説明

液不透過性のサーフェスシートを備える吸収体製品

本発明の目的は、使用開始時から吸収容量の限界に達する最終段階時に至るまで、吸収速度が経時的に大きく低下することがなく、かつ、リウェット量が極めて少ない吸収体製品を提供することである。上側に位置する液不透過性のサーフェスシートと、下側に位置する液不透過性のバックシートと、前記サーフェスシートと前記バックシートとの間に介在する、高吸水性樹脂を含有し排出液を吸収しうる吸収体とを具備し、前記サーフェスシートに供給された排出液の一部または全部を前記バックシートの側に移動させるための流路を有する、吸収体製品により、上記目的が達成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、吸収体製品に関する。詳しくは、体外排出液の吸収速度が経時的に大きく低下することがなく、かつ、リウェット量が極めて少ない吸収体製品に関する。
【背景技術】
従来の吸収体製品は、上側(着用者の身体に近い側)に位置する液透過性のトップシートと、下側(着用者の身体に遠い側)に位置する液不透過性のバックシートと、これらの間に介在する吸収体とを具備する。この吸収体製品に尿、便、血液含有体液等の体外排出液(以下、単に「排出液」または「液」という。)が供給された場合、排出液は、まず液透過性のトップシートを通過して、吸収体に至る。排出液は、吸収体において、下側に拡散していき、液不透過性のバックシートに至って拡散が停止する。従来の吸収体製品はすべて、このような排出液の吸収機構を利用している。
しかしながら、このような吸収機構を利用する従来の吸収体製品には、二つの大きな本質的問題がある。第一に、排出液の吸収体への吸収量が多くなるに従って、吸収速度が遅くなるという問題がある。第二に、排出液の吸収量が多くなるに従って、特に、吸収容量の限界の付近において、吸収体からトップシートへの液の戻り量、即ち、リウェット量が増大するという問題がある。これらは、液の排出時および排出後における着用者の体表面の水分率を増大させ、蒸れやすく着用感を悪くするとともに、いわゆるオムツかぶれの主因ともなる。
これに対して、これらの問題の解決のために、トップシートや吸収体の性能、構造、通気性等に関して種々の提案がなされているが、未だ根本的な解決に至るような技術は開発されていない。
【発明の開示】
したがって、本発明の目的は、使用開始時から吸収容量の限界に達する最終段階時に至るまで、吸収速度が経時的に大きく低下することがなく、かつ、リウェット量が極めて少ない吸収体製品を提供することである。
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究した結果、従来の常識を破り、排出液を供給される部分である液透過性のトップシートの代わりに液不透過性のサーフェスシートを吸収体上に配し、サーフェスシートの上側の面から吸収体の下部に至る流路を設ける構造とすることによって、排出液の一部または全部を吸収体の下側から上側へと拡散させるという吸収機構を実現することができることを見出した。本発明者は、更に、上記吸収機構により、吸収速度が経時的に大きく低下することがなくなり、かつ、リウェット量が極めて少なくなることを見出した。そして、本発明者は、これらの知見に基づき、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、以下の(1)〜(34)を提供する。
(1)上側に位置する液不透過性のサーフェスシートと、
下側に位置する液不透過性のバックシートと、
前記サーフェスシートと前記バックシートとの間に介在する、高吸水性樹脂を含有し排出液を吸収しうる吸収体と
を具備し、
前記サーフェスシートに供給された排出液の一部または全部を前記バックシートの側に移動させるための流路を有する、吸収体製品。
(2)前記流路が、前記吸収体の前後両端部、左右両端部および中央部の少なくとも一つに設けられている上記(1)に記載の吸収体製品。
(3)前記サーフェスシートが、単層の合成樹脂フィルムからなる上記(1)または(2)に記載の吸収体製品。
(4)前記サーフェスシートが、合成樹脂フィルムと前記合成樹脂フィルムの上側の面に設けられた不織布との積層体からなる上記(1)または(2)に記載の吸収体製品。
(5)前記合成樹脂フィルムが前記流路を構成する凹凸を有する上記(3)または(4)に記載の吸収体製品。
(6)前記サーフェスシートが、前記吸収体の上側の面の一部が露出するように配置されている上記(1)〜(5)のいずれかに記載の吸収体製品。
(7)前記サーフェスシートが、液透過性部を有する上記(1)〜(6)のいずれかに記載の吸収体製品。
(8)前記サーフェスシートの上側の面の少なくとも一部に、前記流路を有する液透過性のガイドシートが積層されている上記(1)〜(7)のいずれかに記載の吸収体製品。
(9)前記ガイドシートが、前記吸収体の側面の少なくとも一部を、直接にまたは前記サーフェスシートの上から、覆っている上記(8)に記載の吸収体製品。
(10)前記ガイドシートが、前記流路を構成する凹凸を有し、凸部の一部または全部に開口を有する上記(8)または(9)に記載の吸収体製品。
(11)前記サーフェスシートまたは前記ガイドシートの上側の面の少なくとも一部に、液透過性の不織布からなるスキンコンタクトシートが積層されている上記(1)〜(10)のいずれかに記載の吸収体製品。
(12)前記バックシートが、合成樹脂フィルムからなる上記(1)〜(11)のいずれかに記載の吸収体製品。
(13)前記バックシートを構成する前記合成樹脂フィルムが、通気性を有する上記(12)に記載の吸収体製品。
(14)前記バックシートが、合成樹脂フィルムと前記合成樹脂フィルムの下側の面に設けられた不織布との積層体からなる上記(1)〜(11)のいずれかに記載の吸収体製品。
(15)前記バックシートを構成する前記合成樹脂フィルムおよび前記不織布が、いずれも通気性を有する上記(14)に記載の吸収体製品。
(16)前記バックシートを構成する前記合成樹脂フィルムが、凹凸を有し、かつ、凸部の一部または全部に開口を有し、前記バックシートを構成する前記不織布が、1層以上のスパンボンド不織布と1層以上のメルトブローン不織布とを含む2層以上の耐水性の積層体である上記(14)または(15)に記載の吸収体製品。
(17)前記バックシートを構成する前記合成樹脂フィルムが、上側の面に液のトラップ部を構成する凹凸を有する上記(12)〜(16)のいずれかに記載の吸収体製品。
(18)前記吸収体が、高吸水性樹脂とフラッフ状パルプとの混合物を、液透過性のコアラッピングシートで被覆してなる上記(1)〜(17)のいずれかに記載の吸収体製品。
(19)前記吸収体が、2層の液透過性の不織布とその間に挟持された高吸水性樹脂とを有する上記(1)〜(17)のいずれかに記載の吸収体製品。
(20)前記吸収体が、液透過性の不織布に高吸水性樹脂をコーティング法により担持させてなる上記(1)〜(17)のいずれかに記載の吸収体製品。
(21)前記吸収体における前記高吸水性樹脂の含有量が50質量%以上である上記(1)〜(20)のいずれかに記載の吸収体製品。
(22)上記(1)〜(21)のいずれかに記載の吸収体製品であって、
着用時に着用者の対象部位が入る内部空間を形成しうる吸収体製品本体と、
前記吸収体製品本体に隣接して前記内部空間に連通し、かつ、前記バックシートを内面に有する吸収体ユニット収納部と、
前記吸収体ユニット収納部に着脱自在に収納される、少なくとも前記サーフェスシートと前記吸収体とが組み合わされて構成される吸収体ユニットと
を具備する吸収体製品。
(23)前記吸収体製品本体と前記吸収体ユニット収納部との間の少なくとも一部に、前記ガイドシートを具備する上記(22)に記載の吸収体製品。
(24)前記吸収体製品本体と前記吸収体ユニット収納部との間の少なくとも一部に、液透過性のスキンコンタクトシートを具備する上記(22)または(23)に記載の吸収体製品。
(25)前記吸収体ユニット収納部に、積層された複数個の前記吸収体ユニットを具備する上記(22)〜(24)のいずれかに記載の吸収体製品。
(26)上記(1)〜(21)のいずれかに記載の吸収体製品であって、
着用時に着用者の対象部位が入る内部空間を形成しうる吸収体製品本体と、
前記吸収体製品本体に隣接して前記内部空間に連通し、かつ、前記バックシートを内面に有する吸収体収納部と、
前記吸収体収納部に着脱自在に収納される吸収体と
を具備し、
前記吸収体製品本体と前記吸収体収納部との間の少なくとも一部に前記サーフェスシートを具備する吸収体製品。
(27)前記サーフェスシートの上側の面に、前記ガイドシートが積層されている上記(26)に記載の吸収体製品。
(28)前記サーフェスシートまたは前記ガイドシートの上側の面の少なくとも一部に、液透過性のスキンコンタクトシートを具備する上記(26)または(27)に記載の吸収体製品。
(29)前記吸収体収納部に、積層された複数個の前記吸収体を具備する上記(26)〜(28)のいずれかに記載の吸収体製品。
(30)中央部から前身頃までの尿処理部と、中央部から後見頃までの便処理部とを有する上記(1)〜(29)のいずれかに記載の吸収体製品であって、
前記サーフェスシートが、前記尿処理部のみに存在する吸収体製品。
(31)少なくとも前記便処理部において、液不透過性または耐水性の尿逆流防止シートを前記吸収体の内部および/または上面に具備する上記(30)に記載の吸収体製品。
(32)前記吸収体に、前記吸収体の吸収容量の50%の量の0.9質量%塩化ナトリウム水溶液を、25℃で無荷重下で吸収させた後、吸収開始から5分間経過した後に0.1psiの荷重下で測定されるリウェット量が5mL以下である上記(1)〜(31)のいずれかに記載の吸収体製品。
(33)前記リウェット量が2mL以下である上記(32)に記載の吸収体製品。
(34)前記吸収体の0.9質量%塩化ナトリウム水溶液の吸収容量が300mL以上であり、
前記吸収体に、無荷重下で10分間隔で3回に分けて100mLずつ生理食塩水を吸収させた場合において、
リウェット量の3回の平均値が5mL以下であり、
リウェット量の標準偏差が3mL以下であり、
前記吸収体に、0.1psiの荷重下で10分間隔で3回に分けて100mLずつ生理食塩水を吸収させた場合において、
吸収時間の3回の平均値が30秒以下であり、
吸収時間の標準偏差が2秒以下である、上記(1)〜(33)のいずれかに記載の吸収体製品。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の吸収体製品の一例の一部を示す模式的な横断面図である。
第2図は、本発明の吸収体製品の例の一部を示す模式的な上面図および横断面図である。
第3図(A)は、多数の突起を有するサーフェスシートの一例を示す模式的な斜視図であり、第3図(B)はその模式的な横断面図である。
第4図(A)および(B)は、それぞれV字溝を有するサーフェスシートの例を示す模式的な横断面図であり、第4図(C)および(D)は、それぞれ畝状のサーフェスシートの例を示す模式的な横断面図である。
第5図(A)および(B)は、それぞれV字溝を有するサーフェスシートの例を示す模式的な斜視図である。
第6図は、本発明の吸収体製品の例の一部を示す模式的な横断面図である。
第7図は、本発明の吸収体製品の例の一部を示す模式的な上面図である。
第8図は、流路を構成する凹凸を有し、凸部の全部に開口を有するガイドシートの一例を示す模式的な斜視図である。
第9図は、本発明の吸収体製品の例の一部を示す模式的な横断面図(第9図(A)〜(D))および斜視図(第9図(E))である。
第10図は、本発明の吸収体製品の例の一部を示す模式的な横断面図である。
第11図は、本発明の吸収体製品の例の一部を示す模式的な上面図である。
第12図は、本発明に用いられるバックシートの例の模式的な上面図である。
第13図は、本発明の吸収体製品の例の一部を示す模式的な横断面図である。
第14図は、本発明の吸収体製品の例の一部を示す模式的な上面図である。
第15図は、本発明の吸収体製品の一部の例を示す模式的な横断面図である。
第16図は、本発明の吸収体製品の一部の例を示す模式的な上面図である。
第17図は、バックシートを構成する部材自体が吸収体収納部を構成する場合のバックシートの形状の好適な適用例の模式的な上面図である。
第18図(A)および(B)は、それぞれ積層された複数個の吸収体ユニットおよび積層された複数個の吸収体の例を示す模式的な横断面図であり、第18図(C)は、積層された複数個の吸収体ユニットを具備する本発明の吸収体製品の一部の例を示す模式的な横断面図である。
第19図は、取出用部材を有する本発明の吸収体製品の一例を示す説明図である。
第20図は、本発明の吸収体製品の一部の例を模式的に示す上面図である。
第21図は、本発明の吸収体製品の一部の例を模式的に示す縦断面図である。
第22図は、本発明の吸収体製品の一部の例を模式的に示す縦断面図である。
第23図は、排出液が吸収体製品に供給された際の挙動を説明するための横断面図である。
第24図は、実施例に用いた吸収体製品を模式的に示す横断面図である。
第25図は、実施例における吸収速度の測定の方法の説明図である。
第26図は、実施例に用いた複数個の吸収体ユニットを具備する吸収体製品を模式的に示す正面図および上面図である。
第27図は、実施例に用いた吸収体ユニットを模式的に示す横断面図である。
第28図は、第27図に示される吸収体ユニットを用いた吸収体製品を模式的に示す横断面図である。
第29図は、実施例における尿・便処理兼用の吸収体製品のリウェット量の測定の方法の説明図である。
第30図は、従来の吸収体製品の一例の一部を示す模式的な横断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
以下、本発明の吸収体製品を添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。なお、本発明における各図は、模式図であって、吸収体製品の厚さ方向を大きく描いている。
第1図は、本発明の吸収体製品の一例の一部を示す模式的な横断面図である。第1図においては、紙面に垂直な方向が、吸収体製品の前後方向(即ち、着用時に着用者の身体の前後に相当する方向)である(以下、すべての横断面図において同じ。)。第1図(A)は、本発明の吸収体製品の構造の説明図であり、第1図(B)は、本発明の吸収体製品の使用状態の説明図である。
第1図(A)に示されるように、本発明の吸収体製品は、液不透過性のサーフェスシート10と、液不透過性のバックシート12と、サーフェスシート10とバックシート12との間に介在する、高吸水性樹脂(Super Absorbent Polymer、以下「SAP」ともいう。)を含有し排出液を吸収しうる吸収体14とを具備する。
本発明の吸収体製品に排出液が供給されると、第1図(B)に示されるように、上側に位置するサーフェスシート10が液不透過性であるため、排出液はサーフェスシート10の表面をその端部まで移動する。サーフェスシート10の端部まで移動した排出液は、バックシート12が液不透過性であるため、吸収体14に一部吸収されつつ、吸収体14とバックシート12との間に形成される流路16をバックシート12の内表面に沿って移動し、吸収体14に主に下側から吸収される。このようにして排出液は吸収体14の下側から吸収され、その後、上側に拡散していく。
このように、本発明の吸収体製品は、サーフェスシートに供給された排出液の一部または全部をバックシートの側に移動させるための流路を有するところに特徴がある。このような流路は、前記吸収体の前後両端部、左右両端部および中央部の少なくとも一つに設けられているのが好ましい。
第2図は、本発明の吸収体製品の例の一部を示す模式的な上面図(第2図(A)および(B))および横断面図(第2図(C)および(D))である。第2図(A)および(B)においては、図の上下方向が吸収体製品の前後方向である(以下、すべての上面図において同じ。)。第2図においては、説明の便宜上、サーフェスシート10とバックシート12と吸収体14のみを示している。
第2図(A)および(C)で表される吸収体製品においては、吸収体14がその上面の全面をサーフェスシート10に覆われており、その側面および下面の全面をバックシート12に覆われている。この吸収体製品は、吸収体14の前端部A、後端部B、左端部Cおよび右端部Dのすべてに流路を有する。
第2図(B)および(D)で表される吸収体製品においては、2個の吸収体14が間隙を隔てて左右に並べられ、それらの上面の全面を2枚のサーフェスシート10に覆われており、それらの外側の側面および下面の全面を1枚のバックシート12に覆われている。この吸収体製品は、吸収体14の前端部A、後端部B、左端部C、右端部Dおよび中央部Eのすべてに流路を有する。
第30図は、従来の吸収体製品の一例の一部を示す模式的な横断面図である。第30図(A)は、従来の吸収体製品の構造の説明図であり、第30図(B)は、従来の吸収体製品の使用状態の説明図である。
従来の吸収体製品は、通常、液透過性のトップシート11と、液不透過性のバックシート12と、トップシート11とバックシート12との間に介在する吸収体14とを具備する。
従来の吸収体製品に排出液が供給されると、第30図(B)に示されるように、上側に位置するトップシート11が液透過性であるため、排出液はトップシート11を通過して、吸収体14に上側から吸収され、その後、下側に拡散していく。
これに対して、本発明の吸収体製品は、上述した構造により、排出液の一部または全部を吸収体14の下側から上側へと拡散させるという吸収機構を実現したところに特徴がある。そして、この吸収機構により、吸収速度が経時的に大きく低下することがなくなり、かつ、リウェット量が極めて少なくなるのである。
本発明に用いられるサーフェスシート10は、液不透過性である。本明細書において、「液不透過性」とは、排出液を実質的に透過させない性質を意味する。
サーフェスシート10は、液不透過性であれば材料、構成等を特に限定されず、例えば、単層の合成樹脂フィルム、合成樹脂フィルムとその上側の面に設けられた不織布との積層体が好適に挙げられる。合成樹脂フィルムとしては、例えば、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ポリウレタン、架橋PVA(ポリビニルアルコール)等のフィルム、空気を通すが液を透過しないいわゆる通気性フィルムが挙げられる。
サーフェスシート10に用いられる合成樹脂フィルムは、流路16を構成する凹凸を有するのが好ましい態様の一つである。ただし、本発明の吸収体製品が後述するガイドシートを有する場合は、流路16を構成する凹凸を有しない場合であっても好適に用いられる。
また、サーフェスシート10として、平滑で比較的軟らかい合成樹脂フィルムを用いる場合、配置される吸収体の表面に凹凸があると、その部分でフィルムが変形し、排出液が滞留してしまう場合がある。この場合は、合成樹脂フィルムと吸収体の上面を圧着させて平滑にするか、中央部を高くし、左右に屋根型等の勾配を有する構造にするかにより、排出液を速やかに移動させるようにすることができる。
凹凸を有する形状としては、例えば、多数の突起を有する形状、V字溝、U字溝等の溝を有する形状、うろこ状に重なり合った瓦状(imbricate)、畝状が挙げられる。
第3図(A)は、多数の突起を有するサーフェスシートの一例を示す模式的な斜視図であり、第3図(B)はその模式的な横断面図である。
サーフェスシート10aにおいては、多数の凹部が連なって排出液の流路16として機能する。第3図に示されるサーフェスシート10aは、凸部を形成する多数の突起18を有している。
サーフェスシート10aの凹凸の大きさは、取扱い性、コスト等を考慮すると、凸部を形成する突起18の高さHが0.3mm以上であるのが好ましく、0.5〜1.5mmであるのがより好ましい。
サーフェスシート10aは、凸部が使用時に多少つぶれたとしても、排出液の流通が阻害されないという利点を有する。
第4図(A)および(B)は、それぞれV字溝を有するサーフェスシートの例を示す模式的な横断面図であり、第4図(C)および(D)は、それぞれ畝状のサーフェスシートの例を示す模式的な横断面図である。
第5図(A)および(B)は、それぞれV字溝を有するサーフェスシートの例を示す模式的な斜視図である。第5図(A)においては、一方向のみにV字溝が形成されており、第5図(B)においては、直交する二方向にV字溝が形成されている。なお、溝の形状、方向、数、間隔等は、特に限定されない。また、畝状の場合も同様である。
サーフェスシート10と吸収体14の位置関係について説明する。
上述したように、サーフェスシート10は、吸収体14の上側に位置するものであり、特に限定されないが、具体的には、例えば、以下のような関係とすることができる。
第6図は、本発明の吸収体製品の例の一部を示す模式的な横断面図である。第6図においては、説明の便宜上、サーフェスシート10と吸収体14のみを示している。
第6図(A)においては、サーフェスシート10は、吸収体14の上面を左右方向に全体に覆っている。この場合、サーフェスシート10に供給された排出液は、サーフェスシート10の表面に沿って速やかに吸収体14の左右両端部の上部まで移動する。
第6図(B)においては、サーフェスシート10は、吸収体14の上面を左右方向に全体に覆い、更に、吸収体の左右の側面まで覆っている。この場合、サーフェスシート10に供給された排出液は、サーフェスシート10の表面に沿って速やかに吸収体14の左右両端部の下部まで移動する。したがって、第6図(A)の場合に比べて、吸収体14の下部から吸収される排出液の割合が多くなる。
第6図(C)においては、サーフェスシート10は、吸収体14の上面を左右方向に全体に覆い、更に、吸収体の左右の側面および下面の一部まで覆っている。この場合、サーフェスシート10に供給された排出液は、サーフェスシート10の表面に沿って速やかに吸収体14の下面まで移動する。したがって、第6図(B)の場合に比べて、排出液が吸収体14の下面の中央部から吸収されやすくなる。
第6図(D)においては、サーフェスシート10は、吸収体14の上面を左右方向に一部のみ覆っている。この場合、サーフェスシート10に供給された排出液は、サーフェスシート10の表面に沿って速やかに吸収体14の上面の端部よりに移動する。したがって、排出液の一部は、吸収体14の上面から吸収されるが、残りは吸収体14の側面および下面から吸収される。本発明においては、このように、排出液の一部が吸収体14の下面以外の部分から吸収されてもよい。
第6図(E)においては、2個の吸収体14が流路16を隔てて左右に並べられ、2枚のサーフェスシート10が、各吸収体14の上面を左右方向に全体に覆い、更に、吸収体の左右の側面まで覆っている。そして、流路16中に、サーフェスシート10が延在している。この場合、サーフェスシート10に供給された排出液は、サーフェスシート10の表面に沿って速やかに流路16の下部まで移動するとともに、その一部は外側の端部の下部まで移動する。したがって、排出液が吸収体14における吸収体製品の中央部および外側部の両方に相当する部分から吸収されやすくなる。
第6図(F)においては、2個の吸収体14が流路16を隔てて左右に並べられ、2枚のサーフェスシート10が、各吸収体14の上面の全体を覆っている。この場合、サーフェスシート10に供給された排出液は、サーフェスシート10の表面に沿って速やかに各吸収体14の外側の端部の上部まで移動するとともに、流路16を通じて流路16の下部まで移動する。この場合、排出液は、各吸収体14の側面および下面から吸収されやすくなる。
第7図は、本発明の吸収体製品の例の一部を示す模式的な上面図である。第7図においては、説明の便宜上、サーフェスシート10と吸収体14のみを示している。
第7図(A)においては、吸収体14の上面の全体をサーフェスシート10が覆っている。
第7図(B)においては、2個の吸収体14が流路16を隔てて左右に並べられ、2枚のサーフェスシート10が、各吸収体14の上面の全体を覆っている。
第7図(C)においては、サーフェスシート10が、吸収体14の上面の前後方向の一部を左右方向の全体に覆っており、吸収体14の上面の一部がサーフェスシート10の前後端部において露出している。
第7図(D)においては、サーフェスシート10が、吸収体14の上面の左右方向の一部を前後方向の全体に覆っており、吸収体14の上面の一部がサーフェスシート10の左右端部において露出している。
第7図(E)においては、2枚のサーフェスシート10が、吸収体14の上面の左右端部を覆っており、吸収体14の上面の一部が中央部において露出している。
第7図(F)においては、サーフェスシート10が吸収体14の上面の全体を覆っているが、サーフェスシート10は、左右方向の中央部に液透過性部20を有している。
第7図(G)においては、サーフェスシート10が吸収体14の上面の全体を覆っているが、サーフェスシート10は、左右方向の2箇所の所定部分に液透過性部20を有している。
第7図(F)および(G)における液透過性部20は、液透過性であれば材料、構成等を特に限定されず、例えば、サーフェスシート10に開口を設けて液透過性としたものであってもよいし、サーフェスシート10の一部を液透過性の材料(例えば、スパンボンド不織布)で構成してもよい。本明細書において、「液透過性」とは、排出液を実質的に透過させる性質を意味する。
第7図(A)および(B)の場合、いずれもサーフェスシート10に供給された排出液は、吸収体14の上面から吸収されることなく、吸収体14の側面および下面から吸収される。
第7図(C)〜(G)の場合、いずれもサーフェスシート10に供給された排出液は、吸収体14の露出した部分から、または液透過性部20を通じて、一部が吸収体14の上面から吸収され、残りが吸収体14の側面および下面から吸収される。
このように、排出液が吸収体14の上面、側面および下面のすべてから吸収される態様は、吸収速度が速くなる点では好ましいが、リウェット量の点では、若干性能が低下する方向になる。サーフェスシートが、吸収体の上側の面の一部が露出するように配置されている本発明の吸収体製品の他の態様としては、例えば、サーフェスシートを着用者の尿排出局部の近傍のみに部分的に配置させ、その部分のドライ性を確保する態様が挙げられる。
第6図(A)〜(F)に示した位置関係と、第7図(A)〜(G)に示した位置関係とは、組み合わせが可能な範囲で適宜組み合わせて、各種の配置とすることができる。また、サーフェスシート10と吸収体14とは、上述した以外の位置関係とすることもできる。
本発明においては、サーフェスシートの上側の面の少なくとも一部に、流路を有する液透過性のガイドシートが積層されているのが好ましい態様の一つである。ガイドシートは、供給された排出液がその流路を通じて吸収体の下側へ移動することを助ける。したがって、ガイドシートが積層されている場合、サーフェスシートを構成する合成樹脂フィルムが、流路を構成する凹凸を有していなくても、ガイドシートにより吸収体の下側への排出液の速やかな拡散が実現される。
排出液は、ガイドシートの流路を、毛細管現象ならびに湿潤、浸透および拡散により、移動する。この排出液の移動が効率的に起こるようにするためには、ガイドシートに親水性とある程度の厚さがあるのが好ましい。具体的には、例えば、液分配効果のある凹凸開口フィルムまたは凹凸成形プラスチックネット(例えば、本発明者が国際公開第02/065965号パンフレットにおいて提案したもの);嵩高な積層不織布(例えば、本発明者が特願2001−297161号明細書および特願2001−297162号明細書において提案した、表面が平滑なペーパー層または不織布層と表面が嵩高で凹凸のある繊維ウェブ層とが互いに接合されてなる複合体シート)を用いることができる。
ガイドシートは、流路を構成する凹凸を有し、凸部の一部または全部に開口を有するのが好ましい態様の一つである。
第8図は、流路を構成する凹凸を有し、凸部の全部に開口を有するガイドシートの一例を示す模式的な斜視図である。
ガイドシート22においては、多数の凹部が連なって排出液の流路16として機能する。第8図に示されるガイドシート22は、凸部を形成する多数の突起24を有しており、各突起24はその頂点に開口26を有している。
第8図に示されるような、凸部に開口を有するガイドシートは、疎水性材料からなる場合であっても、この開口も排出液の流路として機能する。即ち、排出液が開口を通してガイドシートの一方の側から他方の側へと移動するのである。
開口は、凸部の一部のみに設けられていてもよく、全部に設けられていてもよい。また、開口の単位面積あたりの個数は、特に限定されないが、1.0〜100個/cmであるのが好ましい。
ガイドシート22の凹凸の大きさは、取扱い性、コスト等を考慮すると、凸部を形成する突起24の高さhが0.3mm以上であるのが好ましく、0.5〜1.5mmであるのがより好ましい。
ガイドシート22は、凸部が使用時に多少つぶれたとしても、排出液の流通が阻害されないという利点を有する。
ガイドシート22は、突起24が下側に向いているのが好ましい。これにより突起24とサーフェスシートの表面との間隙により形成される流路が大きくなり、排出液のガイドシート表面からサーフェスシート表面への移動が円滑になるからである。
また、本発明においては、サーフェスシートまたはガイドシートの上側の面の少なくとも一部に、液透過性の不織布からなるスキンコンタクトシートが積層されているのが好ましい態様の一つである。スキンコンタクトシートは、着用者の肌に直接接触する部分であり、このスキンコンタクトシートを設けることによって、着用感を向上させることができる。スキンコンタクトシートとしては、従来の吸収体製品のトップシートとして用いられているものを用いることができるが、抗菌性等のスキンケア性能を付与してもよい。また、本発明者らが、国際公開第02/00154号パンフレットで提案したような特殊なスキンコンタクトシートを用いることもできる。
以上に説明したサーフェスシート、ガイドシートおよびスキンコンタクトシートの好適な構成例を具体的に説明する。
第9図は、本発明の吸収体製品の例の一部を示す模式的な横断面図(第9図(A)〜(D))および斜視図(第9図(E))である。第9図においては、説明の便宜上、サーフェスシート10と吸収体14とガイドシート22とスキンコンタクトシート28のみを示している。
第9図(A)においては、サーフェスシート10が、合成樹脂フィルムと前記合成樹脂フィルムの上側の面に設けられた不織布との積層体からなっている。
第9図(B)においては、サーフェスシート10が、単層の合成樹脂フィルムからなり、前記合成樹脂フィルムが流路16を構成する凹凸を有し、サーフェスシート10の上側の面に、液透過性の不織布からなるスキンコンタクトシート28が積層されている。
第9図(C)においては、サーフェスシート10が、単層の合成樹脂フィルムからなり、サーフェスシート10の上側の面に、流路16を有する液透過性のガイドシート22が積層されている。
第9図(D)においては、第9図(C)に示されるガイドシート22の上側の面に、更に、液透過性の不織布からなるスキンコンタクトシート28が積層されている。
第9図(E)においては、サーフェスシート10が、単層の合成樹脂フィルムからなり、サーフェスシート10の上側の面に、多数の開口26を有し、更に流路16を有する液透過性のガイドシート22が積層されている。サーフェスシート10とガイドシート22とは、結合部22aにより一体化されている。
第10図は、本発明の吸収体製品の例の一部を示す模式的な横断面図である。第10図においては、説明の便宜上、サーフェスシート10と吸収体14とガイドシート22のみを示している。
第10図(A)においては、サーフェスシート10が吸収体14の上面から左右の端部まで覆い、ガイドシート22が吸収体14の上面から左右の端部まで覆い、更に下面の一部まで覆っている。
第10図(B)においては、サーフェスシート10が吸収体14の上面を覆い、ガイドシート22が吸収体14の上面から左右の端部まで覆っている。
第10図(C)においては、サーフェスシート10が吸収体14の上面を覆い、ガイドシート22が吸収体14の下面から左右の端部まで覆い、更に上面の一部まで覆っている。
第10図(A)〜(C)に示すように、ガイドシート22が、吸収体14の側面の少なくとも一部を、直接にまたはサーフェスシート10の上から、覆っていると、排出液の拡散がより速くなる。
第11図は、本発明の吸収体製品の例の一部を示す模式的な上面図である。第11図においては、説明の便宜上、サーフェスシート10と吸収体14とガイドシート22のみを示している。
第11図(A)においては、サーフェスシート10が、吸収体14の上面の左右方向の一部を前後方向の全体に覆っており、吸収体14の上面の一部がサーフェスシート10の左右端部において露出している。そして、ガイドシート22が、サーフェスシート10の上面の前後方向の一部を左右方向の全体に覆っており、吸収体14の上面の一部およびサーフェスシート10の上面の一部が露出している。
第11図(B)においては、サーフェスシート10と吸収体14の配置は第11図(A)の場合と同様であるが、ガイドシート22の形状が十字形であるため、吸収体14の上面の一部およびサーフェスシート10の上面の一部の露出の状態が異なっている。
本発明に用いられるバックシート12は、液不透過性である。バックシート12は、液不透過性であれば材料、構成等を特に限定されず、従来公知の吸収体製品に用いられているバックシートと同様のものを用いることができる。例えば、単層の合成樹脂フィルム、合成樹脂フィルムとその下側の面に設けられた不織布との積層体が好適に挙げられる。
合成樹脂フィルムとしては、例えば、マット加工されたPEフィルム、多孔質加工された通気性フィルムが挙げられる。通気性フィルムとは、合成樹脂フィルムをフィラーの添加、ポリマーブレンド等により多孔質化したものであって、MVTR(Moisture Vapor Transmission Rate)が1000〜6000L/(m・24hr)程度を示すものである。通気性フィルムの代表的なものとしては、PE樹脂にCaCOをフィラーとして加えたエスポワール(三井化学社製)、ポーラム(トクヤマ社製)が挙げられる。
本発明においては、バックシートが単層の合成樹脂フィルムからなる場合、その合成樹脂フィルムが、通気性を有するのが好ましく、また、バックシートが合成樹脂フィルムとその下側の面に設けられた不織布との積層体からなる場合、その合成樹脂フィルムおよび不織布が、いずれも通気性を有するのが好ましい。これらのようにしてバックシートに通気性をもたせると、着用感が向上する。また、バックシートの一部または全部に伸縮性を有する複合シート(例えば、特開平10−195746号公報に記載されているもの)を用いることによって、更にフィット感等を向上させることができる。
本発明においては、バックシートを構成する合成樹脂フィルムが、上側の面に液のトラップ部を構成する凹凸を有するのが好ましい。本発明においては、排出液の吸収が吸収体の下側から上側へと行われるため、バックシートに凹凸を設けることにより、排出液が吸収体の下側の全体に均一に分散するようになる。
凹凸を有する形状としては、例えば、多数の突起を有する形状、V字溝、U字溝等の溝を有する形状、うろこ状に重なり合った瓦状(imbricate)、畝状が挙げられる。
第12図は、本発明に用いられるバックシートの例の模式的な上面図である。第12図(A)のバックシート12は、凹部を形成する多数の溝30を有している。第12図(B)のバックシート12は、凸部を形成する多数の突起32を有している。
バックシートとして、具体的には、凹凸加工フィルム(例えば、本発明者らが提案した特願2001−135239号明細書に記載されているもの);バックシートを構成する合成樹脂フィルムが、凹凸を有し、かつ、凸部の一部または全部に開口を有し、バックシートを構成する前記不織布が、1層以上のスパンボンド不織布と1層以上のメルトブローン不織布とを含む2層以上からなる耐水性の積層体であるのも好ましい態様の一つである。
このような積層体としては、本発明者らが特願2001−124237号明細書において提案した、凹凸開孔フィルムと耐水性のSMS不織布(スパンボンド/メルトブローン/スパンボンドの3層構造の不織布)との積層体が好適に挙げられる。
サーフェスシート10と吸収体14とバックシート12の位置関係について説明する。
上述したように、バックシート12は、吸収体14の下側に位置するものであり、特に限定されないが、具体的には、例えば、以下のような関係とすることができる。
第13図は、本発明の吸収体製品の例の一部を示す模式的な横断面図である。第13図においては、説明の便宜上、サーフェスシート10と吸収体14とバックシート12とガイドシート22のみを示している。
第13図(A)においては、バックシート12は、サーフェスシート10により上面を覆われた吸収体14の下面および左右の両側面を覆っている。
第13図(B)においては、バックシート12は、サーフェスシート10により上面を覆われ、かつ、ガイドシート22により上面、左右の両側面および下面の一部を覆われた吸収体14の下面および左右の両側面を覆っている。
第14図は、本発明の吸収体製品の例の一部を示す模式的な上面図である。第14図においては、説明の便宜上、サーフェスシート10と吸収体14とバックシート12のみを示している。
第14図においては、吸収体14の上面の一部をサーフェスシート10が覆っており、吸収体14およびサーフェスシート10の下面の全体をバックシート12が覆っている。
本発明に用いられる吸収体としては、従来公知の吸収体を用いることができる。具体的には、例えば、現在市販されている吸収体製品に用いられているような、SAPとフラッフ状パルプとの混合物を、ティッシュペーパー、スパンボンド不織布、開口フィルム等の液透過性のコアラッピングシートで被覆してなる吸収体が挙げられる。
また、例えば、Air Laid法で得られる高吸水性シートが挙げられる。Air Laid法は、粉砕した木材パルプとSAPとを混合し、結合剤(例えば、熱融着繊維)を添加してシート状に成形して熱処理等により高吸水性シートを得る方法である。この方法で得られる高吸水性シートとしては、例えば、米国レオニヤ(Rayonier)社製のNovaThin(米国登録商標)、王子キノクロス社製のキノクロス(登録商標)が知られている。
また、SAPを分散スラリー等にして液透過性の不織布等の排出液透過性シートの少なくとも一方の面の上にコーティング法により担持させてなる高吸水性シートも挙げられる。この高吸水性シートについては、具体的には、本発明者らが提案した、特開平10−168230号、特開平10−314217号および特開2000−201975号の各明細書等に記載されている。ここで、SAPの分散スラリーは、SAPと超微細セルロース繊維(MFC:Micro fibrillated Cellulose)とを、水とエタノールとの混合溶媒に分散させたものであるのが好ましい。この方法で得られる高吸水性シートとしては、例えば、(株)日本吸収体技術研究所製のメガシン(登録商標)が知られている。
そのほかに、例えば、起毛状不織布にSAPを大量に担持させ、ホットメルトバインダー、エマルションバインダー、水性繊維等で固定する方法で得られる高吸水性シート、繊維状SAPをPET(ポリエチレンテレフタレート)繊維と混合してウェブ状に成形する方法で得られる高吸水性シート;2層の液透過性の不織布とその間に挟持されたSAPとを有する高吸水性シートが挙げられる。
これらの高吸水性シートの厚さは、1.5mm以下であるのが好ましく、1mm以下であるのがより好ましい。
上述した吸収体は、SAPの含有量が50質量%以上であるのが好ましく、60〜95質量%であるのがより好ましい。
本発明の吸収体製品は、後述するように吸収体を複数個有していてもよいが、吸収体として上述したSAPとフラッフ状パルプとの混合物を用いる場合には嵩が大きく、吸収容量(capacity)が大きい一方で、保持量(retention)が相対的に小さいため、通常、単層で用いる。そのような吸収体を用いる従来の吸収体製品はリウェット量が多かったが、本発明においては、液不透過性のサーフェスシートを用いるので、リウェット量を従来の数十分の1まで減少させることができる。
一方、上述した高吸水性シートを用いる場合には、高吸水性シートが極めて薄く、吸収容量に比べて保持量が高いうえ、吸い上げ力(demand wett ability)が大きいため、例えば、本発明者が特開2002−113800号公報において提案したように、複数個の吸収体で多層に構成して、下側の層から順次、排出液を吸収させるのが好ましい態様の一つである。
つぎに、本発明の吸収体製品の実施態様について説明する。
本発明の吸収体製品は、例えば、子供用および大人用のテープタイプオムツおよびプルオンタイプ(パンツ型)オムツ、女性用ナプキン、失禁用品等の従来の吸収体製品を用いて容易に得ることができる。即ち、従来の吸収体製品のトップシートと吸収体との間にサーフェスシート、好ましくはガイドシートと組み合わせたサーフェスシートを挿入することによって、大幅に機能が向上した本発明の吸収体製品とすることができる。
本発明の吸収体製品の好ましい実施態様の一つとして、着用時に着用者の対象部位が入る内部空間を形成しうる吸収体製品本体と、前記吸収体製品本体に隣接して前記内部空間に連通し、かつ、前記バックシートを内面に有する吸収体ユニット収納部と、前記吸収体ユニット収納部に着脱自在に収納される、少なくとも前記サーフェスシートと前記吸収体とが組み合わされて構成される吸収体ユニットとを具備する吸収体製品が挙げられる。
第15図は、上記吸収体製品の一部の例を示す模式的な横断面図である。
第15図(A)に示される吸収体製品50は、着用時に着用者の対象部位が入る内部空間を形成しうる吸収体製品本体52と、吸収体製品本体52に隣接して前記内部空間に連通し、かつ、バックシート12を内面に有する吸収体ユニット収納部54と、吸収体ユニット収納部54に着脱自在に収納される、サーフェスシート10と吸収体14とが組み合わされて構成される吸収体ユニット56とを具備する。なお、吸収体製品本体52は、一部のみ示されており、図中上側が上記内部空間である。サーフェスシート10、バックシート12および吸収体14については、上述したとおりである。
第15図(A)においては、吸収体製品本体52を構成する部材が吸収体ユニット収納部54を構成しており、吸収体ユニット収納部54の内側に別部材で構成されるバックシート12が設けられているが、本発明においては、吸収体ユニット収納部がバックシートを内面に有するのであればよく、例えば、バックシートを構成する部材自体が吸収体ユニット収納部を構成していてもよい。
吸収体製品本体52としては、従来公知のオムツカバー等の複数回使用することができる耐洗濯性の材料から構成されている吸収体製品の本体を用いることができる。吸収体製品本体52が、平編み、例えば、メリヤス編みのニット製品であると、着用時のフィット性が良好になるので好ましい。
第15図に示されるバックシート12の左右の両端には、サイドギャザー部材58が設けられている。サイドギャザー部材58は、ポリウレタンフィラメント束、弾性フィルム等の従来公知の構成とすることができる。
第15図(B)に示される吸収体製品51は、図示されるようにガイドシート22を具備する以外は、吸収体製品50と同様である。
第15図(A)および(B)に示される本発明の吸収体製品50および51は、いずれも吸収体製品本体52と吸収体ユニット収納部54とが直接連通している(即ち、サーフェスシート10またはガイドシート22が露出している)が、両者の間の少なくとも一部に、上述した液透過性のスキンコンタクトシートを具備していてもよい。
また、第15図においては、吸収体ユニット収納部54に、1個の吸収体ユニットが収納されているが、本発明においては、後述するように、積層された複数個の吸収体ユニットが収納されていてもよい。
また、本発明の吸収体製品の好ましい実施態様の一つとして、着用時に着用者の対象部位が入る内部空間を形成しうる吸収体製品本体と、前記吸収体製品本体に隣接して前記内部空間に連通し、かつ、前記バックシートを内面に有する吸収体収納部と、前記吸収体収納部に着脱自在に収納される吸収体とを具備し、前記吸収体製品本体と前記吸収体収納部との間の少なくとも一部に前記サーフェスシートを具備する吸収体製品も挙げられる。
第16図は、上記吸収体製品の一部の例を示す模式的な上面図である。
第16図に示される吸収体製品60は、着用時に着用者の対象部位が入る内部空間を形成しうる吸収体製品本体52と、吸収体製品本体52に隣接して前記内部空間に連通し、かつ、バックシート(図示せず)を内面に有する吸収体収納部55と、吸収体収納部55に着脱自在に収納される吸収体14とを具備し、吸収体14をその上面から被覆するように吸収体収納部55に取り付けられたサーフェスシート10を具備する。なお、吸収体製品本体52は、一部のみ示されており、図中上側が上記内部空間である。サーフェスシート10、バックシートおよび吸収体14については、上述したとおりである。
本発明においては、吸収体収納部がバックシートを内面に有するのであればよく、例えば、吸収体製品本体を構成する部材が吸収体収納部55を構成し、吸収体収納部の内側にバックシートが別部材で構成されていてもよく、バックシートを構成する部材自体が吸収体収納部を構成していてもよい。
第17図は、バックシートを構成する部材自体が吸収体収納部を構成する場合のバックシートの形状の好適な適用例の模式的な上面図である。このような構成とする場合は、バックシートとして、例えば、ゴアテックス等の耐久性のある耐水性材料を用いるのが好ましい。
第17図(A)〜(E)のバックシート12は、いずれも凸部を形成する多数の線状の突起32を有している。第17図(F)のバックシート12は、凹部を形成する多数の線状の溝30を有している。例えば、キルティングされた布地を用いることができる。第17図(G)のバックシート12は、凸部を形成する多数の点状の突起32を有している。
吸収体製品本体52およびサイドギャザー部材58については、第15図に示される吸収体製品50と同様である。
また、吸収体収納部の内側にバックシートが別部材で構成されている場合においても、吸収体収納部を構成する部材の形状に凹凸を設けることにより、それと積層されるバックシートに凹凸の影響を生じさせて、バックシートに凹凸を設けたのと同様の効果を得ることができる。
吸収体製品60において、サーフェスシート10の上側の面に、上述したガイドシートが積層されているのは、本発明の好ましい態様の一つである。この態様においては、ガイドシートがサーフェスシートの上側から覆うように積層されていてもよいが、ガイドシートが吸収体の下側からその側面をくるむようにサーフェスシートに積層されていてもよい。
また、吸収体製品60は、吸収体製品50および51と同様に、液透過性のスキンコンタクトシートを具備していてもよい。
また、吸収体製品60においては、後述するように、積層された複数個の吸収体14が収納されていてもよい。
本発明の吸収体製品においては、上述したように、積層された複数個の吸収体ユニットまたは吸収体を具備するのが好ましい態様の一つである。特に、SAPの含有量が多く、薄くてコンパクトな吸収体、例えば、上述した高吸水性シートを用いる場合には、好適である。
積層する吸収体ユニットまたは吸収体の数は、2層以上であれば特に限定されないが、5層以下であるのが好ましい。5層以下であると、嵩高になりすぎず、コンパクトな吸収体製品とすることができる。
第18図(A)および(B)は、それぞれ積層された複数個の吸収体ユニットおよび積層された複数個の吸収体の例を示す模式的な横断面図である。第18図(A)においては、3層に積層された吸収体ユニット56が示されている。第18図(B)においては、3層に積層された吸収体14が示されている。
第18図(C)は、積層された複数個の吸収体ユニットを具備する本発明の吸収体製品の一部の例を示す模式的な横断面図である。第18図に示される吸収体製品70は、第15図(A)に示される吸収体製品50において、1層であった吸収体ユニット56を、第18図(A)に示されるように3層積層して用いたものである。
本発明の吸収体製品を多層化して用いる場合、多層化された層の数に応じた複数回の使用が可能となり、吸収体製品の交換の回数を、例えば、従来、1日あたり3〜5回であったものを1〜2回程度に減らすことができる。以下、複数回の使用が可能となる理由について説明する。
本発明の吸収体製品においては、上述したように、排出液は吸収体に主に下側から吸収され、その後、上側に拡散していく。排出液の大部分は、最も下側の吸収体に吸収される。そして、排出液は、最も下側の吸収体に吸収容量の限界またはその近くまで吸収された後、下から2番目の吸収体に吸収されていく。このようにして、最も上側の吸収体の吸収容量の限界に至るまで、排出液の下から上へと吸収が進行していく。したがって、吸収容量の限界まで排出液を吸収した吸収体を適宜個別に離脱させることにより、複数回の使用が可能となる。このようにすると、着用者の感じる嵩張り感や重量感をなくすことができるだけでなく、排出液を吸収した吸収体の重さによる圧力で吸収容量が低下することも防止することができる。
これに対して、仮に従来の液透過性のトップシートを用いた吸収体製品を多層化したとすると、上から下へと吸収が進むが、排出液が上側の吸収体の吸収容量の限界まで吸収される前に、その下側の吸収体への吸収が始まる。よって、すべての吸収体に、特に、その排出液を供給される上面からみて中央の部分に、排出液が吸収される。このように使用の初期からすべての吸収体が少しずつ膨潤し、個々の吸収体には排出液が全体に行き渡らないため、吸収体を個別に離脱させると利用効率が極めて悪くなってしまうので、個別に離脱させることができず、重くなってしまう。したがって、従来の吸収体製品の多層化は、現実的ではない。
また、本発明の吸収体製品においては、複数個の吸収体を用いた場合であっても、吸収体が1層の場合と同様に、リウェット量が極めて少なく、最も上側の吸収体の上面は、使用の開始から終了の直前まで、使用前と同様に乾いたままである。したがって、着用感が優れる。
使用された吸収体を離脱させる構造としては、特に限定されず、例えば、前記吸収体ユニット収納部または前記吸収体収納部に、開口部、好ましくは外部空間に開口している開口部を設けた構造が挙げられる。そのような構造としては、本発明者らが特願2002−233209号明細書において提案した構造を好適に用いることができる。
中でも、取出用部材が設けられている構造が好ましい。この取出用部材の好ましい例としては、実開平7−12117号公報に記載されているものが挙げられる。
第19図は、取出用部材を有する本発明の吸収体製品の一例を示す説明図である。第19図(A)および(B)は、それぞれ吸収体の上面図および縦断面図であり、第19図(C)は、前記吸収体を有する吸収体製品の縦断面図である。第19図(B)および(C)においては、図の左側が吸収体製品の前側、図の右側が吸収体製品の後側である。なお、第19図(A)〜(C)においては、バックシートを図示していない。また、Mは着用者の身体を示す。
第19図に示される吸収体製品80は、吸収体14の前端部の上部にテープ状の取出用部材62を有している。取出用部材62は、下面に粘着剤層64を有しているのが好ましい。その場合、粘着剤層64に対応する部分にはく離層66を有していて、吸収体製品80に組み込まれる前は、粘着剤層64の表面にはく離層66が密着しているのが好ましい。吸収体製品80の吸収体ユニット収納部54に収納された吸収体14においては、取出用部材62が吸収体ユニット収納部54の開口部から外側に出て吸収体製品本体52の側へと延在しており、取出用部材62は粘着剤層64により吸収体製品本体52に固定されている。最下層の吸収体14が吸収容量の限界まで排出液を吸収した後、取出用部材62を引っ張って最下層の吸収体14を容易に離脱させることができる。
本発明の吸収体製品は、サーフェスシート、バックシートおよび吸収体以外に、ガゼットギャザー、立体状サイドギャザー、ウエストギャザー、ファスニング機構(テープ、ベルクロ等)、廃棄時に用いられるラッピングテープ機構等の部材を具備することができる。これらについては、従来公知のものを用いることができる。
本発明の吸収体製品は、子供用オムツ、大人用オムツ、女性用生理用品等として好適に用いられる。
本発明の吸収体製品をオムツとして用いる場合、尿処理専用としてもよく、尿・便処理兼用としてもよい。尿・便処理兼用とするときには、中央部から前身頃までの尿処理部と、中央部から後見頃までの便処理部とを設け、前記サーフェスシートを前記尿処理部のみに存在させるのが好ましい。
第20図は、本発明の吸収体製品の一部の例を模式的に示す上面図である。第20図(A)〜(D)においては、図の上が吸収体製品の前側、図の下が吸収体製品の後側である。
第20図(A)〜(D)のいずれにおいても、サーフェスシート10は、吸収体14の前側の尿処理部のみに存在し、後側の便処理部には存在していない。
この吸収体の前側と後側で異なっている構造およびその製造方法については、本発明者らが提案した特開平6−343660号公報に記載されている技術を利用するのが好ましい態様の一つである。このような構造とする場合には、レッグギャザー等も前側のみにつけることができる。
また、尿と便との混合は、臭いおよびかぶれが発生する原因の一つである。したがって、尿と便とを分離する手段、例えば、特開平7−299092号公報等に記載されている尿便セパレーターを本発明の吸収体製品に応用することもできる。
第21図は、本発明の吸収体製品の一部の例を模式的に示す縦断面図である。第21図においては、図の左側が吸収体製品の前側、図の右側が吸収体製品の後側である。
第21図において、サーフェスシート10は、吸収体14の前側の尿処理部34のみに存在し、後側の便処理部36には存在していない。サーフェスシート10は、吸収体14の尿処理部34と便処理部36との境界付近においてガイドシート22の上に折り返されており、尿処理部34において排出された排出液(尿)が便処理部36に移動しないように、折り返し部分に尿を一時的に貯留することができるようになっている。
この尿処理部と便処理部とを有する吸収体製品においては、少なくとも前記便処理部において、液不透過性または耐水性の尿逆流防止シートを前記吸収体の内部および/または上面に具備するのが好ましい。
第22図は、本発明の吸収体製品の一部の例を模式的に示す縦断面図である。第22図においては、図の左側が吸収体製品の前側、図の右側が吸収体製品の後側である。
第22図に示される本発明の吸収体製品は、便処理部36において、液不透過性または耐水性の尿逆流防止シート38を吸収体14の内部に具備する。この尿逆流防止シート38について説明する。
第21図に示されるような尿逆流防止シート38を具備しない吸収体製品の場合は、サーフェスシート10により尿が、尿処理部34から便処理部36へと吸収体14の上側を移動することを防止することができるが、吸収体14の下側から吸収された尿が吸収体14の上側へと浸透し、便処理部36の上側の表面に達してしまうことがある。即ち、尿が逆流してしまうことがある。そうすると、尿と便とを分離する効果がなくなり、臀部の汚れやオムツかぶれを助長するなどの問題が生じうる。
これに対して、第22図に示されるような尿逆流防止シート38を具備する吸収体製品の場合は、サーフェスシート10により尿が、尿処理部34から便処理部36へと吸収体14の上側を移動することを防止するとともに、吸収体14の下側から吸収された尿が吸収体14の上側へと浸透しても、吸収体14の内部に液不透過性または耐水性の尿逆流防止シート38を有するため、便処理部36の上側の表面に達することを防止することができる。即ち、尿の逆流を防止することができる。これにより上記問題が生じることがないので好ましい。
尿逆流防止シート38は、液不透過性または耐水性であれば材料、構成等を特に限定されず、上述したサーフェスシート10およびバックシート12と同様のフィルムや、耐水性不織布を用いることができる。本明細書において、「耐水性」とは、圧力100mmHO(9.807×10Pa)以下で水を透過させない性質をいう。耐水性不織布は、圧力200mmHO(1.961×10Pa)以下の耐水性を有するのが好ましい。
尿逆流防止シート38は、吸収体14の前後方向において、図22に示されるように、少なくとも便処理部36を覆うように存在するのが好ましい。また、吸収体14の左右方向においても、尿が吸収体14の上側の表面に達しないように、便処理部36を覆っているのが好ましい。
尿逆流防止シート38は、第22図においては吸収体14の内部に存在しているが、便処理部36の表面に存在していてもよく、両方に存在していてもよい。また、複数枚存在していてもよい。尿逆流防止シート38を吸収体14の内部に存在させる方法は特に限定されず、例えば、吸収体14が高吸水性シートを複数枚積層したものであれば、その高吸水性シートの間に挟持させればよい。
上述したように、本発明の吸収体製品は、サーフェスシートに供給された排出液の一部または全部が下側に移動する点で、従来の吸収体製品と大きく異なる。この点につき更に詳しく説明する。
第23図は、排出液が吸収体製品に供給された際の挙動を説明するための横断面図である。第23図においては、吸収体14とその左右方向の全面を覆うシート(従来の吸収体製品においては液透過性のトップシート11であり、本発明の吸収体製品においては液不透過性のサーフェスシート10である。)のみが示されている。
シート10または11に供給される排出液の全量をQとし、側面または下面から吸収される排出液の量の合計をQ、上面から吸収される排出液の量の合計をQとする(ただし、Q=Q+Qである。)。
従来の吸収体製品においては、トップシート11に供給された排出液は、ほぼ全量がトップシート11を通過して吸収体14に吸収されるため、通常、Qが約1〜10%、Qが約99〜90%となり、Q/Qが約0.01〜0.1となる。
これに対して、吸収体14の上面の全体をサーフェスシート10で覆う態様の本発明の吸収体製品(例えば、第7図(A)および(B)で示される各吸収体製品)においては、サーフェスシート10に供給された排出液は、ほぼ全量がサーフェスシート10の上面を移動してサーフェスシート10の端部から吸収体14の下側へと移動するため、通常、Qが約90〜99%、Qが約10〜1%となり、Q/Qが約9〜99となる。
また、吸収体14の上面の一部をサーフェスシート10で覆う態様の本発明の吸収体製品(例えば、第7図(C)〜(G)で示される各吸収体製品)においては、サーフェスシート10に供給された排出液は、一部がサーフェスシート10の上面を移動してサーフェスシート10の端部から吸収体14の下側へと移動し、残りが露出した吸収体14の上面から直接吸収されるため、設計にもよるが、例えば、Qが約50〜70%、Qが約50〜30%となり、Q/Qが約1.0〜2.5となる。
以上に説明したように、本発明の吸収体製品は、排出液の吸収機構が従来の吸収体製品と大きく異なり、その結果、吸収速度の経時的な変化の抑制およびリウェット量の低下を実現したものである。
以下、実施例により、本発明の効果が更に具体的に説明される。
【実施例】
1.吸収体製品の吸収速度およびリウェット量
(1)吸収体製品の作成
【実施例1】
市販のオムツである花王社製のメリーズから、吸収体をトップシートが接着した状態で取り出した。
第24図に示すように、取り出した吸収体14の上下を反転させ、市販オムツに用いられているバックシート用通気性PEフィルム(トクヤマ社製、厚さ20μm)で覆って、液不透過性のサーフェスシート10として機能するようにした。
この吸収体14の上面、側面および下面の一部を多数の孔を有するPEフィルム(商品名「T10650−1 TEC」、Tredeger社製)で覆って、ガイドシート22とした。
更に、市販オムツに用いられているバックシート用通気性PEフィルム(トクヤマ社製、厚さ20μm)で覆って、液不透過性のバックシート12として、吸収体製品90を得た。
【実施例2】
市販のオムツとして、ユニチャーム社製のマミーポココットンを用いた以外は、実施例1と同様の方法により、吸収体製品90を得た。
【実施例3】
市販のオムツの代わりに、日本吸収体技術研究所社製の吸収体(高吸水性シート)であるメガシンを用いた試作品のオムツを用いた以外は、実施例1と同様の方法により、吸収体製品90を得た。
なお、後述する吸収容量およびリウェット量の測定には、比較例1〜3として、花王社製のメリーズ、ユニチャーム社製のマミーポココットンおよび日本吸収体技術研究所社製の吸収体であるメガシンを用いた試作品のオムツを、それぞれそのまま用いた。
(2)吸収容量の測定
実施例1〜3で用いた2種の市販のオムツおよび1種の試作品のオムツの各吸収体について、以下のようにして吸収容量を測定した。
あらかじめ質量を測定したオムツを0.9質量%塩化ナトリウム水溶液に30分間浸せきさせた。その後、オムツを引き上げ、引き上げた状態で30秒間維持し、水切りを行った。オムツのトップシートが下側になるように、水切り用金網の上に載置し、吸収体の全体に荷重が掛かるように、アクリル板を載せ、更にその上におもり(10kg)を置いて20分間放置し、水切りを行った。その後、質量を測定し、質量の増加分を吸収容量とした(塩化ナトリウム水溶液の比重は1と考えた。)。測定は、n=2で行った。
吸収容量は、花王社製のメリーズが707mL、ユニチャーム社製のマミーポココットンが606mL、日本吸収体技術研究所社製の吸収体であるメガシンを用いた試作品のオムツが756mLであった。
(3)吸収速度の測定
実施例1〜3および比較例1〜3の吸収体製品について、以下のようにして、吸収速度の測定を行った。
第25図に示すように、内径2.0cmの円筒状の給液部を有し、前記給液部の周囲に配置されたおもり94を有する給液板(大きさ7.5cm×10cm、プラスチック製)92を、吸収体製品90の上面の中央に載置し、0.1psi(6.895×10Pa)の荷重をかけた。なお、第25図(A)は、斜視図であり、第25図(B)は縦断面図である。
給液部に100mLの0.9質量%塩化ナトリウム水溶液を給液し、給液部の内部に塩化ナトリウム水溶液がなくなったと目視で認められるまでの時間を測定した。この操作を給液開始時を基準として10分間間隔で繰り返し、計3回行った。
結果を第1表に示す。

第1表から明らかなように、本発明の吸収体製品(実施例1〜3)は、従来の吸収体製品(比較例1〜3)に比べて、格段に吸収速度が速く、かつ、吸収速度が経時的にほとんど変わらなかった。特に、吸収体としてSAPとフラッフ状パルプとの混合物を用いている場合、従来、吸収速度が遅く、また、吸収速度の経時的変化が大きかったが(比較例1および2)、本発明の吸収体製品(実施例1および2)では顕著に改善されていた。
(4)リウェット量の測定
(a)給液量100mLごとのリウェット量
実施例1および3ならびに比較例1および3の吸収体製品について、以下のようにして、給液量100mLごとのリウェット量の測定を行った。
無荷重下で、吸収体製品の上面の中央に、上方10mmの位置からビューレットを用いて、100mLの0.9質量%塩化ナトリウム水溶液を13mL/secの割合で、滴下した。滴下開始から5分経過した後、あらかじめ質量を測定しておいたろ紙を、中心を滴下位置に合わせて置き、その上におもりを載置し、0.1psi(6.895×10Pa)の荷重をかけた。3分後、おもりを取り除いて、ろ紙の質量を測定し、給液量100mLごとのリウェット量とした。この操作を滴下開始時を基準として10分間隔で繰り返し、計7回行った。
結果を第2表に示す。

(b)吸収容量の1/2給液時(50%給液時)のリウェット量
実施例1〜3および比較例1〜3の吸収体製品について、以下のようにして、吸収容量の1/2給液時のリウェット量の測定を行った。
無荷重下で、吸収体製品の上面の中央に、上方10mmの位置からビューレットを用いて、100mLの0.9質量%塩化ナトリウム水溶液を13mL/secの割合で、滴下した。滴下開始時を基準として滴下を5分間隔で、吸収容量の1/2(実施例1および3ならびに比較例1および3については350mL、実施例2および比較例2については300mLとした。)の量を滴下するまで繰り返し行った。なお、吸収容量の1/2が350mLである場合は、4回目の塩化ナトリウム水溶液の滴下量を50mLとした。最後の滴下開始から5分経過した後、あらかじめ質量を測定しておいたろ紙を、中心を滴下位置に合わせて置き、その上におもりを載置し、0.1psi(6.895×10Pa)の荷重をかけた。3分後、おもりを取り除いて、ろ紙の質量を測定し、吸収容量の1/2給液時のリウェット量とした。
このようにしてリウェット量の測定を3回行い、平均値を算出した。
また、荷重が0.5psi(3.448×10Pa)となるようにおもりを代えて、同様の方法で吸収容量の1/2給液時のリウェット量を3回測定し、平均値を算出した。
結果を第3表に示す。

第2表および第3表から明らかなように、本発明の吸収体製品(実施例1〜3)は、従来の吸収体製品(比較例1〜3)に比べて、格段にリウェット量が少なく、かつ、リウェット量の経時的な変化もほとんどなかった。
2.複数個の吸収体ユニットを具備する吸収体製品の性状
(1)吸収体製品の作成
(実施例4ならびに比較例4および5)
第26図に示される複数個の吸収体ユニットを具備する吸収体製品100を作成した。吸収体製品本体52としては、縫製されたメリヤス製の女性用ショーツ(グンゼ社製)に防漏バックシートを持つ吸収体収納部を取り付けたものを用いた。第26図(A)は正面図であり、第26図(B)は上面図である。第26図(A)においては、手前が吸収体製品の前側である。
吸収体製品本体52の吸収体ユニット収納部54には、第27図に示される各吸収体ユニット3個を積層して得られた、第28図に示される積層体を収納させて、吸収体製品100を得た。第27図および第28図は、いずれも横断面図である。
実施例4に用いた吸収体ユニットは、第27図(A)に示されるように、一方の面にSAP層102を有する高吸水性シートを、その面が内側になるように二つ折りにした吸収体14の上面、側面および下面の一部を液不透過性のサーフェスシート10で覆ったものである。
比較例4に用いた吸収体ユニットは、第27図(B)に示されるように、実施例4と同様の吸収体14の下面、側面および上面の一部を液透過性のシート104で覆ったものである。
比較例5に用いた吸収体ユニットは、第27図(C)に示されるように、実施例4の液不透過性のサーフェスシート10の代わりに液透過性のシート104を用いたものである。
実施例4においては、第27図(A)に示された吸収体ユニットを3個を積層して用いた(上から第1層、第2層および第3層とする。)。第1層と第2層との間、および、第2層と第3層との間は、その左右の端部において、ホットメルト接着剤層106により簡易に接着させた。積層された3個の吸収体ユニットをその上面、側面および下面のほとんどをガイドシート22で覆って用いた。
比較例4においては、第27図(B)に示された吸収体ユニットを3個を積層して用いた(上から第1層、第2層および第3層とする。)。第1層と第2層との間、および、第2層と第3層との間は、その左右の端部において、ホットメルト接着剤層106により簡易に接着させた。
比較例5においては、第27図(C)に示された吸収体ユニットを3個を積層して用いた(上から第1層、第2層および第3層とする。)。第1層と第2層との間、および、第2層と第3層との間は、その左右の端部において、ホットメルト接着剤層106により簡易に接着させた。
(2)吸収性試験
実施例4ならびに比較例4および5の吸収体製品を実際に着用者に着用させ、それぞれ立位で2回の排尿を行わせた。第1回の排尿の後、吸収体のうち所定の1層を除去して第2回の排尿を行わせた。各回の排尿の量は約200mLであった。各回における吸収体の各層の吸収量を測定し、利用率を算出した。
実施例4の第1回の排尿後の結果を第4表に示す。

第4表に示されるように、最下層である第3層のみが尿を吸収しており、第1層および第2層は、尿を吸収していなかった。また、目視観察によれば、第3層では吸収が全面でほぼ均一に起こっている一方、第1層および第2層には、濡れた様子が観察されなかった。
第1回の排尿の後、吸収体の第3層を吸収体ユニット収納部から取り出した。この際、第1層および第2層は吸収体ユニット収納部においてガイドシートに覆われた状態で残っていた。即ち、吸収体の第3層の取り出しは、特に問題なく、容易に行うことができた。
実施例4の第2回の排尿後の結果を第5表に示す。

第5表に示されるように、最下層である第2層がほぼ吸収容量の限界まで尿を吸収しており、第1層は、第2層で吸収されなかった分を吸収していた。
第2回の排尿の後、吸収体の第2層を取り出した。第2層の取り出しも、特に問題なく、容易に行うことができた。
比較例4の第1回の排尿後の結果を第6表に示す。

第6表に示されるように、最上層である第1層が尿の約半分を吸収していたが、第2層および第3層も、尿を吸収していた。また、目視観察によれば、第1層では、前側の約1/5を残して全面で吸収していた。ただし、後側の吸収後の厚さが約1.5cmと厚かったので、尿が一時的に吸収されずに貯留され、その後、徐々に吸収されたのだと推測された。第2層では、後側の約1/3の部分で厚さが約1cmとなるまで吸収していたほか、前側でも第1層から浸透したと推測される部分があった。第3層では、後側の約1/3の部分で厚さが約1cmとなるまで吸収していた。
第1回の排尿の後、吸収体の第1層を吸収体ユニット収納部から取り出した。この際、第1層のみを取り出すことはできず、第2層および第3層も一緒に出てきてしまったので、第1層を分離した後、第2層および第3層を吸収体ユニット収納部に戻した。即ち、吸収体の第1層の取り出しは、困難であった。
比較例4の第2回の排尿後の結果を第7表に示す。

第7表に示されるように、最上層である第2層が尿の約2/3を吸収していたが、第3層も、尿を吸収していた。
第2回の排尿の後、吸収体の第2層を吸収体ユニット収納部から取り出したが。第2層の取り出しも、困難であった。
比較例5の第1回の排尿後の結果を第8表に示す。

第8表に示されるように、第1層から第3層まで、ほぼ均一に吸収が起こっていた。したがって、いずれかの層を取り出して継続的に使用することが想定されにくいので、第2回の排尿は行わなかった。
なお、第4表〜第8表において、「設計吸収量」とは、各吸収体の0.5psi(3.448×10Pa)の荷重下での0.9質量%塩化ナトリウム水溶液の吸収容量である。
以上の実施例から明らかなように、本発明の吸収体製品は、前記吸収体に、前記吸収体の吸収容量の50%の量の0.9質量%塩化ナトリウム水溶液を、25℃で無荷重下で吸収させた後、吸収開始から5分間経過した後に0.1psiの荷重下で測定されるリウェット量が5mL以下、好ましくは2mL以下であるのが好ましい態様の一つである。
また、本発明の吸収体製品は、前記吸収体の0.9質量%塩化ナトリウム水溶液の吸収容量が300mL以上であり、
前記吸収体に、無荷重下で10分間隔で3回に分けて100mLずつ生理食塩水を吸収させた場合において、
リウェット量の3回の平均値が5mL以下であり、
リウェット量の標準偏差が3mL以下であり、
前記吸収体に、0.1psiの荷重下で10分間隔で3回に分けて100mLずつ生理食塩水を吸収させた場合において、
吸収時間の3回の平均値が30秒以下であり、
吸収時間の標準偏差が2秒以下であるのが好ましい態様の一つである。
3.尿逆流防止シートを具備する吸収体製品の性状
いずれも尿・便処理兼用である、第21図に示される尿逆流防止シートを具備しない吸収体製品と、第22図に示される尿逆流防止シートを具備する吸収体製品の便処理部におけるリウェット量を比較した。サーフェスシート10、吸収体14、ガイドシート22および尿逆流防止シート38の左右方向の幅は等しかった。
第29図に示されるように、内径2.0cmの円筒状の給液部を有し、前記給液部の周囲に配置されたおもり94を有する給液板92を、吸収体製品14の尿処理部34の上に置き、0.1psiの荷重をかけた。一方、あらかじめ質量を測定しておいたろ紙96を、吸収体製品14の便処理部36の上に置き、更にアクリル板98を載せ、アクリル板98の上におもり99を載せて0.1psiの荷重をかけた。
給液部に100mLの0.9質量%塩化ナトリウム水溶液を給液し、給液開始から3分経過した後に、ろ紙を外して質量を測定した。この操作を給液開始時を基準として10分間間隔で繰り返し、計3回行った。
結果を第9表に示す。

第9表に示されるように、尿・便処理兼用の吸収体製品において、尿逆流防止シートを具備する場合、便処理部におけるリウェット量が極めて少なかった。
【産業上の利用可能性】
本発明の吸収体製品は、体外排出液の吸収速度が経時的に大きく低下することがなく、かつ、リウェット量が極めて少ないので、子供用オムツ、大人用オムツ、女性用生理用品等として好適に用いられる。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】

【図14】

【図15】

【図16】

【図17】

【図18】

【図19】

【図20】

【図21】

【図22】

【図23】

【図24】

【図25】

【図26】

【図27】

【図28】

【図29】

【図30】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
上側に位置する液不透過性のサーフェスシートと、
下側に位置する液不透過性のバックシートと、
前記サーフェスシートと前記バックシートとの間に介在する、高吸水性樹脂を含有し排出液を吸収しうる吸収体と
を具備し、
前記サーフェスシートに供給された排出液の一部または全部を前記バックシートの側に移動させるための流路を有する、吸収体製品。
【請求項2】
前記流路が、前記吸収体の前後両端部、左右両端部および中央部の少なくとも一つに設けられている請求の範囲第1項に記載の吸収体製品。
【請求項3】
前記サーフェスシートが、単層の合成樹脂フィルムからなる請求の範囲第1項または第2項に記載の吸収体製品。
【請求項4】
前記サーフェスシートが、合成樹脂フィルムと前記合成樹脂フィルムの上側の面に設けられた不織布との積層体からなる請求の範囲第1項または第2項に記載の吸収体製品。
【請求項5】
前記合成樹脂フィルムが前記流路を構成する凹凸を有する請求の範囲第3項または第4項に記載の吸収体製品。
【請求項6】
前記サーフェスシートが、前記吸収体の上側の面の一部が露出するように配置されている請求の範囲第1項〜第5項のいずれかに記載の吸収体製品。
【請求項7】
前記サーフェスシートが、液透過性部を有する請求の範囲第1項〜第6項のいずれかに記載の吸収体製品。
【請求項8】
前記サーフェスシートの上側の面の少なくとも一部に、前記流路を有する液透過性のガイドシートが積層されている請求の範囲第1項〜第7項のいずれかに記載の吸収体製品。
【請求項9】
前記ガイドシートが、前記吸収体の側面の少なくとも一部を、直接にまたは前記サーフェスシートの上から、覆っている請求の範囲第8項に記載の吸収体製品。
【請求項10】
前記ガイドシートが、前記流路を構成する凹凸を有し、凸部の一部または全部に開口を有する請求の範囲第8項または第9項に記載の吸収体製品。
【請求項11】
前記サーフェスシートまたは前記ガイドシートの上側の面の少なくとも一部に、液透過性の不織布からなるスキンコンタクトシートが積層されている請求の範囲第1項〜第10項のいずれかに記載の吸収体製品。
【請求項12】
前記バックシートが、合成樹脂フィルムからなる請求の範囲第1項〜第11項のいずれかに記載の吸収体製品。
【請求項13】
前記バックシートを構成する前記合成樹脂フィルムが、通気性を有する請求の範囲第12項に記載の吸収体製品。
【請求項14】
前記バックシートが、合成樹脂フィルムと前記合成樹脂フィルムの下側の面に設けられた不織布との積層体からなる請求の範囲第1項〜第11項のいずれかに記載の吸収体製品。
【請求項15】
前記バックシートを構成する前記合成樹脂フィルムおよび前記不織布が、いずれも通気性を有する請求の範囲第14項に記載の吸収体製品。
【請求項16】
前記バックシートを構成する前記合成樹脂フィルムが、凹凸を有し、かつ、凸部の一部または全部に開口を有し、前記バックシートを構成する前記不織布が、1層以上のスパンボンド不織布と1層以上のメルトブローン不織布とを含む2層以上の耐水性の積層体である請求の範囲第14項または第15項に記載の吸収体製品。
【請求項17】
前記バックシートを構成する前記合成樹脂フィルムが、上側の面に液のトラップ部を構成する凹凸を有する請求の範囲第12項〜第16項のいずれかに記載の吸収体製品。
【請求項18】
前記吸収体が、高吸水性樹脂とフラッフ状パルプとの混合物を、液透過性のコアラッピングシートで被覆してなる請求の範囲第1項〜第17項のいずれかに記載の吸収体製品。
【請求項19】
前記吸収体が、2層の液透過性の不織布とその間に挟持された高吸水性樹脂とを有する請求の範囲第1項〜第17項のいずれかに記載の吸収体製品。
【請求項20】
前記吸収体が、液透過性の不織布に高吸水性樹脂をコーティング法により担持させてなる請求の範囲第1項〜第17項のいずれかに記載の吸収体製品。
【請求項21】
前記吸収体における前記高吸水性樹脂の含有量が50質量%以上である請求の範囲第1項〜第20項のいずれかに記載の吸収体製品。
【請求項22】
請求の範囲第1項〜第21項のいずれかに記載の吸収体製品であって、
着用時に着用者の対象部位が入る内部空間を形成しうる吸収体製品本体と、
前記吸収体製品本体に隣接して前記内部空間に連通し、かつ、前記バックシートを内面に有する吸収体ユニット収納部と、
前記吸収体ユニット収納部に着脱自在に収納される、少なくとも前記サーフェスシートと前記吸収体とが組み合わされて構成される吸収体ユニットと
を具備する吸収体製品。
【請求項23】
前記吸収体製品本体と前記吸収体ユニット収納部との間の少なくとも一部に、前記ガイドシートを具備する請求の範囲第22項に記載の吸収体製品。
【請求項24】
前記吸収体製品本体と前記吸収体ユニット収納部との間の少なくとも一部に、液透過性のスキンコンタクトシートを具備する請求の範囲第22項または第23項に記載の吸収体製品。
【請求項25】
前記吸収体ユニット収納部に、積層された複数個の前記吸収体ユニットを具備する請求の範囲第22項〜第24項のいずれかに記載の吸収体製品。
【請求項26】
請求の範囲第1項〜第21項のいずれかに記載の吸収体製品であって、
着用時に着用者の対象部位が入る内部空間を形成しうる吸収体製品本体と、
前記吸収体製品本体に隣接して前記内部空間に連通し、かつ、前記バックシートを内面に有する吸収体収納部と、
前記吸収体収納部に着脱自在に収納される吸収体と
を具備し、
前記吸収体製品本体と前記吸収体収納部との間の少なくとも一部に前記サーフェスシートを具備する吸収体製品。
【請求項27】
前記サーフェスシートの上側の面に、前記ガイドシートが積層されている請求の範囲第26項に記載の吸収体製品。
【請求項28】
前記サーフェスシートまたは前記ガイドシートの上側の面の少なくとも一部に、液透過性のスキンコンタクトシートを具備する請求の範囲第26項または第27項に記載の吸収体製品。
【請求項29】
前記吸収体収納部に、積層された複数個の前記吸収体を具備する請求の範囲第26項〜第28項のいずれかに記載の吸収体製品。
【請求項30】
中央部から前身頃までの尿処理部と、中央部から後見頃までの便処理部とを有する請求の範囲第1項〜第29項のいずれかに記載の吸収体製品であって、
前記サーフェスシートが、前記尿処理部のみに存在する吸収体製品。
【請求項31】
少なくとも前記便処理部において、液透過性の尿逆流防止シートを前記吸収体の内部および/または上面に具備する請求の範囲第30項に記載の吸収体製品。
【請求項32】
前記吸収体に、前記吸収体の吸収容量の50%の量の0.9質量%塩化ナトリウム水溶液を、25℃で無荷重下で吸収させた後、吸収開始から5分間経過した後に0.1psiの荷重下で測定されるリウェット量が5mL以下である請求の範囲第1項〜第31項のいずれかに記載の吸収体製品。
【請求項33】
前記リウェット量が2mL以下である請求の範囲第32項に記載の吸収体製品。
【請求項34】
前記吸収体の0.9質量%塩化ナトリウム水溶液の吸収容量が300mL以上であり、
前記吸収体に、無荷重下で10分間隔で3回に分けて100mLずつ生理食塩水を吸収させた場合において、
リウェット量の3回の平均値が5mL以下であり、
リウェット量の標準偏差が3mL以下であり、
前記吸収体に、0.1psiの荷重下で10分間隔で3回に分けて100mLずつ生理食塩水を吸収させた場合において、
吸収時間の3回の平均値が30秒以下であり、
吸収時間の標準偏差が2秒以下である、請求の範囲第1項〜第33項のいずれかに記載の吸収体製品。

【国際公開番号】WO2004/052257
【国際公開日】平成16年6月24日(2004.6.24)
【発行日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−558368(P2004−558368)
【国際出願番号】PCT/JP2002/012900
【国際出願日】平成14年12月10日(2002.12.10)
【出願人】(592034744)株式会社日本吸収体技術研究所 (28)
【Fターム(参考)】