説明

液体現像剤

【課題】正帯電の帯電特性・帯電安定性に優れるとともに、高速現像に対応できる液体現像剤を提供すること。
【解決手段】本発明の液体現像剤は、トナー粒子と、絶縁性液体とを含む液体現像剤であって、前記絶縁性液体として脂肪酸エステルを含み、さらに、下記式(1)で表される物質Aを、0.1質量%以上3.0質量%以下の含有率で含むことを特徴とする。
【化1】


(式(1)中、Rは、フェニル基、スチリル化フェニル基、α−ナフチル基またはβ−ナフチル基を表し、Aは、アルキレン基を表し、nは、1以上の整数である。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体現像剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
潜像担持体上に形成した静電潜像を現像するために用いられる現像剤として、顔料等の着色剤および結着樹脂を含む材料で構成されるトナーを電気絶縁性の担体液(絶縁性液体)に分散した液体現像剤が知られている。
従来より、このような液体現像剤を構成するトナー粒子には、ポリエステル樹脂、スチレン−アクリル酸エステル共重合体やエポキシ樹脂等の樹脂材料が用いられている(例えば特許文献1参照)。このような樹脂材料は、取り扱いが容易で、得られる画像の発色性が良く、また、高い定着特性が得られるという特徴を有している。
しかしながら、トナー粒子の構成材料として用いられる樹脂材料は、一般に、それ自体が負帯電性のものであるため、正帯電性のトナー粒子(液体現像剤)に適用するのが困難であった。また、このような樹脂材料を用いたトナー粒子に、帯電制御剤を添加して正帯電させることも考えられるが、十分な帯電量を得るのが困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−219380号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、正帯電の帯電特性・帯電安定性に優れるとともに、高速現像に対応できる液体現像剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の液体現像剤は、トナー粒子と、絶縁性液体とを含む液体現像剤であって、
前記絶縁性液体として脂肪酸エステルを含み、さらに、
下記式(1)で表される物質Aを、0.1質量%以上3.0質量%以下の含有率で含むことを特徴とする。
【化1】

(式(1)中、Rは、フェニル基、スチリル化フェニル基、α−ナフチル基またはβ−ナフチル基を表し、Aは、アルキレン基を表し、nは、1以上の整数である。)
これにより、正帯電の帯電特性・帯電安定性に優れるとともに、高速現像に対応できる液体現像剤を提供することができる。
【0006】
本発明の液体現像剤では、前記物質Aは、ポリオキシエチレン構造を有するものであることが好ましい。
これにより、トナー粒子の帯電安定性、絶縁性液体中での分散安定性を特に優れたものとしつつ、トナー粒子の移動度を特に優れたものとすることができ、高速現像により好適に対応することができる。
【0007】
本発明の液体現像剤では、前記脂肪酸エステルは、1価の脂肪酸と、1価のアルコールとのエステルであることが好ましい。
これにより、トナー粒子の帯電安定性、絶縁性液体中での分散安定性を特に優れたものとしつつ、トナー粒子の移動度を特に優れたものとすることができ、高速現像により好適に対応することができる。
【0008】
本発明の液体現像剤では、前記脂肪酸エステルは、脂肪酸と、直鎖状のアルコールとのエステルであることが好ましい。
これにより、トナー粒子の帯電安定性、絶縁性液体中での分散安定性を特に優れたものとしつつ、トナー粒子の移動度を特に優れたものとすることができ、高速現像により好適に対応することができる。
【0009】
本発明の液体現像剤では、前記脂肪酸エステルは、脂肪酸と、炭素数が4以上14以下のアルコールとのエステルであることが好ましい。
これにより、トナー粒子の帯電安定性、絶縁性液体中での分散安定性を特に優れたものとしつつ、トナー粒子の移動度を特に優れたものとすることができ、高速現像により好適に対応することができる。
【0010】
本発明の液体現像剤では、前記トナー粒子は、ポリエステル樹脂を含む材料で構成されたものであることが好ましい。
ポリエステル樹脂は、透明性が高く、結着樹脂として用いた場合、得られる画像の発色性を高いものとすることができるとともに、トナー粒子の記録媒体に対する定着特性を特に優れたものとすることができる。また、従来の液体現像剤においては、トナー粒子がポリエステル樹脂で構成されたものである場合には、正帯電性にするのが特に困難であったが、本発明では、トナー粒子がポリエステル樹脂で構成されたものであっても、正帯電の帯電特性・帯電安定性を十分に優れたものとすることができる。すなわち、トナー粒子は、ポリエステル樹脂を含む材料で構成されたものである場合に、本発明の効果がより顕著に発揮される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の液体現像剤が適用される画像形成装置の一例を示す模式図である。
【図2】図1に示す画像形成装置の一部を拡大した拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の好適な実施形態について、詳細に説明する。
≪液体現像剤≫
まず、本発明の液体現像剤について説明する。
本発明の液体現像剤は、トナー粒子と、絶縁性液体とを含むものであって、前記絶縁性液体として脂肪酸エステルを含み、さらに、下記式(1)で表される物質Aを、0.1質量%以上3.0質量%以下の含有率で含むものである。そして、このような構成にすることにより、正帯電の帯電特性・帯電安定性に優れるとともに、高速現像に対応できる液体現像剤を提供することができる。
【0013】
【化2】

(式(1)中、Rは、フェニル基、スチリル化フェニル基、α−ナフチル基またはβ−ナフチル基を表し、Aは、アルキレン基を表し、nは、1以上の整数である。)
【0014】
<トナー粒子>
[トナー粒子の構成材料]
トナー粒子は、少なくとも、結着樹脂(樹脂材料)と着色剤とを含むものである。
1.樹脂材料(結着樹脂)
トナー粒子を構成する樹脂材料としては、例えば、ポリエステル樹脂、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、メタクリル樹脂、エポキシ樹脂、ロジン系樹脂等が挙げられるが、中でも、ポリエステル樹脂が好ましい。ポリエステル樹脂は、透明性が高く、結着樹脂として用いた場合、得られる画像の発色性を高いものとすることができるとともに、トナー粒子の記録媒体に対する定着特性を特に優れたものとすることができる。また、トナー粒子がポリエステル樹脂を含む材料で構成されたものであると、得られる画像の発色性を特に優れたものとすることができる。また、従来の液体現像剤においては、トナー粒子がポリエステル樹脂で構成されたものである場合には、正帯電性にするのが特に困難であったが、本発明では、トナー粒子がポリエステル樹脂で構成されたものであっても、正帯電の帯電特性・帯電安定性を十分に優れたものとすることができる。すなわち、トナー粒子は、ポリエステル樹脂を含む材料で構成されたものである場合に、本発明の効果がより顕著に発揮される。
【0015】
ポリエステル樹脂を含むものである場合、ポリエステル樹脂の酸価は、5mgKOH/g以上20mgKOH/g以下であるのが好ましく、5mgKOH/g以上15mgKOH/g以下であるのがより好ましい。
樹脂材料中におけるポリエステル樹脂の含有率は、50質量%以上99質量%以下であるのが好ましく、60質量%以上95質量%以下であるのがより好ましい。
【0016】
また、ロジン系樹脂としては、例えば、ロジン変性フェノール樹脂、ロジン変性マレイン樹脂、ロジン変性ポリエステル樹脂、フマル酸変性ロジン樹脂、エステルガム等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、本発明で用いる樹脂材料のガラス転移温度(Tg)は、15℃以上70℃以下であるのが好ましく、20℃以上55℃以下であるのがより好ましい。なお、本明細書で、ガラス転移温度とは、示差走査熱量測定機DSC−220C(SII製)における測定条件:サンプル量10mg、昇温速度10℃/min、測定温度範囲10〜150℃で測定した際に、ガラス転移温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの間での最大傾斜を示す接線との交点の温度をいう。
【0017】
また、樹脂材料の軟化点(T1/2)は、特に限定されないが、50℃以上130℃以下であるのが好ましく、50℃以上120℃以下であるのがより好ましく、60℃以上115℃以下であるのがさらに好ましい。なお、本明細書で、軟化温度とは、高化式フローテスター(島津製作所製)における測定条件:昇温速度:5℃/min、ダイ穴径1.0mmで規定される軟化開始温度のことを指す。
【0018】
2.着色剤
また、トナー粒子は、着色剤を含んでいてもよい。着色剤としては、特に限定されず、例えば、公知の顔料、染料等を使用することができる。
3.その他の成分
また、トナー粒子は、上記以外の成分を含んでいてもよい。このような成分としては、例えば、公知のワックス、磁性粉末等が挙げられる。
また、トナー粒子の構成材料(成分)としては、上記のような材料のほかに、例えば、ステアリン酸亜鉛、酸化亜鉛、酸化セリウム、シリカ、酸化チタン、酸化鉄、脂肪酸、脂肪酸金属塩等を用いてもよい。
【0019】
[トナー粒子の形状]
上記のような材料で構成されたトナー粒子の平均粒径は、0.5μm以上5μm以下であるのが好ましく、1μm以上3.5μm以下であるのがより好ましく、1μm以上2.5μm以下であるのがさらに好ましい。トナー粒子の平均粒径が前記範囲内の値であると、各トナー粒子間での特性のばらつきを小さいものとし、液体現像剤全体としての信頼性を高いものとしつつ、液体現像剤により形成されるトナー画像の解像度を十分に高いものとすることができる。また、トナー粒子の絶縁性液体への分散を良好にし、液体現像剤の保存性を高いものとできる。なお、本明細書では、「平均粒径」とは、体積基準の平均粒径のことを指すものとする。
液体現像剤中におけるトナー粒子の含有率は、10質量%以上60質量%以下であるのが好ましく、20質量%以上50質量%以下であるのがより好ましい。
【0020】
<絶縁性液体>
絶縁性液体は、液体現像剤において、トナー粒子を分散する分散媒として機能するものである。
また、絶縁性液体は、画像形成時において帯電したトナー粒子を転写させるために、高い絶縁性を有する。
絶縁性液体は、十分に絶縁性の高い液体であればよいが、具体的には、室温(20℃)での電気抵抗が1×10Ωcm以上であるのが好ましく、1×1011Ωcm以上であるのがより好ましく、1×1013Ωcm以上であるのがさらに好ましい。
また、絶縁性液体の比誘電率は、3.5以下であるのが好ましい。
【0021】
本発明の液体現像剤は、絶縁性液体として脂肪酸エステルを含む。脂肪酸エステルを含むことにより、後に詳述する物質Aとの間で、電荷交換を効率よく行うことができ、高速現像に対応することができる。また、液体現像剤(絶縁性液体)中におけるトナーの分散安定性を特に優れたものとすることができ、液体現像剤の保存安定性を特に優れたものとすることができる。このような優れた効果は、脂肪酸エステルの代わりに他の絶縁性液体を用いた場合には得られない。
【0022】
脂肪酸エステルとしては、分子内に脂肪酸を構成するカルボキシル基とアルコール性水酸基とのエステル構造を有するものであればいかなるものを用いてもよいが、例えば、脂肪酸グリセリド、脂肪酸モノエステル、中鎖脂肪酸エステル等の脂肪酸エステルやそれらを含む植物油等が挙げられる。脂肪酸エステルを構成する脂肪酸成分としては、分子内に少なくとも1つのカルボキシル基を有するものを用いることができ、1価の脂肪酸、2価の脂肪酸、多価(3価以上)の脂肪酸を用いることができる。また、脂肪酸エステルを構成するアルコールとしては、分子内に少なくとも1つのアルコール性水酸基を有するものを用いることができ、1価のアルコール、2価のアルコール、多価(3価以上)のアルコールを用いることができる。
【0023】
本発明において、脂肪酸エステルは一般的なものであればよく、油脂(植物油あるいは動物油)、あるいはこれらの油脂とアルコールとのエステル交換反応により得られる脂肪酸エステルやさらにその脂肪酸エステルとアルコールとのエステル交換反応により得られる脂肪酸エステルや脂肪酸とアルコールとのエステル化反応により得られる脂肪酸エステルなどの加工油でもよい。
中でも、脂肪酸エステルは、1価の脂肪酸と、1価のアルコールとのエステル(脂肪酸モノエステル)であるのが好ましい。これにより、トナー粒子の帯電安定性、絶縁性液体中での分散安定性を特に優れたものとしつつ、トナー粒子の移動度を特に優れたものとすることができ、高速現像により好適に対応することができる。
【0024】
また、脂肪酸モノエステルは、例えば、植物油と、1価のアルコールとのエステル交換反応により得ることができる。
エステル交換反応に供される植物油としては、例えば、大豆油、菜種油、脱水ひまし油、桐油、紅花油、亜麻仁油、ひまわり油、コーン油、綿実油、ごま油、トウモロコシ油、大麻油、月見草油、パーム油(特に、パーム核油)、ココナッツ油、ヤシ油等が挙げられる。
【0025】
また、脂肪酸モノエステルは、例えば、各種飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸と、一価のアルコール、二価アルコールまたは多価アルコールとのエステル交換反応によって生成されたものであってもよい。
また、脂肪酸エステルは、脂肪酸と、直鎖状のアルコールとのエステルであるのが好ましい。これにより、トナー粒子の帯電安定性、絶縁性液体中での分散安定性を特に優れたものとしつつ、トナー粒子の移動度を特に優れたものとすることができ、高速現像により好適に対応することができる。
【0026】
また、脂肪酸エステルは、脂肪酸と、炭素数が4以上14以下のアルコールとのエステルであるのが好ましい。これにより、トナー粒子の帯電安定性、絶縁性液体中での分散安定性を特に優れたものとしつつ、トナー粒子の移動度を特に優れたものとすることができ、高速現像により好適に対応することができる。
なお、本発明の液体現像剤は、絶縁性液体の構成成分として、脂肪酸エステル以外の成分(他の絶縁性液体成分)を含むものであってもよい。この場合、絶縁性液体全体に占める他の絶縁性液体成分の割合は、10質量%以下であるのが好ましく、5質量%以下であるのがより好ましい。
【0027】
他の絶縁性液体成分としては、例えば、KF−99、KF−96、KF−995(以上、信越化学工業)、AK35、AK50、AK100、AK350、AK1000(以上、Wacker Chemie AG)、SH200、SH510、SH8400(以上、東レダウコーニング)等のジメチルシリコーンオイルや、ハイドロジェン変性シリコーン化合物等の重合度が20より大きいシリコーンオイル;シクロペンタンシロキサン、デカメチルシクロペンタンシロキサン等の環状シロキサン化合物やメチルトリス(トリメチルシロキシ)シラン等の重合度が20以下の低分子シロキサン化合物;アイソパーE、アイソパーG、アイソパーH、アイソパーL(アイソパー;エクソン化学社の商品名)、シエルゾール70、シエルゾール71(シエルゾール;シエルオイル社の商品名)、アムスコOMS、アムスコ460溶剤(アムスコ;スピリッツ社の商品名)、低粘度・高粘度流動パラフィン(和光純薬工業)等の鉱物油(炭化水素系液体);;オクタン、イソオクタン、デカン、イソデカン、デカリン、ノナン、ドデカン、イソドデカン、シクロヘキサン、シクロオクタン、シクロデカン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、酢酸ブチル、イソプロパノール等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0028】
絶縁性液体の粘度は、特に限定されないが、5mPa・s以上1000mPa・s以下であるのが好ましく、50mPa・s以上800mPa・s以下であるのがより好ましく、100mPa・s以上500mPa・s以下であるのがさらに好ましい。絶縁性液体の粘度が前記範囲内の値であると、液体現像剤が現像剤容器から塗布ローラーにくみ出された場合において、適量の絶縁性液体がトナー粒子に付着し、トナー画像の現像性、転写性を特に優れたものにできる。加えて、トナー粒子の凝集、沈降をより効果的に防止でき、絶縁性液体中におけるトナー粒子の分散性をより高いものとすることができる。ただし、本明細書における粘度とは25℃において測定した値を指すものとする。
【0029】
<物質A>
本発明の液体現像剤は、上記式(1)で表される物質Aを所定量で含むものである。すなわち、本発明の液体現像剤は、0.1質量%以上3.0質量%以下の含有率で物質Aを含むものである。
このように所定量の物質Aを、上述した脂肪酸エステルとともに含むことにより、液体現像剤を高速現像に好適に対応することができるものとし、また、トナー粒子の正帯電の帯電特性・帯電安定性を優れたものとすることができる。また、液体現像剤(絶縁性液体)中におけるトナーの分散安定性を特に優れたものとすることができ、液体現像剤の保存安定性を特に優れたものとすることができる。このような優れた効果は、所定量の物質Aを含まない場合には得られない。すなわち、液体現像剤中における物質Aの含有率が前記下限値未満であると、トナー粒子の正帯電の帯電特性・帯電安定性が著しく低下するとともに、液体現像剤中におけるトナー粒子の移動度(移動速度)が著しく低下し、高速現像への適用が困難となる。また、液体現像剤中における物質Aの含有率が前記上限値を超えると、トナー粒子の正帯電の帯電特性・帯電安定性が著しく低下するとともに、液体現像剤中におけるトナー粒子の移動度(移動速度)が著しく低下し、高速現像への適用が困難となり、さらに、液体現像剤の保存安定性も著しく低下する。
【0030】
なお、本発明の液体現像剤は、物質Aとして、異なる構造式で表される複数種の化合物を含むものであってもよい。この場合、これらの化合物の含有率の総和を物質Aの含有率とする。
上記のように、本発明において、液体現像剤中における物質Aの含有率は、0.1質量%以上3.0質量%以下であるが、0.2質量%以上2.0質量%以下であるのが好ましく、0.3質量%以上1.5質量%以下であるのがより好ましい。これにより、上述したような効果がより顕著に発揮される。
【0031】
また、物質Aは、ポリオキシエチレン構造を有するもの(式(1)中のAがエチレン基であるもの)であるのが好ましい。これにより、トナー粒子の帯電安定性、絶縁性液体中での分散安定性を特に優れたものとしつつ、トナー粒子の移動度を特に優れたものとすることができ、高速現像により好適に対応することができる。
また、式(1)中のRはスチリル化フェニル基であるのが好ましく、モノスチリル化フェニル基であるのがより好ましい。これにより、トナー粒子の帯電安定性、絶縁性液体中での分散安定性を特に優れたものとしつつ、トナー粒子の移動度を特に優れたものとすることができ、高速現像により好適に対応することができる。
液体現像剤中において、物質Aは、ポリオキシアルキレン基を有していることから脂肪酸エステルに相溶しにくく、通常、その大部分はトナー粒子の表面に付着していると思われる。帯電は粒子表面に付着した物質Aと絶縁性液体である脂肪酸エステルとの間における電荷交換により発生するものと考えられる。
【0032】
<その他の成分>
また、液体現像剤中には、上述した成分以外の成分を含むものであってもよい。このような成分としては、公知の分散剤、酸化防止剤、帯電制御剤等が挙げれる。このような成分は、トナー粒子に付着しているものであってもよいし、絶縁性液体に分散または溶解しているものであってもよい。
【0033】
≪液体現像剤の製造方法≫
次に、本発明の液体現像剤の製造方法について説明する。
本実施形態の液体現像剤の製造方法は、ボールミルやビーズミル等により、、絶縁性液体中で、樹脂材料および着色剤を含む材料で構成された粉末を湿式粉砕して分散体を得る湿式粉砕工程と、ボールミルやビーズミル等で用いたビーズを除去するビーズ除去工程とを有している。
このような方法を用いることにより、上述したような液体現像剤を効率よく製造することができる。
【0034】
<湿式粉砕工程>
本工程で、湿式粉砕される粉末は、樹脂材料および着色剤を含む材料で構成されたものであればよいが、樹脂材料および着色剤を含む材料を混練することにより得られた混練物を粉砕することにより得られたものであるのが好ましい。これにより、各トナー粒子間での特性の均一性を特に優れたものとすることができる。また、物質Aは、湿式粉砕に供される材料に含まれるものであってもよいし、本工程に後に添加されるものであってもよい。
混練には、例えば、2軸混練押出機、ニーダー、バッチ式の三軸ロール、連続2軸ロール、ホイールミキサー、ブレード型ミキサー等の各種混練機を用いることができる。
【0035】
本工程は、ボールミルやビーズミル等により行うが、この際、ビーズ(ボール)としては、ジルコニア、アルミナ、ガラス、クロム鋼等で構成されたものを用いることができる。
本工程により、上記粉末が粉砕・微粒子化されるともに、トナー粒子の分散性を向上させることができるとともに、微粒子化された粉末(トナー粒子)の表面付近に物質Aを好適に付着させることができる。これにより、上述したような本発明による効果をより確実に発揮させることができる。
【0036】
<ビーズ除去工程>
その後、湿式粉砕工程を経て得られた分散体からビーズ(ボール)を除去する。これにより、液体現像剤が得られる。
ビーズの除去は、例えば、ろ過により行うことができる。また、ビーズを沈降させ、上澄み液を液体現像剤としてもよい。
【0037】
≪画像形成装置≫
次に、本発明の液体現像剤が適用される画像形成装置の好適な実施形態について説明する。
図1は、本発明の液体現像剤が適用される画像形成装置の好適な実施形態を示す模式図、図2は、図1に示す画像形成装置の一部を拡大した拡大図である。
【0038】
画像形成装置1000は、図1、図2に示すように、4つの現像部30Y、30M、30C、30Kと、転写部(中間転写部40および2次転写ユニット(2次転写部)60)と、定着部(定着装置)F40と、4つの液体現像剤補給部90Y、90M、90C、90Kとを有している。
現像部30Y、30M、30Cは、それぞれ、イエロー系液体現像剤(Y)、マゼンダ系液体現像剤(M)、シアン系の液体現像剤(C)で、潜像を現像し、各色に対応したカラーの単色像を形成する機能を有している。また、現像部30Kは、ブラック系液体現像剤(K)で、潜像を現像し、ブラック(黒)の単色像を形成する機能を有している。
【0039】
現像部30Y、30M、30C、30Kの構成は同様であるので、以下、現像部30Yについて説明する。
現像部30Yは、図2に示すように、像担持体の一例としての感光体10Yと、感光体10Yの回転方向に沿って、帯電ローラー11Yと、露光ユニット12Yと、現像ユニット100Yと、感光体スクイーズ装置101Yと、1次転写バックアップローラー51Yと、除電ユニット16Yと、感光体クリーニングブレード17Yと、現像剤回収部18Yとを有している。
【0040】
感光体10Yは、円筒状の基材とその外周面に形成され、例えばアモルファスシリコン等の材料で構成された感光層を有し、中心軸を中心に回転可能であり、本実施の形態においては、図2中の矢印で示すように時計回りに回転する。
感光体10Yは、後述する現像ユニット100Yにより液体現像剤が供給され、表面に液体現像剤の層が形成されるものである。
【0041】
帯電ローラー11Yは、感光体10Yを帯電するための装置であり、露光ユニット12Yは、レーザを照射することによって帯電された感光体10Y上に潜像を形成する装置である。この露光ユニット12Yは、半導体レーザ、ポリゴンミラー、F−θレンズ等を有しており、パーソナルコンピュータ、ワードプロセッサ等の不図示のホストコンピュータから入力された画像信号に基づいて、変調されたレーザを帯電された感光体10Y上に照射する。
現像ユニット100Yは、感光体10Y上に形成された潜像を、本発明の液体現像剤を用いて現像するための装置である。なお、現像ユニット100Yの詳細については後述する。
【0042】
感光体スクイーズ装置101Yは、現像ユニット100Yより回転方向下流側に、感光体10Yに対向して配置されており、感光体スクイーズローラー13Yと、該感光体スクイーズローラー13Yに押圧摺接して表面に付着した液体現像剤を除去するクリーニングブレード14Yと、除去された液体現像剤を回収する現像剤回収部15Yとで構成される。この感光体スクイーズ装置101Yは、感光体10Yに現像された現像剤から余剰なキャリア(絶縁性液体)および本来不要なカブリトナーを回収し、顕像内のトナー粒子比率を上げる機能を有する。
【0043】
1次転写バックアップローラー51Yは、感光体10Yに形成された単色像を、後述する中間転写部40に転写するための装置である。
除電ユニット16Yは、1次転写バックアップローラー51Yによって中間転写部40上に中間転写像が転写された後に、感光体10Y上の残留電荷を除去する装置である。
感光体クリーニングブレード17Yは、感光体10Yの表面に当接されたゴム製の部材で、1次転写バックアップローラー51Yによって中間転写部40上に像が転写された後に、感光体10Y上に残存する液体現像剤を掻き落として除去する機能を有している。
【0044】
現像剤回収部18Yは、感光体クリーニングブレード17Yにより除去された液体現像剤を回収する機能を有している。
中間転写部40は、エンドレスの弾性ベルト部材であり、図示しないモータの駆動力が伝達されるベルト駆動ローラー41および一対の従動ローラー44、45に張架されている。また、中間転写部40は、1次転写バックアップローラー51Y、51M、51C、51Kで感光体10Y、10M、10C、10Kと当接しながらベルト駆動ローラー41により反時計回りに回転駆動される。
【0045】
さらに、中間転写部40は、テンションローラー49によって所定のテンションが付与されて、たるみが除去されるようになっている。このテンションローラー49は、一方の従動ローラー44より中間転写部40の回転(移動)方向下流側でかつ他方の従動ローラー45より中間転写部40の回転(移動)方向上流側に配設されている。
この中間転写部40に、1次転写バックアップローラー51Y、51M、51C、51Kにより、現像部30Y、30M、30C、30Kで形成された各色に対応した単色像が順次転写され、各色に対応した単色像が重ね合わされる。これにより、中間転写部40にフルカラー現像剤像(中間転写像)が形成される。
【0046】
中間転写部40には、このように複数の感光体10Y、10M、10C、10Kに形成した単色像を順次2次転写して重ね合わせて担持し、後述する2次転写ユニット60において一括して紙、フィルム、布等の記録媒体F5に2次転写する。そのため、2次転写行程において記録媒体F5にトナー画像を転写するに当たって、記録媒体F5表面が繊維質などによって平滑でないシート材であっても、この非平滑なシート材表面に倣って2次転写特性を向上させる手段として、弾性ベルト部材を採用している。
【0047】
また、中間転写部40には、中間転写部クリーニングブレード46、現像剤回収部47、非接触式バイアス印加部材48からなるクリーニング装置が配置されている。
中間転写部クリーニングブレード46および現像剤回収部47は、従動ローラー45側に配されている。
中間転写部クリーニングブレード46は、2次転写ユニット(2次転写部)60によって記録媒体F5上にトナー画像が転写された後に、中間転写部40上に付着した液体現像剤を掻き落として除去する機能を有している。
【0048】
現像剤回収部47は、中間転写部クリーニングブレード46により除去された液体現像剤を回収する機能を有している。
非接触式バイアス印加部材48はテンションローラー49に対向する位置に中間転写部40から離間して配設されている。この非接触式バイアス印加部材48は、二次転写後に中間転写部40上に残留する液体現像剤のトナー(固形分)に、このトナーと逆極性のバイアス電圧を印加するものである。これにより、トナーが除電されて中間転写部40へのトナーの静電付着力が低減されるようにしている。この例では、非接触式バイアス印加部材48として、コロナ帯電器が用いられている。
【0049】
なお、非接触式バイアス印加部材48は、必ずしもテンションローラー49に対向する位置に配設する必要はなく、例えば従動ローラー44とテンションローラー49との間の位置等、従動ローラー44より中間転写部の移動方向下流側で、かつ、従動ローラー45より中間転写部の移動方向上流側の任意の位置に配設することができる。また、非接触式バイアス印加部材48はコロナ帯電器以外の公知の非接触式帯電器を用いることもできる。
【0050】
また、1次転写バックアップローラー51Yより中間転写部40の移動方向下流側に、中間転写部スクイーズ装置52Yが配されている。
この中間転写部スクイーズ装置52Yは、中間転写部40上に転写された液体現像剤が望ましい分散状態に至っていない場合に、転写された液体現像剤から余剰の絶縁性液体を除去する手段として設けられている。
【0051】
中間転写部スクイーズ装置52Yは、中間転写部スクイーズローラー53Yと、中間転写部スクイーズローラー53Yに押圧摺接して表面をクリーニングする中間転写部スクイーズクリーニングブレード55Yと、中間転写部スクイーズクリーニングブレード55Yで除去された液体現像剤を回収する現像剤回収部56Yとから構成される。
中間転写部スクイーズ装置52Yは、中間転写部40に1次転写された現像剤から余剰な絶縁性液体を回収し、像内のトナー粒子比率を上げると共に、本来不要なカブリトナーを回収する機能を有する。
【0052】
2次転写ユニット60は、互いに転写材移動方向に沿って所定間隔離間して配置された一対の2次転写ローラーを備えている。これらの一対の2次転写ローラーのうち、中間転写部40の移動方向の上流側に配置される2次転写ローラーが上流側2次転写ローラー64である。この上流側2次転写ローラー64は、ベルト駆動ローラー41に中間転写部40を介して圧接可能となっている。
【0053】
また、一対の2次転写ローラーのうち、転写材の移動方向の下流側に配置される2次転写ローラーが下流側2次転写ローラー65である。この下流側2次転写ローラー65は、従動ローラー44に中間転写部40を介して圧接可能となっている。
すなわち、上流側2次転写ローラー64、下流側2次転写ローラー65は、それぞれ、ベルト駆動ローラー41および従動ローラー44に掛けられた中間転写部40に記録媒体F5を当接させて、中間転写部40上に色重ねして形成された中間転写像を記録媒体F5に2次転写する。
【0054】
この場合、ベルト駆動ローラー41および従動ローラー44は、それぞれ上流側2次転写ローラー64、下流側2次転写ローラー65のバックアップローラーとしても機能する。すなわち、ベルト駆動ローラー41は、2次転写ユニット60において従動ローラー44より記録媒体F5の移動方向上流側に配置される上流側バックアップローラーとして兼用される。また、従動ローラー44は、2次転写ユニット60においてベルト駆動ローラー41より記録媒体F5の移動方向下流側に配置される下流側バックアップローラーとして兼用される。
【0055】
したがって、2次転写ユニット60に搬送されてきた記録媒体F5は、上流側2次転写ローラー64とベルト駆動ローラー41との圧接開始位置(ニップ開始位置)から下流側2次転写ローラー65と従動ローラー44との圧接終了位置(ニップ終了位置)までの転写材の所定の移動領域で中間転写部40に密着される。これにより、中間転写部40上のフルカラーの中間転写像が、中間転写部40に密着した状態の記録媒体F5に所定時間にわたって2次転写されるので、良好な2次転写が行われる。
【0056】
また、2次転写ユニット60は、上流側2次転写ローラー64に対して、2次転写ローラークリーニングブレード66と、現像剤回収部67とを備えている。また、2次転写ユニット60は、下流側2次転写ローラー65に対して、2次転写ローラークリーニングブレード68と、現像剤回収部69とを備えている。各2次転写ローラークリーニングブレード66、68は、それぞれ2次転写ローラー64、65に当接されて2次転写後に各2次転写ローラー64、65の表面に残留する液体現像剤を掻き落として除去する。また、各現像剤回収部67、69は、それぞれ各2次転写ローラークリーニングブレード66、68によって各2次転写ローラー64、65から掻き落とされた液体現像剤を回収して貯留する。
【0057】
2次転写ユニット60により記録媒体F5上に転写されたトナー画像(転写像)は、定着部(定着装置)F40に送られ、加熱および加圧されて、記録媒体F5上に定着される。
なお、定着温度(設定温度)は、具体的には、80℃以上160℃以下であるのが好ましく、100℃以上150℃以下であるのがより好ましく、100℃以上140℃以下であることがさらに好ましい。
【0058】
次に、現像ユニット100Y、100M、100C、100Kについて、詳細に説明する。なお、以下の説明では、代表的に、現像ユニット100Yについて説明する。
現像ユニット100Yは、図2に示すように、液体現像剤貯留部31Yと、塗布ローラー32Yと、規制ブレード33Yと、現像剤撹拌ローラー34Y、連通部35Yと、回収スクリュー36Yと、現像ローラー20Yと、現像ローラークリーニングブレード21Yとを有している。
【0059】
液体現像剤貯留部31Yは、感光体10Yに形成された潜像を現像するための液体現像剤を貯留する機能を備えており、液体現像剤を現像部に供給する供給部31aYと、供給部31aY等で発生した余剰の液体現像剤を回収する回収部31bYと、供給部31aYと回収部31bYとを仕切る仕切31cYとを備えている。
供給部31aYは、液体現像剤を塗布ローラー32Yに供給する機能を有し、現像剤撹拌ローラー34Yを設置した凹状の部分を有する。また、供給部31aYには、液体現像剤混合槽93Yから連通部35Yを通じて液体現像剤が供給される。
【0060】
回収部31bYは、供給部31aYに過剰に供給された液体現像剤や現像剤回収部15Y、24Yで生じた余剰な液体現像剤を回収するものである。回収された液体現像剤は、後述する液体現像剤混合槽93Yに搬送され、再利用される。また、回収部31bYは、凹状の部分を有し、その底付近に回収スクリュー36Yが設置されている。
供給部31aYと回収部31bYとの境界には、壁状の仕切31cYが設けられている。仕切31cYは、供給部31aYと回収部31bYとを仕切り、回収された液体現像剤の新鮮な液体現像剤への混入を防ぐことができる。また、供給部31aYに過剰の液体現像剤が供給された際に、過剰分の液体現像剤は、仕切31cYを超えて供給部31aYから回収部31bYへあふれ出ることができる。このため、供給部31aYの液体現像剤の量が一定に保持されることができ、塗布ローラー32Yに供給される液体現像剤の液量を一定に維持することができる。このため、最終的に形成される画像の画質が安定したものとなる。
また、仕切31cYには、切欠部が設けられており、切欠部を通じて液体現像剤が供給部31aYから回収部31bYへあふれ出ることができる。
【0061】
塗布ローラー32Yは、液体現像剤を現像ローラー20Yへ供給する機能を備えたものである。
この塗布ローラー32Yは、鉄等金属性のローラーの表面に溝が均一かつ螺旋状に形成されニッケルメッキが施された、いわゆるアニロクスローラーを呼称されるものであり、その直径は約25mmである。本実施形態では、塗布ローラー32Yの回転方向に対して斜めに複数の溝が、いわゆる切削加工や転造加工等によって形成されている。この塗布ローラー32Yは、反時計回りに回転しながら液体現像剤に接触することによって、溝に、供給部31aY内の液体現像剤を担持して、該担持した液体現像剤を現像ローラー20Yへ搬送する。
【0062】
規制ブレード33Yは、塗布ローラー32Yの表面に当接して、塗布ローラー32Y上の液体現像剤の量を規制する。すなわち、当該規制ブレード33Yは、塗布ローラー32Y上の余剰液体現像剤を掻き取って、現像ローラー20Yに供給する塗布ローラー32Y上の液体現像剤を計量する役割を果たす。この規制ブレード33Yは、弾性体としてのウレタンゴムからなり、鉄等金属製の規制ブレード支持部材より支持されている。また、規制ブレード33Yは、塗布ローラー32Yが回転して液体現像剤から進出する側(すなわち、図2中右側)に設けられている。なお、規制ブレード33Yのゴム硬度は、JIS−Aで約77度であり、規制ブレード33Yの、塗布ローラー32Y表面への当接部の硬度(約77度)は、後述する現像ローラー20Yの弾性体の層の塗布ローラー32Y表面への圧接部の硬度(約85度)よりも低くなっている。また、掻き取られた余剰の液体現像剤は、供給部31aYに回収され、再利用される。
【0063】
現像剤撹拌ローラー34Yは、液体現像剤を一様分散状態に撹拌する機能を備えたものである。これにより、複数個のトナー粒子が凝集した場合であっても、トナー粒子同士を好適に分散させることができる。
供給部31aY内において、液体現像剤の中のトナー粒子はプラスの電荷を有し、液体現像剤は、現像剤撹拌ローラー34Yにより撹拌されて一様分散状態になり、塗布ローラー32Yが回転することによって、液体現像剤貯留部31Yから汲み上げられ、規制ブレード33Yによって液体現像剤量が規制されて現像ローラー20Yに供給される。また、現像剤撹拌ローラー34Yによって撹拌されることにより、仕切31cYを超えて回収部31bY側に液体現像剤を安定して溢れさせることができ、液体現像剤が滞留し圧縮することを防ぐことができる。
【0064】
さらに、現像剤撹拌ローラー34Yは、連通部35Y付近に設けられている。このため、連通部35Yから供給された液体現像剤が素早く拡散することができ、液体現像剤が供給部31aYに補給されている場合であっても、供給部31aYの液面を安定したものとすることができる。このような現像剤撹拌ローラー34Yが連通部35Y付近に設けられることにより、連通部35Yが負圧になり、自然に液体現像剤が吸い上げられることができる。
【0065】
連通部35Yは、現像剤撹拌ローラー34Y鉛直下方に対して設けられ、液体現像剤貯留部31Yと連通し、液体現像剤混合槽93Yから液体現像剤を供給部31aYへ吸い上げる部分である。
連通部35Yを現像剤撹拌ローラー34Yの下方に設けることにより、連通部35Yから供給される液体現像剤は、現像剤撹拌ローラー34Yに止められることになり、吹き出しによる液上面の盛り上がりがなく、液上面がほぼ一定に保持され、塗布ローラー32Yに安定して現像剤を供給できる。
また、回収部31bYの底部付近に設けられた回収スクリュー36Yは、円筒状の部材からなり、外周に螺旋状のリブを有し、回収した液体現像剤が流動性を保つ機能を有するとともに、液体現像剤の液体現像剤混合槽93Yへの搬送を促進させる機能を有している。
【0066】
現像ローラー20Yは、感光体10Yに担持された潜像を液体現像剤により現像するために、液体現像剤を担持して感光体10Yと対向する現像位置に搬送する。
現像ローラー20Yは、その表面に、前述した塗布ローラー32Yから液体現像剤を供給することにより、液体現像剤層を形成するものである。
この現像ローラー20Yは、鉄等金属製の内芯の外周部に、導電性を有する弾性体の層を備えたものであり、その直径は約20mmである。また、弾性体の層は、二層構造になっており、その内層として、ゴム硬度がJIS−A約30度で、厚み約5mmのウレタンゴムが、その表層(外層)として、ゴム硬度がJIS−A約85度で、厚み約30μmのウレタンゴムが備えられている。そして、現像ローラー20Yは、前記表層が圧接部となって、弾性変形された状態で塗布ローラー32Yおよび感光体10Yのそれぞれに圧接している。
【0067】
また、現像ローラー20Yは、その中心軸を中心として回転可能であり、当該中心軸は、感光体10Yの回転中心軸よりも下方にある。また、現像ローラー20Yは、感光体10Yの回転方向(図2において時計方向)と逆の方向(図2において反時計方向)に回転する。なお、感光体10Y上に形成された潜像を現像する際には、現像ローラー20Yと感光体10Yとの間に電界が形成される。
【0068】
なお、現像ユニット100Yにおいて、塗布ローラー32Yと現像ローラー20Yとは、異なる動力源(図示せず)によって、別駆動している。そして、塗布ローラー32Yと現像ローラー20Yと回転速度(線速度)比を変えることで、現像ローラー20Y上に供給される液体現像剤の量を調整することができる。
また、現像ユニット100Yは、現像ローラー20Yの表面に当接されたゴム製の現像ローラークリーニングブレード21Yと、現像剤回収部24Yとを有している。この現像ローラークリーニングブレード21Yは、前記現像位置で現像が行われた後に、現像ローラー20Y上に残存する液体現像剤を掻き落として除去するための装置である。現像ローラークリーニングブレード21Yにより除去された液体現像剤は、現像剤回収部24Y内に回収される。
【0069】
また、図1、図2に示すように、画像形成装置1000は、液体現像剤を現像部30Y、30M、30C、30Kに補給する液体現像剤補給部90Y、90M、90C、90Kを備えている。これらの液体現像剤補給部90Y、90M、90C、90Kは、それぞれ、液体現像剤タンク91Y、91M、91C、91Kと、絶縁性液体タンク92Y、92M、92C、92Kと、液体現像剤混合槽93Y、93M、93C、93Kとを備えている。
【0070】
各液体現像剤タンク91Y、91M、91C、91Kには、それぞれ各色に対応した高濃度の液体現像剤が収納されている。また、各絶縁性液体タンク92Y、92M、92C、92Kには、それぞれ絶縁性液体が収納されている。さらに、各液体現像剤混合槽93Y、93M、93C、93Kには、各液体現像剤タンク91Y、91M、91C、91Kからの所定量の各高濃度液体現像剤と、各絶縁性液体タンク92Y、92M、92C、92Kからの所定量の各絶縁性液体とが供給されるようになっている。
【0071】
そして、各液体現像剤混合槽93Y、93M、93C、93Kは、それぞれ、供給された各高濃度液体現像剤および各絶縁性液体をそれぞれ備え付けられた撹拌装置により混合撹拌して、各供給部31aY、31aM、31aC、31aKで使用する各色に対応した液体現像剤を作製する。各液体現像剤混合槽93Y、93M、93C、93Kでそれぞれ作製された各液体現像剤は、それぞれ各供給部31aY、31aM、31aC、31aKに供給されるようになっている。
【0072】
また、液体現像剤混合槽93Yには、回収部31bYで回収された液体現像剤が回収され、再利用される。液体現像剤混合槽93M、93C、93Kも同様である。
なお、上記装置を用いた画像形成は、色の異なる複数の液体現像剤(本発明の液体現像剤)を用いて、感光体10Y、10M、10C、10Kに、各色に対応する複数の単色像を形成する現像工程と、感光体に形成された複数の単色像を記録媒体F5に転写し、記録媒体F5上に複数の単色像を重ね合わせてなる未定着のトナー画像を形成する転写工程と、未定着のトナー画像を記録媒体F5上に定着する定着工程とにより行う。このような方法を用いることにより、発色性に優れた画像を容易に形成することができる。
【0073】
以上、本発明について、好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
例えば、本発明の液体現像剤は、前述したような画像形成装置に適用されるものに限定されない。
また、本発明の液体現像剤は、上述したような方法を用いて製造されたものに限定されない。例えば、トナー粒子は、重合法等を用いて製造されたものであってもよい。
【実施例】
【0074】
[1]液体現像剤の製造
以下のようにして、液体現像剤を製造した。温度が記載されていない工程については、室温(25℃)で行った。
(実施例1)
<湿式粉砕工程>
まず、樹脂材料として、ポリエステル樹脂(酸価:10mgKOH/g、ガラス転移温度(Tg):55℃、軟化点:107℃)と、着色剤としてのシアン系顔料(大日精化社製、ピグメントブルー15:3)との混合物(質量比85:15)を用意した。これらの各成分を20L型のヘンシェルミキサーを用いて混合し、トナー製造用の原料を得た。
【0075】
次に、この原料(混合物)を2軸混練押出機を用いて混練した。2軸混練押出機の押出口から押し出された混練物を冷却した。
上記のようにして冷却された混練物を粗粉砕し、平均粒径:1.0mm以下のトナー粒子原料粗粉砕粒子とした。混練物の粗粉砕にはハンマーミルを用いた。
上記の方法で得られた粗粉砕物50gと、物質Aとしてのポリオキシエチレンモノスチリルフェニルエーテル1.0gと、絶縁性液体(脂肪酸エステル)としてのオレイン酸ブチル150gとをセラミック製ポット(内容積600ml)に入れ、さらにジルコニアビーズ(ボール直径:1mm)を体積充填率40%になるようにセラミック製ポットに入れ、卓上ポットミルにて回転速度230rpmで48時間湿式粉砕を行った。
【0076】
<ビーズ除去工程>
その後、吸引ろ過によりジルコニアビーズを除去し、液体現像剤を得た。得られた液体現像剤の25℃における粘度は478mPa.sであった。また、トナー粒子の体積平均粒径(D50)は2.42μmであった。なお、液体現像剤の25℃における粘度は、E型粘度計を用いて、5.0sec−1のシェアレートで求めた。
【0077】
(実施例2〜23)
液体現像剤の製造に用いる材料の種類・使用量を変更して、表1、表2に示すような組成となるようにした以外は、前記実施例1と同様にして液体現像剤を製造した。
(比較例1)
湿式粉砕工程において物質Aを用いず、各成分の使用量を表2に示すようにした以外は、前記実施例1と同様にして液体現像剤を製造した。
(比較例2〜7)
液体現像剤の製造に用いる材料の種類・使用量を変更して、表2に示すような組成となるようにした以外は、前記実施例1と同様にして液体現像剤を製造した。
【0078】
前記各実施例および各比較例の液体現像剤の構成を表1、表2にまとめて示す。
なお、表中、ポリエステル樹脂(酸価:10mgKOH/g、ガラス転移温度:55℃、軟化点:107℃)をPES、スチレンアクリル樹脂(スチレン−n−ブチルメタクリレート共重合体、三洋化成工業株式会社製、ハイマーSBM−73F)をStAc、エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン株式会社製、エピコート1007、融点:128℃)をEP、ポリオキシエチレンモノスチリルフェニルエーテル(式(1)中のRがモノスチリル化フェニル基、Aがエチレン基である化合物)をA1、ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテル(式(1)中のRがジスチリル化フェニル基、Aがエチレン基である化合物)をA2、ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテル(式(1)中のRがトリスチリル化フェニル基、Aがエチレン基である化合物)をA3、ポリオキシエチレンフェニルエーテル(式(1)中のRがフェニル基、Aがエチレン基である化合物)をA4、ポリオキシエチレンβ−ナフチルエーテル(式(1)中のRがβ−ナフチル基、Aがエチレン基である化合物)をA5、ポリオキシエチレンα−ナフチルエーテル(式(1)中のRがα−ナフチル基、Aがエチレン基、nが20である化合物)をA6、ポリオキシプロピレンα−ナフチルエーテル(式(1)中のRがα−ナフチル基、Aがプロピレン基である化合物)をA7、モノオキシエチレンα−ナフチルエーテル(式(1)中のRがα−ナフチル基、Aがエチレン基、nが1である化合物)をA8、ポリオキシエチレンα−ナフチルエーテル(式(1)中のRがα−ナフチル基、Aがエチレン基、nが10である化合物)をA9、ポリオキシエチレンα−ナフチルエーテル(式(1)中のRがα−ナフチル基、Aがエチレン基、nが25である化合物)をA10、脂肪酸金属塩としてのオクチル酸ジルコニウム塩をMS、カチオン性界面活性剤としてのドデシルトリメチルアンモニウム塩をCS、オレイン酸ブチルをS1、リノール酸−2−エチルヘキシルをS2、カプロン酸テトラデシルをS3、大豆油をS4、ポリグリセリドをS5、炭化水素系の絶縁性液体(コスモホワイト、コスモ石油社製)をS’1、シリコーン系の絶縁性液体としてのジメチルシリコーン(KF−96−20、信越シリコーン社製)をS’2と示した。
【0079】
【表1】

【0080】
【表2】

【0081】
[2]評価
以上のようにして得られた液体現像剤に関して、以下のような評価を行った。
[2−1]電気泳動移動度
各実施例および各比較例の液体現像剤について、以下のようにして、電気泳動移動度の評価を行った。
【0082】
まず、電極間距離d=80μmの電極間に液体現像剤を注入し、電極間に電位差V=40Vになるように電圧を印加した。このときのトナー粒子の移動を光学顕微鏡にて観察し、移動状況の画像を解析することにより、粒子の単位時間当たりの移動距離(=電気泳動速度v)を求め、以下の基準に従い評価した。電気泳動移動度が大きいほど、高速現像に適しているといえる。
【0083】
A :電気泳動移動度が35.0μm/Vs以上。
B :電気泳動移動度が20.0μm/Vs以上35.0未満。
C :電気泳動移動度が12.5μm/Vs以上20.0未満。
D :電気泳動移動度が10.0μm/Vs以上12.5未満。
E :電気泳動移動度が7.5μm/Vs以上10.0未満。
F :電気泳動移動度が5.0μm/Vs以上7.5未満。
G :電気泳動移動度が5.0μm/Vs未満。
【0084】
[2−2]帯電安定性
各実施例および各比較例の液体現像剤をガラス容器に採取し、密閉状態で、暗室に30日間静置した。
30日後に、上記[2−1]に記載の方法で、電気泳動移動度を求め、その結果から、電気泳動移動度の低下率を求め、以下の基準に従い評価した。なお、初期の電気泳動移動度([2−1]で求めた値)が5μm/Vs未満のものについては、当該評価を行わなかった。電気泳動移動度の低下率が小さいほど、帯電安定性に優れているといえる。
【0085】
A :電気泳動移動度の低下率が3%未満。
B :電気泳動移動度の低下率が3%以上7%未満。
C :電気泳動移動度の低下率が7%以上10%未満。
D :電気泳動移動度の低下率が10%以上20%未満。
E :電気泳動移動度の低下率が20%以上30%未満。
F :電気泳動移動度の低下率が30%以上。
【0086】
[2−3]分散安定性試験
各実施例および各比較例で得られた液体現像剤10mLを試験管(口径12mm、長さ120mm)に入れ、10日間静置後の沈降した深さを測定し、以下の4段階の基準に従って評価した。
A :沈降した深さが0mm。
B :沈降した深さが0mmよりも大きく、2mm以下。
C :沈降した深さが2mmよりも大きく、5mm以下。
D :沈降した深さが5mmよりも大きい。
【0087】
[2−4]現像効率
図1、図2に示すような画像形成装置を用いて、画像形成装置の現像ローラー上に前記各実施例および各比較例で得られた液体現像剤による液体現像剤層を形成した。次に、現像ローラーの表面電位を300Vとし、感光体の表面電位を500Vで均一に帯電させ、感光体に露光を行い、感光体表面の帯電を減衰させ、表面電位を50Vとした。液体現像剤層が感光体と現像ローラーとの間を通過した後の、現像ローラー上のトナー粒子と、感光体上のトナー粒子とをテープで採取した。採取に用いた各テープを記録紙上に貼り付け、それぞれのトナー粒子の濃度を測定した。測定後、感光体上で採取されたトナー粒子の濃度を、感光体上で採取されたトナー粒子の濃度と現像ローラー上で採取されたトナー粒子の濃度との総和で除した数値に100を掛けた値を現像効率として求め、以下の4段階の基準に従い評価した。
A :現像効率が95%以上であり、現像効率に特に優れる。
B :現像効率が90%以上95%未満であり、現像効率に優れる。
C :現像効率が80%以上90%未満であり、実用上問題のない。
D :現像効率が80%よりも小さく、現像効率に劣る。
【0088】
[2−5]転写効率
図1、図2に示すような画像形成装置を用いて、画像形成装置の感光体上に前記各実施例および各比較例で得られた液体現像剤による液体現像剤層を形成した。次に、液体現像剤層が感光体と中間転写部との間を通過した後の、感光体上のトナー粒子と、中間転写部上のトナー粒子とをテープで採取した。採取に用いた各テープを記録紙上に貼り付け、それぞれのトナー粒子の濃度を測定した。測定後、中間転写部上で採取されたトナー粒子の濃度を、感光体上で採取されたトナー粒子の濃度と中間転写部上で採取されたトナー粒子の濃度との総和で除した数値に100を掛けた値を転写効率として求め、以下の4段階の基準に従い評価した。
A :転写効率が95%以上であり、転写効率に特に優れる。
B :転写効率が90%以上95%未満であり、転写効率に優れる。
C :転写効率が80%以上90%未満であり、実用上問題のない。
D :転写効率が80%よりも小さく、転写効率に劣る。
【0089】
[2−6]定着強度
図1、図2に示すような画像形成装置を用いて、前記各実施例および前記各比較例で得られた液体現像剤による所定パターンの画像を記録紙(セイコーエプソン社製、上質紙 LPCPPA4)上に形成した。その後、定着の設定温度を160℃として、熱定着を行った。
その後、非オフセット領域を確認した後、記録紙上の定着像を消しゴム(ライオン事務機社製、砂字消し「LION 261−11」)を押圧荷重1.2kgfで2回擦り、画像濃度の残存率をX−Rite Inc社製「X−Rite model 404」により測定し、以下の5段階の基準に従い評価した。
【0090】
A :画像濃度残存率が96%以上(非常に良い)。
B :画像濃度残存率が90%以上96%未満(良い)。
C :画像濃度残存率が80%以上90%未満(普通)。
D :画像濃度残存率が70%以上80%未満(やや悪い)。
E :画像濃度残存率が70%未満(非常に悪い)。
【0091】
[2−7]かぶり濃度
上記[2−6]でトナー画像の熱定着を行った記録物の非画像部の反射濃度を反射濃度計(X−Rite)にて測定し、以下の基準に従い評価した。
A :0.08未満。
B :0.08以上0.09未満。
C :0.09以上0.11未満。
D :0.11以上0.20未満。
E :0.20以上。
これらの結果を表3に示す。
【0092】
【表3】

【0093】
表3から明らかなように、本発明の液体現像剤は、電気泳動移動度に優れ、高速現像に好適に対応できるものであった。また、本発明の液体現像剤は、正帯電の帯電特性、帯電の安定性にも優れていた。さらに、本発明の液体現像剤は、液体現像剤中のトナー粒子の分散安定性、現像効率、転写効率等にも優れていた。これに対し、比較例の液体現像剤では、満足な結果が得られなかった。
また、シアン系顔料を、マゼンダ系顔料、イエロー系顔料、黒色顔料に変更して、上記と同様にして液体現像剤を製造し、上記と同様の評価を行った結果、上記と同様の結果が得られた。
【符号の説明】
【0094】
1000…画像形成装置 10Y、10M、10C、10K…感光体 11Y…帯電ローラー 12Y、12M、12C、12K…露光ユニット 13M、13Y…感光体スクイーズローラー 14M、14Y…クリーニングブレード 15M、15Y…現像剤回収部 16Y…除電ユニット 17Y…感光体クリーニングブレード 18Y…現像剤回収部 20Y、20M、20C、20K…現像ローラー 21Y…現像ローラークリーニングブレード 24Y…現像剤回収部 30Y、30M、30C、30K…現像部 31Y…液体現像剤貯留部 31aY…供給部 31bY…回収部 31cY…仕切 32Y…塗布ローラー 33Y…規制ブレード 34Y…現像剤撹拌ローラー 35Y…連通部 36Y…回収スクリュー 40…中間転写部 41…ベルト駆動ローラー 44、45…従動ローラー 46…中間転写部クリーニングブレード 47…現像剤回収部 48…非接触式バイアス印加部材 49…テンションローラー 51Y、51M、51C、51K…1次転写バックアップローラー 52Y…中間転写部スクイーズ装置 53Y…中間転写部スクイーズローラー 55Y…中間転写部スクイーズクリーニングブレード 56Y…現像剤回収部 60…2次転写ユニット 64…上流側2次転写ローラー 65…下流側2次転写ローラー 66、68…2次転写ローラークリーニングブレード 67、69…現像剤回収部 90Y、90M、90C、90K…液体現像剤補給部 91Y、91M、91C、91K…液体現像剤タンク 92Y、92M、92C、92K…絶縁性液体タンク 93Y、93M、93C、93K…液体現像剤混合槽 100Y…現像ユニット 101Y…感光体スクイーズ装置 F40…定着部(定着装置) F5…記録媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー粒子と、絶縁性液体とを含む液体現像剤であって、
前記絶縁性液体として脂肪酸エステルを含み、さらに、
下記式(1)で表される物質Aを、0.1質量%以上3.0質量%以下の含有率で含むことを特徴とする液体現像剤。
【化1】

(式(1)中、Rは、フェニル基、スチリル化フェニル基、α−ナフチル基またはβ−ナフチル基を表し、Aは、アルキレン基を表し、nは、1以上の整数である。)
【請求項2】
前記物質Aは、ポリオキシエチレン構造を有するものである請求項1に記載の液体現像剤。
【請求項3】
前記脂肪酸エステルは、1価の脂肪酸と、1価のアルコールとのエステルである請求項1または2に記載の液体現像剤。
【請求項4】
前記脂肪酸エステルは、脂肪酸と、直鎖状のアルコールとのエステルである請求項1ないし3のいずれかに記載の液体現像剤。
【請求項5】
前記脂肪酸エステルは、脂肪酸と、炭素数が4以上14以下のアルコールとのエステルである請求項1ないし4のいずれかに記載の液体現像剤。
【請求項6】
前記トナー粒子は、ポリエステル樹脂を含む材料で構成されたものである請求項1ないし5のいずれかに記載の液体現像剤。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−237766(P2012−237766A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−104644(P2011−104644)
【出願日】平成23年5月9日(2011.5.9)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】