説明

液体吐出装置

【課題】第1筐体が離隔位置にあるときに支持面に異物が付着するのを防止する。
【解決手段】第1筐体は、インクジェットヘッドを収容すると共に、第2筐体に近接した近接位置と第2筐体から離隔した離隔位置とを取り得る。第2筐体は、支持面を有するプラテン、メンテナンスに係る対向面を有する対向部材等を含む。プラテン及び対向部材は、支持面がヘッドの吐出面に対向し且つ対向面が吐出面に対向しない第1状態と、支持面が吐出面に対向せず且つ対向面が吐出面に対向する第2状態とが切り換わるように、移動可能である。コントローラは、ロック機構による第1筐体の移動規制が解除されることを示す規制解除信号を受信した場合(S1:YES)、第2状態する(S4)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インク等の液体を吐出する液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体吐出装置において、ジャム処理(搬送経路における記録媒体の詰まりを解消する作業)等をユーザが手動で行う場合がある。この場合の作業空間を確保するため、液体吐出装置の筐体を、液体吐出ヘッドを収容する第1筐体と、記録媒体を支持する支持部等を収容する第2筐体とで構成し、第1筐体を第2筐体に対して移動可能とする技術が知られている(特許文献1参照)。特許文献1によると、第1筐体(上ユニット1a)を第2筐体(下ユニット1b)から離隔した離隔位置に移動させることで、第1筐体及び第2筐体によって形成されている搬送経路を開放すると共に、搬送経路上に作業空間を確保することができる。
【0003】
【特許文献1】特開昭63−254044号公報(第4図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら特許文献1によると、第1筐体が離隔位置にあるとき、支持部(プラテン203)の支持面(表面)が第1及び第2筐体間の空間に露出しており、支持面に異物が付着し得る。支持面に異物が付着すると、記録媒体が汚れたり、装置内部に異物が入り込んで搬送不良が生じたりする問題が生じ得る。
【0005】
本発明の目的は、第1筐体が離隔位置にあるときに支持面に異物が付着するのを防止することが可能な液体吐出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の観点によると、第1筐体と、第2筐体と、規制部と、制御手段と、を備え、前記第1筐体は、前記第2筐体に対して移動可能であり、当該移動によって前記第2筐体に近接した近接位置と前記近接位置のときよりも前記第2筐体から離隔した離隔位置とを取り得ると共に、記録媒体に対して液体を吐出する複数の吐出口が開口した吐出面を有する液体吐出ヘッドを収容し、前記第2筐体は、前記吐出面に対向しつつ前記記録媒体を支持する支持面を有する支持部、及び、前記支持面が前記吐出面に対向する第1状態と前記支持面が前記吐出面に対向しない第2状態とを選択的に取り得るように前記支持部を移動させる移動部を収容し、前記規制部は、前記近接位置にある前記第1筐体の移動を規制し、前記制御手段は、前記規制部による規制が解除されることを示す規制解除信号を受信した場合に前記支持部が前記第2状態となるように前記移動部を制御することを特徴とする液体吐出装置が提供される。
【0007】
上記観点によれば、近接位置にある第1筐体の移動規制が解除される前に、支持面が吐出面に対向しない第2状態となる。したがって、第1筐体が離隔位置にあるときに、支持面が第1及び第2筐体間の空間に露出しないため、支持面に異物が付着するのを防止することができる。
【0008】
前記第2筐体は、前記吐出面に対向する対向面を有するメンテナンス部をさらに含み、前記移動部は、前記第1状態のときに前記支持面が前記吐出面に対向し且つ前記対向面が前記吐出面に対向せず、前記第2状態のときに前記支持面が前記吐出面に対向せず且つ前記対向面が前記吐出面に対向するように前記支持部及び前記メンテナンス部を移動させるようにしてよい。
この構成によれば、第2状態のときに対向面が吐出面に対向するため、第1筐体が離隔位置にあるときに、支持面に異物が付着するのを防止することができる。
【0009】
前記制御手段は、前記記録媒体に向けて前記吐出口から液体を吐出する記録モード時は前記支持部及びメンテナンス部が前記第1状態となるように、前記吐出面の保守を行うメンテナンスモード時は前記支持部及び前記メンテナンス部が前記第2状態となるように、前記移動部を制御してよい。
この構成によれば、メンテナンスモード時に規制解除信号を受けた場合、制御手段は、第2状態が維持されるように移動部を制御すればよく、制御が容易である。
【0010】
前記メンテナンス部は、前記対向面、及び、前記対向面を清掃する清掃部材を含み、前記制御手段は、前記第1筐体が前記離隔位置から前記近接位置に移動した後に、前記清掃部材が前記対向面を清掃するように、前記メンテナンス部を制御してよい。
この構成によれば、第1筐体が離隔位置にある間に対向面に異物が付着しても、清掃部材による清掃で、対向面に付着した異物を除去することができる。ひいては、筐体内への異物の飛散を防止し、また、その後の処理で異物によって不具合が生じるのを防止することができる。
【0011】
本発明に係る液体吐出装置は、前記吐出面に対向する前記支持面上に前記記録媒体を搬送する搬送部を備え、前記制御手段は、前記記録媒体に向けて前記吐出口から液体を吐出する記録モード時に前記規制解除信号を受信した場合に、前記吐出口からの液体の吐出及び前記記録媒体の搬送が終了するように前記液体吐出ヘッド及び前記搬送部を制御してよい。
液体の吐出や記録媒体の搬送が行われている最中に第1筐体が離隔位置に移動すると、吐出口から吐出された液体が筐体内に飛散して他の部品に付着したり、搬送部の故障が生じたりし得る。しかし上記構成によれば、このような事態を回避することができる。
【0012】
前記記録媒体に向けて前記吐出口から液体を吐出する記録モード時におけるジャムの発生を検出するジャム検出部をさらに備え、前記制御手段は、前記ジャム検出部によってジャムの発生が検出されたときに前記支持部が前記第2状態となるように前記移動部を制御してよい。
この構成によれば、ジャム発生時に、規制解除信号を送信するための処理をユーザが行わなくとも、規制解除信号に伴う処理が自動的に行われるため、ユーザは円滑にジャム処理を行うことができる。
【0013】
前記吐出面の保守を行うメンテナンスモード時に、前記対向面に向けて前記吐出口から液体を吐出させる強制吐出動作が行われるように前記液体吐出ヘッド及び前記移動部を制御してよい。
この構成によれば、対向面は、強制吐出動作において吐出された液体を受ける液体受け部材として機能する。これにより、液体受け部材として他の部材を設ける必要がなく、構成の簡素化が実現される。
【0014】
前記メンテナンス部は、前記対向面及び、前記対向面を清掃する清掃部材を含み、前記制御手段は、前記強制吐出動作が行われるように前記液体吐出ヘッドを制御しているときに前記規制解除信号を受信した場合に、前記強制吐出動作が終了するように前記液体吐出ヘッドを制御した後に、前記清掃部材が前記対向面を清掃するように前記メンテナンス部を制御してよい。
強制吐出動作が行われた後にユーザが第1及び第2筐体間の空間に手を入れたりすると、強制吐出動作において対向面に付着した液体がユーザの手に付着し得る。しかし上記構成によれば、このような事態を回避することができる。
【0015】
本発明に係る液体吐出装置は、前記液体吐出ヘッドに設けられた、前記吐出面を囲む環状部材であって、前記吐出面と前記対向面との間に形成される吐出空間を環状部材の先端が前記対向面に当接することによって外部空間から隔離する位置を取り得る環状部材をさらに備えてよい。
この構成によれば、環状部材によって吐出空間を外部空間から隔離することで、吐出空間を適度な湿度に保持することができ、吐出口周りの乾燥を防止することができる。そして、この乾燥防止のために対向面を用いたことで、環状部材に当接させる他の部材を設ける必要がなく、構成の簡素化が実現される。
【0016】
本発明に係る液体吐出装置は、前記第1筐体に設けられ、前記第1筐体が前記離隔位置にあるときに前記吐出面を覆う保護位置と、前記第1筐体が前記近接位置にあるときに前記吐出面を覆わない退避位置とに移動可能なカバーと、前記カバーが前記保護位置にあるときに前記吐出面と前記カバーとの間に形成される保護空間に、加湿された空気を供給する加湿部と、をさらに備え、前記制御手段は、前記規制解除信号を受信した場合に、加湿された空気が前記保護空間に供給されるように前記加湿部を制御してよい。
この構成によれば、第1筐体が離隔位置にある間、吐出面がカバーで覆われると共に、吐出面とカバーとの間に形成され保護空間に加湿された空気が供給される。これにより、吐出口周りの乾燥を効果的に防止又は解消することができる。また、既に吐出口内等で液体の増粘又は固化が生じていても、加湿空気により水分を供給することで、増粘又は固化を解消することができる。
【0017】
また、上記目的を達成するために、第1筐体と、第2筐体と、制御手段と、を備える液体吐出装置であって、前記第1筐体は、前記第2筐体に対して移動可能であり、当該移動によって前記第2筐体に近接した近接位置と前記近接位置のときよりも前記第2筐体から離隔した離隔位置とを取り得ると共に、記録媒体に対して液体を吐出する複数の吐出口が開口した吐出面を有する液体吐出ヘッドを収容し、前記第2筐体は、前記吐出面に対向しつつ前記記録媒体を支持する支持面を有する支持部、及び、前記支持面が前記吐出面に対向する第1状態と前記支持面が前記吐出面に対向しない第2状態とを選択的に取り得るように前記支持部を移動させる移動部を収容し、前記液体吐出装置は、前記記録媒体に向けて前記吐出口から液体を吐出する記録モード時におけるジャムの発生を検出するジャム検出部をさらに備え、前記制御部は、前記ジャム検出部によってジャムの発生が検出されたときに、前記支持部が前記第2状態となるように前記移動部を制御するものである液体吐出装置が提供される。
【0018】
この構成によれば、ジャムの発生が検出されたときに、支持部は、支持面が吐出面に対向しない第2状態とされる。したがって、ジャムの処理のために第1筐体が離隔位置にあるときに、支持面が第1及び第2筐体間の空間に露出しないため、支持面に異物が付着するのを防止することができる。
【0019】
また、上記目的を達成するために、第1筐体と、第2筐体と、制御手段と、を備える液体吐出装置であって、前記第1筐体は、前記第2筐体に対して移動可能であり、当該移動によって前記第2筐体に近接した近接位置と前記近接位置のときよりも前記第2筐体から離隔した離隔位置とを取り得ると共に、記録媒体に対して液体を吐出する複数の吐出口が開口した吐出面を有する液体吐出ヘッドを収容し、前記第2筐体は、前記吐出面に対向しつつ前記記録媒体を支持する支持面を有する支持部、及び、前記支持面が前記吐出面に対向する第1状態と前記支持面が前記吐出面に対向しない第2状態とを選択的に取り得るように前記支持部を移動させる移動部を収容し、前記液体吐出装置は、前記第1筐体が前記近接位置及び前記離隔位置のいずれの位置にあるかを検出する第1筐体位置検出手段をさらに備え、前記制御部は、前記第1筐体位置検出手段によって前記第1筐体が離隔位置にあることが検出された場合、前記支持部が前記第2状態となるように前記移動部を制御するものである液体吐出装置が提供される。
【0020】
この構成によれば、第1筐体が離隔位置にあるときに、支持部は、支持面が吐出面に対向しない第2状態とされる。したがって、ジャムの処理のために第1筐体が離隔位置にあるときに、支持面が第1及び第2筐体間の空間に露出しないため、支持面に異物が付着するのを防止することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によると、第1筐体が離隔位置にあるときに、支持面が第1及び第2筐体間の空間に露出しないため、支持面に異物が付着するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1実施形態に係るインクジェット式プリンタを示す外観斜視図である。
【図2】プリンタの内部を示す概略側面図である。
【図3】本発明の第1実施形態の概略構成を示すブロック図である。
【図4】ロック機構を示す正面図である。
【図5】本実施形態の回転部材の規制状態及び規制解除状態を説明するための概略図である。
【図6】ヘッド及び環状部材を示す概略図である。
【図7】規制解除信号の受信に応じてプリンタのコントローラが実行する制御内容を示すフロー図である。
【図8】ジャムの発生の有無に応じてプリンタのコントローラが実行する制御内容を示すフロー図である。
【図9】本発明の第2実施形態のコントローラが実行する制御内容を示すフロー図である。
【図10】本発明の第3実施形態に係るインクジェット式プリンタにおける、ヘッド、カバー、及び加湿機構を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0024】
図1及び図2を参照し、本発明の第1実施形態に係るインクジェット式プリンタ1の全体構成について説明する。
【0025】
プリンタ1は、共に直方体形状で且つサイズが略等しい第1筐体1a及び第2筐体1bを有する。第1筐体1aは下面が開口し、第2筐体1bは上面が開口している。第1筐体1aが第2筐体1b上に重なり、互いの開口面を封止することで、プリンタ1内部の空間が画定される(図2参照)。
第1筐体1aの天板上部には、排紙部31が設けられている。第1及び第2筐体1a,1bにより画定される空間には、後述の給紙ユニット1cから排紙部31に向けて、図2に示す太矢印に沿って、用紙Pが搬送される用紙搬送経路が形成されている。
【0026】
第1筐体1aは、その下端の一辺をヒンジ部1hとして、第2筐体1bに対して移動可能(回動可能)である。当該移動によって、第1筐体1aは、第2筐体1bに近接した近接位置(図2に示す位置)と、近接位置のときよりも第2筐体1bから離隔した離隔位置(例えば、図1に示す位置)とを取り得る。なお、プリンタ1内には、第1筐体1aが第2筐体1bに対して閉じた位置にあるのか、又は開いた位置にあるのかを検出する開閉センサ100が設けられている。開閉センサ100の検出信号はコントローラ1pに送信される。本実施形態では、コントローラ1pに送信された開閉センサ100の検出信号に基づいて、第1筐体1aが第2筐体1bに対して近接位置にあるのか、又は第1筐体1aが第2筐体1bに対して近接位置にない位置(図1に示す離隔位置を含む)にあるのかを、コントローラ1pに設けられた位置検出部101が検出するものとする。開閉センサ100は、図2に示す第1筐体1aの閉位置と、図1に示す第1筐体1aの全開位置の他に、第1筐体1aの傾斜角度が水平面に対して、第1筐体1aの全開位置よりも小さい傾斜角度である場合も、第1筐体1aが開位置にあると検出する。したがって、本実施形態における位置検出部101は、第1筐体1aが全開位置でない開位置である場合も、第1筐体1aが第2筐体1bに対して離隔位置にあると検出するものとする。つまり、第1筐体1aの閉位置が近接位置であり、第1筐体1aの閉位置を除く開位置及び全開位置が離隔位置である。なお、開閉センサ100は、第1筐体1aが近接位置にある場合において、第1筐体1a及び第2筐体1bの互いに対向する(又は互いに近接する)部位にそれぞれ設けられ、第1筐体1aに設けられる部材と第2筐体1bに設けられる部材の一対の部材により構成される。
第1筐体1aが離隔位置にあるとき、第1筐体1a及び第2筐体1bによって形成されている用紙搬送経路が露出され、用紙搬送経路上にユーザの作業空間が確保される。
ヒンジ部1hには、第1筐体1aを開放する方向に(近接位置から離隔位置に向けて)付勢するバネが設けられている。本実施形態において、第1筐体1aは、水平面に対して略35度の傾斜角度まで開くことができる。
【0027】
第1筐体1aの正面(図1の紙面左手前側の面)には、近接位置にある第1筐体1aの移動を規制(禁止)するロック機構70が設けられている。ロック機構70の構成については後に詳述する。
第2筐体1bの正面には、第1筐体1aの正面を覆う開閉可能な蓋1dが設けられている。蓋1dを開放することによってロック機構70が露出される。
【0028】
第1筐体1aは、2つのヘッド10(図2に太矢印で示す用紙搬送方向上流側から順に、前処理液を吐出するプレコートヘッド10、及び、ブラックインクを吐出するインクジェットヘッド10)、プリンタ1各部の動作を制御するコントローラ1p(図2参照)等を収容している。
なお、図2では、第1筐体1aに収容されている一部の部品の図示を省略している。また、ヘッド10にそれぞれ対応する2つのカートリッジ及び2つのサブタンクは、プリンタ1の内部に収容されている。
【0029】
第2筐体1bは、ヘッド10にそれぞれ対応する2つの支持・メンテナンスユニット60、給紙ユニット1c等を収容している。
【0030】
各カートリッジは、対応するヘッド10に供給される前処理液又はブラックインク(以下、これらを「液体」と総称する。)を貯留している。前処理液は、インクの滲みや裏抜けを防止する機能、インクの発色性や速乾性を向上させる機能等を有する液体である。
カートリッジ内の液体は、ポンプの駆動等により、サブタンクを介してヘッド10にそれぞれ供給される。
【0031】
ヘッド10は、図2に示す主走査方向に長尺なライン式であり、略直方体の外形形状を有する。2つのヘッド10は、図2に示す副走査方向に互いに離隔し、第1筐体1aのフレーム3を介して第1筐体1aに支持されている。各ヘッド10において、各ヘッド10の上面(図2に示す鉛直方向において上に向いた面)には、可撓性チューブが取り付けられるジョイントが設けられ、各ヘッド10の下面である吐出面10aには、多数の吐出口が開口し、内部には、チューブ及びジョイントを介して対応するカートリッジから供給された液体が吐出口に至るまでの流路が形成されている。
ヘッド10には、吐出面10aの外周を囲む環状部材13が設けられている。環状部材13の構成については後に詳述する。
【0032】
コントローラ1pは、演算処理装置であるCPU(Central Processing Unit)に加え
、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory:不揮発性RAMを含む)、I/F(Interface)等を有する。ROMには、CPUが実行するプログラム、各種
固定データ等が記憶されている。RAMには、プログラム実行時に必要なデータ(画像データ等)が一時的に記憶される。コントローラ1pは、I/Fを介して、外部装置(プリンタ1に接続されたPC等)とのデータ送受信等を行う。コントローラ1pは、本発明の制御手段の一例である。
【0033】
給紙ユニット1cは、給紙トレイ20及び給紙ローラ21を有する。このうち給紙トレイ20が第2筐体1bに対して副走査方向に着脱可能である。給紙トレイ20は、上方に開口する箱であり、複数種類のサイズの用紙Pを収容可能である。給紙ローラ21は、コントローラ1pに設けられた搬送制御部102(図3参照)による制御により回転し、給紙トレイ20の最も上方にある用紙Pを送り出す。給紙ローラ21によって送り出された用紙Pは、ガイド29によりガイドされ且つ送りローラ対22,23によって順次挟持されつつ支持・メンテナンスユニット60へと送られる。
【0034】
支持・メンテナンスユニット60は、対応するヘッド10の吐出面10aに鉛直方向に対向して配置されている。
支持・メンテナンスユニット60は、主走査方向の軸を有し且つコントローラ1pに設けられたメンテナンス実行部104の制御により当該軸を中心として回転可能な回転体63、回転体63の周面に固定されたプラテン61及び対向部材62、廃液トレイ65、並びに、ワイパ67(図1参照)を含む。また、回転体63の近傍には、プラテン61を支持する回転体63の第2筐体1bに対する回転位置を検出することにより、後述の支持面61aが後述の第1状態及び第2状態のうちのいずれの状態であるかを検出する状態検出センサ63aが第2筐体1bに支持された図示しないフレームに固定されて配置されている。
【0035】
プラテン61及び対向部材62は、共に主走査方向及び副走査方向に関して吐出面10aより一回り大きなサイズを有し、且つ、鉛直方向に互いに対向して配置されている。
【0036】
プラテン61の表面は、吐出面10aに対向しつつ用紙Pを支持する支持面61aであり、用紙Pを保持できるように材料及び加工に工夫が施されている。例えば支持面61aに、弱粘着性のシリコン層を形成したり、副走査方向に沿ったリブを多数形成したりすることで、支持面61a上に載置された用紙Pの浮き等が防止される。また、プラテン61は、樹脂により構成されている。
【0037】
対向部材62は、ガラス又は金属(例えばSUS)等の、水分を吸収しない又は吸収し難い材料から構成されている。対向部材62の表面は、平滑であって、吐出面10aに対向する対向面62aである。
【0038】
回転体63の回転により、支持面61aが吐出面10aに対向し且つ対向面62aが吐出面10aに対向しない第1状態(対向面62aが下方を向いている状態、図2参照)と、支持面61aが吐出面10aに対向せず且つ対向面62aが吐出面10aに対向する第2状態(支持面61aが下方を向いている状態、図1参照)とが切り換わる。
本実施形態において、コントローラ1pは、用紙Pに向けて吐出口から液体を吐出する記録モード時、及び、記録指令を待つ記録待機モード時は第1状態、吐出面10aの保守を行うメンテナンスモード時は第2状態となるように、回転体63の駆動を制御する。
【0039】
本実施形態では、プリンタ1の電源投入後、コントローラ1pが外部装置から最初の記録指令を受信するまでの間、プリンタ1はメンテナンスモードにある。コントローラ1pが外部装置から記録指令を受信した後、当該記録指令に伴う画像記録が完了するまでの間、プリンタ1は記録モードにある。記録指令に伴う画像記録が完了した後、予め決められた期間が経過するまで(予め決められた期間内にコントローラ1pが新たな記録指令を受信した場合は、当該記録指令を受信するまで)の間、プリンタ1は記録待機モードにある。なお、予め決められた期間は、吐出面10aを露出させておいても乾燥による影響が無い程度の期間である。記録指令に伴う画像記録が完了してからコントローラ1pが新たな記録指令を受信することなく予め決められた期間が経過した場合、その期間経過後、新たな記録指令を受信するまでの間、プリンタ1はメンテナンスモードにある。
【0040】
メンテナンスモードにおいて、コントローラ1pのメンテナンス実行部104は、キャッピング(対向面62aと環状部材13とを用いて吐出面10aを覆う動作:図4参照)、パージ(ポンプ等によりヘッド10内の流路に圧力を付加して吐出口から強制的に液体を吐出させる動作)、フラッシング(印刷データ記憶部105に記憶された記録に係る画像データとは異なるフラッシングデータに基づいてヘッド10のアクチュエータを駆動することにより吐出口から強制的に液体を吐出させる動作)等の、各メンテナンス動作を選択的に行う。
例えば、パージ及びフラッシング(以下、これらを「強制吐出動作」と総称する。)は、吐出口から液体が、それぞれに予め決められた期間以上吐出されていない場合にそれぞれ行われる(ここで、フラッシングに係る予め決められた期間よりもパージに係る上記予め決められた期間を長く設定してよい)。パージ及びフラッシングが行われるとき以外の場合、キャッピングが行われる。
パージ又はフラッシングにより、吐出口内に混入した気泡や粉塵が液体と共に排出される。キャッピングにより、吐出口周りの乾燥が防止される。したがって、各メンテナンス動作によって、吐出性能の回復又は吐出性能の悪化防止を図ることができる。
【0041】
メンテナンスモードにおいて、コントローラ1pのメンテナンス実行部104(図3参照)は、上記のようなメンテナンス動作を行う前に、先ず、状態検出センサ63aの出力を参照し、支持面61aが第2状態であるか否かを判断する。状態検出センサ63aは、支持面61aが第1状態であるのか、又は支持面61aが第2状態であるのかを検出する。支持61a面が第2状態でない(即ち、第1状態である)場合、コントローラ1pに設けられた回転体制御部106は、回転体63を回転させる回転体駆動機構110を駆動し、回転体63を180度回転させることで、支持面61aの状態を第1状態から第2状態に切り換え、その後メンテナンス実行部104はメンテナンス動作を行う。支持面61aが第2状態である場合、コントローラ1pの回転体制御部106は、上記のように回転体63を回転させることなく(支持面61aが第2状態のままで)、メンテナンス実行部104はメンテナンス動作を行う。
したがって、強制吐出動作の際、対向面62aに向けて吐出口から液体が吐出される。
【0042】
記録モードにおいて、コントローラ1pのメンテナンス実行部104は、画像記録に係る各動作(液体吐出及び用紙搬送)が行われるようにプリンタ1の各部を制御する前に、先ず、状態検出センサ63aの出力を参照し、支持面61aが第1状態であるか否かを判断する。支持面61がが第1状態でない(即ち、第2状態である)場合、コントローラ1pの回転体制御部106は、回転体63を回転させる回転体駆動機構110を駆動させ、回転体63を180度回転させることで、支持面61a状態を第2状態から第1状態に切り換え、その後画像記録に係る制御を行う。支持面61aが第1状態である場合、コントローラ1pは、上記のように回転体63を回転させることなく(支持面61aが第1状態のままで)、画像記録に係る制御を行う。
【0043】
記録待機モードにおいて、コントローラ1pは、記録指令の受信の有無を確認するのみで、他の制御は行わない。このモードでは、記録モードで設定された第1状態が維持され、プリンタ1各部は動作を行うことなく静止している。
【0044】
廃液トレイ65は、回転体63等の下方に配置されており、廃液タンク(図示せず)に連通している。強制吐出動作や後述の清掃の際に上方から落下してきた液体は、廃液トレイ65に受容され、廃液タンクに排出される。
【0045】
ワイパ67は、回転体63等に対して図2の紙面奥側の位置を待機位置として(図1参照)、コントローラ1pのメンテナンス実行部104の制御により主走査方向に移動可能である。ワイパ67は、ゴム等の弾性材料からなり、副走査方向に延在する板状部材である。ワイパ67は、先端が下方に向いた状態で撓みながら対向面62aに接触しつつ、主走査方向に移動することで、対向面62aに付着した液体を除去する(即ち、対向面62aの清掃を行う)。
【0046】
記録モード時において、ヘッド10は、吐出面10aが支持面61aに対向し且つ吐出面10aと支持面61aとの間に記録に適した所定の間隙が形成されるように、フレーム3に支持されている。
給紙ユニット1cから上記のようにして支持・メンテナンスユニット60へと送られた用紙Pは、支持面61aに支持され且つ回転する送りローラ対23,24,25に挟持されつつ搬送される。用紙Pが2つのヘッド10の真下を順次通過する際に、コントローラ1pのヘッド制御部107(図3参照)の制御により各ヘッド10が駆動し、各吐出面10aの吐出口から用紙Pの表面に向けて液体が吐出されることで、用紙P上に画像が形成される。吐出口からの液体吐出動作は、用紙センサ32aからの検出信号に基づき、コントローラ1pのヘッド制御部107による制御の下で行われる。用紙Pは、その後ガイド29によりガイドされ且つ送りローラ対27,28によって挟持されつつ上方に搬送され、第1筐体1a上部に形成された開口30から排紙部31へと排出される。なお、送りローラ25の近傍には、用紙センサ32bが筐体1aに支持されたフレーム3に固定されて設けられている。用紙センサ32a及び32bの検出信号がコントローラ1pに送信され、コントローラ1pに設けられたジャム検出部108は、ジャム(用紙搬送経路における用紙Pの詰まり)を検出することが可能となる。例えば、ジャム検出部108は、用紙センサ32aが用紙Pを検出したときから一定期間内に用紙センサ32bが用紙Pを検出しない場合にジャムが発生したことを検出する。また、これ以外にも、ジャム検出部108は、用紙センサ32a、32b及び送りローラ対22〜28の駆動モータからの信号に基づいてジャムが発生したことを検出することとしても良い。
【0047】
次いで、図4を参照し、ロック機構70の構成について説明する。
【0048】
ロック機構70は、円柱状の回転部材71a、長手方向一端がそれぞれ回転部材71aの周面に連結された2つの連動部材73a,73b、各連動部材73a,73bの長手方向他端に連結された揺動部材74a,74b、固定部材75a,75b、及び、各揺動部材74a,74bの上端に連結されたバネ76a,76bを含む。また、揺動部材74a,74bにはそれぞれ、回転部材71aから離れる方向に開口する凹部74c,74dが形成され、固定部材75a,75bにはそれぞれ、凹部74c,74dのそれぞれに挿入可能な係合部75c,75dが設けられている。なお、揺動部材74a,74bの揺動軸は第1筐体1aに固定されており、バネ76a,76bは、回転部材71aに近づく方向の一端がそれぞれ第1筐体1aに固定されている。また、固定部材75a,75bは、第2筐体1bにそれぞれ固定されている。
【0049】
回転部材71aの正面には、棒状のツマミ72が固定されている。ツマミ72は、ユーザが手動で回転させることができ、回転部材71aと一体に回転する。ツマミ72の回転中心には、ユーザが押下可能なボタン72bが設けられている。また、図5に示すように、ツマミ72の回転を禁止するソレノイド71bが第1筐体1aに支持された図示しないフレームに固定されて設けられている。
【0050】
バネ76a,76bはそれぞれ揺動部材74a,74bの上端を回転部材71aに近づく方向に付勢している。これにより、外力が付加されない状況において、ロック機構70の各部は、図4(a)に示すようにツマミ72が鉛直方向に延在した状態で、静止している。
【0051】
ツマミ72は、図5(a)に示すように、通常はソレノイド71bがオフ状態とされてバネ71cによる弾性力によって、回転を規制する回転規制部材71dが回転部材71aの凹部71eに挿入されることによって回転が禁止された回転禁止状態にある。また、コントローラ1pに設けられたロック機構制御部109によるソレノイド71bの駆動制御によって、回転禁止状態から、ソレノイド71bがオン状態とされてバネ71cによる弾性力に打ち勝つ力がソレノイド71bによって回転規制部材71dに及ぼされ、回転規制部材71dが回転部材71aの凹部71eから外されることにより、ツマミ72は回転許可状態に切り換えられる。
例えばジャム処理(用紙搬送経路における用紙Pの詰まりを解消する作業)等を行うために、ユーザがボタン72bを押下すると、ロック機構70による規制を解除するための規制解除信号が、ボタン72bに内蔵されたセンサからコントローラ1pに送信される。また、ユーザがボタン72bを押下しなくとも、ジャム検出部108によって搬送経路内のジャムの発生が検出された場合、コントローラ1pは、後述するように、規制解除信号がコントローラ1pに送信されたときと同様の処理を行う。
コントローラ1pは、規制解除信号を受信した場合、後に詳述するように(図7参照)、状況に応じた種々の処理(S2〜S9)を行った後、ロック機構制御部109によってソレノイド71bを駆動してツマミ72を回転禁止状態から回転許可状態に切り換える(S10)。
【0052】
図4(a)に示す状態において、係合部75c,75dがそれぞれ、揺動部材74a,74bの凹部74c,74dに挿入されることにより、係合部75c,75dが凹部74c,74dに係合し、第1筐体1aに揺動軸を固定された揺動部材74a,74bの固定部材75a,75bに対する移動が規制される。これにより、近接位置にある第1筐体1aの第2筐体1bに対する移動(回動)が規制(禁止)されている。
【0053】
回転許可状態とされたツマミ72を、ユーザがバネ76a,76bの付勢力に抗して時計回りに回転させると、図4(b)に示すように、揺動部材74a,74bがそれぞれ揺動し、揺動部材74a,74bがそれぞれ回転部材71に近づく方向に移動する。。これにより、揺動部材74a,74bの凹部74c,74dと固定部材75a,75bの係合部75c,75dの係合がそれぞれ解除され、近接位置にある第1筐体1aの第2筐体1bに対する移動規制が解除され、ユーザが手動で第1筐体1aを近接位置から離隔位置に移動させることができる。
【0054】
次いで、図6を参照し、環状部材13の構成について説明する。
【0055】
環状部材13は、ゴム等の弾性材料からなり、平面視で吐出面10aの外周を囲む環状形状を有する。環状部材13の下端には、断面視逆三角形状の突出部13aが形成されている。
【0056】
環状部材13は、ギア13Gの駆動により上下に移動可能である。当該移動によって、環状部材13は、突出部13aが吐出面10aよりも上方に位置する上昇位置と、突出部13aが吐出面10aよりも下方に位置する下降位置とを取り得る。コントローラ1pは、キャッピング中には環状部材13が下降位置を取り(図6参照)、それ以外の時には環状部材13が上昇位置を取るように、ギア13Gを回転させるモータの駆動を制御する。
【0057】
キャッピング中、図6に示すように、対向面62aに突出部13aの先端が当接することによって吐出面10aと対向面62aとの間に形成される吐出空間V1が、外部空間V2から隔離されている。
【0058】
次いで、図7を参照し、規制解除信号の受信に応じてコントローラ1pが実行する制御内容について説明する。なお、図7に示すルーチンは、プリンタ1の電源がオン状態とされてから電源がオフ状態とされるまで、一定の期間(例えば、5ms)毎に行われるものである。
【0059】
コントローラ1pは、規制解除信号を受信した場合(S1:YES)、先ず、記録モード時であるか否かを判断する(S2)。
記録モード時である場合(S2:YES)、コントローラ1pは、ヘッド10のアクチュエータの駆動、並びに、給紙ローラ21及び送りローラ対22〜28の駆動を停止させることで、液体吐出及び用紙搬送を終了させる(S3)。そしてコントローラ1pは、回転体63を回転させる回転機構を駆動し、回転体63を180度回転させることで、支持面61aの状態を第1状態から第2状態に切り換える(S4)。その後、コントローラ1pは、ソレノイドを駆動してツマミ72を回転禁止状態から回転許可状態に切り換える(S10)。
【0060】
記録モード時でない場合(S2:NO)、コントローラ1pは、メンテナンスモード時であるか否かを判断する(S5)。
【0061】
メンテナンスモード時でない場合(即ち、記録待機モード時である場合)(S5:NO)、コントローラ1pは、S4を行った後、処理をS10に進める。
メンテナンスモード時である場合(S5:YES)、コントローラ1pは、キャッピング中であるか否かを判断する(S6)。キャッピング中である場合(S6:YES)、コントローラ1pは、環状部材13が下降位置から上昇位置に移動するようにギア13Gを駆動し、キャッピングを解除する(S7)。その後コントローラ1pは、処理をS10に進める。
【0062】
キャッピング中でない場合(即ち、強制吐出動作中である場合)(S6:NO)、コントローラ1pは、当該強制吐出動作に係る駆動(パージの場合はポンプの駆動、フラッシングの場合はアクチュエータの駆動)を停止させることで、強制吐出動作を終了させる(S8)。そしてコントローラ1pは、ワイパ67を移動させる移動機構を駆動し、ワイパ67により対向面62aの清掃を行う(S9)。その後コントローラ1pは、処理をS10に進める。
【0063】
S10の後、コントローラ1pは、開閉センサ100からの信号に基づいて、第1筐体1aが離隔位置に移動したか否かを判断する(S11)。コントローラ1pが、第1筐体1aが離隔位置に移動したと判断した場合(S11:YES)、コントローラ1pは、さらにその後第1筐体1aが離隔位置から近接位置に戻ったか否かを、上記開閉センサ100からの信号に基づいて、判断する(S12)。
第1筐体1aが離隔位置に移動してから近接位置に戻るまでの間に、ユーザは、筐体1a,1b間に形成された作業空間において、ジャム処理等の作業を行うことができる。ユーザは、作業終了後、第1筐体1aを離隔位置から近接位置に戻す。
【0064】
コントローラ1pが、第1筐体1aが近接位置に戻ったと判断した場合(S12:YES)、コントローラ1pは、ソレノイド71bを駆動してツマミ72を回転許可状態から回転禁止状態に切り換える(S13)。その後コントローラ1pは、S9と同様、ワイパ67により対向面62aの清掃を行い(S14)、当該ルーチンを終了する。
【0065】
第1筐体1aが離隔位置に移動することなく(S11:NO)、S10の後所定時間が経過した場合(S15:YES)、コントローラ1pは処理をS13に進める。この場合、S13の後、S14を省略して、当該ルーチンを終了してよい。
【0066】
当該ルーチンの終了後、メンテナンスモードに移行した場合、第2状態が維持される。当該ルーチンの終了後、記録モード又は記録待機モードに移行した場合、支持面61aの状態が第2状態から第1状態に切り換えられる。
【0067】
以上に述べたように、本実施形態に係るプリンタ1によると、コントローラ1pは、規制解除信号を受信した場合(S1:YES)、第2状態となるように回転体63を制御する(S4)。
これにより、第1筐体1aが離隔位置に移動したときに、支持面61aが第1及び第2筐体1a,1b間の空間に露出しないため、支持面61aに異物が付着するのを防止することができる。なお、本実施形態に係るプリンタ1は、開閉センサ100を備えているが、開閉センサ100は必須の構成ではなく、プリンタ1から省略することが可能である。
【0068】
コントローラ1pは、記録モード時は第1状態、メンテナンスモード時は第2状態となるように、回転体63を制御する。したがって、メンテナンスモード時に規制解除信号を受信した場合、コントローラ1pは、第2状態が維持されるように回転体63を制御すればよく、制御が容易である。
【0069】
コントローラ1pは、第1筐体1aが離隔位置から近接位置に移動した後に(S12:YES)、ワイパ67が対向面62aを清掃するように、支持・メンテナンスユニット60を制御する(S14)。これにより、第1筐体1aが離隔位置にある間に対向面62aに異物が付着しても、ワイパ67によって対向面62aに付着した異物を除去することができる。ひいては、筐体1a,1b内部への異物の飛散を防止し、また、その後の処理で異物によって不具合が生じるのを防止することができる。
【0070】
コントローラ1pは、記録モード時に規制解除信号を受信した場合に(S2:YES)、液体吐出及び用紙搬送が終了するように、ヘッド10及び給紙ローラ21及び送りローラ対22〜28を制御する(S3)。
液体吐出や用紙搬送が行われている最中に第1筐体1aが離隔位置に移動すると、吐出口から吐出された液体が筐体1a,1b内に飛散して他の部品に付着したり、送りローラ対22〜28等の故障が生じたりし得る。本実施形態の上記構成によれば、このような事態を回避することができる。
【0071】
コントローラ1pは、メンテナンスモード時に、対向面62aに向けて吐出口から液体を吐出させる強制吐出動作が行われるように、ヘッド10等を制御する。即ち、この場合、対向面62aは、強制吐出動作において吐出された液体を受ける液体受け部材として機能する。これにより、液体受け部材として他の部材を設ける必要がなく、構成の簡素化が実現される。
【0072】
コントローラ1pは、強制吐出動作中に規制解除信号を受信した場合に(S6:NO)、強制吐出動作が終了するようにヘッド10等を制御(S8)した後に、ワイパ67が対向面62aを清掃するように、支持・メンテナンスユニット60を制御する(S9)。
強制吐出動作が行われた後にユーザが第1及び第2筐体1a,1b間の空間に手を入れたりすると、強制吐出動作において対向面62aに付着した液体がユーザの手に付着し得る。本実施形態の上記構成によれば、このような事態を回避することができる。
【0073】
ヘッド10に、環状部材13(図6参照)が設けられている。キャッピング中、環状部材13によって吐出空間V1を外部空間V2から隔離することで、吐出空間V1を適度な湿度に保持することができ、吐出口周りの乾燥を防止することができる。そして、この乾燥防止のために対向面62aを用いたことで、環状部材13に当接させる他の部材を設ける必要がなく、構成の簡素化が実現される。
【0074】
なお、上述したように、コントローラ1pは、ジャムの発生を検出したときは、規制解除信号を受信したときと同様の処理を行う。この処理について、図8を参照して説明する。図8に示すルーチンも、図7のルーチンと同様に、プリンタ1の電源がオン状態とされてからオフ状態とされるまでの間、一定期間(例えば、5ms)毎に行われるものである。
図8において、コントローラ1pは、ジャムの発生を検出しているか否かを判断する(S30)。ジャムの検出は、例えば、ジャム検出部108が用紙センサ32a,32bの検出信号に基づいて検出する。ジャムの発生を検出した場合(S30:YES)はS2に進み、ジャムの発生を検出していない場合(S30:NO)はS30の処理を繰り返す。図8に示すルーチンにより、プリンタ1は、ジャム発生時に、規制解除信号を送信するための処理(ボタン72bの押下)をユーザが行わなくとも、規制解除信号に受信したときの処理と同様の処理が行われるため、ユーザは円滑にジャム処理を行うことができる。
【0075】
なお、図8に示すルーチンでは、コントローラ1pは、ジャムが発生したことを検出した場合(S30)に、ツマミを回転禁止状態から回転許可状態に切り換えている(S10)が、図7及び図8のルーチンを勘案すると、コントローラ1pは、規制解除信号を受信したことと、ジャムの発生を検出したことのいずれかの事象が起こったときに、ツマミを回転禁止状態から回転許可状態に切り換える制御を行っている。これは、コントローラ1pが、近い将来に第1筐体1aが第2筐体1bに対して離隔位置に移動させられる可能性が高いことを検出することにより、第1筐体1aの第2筐体1bに対する移動の規制及び解除の制御を行っていると考えられる。言い換えると、本実施形態のコントローラ1pは、現在、近接位置にある第1筐体1aが離隔位置に移動させられる可能性が高いことを示す信号、あるいは検出結果に基づいて、第1筐体1aの第2筐体1bに対する移動の規制及び解除の制御を行っているといえる。
【0076】
続いて、図9を参照し、本発明の第2実施形態に係るインクジェット式プリンタについて説明する。
本実施形態に係るプリンタ1は、第1実施形態のプリンタ1と同じ構成であり、コントローラ1pの制御の内容が、第1実施形態のコントローラ1pの制御内容と一部異なるものである。したがって、第1実施形態の制御内容と同じ制御内容については説明を省略し、異なる制御内容について詳説する。
【0077】
図9に示すように、コントローラ1pは、規制解除信号を受信した場合(S1:YES)であって、記録モード時である場合(S2:YES)は、液体吐出及び用紙搬送を終了させる(S3)。S3の処理を行った後、コントローラ1pは、ソレノイド71bを駆動してツマミ72を回転禁止状態から回転許可状態に切換えた後(S10)、第1筐体1aが離隔位置にあるか否かを判断する(S11)。コントローラ1pが、第1筐体1aが離隔位置に移動させられたと判断した場合(S11:YES)は、S20において、コントローラ1pの回転体制御部106は、支持面61aの状態が第1状態から第2状態に変更されるように、回転体63が回転するように回転体駆動機構110を制御する。S20の処理を行った後、コントローラ1pは、第1筐体1aが近接位置にあるか否かを判断する(S12)。第1筐体1aが移動させられず、第1筐体1aが離隔位置にあると判断した場合(S12:NO)は、コントローラ1pは、S12の判断を繰り返し行う。一方、第1筐体1aが移動させられ、第1筐体1aが近接位置にあると判断した場合(S12:YES)は、S13に進み、コントローラ1pは、ツマミ72を回転許可状態から回転禁止状態に切換える(S13)。
【0078】
以上に述べたように、本実施形態に係るプリンタ1によれば、コントローラ1pは、第1筐体1aが離隔位置にあるときは、支持面61aが第2状態になるように回転体63を回転させることにより、対向面62aを上方に移動させ、支持面61aを下方に移動させることができる。これにより、支持面61aが第1筐体1a及び第2筐体1b間の空間に露出しないため、支持面61aに異物が付着するのを防止することができる。
【0079】
なお、本第2実施形態は、ロック機構70を有するプリンタ1について説明したが、ロック機構70は必須の構成ではなく、省略することが可能である。すなわち、プリンタ1からロック機構70の構成を省略した場合は、図7のフローチャートにおいて、S1、S10及びS13の処理が不要となり、プリンタ1は、第1筐体1aが離隔位置に移動させられたこと(S11において検出)に起因して、支持面61aの状態が第1状態から第2状態に変更されるように、回転体63が回転するように構成することが可能である。プリンタ1からロック機構70の構成、S1、S10及びS13の処理を省略することにより、プリンタ1の構成を簡略化することができる。
【0080】
続いて、図10を参照し、本発明の第3実施形態に係るインクジェット式プリンタについて説明する。
本実施形態に係るプリンタは、第1実施形態のプリンタ1に、カバー213及び加湿機構250をさらに追加したものである(なお、環状部材13は省略してもよい)。以下、第1実施形態のプリンタ1と同じ構成については説明を省略する。
【0081】
カバー213は、第1筐体1aにおいて、ヘッド10毎に設けられている。カバー213は、平面視で吐出面10aよりも一回り大きな皿状の部材であって、吐出面10aに対向する板状の本体213a、及び、本体213aの外周縁から吐出面10aと直交する方向に延出した延出部213bを含む。カバー213を移動させる移動機構については図示及び説明を省略するが、カバー213は、第1筐体1aに連動し、第1筐体1aが離隔位置にあるときに吐出面10aを覆う保護位置(図10に示す位置)と、第1筐体1aが近接位置にあるときに吐出面10aを覆わない退避位置とに移動可能である。具体的には、開閉センサ100が、第1筐体1aが近接位置にあることを検出しているときは、コントローラ1pは、カバー213が退避位置に配置されるようにカバー移動機構(図10参照)を制御し、開閉センサ100が、第1筐体が離隔位置にあることを検出しているときは、コントローラ1pは、カバー213が保護位置に配置されるようにカバー移動機構を制御する。
【0082】
加湿機構250は、カバー213が保護位置にあるときに吐出面10aとカバー213との間に形成される保護空間V3に、加湿された空気を供給する。
加湿機構250は、チューブ255,256,257、ポンプ253、及びタンク254を含み、第1筐体1aに設けられている。これらのうち、チューブ255,256,257はヘッド10毎に設けられているが、ポンプ253及びタンク254は2つのヘッド10に対して共通に(2つのヘッド10に対して1つ)設けられている。
【0083】
チューブ255は、一端がカバー213の内部空間に連通し、他端がポンプ253に接続されている。チューブ256は、ポンプ253とタンク254とを連通可能に接続している。チューブ257は、一端がタンク254に接続されており、他端がカバー213の内部空間に連通している。チューブ255の一端及びチューブ257の他端はそれぞれ、カバー213の主走査方向一端及び他端に接続している。
【0084】
タンク254は、下部空間に水を貯留し、上部空間に、下部空間の水により加湿された加湿空気を貯蔵している。チューブ256はタンク254の下部空間と連通し、チューブ257はタンク254の上部空間と連通している。
なお、タンク254内の水がポンプ253に流れ込まないよう、チューブ256には図示しない逆止弁が取り付けられており、図10の矢印方向にのみ空気が流れるようになっている。
【0085】
本実施形態において、コントローラ1pは、規制解除信号を受信した場合、加湿された空気が保護空間V3に供給されるように加湿機構250を制御する。
具体的には、コントローラ1pは、ポンプ253を駆動し、チューブ255の一端から保護空間V3の空気を回収する。当該空気は、チューブ255、ポンプ253、及びチューブ256を通って、タンク254の下部空間に至り、タンク254内の水によって加湿される。こうして加湿された空気は、タンク254の上部空間からチューブ257を通り、保護空間V3に戻される。図10において、黒塗りの矢印は加湿前の空気の流れを示し、白抜きの矢印は加湿後の空気の流れを示す。
【0086】
以上に述べたように、本実施形態に係るプリンタによると、第1筐体1aが離隔位置にある間、吐出面10aがカバー213で覆われると共に、吐出面10aとカバー213との間に形成される保護空間V3に加湿された空気が供給される。これにより、吐出口周りの乾燥を効果的に防止又は解消することができる。吐出口周りが乾燥すると、吐出口内や吐出面10aの吐出口周縁に存在する液体が増粘又は固化し、吐出不良が生じ得るが、本実施形態によればこのような事態を効果的に回避することができる。また、既に吐出口内等で液体の増粘又は固化が生じていても、加湿空気により水分を供給することで、増粘又は固化を解消することができる。
【0087】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な設計変更が可能なものである。
【0088】
コントローラ1pは、第1筐体が離隔位置から近接位置に移動した後や、強制吐出動作中に規制解除信号を受信した場合に、清掃部材が対向面を清掃するようにメンテナンス部を制御しなくてもよい。
コントローラ1pは、記録モード時は第1状態、メンテナンスモード時は第2状態となるように移動部を制御することに限定されず、例えばメンテナンスモード時に第1状態としてもよい。
コントローラ1pは、記録モード時にジャムの発生を検知した場合に、規制解除信号を受信したときと同様の制御を行わなくてもよい。
メンテナンスモードで行われる強制吐出動作において、対向面以外の面に液体を吐出させてよい。
【0089】
環状部材13やカバー213の構成は適宜変更可能であり、また、これらの部材は必須要素ではなく省略可能である。
【0090】
上述の実施形態では送りローラ対22〜28等による搬送部を例示したが、搬送ベルト及びベルトローラ等による搬送部を採用してもよい。この場合、支持部材は搬送ベルト、支持面は搬送ベルトの表面となる。
【0091】
上述の実施形態ではメンテナンス部の対向部材62を支持部(プラテン61)と一体としているが、対向部材は支持部と一体となることに限定されない。例えば、第1実施形態の回転体63を省略すると共に、対向部材を支持部から離隔させ、対向部材及び支持部が独立して移動するように構成してよい。
【0092】
清掃部材として、上述の実施形態ではワイパを例示したが、対向面を清掃することができる限りは、ワイパに限定されず、ブラシやスポンジ等であってもよい。
また、清掃部材を省略してもよい。
【0093】
メンテナンス部の位置は、特に限定されず、ヘッドの真下の他、ヘッドの側部であってもよい。
【0094】
第1筐体は、第2筐体に対してヒンジ部を中心として回動することに限定されず、例えば鉛直方向又は水平方向に移動してもよい。
【0095】
規制部の構成は任意に変更可能である。
例えば、上述の実施形態では、ツマミ72の回転がソレノイドにより禁止されており、コントローラ1pの制御によりツマミ72が回転禁止状態から回転許可状態へと移行するが、ソレノイドを有しておらず、ツマミ72が常に回転許可状態にあり、ユーザがツマミ72を回転させたときに、ツマミ72の回転を検知するセンサからコントローラ1pに規制解除信号が送信されてもよい。或いは、ツマミ72の回転が、ユーザの手動によらず、ツマミ72を回転させる機構をコントローラ1pが制御することにより、行われてよい。
また、ユーザが操作可能なツマミ72が設けられていなくてもよい。この場合、規制部は、コントローラ1pの制御によって、規制された状態と規制が解除された状態とに切り換わる。
【0096】
第1筐体の移動についても、ユーザの手動によらず、第1筐体を移動させる機構をコントローラ1pが制御することにより、行われてよい。
【0097】
本発明は、モノクロプリンタのみならず、カラープリンタにも適用可能である。さらに本発明は、ライン式・シリアル式のいずれにも適用可能であり、また、プリンタに限定されず、ファクシミリやコピー機等にも適用可能である。
液体吐出ヘッドは、インクや前処理液以外の任意の液体を吐出してよい。また、液体吐出装置に含まれる液体吐出ヘッドの数は1以上であればよい。
記録媒体は、用紙Pに限定されず、記録可能な任意の媒体であってよい。
【符号の説明】
【0098】
1 インクジェット式プリンタ(液体吐出装置)
1a 第1筐体
1b 第2筐体
1p コントローラ(制御手段)
10 ヘッド(液体吐出ヘッド)
10a 吐出面
13 環状部材
22〜28 送りローラ対(搬送部)
32a 用紙センサ
32b 用紙センサ
60 支持・メンテナンスユニット
61 プラテン(支持部)
61a 支持面
62 対向部材(メンテナンス部)
62a 対向面
63 回転体
63a 状態検出センサ
67 ワイパ(清掃部材,メンテナンス部)
70 ロック機構(規制部)
71a 回転部材
100 開閉センサ
101 位置検出部(第1筐体位置検出手段)
102 搬送制御部
104 メンテナンス実行部
105 印刷データ記憶部
106 回転体制御部
107 ヘッド制御部
108 ジャム検出部
109 ロック機構制御部
110 回転体駆動機構(移動部)
213 カバー
250 加湿機構(加湿部)
P 用紙(記録媒体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1筐体と、
第2筐体と、
規制部と、
制御手段と、を備え、
前記第1筐体は、前記第2筐体に対して移動可能であり、当該移動によって前記第2筐体に近接した近接位置と前記近接位置のときよりも前記第2筐体から離隔した離隔位置とを取り得ると共に、記録媒体に対して液体を吐出する複数の吐出口が開口した吐出面を有する液体吐出ヘッドを収容し、
前記第2筐体は、前記吐出面に対向しつつ前記記録媒体を支持する支持面を有する支持部、及び、前記支持面が前記吐出面に対向する第1状態と前記支持面が前記吐出面に対向しない第2状態とを選択的に取り得るように前記支持部を移動させる移動部を収容し、
前記規制部は、前記近接位置にある前記第1筐体の移動を規制し、
前記制御手段は、前記規制部による規制が解除されることを示す規制解除信号を受信した場合に前記支持部が前記第2状態となるように前記移動部を制御することを特徴とする、液体吐出装置。
【請求項2】
前記第2筐体は、前記吐出面に対向する対向面を有するメンテナンス部をさらに含み、
前記移動部は、前記第1状態のときに前記支持面が前記吐出面に対向し且つ前記対向面が前記吐出面に対向せず、前記第2状態のときに前記支持面が前記吐出面に対向せず且つ前記対向面が前記吐出面に対向するように前記支持部及び前記メンテナンス部を移動させるものである請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記記録媒体に向けて前記吐出口から液体を吐出する記録モード時は前記支持部及びメンテナンス部が前記第1状態となるように、前記吐出面の保守を行うメンテナンスモード時は前記支持部及び前記メンテナンス部が前記第2状態となるように、前記移動部を制御することを特徴とする、請求項2に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記メンテナンス部は、前記対向面を清掃する清掃部材を含み、
前記制御手段は、前記第1筐体が前記離隔位置から前記近接位置に移動した後に、前記清掃部材が前記対向面を清掃するように、前記メンテナンス部を制御することを特徴とする、請求項2又は3に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
前記吐出面に対向する前記支持面上に前記記録媒体を搬送する搬送部を備え、
前記制御手段は、前記記録媒体に向けて前記吐出口から液体を吐出する記録モード時に前記規制解除信号を受信した場合に、前記吐出口からの液体の吐出及び前記記録媒体の搬送が終了するように前記液体吐出ヘッド及び前記搬送部を制御することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項6】
前記記録媒体のジャムの発生を検出するジャム検出部をさらに備え、
前記制御手段は、前記ジャム検出部によってジャムの発生が検出されたときに前記支持部が前記第2状態となるように前記移動部を制御することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記吐出面の保守を行うメンテナンスモード時に、前記対向面に向けて前記吐出口から液体を吐出させる強制吐出動作が行われるように前記液体吐出ヘッドを制御することを特徴とする、請求項2〜6のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項8】
前記メンテナンス部は、前記対向面を清掃する清掃部材を含み、
前記制御手段は、前記強制吐出動作が行われるように前記液体吐出ヘッドを制御しているときに前記規制解除信号を受信した場合に、前記強制吐出動作が終了するように前記液体吐出ヘッドを制御した後に、前記清掃部材が前記対向面を清掃するように前記メンテナンス部を制御することを特徴とする、請求項7に記載の液体吐出装置。
【請求項9】
前記液体吐出ヘッドに設けられた、前記吐出面を囲む環状部材であって、前記吐出面と前記対向面との間に形成される吐出空間を環状部材の先端が前記対向面に当接することによって外部空間から隔離する位置を取り得る環状部材をさらに備えたことを特徴とする、請求項2〜8のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項10】
前記第1筐体に設けられ、前記第1筐体が前記離隔位置にあるときに前記吐出面を覆う保護位置と、前記第1筐体が前記近接位置にあるときに前記吐出面を覆わない退避位置とに移動可能なカバーと、
前記カバーが前記保護位置にあるときに前記吐出面と前記カバーとの間に形成される保護空間に、加湿された空気を供給する加湿部と、
をさらに備え、
前記制御手段は、前記規制解除信号を受信した場合に、加湿された空気が前記保護空間に供給されるように前記加湿部を制御することを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項11】
前記制御手段は、前記支持部が前記第2状態となった後に、前記規制が解除されるように前記規制部を制御することを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の液体吐出装置。
【請求項12】
第1筐体と、
第2筐体と、
制御手段と、を備える液体吐出装置であって、
前記第1筐体は、前記第2筐体に対して移動可能であり、当該移動によって前記第2筐体に近接した近接位置と前記近接位置のときよりも前記第2筐体から離隔した離隔位置とを取り得ると共に、記録媒体に対して液体を吐出する複数の吐出口が開口した吐出面を有する液体吐出ヘッドを収容し、
前記第2筐体は、前記吐出面に対向しつつ前記記録媒体を支持する支持面を有する支持部、及び、前記支持面が前記吐出面に対向する第1状態と前記支持面が前記吐出面に対向しない第2状態とを選択的に取り得るように前記支持部を移動させる移動部を収容し、
前記液体吐出装置は、前記記録媒体のジャムの発生を検出するジャム検出部をさらに備え、
前記制御部は、前記ジャム検出部によってジャムの発生が検出されたときに、前記支持部が前記第2状態となるように前記移動部を制御するものである液体吐出装置。
【請求項13】
第1筐体と、
第2筐体と、
制御手段と、を備える液体吐出装置であって、
前記第1筐体は、前記第2筐体に対して移動可能であり、当該移動によって前記第2筐体に近接した近接位置と前記近接位置のときよりも前記第2筐体から離隔した離隔位置とを取り得ると共に、記録媒体に対して液体を吐出する複数の吐出口が開口した吐出面を有する液体吐出ヘッドを収容し、
前記第2筐体は、前記吐出面に対向しつつ前記記録媒体を支持する支持面を有する支持部、及び、前記支持面が前記吐出面に対向する第1状態と前記支持面が前記吐出面に対向しない第2状態とを選択的に取り得るように前記支持部を移動させる移動部を収容し、
前記液体吐出装置は、前記第1筐体が前記近接位置及び前記離隔位置のいずれの位置にあるかを検出する第1筐体位置検出手段をさらに備え、
前記制御部は、前記第1筐体位置検出手段によって前記第1筐体が離隔位置にあることが検出された場合、前記支持部が前記第2状態となるように前記移動部を制御するものである液体吐出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−106495(P2012−106495A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−236781(P2011−236781)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】