説明

消失性模型の組立方法および組立装置

【目的】 幹に相当するスプルーに枝ないしは葉に相当する所定個数のユニット模型を溶着してツリー状の消失性模型を自動的に組立てる。
【構成】 ユニット模型を射出成形により成形する射出成形機構11と、あらかじめ成形したスプルー2をユニット模型の溶着位置Pで当該スプルー2の軸方向および/または周方向にユニット模型の間隔分だけ移動させるスプルー軸方向移動機構41および/またはスプルー周方向移動機構61と、射出成形されたユニット模型を射出成形位置から溶着位置Pに移動させてスプルー2に近接ないしは圧着させるユニット模型移動機構21と、ユニット模型を射出成形位置から溶着位置Pに移動させる間にユニット模型のワックスゲート部分を切除するワックスゲート部分切除機構31と、スプルー2およびユニット模型のうちの少なくとも一方を部分的に加熱して溶融する加熱体を溶着位置Pに移動させる加熱体移動機構51を具備してなる消失性模型の組立装置。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、幹に相当するスプルーに枝ないしは葉に相当する所定個数のユニット模型を溶着してツリー状の消失性模型に組立てるのに利用される消失性模型の組立方法および組立装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、精密鋳造法の一つとして、消失性模型を用いる方法があり、なかでも消失性材料としてワックスを使用するロストワックス法が広く採用されている。
【0003】このロストワックス法は、消失性材料であるワックスを使用してインジェクションマシン等の射出成形機により製作したユニット模型をスプルーに所定個数溶着してツリー状の消失性模型とし、スラリー付着と、スタッコイング(サンディング)と、乾燥とを複数回繰り返して複数層からなる耐火物被覆を形成し、乾燥した後加熱して脱ろうし、次いで焼成することによって、鋳型強度を高めたセラミックシェル鋳型とし、この鋳型内に金属溶湯を注入したのち凝固させ、型ばらしおよび砂落しを行ってツリー状の鋳造体を得たのち、切断して各々の鋳造部品となるようにする精密鋳造法である。
【0004】このようなロストワックス法では、上述したように、幹に相当するスプルーに枝ないしは葉に相当する所定個数のユニット模型を溶着してツリー状の消失性模型に組立てる必要があるが、従来の場合には、作業者が加熱したコテを使用して1個1個手作業により行っていた。
【0005】また、このような手作業による作業性の低下を改善するために、1本の円筒多孔型湯道棒に、金属製筒状組立ユニットの周囲に複数のワックス模型を一体成型したユニット模型を順次嵌め込んで相互に接着することにより消失性模型に組立てるようにした方法も提案されていた(例えば、特公昭63−9901号公報)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記した組立て方法では、各ユニット模型は、金属製筒状組立ユニットに設けた孔よりワックスを流出させることによってそれぞれのワックス模型を接着することにより構成するものとし、これらのユニット模型を円筒多孔型湯道棒に嵌め込むようにしていたため、金属製筒状組立ユニットの位置決め、金属製筒状組立ユニットに設けた孔からのワックスの流出,ユニット模型の湯道棒への嵌め込み、などといった多くの工程を必要とすると共に、金属製筒状組立ユニットなどといった非消失性材料の使用も多くなるという問題点があり、しかも生産量に応じてワックス模型の数や組立密度を任意に設定することが困難なものになりやすいという問題点を有し、非消失性材料からなる筒状組立ユニットを用いたり、これらを湯道棒に嵌め込んだりする必要がない簡便な消失性模型の組立方法および組立装置の開発が課題となっていた。
【0007】
【発明の目的】本発明は、上述した従来の課題にかんがみてなされたもので、金属製ユニット部材などの非消失性部材を消失性模型内に組み込むことなく、幹に相当するスプルーに枝ないしは葉に相当する所定個数のユニット模型を自動的に溶着組立てすることが可能である消失性模型の組立方法および組立装置を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明に係わる消失性模型の組立方法は、幹に相当するスプルーに枝ないしは葉に相当する所定個数のユニット模型を溶着してツリー状の消失性模型に組立てるに際し、射出成形により成形されたユニット模型を射出成形型より取り出して当該ユニット模型の不要となるワックスゲート部分を切除したのちスプルーへの溶着位置に移動し、ユニット模型およびスプルーのうち少なくとも一方を部分的に加熱溶融してユニット模型とスプルーとを溶着し、溶着後にスプルーを軸方向および/または周方向にユニット模型の間隔分だけ移動すると共に、射出成形により成形された次のユニット模型を射出成形型より取り出して当該ユニット模型のワックスゲート部分を切除したのちスプルーへの溶着位置に移動し、ユニット模型およびスプルーのうち少なくとも一方を部分的に加熱溶融してユニット模型とスプルーとを溶着し、溶着後にスプルーを軸方向および/または周方向にユニット模型の間隔分だけ移動すると共に、射出成形により成形された次のユニット模型を射出成形型より取り出して当該ユニット模型のワックスゲート部分を切除したのちスプルーへの溶着位置に移動する工程を繰返してスプルーに所定個数のユニット模型をツリー状に溶着する構成としたことを特徴としている。
【0009】また、本発明に係わる消失性模型の組立装置は、幹に相当するスプルーに枝ないしは葉に相当する所定個数のユニット模型を溶着してツリー状の消失性模型に組立てる装置であって、ユニット模型を射出成形により成形する射出成形機構と、あらかじめ成形したスプルーをユニット模型の溶着位置で当該スプルーの軸方向および/または周方向にユニット模型の間隔分だけ間欠移動させるスプルー軸方向移動機構および/またはスプルー周方向移動機構と、前記射出成形されたユニット模型を射出成形位置から溶着位置に移動させて前記スプルーに近接ないしは圧着させるユニット模型移動機構と、前記ユニット模型移動機構によってユニット模型を射出成形位置から溶着位置に移動させる間に当該ユニット模型のワックスゲート部分を切除するワックスゲート部分切除機構と、前記スプルーおよびユニット模型のうち少なくとも一方を部分的に加熱溶融する加熱体を前記溶着位置に移動させる加熱体移動機構を備えた構成としたことを特徴としており、実施態様において、射出成形機構,ユニット模型移動機構,ワックスゲート部分切除機構,スプルー軸方向移動機構および/またはスプルー周方向移動機構,および加熱体移動機構に対しそれぞれ必要な制御指令を伝達する射出成形機構制御部,ユニット模型移動機構制御部,ワックスゲート部分切除機構制御部,スプルー軸方向移動機構制御部および/またはスプルー周方向移動機構制御部,および加熱体移動機構制御部を備えた構成とし、同じく実施態様において、射出成形機構が射出成形型からユニット模型を取外すノックアウトを備え、スプルー軸方向移動機構が一軸ロボットを備え、スプルー周方向移動機構がステッピングモータを備え、ユニット模型移動機構が水平多関節ロボットを備え、ワックスゲート部分切除機構がカッターを備え、加熱体移動機構が同時三軸ロボットを備える構成としたことを特徴としており、上述した消失性模型の組立方法および組立装置に係わる発明の構成をもって前述した従来の課題を解決するための手段としている。
【0010】
【発明の作用】あらかじめ成形されたスプルーがスプルー軸方向移動機構によってユニット模型の溶着位置で移動位置決めされた状態において、射出成形機構によって射出成形されたユニット模型が射出成形型より取り出されてユニット模型移動機構によって当該ユニット模型が前記スプルーとの溶着位置に移動され、この移動の間にワックスゲート部分切除機構によってユニット模型のワックスゲート部分が切除されて前記スプルーに近接ないしは圧着した状態となり、加熱体移動機構により加熱体が前記スプルーとユニット模型との近接部分ないしは圧着部分に移動されて前記近接部分ないしは圧着部分のスプルーおよびユニット模型のうち少なくとも一方を部分的に加熱溶融し、前記スプルーとユニット模型とが圧着されることによって、固化後に前記スプルーの所定位置に前記ユニット模型が溶着される。
【0011】次いで、スプルー軸方向移動機構によってスプルーを軸方向にユニット模型の間隔分だけ移動させ、射出成形機構によって射出成形された次のユニット模型が射出成形型より取り出されてユニット模型移動機構によって当該ユニット模型が前記スプルーとの溶着位置に移動され、この移動の間にワックスゲート部分切除機構によってユニット模型のワックスゲート部分が切除されて前記スプルーに近接ないしは圧着した状態となり、加熱体移動機構により加熱体が前記スプルーとユニット模型との近接部分ないしは圧着部分に移動されて前記近接部分ないしは圧着部分のスプルーおよびユニット模型のうち少なくとも一方を部分的に加熱溶融し、前記スプルーと次のユニット模型とが圧着されることによって、固化後に前記スプルーの所定位置に溶着される。
【0012】続いて、スプルー軸方向移動機構によってスプルーを軸方向にユニット模型の間隔分だけ移動させ、前記と同様にして射出成形機構によって射出成形されたユニット模型を射出成形のたびごとに溶着することにより、スプルーの軸方向に複数個のユニット模型を溶着する。
【0013】そして、スプルーの周方向にも複数個のユニット模型を溶着する場合には、スプルー周方向移動機構によってスプルーを周方向にユニット模型の間隔分だけ移動させ、この状態で前記と同様に射出成形機構によって射出成形されたユニット模型を射出成形のたびごとにスプルーの軸方向に複数個のユニット模型を溶着する。
【0014】このようにして、スプルーの軸方向に複数個のユニット模型を溶着固定し、必要ならばスプルーの周方向にも複数個のユニット模型を溶着して、所定個数のユニット模型をスプルー溶着した消失性模型に組立てるが、この間、射出成形機構制御部,スプルー軸方向移動機構制御部,ユニット模型移動機構制御部,ワックスゲート部分切除機構制御部,加熱体移動機構制御部,スプルー周方向移動機構制御部により、各々、射出成形機構,スプルー軸方向移動機構,ユニット模型移動機構,ワックスゲート部分切除機構,加熱体移動機構,スプルー周方向移動機構に必要な制御指令を伝達して、ユニット模型の射出成形態様,スプルーの軸方向移動態様,ユニット模型の移動態様,ワックスゲート部分の切除態様,加熱体の移動態様,スプルーの周方向移動態様をそれぞれより正確かつ確実なものにするようになすこともできる。
【0015】これによって、幹に相当するスプルーに枝ないしは葉に相当する所定個数のユニット模型の溶着が自動的に行われるようになり、消失性模型の組立てに人手を要しないものとなる。また、金属製の組立てユニットも必要としないのでこのような非消失性部材である金属製の組立てユニットなどが消失性模型の一部を構成するようなこともなくなる。
【0016】さらに、上記説明では、スプルーの軸方向にユニット模型を複数個溶着したのち、スプルーを周方向に所定量だけ回動させる場合を示しているが、スプルーの周方向にユニット模型を複数個溶着したのち、スプルーを長さ方向に所定量だけ移動させる場合であっても良いことはいうまでもない。
【0017】
【実施例】図1は、本発明に係わる消失性模型の組立方法の実施に使用する消失性模型の組立装置の全体構成を示すものであって、この消失性模型の組立装置1は、図6R>6に示すように、幹に相当するスプルー2に枝ないしは葉に相当するユニット模型3を所定個数溶着してツリー状の消失性模型4に組立てるのに使用されるものである。
【0018】図1に示すように、この消失性模型の組立装置1は、ユニット模型3を射出成形により成形する射出成形機構としての射出成形機11と、前記ユニット模型3を溶着位置Pに移動させて、あらかじめ成形したスプルー2に近接ないしは圧着させるユニット模型移動手段としての水平多関節ロボット21と、ユニット模型3を前記水平多関節ロボット21によって射出成形位置から溶着位置Pに移動させる間に当該ユニット模型3のワックスゲート部分を切除するワックスゲート部分切除機構としてのカッター31と、前記スプルー2を前記ユニット模型3の溶着位置Pで当該スプルー2の軸方向に移動させるスプルー軸方向移動機構としての一軸ロボット41と、前記近接ないしは圧着状態にあるスプルー2およびユニット模型3のうち少なくとも一方を部分的に加熱して溶融する加熱体を前記溶着位置Pに移動させる加熱体移動機構としての同時三軸ロボット51と、前記スプルー2をユニット模型3の溶着位置Pで当該スプルー2の周方向に移動させるスプルー周方向移動機構としてのステッピングモータ61を備え、制御系として、射出成形機構(射出成形機)11と、ユニット模型移動機構(水平多関節ロボット)21と、ワックスゲート部分切除機構(カッター)31と、スプルー軸方向移動機構(一軸ロボット)41と、加熱体移動機構(同時三軸ロボット)51と、スプルー周方向移動機構(ステッピングモータ)61にそれぞれ必要な制御指令を伝達する射出成形機構制御部71aと、ユニット模型移動機構制御部71bと、ワックスゲート部分切除機構制御部71cと、スプルー軸方向移動機構制御部71dと、加熱体移動機構制御部71eと、スプルー周方向移動機構制御部71fを有する制御部71を備えた構成をなすものである。
【0019】これらのうち、射出成形機構としての射出成形機11は、図1,図2および図5に示すように、射出成形用ノズル12を備えた射出成形用本体部13が射出成形型14に対して接近・離間する構造となっており、接近した状態において射出成形用ノズル12から噴射された溶融ワックスがワックスゲート部分15を通って射出成形型14の成形空間内に入るようになっている。
【0020】そして、前記射出成形型14は図示左右方向に移動するものとなっており、その移動方向の右端側でノックアウト16によって射出成形型14からユニット模型3を取り外しうるものとなっている。
【0021】また、ユニット模型3を溶着位置Pに移動させてスプルー2に近接ないしは圧着させるユニット模型移動機構としての水平多関節ロボット21は、図1および図2に示すように、ユニット模型3の保持用アーム部22を有しており、ノックアウト16によって射出成形型14から取り外されたユニット模型3を溶着位置Pに移動させそしてスプルー2に近接ないしは圧着させることができる向きに動くものとなっている。
【0022】そして、前記水平多関節ロボット21によってユニット模型3が射出成形型14から溶着位置Pに移動する間に当該ユニット模型3のゲート部分を切除するワックスゲート部分切除機構としてのカッター(図示しない1枚または一対のスライド刃を有する)31によってゲート部分が切除される。
【0023】一方、あらかじめ成形されたスプルー2をユニット模型3の溶着位置Pで当該スプルー2の軸方向に移動させるスプルー軸方向移動機構としての一軸ロボット41は、図1および図4に示すように、バキューム方式によるスプルー2の保持部42を有しており、この保持部42によって保持されたスプルー2をその軸方向に移動させることができるように動くものとなっている。
【0024】さらに、近接ないしは圧着状態にあるスプルー2およびユニット模型3のうち少なくとも一方を部分的に加熱して溶融するための加熱体を溶着位置Pに移動させる加熱体移動機構としての同時三軸ロボット51は、図1および図3に示すように、加熱体であるコテ52を保持するコテ保持部53を有しており、加熱されたコテ52をスプルー2とユニット模型3との近接ないしは圧着部分すなわちスプルー2とユニット模型3との間に移動させることができるように動くものとなっている。そして、このコテ52は、ユニット模型3の形状等によって、実線で示す左側からと、仮想線で示す右側からと二方向より選択できるものとしている。さらに、この加熱体移動機構には加熱体であるコテ52の部分に残存する溶融ワックスを除去するための熱風ブロアーをそなえているものとすることもよい。
【0025】このような構成を有する消失性模型の組立装置1を用いて図6に示すような消失性模型4の組立てを行うに際しては、あらかじめ成形されたスプルー2が、スプルー軸方向移動機構である一軸ロボット41によってユニット模型3の溶着位置Pにおいて移動位置決めされた状態において、射出成形機構である射出成形機11によって射出成形されたユニット模型3がノックアウト16により射出成形型14から取外され、ユニット模型移動機構である水平多関節ロボット21の保持用アーム部22によってユニット模型3が保持され、スプルー2との溶着位置Pに向けて移動する途中においてワックスゲート部分切除機構であるカッター31によりワックスゲート部分が切除されたのち溶着位置Pに移動して、前記スプルー2に近接ないしは圧着した状態となり、加熱体移動機構である同時三軸ロボット51により加熱体であるコテ52が前記スプルー2とユニット模型3との近接部分ないしは圧着部分に移動されて前記近接部分ないしは圧着部分のスプルー2およびユニット模型3のうちの少なくとも一方を部分的に加熱溶融し、前記スプルー2とユニット模型3とが圧着されることによって、固化後に前記スプルー2の所定位置に前記ユニット模型3が溶着される。
【0026】次いで、スプルー軸方向移動機構である一軸ロボット41によってスプルー2を軸方向にユニット模型3の間隔だけ移動させ、射出成形機11によって成形された次のユニット模型3がノックアウトピン16により射出成形型14から取り外されてユニット模型移動機構である水平多関節ロボット21の保持用アーム部22によって保持され、前記スプルー2との溶着位置Pに向けて移動される途中においてカッター31によりワックスゲート部分が切除されたあとスプルー2に近接ないしは圧着した状態となり、加熱体移動機構である同時三軸ロボット51により加熱体であるコテ52が前記スプルー2とユニット模型3との近接部分ないしは圧着部分に移動されて前記近接部分ないしは圧着部分のスプルー2およびユニット模型3のうちの少なくとも一方を部分的に加熱溶融し、前記スプルー2とユニット模型3とが圧着されることによって、固化後に前記スプルー2の所定位置に溶着される。
【0027】続いて、スプルー軸方向移動機構である一軸ロボット41によってスプルー2を軸方向にユニット模型3の間隔だけ移動させ、前記と同様にして射出成形機11によってユニット模型3を射出成形する毎にユニット模型3をスプルー2に溶着することにより、スプルー2の軸方向に複数個のユニット模型3を溶着する。
【0028】そして、スプルー2の周方向にも複数個のユニット模型3を溶着する場合には、スプルー周方向移動機構であるステッピングモータ61によってスプルー2を周方向にユニット模型3の間隔だけ移動させ、この状態で前記と同様に射出成形機11によってユニット模型3を射出成形する毎にスプルー2の周方向に複数個のユニット模型3を溶着する。
【0029】このようにして、スプルー2の軸方向に複数個のユニット模型3を溶着固定し、必要ならばスプルー2の周方向にも複数個のユニット模型3を溶着して所定個数のユニット模型3をスプルー2に溶着した消失性模型4に組立てるが、この間、射出成形機構制御部71a,ユニット模型移動機構制御部71b,ワックスゲート部分切除機構制御部71c,スプルー軸方向移動機構制御部71d,加熱体移動機構制御部71e,スプルー周方向移動機構制御部71fにより、各々、射出成形機構である射出成形機11,ユニット模型移動機構である水平多関節ロボット21,ワックスゲート部分切除機構であるカッター31,スプルー軸方向移動機構である一軸ロボット41,加熱体移動機構である同時三軸ロボット51,スプルー周方向移動機構であるステッピングモータ61に必要な制御指令を伝達して、射出成形機11による射出成形,ユニット模型3の移動,カッター31による切除,スプルー2の軸方向移動,加熱体であるコテ52の移動,スプルー2の周方向移動などをそれぞれより正確かつ確実なもの制御にする。そして、完成したツリー状の消失性模型は矢印方向への移動手段を有するストック部80に移される。
【0030】これによって、幹に相当するスプルー2に枝ないしは葉に相当する所定個数のユニット模型3の溶着が自動的に行われるようになり、消失性模型4の組立てに人手を全く要しないものとなる。また、金属製の組立てユニットなども必要としないのでこのような非消失性部材である金属製の組立てユニットが消失性模型の一部を構成するようなこともなくなる。
【0031】なお、上記実施例においては、スプルー2の軸方向にユニット模型3を複数個溶着したのち、スプルー2を周方向に所定量だけ回転させる場合を示しているが、スプルー2の周方向にユニット模型3を複数個溶着したのち、スプルー2を軸方向に所定量だけ移動させるようにしても良いものである。
【0032】
【発明の効果】本発明に係わる消失性模型の組立方法および組立装置によれば、金属製ユニット部材などの非消失性部材を消失性模型の内部に組み込むことなく、幹に相当するスプルーに枝ないしは葉に相当する所定個数のユニット模型をその成形から始まって自動的に溶着組立てすることが可能であり、ツリー状をなす消失性模型を組立てる際の作業性が著しく向上したものになるという著大なる効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる消失性模型の組立装置の全体構成を示す平面説明図である。
【図2】本発明に係わる消失性模型の組立装置のうち、射出成形機構の部分を主に示す平面説明図である。
【図3】本発明に係わる消失性模型の組立装置のうち、溶着位置および加熱体移動機構の部分を主に示す平面説明図である。
【図4】本発明に係わる消失性模型の組立装置のうち、スプルー軸方向移動機構およびスプルー周方向移動機構の部分を主に示す平面説明図である。
【図5】本発明に係わる消失性模型の組立装置のうち、射出成形機構の部分を主に示す側面説明図である。
【図6】消失性模型の一例を概略的に示す説明図である。
【符号の説明】
1 消失性模型の組立装置
2 スプルー
3 ユニット模型
4 消失性模型
11 射出成形機構(射出成形機)
21 ユニット模型移動機構(水平多関節ロボット)
31 ワックスゲート部分切除機構(カッター)
41 スプルー軸方向移動機構(一軸ロボット)
51 加熱体移動機構(同時三軸ロボット)
61 スプルー周方向移動機構(ステッピングモータ)
71 制御機構(制御部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】 幹に相当するスプルーに枝ないしは葉に相当する所定個数のユニット模型を溶着してツリー状の消失性模型に組立てるに際し、射出成形により成形されたユニット模型を射出成形型より取り出して当該ユニット模型のワックスゲート部分を切除したのちスプルーへの溶着位置に移動し、ユニット模型およびスプルーのうち少なくとも一方を部分的に加熱溶融してユニット模型とスプルーとを溶着し、溶着後にスプルーを軸方向および/または周方向にユニット模型の間隔分だけ移動すると共に、射出成形により成形された次のユニット模型を射出成形型より取り出して当該ユニット模型のワックスゲート部分を切除したのちスプルーへの溶着位置に移動し、ユニット模型およびスプルーのうち少なくとも一方を部分的に加熱溶融してユニット模型とスプルーとを溶着し、溶着後にスプルーを軸方向および/または周方向にユニット模型の間隔分だけ移動すると共に、射出成形により成形された次のユニット模型を射出成形型より取り出して当該ユニット模型のワックスゲート部分を切除したのちスプルーへの溶着位置に移動する工程を繰返してスプルーに所定個数のユニット模型をツリー状に溶着することを特徴とする消失性模型の組立方法。
【請求項2】 幹に相当するスプルーに枝ないしは葉に相当する所定個数のユニット模型を溶着してツリー状の消失性模型に組立てる装置であって、ユニット模型を射出成形により成形する射出成形機構と、あらかじめ成形したスプルーをユニット模型の溶着位置で当該スプルーの軸方向および/または周方向にユニット模型の間隔分だけ間欠移動させるスプルー軸方向移動機構および/またはスプルー周方向移動機構と、前記射出成形されたユニット模型を射出成形位置から溶着位置に移動させて前記スプルーに近接ないしは圧着させるユニット模型移動機構と、前記ユニット模型移動機構によってユニット模型を射出成形位置から溶着位置に移動させる間に当該ユニット模型のワックスゲート部分を切除するワックスゲート部分切除機構と、前記スプルーおよびユニット模型のうち少なくとも一方を部分的に加熱溶融する加熱体を前記溶着位置に移動させる加熱体移動機構を備えたことを特徴とする消失性模型の組立装置。
【請求項3】 射出成形機構,ユニット模型移動機構,ワックスゲート部分切除機構,スプルー軸方向移動機構および/またはスプルー周方向移動機構,および加熱体移動機構に対しそれぞれ必要な制御指令を伝達する射出成形機構制御部,ユニット模型移動機構制御部,ワックスゲート部分切除機構制御部,スプルー軸方向移動機構制御部および/またはスプルー周方向移動機構制御部,および加熱体移動機構制御部を備えた請求項2に記載の消失性模型の組立装置。
【請求項4】 射出成形機構が射出成形型からユニット模型を取外すノックアウトを備え、スプルー軸方向移動機構が一軸ロボットを備え、スプルー周方向移動機構がステッピングモータを備え、ユニット模型移動機構が水平多関節ロボットを備え、ワックスゲート部分切除機構がカッターを備え、加熱体移動機構が同時三軸ロボットを備える請求項2または3に記載の消失性模型の組立装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図4】
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【公開番号】特開平5−161941
【公開日】平成5年(1993)6月29日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平3−330772
【出願日】平成3年(1991)12月13日
【出願人】(000003713)大同特殊鋼株式会社 (916)