説明

液体口腔用組成物

【解決手段】(a)コンドロイチン硫酸ナトリウムを0.001〜1質量%、(b)デキストラナーゼ、(c)エチレンオキサイドの平均付加モル数が40〜100モルのポリオキシエチレン硬化ひまし油及び/又はアルキル鎖の炭素鎖長が16〜18で、エチレンオキサイドの平均付加モル数が10〜40モルのポリオキシエチレンアルキルエーテルを0.1〜5質量%を含有してなることを特徴とする液体口腔用組成物。
【効果】本発明の液体口腔用組成物は、歯垢形成抑制効果に優れ、使用後に歯牙表面のツルツル感を使用者に満足に実感させることができ、かつ経時でオリが発生することもほとんどなく、外観安定性も良好である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯垢形成抑制力に優れ、使用後に歯牙表面のツルツル感が高く、かつ外観安定性の良好な液体口腔用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
う蝕予防の効果的な方法として、塩化セチルピリジニウムやトリクロサン等の殺菌剤等により口腔内細菌数を減少させる方法(特許文献1〜4参照)、デキストラナーゼなどの酵素を用いて形成された歯垢を分解し、更に、新たな歯垢の形成を抑制する方法(特許文献5参照)などが知られている。
【0003】
しかしながら、殺菌剤を用いた方法においては、殺菌剤の歯垢への浸透力が弱いため、歯垢内部に存在する病原性細菌に対して必ずしも十分な効果が得られないことが確認されている。また、デキストラナーゼ等の酵素を用いた方法は、歯垢分解効果は高いものの、歯垢形成抑制効果は未だ十分でなく、持続性等の点で問題があった。
【0004】
更に、歯面を特定の薬剤等でコーティングすることにより微生物の付着を抑制し、歯垢形成を抑制するという技術を利用した口腔用組成物関連の提案がなされている(特許文献6〜8参照)。しかし、上記口腔用組成物は、微生物の歯面への付着抑制効果が十分とは言い難いため、満足な歯垢形成抑制効果を発揮させることは困難であった。
【0005】
従って、より高い歯垢形成抑制効果が発揮される口腔用組成物の開発が望まれている。
【0006】
【特許文献1】特開昭60−239049号公報
【特許文献2】特開平7−25734号公報
【特許文献3】特開平11−209254号公報
【特許文献4】特開2003−221320号公報
【特許文献5】特許第782154号公報
【特許文献6】特開平4−134025号公報
【特許文献7】特開平3−14511号公報
【特許文献8】特開平4−120014号公報
【特許文献9】特開2006−117563号公報
【特許文献10】特公平6−37383号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、歯垢形成抑制効果に優れ、使用後の歯牙表面のツルツル感が高く、外観安定性(オリの無さ)が良好に保たれる液体口腔用組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、コンドロイチン硫酸ナトリウムをデキストラナーゼと併用すると、これら両成分が相乗的に作用して、デキストラナーゼ由来の歯垢形成抑制効果が高くなり、更に使用後、例えば洗口した後の歯のツルツル感も高くなることを見出した。更に、上記両成分を併用した場合は、保存時にオリが発生し易いことがわかり、この問題を改善するため更に検討した結果、デキストラナーゼにコンドロイチン硫酸ナトリウムを特定範囲の配合量で併用すると共に、非イオン性界面活性剤の中でも特にエチレンオキサイドの平均付加モル数が40〜100モルのポリオキシエチレン硬化ひまし油及び/又はアルキル鎖の炭素鎖長が16〜18で、エチレンオキサイドの平均付加モル数が10〜40モルのポリオキシエチレンアルキルエーテルを選択的に特定割合で組み合わせて配合することにより、優れた歯垢形成抑制効果が発揮され、かつ、使用者が使用後に歯を舌で触ったときに歯牙表面の良好なツルツル感を感じ、清潔で快適感を実感することができ、しかも、経時でのオリの発生を抑制して良好な外観安定性も保持されることを見出し、本発明をなすに至った。
【0009】
なお、コンドロイチン硫酸ナトリウムは、ムコ多糖類の一種で、高い粘性や保水力等の物理化学的特性を有し、保湿力が長時間持続する口腔湿潤剤(特許文献9参照)や、抗炎症作用に優れ、歯肉炎等の歯周疾患の予防、治療などに有効な口腔用抗炎症剤(特許文献10参照)に用いるなどの提案がなされているが、デキストラナーゼと併用することで上記したような高い歯垢形成抑制効果が発揮されることは本発明者らの新知見である。
【0010】
更に詳述すると、本発明においては、歯垢形成抑制効果に優れ、かつ使用後の歯牙表面のツルツル感が高く、外観安定性も良好なものであるが、ここで、歯牙表面のツルツル感は、通常歯面清掃後に舌先の官能で実感されるものであり、歯面に対し初期摩擦後の独特のスベリ感として実感され、これにより使用者は、口腔清掃後に歯垢が除去されたという実感を満足に感じることができる。本発明において、このような歯のツルツル感は、デキストラナーゼによる歯垢除去効果と、コンドロイチン硫酸ナトリウムの歯面のコーティング効果によるものと考えられ、使用者に独特の清浄感を付与でき、通常の歯磨きや洗口等の行動だけでは達成できない清潔・快適感を提供できる。従来の技術では、歯磨きや洗口などで歯垢の形成を抑制する効果、歯垢や歯面に付着した唾液タンパク(ペリクル)などを除去する効果が十分とは言い難く、このため、歯垢形成を効果的に抑制すると共に、歯垢等を満足に除去して、歯牙表面のツルツル感を使用者に満足に実感させることは困難であったが、本発明によれば、上記成分を特定割合で組み合わせることによってこれら成分が相乗的に作用して、高い歯垢形成抑制効果が発揮され、かつ使用後は使用者に歯牙表面のツルツル感を効果的に実感させることができ、良好な外観安定性も保持できる。
【0011】
従って、本発明は、(a)コンドロイチン硫酸ナトリウムを0.001〜1質量%、(b)デキストラナーゼ、(c)エチレンオキサイドの平均付加モル数が40〜100モルのポリオキシエチレン硬化ひまし油及び/又はアルキル鎖の炭素鎖長が16〜18で、エチレンオキサイドの平均付加モル数が10〜40モルのポリオキシエチレンアルキルエーテルを0.1〜5質量%を含有してなることを特徴とする液体口腔用組成物を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の液体口腔用組成物は、歯垢形成抑制効果に優れ、使用後に歯牙表面のツルツル感を使用者に満足に実感させることができ、かつ経時でオリが発生することがほとんどなく、外観安定性も良好である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明につき更に詳細に説明すると、本発明の液体口腔用組成物は、(a)コンドロイチン硫酸ナトリウム、(b)デキストラナーゼ、(c)ポリオキシエチレン硬化ひまし油及び/又はポリオキシエチレンアルキルエーテルを含有する。
【0014】
本発明における成分(a)のコンドロイチン硫酸ナトリウムは、動物の軟骨を原料として得られる酸性ムコ多糖で、グルクロン酸とN−アセチルガラクトサミンの硫酸エステルナトリウム塩より構成される。コンドロイチン硫酸ナトリウムとしては、食品添加物、医薬品として繁用されている市販品を用いることができる。市販品としては、マルハ(株)、生化学工業(株)、日本バイオコン(株)製のものなどが挙げられる。
【0015】
コンドロイチン硫酸ナトリウムの配合量は、歯垢形成抑制と良好な使用感を得る点から組成物全体の0.001〜1%(質量%、以下同じ。)であり、好ましくは0.01〜1%、より好ましくは0.05〜1%である。配合量が0.001%未満では歯垢形成抑制効果が充分に発揮されず、また、良好な歯のツルツル感が得られない場合があり、1%を超えるとオリが発生してしまう。
【0016】
成分(b)のデキストラナーゼとしては、ケトミウム属、ペニシリウム属、アスペルギルス属、スピカリア属、ラクトバチルス属、セルビブリオ属等に属する公知のデキストラナーゼ生産菌より公知の方法により得られるデキストラナーゼを使用できるが、他の微生物より生産されたデキストラナーゼも使用することができ、特にケトミウム属に属する公知のデキストラナーゼ生産菌より公知の方法により得られるデキストラナーゼを使用することが好ましい。デキストラナーゼとしては、市販品の三共(株)製品などを用いることができる。
【0017】
デキストラナーゼは、12,000単位品を基準とした場合、液体口腔用組成物中に0.016〜1.6%、特に0.032〜1.6%配合することが好ましい。0.016%未満では、歯垢形成抑制効果が満足に得られない場合があり、1.6%を超えると、オリが発生する可能性がある。なお、デキストラナーゼ1単位とは、デキストランを基質として反応を行った場合に、1分間当たりにグルコース1μmolに相当する遊離還元糖を生じるデキストラナーゼの量である。
【0018】
成分(c)の非イオン性界面活性剤であるポリオキシエチレン硬化ひまし油は、エチレンオキサイドの平均付加モル数が40〜100モル、好ましくは60〜100モルのものである。エチレンオキサイドの平均付加モル数が40モル未満では、オリの発生を十分に抑制することができず、100モルを超えるものは一般に市販されていない。
【0019】
また、ポリオキシエチレンアルキルエーテルとしては、炭素鎖長が16〜18のアルキル鎖を有し、エチレンオキサイドの平均付加モル数が10〜40モル、好ましくは20〜40モルのものが使用される。エチレンオキサイドの平均付加モル数が10モル未満ではオリの発生を十分に抑制できず、40モルを超えるものは一般に市販されていない。また、アルキル鎖の炭素鎖長が16未満では良好なツルツル感が得られず、18を超えるものではオリの発生を十分に抑制できない。
【0020】
(c)成分としては、上記ポリオキシエチレン硬化ひまし油及びポリオキシエチレンアルキルエーテルから選ばれる1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中では、特にエチレンオキサイドの平均付加モル数が60、80又は100モルであるポリオキシエチレン硬化ひまし油、炭素鎖長が16〜18のアルキル鎖長を有し、エチレンオキサイドの平均付加モル数が20〜40モルであるポリオキシエチレンアルキルエーテルから選ばれるものが、オリ発生の無さの点からより好ましい。
【0021】
上記(c)成分としては、市販品を使用でき、例えば、日光ケミカルズ(株)製のNIKKOLシリーズ、日本エマルジョン(株)製のEMALEXシリーズなどが使用可能である。
【0022】
(c)成分の総配合量は、組成物全体の0.1〜5%、好ましくは0.2〜2%であり、0.1%未満ではオリの発生を抑制することができず、5%を超えると歯垢形成抑制効果が充分に発揮されない。
【0023】
容器としては、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ガラス、ポリプロピレン、ポリエチレンが使用できるが、上記材質の容器に着色剤や紫外線吸収剤を含有させたり、容器をフィルム等で遮蔽したものを使用することが望ましい。
【0024】
本発明の液体口腔用組成物は、洗口剤、口中清涼剤、濃縮タイプ洗口剤などとして調製適用することができ、その剤型に応じて、上記成分以外に適宜な任意成分を配合することができる。例えば、湿潤剤、増粘剤、上記(c)成分のポリオキシエチレン硬化ひまし油及びポリオキシエチレンアルキルエーテル以外の界面活性剤、溶剤、pH調整剤、防腐剤、甘味剤、香料、有効成分、清掃助剤、着色料等を、本発明の効果を妨げない範囲で通常量配合できる。
【0025】
湿潤剤としては、グリセリン、ソルビトール、プロピレングリコール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、キシリトール、マルチット、ラクチット等を配合することができる。これらの配合量は、組成物全体の3〜50%とすることが好ましい。
【0026】
増粘剤としては、カルボキシメチルセルロースナトリウム、キサンタンガム、カラギーナン、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルアルコール等を配合し得る。増粘剤の配合量は、液体歯磨及び洗口剤には通常0.01〜5%配合される。
【0027】
界面活性剤としては、上記(c)成分のポリオキシエチレン硬化ひまし油及び/又はポリオキシエチレンアルキルエーテルに加えて、他の汎用されている界面活性剤、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ミリスチル硫酸ナトリウム等のアルキル基の炭素数が8〜18である高級アルキル硫酸エステルの水溶性塩、ラウリルモノグリセライドスルフォン酸ナトリウム、ココナッツモノグリセライドスルフォン酸ナトリウム等の脂肪酸基の炭素数が10〜18である高級脂肪酸モノグリセライドスルフォン酸の水溶性塩、オレフィンスルフォン酸、パラフィンスルフォン酸などのアニオン性界面活性剤のほか、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、アルキルグリコシド類、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アルキルジメチルアミンオキシドなどの非イオン性界面活性剤、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタインなどの酢酸ベタイン型両性界面活性剤、N−脂肪酸アシル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルエチレンジアミン塩などのイミダゾリン型両性界面活性剤を挙げることができる。上記した他の界面活性剤の配合量は、通常0.1〜10%の範囲である。
なお、溶剤としては、精製水が一般的に用いられる。
【0028】
防腐剤としては、安息香酸ナトリウム、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、塩化セチルピリジニウム、ソルビン酸カリウム等を挙げることができる。また、甘味剤としては、サッカリンナトリウム、ステビオサイド等を配合することができる。
【0029】
pH調整剤としては、フタル酸、リン酸、クエン酸、コハク酸、酢酸、フマル酸、リンゴ酸及び炭酸並びにそれらのカリウム塩、ナトリウム塩及びアンモニウム塩、リボ核酸及びその塩類、更に水酸化ナトリウムなどの1種又は2種以上を用いることができ、特にリン酸とそのナトリウム塩、あるいはクエン酸とそのナトリウム塩を組み合わせたものが好ましい。この場合、本発明の液体口腔用組成物は、25℃におけるpHを5.5〜8.5に調整することが好ましく、この中性付近のpH調整剤としてリン酸二水素ナトリウムとリン酸一水素ナトリウム、あるいはクエン酸とクエン酸ナトリウムを組み合わせたもの用いることができる。
【0030】
香料としては、ペパーミント油、スペアミント油、アニス油、ユーカリ油、ウィンターグリーン油、カシア油、シナモン油、クローブ油、タイム油、セージ油、カルダモン油、ローズマリー油、マジョラム油、レモン油、オレンジ油、フェンネル油、ナツメグ油、ラベンダー油、パラクレス油等の天然精油や、l−メントール、l−カルボン、アネトール、1,8−シネオール、メチルサリシレート、オイゲノール、チモール、リナロール、リモネン、メントン、メンチルアセテート、シトラール、カンファー、ボルネオール、ピネン、スピラントール等の上記天然精油中に含まれる香料成分、エチルアセテート、エチルブチレート、イソアミルアセテート、ヘキサナール、ヘキセナール、メチルアンスラニレート、エチルメチルフェニルグリシデート、ベンツアルデヒド、バニリン、エチルバニリン、フラネオール、マルトール、エチルマルトール、ガンマ/デルタデカラクトン、ガンマ/デルタウンデカラクトン、N−エチル−p−メンタン−3−カルボキサミド、メンチルラクテート、エチレングリコール−l−メンチルカーボネート等の香料成分、更には、いくつかの香料成分や天然精油を組み合わせてなる、アップル、バナナ、ストロベリー、ブルーベリー、メロン、ピーチ、パイナップル、グレープ、マスカット、ワイン、チェリー、スカッシュ、コーヒー、ブランデー、ヨーグルト等の調合フレーバー等が挙げられる。香料としては、これらから選ばれる1種を単独で又は2種以上組み合わせて、組成物中に0.00001〜3%の範囲で配合できる。
【0031】
有効成分としては、塩化セチルピリジニウム、塩酸クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム等のカチオン性殺菌剤、トラネキサム酸、イプシロン−アミノカプロン酸などの抗炎症剤、アミラーゼ、プロテアーゼ、ムタナーゼ、リゾチーム、溶菌酵素、リテックエンザイム等の酵素、フッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化第一錫等のフッ化物、アルミニウムクロルヒドロキシアラントイン、アラントイン、アズレン、塩化リゾチーム、アスコルビン酸等のビタミンC類、塩化ナトリウム、ジヒドロコレステロール、グリチルレチン塩類、グリチルレチン酸類、ヒドロコレステロール、クロロフィル、銅クロロフィリンナトリウム、タイム、オウゴン、チョウジ、ハマメリス等の植物抽出物、グルコン酸銅、カロペプタイド、ポリリン酸ナトリウム、水溶性無機リン酸化合物、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、歯石防止剤、歯垢防止剤、硝酸カリウム、乳酸アルミニウム等を、有効量添加することができる。
【実施例】
【0032】
以下、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。なお、以下に示す%は特に記述していない限りいずれも質量%を意味する。
【0033】
〔実施例、比較例〕
下記表1〜3に示す組成の液体口腔用組成物を常法により調製し、下記方法にて歯垢形成抑制力、歯のツルツル感及び外観安定性(オリの無さ)を評価した。結果を表1〜3に示す。
【0034】
なお、下記例で用いた成分は以下の通りである。
コンドロイチン硫酸ナトリウム:生化学工業(株)製
ヒアルロン酸ナトリウム:キユーピー(株)製
デキストラナーゼ:三共(株)製 別紙規格適合12,000単位/g品
ポリオキシエチレン(60)硬化ひまし油:日光ケミカルズ(株)製 HCO−60
ポリオキシエチレン(100)硬化ひまし油:日本エマルジョン(株)製 HC−100
ポリオキシエチレン(20)セチルエーテル:
日本エマルジョン(株)製 EMALEX120
ポリオキシエチレン(15)ステアリルエーテル:
日本エマルジョン(株)製 EMALEX615
ポリオキシエチレン(20)硬化ひまし油:日本エマルジョン(株)製 HC−20
ポリオキシエチレン(5)セチルエーテル:
日本エマルジョン(株)製 EMALEX105
ラウリル硫酸ナトリウム:東邦化学工業(株)製
クエン酸:扶桑化学工業(株)製
クエン酸ナトリウム:扶桑化学工業(株)製
グリセリン:ライオンオレオケミカル(株)製
キシリトール:ロケットジャパン(株)製
エタノール:日本アルコール販売(株)製
【0035】
なお、調製した液体口腔用組成物のpHは次のようにして測定した。
予め25℃に恒温にした液体口腔用組成物サンプルをプラスチック容器に入れ、校正の終了したpH電極を液体口腔用組成物に直接挿入し、3分後の読み値をサンプルのpHとした。なお、pH測定には以下の装置を使用した。
pHメーター:東亜電波工業(株)製 HM−30S
pH電極 :東亜ディーケーケー(株)製 GST−5721C
【0036】
<実験1>歯垢形成抑制力の評価
評価方法:
(1) 24ウェルマルチプレート中に表1〜3に示す液体口腔用組成物をそれぞれ2mLずつ入れ、鏡面研磨したペンタックス製ハイドロキシアパタイト板(半径0.35cm×高さ0.35cm、以下HAP板と略す。)3枚を30秒間浸漬した。
(2) 24ウェルマルチプレート中に、ストレプトコッカス ミュータンス(Streptococcus mutans)10449株を波長660nmでの濁度が0.35になるように分散させた緩衝液(*1)を2mL入れ、上記HAP板を3枚ずつ浸漬し、37℃で2時間静置して菌を付着させた。
(3) 上記HAP板を取り出し、滅菌水で洗浄後、液体培地(*2)2mLに洗浄したHAP板を3枚ずつ37℃で8時間浸漬し、付着菌を培養した。
(4) 蒸留水で洗浄後、歯垢染色液で染色し、色差計でa値を測定し上記3枚の平均値を算出した。評価基準は以下の通りである。
【0037】
歯垢形成抑制効果の評価基準:
◎:a値の平均値が5未満
○:a値の平均値が5以上7.5未満
△:a値の平均値が7.5以上10未満
×:a値の平均値が10以上
【0038】
(*1)緩衝液
塩化カリウム(KCl)を3.37g、リン酸2水素カリウム(KH2PO4)を0.14g、塩化カルシウム(CaCl2)を0.11g、塩化マグネシウム(MgCl2)0.02gを800mLの精製水に溶かして、水酸化カリウム(KOH)でpHを7.0にして精製水で全量が1Lになるようにメスアップした。
(*2)液体培地
トリプチック ソイ ブロス(Tryptic Soy Broth)3g、スクロース(Sucrose)0.5gに精製水100mLを加えて溶解した。
【0039】
使用成分:
塩化カリウム:関東化学(株)製 試薬特級
リン酸2水素カリウム:関東化学(株)製 試薬特級
塩化カルシウム:関東化学(株)製 試薬特級
塩化マグネシウム:関東化学(株)製 試薬特級
水酸化カリウム:関東化学(株)製 試薬特級
TSB培地:ベクトン・ディッキンソン(株)製
Sucrose:関東化学(株)製 試薬特級
【0040】
色差計:
NIPPON DENSHOKU製
Spectrophotometer SE 2000
【0041】
<実験2>歯のツルツル感の評価
評価方法:
専門パネルを用い、歯のツルツル感の官能評価を下記方法で行った。
液体口腔用組成物10mLを口に含み、20秒間洗口した後、歯を舌で触ったときの歯牙表面のツルツル感を下記の3段階で官能評価し、専門パネル10名の平均値を算出した。
【0042】
歯のツルツル感の評価基準:
3点:良好なツルツル感が認められた。
2点:ややツルツル感が認められた。
1点:ツルツル感がほとんど認められなかった。
0点:ツルツル感が認められなかった。
評点:
◎:2.5点以上3点以下
○:2点以上2.5点未満
△:1点以上2点未満
×:1点未満
【0043】
<実験3>外観安定性の評価
評価方法:
液体口腔用組成物を株式会社吉野工業所製80mL透明PET容器に入れ、5℃の恒温槽(ヤマト科学株式会社 インキュベーターIG420)に一ヶ月保存後、外観安定性(オリの有無)を下記評価基準に従って目視判定した。
【0044】
外観安定性の評価基準:
◎:オリがまったくない
○:オリがほとんどない
△:オリが少しある
×:オリがかなりある
【0045】
【表1】

【0046】
【表2】

【0047】
【表3】

【0048】
表1〜3に示された結果から、本発明の必須要件のいずれかを満たさない場合(比較例)は、高い歯垢形成抑制効果が発揮されなかったり、歯のツルツル感が満足に感じられず、あるいは、オリが発生して外観安定性に劣るのに対して、コンドロイチン硫酸ナトリウム0.001〜1%、デキストラナーゼ、エチレンオキサイドの平均付加モル数が40〜100モルであるポリオキシエチレン硬化ひまし油及び/又は炭素鎖長が16〜18のアルキル鎖長でエチレンオキサイドの平均付加モル数が10〜40モルのポリオキシエチレンアルキルエーテルを0.1〜5%を配合することによって(実施例)、歯垢形成抑制力が高く、歯のツルツル感に優れ、しかも、経時での外観安定性も保たれ、本発明の目的を達成できることが確認された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)コンドロイチン硫酸ナトリウムを0.001〜1質量%、(b)デキストラナーゼ、(c)エチレンオキサイドの平均付加モル数が40〜100モルのポリオキシエチレン硬化ひまし油及び/又はアルキル鎖の炭素鎖長が16〜18で、エチレンオキサイドの平均付加モル数が10〜40モルのポリオキシエチレンアルキルエーテルを0.1〜5質量%を含有してなることを特徴とする液体口腔用組成物。

【公開番号】特開2009−46449(P2009−46449A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−216139(P2007−216139)
【出願日】平成19年8月22日(2007.8.22)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】