説明

浴槽用循環具の施工治具

【課題】作業者が浴槽用循環具を浴槽の側壁に容易かつ的確に、しかも速やかに取付けることができる浴槽用循環具の施工治具を提供する。
【解決手段】浴槽用循環具10の施工治具60を構成する施工治具本体61の一端部には、浴槽の側壁12の外側で外部筒体11の内筒部22に係合される円筒状の係合部62が設けられている。施工治具本体61の他端部には、前記係合部62が外部筒体11の内筒部22に係合された状態で浴槽の側壁12の取付孔12aに係止される係止部64が設けられている。さらに、施工治具本体61の中間部には、浴槽の側壁12の内側で施工治具本体61が内部筒体31の外筒32に挿入されたとき外筒32に嵌合するガイド部65が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴槽の側壁外面に配置される外部筒体と、側壁内面に配置され側壁の取付孔を介して外部筒体に組付けられる内部筒体とにより構成された浴槽用循環具を浴槽の側壁に取付けるための施工治具に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の浴槽用循環具は、浴槽の側壁外面に位置する外部筒体が浴槽の側壁の取付孔を介して内部筒体に締付けられて側壁に固定されるようになっている。外部筒体には一対の継手が配設され、一方の継手が給湯器からの加熱水を浴槽内へ供給する往き側配管に接続され、他方の継手が浴槽水を給湯器へ戻す戻り側配管に接続されている。そして、浴槽水は内部筒体の吸入用流路から戻り側配管を通って給湯器へ戻され、給湯器で加熱された加熱水が往き側配管から内部筒体の吐出用流路を流れて浴槽内へ吐出されるように構成されている。このように構成された浴槽用循環具は、一人の作業者でも施工治具を使用して浴槽の側壁に取付けることができるようになっている。
【0003】
斯かる施工治具として具体的には、浴槽循環口金具取付用治具が特許文献1に開示されている。すなわち、この取付用治具は、外側金具の内筒内の給湯口又は戻湯口の入口凹みに係止される突起部と、係止した外側金具を浴槽開口部に引掛ける鍔と、先端に前記突起部、中間部に前記鍔を設けたパイプ状の胴部とを備えている。そして、突起部を外側金具の内筒の入口凹みに係止した後、浴槽の外側から外側金具を浴槽開口部に鍔を介して引掛けておき、浴槽の内側から前記胴部に内側金具を外嵌し、外側金具に螺入することにより、一人の作業者が浴槽循環口金具を浴槽に取付けできるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−200874号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、浴槽の側壁に貫通されている浴槽開口部は側壁の下部に設けられており、浴槽の内側から内側金具を外側金具に螺入する作業は作業者が浴槽の上方から浴槽内を覗き込むようにして行わなければならず、難しい作業を強いられる。しかも、内側金具と外側金具の螺合部は浴槽開口部の内部であることから、その作業を肉眼で確認しながら行うことはできない。
【0006】
このため、前記特許文献1に記載された従来構成の取付用治具を使用して作業者が浴槽の内側において、内側金具を外側金具に螺入する作業を行う場合、内側金具と外側金具の軸線を合わせ、内側金具の雄ねじの先端部を外側金具の雌ねじに螺入し始める操作が難しい。加えて、内側金具の軸線が外側金具の軸線に対して傾かないように注意して内側金具の雄ねじを外側金具の雌ねじに螺入してその操作を完了することは煩わしく、作業時間を要するものであった。その場合、内側金具の軸線と外側金具の軸線が一致していないにもかかわらず、一致したと思い込んで無理に内側金具の雄ねじを外側金具の雌ねじに螺入すると、雄ねじ又は雌ねじが損傷を受けるおそれがある。
【0007】
そこで本発明の目的とするところは、作業者が浴槽用循環具を浴槽の側壁に容易かつ的確に、しかも速やかに取付けることができる浴槽用循環具の施工治具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、請求項1に係る発明の浴槽用循環具の施工治具は、浴槽の側壁の外面に取付けられる筒状の外部筒体と、側壁の内側から該側壁の取付孔を介して外部筒体に組付けられる筒状の内部筒体とを備え、前記外部筒体は往き側流路と戻り側流路を区画形成する外筒部と内筒部とを有するとともに、外筒部には雌ねじ部を有し、内部筒体には前記外部筒体の雌ねじ部に螺合される雄ねじ部を有する外筒と外部筒体の内筒部に接続される内筒とを有する浴槽用循環具を浴槽の側壁に取付けるための浴槽用循環具の施工治具であって、施工治具本体の一端部には浴槽の側壁の外側で外部筒体の内筒部に係合される係合部を設けるとともに、浴槽の側壁の内側で施工治具本体が内部筒体の外筒に挿入されたとき外筒に嵌合するガイド部を設けたことを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に係る発明において、施工治具本体の他端部には前記係合部が外部筒体の内筒部に係合された状態で浴槽の側壁の取付孔に係止される係止部を設けたことを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に係る発明において、前記ガイド部は、内部筒体の外筒が外部筒体の外筒部に挿入されたとき内部筒体の外筒の軸線方向に延びるように構成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項に係る発明において、前記ガイド部は、内部筒体の外筒が外部筒体の外筒部に挿入されたとき内部筒体の外筒の軸線方向と直交する方向に延びるように構成されていることを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれか一項に係る発明において、前記施工治具は内部筒体より機械的強度の低い熱可塑性樹脂で形成されていることを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項1から請求項5のいずれか一項に係る発明において、前記内部筒体の内周面には回り止め突起を設けるとともに、内部筒体を外部筒体に螺合するときに施工治具のガイド部が回り止め突起に係合するように構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、次のような効果を発揮することができる。
請求項1に係る発明浴槽用循環具の施工治具においては、外部筒体の内筒部に係合される係合部及び内部筒体の外筒に嵌合するガイド部が設けられている。このため、浴槽の側壁の外部で施工治具の係合部を外部筒体の内筒部に係合した後、その状態で側壁の内側において内部筒体を外部筒体に螺合することができる。このとき、施工治具には内部筒体の外筒に嵌合するガイド部が設けられていることから、外部筒体の外筒部に対する内部筒体の外筒の螺合がガイド部によって案内される。従って、内部筒体を外部筒体に円滑に螺進させることができる。
【0015】
よって、本発明の浴槽用循環具の施工治具によれば、作業者が浴槽用循環具を浴槽の側壁に容易かつ的確に、しかも速やかに取付けることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施形態における浴槽用循環具を施工治具により浴槽の側壁に取付ける状態を示す要部断面図。
【図2】(a)及び(b)は施工治具を示す斜視図。
【図3】施工治具で外部筒体を浴槽の側壁の取付孔に係止した状態を示す要部断面図。
【図4】浴槽の内側で内部筒体を外部筒体に螺入する状態を示す要部断面図。
【図5】内部筒体を外部筒体に螺合した状態で施工治具を取り外した状態を示す断面図。
【図6】内部筒体を外部筒体に組付けて浴槽用循環具を浴槽の側壁に取付けた状態を示す断面図。
【図7】浴槽用循環具を示す分解斜視図。
【図8】浴槽用循環具を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を具体化した実施形態を図1〜図8に従って詳細に説明する。
まず、浴槽用循環具について説明する。図6〜図8に示すように、本実施形態の浴槽用循環具10を構成する外部筒体11は浴槽の側壁12外面に配置され、その外端部には図示しない給湯器への戻り側配管13にワンプッシュ式の継手14を介して接続される連結筒部15が設けられている。同じく外部筒体11の外端部には、給湯器からの往き側配管16にワンプッシュ式の継手14を介して接続される接続筒部17が設けられている。戻り側配管13又は往き側配管16は、ポリオレフィン(架橋ポリエチレン、ポリブテン等)などの合成樹脂により形成されている。そして、浴槽水を連結筒部15から継手14、戻り側配管13を介して給湯器に送り、給湯器で加熱された加熱水(湯)を往き側配管16から継手14、接続筒部17へ循環するように構成されている。
【0018】
外部筒体11の外筒部18の開口端部には拡径部19が設けられ、その拡径部19にはゴム製のシール部材20が被せられ、側壁12の外面に密着されて外部筒体11と浴槽の側壁12との間の水密が保たれている。外部筒体11の外筒部18の内周面には雌ねじ部21が刻設されるとともに、外部筒体11内には内筒部22が外部筒体11の軸方向に突出形成されている。内筒部22内の往き側流路23は前記接続筒部17に通じ、外筒部18と内筒部22との間の戻り側流路24が連結筒部15に通じている。
【0019】
前記継手14を構成する継手本体25は外部筒体11の連結筒部15及び接続筒部17に一体形成されるとともに、その基端側にはフランジが突設されている。この継手本体25は外周筒部26と内周筒部27とにより構成され、これら外周筒部26と内周筒部27との間の差込空間28に往き側配管16又は戻り側配管13が差し込まれるようになっている。前記外周筒部26の外周にはキャップ29が嵌合されている。該キャップ29と外周筒部26との間には抜け止めリング30が保持されている。この抜け止めリング30はステンレス鋼等の金属で形成され、差込空間28に差し込まれた往き側配管16又は戻り側配管13を抜け止め保持する。
【0020】
前記外部筒体11、継手本体25及びキャップ29は、ガラス繊維強化樹脂、例えばガラス繊維強化ポリフェニレンサルファイド(PPS)により形成され、強度向上が図られている。
【0021】
浴槽の側壁12の内側には内部筒体31が配置され、浴槽の側壁12の取付孔12aを通して前記外部筒体11に組付けられている。内部筒体31はポリフェニレンサルファイド等の合成樹脂により円筒状に形成された外筒32の端部にフランジ部33が突設されて構成されている。前記外筒32の外周面には雄ねじ部34が螺刻されている。前記フランジ部33の外周面には被係合段部35が環状に形成されるとともに、内部筒体31の内周面には複数の回り止め突起36が設けられている。この内部筒体31はポリエチレン(PE)製のパッキン37とゴム製のシール材38が介装された状態で側壁12の取付孔12aに挿通される。そして、内部筒体31の雄ねじ部34が側壁12の外側に配置された外部筒体11の雌ねじ部21に螺合固定されるとともに、内部筒体31と浴槽の側壁12との間の水密が保たれるようになっている。
【0022】
内部筒体31を構成する第2内部筒体40はポリアセタール等の合成樹脂により形成され、その中心部には内筒41が内部筒体31側へ延出されている。第2内部筒体40の外周部には内部筒体31側に延びる係合爪43が突設され、内部筒体31の被係合段部35に係合され、内部筒体31から第2内部筒体40の抜け出しが防止されるようになっている。
【0023】
前記第2内部筒体40の内筒41により、前記外部筒体11の往き側流路23に接続される吐出用流路45が形成されるとともに、その周囲には外部筒体11の戻り側流路24に接続される吸入用流路46が区画形成されている。これら吐出用流路45及び吸入用流路46は、それらの方向が第2内部筒体40で90度変更され、斜め下方へ延びている。流路方向が変更された吐出用流路45及び吸入用流路46の吐出用開口部47には、開閉弁48が開閉可能に支持されるとともに、該開閉弁48を保持する弁体カバー49が装着されている。この第2内部筒体40において、浴槽水は一方の弁体カバー49の吸入用開口部50から吸入され、前記吸入用流路46へ流れるとともに、加熱水は吐出用流路45から開閉弁48を通って浴槽内へ吐出されるようになっている。
【0024】
第2内部筒体40の外周部には、ステンレス鋼により有底円筒状に形成されたフィルターカバー51が係合保持されるようになっている。このフィルターカバー51の周壁には吐出孔52が開口され、第2内部筒体40の吐出用開口部47に連通されている。以上のように、浴槽用循環具10は外部筒体11、内部筒体31、第2内部筒体40、フィルターカバー51等により構成されている。
【0025】
次に、上記のように構成された浴槽用循環具10を浴槽の側壁12に取付けるための施工治具について説明する。図2(a)、(b)に示すように、施工治具60を構成する板状をなす施工治具本体61の一端部には外部筒体11の内筒部22に挿入されて係合される円筒状の係合部62が設けられている。この係合部62の先端部には周方向に90度間隔で切り込まれた切込み部63が形成され、係合部62が拡縮可能に構成されている。施工治具本体61の他端部には、断面コの字状をなし、浴槽の側壁12の取付孔12aに係止される係止部64が設けられている。
【0026】
施工治具60の中間部には、施工治具本体61が内部筒体31の外筒32に挿入されたとき外筒32に嵌合するガイド部65が設けられ、該ガイド部65により外筒部18の雌ねじ部21に対する外筒32の雄ねじ部34の螺入を案内するようになっている。ここで、外筒32に嵌合するガイド部65は、内部筒体31の外筒32の軸線を外部筒体11の外筒部18の軸線に一致させるように案内するものであり、「ガイド部65が外筒32に嵌合する」とはガイド部65の端面65cと外筒32の内周面との間に若干の隙間を介して嵌まり合う遊嵌を含む概念である。
【0027】
このガイド部65は、内部筒体31の外筒32が外部筒体11の外筒部18に挿入されたとき内部筒体31の外筒32の軸線方向xに延びるように一定長さ、例えば内部筒体31の外筒32の長さに対して1/3〜1/4の長さに形成されている。さらに、ガイド部65は、内部筒体31の外筒32が外部筒体11の外筒部18に挿入されたとき内部筒体31の外筒32の軸線方向xと直交する方向(外筒32の直径方向)に延びるように構成されている。
【0028】
このガイド部65における係止部64側の端縁65a、65bが断面円弧状に形成されるとともに、ガイド部65の端面65cが内部筒体31の外筒32の内周面に沿うように断面円弧状に形成されている。このため、施工治具60に対する内部筒体31の嵌挿及び内部筒体31からの施工治具60の抜き出しを容易かつ速やかに行うことができるようになっている。なお、施工治具本体61の一端側の両面には一対の補強リブ66が両側方に突設されて施工治具60が補強されるとともに、複数の凹部67が設けられて材料の節約が図られている。
【0029】
以上のように構成された浴槽用循環具10を、施工治具60にて浴槽の側壁12に取付ける方法を作用とともに説明する。
さて、図3に示すように、浴槽の側壁12の外側において施工治具60の係合部62を外部筒体11の内筒部22内に嵌め込んだ状態で、施工治具60の係止部64を浴槽の側壁12の取付孔12aに係止する。このとき、施工治具60の係合部62の先端部には切込み部63が形成され、係合部62が拡縮可能になっていることから、該係合部62を外部筒体11の内筒部22内に容易に嵌入できるとともに、嵌入後には係合部62が抜け止め保持される。また、施工治具60の係止部64の先端は断面コの字状をなす鉤状に形成されていることから、該係止部64が浴槽の側壁12の取付孔12aを通って側壁12内面に係止されたとき、施工治具60が側壁12から外れ難い。
【0030】
次いで、図4に示すように、浴槽の側壁12の内側において、作業者が施工治具60の係止部64を把持して外部筒体11を持ち上げ、外部筒体11のシール部材20が浴槽の側壁12外面に当接するように保持した状態で、内部筒体31の外筒32を施工治具60に嵌挿してその雄ねじ部34を外部筒体11の外筒部18の雌ねじ部21に螺入する。このとき、施工治具60のガイド部65の端縁65a、65b及び端面65cが断面円弧状に形成されているため、施工治具60に内部筒体31の外筒32を容易に嵌挿させ始めることができる。さらに、施工治具60のガイド部65が内部筒体31の外筒32に嵌合されていることから、外部筒体11の外筒部18と内部筒体31の外筒32との軸線を一致させることができ、外筒32の雄ねじ部34を外筒部18の雌ねじ部21に円滑に、しかも迅速に螺進させることができる。
【0031】
図1に示すように、内部筒体31の雄ねじ部34を外部筒体11の雌ねじ部21に対して螺入し続けると、施工治具60のガイド部65が内部筒体31の外筒32内周面の回り止め突起36に係合し、外部筒体11に対する内部筒体31の螺入が規制される。このため、施工治具60を周方向に回動させ、施工治具60のガイド部65と内部筒体31の回り止め突起36との係合を解除し、図5に示すように施工治具60を内部筒体31の外筒32から抜き出す。
【0032】
その後、図6に示すように、内部筒体31のフランジ部33がシール材38及びパッキン37を介して浴槽の側壁12内面に押圧されるまで内部筒体31の外筒32を外部筒体11の外筒部18に螺入して締付ける。最後に、内部筒体31に対して第2内部筒体40を組付け、その第2内部筒体40に対してフィルターカバー51を組付けることにより、浴槽の側壁12に対する浴槽用循環具10の取付けを完了する。
【0033】
その状態において、浴槽水を強制循環させると、浴槽水はフィルターカバー51の前面から吸い込まれ、第2内部筒体40の吸入用開口部50から吸入用流路46を通って外部筒体11の連結筒部15及び継手14に流れ、さらに戻り側配管13を経て給湯器に到る。給湯器で加熱された加熱水は往き側配管16から継手14及び外部筒体11の接続筒部17を介して第2内部筒体40の吐出用流路45、吐出用開口部47からフィルターカバー51の吐出孔52を経て浴槽内へ吐出される。
【0034】
以上の実施形態によって発揮される効果について、以下にまとめて記載する。
(1)この実施形態における浴槽用循環具10の施工治具60は、一端に係合部62、他端に係止部64を有し、さらに内部筒体31の外筒32に嵌合するガイド部65を備えている。このため、浴槽の側壁12の外部で施工治具60の係合部62を外部筒体11の内筒部22に係合した後、施工治具60の係止部64を側壁12の取付孔12aに係止し、その状態で側壁12の内側において内部筒体31を外部筒体11に螺合することができる。このとき、施工治具60には内部筒体31の外筒32に嵌合するガイド部65が設けられていることから、外部筒体11の外筒部18に対する内部筒体31の外筒32の螺合がガイド部65によって案内される。従って、内部筒体31を外部筒体11に円滑に螺進させることができる。
【0035】
よって、この実施形態の施工治具60によれば、一人の作業者でも浴槽用循環具10を浴槽の側壁12に容易かつ的確に、しかも速やかに取付けることができるという効果を発揮する。
(2)前記ガイド部65は、内部筒体31の外筒32が外部筒体11の外筒部18に挿入されたとき内部筒体31の外筒32の軸線方向xに延びるように構成されている。このため、内部筒体31の外筒32の雄ねじ部34を外部筒体11の外筒部18の雌ねじ部21に螺合する操作を安定した状態で速やかに行うことができる。
(3)前記ガイド部65は、内部筒体31の外筒32が外部筒体11の外筒部18に挿入されたとき内部筒体31の外筒32の軸線方向xと直交する方向に延びるように構成されている。そのため、施工治具60のガイド部65が内部筒体31の外筒32を安定して支持することができ、外筒32の雄ねじ部34を外筒部18の雌ねじ部21に対して一層円滑に螺入させることができるとともに、内部筒体31の外筒32の回り止め突起36に対するガイド部65の係合を容易に解除することができる。
(4)前記施工治具60はポリフェニレンサルファイドで形成された内部筒体31より機械的強度の低い熱可塑性樹脂であるポリプロピレンで形成されている。従って、施工治具60を使用して外部筒体11に対し内部筒体31を螺合するときに内部筒体31を傷付けたり、損傷を与えたりするおそれを回避することができる。
(5)前記内部筒体31の内周面には回り止め突起36が設けられ、内部筒体31を外部筒体11に螺合するときに施工治具60のガイド部65が回り止め突起36に係合するように構成されている。このため、内部筒体31を外部筒体11に勢いよく螺入してシール材38やパッキン37に損傷を与えることを抑制することができる。
【0036】
なお、本実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・ 前記施工治具60のガイド部65を、周方向に120度間隔、90度間隔等をおいて形成することもできる。
【0037】
・ 前記施工治具60の係合部62に形成された切込み部63の数を適宜増減することができる。また、この切込み部63を省略することも可能である。切込み部63を省略する場合には、係合部62を先端側ほど縮径するようにテーパ状に形成することができる。
【0038】
・ 前記内部筒体31の回り止め突起36を省略することもできる。この場合、外部筒体11の雌ねじ部21に対する内部筒体31の雄ねじ部34の螺合を完了した後に施工治具60を内部筒体31内から容易に引抜くことができる。また、この場合、施工治具60のガイド部65を円筒状等に形成することができる。
【0039】
・ 前記施工治具60の係止部64を省略することも可能である。
・ 二人以上の作業者が例えば浴槽の側壁12の外側と内側で協力して、浴槽用循環具10を前記施工治具60により浴槽の側壁12に取付けることもできる。
【0040】
さらに、前記実施形態より把握される技術的思想について以下に記載する。
(イ)前記係合部は筒状に形成されるとともに、その先端部には複数の切込み部が設けられ、拡縮可能に構成されていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の浴槽用循環具の施工治具。このように構成した場合、施工治具の係合部を外部筒体の内筒部に挿入するときに容易に挿入できるとともに、外部筒体に対する施工治具の係合状態を良好に保持することができる。
【符号の説明】
【0041】
10…浴槽用循環具、11…外部筒体、12…側壁、12a…取付孔、18…外筒部、21…雌ねじ部、22…内筒部、23…往き側流路、24…戻り側流路、31…内部筒体、32…外筒、34…雄ねじ部、36…回り止め突起、41…内筒、60…施工治具、61…施工治具本体、62…係合部、64…係止部、65…ガイド部、x…軸線方向。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽の側壁の外面に取付けられる筒状の外部筒体と、側壁の内側から該側壁の取付孔を介して外部筒体に組付けられる筒状の内部筒体とを備え、前記外部筒体は往き側流路と戻り側流路を区画形成する外筒部と内筒部とを有するとともに、外筒部には雌ねじ部を有し、内部筒体には前記外部筒体の雌ねじ部に螺合される雄ねじ部を有する外筒と外部筒体の内筒部に接続される内筒とを有する浴槽用循環具を浴槽の側壁に取付けるための浴槽用循環具の施工治具であって、
施工治具本体の一端部には浴槽の側壁の外側で外部筒体の内筒部に係合される係合部を設けるとともに、浴槽の側壁の内側で施工治具本体が内部筒体の外筒に挿入されたとき外筒に嵌合するガイド部を設けたことを特徴とする浴槽用循環具の施工治具。
【請求項2】
前記施工治具本体の他端部には前記係合部が外部筒体の内筒部に係合された状態で浴槽の側壁の取付孔に係止される係止部を設けたことを特徴とする請求項1に記載の浴槽用循環具の施工治具。
【請求項3】
前記ガイド部は、内部筒体の外筒が外部筒体の外筒部に挿入されたとき内部筒体の外筒の軸線方向に延びるように構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の浴槽用循環具の施工治具。
【請求項4】
前記ガイド部は、内部筒体の外筒が外部筒体の外筒部に挿入されたとき内部筒体の外筒の軸線方向と直交する方向に延びるように構成されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の浴槽用循環具の施工治具。
【請求項5】
前記施工治具は内部筒体より機械的強度の低い熱可塑性樹脂で形成されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の浴槽用循環具の施工治具。
【請求項6】
前記内部筒体の内周面には回り止め突起を設けるとともに、内部筒体を外部筒体に螺合するときに施工治具のガイド部が回り止め突起に係合するように構成したことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の浴槽用循環具の施工治具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−241945(P2012−241945A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−110704(P2011−110704)
【出願日】平成23年5月17日(2011.5.17)
【特許番号】特許第4837793号(P4837793)
【特許公報発行日】平成23年12月14日(2011.12.14)
【出願人】(000128968)株式会社オンダ製作所 (31)
【Fターム(参考)】