説明

浴槽

【課題】 踵等が痛くなることがなく、長時間、楽な姿勢でベンチ浴が行える浴槽を提供する。
【解決手段】 浴槽の洗い場側辺3の内側に、着座可能な腰掛用段部4を設けるとともに、浴槽の対向辺5に、20°〜60°の傾斜を有するフットレスト6を設け、このフットレスト6は、底面8から立ち上がる立上面11の上端から傾斜状に腰掛用段部4よりも低い位置に形成されている。また、フットレスト6は、対向辺5の中央部に位置し、その両側にはアームレスト7が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴槽に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に開示されているように、腰掛用段部の対面に足置き用段部を形成した浴槽が存在する。
また、特許文献2に開示されているように、浴槽底面に凹段部を形成し、この凹段部の起立部に足裏が当たるように構成したものが存在する。
また、特許文献3に開示されているように、浴槽底面に臀部受け部と足載せ部を形成したものが存在する。
【特許文献1】実開平2−119885号公報
【特許文献2】実開昭61−086091号公報
【特許文献3】特開平6−141997号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記特許文献1に開示されている構成では、腰掛用段部に腰をおろし、足置き用段部に足をおいて、ベンチ浴を行う際に、足置き用段部の位置が高く、不自然な体勢となり、足の踵が足置き段部に当たるため、長時間ベンチ浴を行うと踵等が痛くなってしまうという問題点があった。
また、前記特許文献2に開示されている構成では、ベンチは存在せず、浴槽の底面に腰をおろして凹段部の起立部に足を当てる姿勢では、底面に踵がつき、長時間の入浴では踵が痛くなってしまうという問題点があった。
また、前記特許文献3に開示されている構成では、ベンチは存在せず、足載せ部に足をおくと、やはり踵が底に当たり、長時間では踵が痛くなってしまうという問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は上記従来の問題点に鑑み案出したものであって、踵等が痛くなることなく、長時間快適にベンチ浴を行うことのできる浴槽を提供するものであり、その請求項1は、浴槽内部の一辺に腰掛用段部を設けるとともに、対向辺に20°〜60°の傾斜を有するフットレストを設けたことである。
【0005】
また請求項2は、前記フットレストは、前記腰掛用段部より低い位置に設けられていることである。
【0006】
また請求項3は、前記フットレストは、浴槽底面から立ち上がる立上面の上端から傾斜状に形成されていることである。
【0007】
また請求項4は、前記フットレストは、前記対向辺の中央部に位置し、その両側にはアームレストが形成されていることである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の浴槽は、一辺に腰掛用段部を設けるとともに、対向辺に20°〜60°の傾斜を有するフットレストを設けたことにより、腰掛用段部に着座した時に、対面に足置きスペースが確保でき、ベンチ浴の際の人間の足裏の角度は20°〜60°であるため、足の関節の動きに無理なく足を面で支えて楽な姿勢でベンチ浴を行うことができ、長時間快適にベンチ浴を行えるものとなる。
また、足が対面のフットレストに面で接するため、腰掛用段部に着座している臀部の滑りを止めることができ、安定した姿勢でベンチ浴が行えるものとなる。
【0009】
また、フットレストは、腰掛用段部より低い位置に設けられていることにより、腰掛用段部に着座して、自然な姿勢で足をフットレストに置くことができ、長時間のベンチ浴でも、無理なく疲労を伴わない姿勢を維持できるものとなる。
【0010】
また、フットレストは、浴槽底面から立ち上がる立上面の上端から傾斜状に形成されていることにより、浴槽内で立った状態で、誤ってフットレストに足がかかってしまい、踏み外すようなことがなく、フットレストを使用しない時は、邪魔にならず良好に入浴できるものとなる。
【0011】
また、フットレストは、対向辺の中央部に位置し、その両側にはアームレストが形成されていることにより、ベンチ浴の際には、フットレストが良好に足置きスペースとして機能し、全身浴の際には、両サイドがアームレストとして有効に機能し、快適に入浴できるものとなる。
【実施例】
【0012】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1は、浴槽の平面構成図であり、また図2は、浴槽の中央部の縦断面構成図である。
図において、浴槽1は、洗い場2側にアーチ状の洗い場側辺3が形成されており、この洗い場側辺3の内側には、浴槽内で着座することのできる腰掛用段部4が形成されている。
また、洗い場側辺3と対向する壁側辺5には、中央部に足を置くことのできるフットレスト6が形成されており、このフットレスト6の両側にはアームレスト7,7が形成されている。また、浴槽の底面8には、排水口9と滑り止め10が設けられている。
【0013】
図2の縦断面図で示すように、前記腰掛用段部4とアームレスト7,7は、底面8から200mmの高さ位置に設定され、それぞれ底面8側に向かって2°程度の水勾配が形成されている。
一方、フットレスト6は、底面8から立ち上がった立上面11の上端から傾斜状に、腰掛用段部4及びアームレスト7の位置よりも低い位置に形成されている。
【0014】
なお、図2に示すように、フットレスト6の下端は、底面8から90mmの高さ位置に設定され、またフットレスト6の上端は、底面8から170mmの高さ位置に設定されており、腰掛用段部4に着座した状態で、図3に示すように、足の関節の動きに無理なく楽な姿勢で足をフットレスト6に面接触で置くことができるように、このフットレスト6は、20°〜60°の傾斜角に設定されている。
即ち、腰掛用段部4に着座して行うベンチ浴においては、人間の足裏面の角度は20°〜60°程度であり、フットレスト6に面接触で足を支持させることができるものである。
【0015】
なお、フットレスト6の傾斜角が20°以下または60°以上であると、フットレスト6に対し足の裏面が面接触できないものとなり、足の裏が点接触となって、長時間では痛みが生じることとなるが、本例では足の裏はフットレスト6に面接触となるため、長時間でも楽な姿勢でベンチ浴を行うことができるものとなる。
【0016】
また、このフットレスト6は、腰掛用段部4よりも低い位置にあるため、腰掛用段部4に着座して極めて自然な姿勢で足を置くことができ、面接触で足をフットレスト6に置いて、腰掛用段部4上に着座した臀部の滑りを抑えることもでき、無理なく疲労を伴わない姿勢で長時間のベンチ浴が可能となる。
【0017】
また、フットレスト6は、立上面11の上端から傾斜状に形成されているため、浴槽1内で立った状態で、誤ってフットレスト6に足がかかってしまって踏み外すことはなく、フットレスト6を使用しない時には、邪魔になることがなく、浴槽1内で全身浴を行う際等には、フットレスト6は邪魔にならず、両サイドのアームレスト7上に腕をおいて、良好な姿勢で全身浴を行うことができるものとなる。
【0018】
なお、フットレスト6は図3に示すように、足裏を面接触で置いた際に、足の踵が浮き上がる程度の長さに設定しておくことで、踵が何れの部位にも当たらず、従来のように踵が接触して踵が痛くなることがない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】浴槽の設置状態の平面構成図である。
【図2】浴槽の中央部の縦断面構成図である。
【図3】フットレストに面接触で足を載せて使用している状態の要部拡大構成図である。
【符号の説明】
【0020】
1 浴槽
2 洗い場
3 洗い場側辺
4 腰掛用段部
5 壁側辺
6 フットレスト
7 アームレスト
8 底面
11 立上面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽内部の一辺に腰掛用段部を設けるとともに、対向辺に20°〜60°の傾斜を有するフットレストを設けたことを特徴とする浴槽。
【請求項2】
前記フットレストは、前記腰掛用段部より低い位置に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の浴槽。
【請求項3】
前記フットレストは、浴槽底面から立ち上がる立上面の上端から傾斜状に形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の浴槽。
【請求項4】
前記フットレストは、前記対向辺の中央部に位置し、その両側にはアームレストが形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2または請求項3に記載の浴槽。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−20659(P2006−20659A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−198638(P2004−198638)
【出願日】平成16年7月5日(2004.7.5)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】