浴槽用給湯口アダプター
【課題】構造の簡素化および小型化を図りつつ、自己発電できる浴槽用給湯口アダプターを提供する。
【解決手段】本発明は、往き流路および戻り流路に、お湯が内部を流通する発電室が設けられる。発電室7a,7bに、圧電素子を含む圧電素子板が設けられ、発電室7a,7bに、その内部を流通するお湯によって可動する可動体が設けられる。可動する可動体がが圧電素子板に衝突することによって圧電素子が作動し、電力が発生するようにしている。
【解決手段】本発明は、往き流路および戻り流路に、お湯が内部を流通する発電室が設けられる。発電室7a,7bに、圧電素子を含む圧電素子板が設けられ、発電室7a,7bに、その内部を流通するお湯によって可動する可動体が設けられる。可動する可動体がが圧電素子板に衝突することによって圧電素子が作動し、電力が発生するようにしている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、浴槽の壁部に給湯用として取り付けられる浴槽用給湯口アダプターに関する。
【背景技術】
【0002】
浴槽の側壁に貫通状態に取り付けられる給湯口アダプターにおいて、追い焚き機能付きのものでは、浴槽内に臨むように吸引口および吐出口が設けられている。そして、追い焚き時には、浴槽内のお湯が吸引口から吸引されて、給湯口アダプター内部を通って室外の給湯器に戻されてそこで加熱される。さらに給湯機で加熱されたお湯が、給湯口アダプターに供給されて、アダプター内部を通って吐出口から浴槽内に吐出されるようになっている。
【0003】
ところで、近年になって、給湯口アダプターの内部に発電機を組み込んで、自己発電により照明器等を発光させるようにした浴槽給湯システムが提案されている。
【0004】
例えば特許文献1に示す浴槽給湯システムは、給湯口アダプターに照明器が設けられ、追い焚き時等に照明器を発光させて、表示効果を高めるようにしている。
【0005】
特許文献2に示す浴槽給湯システムは、浴槽壁に、給湯口アダプターに対向する照明器が設けられ、給湯口から噴射される温水を、照明器で照明することにより、表示効果を高めるようしている。
【0006】
特許文献3,4に示す浴槽給湯システムは、水槽内のお湯を給湯機に送る戻り流路内に、紫外線を照射する照明器を設けておき、戻り流路内を流通するお湯に照明器から紫外線を照射して、お湯を殺菌浄化するようにしている。
【0007】
これらの給湯システムはいずれも、発電機を用いた自己発電型のものであり、お湯の循環経路上に、水車(タービン)を設置しておき、水流で水車を回転させて、その水車に連結した発電機本体を駆動させることにより、電力を発生させるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−215994号公報
【特許文献2】特開2001−227011号公報
【特許文献3】特開2002−336149号公報
【特許文献4】特開2002−340416号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記特許文献1〜4に示す従来の給湯システムにおいてはいずれも、構造が複雑でサイズも大きい発電機によって発電するものであるため、構造の複雑化および大型化を来すという課題が発生する。
【0010】
この発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、構造の簡素化および小型化を図りつつ、自己発電できる浴槽用給湯口アダプターを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明は、以下の手段を備えるものである。
【0012】
[1]浴槽外から浴槽内に通じる往き流路および戻り流路を有し、浴槽外からのお湯が前記往き流路を通って浴槽内に吐出されるとともに、浴槽内からのお湯が前記戻り流路を通って浴槽外に送出されるようにした浴槽用給湯口アダプターであって、
前記往き流路および戻り流路のうち少なくともいずれか一方の流路上に、お湯が内部を流通する発電室が設けられ、
前記発電室に、圧電素子を含む圧電素子板が設けられ、
前記発電室に、その内部を流通するお湯によって可動する可動体が設けられ、
可動する前記可動体が前記圧電素子板に衝突することによって圧電素子が作動し、電力が発生するようにしたことを特徴とする浴槽用給湯口アダプター。
【0013】
[2]前記可動体は、流通するお湯によって回転する水車によって構成され、
前記圧電素子板は、端部が揺動可能に前記発電室に取り付けられた揺動板として構成され、
回転する前記水車の各羽根が前記揺動板の端部に順次衝突して、前記揺動板が揺動することによって圧電素子が作動するようになっている前項1に記載の浴槽用給湯口アダプター。
【0014】
[3]前記発電室に、その内部を流通するお湯が前記水車に向かうように水流を制御する水流制御板が設けられる前項2に記載の浴槽用給湯口アダプター。
【0015】
[4]前記可動体は、前記発電室内を不規則に流動可能な複数の流動粒子によって構成され、
前記圧電素子板は、前記発電室の内周壁面の少なくとも一部に設けられた圧電素子壁として構成され、
流動する前記複数の流動粒子が前記圧電素子壁に衝突して、圧電素子が作動するようになっている前項1に記載の浴槽用給湯口アダプター。
【0016】
[5]前記発電室に、その内部を流通するお湯を撹乱するための水流撹乱片が設けられる前項4に記載の浴槽用給湯口アダプター。
【0017】
[6]前記発電室に対しお湯を流出入するための開口に、お湯の流通を許容しつつ、前記流動粒子の流出を防止するためのフィルター部材が配置される前項4または5に記載の給湯口アダプター。
【0018】
[7]浴槽内側に配置される発光手段を備え、
前記発電室で発生する電力によって、前記発光手段を発光させるようにした前項1〜6のいずれか1項に記載の浴槽用給湯口アダプター。
【0019】
[8]前記発光手段がLEDによって構成される前項7に記載の浴槽用給湯口アダプター。
【0020】
[9]浴槽内に配置される槽内突出部を備え、
前記発電室が前記槽内突出部に設けられる前項1〜8のいずれか1項に記載の浴槽用給湯口アダプター。
【0021】
[10]内部に前記発電室が設けられた発電ユニットを備え、
前記発電ユニットが着脱自在に取り付けられる前項1〜9のいずれか1項に記載の浴槽用給湯口アダプター。
【0022】
[11]前記発電室は、前記往き流路および戻り流路の双方に設けられる前項1〜10のいずれか1項に記載の浴槽用給湯口アダプター。
【0023】
[12]浴槽外から浴槽内に通じる往き流路を有し、浴槽外からのお湯が前記往き流路を通って浴槽内に吐出されるようにした浴槽用給湯口アダプターであって、
前記往き流路上に、お湯が内部を流通する発電室が設けられ、
前記発電室に、圧電素子を含む圧電素子板が設けられ、
前記発電室に、その内部を流通するお湯によって可動する可動体が設けられ、
可動する前記可動体が前記圧電素子板に衝突することによって圧電素子が作動し、電力が発生するようにしたことを特徴とする浴槽用給湯口アダプター。
【発明の効果】
【0024】
発明[1]の浴槽用給湯口アダプターによれば、圧電素子を利用して自己発電するものであるため、発電機等を用いる場合と比較して、構造の簡素化および小型化を図ることができる。
【0025】
発明[2][3]の浴槽用給湯口アダプターによれば、圧電素子を効率良く作動させることができ、十分な発電量を確実に確保することができる。
【0026】
発明[4][5]の浴槽用給湯口アダプターによれば、圧電素子を効率良く作動させることができ、十分な発電量をより確実に確保することができる。
【0027】
発明[6]の浴槽用給湯口アダプターによれば、流動粒子の流出等の不具合を確実に防止することができる。
【0028】
発明[7][8]の浴槽用給湯口アダプターによれば、発光手段が発光するため、浴槽内に光による効果的な演出表示を行うことができる。
【0029】
発明[9]の浴槽用給湯口アダプターによれば、発電室を槽内突出部に確実に形成することができる。
【0030】
発明[10]の浴槽用給湯口アダプターによれば、発電室を有する発電ユニットを着脱自在に構成しているため、発電ユニットを取り外すことにより、発電室内の保守点検を支障なく行うことができる。
【0031】
発明[11]の浴槽用給湯口アダプターによれば、2つの発電室で発電できるため、十分な発電量をより一層確実に確保することができる。
【0032】
発明[12]の浴槽用給湯口アダプターによれば、上記と同様に、構造の簡素化および小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】図1はこの発明の第1実施形態である浴槽用給湯口アダプターを示す側面断面図である。
【図2】図2は第1実施形態の給湯口アダプターを分解して示す斜視図である。
【図3】図3は第1実施形態の給湯口アダプターにおける流路仕切部材をカバー部材を取り付けた状態で示す斜視図である。
【図4】図4は第1実施形態の流路仕切部材をカバーを取り付けた状態で示す正面図である。
【図5】図5は第1実施形態の流路仕切部材を前部閉塞板を取り外した状態で示す斜視図である。
【図6】図6は第1実施形態の流路仕切部材をその発電室を分解して示す斜視図である。
【図7A】図7Aは第1実施形態の流路仕切部材を前部閉塞板を取り除いた状態で示す正面図である。
【図7B】図7Bは第1実施形態の流路仕切部材における発電室周辺を拡大して示す正面図である。
【図8】図8は第1実施形態の流路仕切部材を示す側面断面図である。
【図9】図9はこの発明の第2実施形態である浴槽用給湯口アダプターを示す側面断面図である。
【図10】図10は第2実施形態の給湯口アダプターを分解して示す斜視図である。
【図11】図11は第2実施形態の給湯口アダプターにおける流路仕切部材を示す正面図である。
【図12】図12は第2実施形態の給湯口アダプターにおける流路仕切部材を示す側面図である。
【図13】図13は第2実施形態の流路仕切部材をその発電ユニットを離間させた状態で示す斜視図である。
【図14】図14は第2実施形態の流路仕切部材を分解してい示す斜視図である。
【図15】図15は第2実施形態の流路仕切部材を分解して示す側面断面図である。
【図16】図16は第2実施形態の流路仕切部材を前壁を取り除いた状態で示す正面図である。
【図17】図17は第2実施形態の給湯口アダプターにおける発電ユニットを分解して示す側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
<第1実施形態>
図1,2はこの発明の第1実施形態である浴槽用給湯口アダプターを示す図である。両図に示すように、この第1実施形態の給湯口アダプターは、浴槽の側壁Wに設けられた取付孔Hに組み付けられる。この給湯口アダプターは、室外の給湯機から供給されたお湯を浴槽内に供給する湯はり処理の他に、浴槽内のお湯(水)を吸い込んで室外の給湯機に送り、そこで加熱して、適当な温度に加熱されたお湯を浴槽内に戻す追い焚き処理を行えるものである。
【0035】
なおこの給湯口アダプターは、以下に詳述するように、このアダプターが備える2つの外管接続部1a,1bに対して、給湯機につながる往き管および戻り管のどちらを接続しても使用可能な、いわゆる無極性タイプのものである。さらにアダプター内部に、逆流防止弁等の水の流動を制御するための流動制御弁が設けられない弁無しタイプのものである。
【0036】
本第1実施形態の給湯口アダプターは、槽外取付部材1と、雄ねじ部材2と、流路仕切部材3と、カバー部材9とを基本的な構成要素として備えている。なお、本明細書においては、給湯口アダプターの軸心方向に沿って浴槽に対して内側(図1の左側)を「前側」または「正面側」とし、浴槽に対して外側(図1の右側)を「後側」または「裏面側」として説明する。
【0037】
図1,2に示すように槽外取付部材1は、前面側が開放され、かつ後面側が閉塞された円筒形状の外筒部12と、その外筒部12の内部に同軸心上に配置される円筒形状の内筒部11と、外筒部12の前端外周に設けられた平板リング状のフランジ部15と、外筒部12の周壁後端に側方に突出するように設けられる管状の第1および第2外管接続部1a,1bとを一体に有している。
【0038】
内筒部11の内部空間は、後述の内側流路Aの一部として構成されるとともに、内筒部11および外筒部12間の環状空間は、後述の外側流路Bの一部として構成されている。上記第1外管接続部1aが内側流路Aに連通されるとともに、第2外管接続部1bが外側流路Bに連通されている。
【0039】
外筒部12の前部内周面には、雄ねじ部材2に組み付けるための雌ねじが刻設されている。
【0040】
槽外取付部材1のフランジ部15の外周縁部には、そのフランジ部15と浴槽外壁面との間の水密を図るための合成樹脂製のパッキン82が取り付けられている。
【0041】
図1.2に示すように雄ねじ部材2は、前後両端が開放された円筒形状の胴部21と、その胴部21の前端外周に設けられた平板リング状のフランジ部25とを一体に有する鍔付き円筒形状の成形品をもって構成されている。
【0042】
胴部21の外周側面には、上記槽外取付部材1における外筒部12の雌ねじに対応して、雄ねじが刻設されており、胴部21を槽外取付部材1の外筒部12内にねじ込んで固定できるようになっている。
【0043】
そして、槽外取付部材1のフランジ部15が、浴槽の外壁面における取付孔Hの周縁部に沿うように配置された状態で、雄ねじ部材2のフランジ部25が、合成ゴム製のリング状パッキン83を介して浴槽内壁面における取付孔Hの周縁部に圧接されるようにして、雄ねじ部材2の胴部21が取付孔Hを通じて、槽外取付部材1の外筒部12にねじ込まれて固定される。これにより両部材1,2のフランジ部15,25によって、浴槽側壁Wにおける取付孔周縁部が挟持されて、両部材1,2が浴槽側壁Wに貫通状態に組み付けられる。
【0044】
流路仕切部材3は、軸心方向(前後方向)に延びる細長い円筒形状の円筒部31と、その円筒部31の前端部に設けられた円盤状の槽内突出部4とを有している。
【0045】
槽内突出部4は、内部に複数の流路が設けられる中空構造を有しており、略円板状の後壁41と、後壁41における前面側の外周を囲うようにして一体に形成された外周壁42と、外周壁42の前面側開口の一部を閉塞する前部閉塞板5とを備えている。
【0046】
なお本実施形態においては、槽内突出部4における外周壁42の外周面によって、外周側面が構成されている。
【0047】
図1に示すように、円筒部31は、後述するように槽外取付部材1の内筒部11に接続されるものであり、円筒部31の内部と、それに連通する槽外取付部材1における内筒部11の内部とによって、内側流路Aが形成される。さらに円筒部31は、後述するように雄ねじ部材2の胴部21の内部に配置されるものであり、円筒部31および胴部21間の環状空間と、それに連通する槽外取付部材1における内筒部11および外筒部12間の環状空間とによって、外側流路Bが形成される。
【0048】
図5〜7等に示すように、槽内突出部4の後壁41には、円筒部31に対応して、第1連通孔41aが形成されるとともに、円筒部31の側方に対応して、第2連通孔41bが形成されている。さらに外周壁42の下部両側には、第1および第2開口42a,42bが形成されている。
【0049】
槽内突出部4における後壁41の前面側には、複数の仕切壁43が形成されており、この仕切壁43によって、槽内突出部4内に、各自独立する第1および第2流路43a,43bと、3つのLED室45とが形成されている。
【0050】
第1流路43aは、第1連通孔41aから第1開口42aにかけて形成されており、第1連通孔41aを介して槽内突出部4の後方における円筒部31の内側(内側流路A)に連通されるとともに、第1開口42aを介して槽内突出部4の外側に開放されている。
【0051】
第2流路43bは、第2連通孔41bから第2開口42bにかけて形成されており、第2連通孔41bを介して槽内突出部4の後方における円筒部31の外側(外側流路B)に連通されるとともに、第2開口42bを介して槽内突出部4の外側に開放されている。
【0052】
LED室45は、槽内突出部4の上側と下側とにそれぞれ設けられている。上側のLED室45は、槽内突出部4の上側縁部に沿って第1開口42aから第2開口42bにかけて設けられている。下側のLED室45は、槽内突出部4の下端部における第1および第2開口42a,42b間に設けられている。さらに下側のLED室45は、仕切壁43によって2つに仕切られている。
【0053】
各LED室45内には、発光手段(照明器)としての発光ダイオード(LED)46が槽内突出部4の外周縁部に沿って複数並べてそれぞれ取り付けられている。
【0054】
なお図5〜7に示すように、槽内突出部4における上側のLED室45の中間位置には、ロックピン挿入孔49が設けられており、後述するように流路仕切部材3を雄ねじ部材2に取り付けた際に、このロックピン挿入孔49に挿入されるロックピン(図示省略)によって、雄ねじ部材2に対して流路仕切部材3の回り止めが図られるようになっている。
【0055】
図2,5等に示すように、槽内突出部4における前面側開口の一部には、前部閉塞板5が着脱自在に取り付けられている。この前部閉塞板5は、LED室45に対応する部分が切り取られて、第1および第2流路43a,43bが形成される領域のみを閉塞するようになっている。
【0056】
図6,7A,7Bに示すように、第1および第2流路43a,43bの中間部(一部)は、第1および第2発電室7a,7bとして構成されている。
【0057】
第1および第2発電室7a,7b内には、その中央位置に支柱71,71がそれぞれ取り付けられている。各支柱71,71の両側には、圧電素子を含む帯板形状の揺動板72,72の一端部側(固定端部側)が固定されている。そして揺動板72,72の他端部側(揺動端部側)が、各流路43a,43bの両側端部に配置されている。揺動板72は、弾力性ないし可撓性を有し、支柱71の部分を支点にして、他端部側(揺動端部側)が揺動できるようになっている。
【0058】
なお本第1実施形態においては、揺動板72が、圧電素子を含む圧電素子板(圧電素子フィルム)として構成されている。
【0059】
さらに揺動板72を支持する支柱71には、その内部に銅線等のリード線が組み込まれており、後述するように揺動板72の圧電素子によって発生した電力を、そのリード線を介して取り出せるようになっている。
【0060】
発電室7a,7bにおける各揺動板72の揺動端部に対応する位置には、水車75,75がその軸心回りに回転自在に取り付けられている。そして、水車75,75が回転した際には、水車75,75の各羽根が各揺動板72の揺動端部に連続的に順次衝突するようになっている。
【0061】
本第1実施形態においては、水車75によって可動体が構成されている。
【0062】
なお、この水車75,75は、軸心方向から流入するお湯によって回転するタイプのものとは異なり、半径方向ないし周方向から流入し、かつ半径方向ないし周方向へ流出するお湯によって回転するタイプのものである。さらにこの水車75は、既述したように羽根によって揺動板72を叩いて揺動させるものであり、言うまでもなく、発電機を駆動するような水車(タービン)とは異なるものである。
【0063】
また発電室7a,7bの内周側には、換言すると発電室7a,7bにおける揺動板72よりも第1および第2連通孔41a,41b寄りの位置には、正面視山型の水流制御板73,73が取り付けられている。この水流制御板73,73における中央の頂部は、第1および第2連通孔41a,41bの中央位置に対向して配置されている。従って、連通孔41a,41bから流路43a,43bに流入されるお湯は、水流制御板73,73によって流路43a,43bの両側に導かれて、水車75,75の位置に供給されるようになっている。
【0064】
さらに発電室7a,7bの外周側には、換言すると発電室7a,7bにおける揺動板72よりも第1および第2開口42a,42b寄りの位置には、正面視山型の水流制御板74,74が取り付けられている。この水流制御板74,74における中央の頂部は、第1および第2開口42a,42bの中央位置に対向して配置されている。従って、開口42a,42bから流路43a,43bに流入されるお湯は、水流制御板74,74によって流路43a,43bの両側に導かれて、水車75,75の位置に供給されるようになっている。
【0065】
以上の構成の発電室7a,7bにおいて、例えば第1および第2連通孔41a,41bから第1および第2流路43a,43bにお湯が流入すると、そのお湯は、水流制御板73によって両側の水車75,75へと導かれる。これにより、お湯が水車75,75の各羽根を押し込むように流通して、水車75,75が回転する。このとき、水車75,75各羽根が、揺動板72の揺動端部に連続的に衝突して、揺動板72の揺動端部が小刻みに素早く揺動(振動)することによって圧電素子が作動し、所定の電力が発生するようになっている。
【0066】
逆に、第1および第2開口42a,42bから第1および第2流路43a,43b内にお湯が流入すると、そのお湯は、水流制御板74によって両側の水車75,75へと導かれる。これにより、上記と同様に、水車75,75が回転し、揺動板72が小刻みに振動して、電力が発生するようになっている。
【0067】
なお図示は省略するが、流路仕切部材3には、LED46の点灯(発光)を制御する制御回路が設けられている。さらに発電室7a,7bの揺動板72の支柱(リード線)71と、上記制御回路とは電気的に接続されている。これにより揺動板72が揺動して電力が発生した際に、その電力によって、LED46が点灯するようになっている。
【0068】
図1〜4等に示すように、槽内突出部4には、その前面側を覆うカバー部材9が着脱自在に取り付けられる。
【0069】
このカバー部材9は、円形の前壁と、その前壁後面側の外周縁に設けられた外周壁とを備え、前壁によって槽内突出部4の前面側がカバーされるとともに、外周壁によって槽内突出部4の外周側面がカバーされる。
【0070】
カバー部材9の前壁において、槽内突出部4に取り付けられたLED46に対応する部分が、合成樹脂製の透明窓91によって構成されている。従ってLED46が点灯した際には、その照明光が透明窓91を介して前方に照射されるようになっている。
【0071】
カバー部材9の外周壁には、槽内突出部4の第1および第2開口42a,42bに対応して、開口92,92が形成されている。従って、槽内突出部4の開口42a,42bから吐出したお湯は、カバー部材9の開口92,92を介して浴槽内に吐出されるようになっている。さらに浴槽内のお湯は、カバー部材9の開口92,92を介して、槽内突出部4の第1および第2開口42a,42bから吸引されるようになっている。
【0072】
カバー部材9が取り付けられた流路仕切部材3は、浴槽側壁Wに組み付けられた雄ねじ部材2に、周知の取付手段によって着脱自在に組み付けられる。このとき、流路仕切部材3における円筒部31が、雄ねじ部材2の内部に配置される槽外取付部材1の内筒部11に挿入される。
【0073】
言うまでもなく、本発明において、給湯口アダプターの組付手順は、限定されるものではなく、どのような手順で行っても良い。
【0074】
この組付状態では、図1に示すように、槽外取付部材1の内筒部11と流路仕切部材3の円筒部31との間にOリング81が配置され、そのOリング81によって、両部材11,31間の水密が図られるとともに、流路仕切部材3の槽内突出部4の後面に設けられたパッキン84によって、流路仕切部材3の槽内突出部4と、雄ねじ部材2のフランジ部25との間の水密が図られるようになっている。
【0075】
こうして浴槽に組み付けられた給湯口アダプターにおいては、内側流路Aが、流路仕切部材3の第1連通孔41aを通じて、流路仕切部材3の第1流路43a(第1発電室7a)に連通されるとともに、第1流路43a(第1発電室7a)が第1開口42aおよびカバー部材9の開口92を介して浴槽内に連通(開放)されている。また外側流路Bが、流路仕切部材3の第2連通孔41bを通じて、流路仕切部材3の第2流路43b(第2発電室7b)に連通されるとともに、第2流路43b(第2発電室7b)が第2開口42aおよびカバー部材9の開口92介して浴槽内に連通(開放)されている。
【0076】
そして本実施形態においては、内側流路Aおよび第1流路43a(第1発電室7a)によって、往き流路および戻り流路のうち、いずれか一方の流路が構成されるとともに、外側流路Bおよび第2流路43b(第2発電室7b)によって、残り一方の流路が構成される。
【0077】
本実施形態の給湯口アダプターは、既述したように、室外給湯機と配管接続する際に、槽外取付部材1における2つの外管接続部1a,1bに対して、室外給湯機につながる往き管および戻り管のどちらを接続しても使用可能な無極性タイプのものである。
【0078】
例えば第1外管接続部1aに往き管、第2外管接続部1bに戻り管を接続した状態において、追い焚き処理を行った場合には、給湯機から供給されるお湯が往き管および第1外管接続部1aを通って内側流路Aに導入され、さらにそのお湯が内側流路Aおよび流路仕切部材3の第1流路43aを通って、第1開口42aから浴槽内に供給される。
【0079】
吸込側では、給湯機の吸引力によって、戻り管および外側流路Bが負圧に設定されるため、流路仕切部材3の第2流路43bも負圧となる。従って、浴槽内のお湯(水)は、流路仕切部材3の第2開口42bから第2流路43bに吸い込まれて、外側流路Bおよび戻り管を通って給湯機に戻される。
【0080】
従ってこのように配管接続された場合には、内側流路Aおよび第1流路43aによって往き流路が構成され、外側流路Bおよび第2流路43bよって戻り流路が構成される。
【0081】
そして追い焚き時においては、槽内突出部4に設けられたLED46が点灯するようになっている。すなわち往き流路側においては、第1連通孔41aから第1流路43aに流入するお湯は、水流制御板73によって流路43aの両側に導かれて、水車75,75を回転させる。この回転により、水車75,75の各羽根が、各揺動板72の各揺動端部に連続的に順次衝突して、揺動板72が小刻みに素早く振動する。この振動によって各揺動板72の圧電素子が作動して電力が発生する。
【0082】
また戻り流路側においては、第2開口42bから第2流路43bに吸い込まれたお湯は、水流制御板74によって流路43bの両側に導かれて、水車75,75が回転して、上記と同様に、電力が発生する。
【0083】
このように往き流路側および戻り流路側の双方の発電室7a,7bで発生した電力によって、LED46が点灯する。さらにこうして点灯されたLED46の照明光が給湯口アダプターの前方に照射されて、浴槽内のお湯に光の演出効果を与えることができ、心地良い入浴環境を得ることができる。
【0084】
一方、第2外管接続部1bに往き管、第1外管接続部1aに戻り管を接続した状態で、追い焚き処理を行った場合には、上記とは逆回りに循環する。すなわち給湯機からのお湯が、往き管、第2外管接続部1b、外側流路Bおよび第2流路43b(第2発電室7b)を通って、第2開口42bおよびカバー部材9の開口92から浴槽内に供給されるとともに、浴槽内のお湯は、カバー部材9の開口92および第1開口42aから吸い込まれて、第1流路43a(第1発電室7a)、内側流路A、第1外管接続部1aおよび戻り管を通って給湯機に戻される。
【0085】
従ってこのように配管接続された場合には、内側流路Aおよび第1流路43aによって戻り流路が構成され、外側流路Bおよび第2流路43bによって往き流路が構成される。
【0086】
さらにこのように配管接続された場合であっても、上記と同様に、発電室7a,7bによって発電されてLED46が点灯する。
【0087】
なお本実施形態の給湯口アダプターは、ダブル搬送方式によって湯はりを行うものである。すなわち湯はり時には、給湯機から往き管および戻り管の双方にお湯が供給され、そのお湯が、給湯口アダプターの内側および外側流路A,B、第1および第2流路43a,43bを通って、第1および第2開口42a,42bから浴槽内に供給される。
【0088】
この湯はり時においても、上記と同様に、発電室7a,7bによって発電されて、LED46が点灯する。
【0089】
以上のように、第1実施形態の給湯口アダプターによれば、追い焚き時等に自己発電によりLED46を点灯させて、浴槽内に光による所定の演出効果を与えることができる。
【0090】
さらに本実施形態の給湯口アダプターは、圧電素子を用いて発電するようにしているため、つまり、圧電素子としての揺動板72を、水車75の羽根で叩いて揺動させて発電するようにしているため、発電部の構造を簡素に仕上げることができ、小型化を図ることができる。特に、本実施形態の給湯口アダプターは、タービン(水車)を回転させて発電するような複雑構造の発電機等を用いる場合と比較して、構造の簡素化および小型化をより確実に図ることができる。
【0091】
また本実施形態においては、発電室7a,7bの上流側に流動制御板73,74を設けて、お湯が水車75の位置を十分に流通するようにしているため、水車75を勢い良く回転させることができる。従って揺動板72を十分に振動させて、圧電素子を十分に作動させることができ、十分な発電量を確保できて、LED46をより確実に点灯させることができる。
【0092】
さらに流動制御板73,74は、揺動板72の上流側および下流側の双方に配置されているため、揺動板72が大きく屈曲しようとした際には、揺動板72の揺動端部が流動制御板73,74に当接することにより、揺動板72が大きく変形するのを防止することができる。このように流動制御板73,74によって揺動板72の揺動(振動)範囲を制限することができる。このため例えば、揺動板72が不用意に大きく変形して、変形前の元の状態に戻らなくなるような不具合を有効に防止することができる。
【0093】
また本実施形態においては、往き流路側および戻り流路側の双方に発電室7a,7bを設けているため、一方側のみに発電室を設ける場合と比較して、より多くの発電量を確保でき、LED46をより一層確実に点灯させることができる。
【0094】
<第2実施形態>
図9,10はこの発明の第2実施形態である浴槽用給湯口アダプターを示す図である。これらの図に示すように、本第2実施形態の給湯口アダプターは、槽外取付部材1と、雄ねじ部材2と、流路仕切部材3と、発電ユニット6a,6bとを基本的な構成要素として備えている。
【0095】
この第2実施形態において、槽外取付部材1および雄ねじ部材2は、上記第1実施形態の槽外取付部材1および雄ねじ部材2と実質的に同じ構成である。
【0096】
図14〜16に示すように、流路仕切部材3の槽内突出部4に設けられるLED室45は、槽内突出部4の外周縁部に沿って第1開口41aから第2開口42bにかけて形成されている。LED室45内には、発光手段(照明器)としてのLED46が槽内突出部4の外周縁部に沿って複数並べて取り付けられている。
【0097】
図11〜15に示すように、槽内突出部4の前面側開口には、その開口全域を閉塞する態様に、前部閉塞板5の外周壁42に対し着脱自在に取り付けられている。
【0098】
前部閉塞板5のLED室45に対応する部分は、透明な合成樹脂製の透明窓51によって構成されている。そしてLED46が点灯すると、その照明光が透孔窓51を通って槽内突出部4の前方に照射されるようになっている。
【0099】
以上の構成の流路仕切部材3は、図9に示すように、その槽内突出部4の後壁41における外周縁部の後面側が、上記雄ねじ部材2のフランジ部25における前面側に、周知の取付手段によって、着脱自在に取り付けられるようになっている。
【0100】
なお、この第2実施形態の給湯口アダプターにおいては、上記第1実施形態の給湯口アダプターとは異なり、槽内突出部4の第1および第2流路43a,43bには、発電室7a,7bが設けられておらず、発電室7a,7bは、以下に説明する発電ユニット6a,6b内に設けられている。従って、この第2実施形態においては、槽内突出部4の第1および第2流路43a,43bには、電力を生じさせるための部材、例えば揺動板72、水流制御板73,74、水車75等が設けられていない。
【0101】
槽内突出部4の外周側面における第1および第2開口42a,42bに対応する位置には、第1および第2発電ユニット6a,6bが設けられている。
【0102】
図13〜17に示すように 第1および第2発電ユニット6a,6bは、左右対称形状で、実質的に同じ構成を有している。すなわち各発電ユニット6a,6bは、両端が開放された角筒状のケーシング60を備えている。このケーシング60は、前壁61が着脱可能に構成されている。さらにケーシング60の両端開口63,64には、メッシュシート65,65が取り付けられている。このメッシュシート65,65は、後述するボール69の通過を阻止しつつ、お湯の通過を許容できるようになっている。
【0103】
本実施形態において、各発電ユニット6a,6bにおける各ケーシング60,60の内部が発電室7a,7bとしてそれぞれ構成されている。
【0104】
各発電室7a,7b内には、可動体としての複数のボール(流動粒子)69が収容されている。ボール69としては、ゴム製のもの等を好適に用いることができるが、その素材は特に限定されるものではない。
【0105】
本第2実施形態において、ケーシング60の前壁61および後壁62は、圧電素子壁を構成している。すなわち前壁61および後壁62は、その内面の少なくとも一部に、圧電素子を含む圧電素子板が設けられて、圧電素子壁として構成されている。従って、ケーシング60内のボール69が前後壁(圧電素子壁)61,62に衝突することによって、電力が発生するようになっている。
【0106】
またケーシング60の側壁内面における内側開口63および外側開口64の近傍には、内側に突出する態様に水流撹乱片66が形成されている。そして、内側開口63または外側開口64からケーシング60(発電室7a,7b)に流入して、外側開口64または内側開口63から流出するお湯は、発電室7a,7bで水流撹乱片66によって十分にかき乱されて、流れの状態が乱流となるようになっている。従って、この乱流状態のお湯の流れによって、発電室7a,7bのボール69が勢い良く不規則に流動し、既述したように圧電素子としての前壁61および後壁62に強く衝突して、所定の電力を発生できるようになっている。
【0107】
第1および第2発電ユニット6a,6bは、その内側開口63,63の周縁部が槽内突出部4の第1および第2開口42a,42bの周縁部に着脱自在に取り付けられている。
【0108】
なお図示は省略するが、本第2実施形態においても、上記第1実施形態と同様、流路仕切部材3には、LED46の点灯(発光)を制御する制御回路が設けられている。そして、発電ユニット6a,6bが槽内突出部4に取り付けられた状態では、発電ユニット6a,6bの前後壁61,62の各圧電素子と槽内突出部4の制御回路とが電気的に接続されるようになっている。従って、各発電室7a,7bで発生した電力によって、LED46が点灯するようになっている。
【0109】
この発電ユニット6a,6bが取り付けられた流路仕切部材3は、上記第1実施形態と同様に、浴槽側壁Wに組み付けられた雄ねじ部材2に組み付けられる。
【0110】
なおこの第2実施形態においては、上記第1実施形態のように流路仕切部材3の槽内突出部4をカバーするためのカバー部材9は設けられていない。
【0111】
この第2実施形態において、他の構成は、上記第1実施形態と実質的に同様であるため、同一または相当部分に同一符号を付して重複説明は省略する。
【0112】
本第2実施形態においては、内側流路A、第1流路43aおよび第1発電ユニット6aの内部流路(第1発電室7a)によって、往き流路および戻り流路のうち、いずれか一方の流路が構成されるとともに、外側流路B、第2流路43bおよび第2発電ユニット6bの内部流路(第2発電室7b)によって、残り一方の流路が構成される。
【0113】
以上のように構成された本実施形態の給湯口アダプターにおいて、例えば第1外管接続部1aに往き管、第2外管接続部1bに戻り管を接続した状態において、追い焚き処理を行う場合には、内側流路A、第1流路43aおよび第1発電室7aによって構成される連設流路が、往き流路となり、外側流路B、第2流路43bおよび第2発電室7bによって構成される連設流路が、戻り流路となる。
【0114】
そして追い焚き時においては、第1および第2発電ユニット6a,6b内の各発電室7a,7bを流通するお湯は、既述したように水流撹乱片66によってかき乱されて乱流となり、発電室7a,7b内のボール69が勢い良く不規則に流動し、そのボール69が、圧電素子壁としての前後壁61,62に繰り返し強く衝突することにって圧電素子が作動して、電力が発生する。さらにその電力によって、LED46が点灯され、その照明光が給湯口アダプターの前方に照射される。
【0115】
一方、第2外管接続部1bに往き管、第1外管接続部1aに戻り管を接続した場合には、第1流路43aおよび第1発電室7aによって戻り流路が構成され、外側流路B、第2流路43bおよび発電室7bによって連設流路が構成される。
【0116】
さらにこのように配管接続された場合であっても、上記と同様に、発電ユニット6a,6bの各発電室7a,7bで発電してLED46が点灯する。
【0117】
なお本第2実施形態の給湯口アダプターは、上記第1実施形態と同様、ダブル搬送方式によって湯はりを行うものである。すなわち湯はり時には、給湯機から往き管および戻り管の双方にお湯が供給され、そのお湯が、アダプター本体の内側および外側流路A,B、第1および第2流路43a,43b、第1および第2発電室7a,7bを通って、第1および第2発電ユニット6a,6bの外側開口64,64から浴槽内に供給される。
【0118】
この湯はり時においても、上記と同様に、各発電室7a,7bで発電して、LED46が点灯する。
【0119】
以上のように、本実施形態の給湯口アダプターによれば、追い焚き時等に自己発電によりLED46を点灯させて、浴槽内に光による所定の演出効果を与えることができる。
【0120】
さらに本実施形態の給湯口アダプターは、圧電素子を用いて発電するようにしているため、つまり、内壁の一部を圧電素子によって構成したケーシング60と、その内部で流動するボール69とを有する発電ユニット6a,6bによって発電するようにしているため、発電部の構造を簡素に仕上げることができ、小型化を図ることができる。特に、本実施形態の給湯口アダプターは、構造が複雑でサイズが大きい発電機等を用いる場合と比較して、構造の簡素化および小型化をより確実に図ることができる。
【0121】
また本実施形態においては、発電ユニット6a,6b内に水流撹乱片66を設けて、ユニット6a,6b内の水流を乱流状態とし、その乱流状態の水流によって、ボール69を不規則に流動させて圧電素子壁(前後壁61,62)に、より一層勢い良く衝突させるようにしている。このため、圧電素子をより効率良く作動させることができ、十分な発電量をより確実に確保でき、LED46をより確実に点灯させることができる。
【0122】
さらに本実施形態においては、往き流路および戻り流路の双方に発電ユニット6a,6bをそれぞれ設けるため、より多くの発電量を確保でき、より一層確実にLED56を発光させることができる。
【0123】
また本実施形態においては、発電ユニット6a,6bの両端開口63,64にメッシュシート65を配置しているため、そのメッシュシート69によって発電ユニット6a,6b内のボール69が流出するのを防止しつつ、発電ユニット6a,6bに対するお湯の流出入を支障なくスムーズに行うことができる。
【0124】
また本実施形態においては、発電ユニット6a,6bを流路仕切部材3に着脱自在に取り付けるとともに、発電ユニット6a,6bの前壁(カバー)61を取り外し可能に構成しているため、発電ユニット6a,6bの内部の補修が必要な場合、発電ユニット6a,6bを流路仕切部材3から取り外して、カバー(前壁61)を取り外せば、発電室7a,7b内を開放でき、その内部の補修を確実に行うことができる。例えばメッシュシート65に目詰まりが発生した場合には、発電ユニット6a,6bの前壁61を取り外せば、メッシュシート65を簡単に取り出して確実に清掃することができる。このように発電ユニット6a,6bの前壁61を取り外すだけで簡単に、発電室7a,7b内の保守点検を行うことができる。
【0125】
さらに本実施形態においては、流路仕切部材3に外付けで発電ユニット6a,6bを取り付けるようにしているため、流路仕切部材3として従来より既存のものを用いることができる。つまり、既存の給湯口アダプター(既存の流路仕切部材)に発電ユニット6a,6bを取り付けるだけで簡単に、本発明の構成を実現することができる。
【0126】
<変形例>
上記第1実施形態においては、発電室7a,7bを、流路仕切部材3の流路43a,43b内に組み込むようにしているが、それだけに限られず、第1実施形態の発電室7a,7bを、第2実施形態と同様にユニット化して、そのユニットを、槽内突出部5の外周側面に外付けで着脱自在に取り付けるようにしたり、槽内突出部5の内部に着脱自在に取り付けるようにしても良い。
【0127】
逆に、上記第2実施形態においては、発電ユニット6a,6bを流路仕切部材3に外付け方式で取り付けるようにしているが、それだけに限られず、本発明においては、第2実施形態の発電室7a,7bを流路仕切部材3の内部に設けるようにしても良い。
【0128】
要は、給湯機からのお湯を流通させて浴槽に吐出する往き流路と、浴槽内からのお湯を流通させて給湯機側に送出する戻り流路との2つ流路のうち、少なくともいちずれか一方の流路上に、発電ユニット等の発電室を設けるようにすれば良い。例えば、発電室を内側流路Aおよび外側流路B上に設けるようにしても良い。
【0129】
また上記実施形態においては、発電室で発生した電力によって、LEDを発光させるようにしているが、本発明において、発生した電力の使用用途は限定されるものではない。例えば発生した電力によって、銅イオンを発生させて殺菌作用を果たす銅イオン発生装置を駆動させたり、UVランプを点灯させて殺菌作用を果たす紫外線照射装置等を駆動させるようにしても良い。
【0130】
また上記実施形態においては、発光手段としてLEDを用いるようにしているが、それだけに限られず、本発明においては、豆電球等の白熱電球、蛍光灯等の発光手段を用いるようにしても良い。
【0131】
さらに上記実施形態においては、発光手段を連続して点灯させるようにしているが、それだけに限られず、本発明においては、発光手段を点滅させたり、適当なタイミングで点灯と点滅とを交互に行うようにしても良いし、複数の発光手段をそれぞれ個別のタイミングで点灯させたり消灯させたりするようにしても良い。
【0132】
また上記第2実施形態においては、発電ユニット6a,6bの開口63,64に、フィルター部材としてメッシュシート65を配置するようにしているが、それだけに限られず、本発明においては、メッシュシート以外のフィルター部材を配置するようにしても良い。例えばボール(流動粒子)よりもサイズが小さい多数の小孔が形成された板や、ボールの径サイズよりも幅の狭い多数のスリットが形成された板等をフィルター部材として用いるようにしても良い。
【0133】
また上記実施形態においては、外管接続部1a,1bに、外部の往き管および戻り管のどちらを接続しても使用可能な無極性タイプの給湯口アダプターに、本発明を適用する場合を例に挙げて説明したが、それだけに限られず、本発明は、外部の往き管および戻り管の接続位置が特定されている有極性タイプの給湯口アダプターにも適用することができる。
【0134】
また上記実施形態においては、内部に、流動制御弁が設けられない弁無しタイプの給湯口アダプターに、本発明を適用した場合を例に挙げて説明したが、それだけに限られず、本発明は、内部に流動制御弁が設けられる弁付きタイプの給湯口アダプターにも適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0135】
この発明の浴槽用給湯口アダプターは、例えば一般家庭の浴槽に給湯用金具として利用することができる。
【符号の説明】
【0136】
4:槽内突出部
42:外周壁(外周側面、外面)
46:LED(発光手段)
6a,6b:発電ユニット
61:前壁(圧電素子壁、圧電素子板)
62:後壁(圧電素子壁、圧電素子板)
63:内側開口
64:外側開口
65:メッシュシート(フィルター部材)
66:水流撹乱片
69:ボール(流動粒子、可動体)
7a,7b:発電室
72:揺動板(圧電素子板)
73,74:水流制御板
75:水車(可動体)
【技術分野】
【0001】
この発明は、浴槽の壁部に給湯用として取り付けられる浴槽用給湯口アダプターに関する。
【背景技術】
【0002】
浴槽の側壁に貫通状態に取り付けられる給湯口アダプターにおいて、追い焚き機能付きのものでは、浴槽内に臨むように吸引口および吐出口が設けられている。そして、追い焚き時には、浴槽内のお湯が吸引口から吸引されて、給湯口アダプター内部を通って室外の給湯器に戻されてそこで加熱される。さらに給湯機で加熱されたお湯が、給湯口アダプターに供給されて、アダプター内部を通って吐出口から浴槽内に吐出されるようになっている。
【0003】
ところで、近年になって、給湯口アダプターの内部に発電機を組み込んで、自己発電により照明器等を発光させるようにした浴槽給湯システムが提案されている。
【0004】
例えば特許文献1に示す浴槽給湯システムは、給湯口アダプターに照明器が設けられ、追い焚き時等に照明器を発光させて、表示効果を高めるようにしている。
【0005】
特許文献2に示す浴槽給湯システムは、浴槽壁に、給湯口アダプターに対向する照明器が設けられ、給湯口から噴射される温水を、照明器で照明することにより、表示効果を高めるようしている。
【0006】
特許文献3,4に示す浴槽給湯システムは、水槽内のお湯を給湯機に送る戻り流路内に、紫外線を照射する照明器を設けておき、戻り流路内を流通するお湯に照明器から紫外線を照射して、お湯を殺菌浄化するようにしている。
【0007】
これらの給湯システムはいずれも、発電機を用いた自己発電型のものであり、お湯の循環経路上に、水車(タービン)を設置しておき、水流で水車を回転させて、その水車に連結した発電機本体を駆動させることにより、電力を発生させるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−215994号公報
【特許文献2】特開2001−227011号公報
【特許文献3】特開2002−336149号公報
【特許文献4】特開2002−340416号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記特許文献1〜4に示す従来の給湯システムにおいてはいずれも、構造が複雑でサイズも大きい発電機によって発電するものであるため、構造の複雑化および大型化を来すという課題が発生する。
【0010】
この発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、構造の簡素化および小型化を図りつつ、自己発電できる浴槽用給湯口アダプターを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明は、以下の手段を備えるものである。
【0012】
[1]浴槽外から浴槽内に通じる往き流路および戻り流路を有し、浴槽外からのお湯が前記往き流路を通って浴槽内に吐出されるとともに、浴槽内からのお湯が前記戻り流路を通って浴槽外に送出されるようにした浴槽用給湯口アダプターであって、
前記往き流路および戻り流路のうち少なくともいずれか一方の流路上に、お湯が内部を流通する発電室が設けられ、
前記発電室に、圧電素子を含む圧電素子板が設けられ、
前記発電室に、その内部を流通するお湯によって可動する可動体が設けられ、
可動する前記可動体が前記圧電素子板に衝突することによって圧電素子が作動し、電力が発生するようにしたことを特徴とする浴槽用給湯口アダプター。
【0013】
[2]前記可動体は、流通するお湯によって回転する水車によって構成され、
前記圧電素子板は、端部が揺動可能に前記発電室に取り付けられた揺動板として構成され、
回転する前記水車の各羽根が前記揺動板の端部に順次衝突して、前記揺動板が揺動することによって圧電素子が作動するようになっている前項1に記載の浴槽用給湯口アダプター。
【0014】
[3]前記発電室に、その内部を流通するお湯が前記水車に向かうように水流を制御する水流制御板が設けられる前項2に記載の浴槽用給湯口アダプター。
【0015】
[4]前記可動体は、前記発電室内を不規則に流動可能な複数の流動粒子によって構成され、
前記圧電素子板は、前記発電室の内周壁面の少なくとも一部に設けられた圧電素子壁として構成され、
流動する前記複数の流動粒子が前記圧電素子壁に衝突して、圧電素子が作動するようになっている前項1に記載の浴槽用給湯口アダプター。
【0016】
[5]前記発電室に、その内部を流通するお湯を撹乱するための水流撹乱片が設けられる前項4に記載の浴槽用給湯口アダプター。
【0017】
[6]前記発電室に対しお湯を流出入するための開口に、お湯の流通を許容しつつ、前記流動粒子の流出を防止するためのフィルター部材が配置される前項4または5に記載の給湯口アダプター。
【0018】
[7]浴槽内側に配置される発光手段を備え、
前記発電室で発生する電力によって、前記発光手段を発光させるようにした前項1〜6のいずれか1項に記載の浴槽用給湯口アダプター。
【0019】
[8]前記発光手段がLEDによって構成される前項7に記載の浴槽用給湯口アダプター。
【0020】
[9]浴槽内に配置される槽内突出部を備え、
前記発電室が前記槽内突出部に設けられる前項1〜8のいずれか1項に記載の浴槽用給湯口アダプター。
【0021】
[10]内部に前記発電室が設けられた発電ユニットを備え、
前記発電ユニットが着脱自在に取り付けられる前項1〜9のいずれか1項に記載の浴槽用給湯口アダプター。
【0022】
[11]前記発電室は、前記往き流路および戻り流路の双方に設けられる前項1〜10のいずれか1項に記載の浴槽用給湯口アダプター。
【0023】
[12]浴槽外から浴槽内に通じる往き流路を有し、浴槽外からのお湯が前記往き流路を通って浴槽内に吐出されるようにした浴槽用給湯口アダプターであって、
前記往き流路上に、お湯が内部を流通する発電室が設けられ、
前記発電室に、圧電素子を含む圧電素子板が設けられ、
前記発電室に、その内部を流通するお湯によって可動する可動体が設けられ、
可動する前記可動体が前記圧電素子板に衝突することによって圧電素子が作動し、電力が発生するようにしたことを特徴とする浴槽用給湯口アダプター。
【発明の効果】
【0024】
発明[1]の浴槽用給湯口アダプターによれば、圧電素子を利用して自己発電するものであるため、発電機等を用いる場合と比較して、構造の簡素化および小型化を図ることができる。
【0025】
発明[2][3]の浴槽用給湯口アダプターによれば、圧電素子を効率良く作動させることができ、十分な発電量を確実に確保することができる。
【0026】
発明[4][5]の浴槽用給湯口アダプターによれば、圧電素子を効率良く作動させることができ、十分な発電量をより確実に確保することができる。
【0027】
発明[6]の浴槽用給湯口アダプターによれば、流動粒子の流出等の不具合を確実に防止することができる。
【0028】
発明[7][8]の浴槽用給湯口アダプターによれば、発光手段が発光するため、浴槽内に光による効果的な演出表示を行うことができる。
【0029】
発明[9]の浴槽用給湯口アダプターによれば、発電室を槽内突出部に確実に形成することができる。
【0030】
発明[10]の浴槽用給湯口アダプターによれば、発電室を有する発電ユニットを着脱自在に構成しているため、発電ユニットを取り外すことにより、発電室内の保守点検を支障なく行うことができる。
【0031】
発明[11]の浴槽用給湯口アダプターによれば、2つの発電室で発電できるため、十分な発電量をより一層確実に確保することができる。
【0032】
発明[12]の浴槽用給湯口アダプターによれば、上記と同様に、構造の簡素化および小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】図1はこの発明の第1実施形態である浴槽用給湯口アダプターを示す側面断面図である。
【図2】図2は第1実施形態の給湯口アダプターを分解して示す斜視図である。
【図3】図3は第1実施形態の給湯口アダプターにおける流路仕切部材をカバー部材を取り付けた状態で示す斜視図である。
【図4】図4は第1実施形態の流路仕切部材をカバーを取り付けた状態で示す正面図である。
【図5】図5は第1実施形態の流路仕切部材を前部閉塞板を取り外した状態で示す斜視図である。
【図6】図6は第1実施形態の流路仕切部材をその発電室を分解して示す斜視図である。
【図7A】図7Aは第1実施形態の流路仕切部材を前部閉塞板を取り除いた状態で示す正面図である。
【図7B】図7Bは第1実施形態の流路仕切部材における発電室周辺を拡大して示す正面図である。
【図8】図8は第1実施形態の流路仕切部材を示す側面断面図である。
【図9】図9はこの発明の第2実施形態である浴槽用給湯口アダプターを示す側面断面図である。
【図10】図10は第2実施形態の給湯口アダプターを分解して示す斜視図である。
【図11】図11は第2実施形態の給湯口アダプターにおける流路仕切部材を示す正面図である。
【図12】図12は第2実施形態の給湯口アダプターにおける流路仕切部材を示す側面図である。
【図13】図13は第2実施形態の流路仕切部材をその発電ユニットを離間させた状態で示す斜視図である。
【図14】図14は第2実施形態の流路仕切部材を分解してい示す斜視図である。
【図15】図15は第2実施形態の流路仕切部材を分解して示す側面断面図である。
【図16】図16は第2実施形態の流路仕切部材を前壁を取り除いた状態で示す正面図である。
【図17】図17は第2実施形態の給湯口アダプターにおける発電ユニットを分解して示す側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
<第1実施形態>
図1,2はこの発明の第1実施形態である浴槽用給湯口アダプターを示す図である。両図に示すように、この第1実施形態の給湯口アダプターは、浴槽の側壁Wに設けられた取付孔Hに組み付けられる。この給湯口アダプターは、室外の給湯機から供給されたお湯を浴槽内に供給する湯はり処理の他に、浴槽内のお湯(水)を吸い込んで室外の給湯機に送り、そこで加熱して、適当な温度に加熱されたお湯を浴槽内に戻す追い焚き処理を行えるものである。
【0035】
なおこの給湯口アダプターは、以下に詳述するように、このアダプターが備える2つの外管接続部1a,1bに対して、給湯機につながる往き管および戻り管のどちらを接続しても使用可能な、いわゆる無極性タイプのものである。さらにアダプター内部に、逆流防止弁等の水の流動を制御するための流動制御弁が設けられない弁無しタイプのものである。
【0036】
本第1実施形態の給湯口アダプターは、槽外取付部材1と、雄ねじ部材2と、流路仕切部材3と、カバー部材9とを基本的な構成要素として備えている。なお、本明細書においては、給湯口アダプターの軸心方向に沿って浴槽に対して内側(図1の左側)を「前側」または「正面側」とし、浴槽に対して外側(図1の右側)を「後側」または「裏面側」として説明する。
【0037】
図1,2に示すように槽外取付部材1は、前面側が開放され、かつ後面側が閉塞された円筒形状の外筒部12と、その外筒部12の内部に同軸心上に配置される円筒形状の内筒部11と、外筒部12の前端外周に設けられた平板リング状のフランジ部15と、外筒部12の周壁後端に側方に突出するように設けられる管状の第1および第2外管接続部1a,1bとを一体に有している。
【0038】
内筒部11の内部空間は、後述の内側流路Aの一部として構成されるとともに、内筒部11および外筒部12間の環状空間は、後述の外側流路Bの一部として構成されている。上記第1外管接続部1aが内側流路Aに連通されるとともに、第2外管接続部1bが外側流路Bに連通されている。
【0039】
外筒部12の前部内周面には、雄ねじ部材2に組み付けるための雌ねじが刻設されている。
【0040】
槽外取付部材1のフランジ部15の外周縁部には、そのフランジ部15と浴槽外壁面との間の水密を図るための合成樹脂製のパッキン82が取り付けられている。
【0041】
図1.2に示すように雄ねじ部材2は、前後両端が開放された円筒形状の胴部21と、その胴部21の前端外周に設けられた平板リング状のフランジ部25とを一体に有する鍔付き円筒形状の成形品をもって構成されている。
【0042】
胴部21の外周側面には、上記槽外取付部材1における外筒部12の雌ねじに対応して、雄ねじが刻設されており、胴部21を槽外取付部材1の外筒部12内にねじ込んで固定できるようになっている。
【0043】
そして、槽外取付部材1のフランジ部15が、浴槽の外壁面における取付孔Hの周縁部に沿うように配置された状態で、雄ねじ部材2のフランジ部25が、合成ゴム製のリング状パッキン83を介して浴槽内壁面における取付孔Hの周縁部に圧接されるようにして、雄ねじ部材2の胴部21が取付孔Hを通じて、槽外取付部材1の外筒部12にねじ込まれて固定される。これにより両部材1,2のフランジ部15,25によって、浴槽側壁Wにおける取付孔周縁部が挟持されて、両部材1,2が浴槽側壁Wに貫通状態に組み付けられる。
【0044】
流路仕切部材3は、軸心方向(前後方向)に延びる細長い円筒形状の円筒部31と、その円筒部31の前端部に設けられた円盤状の槽内突出部4とを有している。
【0045】
槽内突出部4は、内部に複数の流路が設けられる中空構造を有しており、略円板状の後壁41と、後壁41における前面側の外周を囲うようにして一体に形成された外周壁42と、外周壁42の前面側開口の一部を閉塞する前部閉塞板5とを備えている。
【0046】
なお本実施形態においては、槽内突出部4における外周壁42の外周面によって、外周側面が構成されている。
【0047】
図1に示すように、円筒部31は、後述するように槽外取付部材1の内筒部11に接続されるものであり、円筒部31の内部と、それに連通する槽外取付部材1における内筒部11の内部とによって、内側流路Aが形成される。さらに円筒部31は、後述するように雄ねじ部材2の胴部21の内部に配置されるものであり、円筒部31および胴部21間の環状空間と、それに連通する槽外取付部材1における内筒部11および外筒部12間の環状空間とによって、外側流路Bが形成される。
【0048】
図5〜7等に示すように、槽内突出部4の後壁41には、円筒部31に対応して、第1連通孔41aが形成されるとともに、円筒部31の側方に対応して、第2連通孔41bが形成されている。さらに外周壁42の下部両側には、第1および第2開口42a,42bが形成されている。
【0049】
槽内突出部4における後壁41の前面側には、複数の仕切壁43が形成されており、この仕切壁43によって、槽内突出部4内に、各自独立する第1および第2流路43a,43bと、3つのLED室45とが形成されている。
【0050】
第1流路43aは、第1連通孔41aから第1開口42aにかけて形成されており、第1連通孔41aを介して槽内突出部4の後方における円筒部31の内側(内側流路A)に連通されるとともに、第1開口42aを介して槽内突出部4の外側に開放されている。
【0051】
第2流路43bは、第2連通孔41bから第2開口42bにかけて形成されており、第2連通孔41bを介して槽内突出部4の後方における円筒部31の外側(外側流路B)に連通されるとともに、第2開口42bを介して槽内突出部4の外側に開放されている。
【0052】
LED室45は、槽内突出部4の上側と下側とにそれぞれ設けられている。上側のLED室45は、槽内突出部4の上側縁部に沿って第1開口42aから第2開口42bにかけて設けられている。下側のLED室45は、槽内突出部4の下端部における第1および第2開口42a,42b間に設けられている。さらに下側のLED室45は、仕切壁43によって2つに仕切られている。
【0053】
各LED室45内には、発光手段(照明器)としての発光ダイオード(LED)46が槽内突出部4の外周縁部に沿って複数並べてそれぞれ取り付けられている。
【0054】
なお図5〜7に示すように、槽内突出部4における上側のLED室45の中間位置には、ロックピン挿入孔49が設けられており、後述するように流路仕切部材3を雄ねじ部材2に取り付けた際に、このロックピン挿入孔49に挿入されるロックピン(図示省略)によって、雄ねじ部材2に対して流路仕切部材3の回り止めが図られるようになっている。
【0055】
図2,5等に示すように、槽内突出部4における前面側開口の一部には、前部閉塞板5が着脱自在に取り付けられている。この前部閉塞板5は、LED室45に対応する部分が切り取られて、第1および第2流路43a,43bが形成される領域のみを閉塞するようになっている。
【0056】
図6,7A,7Bに示すように、第1および第2流路43a,43bの中間部(一部)は、第1および第2発電室7a,7bとして構成されている。
【0057】
第1および第2発電室7a,7b内には、その中央位置に支柱71,71がそれぞれ取り付けられている。各支柱71,71の両側には、圧電素子を含む帯板形状の揺動板72,72の一端部側(固定端部側)が固定されている。そして揺動板72,72の他端部側(揺動端部側)が、各流路43a,43bの両側端部に配置されている。揺動板72は、弾力性ないし可撓性を有し、支柱71の部分を支点にして、他端部側(揺動端部側)が揺動できるようになっている。
【0058】
なお本第1実施形態においては、揺動板72が、圧電素子を含む圧電素子板(圧電素子フィルム)として構成されている。
【0059】
さらに揺動板72を支持する支柱71には、その内部に銅線等のリード線が組み込まれており、後述するように揺動板72の圧電素子によって発生した電力を、そのリード線を介して取り出せるようになっている。
【0060】
発電室7a,7bにおける各揺動板72の揺動端部に対応する位置には、水車75,75がその軸心回りに回転自在に取り付けられている。そして、水車75,75が回転した際には、水車75,75の各羽根が各揺動板72の揺動端部に連続的に順次衝突するようになっている。
【0061】
本第1実施形態においては、水車75によって可動体が構成されている。
【0062】
なお、この水車75,75は、軸心方向から流入するお湯によって回転するタイプのものとは異なり、半径方向ないし周方向から流入し、かつ半径方向ないし周方向へ流出するお湯によって回転するタイプのものである。さらにこの水車75は、既述したように羽根によって揺動板72を叩いて揺動させるものであり、言うまでもなく、発電機を駆動するような水車(タービン)とは異なるものである。
【0063】
また発電室7a,7bの内周側には、換言すると発電室7a,7bにおける揺動板72よりも第1および第2連通孔41a,41b寄りの位置には、正面視山型の水流制御板73,73が取り付けられている。この水流制御板73,73における中央の頂部は、第1および第2連通孔41a,41bの中央位置に対向して配置されている。従って、連通孔41a,41bから流路43a,43bに流入されるお湯は、水流制御板73,73によって流路43a,43bの両側に導かれて、水車75,75の位置に供給されるようになっている。
【0064】
さらに発電室7a,7bの外周側には、換言すると発電室7a,7bにおける揺動板72よりも第1および第2開口42a,42b寄りの位置には、正面視山型の水流制御板74,74が取り付けられている。この水流制御板74,74における中央の頂部は、第1および第2開口42a,42bの中央位置に対向して配置されている。従って、開口42a,42bから流路43a,43bに流入されるお湯は、水流制御板74,74によって流路43a,43bの両側に導かれて、水車75,75の位置に供給されるようになっている。
【0065】
以上の構成の発電室7a,7bにおいて、例えば第1および第2連通孔41a,41bから第1および第2流路43a,43bにお湯が流入すると、そのお湯は、水流制御板73によって両側の水車75,75へと導かれる。これにより、お湯が水車75,75の各羽根を押し込むように流通して、水車75,75が回転する。このとき、水車75,75各羽根が、揺動板72の揺動端部に連続的に衝突して、揺動板72の揺動端部が小刻みに素早く揺動(振動)することによって圧電素子が作動し、所定の電力が発生するようになっている。
【0066】
逆に、第1および第2開口42a,42bから第1および第2流路43a,43b内にお湯が流入すると、そのお湯は、水流制御板74によって両側の水車75,75へと導かれる。これにより、上記と同様に、水車75,75が回転し、揺動板72が小刻みに振動して、電力が発生するようになっている。
【0067】
なお図示は省略するが、流路仕切部材3には、LED46の点灯(発光)を制御する制御回路が設けられている。さらに発電室7a,7bの揺動板72の支柱(リード線)71と、上記制御回路とは電気的に接続されている。これにより揺動板72が揺動して電力が発生した際に、その電力によって、LED46が点灯するようになっている。
【0068】
図1〜4等に示すように、槽内突出部4には、その前面側を覆うカバー部材9が着脱自在に取り付けられる。
【0069】
このカバー部材9は、円形の前壁と、その前壁後面側の外周縁に設けられた外周壁とを備え、前壁によって槽内突出部4の前面側がカバーされるとともに、外周壁によって槽内突出部4の外周側面がカバーされる。
【0070】
カバー部材9の前壁において、槽内突出部4に取り付けられたLED46に対応する部分が、合成樹脂製の透明窓91によって構成されている。従ってLED46が点灯した際には、その照明光が透明窓91を介して前方に照射されるようになっている。
【0071】
カバー部材9の外周壁には、槽内突出部4の第1および第2開口42a,42bに対応して、開口92,92が形成されている。従って、槽内突出部4の開口42a,42bから吐出したお湯は、カバー部材9の開口92,92を介して浴槽内に吐出されるようになっている。さらに浴槽内のお湯は、カバー部材9の開口92,92を介して、槽内突出部4の第1および第2開口42a,42bから吸引されるようになっている。
【0072】
カバー部材9が取り付けられた流路仕切部材3は、浴槽側壁Wに組み付けられた雄ねじ部材2に、周知の取付手段によって着脱自在に組み付けられる。このとき、流路仕切部材3における円筒部31が、雄ねじ部材2の内部に配置される槽外取付部材1の内筒部11に挿入される。
【0073】
言うまでもなく、本発明において、給湯口アダプターの組付手順は、限定されるものではなく、どのような手順で行っても良い。
【0074】
この組付状態では、図1に示すように、槽外取付部材1の内筒部11と流路仕切部材3の円筒部31との間にOリング81が配置され、そのOリング81によって、両部材11,31間の水密が図られるとともに、流路仕切部材3の槽内突出部4の後面に設けられたパッキン84によって、流路仕切部材3の槽内突出部4と、雄ねじ部材2のフランジ部25との間の水密が図られるようになっている。
【0075】
こうして浴槽に組み付けられた給湯口アダプターにおいては、内側流路Aが、流路仕切部材3の第1連通孔41aを通じて、流路仕切部材3の第1流路43a(第1発電室7a)に連通されるとともに、第1流路43a(第1発電室7a)が第1開口42aおよびカバー部材9の開口92を介して浴槽内に連通(開放)されている。また外側流路Bが、流路仕切部材3の第2連通孔41bを通じて、流路仕切部材3の第2流路43b(第2発電室7b)に連通されるとともに、第2流路43b(第2発電室7b)が第2開口42aおよびカバー部材9の開口92介して浴槽内に連通(開放)されている。
【0076】
そして本実施形態においては、内側流路Aおよび第1流路43a(第1発電室7a)によって、往き流路および戻り流路のうち、いずれか一方の流路が構成されるとともに、外側流路Bおよび第2流路43b(第2発電室7b)によって、残り一方の流路が構成される。
【0077】
本実施形態の給湯口アダプターは、既述したように、室外給湯機と配管接続する際に、槽外取付部材1における2つの外管接続部1a,1bに対して、室外給湯機につながる往き管および戻り管のどちらを接続しても使用可能な無極性タイプのものである。
【0078】
例えば第1外管接続部1aに往き管、第2外管接続部1bに戻り管を接続した状態において、追い焚き処理を行った場合には、給湯機から供給されるお湯が往き管および第1外管接続部1aを通って内側流路Aに導入され、さらにそのお湯が内側流路Aおよび流路仕切部材3の第1流路43aを通って、第1開口42aから浴槽内に供給される。
【0079】
吸込側では、給湯機の吸引力によって、戻り管および外側流路Bが負圧に設定されるため、流路仕切部材3の第2流路43bも負圧となる。従って、浴槽内のお湯(水)は、流路仕切部材3の第2開口42bから第2流路43bに吸い込まれて、外側流路Bおよび戻り管を通って給湯機に戻される。
【0080】
従ってこのように配管接続された場合には、内側流路Aおよび第1流路43aによって往き流路が構成され、外側流路Bおよび第2流路43bよって戻り流路が構成される。
【0081】
そして追い焚き時においては、槽内突出部4に設けられたLED46が点灯するようになっている。すなわち往き流路側においては、第1連通孔41aから第1流路43aに流入するお湯は、水流制御板73によって流路43aの両側に導かれて、水車75,75を回転させる。この回転により、水車75,75の各羽根が、各揺動板72の各揺動端部に連続的に順次衝突して、揺動板72が小刻みに素早く振動する。この振動によって各揺動板72の圧電素子が作動して電力が発生する。
【0082】
また戻り流路側においては、第2開口42bから第2流路43bに吸い込まれたお湯は、水流制御板74によって流路43bの両側に導かれて、水車75,75が回転して、上記と同様に、電力が発生する。
【0083】
このように往き流路側および戻り流路側の双方の発電室7a,7bで発生した電力によって、LED46が点灯する。さらにこうして点灯されたLED46の照明光が給湯口アダプターの前方に照射されて、浴槽内のお湯に光の演出効果を与えることができ、心地良い入浴環境を得ることができる。
【0084】
一方、第2外管接続部1bに往き管、第1外管接続部1aに戻り管を接続した状態で、追い焚き処理を行った場合には、上記とは逆回りに循環する。すなわち給湯機からのお湯が、往き管、第2外管接続部1b、外側流路Bおよび第2流路43b(第2発電室7b)を通って、第2開口42bおよびカバー部材9の開口92から浴槽内に供給されるとともに、浴槽内のお湯は、カバー部材9の開口92および第1開口42aから吸い込まれて、第1流路43a(第1発電室7a)、内側流路A、第1外管接続部1aおよび戻り管を通って給湯機に戻される。
【0085】
従ってこのように配管接続された場合には、内側流路Aおよび第1流路43aによって戻り流路が構成され、外側流路Bおよび第2流路43bによって往き流路が構成される。
【0086】
さらにこのように配管接続された場合であっても、上記と同様に、発電室7a,7bによって発電されてLED46が点灯する。
【0087】
なお本実施形態の給湯口アダプターは、ダブル搬送方式によって湯はりを行うものである。すなわち湯はり時には、給湯機から往き管および戻り管の双方にお湯が供給され、そのお湯が、給湯口アダプターの内側および外側流路A,B、第1および第2流路43a,43bを通って、第1および第2開口42a,42bから浴槽内に供給される。
【0088】
この湯はり時においても、上記と同様に、発電室7a,7bによって発電されて、LED46が点灯する。
【0089】
以上のように、第1実施形態の給湯口アダプターによれば、追い焚き時等に自己発電によりLED46を点灯させて、浴槽内に光による所定の演出効果を与えることができる。
【0090】
さらに本実施形態の給湯口アダプターは、圧電素子を用いて発電するようにしているため、つまり、圧電素子としての揺動板72を、水車75の羽根で叩いて揺動させて発電するようにしているため、発電部の構造を簡素に仕上げることができ、小型化を図ることができる。特に、本実施形態の給湯口アダプターは、タービン(水車)を回転させて発電するような複雑構造の発電機等を用いる場合と比較して、構造の簡素化および小型化をより確実に図ることができる。
【0091】
また本実施形態においては、発電室7a,7bの上流側に流動制御板73,74を設けて、お湯が水車75の位置を十分に流通するようにしているため、水車75を勢い良く回転させることができる。従って揺動板72を十分に振動させて、圧電素子を十分に作動させることができ、十分な発電量を確保できて、LED46をより確実に点灯させることができる。
【0092】
さらに流動制御板73,74は、揺動板72の上流側および下流側の双方に配置されているため、揺動板72が大きく屈曲しようとした際には、揺動板72の揺動端部が流動制御板73,74に当接することにより、揺動板72が大きく変形するのを防止することができる。このように流動制御板73,74によって揺動板72の揺動(振動)範囲を制限することができる。このため例えば、揺動板72が不用意に大きく変形して、変形前の元の状態に戻らなくなるような不具合を有効に防止することができる。
【0093】
また本実施形態においては、往き流路側および戻り流路側の双方に発電室7a,7bを設けているため、一方側のみに発電室を設ける場合と比較して、より多くの発電量を確保でき、LED46をより一層確実に点灯させることができる。
【0094】
<第2実施形態>
図9,10はこの発明の第2実施形態である浴槽用給湯口アダプターを示す図である。これらの図に示すように、本第2実施形態の給湯口アダプターは、槽外取付部材1と、雄ねじ部材2と、流路仕切部材3と、発電ユニット6a,6bとを基本的な構成要素として備えている。
【0095】
この第2実施形態において、槽外取付部材1および雄ねじ部材2は、上記第1実施形態の槽外取付部材1および雄ねじ部材2と実質的に同じ構成である。
【0096】
図14〜16に示すように、流路仕切部材3の槽内突出部4に設けられるLED室45は、槽内突出部4の外周縁部に沿って第1開口41aから第2開口42bにかけて形成されている。LED室45内には、発光手段(照明器)としてのLED46が槽内突出部4の外周縁部に沿って複数並べて取り付けられている。
【0097】
図11〜15に示すように、槽内突出部4の前面側開口には、その開口全域を閉塞する態様に、前部閉塞板5の外周壁42に対し着脱自在に取り付けられている。
【0098】
前部閉塞板5のLED室45に対応する部分は、透明な合成樹脂製の透明窓51によって構成されている。そしてLED46が点灯すると、その照明光が透孔窓51を通って槽内突出部4の前方に照射されるようになっている。
【0099】
以上の構成の流路仕切部材3は、図9に示すように、その槽内突出部4の後壁41における外周縁部の後面側が、上記雄ねじ部材2のフランジ部25における前面側に、周知の取付手段によって、着脱自在に取り付けられるようになっている。
【0100】
なお、この第2実施形態の給湯口アダプターにおいては、上記第1実施形態の給湯口アダプターとは異なり、槽内突出部4の第1および第2流路43a,43bには、発電室7a,7bが設けられておらず、発電室7a,7bは、以下に説明する発電ユニット6a,6b内に設けられている。従って、この第2実施形態においては、槽内突出部4の第1および第2流路43a,43bには、電力を生じさせるための部材、例えば揺動板72、水流制御板73,74、水車75等が設けられていない。
【0101】
槽内突出部4の外周側面における第1および第2開口42a,42bに対応する位置には、第1および第2発電ユニット6a,6bが設けられている。
【0102】
図13〜17に示すように 第1および第2発電ユニット6a,6bは、左右対称形状で、実質的に同じ構成を有している。すなわち各発電ユニット6a,6bは、両端が開放された角筒状のケーシング60を備えている。このケーシング60は、前壁61が着脱可能に構成されている。さらにケーシング60の両端開口63,64には、メッシュシート65,65が取り付けられている。このメッシュシート65,65は、後述するボール69の通過を阻止しつつ、お湯の通過を許容できるようになっている。
【0103】
本実施形態において、各発電ユニット6a,6bにおける各ケーシング60,60の内部が発電室7a,7bとしてそれぞれ構成されている。
【0104】
各発電室7a,7b内には、可動体としての複数のボール(流動粒子)69が収容されている。ボール69としては、ゴム製のもの等を好適に用いることができるが、その素材は特に限定されるものではない。
【0105】
本第2実施形態において、ケーシング60の前壁61および後壁62は、圧電素子壁を構成している。すなわち前壁61および後壁62は、その内面の少なくとも一部に、圧電素子を含む圧電素子板が設けられて、圧電素子壁として構成されている。従って、ケーシング60内のボール69が前後壁(圧電素子壁)61,62に衝突することによって、電力が発生するようになっている。
【0106】
またケーシング60の側壁内面における内側開口63および外側開口64の近傍には、内側に突出する態様に水流撹乱片66が形成されている。そして、内側開口63または外側開口64からケーシング60(発電室7a,7b)に流入して、外側開口64または内側開口63から流出するお湯は、発電室7a,7bで水流撹乱片66によって十分にかき乱されて、流れの状態が乱流となるようになっている。従って、この乱流状態のお湯の流れによって、発電室7a,7bのボール69が勢い良く不規則に流動し、既述したように圧電素子としての前壁61および後壁62に強く衝突して、所定の電力を発生できるようになっている。
【0107】
第1および第2発電ユニット6a,6bは、その内側開口63,63の周縁部が槽内突出部4の第1および第2開口42a,42bの周縁部に着脱自在に取り付けられている。
【0108】
なお図示は省略するが、本第2実施形態においても、上記第1実施形態と同様、流路仕切部材3には、LED46の点灯(発光)を制御する制御回路が設けられている。そして、発電ユニット6a,6bが槽内突出部4に取り付けられた状態では、発電ユニット6a,6bの前後壁61,62の各圧電素子と槽内突出部4の制御回路とが電気的に接続されるようになっている。従って、各発電室7a,7bで発生した電力によって、LED46が点灯するようになっている。
【0109】
この発電ユニット6a,6bが取り付けられた流路仕切部材3は、上記第1実施形態と同様に、浴槽側壁Wに組み付けられた雄ねじ部材2に組み付けられる。
【0110】
なおこの第2実施形態においては、上記第1実施形態のように流路仕切部材3の槽内突出部4をカバーするためのカバー部材9は設けられていない。
【0111】
この第2実施形態において、他の構成は、上記第1実施形態と実質的に同様であるため、同一または相当部分に同一符号を付して重複説明は省略する。
【0112】
本第2実施形態においては、内側流路A、第1流路43aおよび第1発電ユニット6aの内部流路(第1発電室7a)によって、往き流路および戻り流路のうち、いずれか一方の流路が構成されるとともに、外側流路B、第2流路43bおよび第2発電ユニット6bの内部流路(第2発電室7b)によって、残り一方の流路が構成される。
【0113】
以上のように構成された本実施形態の給湯口アダプターにおいて、例えば第1外管接続部1aに往き管、第2外管接続部1bに戻り管を接続した状態において、追い焚き処理を行う場合には、内側流路A、第1流路43aおよび第1発電室7aによって構成される連設流路が、往き流路となり、外側流路B、第2流路43bおよび第2発電室7bによって構成される連設流路が、戻り流路となる。
【0114】
そして追い焚き時においては、第1および第2発電ユニット6a,6b内の各発電室7a,7bを流通するお湯は、既述したように水流撹乱片66によってかき乱されて乱流となり、発電室7a,7b内のボール69が勢い良く不規則に流動し、そのボール69が、圧電素子壁としての前後壁61,62に繰り返し強く衝突することにって圧電素子が作動して、電力が発生する。さらにその電力によって、LED46が点灯され、その照明光が給湯口アダプターの前方に照射される。
【0115】
一方、第2外管接続部1bに往き管、第1外管接続部1aに戻り管を接続した場合には、第1流路43aおよび第1発電室7aによって戻り流路が構成され、外側流路B、第2流路43bおよび発電室7bによって連設流路が構成される。
【0116】
さらにこのように配管接続された場合であっても、上記と同様に、発電ユニット6a,6bの各発電室7a,7bで発電してLED46が点灯する。
【0117】
なお本第2実施形態の給湯口アダプターは、上記第1実施形態と同様、ダブル搬送方式によって湯はりを行うものである。すなわち湯はり時には、給湯機から往き管および戻り管の双方にお湯が供給され、そのお湯が、アダプター本体の内側および外側流路A,B、第1および第2流路43a,43b、第1および第2発電室7a,7bを通って、第1および第2発電ユニット6a,6bの外側開口64,64から浴槽内に供給される。
【0118】
この湯はり時においても、上記と同様に、各発電室7a,7bで発電して、LED46が点灯する。
【0119】
以上のように、本実施形態の給湯口アダプターによれば、追い焚き時等に自己発電によりLED46を点灯させて、浴槽内に光による所定の演出効果を与えることができる。
【0120】
さらに本実施形態の給湯口アダプターは、圧電素子を用いて発電するようにしているため、つまり、内壁の一部を圧電素子によって構成したケーシング60と、その内部で流動するボール69とを有する発電ユニット6a,6bによって発電するようにしているため、発電部の構造を簡素に仕上げることができ、小型化を図ることができる。特に、本実施形態の給湯口アダプターは、構造が複雑でサイズが大きい発電機等を用いる場合と比較して、構造の簡素化および小型化をより確実に図ることができる。
【0121】
また本実施形態においては、発電ユニット6a,6b内に水流撹乱片66を設けて、ユニット6a,6b内の水流を乱流状態とし、その乱流状態の水流によって、ボール69を不規則に流動させて圧電素子壁(前後壁61,62)に、より一層勢い良く衝突させるようにしている。このため、圧電素子をより効率良く作動させることができ、十分な発電量をより確実に確保でき、LED46をより確実に点灯させることができる。
【0122】
さらに本実施形態においては、往き流路および戻り流路の双方に発電ユニット6a,6bをそれぞれ設けるため、より多くの発電量を確保でき、より一層確実にLED56を発光させることができる。
【0123】
また本実施形態においては、発電ユニット6a,6bの両端開口63,64にメッシュシート65を配置しているため、そのメッシュシート69によって発電ユニット6a,6b内のボール69が流出するのを防止しつつ、発電ユニット6a,6bに対するお湯の流出入を支障なくスムーズに行うことができる。
【0124】
また本実施形態においては、発電ユニット6a,6bを流路仕切部材3に着脱自在に取り付けるとともに、発電ユニット6a,6bの前壁(カバー)61を取り外し可能に構成しているため、発電ユニット6a,6bの内部の補修が必要な場合、発電ユニット6a,6bを流路仕切部材3から取り外して、カバー(前壁61)を取り外せば、発電室7a,7b内を開放でき、その内部の補修を確実に行うことができる。例えばメッシュシート65に目詰まりが発生した場合には、発電ユニット6a,6bの前壁61を取り外せば、メッシュシート65を簡単に取り出して確実に清掃することができる。このように発電ユニット6a,6bの前壁61を取り外すだけで簡単に、発電室7a,7b内の保守点検を行うことができる。
【0125】
さらに本実施形態においては、流路仕切部材3に外付けで発電ユニット6a,6bを取り付けるようにしているため、流路仕切部材3として従来より既存のものを用いることができる。つまり、既存の給湯口アダプター(既存の流路仕切部材)に発電ユニット6a,6bを取り付けるだけで簡単に、本発明の構成を実現することができる。
【0126】
<変形例>
上記第1実施形態においては、発電室7a,7bを、流路仕切部材3の流路43a,43b内に組み込むようにしているが、それだけに限られず、第1実施形態の発電室7a,7bを、第2実施形態と同様にユニット化して、そのユニットを、槽内突出部5の外周側面に外付けで着脱自在に取り付けるようにしたり、槽内突出部5の内部に着脱自在に取り付けるようにしても良い。
【0127】
逆に、上記第2実施形態においては、発電ユニット6a,6bを流路仕切部材3に外付け方式で取り付けるようにしているが、それだけに限られず、本発明においては、第2実施形態の発電室7a,7bを流路仕切部材3の内部に設けるようにしても良い。
【0128】
要は、給湯機からのお湯を流通させて浴槽に吐出する往き流路と、浴槽内からのお湯を流通させて給湯機側に送出する戻り流路との2つ流路のうち、少なくともいちずれか一方の流路上に、発電ユニット等の発電室を設けるようにすれば良い。例えば、発電室を内側流路Aおよび外側流路B上に設けるようにしても良い。
【0129】
また上記実施形態においては、発電室で発生した電力によって、LEDを発光させるようにしているが、本発明において、発生した電力の使用用途は限定されるものではない。例えば発生した電力によって、銅イオンを発生させて殺菌作用を果たす銅イオン発生装置を駆動させたり、UVランプを点灯させて殺菌作用を果たす紫外線照射装置等を駆動させるようにしても良い。
【0130】
また上記実施形態においては、発光手段としてLEDを用いるようにしているが、それだけに限られず、本発明においては、豆電球等の白熱電球、蛍光灯等の発光手段を用いるようにしても良い。
【0131】
さらに上記実施形態においては、発光手段を連続して点灯させるようにしているが、それだけに限られず、本発明においては、発光手段を点滅させたり、適当なタイミングで点灯と点滅とを交互に行うようにしても良いし、複数の発光手段をそれぞれ個別のタイミングで点灯させたり消灯させたりするようにしても良い。
【0132】
また上記第2実施形態においては、発電ユニット6a,6bの開口63,64に、フィルター部材としてメッシュシート65を配置するようにしているが、それだけに限られず、本発明においては、メッシュシート以外のフィルター部材を配置するようにしても良い。例えばボール(流動粒子)よりもサイズが小さい多数の小孔が形成された板や、ボールの径サイズよりも幅の狭い多数のスリットが形成された板等をフィルター部材として用いるようにしても良い。
【0133】
また上記実施形態においては、外管接続部1a,1bに、外部の往き管および戻り管のどちらを接続しても使用可能な無極性タイプの給湯口アダプターに、本発明を適用する場合を例に挙げて説明したが、それだけに限られず、本発明は、外部の往き管および戻り管の接続位置が特定されている有極性タイプの給湯口アダプターにも適用することができる。
【0134】
また上記実施形態においては、内部に、流動制御弁が設けられない弁無しタイプの給湯口アダプターに、本発明を適用した場合を例に挙げて説明したが、それだけに限られず、本発明は、内部に流動制御弁が設けられる弁付きタイプの給湯口アダプターにも適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0135】
この発明の浴槽用給湯口アダプターは、例えば一般家庭の浴槽に給湯用金具として利用することができる。
【符号の説明】
【0136】
4:槽内突出部
42:外周壁(外周側面、外面)
46:LED(発光手段)
6a,6b:発電ユニット
61:前壁(圧電素子壁、圧電素子板)
62:後壁(圧電素子壁、圧電素子板)
63:内側開口
64:外側開口
65:メッシュシート(フィルター部材)
66:水流撹乱片
69:ボール(流動粒子、可動体)
7a,7b:発電室
72:揺動板(圧電素子板)
73,74:水流制御板
75:水車(可動体)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽外から浴槽内に通じる往き流路および戻り流路を有し、浴槽外からのお湯が前記往き流路を通って浴槽内に吐出されるとともに、浴槽内からのお湯が前記戻り流路を通って浴槽外に送出されるようにした浴槽用給湯口アダプターであって、
前記往き流路および戻り流路のうち少なくともいずれか一方の流路上に、お湯が内部を流通する発電室が設けられ、
前記発電室に、圧電素子を含む圧電素子板が設けられ、
前記発電室に、その内部を流通するお湯によって可動する可動体が設けられ、
可動する前記可動体が前記圧電素子板に衝突することによって圧電素子が作動し、電力が発生するようにしたことを特徴とする浴槽用給湯口アダプター。
【請求項2】
前記可動体は、流通するお湯によって回転する水車によって構成され、
前記圧電素子板は、端部が揺動可能に前記発電室に取り付けられた揺動板として構成され、
回転する前記水車の各羽根が前記揺動板の端部に順次衝突して、前記揺動板が揺動することによって圧電素子が作動するようになっている請求項1に記載の浴槽用給湯口アダプター。
【請求項3】
前記発電室に、その内部を流通するお湯が前記水車に向かうように水流を制御する水流制御板が設けられる請求項2に記載の浴槽用給湯口アダプター。
【請求項4】
前記可動体は、前記発電室内を不規則に流動可能な複数の流動粒子によって構成され、
前記圧電素子板は、前記発電室の内周壁面の少なくとも一部に設けられた圧電素子壁として構成され、
流動する前記複数の流動粒子が前記圧電素子壁に衝突して、圧電素子が作動するようになっている請求項1に記載の浴槽用給湯口アダプター。
【請求項5】
前記発電室に、その内部を流通するお湯を撹乱するための水流撹乱片が設けられる請求項4に記載の浴槽用給湯口アダプター。
【請求項6】
前記発電室に対しお湯を流出入するための開口に、お湯の流通を許容しつつ、前記流動粒子の流出を防止するためのフィルター部材が配置される請求項4または5に記載の給湯口アダプター。
【請求項7】
浴槽内側に配置される発光手段を備え、
前記発電室で発生する電力によって、前記発光手段を発光させるようにした請求項1〜6のいずれか1項に記載の浴槽用給湯口アダプター。
【請求項8】
前記発光手段がLEDによって構成される請求項7に記載の浴槽用給湯口アダプター。
【請求項9】
浴槽内に配置される槽内突出部を備え、
前記発電室が前記槽内突出部に設けられる請求項1〜8のいずれか1項に記載の浴槽用給湯口アダプター。
【請求項10】
内部に前記発電室が設けられた発電ユニットを備え、
前記発電ユニットが着脱自在に取り付けられる請求項1〜9のいずれか1項に記載の浴槽用給湯口アダプター。
【請求項11】
前記発電室は、前記往き流路および戻り流路の双方に設けられる請求項1〜10のいずれか1項に記載の浴槽用給湯口アダプター。
【請求項12】
浴槽外から浴槽内に通じる往き流路を有し、浴槽外からのお湯が前記往き流路を通って浴槽内に吐出されるようにした浴槽用給湯口アダプターであって、
前記往き流路上に、お湯が内部を流通する発電室が設けられ、
前記発電室に、圧電素子を含む圧電素子板が設けられ、
前記発電室に、その内部を流通するお湯によって可動する可動体が設けられ、
可動する前記可動体が前記圧電素子板に衝突することによって圧電素子が作動し、電力が発生するようにしたことを特徴とする浴槽用給湯口アダプター。
【請求項1】
浴槽外から浴槽内に通じる往き流路および戻り流路を有し、浴槽外からのお湯が前記往き流路を通って浴槽内に吐出されるとともに、浴槽内からのお湯が前記戻り流路を通って浴槽外に送出されるようにした浴槽用給湯口アダプターであって、
前記往き流路および戻り流路のうち少なくともいずれか一方の流路上に、お湯が内部を流通する発電室が設けられ、
前記発電室に、圧電素子を含む圧電素子板が設けられ、
前記発電室に、その内部を流通するお湯によって可動する可動体が設けられ、
可動する前記可動体が前記圧電素子板に衝突することによって圧電素子が作動し、電力が発生するようにしたことを特徴とする浴槽用給湯口アダプター。
【請求項2】
前記可動体は、流通するお湯によって回転する水車によって構成され、
前記圧電素子板は、端部が揺動可能に前記発電室に取り付けられた揺動板として構成され、
回転する前記水車の各羽根が前記揺動板の端部に順次衝突して、前記揺動板が揺動することによって圧電素子が作動するようになっている請求項1に記載の浴槽用給湯口アダプター。
【請求項3】
前記発電室に、その内部を流通するお湯が前記水車に向かうように水流を制御する水流制御板が設けられる請求項2に記載の浴槽用給湯口アダプター。
【請求項4】
前記可動体は、前記発電室内を不規則に流動可能な複数の流動粒子によって構成され、
前記圧電素子板は、前記発電室の内周壁面の少なくとも一部に設けられた圧電素子壁として構成され、
流動する前記複数の流動粒子が前記圧電素子壁に衝突して、圧電素子が作動するようになっている請求項1に記載の浴槽用給湯口アダプター。
【請求項5】
前記発電室に、その内部を流通するお湯を撹乱するための水流撹乱片が設けられる請求項4に記載の浴槽用給湯口アダプター。
【請求項6】
前記発電室に対しお湯を流出入するための開口に、お湯の流通を許容しつつ、前記流動粒子の流出を防止するためのフィルター部材が配置される請求項4または5に記載の給湯口アダプター。
【請求項7】
浴槽内側に配置される発光手段を備え、
前記発電室で発生する電力によって、前記発光手段を発光させるようにした請求項1〜6のいずれか1項に記載の浴槽用給湯口アダプター。
【請求項8】
前記発光手段がLEDによって構成される請求項7に記載の浴槽用給湯口アダプター。
【請求項9】
浴槽内に配置される槽内突出部を備え、
前記発電室が前記槽内突出部に設けられる請求項1〜8のいずれか1項に記載の浴槽用給湯口アダプター。
【請求項10】
内部に前記発電室が設けられた発電ユニットを備え、
前記発電ユニットが着脱自在に取り付けられる請求項1〜9のいずれか1項に記載の浴槽用給湯口アダプター。
【請求項11】
前記発電室は、前記往き流路および戻り流路の双方に設けられる請求項1〜10のいずれか1項に記載の浴槽用給湯口アダプター。
【請求項12】
浴槽外から浴槽内に通じる往き流路を有し、浴槽外からのお湯が前記往き流路を通って浴槽内に吐出されるようにした浴槽用給湯口アダプターであって、
前記往き流路上に、お湯が内部を流通する発電室が設けられ、
前記発電室に、圧電素子を含む圧電素子板が設けられ、
前記発電室に、その内部を流通するお湯によって可動する可動体が設けられ、
可動する前記可動体が前記圧電素子板に衝突することによって圧電素子が作動し、電力が発生するようにしたことを特徴とする浴槽用給湯口アダプター。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2013−15273(P2013−15273A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−148766(P2011−148766)
【出願日】平成23年7月5日(2011.7.5)
【出願人】(594107103)株式会社ハタノ製作所 (40)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月5日(2011.7.5)
【出願人】(594107103)株式会社ハタノ製作所 (40)
【Fターム(参考)】
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