液体の包装体
【課題】充填している液体を簡単かつ容易に、しかも速やかに排出する構造を実現しながら、安価に多量生産する。
【解決手段】液体の包装体は、液体9の充填凹部2を有すると共に、この充填凹部2の外周に沿って蓋シート7を熱溶着する鍔部3を設けてなるプラスチック製の硬質板材からなる容器本体1と、この容器本体1の鍔部3に熱溶着されて充填凹部2を密閉してなる可撓性のプラスチックシートの蓋シート7とからなる。容器本体1の鍔部3は、充填凹部2の開口部の内周縁2aから外周縁3aに向かって延びるが、外周縁3aまで延長されない排出溝4を設けている。この排出溝4は、上面開口を鍔部3に熱溶着してなる蓋シート7で閉塞している。液体の包装体は、可撓性のある蓋シート7を破損や剥離することなく、排出溝4と交差するように鍔部3を折曲破損して、排出溝4に亀裂5を設け、この亀裂5から充填凹部2に充填している液体9を排出する。
【解決手段】液体の包装体は、液体9の充填凹部2を有すると共に、この充填凹部2の外周に沿って蓋シート7を熱溶着する鍔部3を設けてなるプラスチック製の硬質板材からなる容器本体1と、この容器本体1の鍔部3に熱溶着されて充填凹部2を密閉してなる可撓性のプラスチックシートの蓋シート7とからなる。容器本体1の鍔部3は、充填凹部2の開口部の内周縁2aから外周縁3aに向かって延びるが、外周縁3aまで延長されない排出溝4を設けている。この排出溝4は、上面開口を鍔部3に熱溶着してなる蓋シート7で閉塞している。液体の包装体は、可撓性のある蓋シート7を破損や剥離することなく、排出溝4と交差するように鍔部3を折曲破損して、排出溝4に亀裂5を設け、この亀裂5から充填凹部2に充填している液体9を排出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主としてソースやミルクなどの食品として使用される液体を密封包装すると共に、一部を折り曲げて開口し、開口から収納物である液体を排出できる包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
コンビニエンスストア等で販売される焼きそば、ハンバーガー、ホットドッグ、サラダ等の食品は、ソース、マスタード、ケチャップ、ドレッシング、ジャム等の液体調味料が一緒に使用される。液体調味料を簡単に食品にかけて使用できるように、液体調味料を簡単に排出できる包装体が開発されている。(特許文献1参照)
この包装体は、硬質プラスチックの薄板である蓋材の裏面に、プラスチック製の可撓性フィルムからなる薄膜の収納シートの周縁部を熱溶着している。この包装体は、収納シートに収納ポケットを設けて、ここにソース等の液体調味料を充填している。さらに、この包装体は、簡単に液体調味料を排出できるように、蓋材の表面の中央に沿って、ハーフカットしている折曲線を設けている。さらにこの折曲線を跨くように、両側に延びる中空の突起を設けている。さらに、この突起の両側には、蓋材の曲げ強度を補強するための複数の凸条も設けている。収納ポケットは、折曲線の両側に設けられて、その一部を中空の突起に連結している。
【0003】
以上の構造の包装体は、蓋材に設けている折曲線のハーフカットを折曲ラインとして、蓋材をV字形に折り曲げると、中空の突起が2つに割れて開口ができ、この開口から、収納ポケットに充填している液体調味料を押し出して排出できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭63−64665号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上の液体の包装体は、簡単にソースなどの液体を排出できる。しかしながら、以上の包装体は、硬質プラスチックの蓋材を複雑な凹凸形状に成形して、その裏面に可撓性プラスチックの収納シートを熱溶着するので、収納シートと蓋材とを正確に位置調整して熱溶着する必要があって、製造コストが高くなる欠点がある。それは、収納シートと蓋材との熱溶着する位置がずれると、収納シートに設けている収納ポケットの開口部を蓋材で密閉できなくなったり、あるいは収納ポケットを中空の突起に連結できなくなって、スムーズに液体を排出できなくなるからである。さらに、以上の包装体は、薄いプラスチックフィルムからなる可撓性シートからなる収納シートに液体の収納ポケットを設けて、ここに液体を充填し、この状態で収納シートを蓋材の正確な位置に熱溶着することも製造を難しくして製造コストを高くする。また、薄いプラスチックフィルムの収納シートに液体を充填するが、収納シートにピンホールなどができると液体が漏れるので、収納シートには、液体漏れのない高価なプラスチックフィルムを使用する必要があって原料コストが高くなる欠点もある。
【0006】
本発明は、以上の欠点を解決することを目的に開発されたものである。本発明の重要な目的は、充填している液体を簡単かつ容易に、しかも速やかに排出する構造を実現しながら、安価に多量生産できる液体の包装体を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0007】
本発明の液体の包装体は、液体9の充填凹部2を有すると共に、この充填凹部2の外周に沿って、プラスチック製の蓋シート7を熱溶着する平面状の鍔部3を設けてなるプラスチック製の硬質板材からなる容器本体1と、この容器本体1の鍔部3に熱溶着されて充填凹部2の開口部を水密に密閉してなる可撓性のプラスチックシートからなる蓋シート7とからなる。容器本体1の鍔部3は、充填凹部2の開口部の内周縁2aから外周縁3aに向かって延びるが、外周縁3aまで延長されない液体9の排出溝4を設けている。この排出溝4は、上面開口を鍔部3に熱溶着してなる蓋シート7で閉塞している。液体の包装体は、可撓性のある蓋シート7を破損や剥離することなく、充填凹部2の開口部の内周縁2aと平行であって、排出溝4と交差するように鍔部3を折曲破損して、排出溝4に亀裂5を設け、この亀裂5から充填凹部2に充填している液体9を排出する。
本明細書において、硬質板材とは、弾性限度を超えて変形させる状態で破断して亀裂が生じる程度の硬度を有する板材であって、ユーザーが手で変形できる程度の硬度を有する板材を意味するものとする。
さらに、本明細書において、液体とは、シロップ、マヨネーズ、ケチャップ等のように粘度の高い液体や、ドレッシング、ジャム、タレ等のように小さな固形物を含む液体も含む広い意味で使用する。
【0008】
以上の液体の包装体は、充填している液体を簡単かつ容易に、しかも速やかに排出する構造を実現しながら、安価に多量生産できる特徴がある。それは、本発明の液体の包装体が、容器本体の外周に沿って設けた鍔部に蓋シートを熱溶着して、液体が収納された充填凹部の開口部を水密に閉塞すると共に、容器本体の鍔部に、充填凹部に収納された液体の排出溝を設けて、この排出溝の上面開口を鍔部に熱溶着してなる蓋シートで閉塞しており、この蓋シートを破損や剥離することなく、排出溝と交差するように鍔部を折曲破損して、排出溝に亀裂を設けて、この亀裂から充填凹部に充填している液体を排出するからである。以上の包装体は、排出溝と交差するように鍔部を折曲して排出溝に亀裂を設けて、この亀裂から液体を排出するので、蓋シートを破損や剥離することなく、簡単かつ容易に排出溝を開口して液体を排出できる。
【0009】
とくに、以上の包装体は、容器本体に充填凹部と排出溝を設けて内面を凹凸形状とするが、この容器本体の鍔部に固定する蓋シートは、容器本体に対して正確に位置決めすることなく熱溶着できる。このため、従来のように、複雑な凹凸形状に成形してなる硬質プラスチックの蓋材と可撓性プラスチックの収納シートとを正確に位置決めしながら熱溶着する必要がなく、簡単かつ容易に蓋シートを容器本体に熱溶着して、製造コストを低減しながら包装体を能率良く多量生産できる。
【0010】
さらに、以上の包装体は、プラスチック製の硬質板材を成形してなる容器本体に設けた充填凹部に液体を収納するので、従来のように、可撓性シートからなる収納シートに設けた収納ポケットに液体を充填することなく、容器本体に適量の液体を正確に充填できる。しかも、プラスチック製の硬質板材を成形してなる容器本体は、従来の薄いプラスチックフィルムのようにピンホールなどができるのを確実に阻止できるので、収納される液体が漏れる等の弊害をも確実に防止しながら、安価に多量生産できる特徴も実現できる。
【0011】
本発明の液体の包装体は、鍔部3に複数列の排出溝4を設けることができる。
以上の包装体は、複数の排出溝に亀裂を設けることで、収納している液体をより速やかに排出できる。また、複数の排出溝により鍔部を補強して、この鍔部を変形させることなく確実に折曲できる特徴もある。
【0012】
本発明の液体の包装体は、充填凹部2と鍔部3との境界に沿ってハーフカット17を設けることができる。
以上の包装体は、鍔部をハーフカット部分で折曲して、この部分を簡単に破損できる。したがって、簡単かつ速やかに、しかも正確な位置に亀裂を設けて、この部分から液体を確実に排出できる。
【0013】
本発明の液体の包装体は、容器本体1をポリスチレン製として、蓋シート7の内面をポリスチレンとすることができる。
以上の包装体は、容器本体をポリスチレンで成形することで、鍔部を簡単に折曲破損できる構造としながら、蓋シートの内面をポリスチレンとすることで、容器本体の鍔部と蓋シートの溶着面を同素材として確実に熱溶着できる。
【0014】
本発明の液体の包装体は、容器本体1が、ポリスチレンの内面にポリプロピレンフィルム6を積層すると共に、蓋シート7が内面をポリプロピレンとすることができる。
以上の包装体は、容器本体をポリスチレンで成形することで、鍔部を簡単に折曲破損できる構造としながら、ポリスチレンの内面にはポリプロピレンフィルムを積層し、かつ、蓋シートの内面をポリプロピレンとすることで、容器本体と蓋シートの耐油性を高めて、油分を含む液体を収納できる。さらに、ポリスチレンの鍔部と蓋シートとの溶着面を同素材として、確実に熱溶着できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施例にかかる包装体の分解斜視図である。
【図2】本発明の一実施例にかかる包装体の底面斜視図である。
【図3】図2に示す包装体の鍔部を折曲する状態を示す斜視図である。
【図4】図2に示す包装体の一部拡大断面図である。
【図5】図2に示す包装体の鍔部を折曲する状態を示す断面図である。
【図6】図5に示す包装体から液体を排出する状態を示す断面図である。
【図7】本発明の他の実施例にかかる包装体の底面斜視図である。
【図8】本発明の他の実施例にかかる包装体の底面図である。
【図9】図8に示す包装体の鍔部を折曲して液体を排出する状態を示す断面図である。
【図10】本発明の他の実施例にかかる包装体の一部拡大断面図である。
【図11】本発明の他の実施例にかかる包装体の分解斜視図である。
【図12】図11に示す包装体の鍔部を折曲して液体を排出する状態を示す断面図である。
【図13】本発明の他の実施例にかかる包装体の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための液体の包装体を例示するものであって、本発明は液体の包装体を以下のものに特定しない。さらに、この明細書は、特許請求の範囲を理解しやすいように、実施例に示される部材に対応する番号を、「特許請求の範囲」および「課題を解決するための手段の欄」に示される部材に付記している。ただ、特許請求の範囲に示される部材を、実施例の部材に特定するものでは決してない。
【0017】
本発明の液体の包装体は、ソース、しょうゆ、ドレッシング、タレ、ミルク、シロップ、果汁、マヨネーズ、ケチャップ、ジャム等の食品として使用される液体を内部に収納することができる。ただ、包装体は、食品用の液体に限らず、液状洗剤、シャンプー、リンス、化粧水、ローション等の液体を収納することもできる。
【0018】
図1ないし図6に示す液体の包装体は、液体9の充填凹部2を有すると共に、この充填凹部2の外周に沿って平面状の鍔部3を設けてなる容器本体1と、この容器本体1の鍔部3に熱溶着されて充填凹部2の開口部を水密に密閉してなる蓋シート7とからなる。これらの包装体は、図4に示すように、容器本体1の充填凹部2に液体9を収納する状態で、充填凹部2の開口部を蓋シート7で密閉して、内部に液体9を水密に収納し、図6に示すように、鍔部3の一部を折曲して亀裂5を設け、この亀裂5から収納物である液体9を排出する。
【0019】
容器本体1は、熱可塑性のプラスチック製の板材を真空成形または圧空成形等の方法で成形して製作される。容器本体1は、図に示すように、液体9を収納する充填凹部2を有すると共に、この充填凹部2の外周に沿って、蓋シート7を熱溶着する平面状の鍔部3を設けている。図の充填凹部2は、周壁11の下端を底板12で連結して、全体の形状を容器状としている。さらに、容器本体1は、充填凹部2の開口縁である周壁11の上端に鍔部3を連結して、充填凹部2の開口縁に沿って、同一平面に位置する鍔部3を設けている。
【0020】
充填凹部2は、所定量の液体9を収納できる容積に成形している。図1ないし図3の包装体は、充填凹部2の平面形状を略楕円形状とすると共に、楕円の長径の一端部を直線状にカットした形状に成形している。ただ、包装体は、その用途や収納する液体の種類に応じて充填凹部の形状を種々に設計することができる。包装体は、充填凹部の形状を、直方体の箱形とし、あるいは円柱状とし、あるいはまた、底に向かって断面積が小さくなる角錐台形状や円錐台形状とすることもできる。
【0021】
図の容器本体1は、周壁11の開口縁に沿って、鍔部3を設けている。鍔部3は、所定の幅として蓋シート7を確実に熱溶着できるようにしている。さらに、容器本体1の鍔部3は、充填凹部2の開口部の内周縁2aから外周縁3aに向かって延びるが、外周縁3aまで延長されない液体9の排出溝4を設けている。図に示す容器本体1は、鍔部3の一部に幅広部3Aを設けて、この幅広部3Aに排出溝4を設けている。図1ないし図3に示す容器本体1は、充填凹部2の直線状に成形された一辺に連結される鍔部3を外周方向に広くして幅広部3Aとしている。排出溝4は、プラスチック製の板材の成形工程において、所定の断面形状となるように成形される。排出溝4は、図において上面を開口する溝形で、充填凹部2の周壁11から外周方向に向かって延長して設けている。この排出溝4は、一端を周壁11の外面に連結しており、この連結部において、充填凹部2の内部に連通している。
【0022】
鍔部3に設けられる排出溝4は、詳細には後述するが、充填凹部2の開口部の内周縁2aと平行であって、排出溝4に対して交差するように鍔部3を折曲する状態で、排出溝4の外周面13が破断されて亀裂5が設けられて、この亀裂5から内部の液体9が排出される。したがって、排出溝4は、その横断面の大きさによって、排出される液体9の排出量が特定される。すなわち、包装体は、排出溝4の横断面積を大きくして、多量の液体9を速やかに排出でき、また、排出溝4の横断面積を小さくして、液体9の排出量を抑制できる。さらに、包装体は、その用途や収納する液体9の種類によっても、排出溝4の横断面積を調整する。例えば、包装体は、シロップ、マヨネーズ、ケチャップ等の粘度の高い液体を収納する用途や、ドレッシング、ジャム、タレ等のように小さな固形物を含む液体を収納する用途においては、排出溝の横断面積を大きくして、これらの液体を速やかに排出できる。したがって、包装体は、以上のことを考慮して、排出溝4の幅を3mm、深さを2mmとする。ただし、排出溝の幅は、例えば2mm〜5mmとし、深さを1mm〜5mmとすることもできる。
【0023】
図1ないし図3に示す排出溝4は、横断面形状を半円状としている。この容器本体1は、排出溝4の断面積を広くしながら、鍔部3を折曲する状態では、半円状の外周面13を速やかに破断させて亀裂5を設けることができる。ただ、排出溝は、その断面形状を半円形状に特定せず、半楕円形状や多角形状、V字状とすることもできる。
【0024】
図1ないし図3に示す容器本体1は、鍔部3に複数列の排出溝4を設けている。図の鍔部3は、充填凹部2の直線部に連結してなる幅広部3Aに、3列の排出溝4を互いに平行に設けている。各々の排出溝4は、充填凹部2の直線部を構成する周壁11に対して略垂直方向に延長して設けている。このように、複数の排出溝4を備える包装体は、鍔部3を折曲破損する状態で、各々の排出溝4に開口される亀裂5から液体9を排出できるので、多量の液体9を速やかに排出できる。ただ、包装体は、その用途や収納する液体の種類によって、充填凹部の一辺に設ける排出溝の数を1〜5列、好ましくは1〜3列とすることができる。1〜2列の排出溝を備える包装体は、排出溝に開口される亀裂から、液体を抑制しながら排出できる。以上のように、包装体は、鍔部に設ける排出溝の数によっても、排出される液体の排出量を特定できる。すなわち、容器本体は、排出溝の数を多くして、多量の液体を速やかに排出でき、また、排出溝の数を少なくして、液体の排出量を抑制できる。
【0025】
さらに、排出溝4を有する鍔部3は、この排出溝4の外周面13によって、鍔部3の下面から突出する凸条14が形成される。図の排出溝4は、横断面形状を半円状としているので、鍔部3の下面に半円柱状の凸条14を突出させている。このように鍔部3の下面に形成される凸条14は、鍔部3を排出溝4に対して交差するように折曲する状態で、包装体の上面に折り返される折曲部15を補強して、この折曲部15を湾曲させることなく一体的に折曲できる。例えば、図3と図5に示すように、複数列の排出溝4を設けた鍔部3の幅広部3Aを包装体の上面に折り返す状態では、排出溝4を設けた幅広部3A全体を折曲部15として折曲できる。このとき、容器本体1は、充填凹部2と排出溝4を設けた鍔部3との境界部分である充填凹部2の開口部の内周縁2aを折曲ライン16(図1において一点鎖線で表示)として、排出溝4に対して交差するように鍔部3が折曲される。このように、充填凹部2の内周縁2aを折曲ライン16として折曲される鍔部3は、図5に示すように、充填凹部2の周壁11と排出溝4との連結部分が破断されて亀裂5が生じる。とくに、充填凹部2の内周縁2aを折曲ライン16として折曲される鍔部3は、図5に示すように、包装体の上面と同一平面上となるまで、すなわち、最大で180度折り返される状態となって、排出溝4の外周面13を確実に破断し、さらに、排出溝4の外周面13に沿って亀裂5を広げることができる。
【0026】
以上のように、排出溝4が連結される充填凹部2の開口部の内周縁2aを折曲ライン16として鍔部3を折曲する包装体は、鍔部3にハーフカットを設けることなく、充填凹部2の周壁11と排出溝4との連結部分を確実に破断して亀裂5を設けることができる。ただ、包装体は、鍔部3にハーフカットを設けることもできる。図7に示す包装体は、図の破線で示すように、充填凹部2と鍔部3との境界に沿って、すなわち、折曲ライン16に沿ってハーフカット17を設けている。この構造は、簡単かつ容易に、しかも正確に鍔部3を折曲破損して、排出溝4に亀裂5を設けることができる。このハーフカット17は、例えば、レーザーを照射して設けることができる。ただ、ハーフカットは、充填凹部の周壁と排出溝の外周面との連結部分にのみ設けることもできる。この構造は、ハーフカットを設ける領域を狭くしながら、排出溝に確実に亀裂を設けることができる。とくに、充填凹部の周壁と排出溝の外周面との連結部以外に亀裂が生じるのを有効に防止しながら、排出溝の所定の位置に簡単に亀裂を設けることができる。
【0027】
さらに、包装体は、図8に示すように、排出溝4の中央部と交差する位置にハーフカット17を設けることもできる。図の包装体は、充填凹部2の開口部の内周縁2aと平行であって、複数列の排出溝4に直交するようにハーフカット17を設けている。この包装体は、このハーフカット17を折曲ライン16として鍔部3を折曲破損する。この位置で折曲される鍔部3は、図9に示すように、排出溝4の中央部を破断して、この部分に亀裂5を形成する。この包装体は、充填凹部2に収納された液体9を、排出溝4に通過させて亀裂5から排出する。
【0028】
以上の容器本体1は、排出溝4に対して交差するように鍔部3を折曲する状態で、排出溝4の外周面13を破断させて亀裂5を設けるために、プラスチック製の硬質板材で成形される。ここで、硬質板材とは、弾性限度を超えて変形させる状態で、破断して亀裂が生じる程度の硬度を有する板材であって、ユーザーが手で変形できる程度の硬度を有する板材である。このようなプラスチック製の硬質板材としてポリスチレン(PS)が最適である。以上の本体容器1は、ポリスチレンの板材を真空成形または圧空成形して所定の形状に成形される。このように、ポリスチレンの板材を成形してなる容器本体1は、その厚さを0.3mmとする。ただ、容器本体の厚さは、0.2mm〜1mm、好ましくは0.2〜0.5mmとして、簡単に折曲しながら、弾性限度を超える状態で破断できる。さらに、容器本体は、鍔部を折曲して破断される部分を、他の部分よりも薄く成形することもできる。この容器本体は、鍔部の折曲によって、所望の位置を簡単に破断できる。ただ、本体容器は、ポリプロピレンやポリエチレンの板材を成形して製造することもできる。
【0029】
プラスチック製の硬質板材で成形される容器本体1は、鍔部3を折曲する状態で排出溝4に亀裂5を設けるために、鍔部3及び鍔部3と充填凹部2の連結部には所定の硬度が要求されるが、充填凹部2の底部には硬度が要求されない。したがって、容器本体1は、充填凹部2の底部を、充填凹部2の上端部や鍔部3よりも薄く成形して変形しやすくすることができる。図6に示す容器本体1は、充填凹部2の底板12を他の部分よりも薄く成形して、変形しやすくしている。この構造の包装体は、液体9を排出する状態で、充填凹部2の底板12を図の矢印Aで示すように内側に押圧して、図の破線で示すように底板12を変形させて、内部の液体9をスムーズに排出できる。さらに、容器本体は、図示しないが、充填凹部の周壁であって、鍔部と連結される上端部を除く部分を他の部分よりも薄く成形し、この周壁を両側から押圧して内側に変形させて、内部の液体をスムーズに排出することもできる。以上のように、充填凹部2を外部から押圧して変形できる包装体は、粘度の高い液体であっても強制的に排出できる特徴がある。
【0030】
さらに、図1ないし図9の包装体は、容器本体1の充填凹部2に液体9を収納して、容器本体1の開口部4を蓋シート7で閉塞している。蓋シート7は、熱可塑性のプラスチックフィルムである。プラスチックフィルムである蓋シート7は、容器本体1に設けている鍔部3に熱溶着して固定している。鍔部3に熱溶着される蓋シート7は、鍔部3に成形される排出溝4の上面開口を閉塞している。この包装体は、容器本体1と蓋シート7の相対位置に制約を受けないので、容器本体1と蓋シート7との相対位置を特定することなく蓋シート7を鍔部3に熱溶着できる。したがって、簡単かつ容易に、容器本体1に蓋シート7を配置して熱溶着できる。図に示す蓋シート7は、容器本体1よりも大きな外形として、容器本体1を確実に閉塞している。ただ、蓋シートは、容器本体とほぼ等しい外形とすることもできる。
【0031】
容器本体1の鍔部3に熱溶着される蓋シート7は、互いの溶着面を同素材としている。すなわち、ポリスチレンからなる容器本体1に熱溶着される蓋シート7は、容器本体1との溶着面となる内面をポリスチレンとする。この蓋シート7は、ポリスチレンフィルムを単独で使用することもできるが、好ましくは、内面をポリスチレンフィルムとする多層構造の積層フィルムとする。図4に示す蓋シート7は、ポリプロピレンフィルム7Bの内面にポリスチレンフィルム7Aを積層して、内面をポリスチレンとしている。ただ、蓋シートは、ポリスチレン(PS)とペット(PET)の積層フィルムとし、あるいは、ポリスチレン(PS)とポリアミド(ナイロン)の積層フィルムとし、あるいはまた、ポリスチレン(PS)とポリエチレン(PE)の積層フィルムとすることもできる。これらの積層フィルムからなる蓋シートは、高価なポリスチレンの使用量を少なくしながら、安価なプラスチックを使用して蓋シートを製造できるので、製造コストを低減できる特徴がある。とくに、ポリアミド製のシート材は、綺麗にシワにならないように溶着できる特徴もある。さらに、ポリプロピレン製の容器本体には、内面をポリプロピレンとする蓋シートを熱溶着して固定し、ポリエチレン製の容器本体には、内面をポリエチレンとする蓋シートを熱溶着して固定することができる。
【0032】
さらに、包装体は、図10の一部拡大図に示すように、容器本体1をポリスチレン製として、その内面にポリプロピレンフィルム6を積層し、蓋シート7の内面をポリプロピレンとすることもできる。この包装体は、容器本体1の内面と蓋シート7の内面とをポリプロピレンとするので、容器本体1の充填凹部2と蓋シート7の耐油性を高めて、油分を含む液体を収納できる。この容器本体1は、表面にポリプロピレンフィルム6を積層して接着してなるポリスチレンの板材を真空成形または圧空成形して製造することができる。また、内面をポリプロピレンとする蓋シート7は、ポリプロピレンを単独で使用することもできるが、好ましくは、内面をポリプロピレンフィルム7Bとする多層構造の積層フィルムとする。図4に示す蓋シート7は、ポリプロピレンフィルム7Bの外面にペットフィルム7Cを積層して、内面をポリプロピレンとしている。ただ、蓋シートは、ポリプロピレン(PP)とポリスチレン(PS)の積層フィルムとし、あるいは、ポリプロピレン(PP)とポリアミド(ナイロン)の積層フィルムとし、あるいはまた、ポリプロピレン(PP)とポリエチレン(PE)の積層フィルムとすることもできる。
【0033】
さらに、蓋シートは、図示しないが、プラスチックフィルムの外面にアルミニウム層を積層し、あるいは、多層構造の積層フィルムの中間層としてアルミニウム層を積層することができる。このアルミニウム層は、アルミニウム箔を積層し、あるいはアルミニウムを真空蒸着して設けることができる。このように、アルミニウム層を積層してなる蓋シートは、ガスバリアを良くして、長期保存性を向上できる特徴がある。
【0034】
以上の包装体は、容器本体1の鍔部3に熱溶着される蓋シート7を剥離することなく、内部の液体を排出できるので、蓋シート7を容器本体1の鍔部3に強固に連結することができる。ただ、蓋シートは、容器本体の鍔部に剥離できるように連結することもできる。さらに、容器本体1の充填凹部2の開口部を密閉してなる蓋シート7は、可撓性を有することで、液体9を排出する状態においては、図4の矢印Bで示すように内側に押圧して、図の破線で示すように変形させて、内部の液体9をスムーズに排出できる。
【0035】
さらに、包装体は、容器本体1と蓋シート7のいずれか一方または両方を、充填凹部2に収納している液体9を外部から見ることができる透光性を有するプラスチックで成形することができる。このように、容器本体1と蓋シート7のいずれか一方または両方を、透光性を有するプラスチックで成形している包装体は、充填凹部2に収納している液体9を外部から見て、その色や状態、内容量等を判断することができる。ただ、容器本体と蓋シートは、必ずしも透光性を有するプラスチックで成形する必要はない。
【0036】
さらに、図11ないし図13に示す包装体は、容器本体1に複数の充填凹部2を設けている。図の容器本体1は、略直方体の箱形の充填凹部2を2個並んで設けている。容器本体1は、各々の充填凹部2の外周に鍔部3を設けると共に、互いに対向する両端の鍔部3を幅広部3Aとして、各々の幅広部3Aに排出溝4を設けている。図の容器本体1は、各々の幅広部3Aに複数の排出溝4を互いに平行に設けている。
【0037】
図11の容器本体1は、図において右側に位置する充填凹部2の容積を、左側に位置する充填凹部2の容積よりも大きくしている。この包装体は、各々の充填凹部2に異なる種類の液体9を異なる容量で収納できるようにしている。この包装体は、使用時において、排出する液体9を選択し、所望の液体9が収納された充填凹部2に連結された幅広部3Aを折曲して排出溝4を破断して亀裂5を設けて、この亀裂5から充填凹部2に収納された液体9を排出する。この包装体は、二種類の液体を異なる容量収納できるので、その用途に応じて収納する液体を種々に変更して便利に使用できる。例えば、この包装体は、大きな充填凹部2にソース、タレ、しょうゆ、マヨネーズ、ケチャップ等を収納し、小さな充填凹部2にカラシ、わさび、タバスコ、ラー油等を収納できる。この包装体は、例えば、図12の(a)に示すように、容積の大きな充填凹部2に収納された液体9を排出した後、図12の(b)に示すように、容積の小さな充填凹部2に収納された液体9を排出して、二種類の液体9を便利に使用できる。
【0038】
さらに、図11の容器本体1は、容積の大きな充填凹部2に連結した幅広部3Aに3列の排出溝4を設けて、容積の小さな充填凹部2に連結した幅広部3Aに2列の排出溝4を設けている。この包装体は、容積の大きな充填凹部2に収納した多量の液体を、3列の排出溝4に開口される3箇所の亀裂5から速やかに排出できる。また、容積の小さな充填凹部2に収納した少量の液体を、2列の排出溝4に開口される2箇所の亀裂5から排出量を抑制しながら排出できる。ただ、容器本体に設ける充填凹部の容積と、各々の充填凹部に連結される幅広部に設ける排出溝の数、及び各排出溝の幅や深さは、各々の充填凹部に収納される液体の種類と用途に応じて種々に変更することができる。
【0039】
さらに、図13に示す包装体は、並んで設けた2個の充填凹部2の容積を等しくしている。この包装体は、各々の充填凹部2に異なる種類の液体を収納し、あるいは同じ種類の液体を収納することもできる。この包装体も、各々の充填凹部2に連結して設けた幅広部3Aを折曲して排出溝4を破断して亀裂5を設けることにより、各々の充填凹部2に収納された液体を別々に排出する。この包装体は、二種類の液体を収納して便利に使用でき、また、同じ種類の液体を収納する用途においては、排出する液体の量を2段階に選択できる。また、図に示す包装体は、ふたつの充填凹部2の間に設けた鍔部3に、切断ライン18を設けている。この包装体は、この切断ライン18で折曲して破断し、包装体を個々に分割して使用することもできる。
【0040】
以上の包装体は、以下の工程で製造される。
[包装体の製造方法]
(1)成形工程
ポリスチレン製の硬質板材を真空成形して、充填凹部2と鍔部3のある容器本体1を成形する。容器本体1は、充填凹部2の開口縁に、同一平面に位置する鍔部3を設けて成形する。容器本体1は、充填凹部2の開口縁に沿って鍔部3を設けると共に、幅広部3Aとなる鍔部3には、排出溝4を成形する。
(2)収納工程
成形された容器本体1の充填凹部2に所定量の液体9を注入する。
(3)閉塞工程
容器本体1の開口部4の周縁の鍔部3に蓋シート7を熱溶着して固定し、充填凹部2の開口部4を蓋シート7で閉塞すると共に、鍔部3に設けた排出溝4の上面開口を蓋シート7で閉塞する。
包装体は、この状態で製造業者から販売業者に、さらにユーザーに流通される。
【0041】
以上の包装体は、以下のようにして使用される。
[包装体の使用方法]
(1)折曲破損工程
ユーザーは、包装体に収納された液体を排出する時に、蓋シート7を破損や剥離することなく、図5に示すように、排出溝4を設けた鍔部3を折曲する。このとき、排出溝4を設けた鍔部3を、排出溝4に交差するように折曲して、鍔部3を折曲破損させる。排出溝4に交差して折曲される鍔部3は、排出溝4に亀裂5が生じる。さらに、鍔部3の折曲部15は、図3に示すように、包装体の上面側に折り返されて亀裂5が大きく開かれる。
(2)排出工程
包装体を、図6に示すように、排出溝4に設けた亀裂5を下向きとする姿勢として、充填凹部2に収納された液体9を排出溝4の亀裂5から排出する。
【符号の説明】
【0042】
1…容器本体
2…充填凹部 2a…内周縁
3…鍔部 3A…幅広部
3a…外周縁
4…排出溝
5…亀裂
6…ポリプロピレンフィルム
7…蓋シート 7A…ポリスチレンフィルム
7B…ポリプロピレンフィルム
7C…ペットフィルム
9…液体
11…周壁
12…底板
13…外周面
14…凸条
15…折曲部
16…折曲ライン
17…ハーフカット
18…切断ライン
【技術分野】
【0001】
本発明は、主としてソースやミルクなどの食品として使用される液体を密封包装すると共に、一部を折り曲げて開口し、開口から収納物である液体を排出できる包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
コンビニエンスストア等で販売される焼きそば、ハンバーガー、ホットドッグ、サラダ等の食品は、ソース、マスタード、ケチャップ、ドレッシング、ジャム等の液体調味料が一緒に使用される。液体調味料を簡単に食品にかけて使用できるように、液体調味料を簡単に排出できる包装体が開発されている。(特許文献1参照)
この包装体は、硬質プラスチックの薄板である蓋材の裏面に、プラスチック製の可撓性フィルムからなる薄膜の収納シートの周縁部を熱溶着している。この包装体は、収納シートに収納ポケットを設けて、ここにソース等の液体調味料を充填している。さらに、この包装体は、簡単に液体調味料を排出できるように、蓋材の表面の中央に沿って、ハーフカットしている折曲線を設けている。さらにこの折曲線を跨くように、両側に延びる中空の突起を設けている。さらに、この突起の両側には、蓋材の曲げ強度を補強するための複数の凸条も設けている。収納ポケットは、折曲線の両側に設けられて、その一部を中空の突起に連結している。
【0003】
以上の構造の包装体は、蓋材に設けている折曲線のハーフカットを折曲ラインとして、蓋材をV字形に折り曲げると、中空の突起が2つに割れて開口ができ、この開口から、収納ポケットに充填している液体調味料を押し出して排出できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭63−64665号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上の液体の包装体は、簡単にソースなどの液体を排出できる。しかしながら、以上の包装体は、硬質プラスチックの蓋材を複雑な凹凸形状に成形して、その裏面に可撓性プラスチックの収納シートを熱溶着するので、収納シートと蓋材とを正確に位置調整して熱溶着する必要があって、製造コストが高くなる欠点がある。それは、収納シートと蓋材との熱溶着する位置がずれると、収納シートに設けている収納ポケットの開口部を蓋材で密閉できなくなったり、あるいは収納ポケットを中空の突起に連結できなくなって、スムーズに液体を排出できなくなるからである。さらに、以上の包装体は、薄いプラスチックフィルムからなる可撓性シートからなる収納シートに液体の収納ポケットを設けて、ここに液体を充填し、この状態で収納シートを蓋材の正確な位置に熱溶着することも製造を難しくして製造コストを高くする。また、薄いプラスチックフィルムの収納シートに液体を充填するが、収納シートにピンホールなどができると液体が漏れるので、収納シートには、液体漏れのない高価なプラスチックフィルムを使用する必要があって原料コストが高くなる欠点もある。
【0006】
本発明は、以上の欠点を解決することを目的に開発されたものである。本発明の重要な目的は、充填している液体を簡単かつ容易に、しかも速やかに排出する構造を実現しながら、安価に多量生産できる液体の包装体を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0007】
本発明の液体の包装体は、液体9の充填凹部2を有すると共に、この充填凹部2の外周に沿って、プラスチック製の蓋シート7を熱溶着する平面状の鍔部3を設けてなるプラスチック製の硬質板材からなる容器本体1と、この容器本体1の鍔部3に熱溶着されて充填凹部2の開口部を水密に密閉してなる可撓性のプラスチックシートからなる蓋シート7とからなる。容器本体1の鍔部3は、充填凹部2の開口部の内周縁2aから外周縁3aに向かって延びるが、外周縁3aまで延長されない液体9の排出溝4を設けている。この排出溝4は、上面開口を鍔部3に熱溶着してなる蓋シート7で閉塞している。液体の包装体は、可撓性のある蓋シート7を破損や剥離することなく、充填凹部2の開口部の内周縁2aと平行であって、排出溝4と交差するように鍔部3を折曲破損して、排出溝4に亀裂5を設け、この亀裂5から充填凹部2に充填している液体9を排出する。
本明細書において、硬質板材とは、弾性限度を超えて変形させる状態で破断して亀裂が生じる程度の硬度を有する板材であって、ユーザーが手で変形できる程度の硬度を有する板材を意味するものとする。
さらに、本明細書において、液体とは、シロップ、マヨネーズ、ケチャップ等のように粘度の高い液体や、ドレッシング、ジャム、タレ等のように小さな固形物を含む液体も含む広い意味で使用する。
【0008】
以上の液体の包装体は、充填している液体を簡単かつ容易に、しかも速やかに排出する構造を実現しながら、安価に多量生産できる特徴がある。それは、本発明の液体の包装体が、容器本体の外周に沿って設けた鍔部に蓋シートを熱溶着して、液体が収納された充填凹部の開口部を水密に閉塞すると共に、容器本体の鍔部に、充填凹部に収納された液体の排出溝を設けて、この排出溝の上面開口を鍔部に熱溶着してなる蓋シートで閉塞しており、この蓋シートを破損や剥離することなく、排出溝と交差するように鍔部を折曲破損して、排出溝に亀裂を設けて、この亀裂から充填凹部に充填している液体を排出するからである。以上の包装体は、排出溝と交差するように鍔部を折曲して排出溝に亀裂を設けて、この亀裂から液体を排出するので、蓋シートを破損や剥離することなく、簡単かつ容易に排出溝を開口して液体を排出できる。
【0009】
とくに、以上の包装体は、容器本体に充填凹部と排出溝を設けて内面を凹凸形状とするが、この容器本体の鍔部に固定する蓋シートは、容器本体に対して正確に位置決めすることなく熱溶着できる。このため、従来のように、複雑な凹凸形状に成形してなる硬質プラスチックの蓋材と可撓性プラスチックの収納シートとを正確に位置決めしながら熱溶着する必要がなく、簡単かつ容易に蓋シートを容器本体に熱溶着して、製造コストを低減しながら包装体を能率良く多量生産できる。
【0010】
さらに、以上の包装体は、プラスチック製の硬質板材を成形してなる容器本体に設けた充填凹部に液体を収納するので、従来のように、可撓性シートからなる収納シートに設けた収納ポケットに液体を充填することなく、容器本体に適量の液体を正確に充填できる。しかも、プラスチック製の硬質板材を成形してなる容器本体は、従来の薄いプラスチックフィルムのようにピンホールなどができるのを確実に阻止できるので、収納される液体が漏れる等の弊害をも確実に防止しながら、安価に多量生産できる特徴も実現できる。
【0011】
本発明の液体の包装体は、鍔部3に複数列の排出溝4を設けることができる。
以上の包装体は、複数の排出溝に亀裂を設けることで、収納している液体をより速やかに排出できる。また、複数の排出溝により鍔部を補強して、この鍔部を変形させることなく確実に折曲できる特徴もある。
【0012】
本発明の液体の包装体は、充填凹部2と鍔部3との境界に沿ってハーフカット17を設けることができる。
以上の包装体は、鍔部をハーフカット部分で折曲して、この部分を簡単に破損できる。したがって、簡単かつ速やかに、しかも正確な位置に亀裂を設けて、この部分から液体を確実に排出できる。
【0013】
本発明の液体の包装体は、容器本体1をポリスチレン製として、蓋シート7の内面をポリスチレンとすることができる。
以上の包装体は、容器本体をポリスチレンで成形することで、鍔部を簡単に折曲破損できる構造としながら、蓋シートの内面をポリスチレンとすることで、容器本体の鍔部と蓋シートの溶着面を同素材として確実に熱溶着できる。
【0014】
本発明の液体の包装体は、容器本体1が、ポリスチレンの内面にポリプロピレンフィルム6を積層すると共に、蓋シート7が内面をポリプロピレンとすることができる。
以上の包装体は、容器本体をポリスチレンで成形することで、鍔部を簡単に折曲破損できる構造としながら、ポリスチレンの内面にはポリプロピレンフィルムを積層し、かつ、蓋シートの内面をポリプロピレンとすることで、容器本体と蓋シートの耐油性を高めて、油分を含む液体を収納できる。さらに、ポリスチレンの鍔部と蓋シートとの溶着面を同素材として、確実に熱溶着できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施例にかかる包装体の分解斜視図である。
【図2】本発明の一実施例にかかる包装体の底面斜視図である。
【図3】図2に示す包装体の鍔部を折曲する状態を示す斜視図である。
【図4】図2に示す包装体の一部拡大断面図である。
【図5】図2に示す包装体の鍔部を折曲する状態を示す断面図である。
【図6】図5に示す包装体から液体を排出する状態を示す断面図である。
【図7】本発明の他の実施例にかかる包装体の底面斜視図である。
【図8】本発明の他の実施例にかかる包装体の底面図である。
【図9】図8に示す包装体の鍔部を折曲して液体を排出する状態を示す断面図である。
【図10】本発明の他の実施例にかかる包装体の一部拡大断面図である。
【図11】本発明の他の実施例にかかる包装体の分解斜視図である。
【図12】図11に示す包装体の鍔部を折曲して液体を排出する状態を示す断面図である。
【図13】本発明の他の実施例にかかる包装体の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための液体の包装体を例示するものであって、本発明は液体の包装体を以下のものに特定しない。さらに、この明細書は、特許請求の範囲を理解しやすいように、実施例に示される部材に対応する番号を、「特許請求の範囲」および「課題を解決するための手段の欄」に示される部材に付記している。ただ、特許請求の範囲に示される部材を、実施例の部材に特定するものでは決してない。
【0017】
本発明の液体の包装体は、ソース、しょうゆ、ドレッシング、タレ、ミルク、シロップ、果汁、マヨネーズ、ケチャップ、ジャム等の食品として使用される液体を内部に収納することができる。ただ、包装体は、食品用の液体に限らず、液状洗剤、シャンプー、リンス、化粧水、ローション等の液体を収納することもできる。
【0018】
図1ないし図6に示す液体の包装体は、液体9の充填凹部2を有すると共に、この充填凹部2の外周に沿って平面状の鍔部3を設けてなる容器本体1と、この容器本体1の鍔部3に熱溶着されて充填凹部2の開口部を水密に密閉してなる蓋シート7とからなる。これらの包装体は、図4に示すように、容器本体1の充填凹部2に液体9を収納する状態で、充填凹部2の開口部を蓋シート7で密閉して、内部に液体9を水密に収納し、図6に示すように、鍔部3の一部を折曲して亀裂5を設け、この亀裂5から収納物である液体9を排出する。
【0019】
容器本体1は、熱可塑性のプラスチック製の板材を真空成形または圧空成形等の方法で成形して製作される。容器本体1は、図に示すように、液体9を収納する充填凹部2を有すると共に、この充填凹部2の外周に沿って、蓋シート7を熱溶着する平面状の鍔部3を設けている。図の充填凹部2は、周壁11の下端を底板12で連結して、全体の形状を容器状としている。さらに、容器本体1は、充填凹部2の開口縁である周壁11の上端に鍔部3を連結して、充填凹部2の開口縁に沿って、同一平面に位置する鍔部3を設けている。
【0020】
充填凹部2は、所定量の液体9を収納できる容積に成形している。図1ないし図3の包装体は、充填凹部2の平面形状を略楕円形状とすると共に、楕円の長径の一端部を直線状にカットした形状に成形している。ただ、包装体は、その用途や収納する液体の種類に応じて充填凹部の形状を種々に設計することができる。包装体は、充填凹部の形状を、直方体の箱形とし、あるいは円柱状とし、あるいはまた、底に向かって断面積が小さくなる角錐台形状や円錐台形状とすることもできる。
【0021】
図の容器本体1は、周壁11の開口縁に沿って、鍔部3を設けている。鍔部3は、所定の幅として蓋シート7を確実に熱溶着できるようにしている。さらに、容器本体1の鍔部3は、充填凹部2の開口部の内周縁2aから外周縁3aに向かって延びるが、外周縁3aまで延長されない液体9の排出溝4を設けている。図に示す容器本体1は、鍔部3の一部に幅広部3Aを設けて、この幅広部3Aに排出溝4を設けている。図1ないし図3に示す容器本体1は、充填凹部2の直線状に成形された一辺に連結される鍔部3を外周方向に広くして幅広部3Aとしている。排出溝4は、プラスチック製の板材の成形工程において、所定の断面形状となるように成形される。排出溝4は、図において上面を開口する溝形で、充填凹部2の周壁11から外周方向に向かって延長して設けている。この排出溝4は、一端を周壁11の外面に連結しており、この連結部において、充填凹部2の内部に連通している。
【0022】
鍔部3に設けられる排出溝4は、詳細には後述するが、充填凹部2の開口部の内周縁2aと平行であって、排出溝4に対して交差するように鍔部3を折曲する状態で、排出溝4の外周面13が破断されて亀裂5が設けられて、この亀裂5から内部の液体9が排出される。したがって、排出溝4は、その横断面の大きさによって、排出される液体9の排出量が特定される。すなわち、包装体は、排出溝4の横断面積を大きくして、多量の液体9を速やかに排出でき、また、排出溝4の横断面積を小さくして、液体9の排出量を抑制できる。さらに、包装体は、その用途や収納する液体9の種類によっても、排出溝4の横断面積を調整する。例えば、包装体は、シロップ、マヨネーズ、ケチャップ等の粘度の高い液体を収納する用途や、ドレッシング、ジャム、タレ等のように小さな固形物を含む液体を収納する用途においては、排出溝の横断面積を大きくして、これらの液体を速やかに排出できる。したがって、包装体は、以上のことを考慮して、排出溝4の幅を3mm、深さを2mmとする。ただし、排出溝の幅は、例えば2mm〜5mmとし、深さを1mm〜5mmとすることもできる。
【0023】
図1ないし図3に示す排出溝4は、横断面形状を半円状としている。この容器本体1は、排出溝4の断面積を広くしながら、鍔部3を折曲する状態では、半円状の外周面13を速やかに破断させて亀裂5を設けることができる。ただ、排出溝は、その断面形状を半円形状に特定せず、半楕円形状や多角形状、V字状とすることもできる。
【0024】
図1ないし図3に示す容器本体1は、鍔部3に複数列の排出溝4を設けている。図の鍔部3は、充填凹部2の直線部に連結してなる幅広部3Aに、3列の排出溝4を互いに平行に設けている。各々の排出溝4は、充填凹部2の直線部を構成する周壁11に対して略垂直方向に延長して設けている。このように、複数の排出溝4を備える包装体は、鍔部3を折曲破損する状態で、各々の排出溝4に開口される亀裂5から液体9を排出できるので、多量の液体9を速やかに排出できる。ただ、包装体は、その用途や収納する液体の種類によって、充填凹部の一辺に設ける排出溝の数を1〜5列、好ましくは1〜3列とすることができる。1〜2列の排出溝を備える包装体は、排出溝に開口される亀裂から、液体を抑制しながら排出できる。以上のように、包装体は、鍔部に設ける排出溝の数によっても、排出される液体の排出量を特定できる。すなわち、容器本体は、排出溝の数を多くして、多量の液体を速やかに排出でき、また、排出溝の数を少なくして、液体の排出量を抑制できる。
【0025】
さらに、排出溝4を有する鍔部3は、この排出溝4の外周面13によって、鍔部3の下面から突出する凸条14が形成される。図の排出溝4は、横断面形状を半円状としているので、鍔部3の下面に半円柱状の凸条14を突出させている。このように鍔部3の下面に形成される凸条14は、鍔部3を排出溝4に対して交差するように折曲する状態で、包装体の上面に折り返される折曲部15を補強して、この折曲部15を湾曲させることなく一体的に折曲できる。例えば、図3と図5に示すように、複数列の排出溝4を設けた鍔部3の幅広部3Aを包装体の上面に折り返す状態では、排出溝4を設けた幅広部3A全体を折曲部15として折曲できる。このとき、容器本体1は、充填凹部2と排出溝4を設けた鍔部3との境界部分である充填凹部2の開口部の内周縁2aを折曲ライン16(図1において一点鎖線で表示)として、排出溝4に対して交差するように鍔部3が折曲される。このように、充填凹部2の内周縁2aを折曲ライン16として折曲される鍔部3は、図5に示すように、充填凹部2の周壁11と排出溝4との連結部分が破断されて亀裂5が生じる。とくに、充填凹部2の内周縁2aを折曲ライン16として折曲される鍔部3は、図5に示すように、包装体の上面と同一平面上となるまで、すなわち、最大で180度折り返される状態となって、排出溝4の外周面13を確実に破断し、さらに、排出溝4の外周面13に沿って亀裂5を広げることができる。
【0026】
以上のように、排出溝4が連結される充填凹部2の開口部の内周縁2aを折曲ライン16として鍔部3を折曲する包装体は、鍔部3にハーフカットを設けることなく、充填凹部2の周壁11と排出溝4との連結部分を確実に破断して亀裂5を設けることができる。ただ、包装体は、鍔部3にハーフカットを設けることもできる。図7に示す包装体は、図の破線で示すように、充填凹部2と鍔部3との境界に沿って、すなわち、折曲ライン16に沿ってハーフカット17を設けている。この構造は、簡単かつ容易に、しかも正確に鍔部3を折曲破損して、排出溝4に亀裂5を設けることができる。このハーフカット17は、例えば、レーザーを照射して設けることができる。ただ、ハーフカットは、充填凹部の周壁と排出溝の外周面との連結部分にのみ設けることもできる。この構造は、ハーフカットを設ける領域を狭くしながら、排出溝に確実に亀裂を設けることができる。とくに、充填凹部の周壁と排出溝の外周面との連結部以外に亀裂が生じるのを有効に防止しながら、排出溝の所定の位置に簡単に亀裂を設けることができる。
【0027】
さらに、包装体は、図8に示すように、排出溝4の中央部と交差する位置にハーフカット17を設けることもできる。図の包装体は、充填凹部2の開口部の内周縁2aと平行であって、複数列の排出溝4に直交するようにハーフカット17を設けている。この包装体は、このハーフカット17を折曲ライン16として鍔部3を折曲破損する。この位置で折曲される鍔部3は、図9に示すように、排出溝4の中央部を破断して、この部分に亀裂5を形成する。この包装体は、充填凹部2に収納された液体9を、排出溝4に通過させて亀裂5から排出する。
【0028】
以上の容器本体1は、排出溝4に対して交差するように鍔部3を折曲する状態で、排出溝4の外周面13を破断させて亀裂5を設けるために、プラスチック製の硬質板材で成形される。ここで、硬質板材とは、弾性限度を超えて変形させる状態で、破断して亀裂が生じる程度の硬度を有する板材であって、ユーザーが手で変形できる程度の硬度を有する板材である。このようなプラスチック製の硬質板材としてポリスチレン(PS)が最適である。以上の本体容器1は、ポリスチレンの板材を真空成形または圧空成形して所定の形状に成形される。このように、ポリスチレンの板材を成形してなる容器本体1は、その厚さを0.3mmとする。ただ、容器本体の厚さは、0.2mm〜1mm、好ましくは0.2〜0.5mmとして、簡単に折曲しながら、弾性限度を超える状態で破断できる。さらに、容器本体は、鍔部を折曲して破断される部分を、他の部分よりも薄く成形することもできる。この容器本体は、鍔部の折曲によって、所望の位置を簡単に破断できる。ただ、本体容器は、ポリプロピレンやポリエチレンの板材を成形して製造することもできる。
【0029】
プラスチック製の硬質板材で成形される容器本体1は、鍔部3を折曲する状態で排出溝4に亀裂5を設けるために、鍔部3及び鍔部3と充填凹部2の連結部には所定の硬度が要求されるが、充填凹部2の底部には硬度が要求されない。したがって、容器本体1は、充填凹部2の底部を、充填凹部2の上端部や鍔部3よりも薄く成形して変形しやすくすることができる。図6に示す容器本体1は、充填凹部2の底板12を他の部分よりも薄く成形して、変形しやすくしている。この構造の包装体は、液体9を排出する状態で、充填凹部2の底板12を図の矢印Aで示すように内側に押圧して、図の破線で示すように底板12を変形させて、内部の液体9をスムーズに排出できる。さらに、容器本体は、図示しないが、充填凹部の周壁であって、鍔部と連結される上端部を除く部分を他の部分よりも薄く成形し、この周壁を両側から押圧して内側に変形させて、内部の液体をスムーズに排出することもできる。以上のように、充填凹部2を外部から押圧して変形できる包装体は、粘度の高い液体であっても強制的に排出できる特徴がある。
【0030】
さらに、図1ないし図9の包装体は、容器本体1の充填凹部2に液体9を収納して、容器本体1の開口部4を蓋シート7で閉塞している。蓋シート7は、熱可塑性のプラスチックフィルムである。プラスチックフィルムである蓋シート7は、容器本体1に設けている鍔部3に熱溶着して固定している。鍔部3に熱溶着される蓋シート7は、鍔部3に成形される排出溝4の上面開口を閉塞している。この包装体は、容器本体1と蓋シート7の相対位置に制約を受けないので、容器本体1と蓋シート7との相対位置を特定することなく蓋シート7を鍔部3に熱溶着できる。したがって、簡単かつ容易に、容器本体1に蓋シート7を配置して熱溶着できる。図に示す蓋シート7は、容器本体1よりも大きな外形として、容器本体1を確実に閉塞している。ただ、蓋シートは、容器本体とほぼ等しい外形とすることもできる。
【0031】
容器本体1の鍔部3に熱溶着される蓋シート7は、互いの溶着面を同素材としている。すなわち、ポリスチレンからなる容器本体1に熱溶着される蓋シート7は、容器本体1との溶着面となる内面をポリスチレンとする。この蓋シート7は、ポリスチレンフィルムを単独で使用することもできるが、好ましくは、内面をポリスチレンフィルムとする多層構造の積層フィルムとする。図4に示す蓋シート7は、ポリプロピレンフィルム7Bの内面にポリスチレンフィルム7Aを積層して、内面をポリスチレンとしている。ただ、蓋シートは、ポリスチレン(PS)とペット(PET)の積層フィルムとし、あるいは、ポリスチレン(PS)とポリアミド(ナイロン)の積層フィルムとし、あるいはまた、ポリスチレン(PS)とポリエチレン(PE)の積層フィルムとすることもできる。これらの積層フィルムからなる蓋シートは、高価なポリスチレンの使用量を少なくしながら、安価なプラスチックを使用して蓋シートを製造できるので、製造コストを低減できる特徴がある。とくに、ポリアミド製のシート材は、綺麗にシワにならないように溶着できる特徴もある。さらに、ポリプロピレン製の容器本体には、内面をポリプロピレンとする蓋シートを熱溶着して固定し、ポリエチレン製の容器本体には、内面をポリエチレンとする蓋シートを熱溶着して固定することができる。
【0032】
さらに、包装体は、図10の一部拡大図に示すように、容器本体1をポリスチレン製として、その内面にポリプロピレンフィルム6を積層し、蓋シート7の内面をポリプロピレンとすることもできる。この包装体は、容器本体1の内面と蓋シート7の内面とをポリプロピレンとするので、容器本体1の充填凹部2と蓋シート7の耐油性を高めて、油分を含む液体を収納できる。この容器本体1は、表面にポリプロピレンフィルム6を積層して接着してなるポリスチレンの板材を真空成形または圧空成形して製造することができる。また、内面をポリプロピレンとする蓋シート7は、ポリプロピレンを単独で使用することもできるが、好ましくは、内面をポリプロピレンフィルム7Bとする多層構造の積層フィルムとする。図4に示す蓋シート7は、ポリプロピレンフィルム7Bの外面にペットフィルム7Cを積層して、内面をポリプロピレンとしている。ただ、蓋シートは、ポリプロピレン(PP)とポリスチレン(PS)の積層フィルムとし、あるいは、ポリプロピレン(PP)とポリアミド(ナイロン)の積層フィルムとし、あるいはまた、ポリプロピレン(PP)とポリエチレン(PE)の積層フィルムとすることもできる。
【0033】
さらに、蓋シートは、図示しないが、プラスチックフィルムの外面にアルミニウム層を積層し、あるいは、多層構造の積層フィルムの中間層としてアルミニウム層を積層することができる。このアルミニウム層は、アルミニウム箔を積層し、あるいはアルミニウムを真空蒸着して設けることができる。このように、アルミニウム層を積層してなる蓋シートは、ガスバリアを良くして、長期保存性を向上できる特徴がある。
【0034】
以上の包装体は、容器本体1の鍔部3に熱溶着される蓋シート7を剥離することなく、内部の液体を排出できるので、蓋シート7を容器本体1の鍔部3に強固に連結することができる。ただ、蓋シートは、容器本体の鍔部に剥離できるように連結することもできる。さらに、容器本体1の充填凹部2の開口部を密閉してなる蓋シート7は、可撓性を有することで、液体9を排出する状態においては、図4の矢印Bで示すように内側に押圧して、図の破線で示すように変形させて、内部の液体9をスムーズに排出できる。
【0035】
さらに、包装体は、容器本体1と蓋シート7のいずれか一方または両方を、充填凹部2に収納している液体9を外部から見ることができる透光性を有するプラスチックで成形することができる。このように、容器本体1と蓋シート7のいずれか一方または両方を、透光性を有するプラスチックで成形している包装体は、充填凹部2に収納している液体9を外部から見て、その色や状態、内容量等を判断することができる。ただ、容器本体と蓋シートは、必ずしも透光性を有するプラスチックで成形する必要はない。
【0036】
さらに、図11ないし図13に示す包装体は、容器本体1に複数の充填凹部2を設けている。図の容器本体1は、略直方体の箱形の充填凹部2を2個並んで設けている。容器本体1は、各々の充填凹部2の外周に鍔部3を設けると共に、互いに対向する両端の鍔部3を幅広部3Aとして、各々の幅広部3Aに排出溝4を設けている。図の容器本体1は、各々の幅広部3Aに複数の排出溝4を互いに平行に設けている。
【0037】
図11の容器本体1は、図において右側に位置する充填凹部2の容積を、左側に位置する充填凹部2の容積よりも大きくしている。この包装体は、各々の充填凹部2に異なる種類の液体9を異なる容量で収納できるようにしている。この包装体は、使用時において、排出する液体9を選択し、所望の液体9が収納された充填凹部2に連結された幅広部3Aを折曲して排出溝4を破断して亀裂5を設けて、この亀裂5から充填凹部2に収納された液体9を排出する。この包装体は、二種類の液体を異なる容量収納できるので、その用途に応じて収納する液体を種々に変更して便利に使用できる。例えば、この包装体は、大きな充填凹部2にソース、タレ、しょうゆ、マヨネーズ、ケチャップ等を収納し、小さな充填凹部2にカラシ、わさび、タバスコ、ラー油等を収納できる。この包装体は、例えば、図12の(a)に示すように、容積の大きな充填凹部2に収納された液体9を排出した後、図12の(b)に示すように、容積の小さな充填凹部2に収納された液体9を排出して、二種類の液体9を便利に使用できる。
【0038】
さらに、図11の容器本体1は、容積の大きな充填凹部2に連結した幅広部3Aに3列の排出溝4を設けて、容積の小さな充填凹部2に連結した幅広部3Aに2列の排出溝4を設けている。この包装体は、容積の大きな充填凹部2に収納した多量の液体を、3列の排出溝4に開口される3箇所の亀裂5から速やかに排出できる。また、容積の小さな充填凹部2に収納した少量の液体を、2列の排出溝4に開口される2箇所の亀裂5から排出量を抑制しながら排出できる。ただ、容器本体に設ける充填凹部の容積と、各々の充填凹部に連結される幅広部に設ける排出溝の数、及び各排出溝の幅や深さは、各々の充填凹部に収納される液体の種類と用途に応じて種々に変更することができる。
【0039】
さらに、図13に示す包装体は、並んで設けた2個の充填凹部2の容積を等しくしている。この包装体は、各々の充填凹部2に異なる種類の液体を収納し、あるいは同じ種類の液体を収納することもできる。この包装体も、各々の充填凹部2に連結して設けた幅広部3Aを折曲して排出溝4を破断して亀裂5を設けることにより、各々の充填凹部2に収納された液体を別々に排出する。この包装体は、二種類の液体を収納して便利に使用でき、また、同じ種類の液体を収納する用途においては、排出する液体の量を2段階に選択できる。また、図に示す包装体は、ふたつの充填凹部2の間に設けた鍔部3に、切断ライン18を設けている。この包装体は、この切断ライン18で折曲して破断し、包装体を個々に分割して使用することもできる。
【0040】
以上の包装体は、以下の工程で製造される。
[包装体の製造方法]
(1)成形工程
ポリスチレン製の硬質板材を真空成形して、充填凹部2と鍔部3のある容器本体1を成形する。容器本体1は、充填凹部2の開口縁に、同一平面に位置する鍔部3を設けて成形する。容器本体1は、充填凹部2の開口縁に沿って鍔部3を設けると共に、幅広部3Aとなる鍔部3には、排出溝4を成形する。
(2)収納工程
成形された容器本体1の充填凹部2に所定量の液体9を注入する。
(3)閉塞工程
容器本体1の開口部4の周縁の鍔部3に蓋シート7を熱溶着して固定し、充填凹部2の開口部4を蓋シート7で閉塞すると共に、鍔部3に設けた排出溝4の上面開口を蓋シート7で閉塞する。
包装体は、この状態で製造業者から販売業者に、さらにユーザーに流通される。
【0041】
以上の包装体は、以下のようにして使用される。
[包装体の使用方法]
(1)折曲破損工程
ユーザーは、包装体に収納された液体を排出する時に、蓋シート7を破損や剥離することなく、図5に示すように、排出溝4を設けた鍔部3を折曲する。このとき、排出溝4を設けた鍔部3を、排出溝4に交差するように折曲して、鍔部3を折曲破損させる。排出溝4に交差して折曲される鍔部3は、排出溝4に亀裂5が生じる。さらに、鍔部3の折曲部15は、図3に示すように、包装体の上面側に折り返されて亀裂5が大きく開かれる。
(2)排出工程
包装体を、図6に示すように、排出溝4に設けた亀裂5を下向きとする姿勢として、充填凹部2に収納された液体9を排出溝4の亀裂5から排出する。
【符号の説明】
【0042】
1…容器本体
2…充填凹部 2a…内周縁
3…鍔部 3A…幅広部
3a…外周縁
4…排出溝
5…亀裂
6…ポリプロピレンフィルム
7…蓋シート 7A…ポリスチレンフィルム
7B…ポリプロピレンフィルム
7C…ペットフィルム
9…液体
11…周壁
12…底板
13…外周面
14…凸条
15…折曲部
16…折曲ライン
17…ハーフカット
18…切断ライン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体(9)の充填凹部(2)を有すると共に、この充填凹部(2)の外周に沿って、プラスチック製の蓋シート(7)を熱溶着する平面状の鍔部(3)を設けてなるプラスチック製の硬質板材からなる容器本体(1)と、
この容器本体(1)の鍔部(3)に熱溶着されて充填凹部(2)の開口部を水密に密閉してなる可撓性のプラスチックシートからなる蓋シート(7)とからなり、
前記容器本体(1)の鍔部(3)は、充填凹部(2)の開口部の内周縁(2a)から外周縁(3a)に向かって延びるが、外周縁(3a)まで延長されない液体(9)の排出溝(4)を設けており、
この排出溝(4)は、上面開口を鍔部(3)に熱溶着してなる蓋シート(7)で閉塞しており、
可撓性のある前記蓋シート(7)を破損することなく、前記充填凹部(2)の開口部の内周縁(2a)と平行であって、前記排出溝(4)と交差するように前記鍔部(3)を折曲破損して、前記排出溝(4)に亀裂(5)を設け、この亀裂(5)から充填凹部(2)に充填している液体(9)を排出するようにしてなる液体の包装体。
【請求項2】
前記鍔部(3)に複数列の排出溝(4)を設けている請求項1に記載される液体の包装体。
【請求項3】
前記充填凹部(2)と鍔部(3)との境界に沿ってハーフカット(17)を設けている請求項1又は2に記載される液体の包装体。
【請求項4】
前記容器本体(1)がポリスチレン製で、前記蓋シート(7)が内面をポリスチレンとする請求項1ないし3のいずれかに記載される液体の包装体。
【請求項5】
前記容器本体(1)が、ポリスチレンの内面にポリプロピレンフィルム(6)を積層すると共に、前記蓋シート(7)が内面をポリプロピレンとする請求項1ないし3のいずれかに記載される液体の包装体。
【請求項1】
液体(9)の充填凹部(2)を有すると共に、この充填凹部(2)の外周に沿って、プラスチック製の蓋シート(7)を熱溶着する平面状の鍔部(3)を設けてなるプラスチック製の硬質板材からなる容器本体(1)と、
この容器本体(1)の鍔部(3)に熱溶着されて充填凹部(2)の開口部を水密に密閉してなる可撓性のプラスチックシートからなる蓋シート(7)とからなり、
前記容器本体(1)の鍔部(3)は、充填凹部(2)の開口部の内周縁(2a)から外周縁(3a)に向かって延びるが、外周縁(3a)まで延長されない液体(9)の排出溝(4)を設けており、
この排出溝(4)は、上面開口を鍔部(3)に熱溶着してなる蓋シート(7)で閉塞しており、
可撓性のある前記蓋シート(7)を破損することなく、前記充填凹部(2)の開口部の内周縁(2a)と平行であって、前記排出溝(4)と交差するように前記鍔部(3)を折曲破損して、前記排出溝(4)に亀裂(5)を設け、この亀裂(5)から充填凹部(2)に充填している液体(9)を排出するようにしてなる液体の包装体。
【請求項2】
前記鍔部(3)に複数列の排出溝(4)を設けている請求項1に記載される液体の包装体。
【請求項3】
前記充填凹部(2)と鍔部(3)との境界に沿ってハーフカット(17)を設けている請求項1又は2に記載される液体の包装体。
【請求項4】
前記容器本体(1)がポリスチレン製で、前記蓋シート(7)が内面をポリスチレンとする請求項1ないし3のいずれかに記載される液体の包装体。
【請求項5】
前記容器本体(1)が、ポリスチレンの内面にポリプロピレンフィルム(6)を積層すると共に、前記蓋シート(7)が内面をポリプロピレンとする請求項1ないし3のいずれかに記載される液体の包装体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−148793(P2012−148793A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−7613(P2011−7613)
【出願日】平成23年1月18日(2011.1.18)
【出願人】(598143343)赤松化成工業株式会社 (13)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月18日(2011.1.18)
【出願人】(598143343)赤松化成工業株式会社 (13)
【Fターム(参考)】
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