説明

浴槽用給湯口アダプター

【課題】構造の簡素化および小型化を図りつつ、自己発電できる浴槽用給湯口アダプターを提供する。
【解決手段】本発明は、往き流路および戻り流路に、お湯が内部を流通する発電室7a,7bが設けられる。発電室7a,7bに、圧電素子を含む圧電素子板72が、その端部が揺動可能に取り付けられる。発電室7a,7bの内部を流通するお湯に従って、圧電素子板72の端部が揺動することによって圧電素子が作動し、電力が発生するようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、浴槽の壁部に給湯用として取り付けられる浴槽用給湯口アダプターに関する。
【背景技術】
【0002】
浴槽の側壁に貫通状態に取り付けられる給湯口アダプターにおいて、追い焚き機能付きのものでは、浴槽内に臨むように吸引口および吐出口が設けられている。そして、追い焚き時には、浴槽内のお湯が吸引口から吸引されて、給湯口アダプター内部を通って室外の給湯器に戻されてそこで加熱される。さらに給湯機で加熱されたお湯が、給湯口アダプターに供給されて、アダプター内部を通って吐出口から浴槽内に吐出されるようになっている。
【0003】
ところで、近年になって、給湯口アダプターの内部に発電機を組み込んで、自己発電により照明器等を発光させるようにした浴槽給湯システムが提案されている。
【0004】
例えば特許文献1に示す浴槽給湯システムは、給湯口アダプターに照明器が設けられ、追い焚き時等に照明器を発光させて、表示効果を高めるようにしている。
【0005】
特許文献2に示す浴槽給湯システムは、浴槽壁に、給湯口アダプターに対向する照明器が設けられ、給湯口から噴射される温水を、照明器で照明することにより、表示効果を高めるようしている。
【0006】
特許文献3,4に示す浴槽給湯システムは、水槽内のお湯を給湯機に送る戻り流路内に、紫外線を照射する照明器を設けておき、戻り流路内を流通するお湯に照明器から紫外線を照射して、お湯を殺菌浄化するようにしている。
【0007】
これらの給湯システムはいずれも、発電機を用いた自己発電型のものであり、お湯の循環経路上に、水車(タービン)を設置しておき、水流で水車を回転させて、その水車に連結した発電機本体を駆動させることにより、電力を発生させるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−215994号公報
【特許文献2】特開2001−227011号公報
【特許文献3】特開2002−336149号公報
【特許文献4】特開2002−340416号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記特許文献1〜4に示す従来の給湯システムにおいてはいずれも、構造が複雑でサイズも大きい発電機によって発電するものであるため、構造の複雑化および大型化を来すという課題が発生する。
【0010】
この発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、構造の簡素化および小型化を図りつつ、自己発電できる浴槽用給湯口アダプターを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明は、以下の手段を備えるものである。
【0012】
[1]浴槽外から浴槽内に通じる往き流路および戻り流路を有し、浴槽外からのお湯が前記往き流路を通って浴槽内に吐出されるとともに、浴槽内からのお湯が前記戻り流路を通って浴槽外に送出されるようにした浴槽用給湯口アダプターであって、
前記往き流路および戻り流路のうち少なくともいずれか一方の流路上に、お湯が内部を流通する発電室が設けられ、
前記発電室に、圧電素子を含む圧電素子板が、その端部が揺動可能に取り付けられ、
前記発電室の内部を流通するお湯に従って、前記圧電素子板の端部が揺動することによって圧電素子が作動し、電力が発生するようにしたことを特徴とする浴槽用給湯口アダプター。
【0013】
[2]前記圧電素子板の揺動端部に錘体が取り付けられる前項1に記載の浴槽用給湯口アダプター。
【0014】
[3]前記発電室に、その内部を流通するお湯を撹乱するための水流撹乱用突起が設けられる前項2に記載の浴槽用給湯口アダプター。
【0015】
[4]前記発電室に前記圧電素子板が複数設けられる前項1〜3のいずれか1項に記載の浴槽用給湯口アダプター。
【0016】
[5]浴槽内側に配置される発光手段を備え、
前記発電室で発生する電力によって、前記発光手段を発光させるようにした前項1〜4のいずれか1項に記載の浴槽用給湯口アダプター。
【0017】
[6]前記発光手段がLEDによって構成される前項5に記載の浴槽用給湯口アダプター。
【0018】
[7]浴槽内に配置される槽内突出部を備え、
前記発電室が前記槽内突出部に設けられる前項1〜6のいずれか1項に記載の浴槽用給湯口アダプター。
【0019】
[8]前記発電室は、前記往き流路および戻り流路の双方に設けられる前項1〜7のいずれか1項に記載の浴槽用給湯口アダプター。
【0020】
[9]浴槽外から浴槽内に通じる往き流路を有し、浴槽外からのお湯が前記往き流路を通って浴槽内に吐出されるようにした浴槽用給湯口アダプターであって、
前記往き流路上に、お湯が内部を流通する発電室が設けられ、
前記発電室に、圧電素子を含む圧電素子板が、その端部が揺動可能に取り付けられ、
前記発電室の内部を流通するお湯に従って、前記圧電素子板の端部が揺動することによって圧電素子が作動し、電力が発生するようにしたことを特徴とする浴槽用給湯口アダプター。
【発明の効果】
【0021】
発明[1]の浴槽用給湯口アダプターによれば、圧電素子を利用して自己発電するものであるため、発電機等を用いる場合と比較して、構造の簡素化および小型化を図ることができる。
【0022】
発明[2]〜[4]の浴槽用給湯口アダプターによれば、圧電素子を効率良く作動させることができ、十分な発電量を確実に確保することができる。
【0023】
発明[5][6]の浴槽用給湯口アダプターによれば、発光手段が発光するため、浴槽内に光による効果的な演出表示を行うことができる。
【0024】
発明[7]の浴槽用給湯口アダプターによれば、発電室を槽内突出部に確実に形成することができる。
【0025】
発明[8]の浴槽用給湯口アダプターによれば、2つの発電室で発電できるため、十分な発電量をより一層確実に確保することができる。
【0026】
発明[9]の浴槽用給湯口アダプターによれば、上記と同様に、構造の簡素化および小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1はこの発明の実施形態である浴槽用給湯口アダプターを示す側面断面図である。
【図2】図2は実施形態の給湯口アダプターを分解して示す斜視図である。
【図3】図3は実施形態の給湯口アダプターにおける流路仕切部材を示す正面図である。
【図4】図4は実施形態の流路仕切部材を示す側面断面図である。
【図5】図5は実施形態の流路仕切部材を前部閉塞板を取り外した状態で示す斜視図である。
【図6】図6は実施形態の流路仕切部材をその発電室を分解して示す斜視図である。
【図7】図7は実施形態の流路仕切部材を前部閉塞板を取り除いた状態で示す正面図である。
【図8】図8は実施形態の流路仕切部材における発電室の周辺を拡大して示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1,2はこの発明の実施形態である浴槽用給湯口アダプターを示す図である。両図に示すように、この実施形態の給湯口アダプターは、浴槽の側壁Wに設けられた取付孔Hに組み付けられる。この給湯口アダプターは、室外の給湯機から供給されたお湯を浴槽内に供給する湯はり処理の他に、浴槽内のお湯(水)を吸い込んで室外の給湯機に送り、そこで加熱して、適当な温度に加熱されたお湯を浴槽内に戻す追い焚き処理を行えるものである。
【0029】
なおこの給湯口アダプターは、以下に詳述するように、このアダプターが備える2つの外管接続部1a,1bに対して、給湯機につながる往き管および戻り管のどちらを接続しても使用可能な、いわゆる無極性タイプのものである。さらにアダプター内部に、逆流防止弁等の水の流動を制御するための流動制御弁が設けられない弁無しタイプのものである。
【0030】
本実施形態の給湯口アダプターは、槽外取付部材1と、雄ねじ部材2と、流路仕切部材3とを基本的な構成要素として備えている。なお、本明細書においては、給湯口アダプターの軸心方向に沿って浴槽に対して内側(図1の左側)を「前側」または「正面側」とし、浴槽に対して外側(図1の右側)を「後側」または「裏面側」として説明する。
【0031】
図1,2に示すように槽外取付部材1は、前面側が開放され、かつ後面側が閉塞された円筒形状の外筒部12と、その外筒部12の内部に同軸心上に配置される円筒形状の内筒部11と、外筒部12の前端外周に設けられた平板リング状のフランジ部15と、外筒部12の周壁後端に側方に突出するように設けられる管状の第1および第2外管接続部1a,1bとを一体に有している。
【0032】
内筒部11の内部空間は、後述の内側流路Aの一部として構成されるとともに、内筒部11および外筒部12間の環状空間は、後述の外側流路Bの一部として構成されている。上記第1外管接続部1aが内側流路Aに連通されるとともに、第2外管接続部1bが外側流路Bに連通されている。
【0033】
外筒部12の前部内周面には、雄ねじ部材2に組み付けるための雌ねじが刻設されている。
【0034】
槽外取付部材1のフランジ部15の外周縁部には、そのフランジ部15と浴槽外壁面との間の水密を図るための合成樹脂製のパッキン82が取り付けられている。
【0035】
図1.2に示すように雄ねじ部材2は、前後両端が開放された円筒形状の胴部21と、その胴部21の前端外周に設けられた平板リング状のフランジ部25とを一体に有する鍔付き円筒形状の成形品をもって構成されている。
【0036】
胴部21の外周側面には、上記槽外取付部材1における外筒部12の雌ねじに対応して、雄ねじが刻設されており、胴部21を槽外取付部材1の外筒部12内にねじ込んで固定できるようになっている。
【0037】
そして、槽外取付部材1のフランジ部15が、浴槽の外壁面における取付孔Hの周縁部に沿うように配置された状態で、雄ねじ部材2のフランジ部25が、合成ゴム製のリング状パッキン83を介して浴槽内壁面における取付孔Hの周縁部に圧接されるようにして、雄ねじ部材2の胴部21が取付孔Hを通じて、槽外取付部材1の外筒部12にねじ込まれて固定される。これにより両部材1,2のフランジ部15,25によって、浴槽側壁Wにおける取付孔周縁部が挟持されて、両部材1,2が浴槽側壁Wに貫通状態に組み付けられる。
【0038】
図1〜4に示すように流路仕切部材3は、軸心方向(前後方向)に延びる細長い円筒形状の円筒部31と、その円筒部31の前端部に設けられた円盤状の槽内突出部4とを有している。
【0039】
槽内突出部4は、内部に複数の流路が設けられる中空構造を有しており、略円板状の後壁41と、後壁41における前面側の外周を囲うようにして一体に形成された外周壁42と、外周壁42の前面側開口の一部を閉塞する前部閉塞板5とを備えている。
【0040】
なお本実施形態においては、槽内突出部4における外周壁42の外周面によって、外周側面が構成されている。
【0041】
図1に示すように、円筒部31は、後述するように槽外取付部材1の内筒部11に接続されるものであり、円筒部31の内部と、それに連通する槽外取付部材1における内筒部11の内部とによって、内側流路Aが形成される。さらに円筒部31は、後述するように雄ねじ部材2の胴部21の内部に配置されるものであり、円筒部31および胴部21間の環状空間と、それに連通する槽外取付部材1における内筒部11および外筒部12間の環状空間とによって、外側流路Bが形成される。
【0042】
図4,7等に示すように、槽内突出部4の後壁41には、円筒部31に対応して、第1連通孔41aが形成されるとともに、円筒部31の側方に対応して、第2連通孔41bが形成されている。さらに外周壁42の下部両側には、第1および第2開口42a,42bが形成されている。
【0043】
槽内突出部4における後壁41の前面側には、複数の仕切壁43が形成されており、この仕切壁43によって、槽内突出部4内に、各自独立する第1および第2流路43a,43bと、LED室45とが形成されている。
【0044】
第1流路43aは、第1連通孔41aから第1開口42aにかけて形成されており、第1連通孔41aを介して槽内突出部4の後方における円筒部31の内側(内側流路A)に連通されるとともに、第1開口42aを介して槽内突出部4の外側に開放されている。
【0045】
第2流路43bは、第2連通孔41bから第2開口42bにかけて形成されており、第2連通孔41bを介して槽内突出部4の後方における円筒部31の外側(外側流路B)に連通されるとともに、第2開口42bを介して槽内突出部4の外側に開放されている。
【0046】
LED室45は、槽内突出部4の上側縁部に沿って第1開口42aから第2開口42bにかけて設けられている。
【0047】
各LED室45内には、発光手段(照明器)としての発光ダイオード(LED)46が槽内突出部4の外周縁部に沿って複数並べてそれぞれ取り付けられている。
【0048】
なお図5〜7に示すように、槽内突出部4における上部中間位置には、ロックピン挿入孔49が設けられており、後述するように流路仕切部材3を雄ねじ部材2に取り付けた際に、このロックピン挿入孔49に挿入されるロックピン(図示省略)によって、雄ねじ部材2に対して流路仕切部材3の回り止めが図られるようになっている。
【0049】
図3〜5等に示すように、槽内突出部4における前面側開口には、その開口全域を閉塞する態様に、前部閉塞板5が着脱自在に取り付けられている。
【0050】
前部閉塞板5のLED室45に対応する部分は、透明な合成樹脂製の透明窓51によって構成されている。従ってLED46が点灯した際には、その照明光が透明窓51を透過して給湯口アダプターの前方に照射されるようになっている。
【0051】
図5〜8に示すように、第1および第2流路43a,43bの中間部(一部)は、第1および第2発電室7a,7bとして構成されている。
【0052】
第1および第2発電室7a,7b内には、流路43a,43bの幅方向に沿って、棒状の支持部材71,71が取り付けられている。各支持部材71,71には、帯板形状の複数の揺動板72…の中間部が固定されている。揺動板72は、各支持部材71に対しそれぞれ3つずつ設けられており、各揺動板72は、お湯の流れ方向に沿うようにして配置されている。
【0053】
各揺動板72は、弾力性ないし可撓性を有するもので、支持部材71への取付位置(中央部)を支点として、両端部(揺動端部)が揺動できるようになっている。さらに各揺動板72の揺動端部には、所定の質量を有する錘体(ウエイト)73が取り付けられている。
【0054】
なお、本実施形態において、揺動板72は、圧電素子を含む圧電素子板(圧電素子フィルム)を構成するものである。
【0055】
さらに揺動板72を支持する支持部材71には、その内部に銅線等のリード線が組み込まれており、後述するように揺動板72の圧電素子によって発生した電力を、そのリード線を介して取り出せるようになっている。
【0056】
発電室7a,7bの底面における第1および第2連通孔41a,41b側の位置には水流撹乱用突起66,66がそれぞれ設けられるとともに、第1および第2開口42a,42b側の位置にも、水流撹乱用突起66,66がそれぞれ設けられている。各水流撹乱用突起66は、発電室7a,7bの底面から前方(前部閉塞板5側)に向けて突出するように形成されている。そして第1および第2連通孔41a,41bまたは第1および第2開口42a,42bから発電室7a,7b内に流入するお湯は、水流撹乱用突起66,66によってかき乱されて乱流となり、第1および第2開口42a,42bまたは第1および第2連通孔41a,41bから流出するようになっている。
【0057】
なお図4に示すように前部閉塞板5の裏面側における発電室7a,7bに対応する位置には、各発電室7a,7bにそれぞれ2つずつ水流撹乱用突起56,56が形成されている。この水流撹乱用突起56,56は、発電室7a,7bの底面に設けられる上記水流撹乱用突起66,66と同様に、発電室7a,7b内を流通するお湯を撹乱して、お湯の流れを乱流状態とするものである。
【0058】
本実施形態において、流路仕切部材3には、LED46の点灯(発光)を制御する制御回路(図示省略)が設けられている。さらに発電室7a,7bの揺動板72の支持部材71に含まれるリード線と、上記制御回路とは電気的に接続されている。これにより揺動板72が揺動して電力が発生した際に、その電力によって、LED46が点灯するようになっている。
【0059】
以上の構成の発電室7a,7bにおいて、例えば第1および第2連通孔41a,41bから発電室7a,7b(第1および第2流路43a,43b)にお湯が流入すると、そのお湯は、水流撹乱用突起66によってかき乱されて乱流となり、そのお湯によって揺動板72の揺動端部が激しく揺動して圧電素子が作動することによって、電力が発生するようになっている。
【0060】
逆に第1および第2開口42a,42bから発電室7a,7bにお湯が流入した場合でも、そのお湯は、水流撹乱用突起66によってかき乱されて乱流となり、そのお湯によって揺動板72の揺動端部が激しく揺動し、電力が発生するようになっている。
【0061】
以上の構成の流路仕切部材3は、浴槽側壁Wに組み付けられた雄ねじ部材2に、周知の取付手段によって着脱自在に組み付けられる。このとき、流路仕切部材3における円筒部31が、雄ねじ部材2の内部に配置される槽外取付部材1の内筒部11に挿入される。
【0062】
言うまでもなく、本発明において、給湯口アダプターの組付手順は、限定されるものではなく、どのような手順で行っても良い。
【0063】
この組付状態では、図1に示すように、槽外取付部材1の内筒部11と流路仕切部材3の円筒部31との間にOリング81が配置され、そのOリング81によって、両部材11,31間の水密が図られるとともに、流路仕切部材3の槽内突出部4の後面に設けられたパッキン84によって、流路仕切部材3の槽内突出部4と、雄ねじ部材2のフランジ部25との間の水密が図られるようになっている。
【0064】
こうして浴槽に組み付けられた給湯口アダプターにおいては、内側流路Aが、流路仕切部材3の第1連通孔41aを通じて、流路仕切部材3の第1流路43a(第1発電室7a)に連通されるとともに、第1流路43a(第1発電室7a)が第1開口42aおよびカバー部材9の開口92を介して浴槽内に連通(開放)されている。また外側流路Bが、流路仕切部材3の第2連通孔41bを通じて、流路仕切部材3の第2流路43b(第2発電室7b)に連通されるとともに、第2流路43b(第2発電室7b)が第2開口42aおよびカバー部材9の開口92介して浴槽内に連通(開放)されている。
【0065】
そして本実施形態においては、内側流路Aおよび第1流路43a(第1発電室7a)によって、往き流路および戻り流路のうち、いずれか一方の流路が構成されるとともに、外側流路Bおよび第2流路43b(第2発電室7b)によって、残り一方の流路が構成される。
【0066】
本実施形態の給湯口アダプターは、既述したように、室外給湯機と配管接続する際に、槽外取付部材1における2つの外管接続部1a,1bに対して、室外給湯機につながる往き管および戻り管のどちらを接続しても使用可能な無極性タイプのものである。
【0067】
例えば第1外管接続部1aに往き管、第2外管接続部1bに戻り管を接続した状態において、追い焚き処理を行った場合には、給湯機から供給されるお湯が往き管および第1外管接続部1aを通って内側流路Aに導入され、さらにそのお湯が内側流路Aおよび流路仕切部材3の第1流路43aを通って、第1開口42aから浴槽内に供給される。
【0068】
吸込側では、給湯機の吸引力によって、戻り管および外側流路Bが負圧に設定されるため、流路仕切部材3の第2流路43bも負圧となる。従って、浴槽内のお湯(水)は、流路仕切部材3の第2開口42bから第2流路43bに吸い込まれて、外側流路Bおよび戻り管を通って給湯機に戻される。
【0069】
従ってこのように配管接続された場合には、内側流路Aおよび第1流路43aによって往き流路が構成され、外側流路Bおよび第2流路43bよって戻り流路が構成される。
【0070】
そして追い焚き時においては、槽内突出部4に設けられたLED46が点灯するようになっている。すなわち往き流路側においては、第1連通孔41aから第1流路43aに流入するお湯に従って、各揺動板72の各揺動端部が揺動(振動)する。これにより揺動板72に含まれる圧電素子が作動して電力が発生する。特に本実施形態においては、各揺動板72の各揺動端部に錘体73が設けられているため、揺動する揺動板72の慣性力や、水流に対する抵抗が大きくなる。このため揺動板72は、お湯が流通している間、不用意に停止することなく連続的に揺動し、十分な電力が供給される。
【0071】
また戻り流路側においては、第2開口42bから第2流路43bに吸い込まれたお湯によって、上記と同様に、揺動板72が揺動して、電力が発生する。
【0072】
このように往き流路側および戻り流路側の双方の発電室7a,7bで発生した電力によって、LED46が点灯する。さらにこうして点灯されたLED46の照明光が給湯口アダプターの前方に照射されて、浴槽内のお湯に光の演出効果を与えることができ、心地良い入浴環境を得ることができる。
【0073】
一方、第2外管接続部1bに往き管、第1外管接続部1aに戻り管を接続した状態で、追い焚き処理を行った場合には、上記とは逆回りに循環する。すなわち給湯機からのお湯が、往き管、第2外管接続部1b、外側流路Bおよび第2流路43b(第2発電室7b)を通って、第2開口42bから浴槽内に供給されるとともに、浴槽内のお湯は、第1開口42aから吸い込まれて、第1流路43a(第1発電室7a)、内側流路A、第1外管接続部1aおよび戻り管を通って給湯機に戻される。
【0074】
従ってこのように配管接続された場合には、内側流路Aおよび第1流路43aによって戻り流路が構成され、外側流路Bおよび第2流路43bによって往き流路が構成される。
【0075】
さらにこのように配管接続された場合であっても、上記と同様に、発電室7a,7bで発電してLED46が点灯する。
【0076】
なお本実施形態の給湯口アダプターは、ダブル搬送方式によって湯はりを行うものである。すなわち湯はり時には、給湯機から往き管および戻り管の双方にお湯が供給され、そのお湯が、給湯口アダプターの内側および外側流路A,B、第1および第2流路43a,43bを通って、第1および第2開口42a,42bから浴槽内に供給される。
【0077】
この湯はり時においても、上記と同様に、発電室7a,7bで発電して、LED46が点灯する。
【0078】
以上のように、本実施形態の給湯口アダプターによれば、追い焚き時等に自己発電によりLED46を点灯させて、浴槽内に光による所定の演出効果を与えることができる。
【0079】
さらに本実施形態の給湯口アダプターは、圧電素子を用いて発電するようにしているため、つまり、圧電素子としての揺動板72を、発電室7a,7b内を流通するお湯の水流によって揺動させて発電するようにしているため、発電部の構造を簡素に仕上げることができ、小型化を図ることができる。特に、本実施形態の給湯口アダプターは、タービン(水車)を回転させて発電するような複雑構造の発電機等を用いる場合と比較して、構造の簡素化および小型化をより確実に図ることができる。
【0080】
しかも、本実施形態においては、発電室7a,7bに水流撹乱用突起56,66を設けて、発電室7a,7b内を流通するお湯を撹乱して乱流状態となるようにしているため、揺動板72を勢い良く揺動(振動)させることができる。従って、圧電素子としての揺動板72を十分に作動させることができ、十分な発電量を確保できて、LED46をより確実に点灯させることができる。
【0081】
特に本実施形態においては、揺動板72の揺動端部に錘体73を取り付けているため、揺動する揺動板72の慣性力や、水流に対する抵抗が大きくなる。従って、揺動板72は、お湯が流通している間、不用意に停止することなく連続的に揺動し、十分な電力が供給されて、LED46を安定した状態でより一層確実に点灯させることができる。
【0082】
さらに本実施形態においては、各発電室7a,7bに揺動板72を複数配置しているため、発電室7a,7bの水流状況に応じて、各揺動板72が自由に揺動する。従って、各揺動板73内の圧電素子を効率良く作動させることができ、十分な発電量をより一層確実に確保するとことができる。
【0083】
また本実施形態においては、往き流路側および戻り流路側の双方に発電室7a,7bを設けているため、一方側のみに発電室を設ける場合と比較して、より多くの発電量を確保でき、LED46をより一層確実に点灯させることができる。
【0084】
なお、上記実施形態においては、発電室7a,7bを、流路仕切部材3の流路43a,43b内に組み込むようにしているが、それだけに限られず、実施形態の発電室7a,7bを独立したケーシング内に組み込んで発電室ユニットを形成し、その発電室ユニットを、槽内突出部5の内部に着脱自在に取り付けるようにしたり、槽内突出部5の外周側面に外付けで着脱自在に取り付けるようにしても良い。
【0085】
また上記実施形態においては、発電室を槽内突出部に設けれるようにしたが、それだけに限られず、本発明において、発電室の設置位置はそれだけに限られることはない。例えば、発電室を内側流路Aおよび外側流路B上に設けるようにしても良い。
【0086】
要は、給湯機からのお湯を流通させて浴槽に吐出する往き流路と、浴槽内からのお湯を流通させて給湯機側に送出する戻り流路との2つ流路のうち、少なくともいちずれか一方の流路上に、発電ユニット等の発電室を設けるようにすれば良い。
【0087】
また上記実施形態においては、発電室で発生した電力によって、LEDを発光させるようにしているが、本発明において、発生した電力の使用用途は限定されるものではない。例えば発生した電力によって、銅イオンを発生させて殺菌作用を果たす銅イオン発生装置を駆動させたり、UVランプを点灯させて殺菌作用を果たす紫外線照射装置等を駆動させるようにしても良い。
【0088】
また上記実施形態においては、圧電素子板としての揺動板72の形状を帯板形状に形成しているが、本発明において、揺動板の形状は、特に限定されるものではない。
【0089】
また上記実施形態においては、発光手段としてLEDを用いるようにしているが、それだけに限られず、本発明においては、豆電球等の白熱電球、蛍光灯等の発光手段を用いるようにしても良い。
【0090】
さらに上記実施形態においては、発光手段を連続して点灯させるようにしているが、それだけに限られず、本発明においては、発光手段を点滅させたり、適当なタイミングで点灯と点滅とを交互に行うようにしても良いし、複数の発光手段をそれぞれ個別のタイミングで点灯させたり消灯させたりするようにしても良い。
【0091】
また上記実施形態においては、発電室7a,7bに設けられる水流撹乱用突起を流路43a,43bの幅方向全域に形成するようにしているが、それだけに限られず、本発明においては、水流撹乱用突起を流路の幅方向の一部に形成するようにしても良いし、複数の水流撹乱用突起を幅方向に等間隔おきに形成したり、複数の水流撹乱用突起を千鳥状あるいはランダムに形成するようにしても良い。
【0092】
また上記実施形態においては、外管接続部1a,1bに、外部の往き管および戻り管のどちらを接続しても使用可能な無極性タイプの給湯口アダプターに、本発明を適用する場合を例に挙げて説明したが、それだけに限られず、本発明は、外部の往き管および戻り管の接続位置が特定されている有極性タイプの給湯口アダプターにも適用することができる。
【0093】
また上記実施形態においては、内部に、流動制御弁が設けられない弁無しタイプの給湯口アダプターに、本発明を適用した場合を例に挙げて説明したが、それだけに限られず、本発明は、内部に流動制御弁が設けられる弁付きタイプの給湯口アダプターにも適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0094】
この発明の浴槽用給湯口アダプターは、例えば一般家庭の浴槽に給湯用金具として利用することができる。
【符号の説明】
【0095】
4:槽内突出部
42:外周壁(外周側面、外面)
46:LED(発光手段)
56:水流撹乱用突起
66:水流撹乱用突起
7a,7b:発電室
72:揺動板(圧電素子板)
73:錘体


【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽外から浴槽内に通じる往き流路および戻り流路を有し、浴槽外からのお湯が前記往き流路を通って浴槽内に吐出されるとともに、浴槽内からのお湯が前記戻り流路を通って浴槽外に送出されるようにした浴槽用給湯口アダプターであって、
前記往き流路および戻り流路のうち少なくともいずれか一方の流路上に、お湯が内部を流通する発電室が設けられ、
前記発電室に、圧電素子を含む圧電素子板が、その端部が揺動可能に取り付けられ、
前記発電室の内部を流通するお湯に従って、前記圧電素子板の端部が揺動することによって圧電素子が作動し、電力が発生するようにしたことを特徴とする浴槽用給湯口アダプター。
【請求項2】
前記圧電素子板の揺動端部に錘体が取り付けられる請求項1に記載の浴槽用給湯口アダプター。
【請求項3】
前記発電室に、その内部を流通するお湯を撹乱するための水流撹乱用突起が設けられる請求項2に記載の浴槽用給湯口アダプター。
【請求項4】
前記発電室に前記圧電素子板が複数設けられる請求項1〜3のいずれか1項に記載の浴槽用給湯口アダプター。
【請求項5】
浴槽内側に配置される発光手段を備え、
前記発電室で発生する電力によって、前記発光手段を発光させるようにした請求項1〜4のいずれか1項に記載の浴槽用給湯口アダプター。
【請求項6】
前記発光手段がLEDによって構成される請求項5に記載の浴槽用給湯口アダプター。
【請求項7】
浴槽内に配置される槽内突出部を備え、
前記発電室が前記槽内突出部に設けられる請求項1〜6のいずれか1項に記載の浴槽用給湯口アダプター。
【請求項8】
前記発電室は、前記往き流路および戻り流路の双方に設けられる請求項1〜7のいずれか1項に記載の浴槽用給湯口アダプター。
【請求項9】
浴槽外から浴槽内に通じる往き流路を有し、浴槽外からのお湯が前記往き流路を通って浴槽内に吐出されるようにした浴槽用給湯口アダプターであって、
前記往き流路上に、お湯が内部を流通する発電室が設けられ、
前記発電室に、圧電素子を含む圧電素子板が、その端部が揺動可能に取り付けられ、
前記発電室の内部を流通するお湯に従って、前記圧電素子板の端部が揺動することによって圧電素子が作動し、電力が発生するようにしたことを特徴とする浴槽用給湯口アダプター。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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