンパ15を閉作動させるとともに、換気ファン7を停止させ、温度センサ11の検出温度が温度設定スイッチ19eにて設定された目標温度になるように、熱動弁18の開作動及び循環ファン3の起動の制御と、熱動弁18の閉作動及び循環ファン3の停止の制御を繰り返す。従って、浴室R1の空気が循環用吸気口1aから吸い込まれ、その吸い込み空気が循環用通風路2を通風する過程で熱交換器4によって加熱され、その加熱空気が吹出口1cから浴室R1に再び供給されて、浴室R1が暖房される。暖房運転は、暖房運転スイッチ19bにより暖房モードの停止が指令されるまで継続し、暖房モードの停止が指令されると、熱動弁18を閉作動させるとともに、循環ファン3を停止させて、乾燥運転を終了する。
【0019】浴室換気スイッチ19cにより、浴室換気モードが指令されると、浴室換気運転を開始する。浴室換気運転では、熱動弁18を閉作動させるとともに、循環ファン3を停止させ、浴室換気用ダンパ15を開作動させるとともに、換気ファン7を起動させる。従って、換気用吸気口1bから吸い込まれた浴室R1の空気が、換気用通風路5及び排気ダクト14を通じて屋外に排出されて、浴室R1の換気が行われる。浴室換気運転は、浴室換気スイッチ19cにより浴室換気モードの停止が指令されるまで継続し、浴室換気モードの停止が指令されると、浴室換気用ダンパ15を閉作動させるとともに、換気ファン7を停止させて、浴室換気運転を終了する。
【0020】別室換気スイッチ19dにより、別室換気モードが指令されると、別室換気運転を開始する。別室換気運転では、別室換気用ダンパ16を開作動させるとともに、換気ファン7を起動させる。従って、別室R2の天井の排気口K2から吸い込まれた別室R2の空気が、別室換気用ダクト13及び排気ダクト14を通じて屋外に排出されて、別室R2の換気が行われる。別室換気運転は、別室換気スイッチ19dにより別室換気モードの停止が指令されるまで継続し、別室換気モードの停止が指令されると、別室換気用ダンパ16を閉作動させるとともに、換気ファン7を停止させる。
【0021】従って、リモートコントローラ19の乾燥運転スイッチ19a、暖房運転スイッチ19b、浴室換気スイッチ19c及び別室換気スイッチ19dの操作により、乾燥運転、暖房運転、浴室換気運転及び別室換気運転夫々の単独運転、乾燥運転と別室換気運転との並行運転、暖房運転と別室換気運転との並行運転、浴室換気運転と別室換気運転との並行運転が可能なように構成してある。但し、乾燥運転と別室換気運転との並行運転中、及び、浴室換気運転と別室換気運転との並行運転中において、並行運転中の両方の運転のうちのいずれか一方のみの停止が指令された場合は、換気ファン7の運転は継続させるように構成してある。又、別室換気運転中に、新たに暖房モードが指令されても、換気ファン7の運転は継続させるように構成してある。
【0022】〔別実施形態〕次に別実施形態を説明する。
■ 上記の実施の形態では、換気ファン7をユニットUに組付けて設ける場合について例示したが、換気ファン7をユニットUとは別体に設けてもよい。
【0023】■ 換気ファン7は、ケーシング1内に設けてもよい。
【0024】■ 上記の実施の形態において設けた浴室換気用ダンパ15及び別室換気用ダンパ16を省略してもよい。この場合、浴室R1の換気及び別室R2の換気を夫々単独で行うことができず、並行して行うことになるが、装置構成が簡略化されるので、装置の価格を低減することができる。
【0025】■ 上記の実施の形態では、切り換え手段を浴室換気用ダンパ15及び別室換気用ダンパ16にて構成する場合について例示したが、切り換え手段の具体構成は種々変更可能である。例えば、一つのダンパを、浴室換気用通風路5を開き且つ別室換気用ダクト13を閉塞する状態、浴室換気用通風路5を閉塞し且つ別室換気用ダクト13を開く状態、浴室換気用通風路5を開き且つ別室換気用ダクト13を開く状態とに切り換え自在に設けることにより、構成してもよい。
【0026】■ 複数の別室R2に対して、各別に別室換気用ダクト13を設け、換気ファン7を、それら複数の別室換気用ダクト13に通風作用するように構成してもよい。この場合、浴室用暖房乾燥機により、複数の別室R2の換気を行うことができる。更に、複数の別室換気用ダクト13夫々に別室換気用ダンパ16を介装すれば、複数の別室R2のうちの所望の別室R2の換気を行うことができる。
【0027】尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を便利にするために符号を記すが、該記入により本発明は添付図面の構成に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】浴室用暖房乾燥機の縦断面図
【図2】浴室用暖房乾燥機における制御構成のブロック図
【図3】従来の浴室用暖房乾燥機の縦断面図
【符号の説明】
2 循環用通風路
3 循環用通風手段
4 加熱手段
5 浴室換気用通風路
7 換気用通風手段
13 別箇所換気用通風路
15,16 切り換え手段
U ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】 吸い込まれた浴室の空気を再び前記浴室に供給するように通風するための循環用通風路(2)と、前記循環用通風路(2)に通風作用する循環用通風手段(3)と、前記循環用通風路(2)を通風する空気を加熱する加熱手段(4)とが一体型のユニット(U)に構成された浴室用暖房乾燥機であって、前記浴室の空気を前記浴室の外に排出するための浴室換気用通風路(5)が、前記循環用通風路(2)と仕切られた状態で、前記ユニット(U)に設けられている浴室用暖房乾燥機。
【請求項2】 前記浴室換気用通風路(5)に通風作用する換気用通風手段(7)が、前記ユニット(U)に組付けられている請求項1記載の浴室用暖房乾燥機。
【請求項3】 前記換気用通風手段(7)が、前記浴室と仕切られた別箇所の空気を前記別箇所の外に排出するための別箇所換気用通風路(13)にも通風作用するように構成され、前記換気用通風手段(7)が前記浴室換気用通風路(5)のみに通風作用する状態と、前記別箇所換気用通風路(13)のみに通風作用する状態と、前記浴室換気用通風路(5)及び前記別箇所換気用通風路(13)の両方に通風作用する状態に切り換え自在な切り換え手段(15),(16)が設けられている請求項2記載の浴室用暖房乾燥機。

【図1】
image rotate


【図2】
image rotate


【図3】
image rotate


【公開番号】特開平9−38389
【公開日】平成9年(1997)2月10日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平7−197195
【出願日】平成7年(1995)8月2日
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)