説明

液化燃料ガス気化装置

【課題】気化器が待機状態から運転状態に切り換えられる際の供給燃料ガスの熱量変動を抑制し得る液化燃料ガス気化装置を提供する。
【解決手段】複数系統の気化器Vを各別に液化燃料ガスGを通流させる運転状態と液化燃料ガスGを通流させない待機状態とに切り換える運転状態切換手段Cが設けられ、複数系統の気化器Vのうちの一部が運転状態となり残りが待機状態となる形態で、複数系統の気化器V夫々を運転状態と待機状態とに切り換えるべく、運転状態切換手段Cの作動を制御する制御手段2が設けられた液化燃料ガス気化装置であって、複数系統の気化器V夫々に、貯槽4内の熱媒体Wを攪拌する攪拌作動を行う攪拌手段Mが設けられ、制御手段2が、運転状態切換手段Cにより待機状態に切り換えている気化器Vの攪拌手段Mを攪拌作動させるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液状の熱媒体を貯留する貯槽と、その貯槽内の熱媒体を加熱する加熱手段と、その貯槽内に配設されて、供給される液化燃料ガスを熱媒体との熱交換により気化して燃料ガスを送出する伝熱管とを備えて構成された気化器が、複数系統設けられ、それら複数系統の気化器を各別に液化燃料ガスを通流させる運転状態と液化燃料ガスを通流させない待機状態とに切り換える運転状態切換手段が設けられ、前記複数系統の気化器のうちの一部が前記運転状態となり残りが前記待機状態となる形態で、前記複数系統の気化器夫々を前記運転状態と前記待機状態とに切り換えるべく、前記運転状態切換手段の作動を制御する制御手段が設けられた液化燃料ガス気化装置、及び、液状の熱媒体を貯留する貯槽と、その貯槽内の熱媒体を加熱する加熱手段と、その貯槽内に配設されて、供給される液化燃料ガスを熱媒体との熱交換により気化して燃料ガスを送出する伝熱管とを備えて構成された気化器が設けられ、その気化器を液化燃料ガスを通流させる運転状態と液化燃料ガスを通流させない待機状態とに切り換える運転状態切換手段と、前記気化器を前記運転状態と前記待機状態とに切り換えるべく、前記運転状態切換手段の作動を制御する制御手段とが設けられた液化燃料ガス気化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
かかる液化燃料ガス気化装置は、例えば、燃料ガスの導管が敷設されていない地域の需要家に燃料ガスを供給するいわゆるサテライト基地にて使用されるものであり、LNG(液化天然ガス)等の液化燃料ガスを液化燃料ガス貯槽にて貯留しておき、その液化燃料ガス貯槽から供給される液化燃料ガスを気化器にて気化して、天然ガス等の燃料ガスを需要家に供給するようになっている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
上記特許文献1には記載されていないが、気化器においては、加熱手段により貯槽内の熱媒体を加熱する状態で、伝熱管を通して液化燃料ガスを通流させることにより、液化燃料ガスを熱媒体との熱交換により気化させて燃料ガスを送出するようになっている。
【0004】
又、このような液化燃料ガス気化装置では、燃料ガスの供給能力を所望の能力以上に維持できるようにするためや、メンテナンスや故障等、気化器を停止させなくてはならない事態が発生しても需要家に継続して燃料ガスを供給できるようにするために、上述のような気化器が複数系統設けられて、それら複数系統の気化器を各別に液化燃料ガスを通流させる運転状態と液化燃料ガスを通流させない待機状態とに切り換える運転状態切換手段が設けられる場合がある。
そして、複数系統の気化器のうちの一部が運転状態となり残りが待機状態となる形態で、複数系統の気化器夫々を運転状態と待機状態とに切り換えるべく、制御手段により運転状態切換手段の作動を制御するように構成されている。
【0005】
つまり、複数系統の気化器のうちの一部の気化器を運転して、気化器に液化燃料ガスを通流させて気化させることにより、需要家に燃料ガスを供給するようにし、残りの気化器は液化燃料ガスを通流させないようにして待機させておき、燃料ガスの供給能力維持、メンテナンスや故障等により、運転中の気化器を停止させる必要が生じたときには、運転中の気化器を停止させるのに合わせて待機中の気化器を運転するようにして、運転する気化器を切り換えることにより、中断することなく需要家に燃料ガスを供給できるようになっている。
【0006】
又、気化器が1系統設けられる場合は、気化器を運転状態と待機状態とに切り換えるべく、制御手段により運転状態切換手段の作動を制御するように構成されて、燃料ガスの供給を要求されるときに、気化器が運転されるようになっている。
【0007】
そして、このような液化燃料ガス気化装置においては、通常は、無駄なエネルギーを消費しないために、運転状態切換手段により待機状態に切り換えられている気化器の加熱手段については、気化器が待機状態に切り換えられている間中、その加熱作動が停止されることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−29356号公報(段落〔0004〕、図6)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、運転状態切換手段により運転する気化器を切り換えるに当たって、運転状態の気化器が待機状態に切り換えられると、伝熱管に液化燃料ガスが残留し、一方、待機状態の気化器が運転状態に切り換えられると、待機状態のときに伝熱管に残留していた液化燃料ガスが新たに気化器に供給される液化燃料ガスよりも先に気化されて需要家に供給されることなる。
そして、液化燃料ガスには、沸点が異なる複数の成分からなる組成のものがあり、そのような液化燃料ガスでは沸点の高い成分ほど気化し難いものである。
【0010】
ところが、従来の液化燃料ガス気化装置では、運転状態の気化器が待機状態に切り換えられると、加熱手段の加熱作動が停止されるので、気化器が待機状態になっている間に、貯槽内の熱媒体の温度が徐々に低下することになり、特に、対流により、貯槽内の底部側の熱媒体ほど温度が低くなる。
従って、貯槽内の底部側の熱媒体の温度が、液化燃料ガスのうちの沸点の高い成分が気化し難いあるいは気化しないような温度にまで低下すると、気化器に残留している液化燃料ガスのうちの沸点の高い成分が気化し難くなるので、気化器に残留している液化燃料ガスの組成が変動する場合がある。
【0011】
例えば、LNGの組成は、メタン(例えば90.38mol%)、エタン(例えば4.55mol%)、プロパン(例えば3.31mol%)、ブタン(例えば1.67mol%)等を含む組成であり、待機中は、沸点が低いメタン(沸点:−161.5℃)やエタン(沸点:−89℃)のいわゆる軽質成分に比べて、沸点が高いプロパン(沸点:−42.1度)やブタン(沸点:−0.5℃)のいわゆる重質成分は気化し難いので、気化器が待機状態になっている間に、気化器に残留している液化燃料ガスの組成が重質成分の組成比が大きい組成に変動する場合がある。
【0012】
そして、このように気化器が待機状態になっている間にその気化器に残留している液化燃料ガスの組成が変動していると、気化器が運転状態に切り換えられる際には、組成が変動している残留液化燃料ガスが先に気化されて需要家に供給されるので、需要家に供給される燃料ガスの熱量が変動することになる。
このように気化器が待機状態から運転状態に切り換えられる際の供給燃料ガスの熱量変動は、気化器が複数系統設けられる場合、及び、1系統設けられる場合のいずれにおいても起こるものであり、気化器が待機状態から運転状態に切り換えられる際の需要家に供給される燃料ガスの熱量が変動するのを抑制する上で改善の余地があった。
【0013】
本発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、気化器が待機状態から運転状態に切り換えられる際の供給燃料ガスの熱量変動を抑制し得る液化燃料ガス気化装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するための本発明に係る液化燃料ガス気化装置は、液状の熱媒体を貯留する貯槽と、その貯槽内の熱媒体を加熱する加熱手段と、その貯槽内に配設されて、供給される液化燃料ガスを熱媒体との熱交換により気化して燃料ガスを送出する伝熱管とを備えて構成された気化器が、複数系統設けられ、それら複数系統の気化器を各別に液化燃料ガスを通流させる運転状態と液化燃料ガスを通流させない待機状態とに切り換える運転状態切換手段が設けられ、前記複数系統の気化器のうちの一部が前記運転状態となり残りが前記待機状態となる形態で、前記複数系統の気化器夫々を前記運転状態と前記待機状態とに切り換えるべく、前記運転状態切換手段の作動を制御する制御手段が設けられたものであって、
その特徴構成は、前記複数系統の気化器夫々に、前記貯槽内の熱媒体を攪拌する攪拌作動を行う攪拌手段が設けられ、
前記制御手段が、前記運転状態切換手段により前記待機状態に切り換えている気化器の攪拌手段を攪拌作動させるように構成されている点にある。
【0015】
上記特徴構成によれば、運転状態切換手段により待機状態に切り換えられている気化器の攪拌手段が攪拌作動されて、その気化器の貯槽内の熱媒体が攪拌されるので、待機状態の気化器の貯槽内における上下方向での熱媒体の温度差を抑制することができる。
これにより、待機状態の気化器に残留している液化燃料ガスのうちの沸点の高い成分が先に気化し難くなるといった状況になるのを抑制することが可能となるので、気化器が待機状態になっている間に、その気化器に残留している液化燃料ガスの組成が変動するのを抑制することが可能となる。
従って、気化器が待機状態から運転状態に切り換えられる際の供給燃料ガスの熱量変動を抑制し得る液化燃料ガス気化装置を提供することができるようになった。
【0016】
上記目的を達成するための本発明に係る液化燃料ガス気化装置は、液状の熱媒体を貯留する貯槽と、その貯槽内の熱媒体を加熱する加熱手段と、その貯槽内に配設されて、供給される液化燃料ガスを熱媒体との熱交換により気化して燃料ガスを送出する伝熱管とを備えて構成された気化器が設けられ、その気化器を液化燃料ガスを通流させる運転状態と液化燃料ガスを通流させない待機状態とに切り換える運転状態切換手段と、前記気化器を前記運転状態と前記待機状態とに切り換えるべく、前記運転状態切換手段の作動を制御する制御手段とが設けられたものであって、
その特徴構成は、前記気化器に、前記貯槽内の熱媒体を攪拌する攪拌作動を行う攪拌手段が設けられ、
前記制御手段が、前記運転状態切換手段により前記気化器を前記待機状態に切り換えている間において、前記攪拌手段を攪拌作動させるように構成されている点にある。
【0017】
上記特徴構成によれば、運転状態切換手段により気化器が待機状態に切り換えられている間において、攪拌手段が攪拌作動されて、気化器の貯槽内の熱媒体が攪拌されるので、待機状態の気化器の貯槽内における上下方向での熱媒体の温度差を抑制することができる。
これにより、待機状態の気化器に残留している液化燃料ガスのうちの沸点の高い成分が先に気化し難くなるといった状況になるのを抑制することが可能となるので、気化器が待機状態になっている間に、その気化器に残留している液化燃料ガスの組成が変動するのを抑制することが可能となる。
従って、気化器が待機状態から運転状態に切り換えられる際の供給燃料ガスの熱量変動を抑制し得る液化燃料ガス気化装置を提供することができるようになった。
【0018】
本発明に係る液化燃料ガス気化装置の更なる特徴構成は、前記制御手段が、前記運転状態切換手段により前記気化器を前記待機状態に切り換えている間において、設定時間が経過する毎に、又は、前記貯槽内の下部の熱媒体の温度が設定温度以下になると、当該気化器の攪拌手段を攪拌作動させるように構成されている点にある。
【0019】
上記特徴構成によれば、運転状態切換手段により気化器が待機状態に切り換えられている間において、設定時間が経過する毎に、又は、貯槽内の下部の熱媒体の温度が設定温度以下になると、待機状態の気化器の攪拌手段が攪拌作動されて、その気化器の貯槽内の熱媒体が攪拌される。
つまり、気化器が待機状態に切り換えられている間において、その気化器の貯槽内の熱媒体が攪拌手段により攪拌されずに放置される時間が長くなるほど、対流に伴う貯槽内の上下方向での熱媒体の温度差が大きくなる。
そこで、前記設定時間を、例えば、対流に伴う貯槽内の上下方向での熱媒体の温度差を所定の範囲に抑えることが可能な時間に設定して、その設定時間が経過する毎に、攪拌手段を攪拌作動するように構成する。
あるいは、前記設定温度として、液化燃料ガスのうちの沸点の高い成分が気化し難くなるような温度よりも高い温度に設定して、貯槽内の下部の熱媒体の温度が設定温度以下になると、攪拌手段を攪拌作動するように構成する。
このように構成すると、待機状態の気化器に残留している液化燃料ガスの組成変動を抑制すべく、待機状態の気化器の攪拌手段を攪拌作動させるにしても、その攪拌作動時間を短縮することができる。
従って、ランニングコストを低減しながら、気化器が待機状態から運転状態に切り換えられる際の供給燃料ガスの熱量変動を抑制することができるようになった。
【0020】
本発明に係る液化燃料ガス気化装置の更なる特徴構成は、前記加熱手段が、当該加熱手段を備えた気化器が前記運転状態切換手段により前記待機状態に切り換えられている間においても、加熱作動を行うように構成されている点にある。
【0021】
上記特徴構成によれば、運転状態切換手段により待機状態に切り換えられている気化器の加熱手段が、加熱作動されることから、攪拌手段の攪拌作動との協働により、待機状態の気化器に残留している液化燃料ガスのうちの沸点の高い成分が気化し難くなるといった状況になるのを的確に回避することができるので、気化器が待機状態になっている間に、その気化器に残留している液化燃料ガスの組成が変動するのをより一層抑制することができる。
ここで、待機状態の気化器の加熱手段を加熱作動させるにしても、液化燃料ガスのうちの沸点の高い成分が気化し難くなる温度にまで貯槽内の熱媒体の温度が低下するのを回避できるように加熱作動させれば十分であるので、待機状態の気化器の加熱手段を加熱作動させるにしても、エネルギー消費量が増加するのを抑制することができる。
従って、気化器が待機状態から運転状態に切り換えられる際の供給燃料ガスの熱量変動をより一層抑制することができるようになった。
【0022】
本発明に係る液化燃料ガス気化装置の更なる特徴構成は、前記加熱手段が、前記貯槽内に加熱媒体としての蒸気を噴出する蒸気噴出部と、その蒸気噴出部からの蒸気の噴出を断続する噴出断続手段とを備えて、前記蒸気噴出部による蒸気の噴出により前記貯槽内の熱媒体を加熱するのに合わせて攪拌するように構成されて、前記加熱手段が前記攪拌手段に兼用されている点にある。
【0023】
上記特徴構成によれば、貯槽内に設けられた蒸気噴出部により、加熱媒体としての蒸気が貯槽内に噴出されると、その噴出蒸気により、貯槽内の熱媒体が加熱されるのに合わせて攪拌される。
つまり、加熱手段を蒸気噴出部とその蒸気噴出部からの蒸気の噴出を断続する噴出断続手段とを備えて構成すると、その加熱手段を攪拌手段に兼用することができるので、構成の簡略化を図ることができる。
従って、気化器が待機状態から運転状態に切り換えられる際の供給燃料ガスの熱量変動を抑制し得る液化燃料ガス気化装置を低廉化することができるようになった。
【0024】
本発明に係る液化燃料ガス気化装置の更なる特徴構成は、前記貯槽が有底円筒状であり、
前記蒸気噴出部が、前記有底円筒状の貯槽内の下部における内周面の近傍から、前記貯槽の内周面に沿って周方向に向けて蒸気を噴出するように設けられている点にある。
【0025】
上記特徴構成によれば、蒸気噴出部により、有底円筒状の貯槽内の下部における内周面の近傍から、その貯槽の内周面に沿って周方向に向けて蒸気が噴出されることにより、貯槽内を熱媒体が下方から上方に向けて旋回状態で流動するので、貯槽内の熱媒体が一層良好に攪拌されることになって、貯槽内の上下方向での熱媒体の温度差を一層小さくすることができる。
これにより、待機状態の気化器に残留している液化燃料ガスのうちの沸点の高い成分が先に気化し難くなるといった状況になるのをより一層抑制することが可能となるので、気化器が待機状態になっている間に、その気化器に残留している液化燃料ガスの組成が変動するのをより一層抑制することが可能となる。
従って、気化器が待機状態から運転状態に切り換えられる際の供給燃料ガスの熱量変動をより一層抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】第1実施形態にかかる液化燃料ガス気化装置のフロー図
【図2】第1実施形態にかかる液化燃料ガス気化装置の気化器の斜視図
【図3】第1実施形態に係る液化燃料ガス気化装置の制御動作のタイムチャートを示す図
【図4】第2実施形態にかかる液化燃料ガス気化装置のフロー図
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態を説明する。
〔第1実施形態〕
先ず、第1実施形態を説明する。
図1に示すように、液化燃料ガス気化装置は、液化燃料ガスGを貯留する液化燃料ガス貯槽1と、その液化燃料ガス貯槽1から供給される液化燃料ガスGを気化して需要家(図示省略)に供給する2系統の気化器Vと、この液化燃料ガス気化装置の運転を制御する制御部2(制御手段に相当する)と、その制御部2に各種制御指令を指令する操作部3等を備えて構成されている。
ちなみに、この実施形態では、液化燃料ガス貯槽1には液化燃料ガスGとしてLNG(液化天然ガス)が貯留され、各需要家には燃料ガスGとして天然ガスが供給される。
【0028】
図2にも示すように、各気化器Vは、湯水W(液状の熱媒体に相当する)を貯留する貯水槽4(貯槽に相当する)と、その貯水槽4内の湯水を加熱する加熱手段Hと、その貯槽水4内に配設されて、供給される液化燃料ガスGを湯水Wとの熱交換により気化して燃料ガスGを送出する伝熱管5とを備えて構成されている。
貯水槽4は、有底円筒状であり、その有底円筒状の貯水槽4内に、コイル状の前記伝熱管5がコイル軸心を上下方向に向けた姿勢で1個あるいは複数個配設されている。
【0029】
2系統の気化器Vの伝熱管5における下方の入口部の夫々には、液化燃料ガス貯槽1から液化燃料ガスが送出される元供給路6に並列接続された2系統の液化燃料ガス供給路7夫々が接続され、2系統の気化器Vの伝熱管5における上方の出口部の夫々には、燃料ガス送出路8が夫々接続され、これら2系統の燃料ガス送出路8は、合流送出路9に接続されて、この合流送出路9を通して燃料ガスGが各需要家に対して送出される。
【0030】
元供給路6には、2系統の気化器Vへの液化燃料ガスGの供給を一括して断続する元開閉弁10が設けられている。
又、2系統の液化燃料ガス供給路7夫々には、運転切換用開閉弁11が設けられている。
この運転切換用開閉弁11を開閉することにより、気化器Vへ液化燃料ガスGを通流させる運転状態と液化燃料ガスGを通流させない待機状態とに気化器Vの運転状態を切り換えることができる。
つまり、2系統の液化燃料ガス供給路7に夫々設けられた2系統の運転切換用開閉弁11により、2系統の気化器Vを各別に液化燃料ガスGを通流させる運転状態と液化燃料ガスGを通流させない待機状態とに切り換える運転状態切換手段Cが構成されることになる。
尚、以下の説明及び図面においては、2系統の気化器Vを区別するために、一方をA系統と称し、他方をB系統と称して、気化器を示す符号「V」に夫々添え字「a」、「b」を付す。
【0031】
図1及び図2に示すように、本発明では、2系統の気化器V夫々に、貯水槽4内の湯水Wを攪拌する攪拌作動を行う攪拌手段Mが設けられている。
この実施形態では、加熱手段Hが、貯水槽4内に加熱媒体としての蒸気Sを噴出する蒸気噴出部12と、その蒸気噴出部12からの蒸気Sの噴出を断続する噴出断続手段としての蒸気用開閉弁13とを備えて、蒸気噴出部12による蒸気Sの噴出により貯水槽4内の湯水Wを加熱するのに合わせて攪拌するように構成されて、加熱手段Hが攪拌手段Mに兼用されている。
更に、蒸気噴出部12が、有底円筒状の貯水槽4内の下部における内周面の近傍から、貯水槽4の内周面に沿って周方向に向けて蒸気Sを噴出するように設けられている。
2系統の蒸気噴出部12夫々は、ボイラ14から蒸気Sが送出される2系統の蒸気供給路15夫々に接続され、各蒸気供給路15に前記蒸気用開閉弁13が設けられている。
【0032】
図1及び図2に示すように、伝熱管5の出口部には燃料ガスの温度を検出する気化ガス温度センサ16が設けられている。
ところで、何らかの要因により気化器Vの気化能力が低下すると、伝熱管5の出口部の燃料ガスの温度が低下するので、気化ガス温度センサ16の検出温度に基づいて、気化器Vの気化能力低下を検知することができる。
そこで、予め、気化能力低下を検知するための所定の気化能力低下検知用設定温度が設定されて、制御部2に記憶されている。そして、制御部2が、気化ガス温度センサ16の検出温度が気化能力低下検知用設定温度よりも低くなると、運転する気化器Vを切り換える切換タイミングになったと判別するように構成されている。
【0033】
前記制御部2の制御動作について説明する。
制御部2は、運転する気化器Vを切り換える切換タイミングになると、2系統の気化器Vのうちの一方が運転状態となり他方が待機状態となる形態で、2系統の気化器V夫々を運転状態と待機状態とに切り換えるべく、2系統の運転切換用開閉弁11の作動を制御するように構成されている。
そして、本発明では、制御部2が、運転切換用開閉弁11により待機状態に切り換えている気化器Vの攪拌手段Mを攪拌作動させるように構成されている。
【0034】
この第1実施形態では、制御部2が、運転切換用開閉弁11により気化器Vを待機状態に切り換えている間において、断続用設定時間(設定時間に相当する)Tiが経過する毎に、当該気化器Vの攪拌手段Mを攪拌作動させるように構成されている。
つまり、加熱手段Hが攪拌手段Mに兼用されているので、加熱手段Hが、当該加熱手段Hを備えた気化器Vが運転切換用開閉弁11により待機状態に切り換えられている間においても、加熱作動を行うように構成されている。
【0035】
又、各気化器Vには貯水槽4内上部の湯水の温度を検出する上部湯水温度センサ17が設けられている。
そして、制御部2は、運転切換用開閉弁11により気化器Vを運転状態に切り換えている間、当該気化器Vの上部湯水温度センサ17の検出温度が運転用設定温度になるように、当該気化器Vの加熱手段Hの加熱作動を制御するように構成されている。
【0036】
ちなみに、気化対象の液化燃料ガスがLNGの場合、運転用設定温度は、例えば、50℃に設定される。
又、前記断続用設定時間Tiは、攪拌手段Mを作動させずに貯水槽4内の湯水を放置したときに、貯水槽4内の上部の湯水の温度が下限温度まで低下しない条件で、極力長い時間に設定される。
前記下限温度は、運転用設定温度よりも低く、しかも、液化燃料ガスに含まれる成分のうちで沸点の最も高い成分も十分に気化させることができる条件で、極力低い温度に設定される。気化対象の液化燃料ガスがLNGの場合、下限温度は、例えば、10℃に設定される。
【0037】
次に、図3に示すタイムチャートに基づいて、制御部2の制御動作について、説明を加える。但し、図3に示すタイムチャートでは、元開閉弁10の制御動作については省略している。
制御部2は、操作部3から運転開始指令が指令されると、元開閉弁10を開弁し、2系統の気化器Vのうち予め運転開始用気化器として定められているA系統の気化器Vaの運転切換用開閉弁11を開弁して、A系統の気化器Vaを運転状態に切り換え、並びに、B系統の気化器Vbの運転切換用開閉弁11を閉弁状態に維持して、B系統の気化器Vbを待機状態に維持する。
【0038】
制御部2は、このようにA系統の気化器Vaを運転状態に維持している間、そのA系統の上部湯水温度センサ17の検出温度が運転用設定温度よりも設定温度以上低くなると、その検出温度が運転用設定温度よりも設定温度以上高くなるまでの間、A系統の蒸気用開閉弁13を開弁してA系統の加熱手段Hを加熱作動させ、並びに、断続用設定時間Tiが経過する毎に、B系統の蒸気用開閉弁13を攪拌用設定時間Tmの間開弁して、B系統の攪拌手段Mを攪拌作動させると共にB系統の加熱手段Hを加熱作動させる。
【0039】
ちなみに、前記設定温度は、例えば1〜2℃程度に設定される。又、攪拌用設定時間Tmは、断続用設定時間Tiよりも短い時間に設定され、しかも、貯水槽4内の上下方向での湯水の温度差が十分に小さくなるように、蒸気噴出部12からの蒸気噴出により貯水槽4内の湯水を攪拌することができる条件で、極力短い時間に設定される。
【0040】
制御部2は、このようにA系統の気化器Vaを運転状態に維持している間は、A系統の気化ガス温度センサ16の検出温度を監視し、その検出温度が気化能力低下検知用設定温度よりも低くなって切換タイミングになったと判別する、A系統の気化器Vaの運転切換用開閉弁11を閉弁してA系統の気化器Vaを待機状態に切り換えると共に、A系統の蒸気用開閉弁13を閉弁してA系統の加熱手段Hの加熱作動を停止し、並びに、B系統の気化器Vbの運転切換用開閉弁11を開弁して、B系統の気化器Vbを運転状態に切り換える。ちなみに、気化能力低下検知用設定温度は、運転用設定温度から前記設定温度減じた温度(加熱手段Hを加熱作動させる温度)よりも低い条件で、気化器Vの気化能力低下を的確に検知できる温度に設定される。
【0041】
制御部2は、このようにB系統の気化器Vbを運転状態に維持している間、そのB系統の上部湯水温度センサ17の検出温度が運転用設定温度よりも設定温度以上低くなると、その検出温度が運転用設定温度よりも設定温度以上高くなるまでの間、B系統の蒸気用開閉弁13を開弁してB系統の加熱手段Hを加熱作動させ、並びに、断続用設定時間Tiが経過する毎に、A系統の蒸気用開閉弁13を攪拌用設定時間Tmの間開弁して、A系統の攪拌手段Mを攪拌作動させると共にA系統の加熱手段Hを加熱作動させる。
【0042】
制御部2は、このようにB系統の気化器Vbを運転状態に維持している間は、B系統の気化ガス温度センサ16の検出温度を監視し、その検出温度が気化能力低下検知用設定温度よりも低くなって切換タイミングになったと判別すると、B系統の気化器Vbの運転切換用開閉弁11を閉弁して、B系統の気化器Vbを待機状態に切り換えると共に、B系統の蒸気用開閉弁13を閉弁してB系統の加熱手段Hの加熱作動を停止し、並びに、A系統の気化器Vaの運転切換用開閉弁11を開弁して、A系統の気化器Vaを運転状態に切り換える。
【0043】
図示を省略するが、制御部2は、操作部3から運転停止指令が指令されると、元開閉弁10を閉弁し、並びに、運転状態の系統の運転切換用開閉弁11を閉弁して、運転状態の気化器Vを待機状態に切り換えると共に、運転状態の系統の蒸気用開閉弁13を閉弁して、運転状態の気化器Vの加熱手段Hの加熱作動を停止する。
【0044】
本発明の液化燃料ガス気化装置は、上述のように構成されているので、運転切換用開閉弁11より気化器Vが待機状態に切り換えられている間、断続用設定時間Tiが経過する毎に、その待機状態の気化器Vの貯水槽4内の蒸気噴出部12により、攪拌用設定時間Tmの間、蒸気Sが有底円筒状の貯水槽4内の下部における内周面の近傍からその貯水槽4の内周面に沿って周方向に向けて噴出される。
そして、その蒸気噴出部12からの蒸気噴出により、貯水槽4内を湯水Wが下方から上方に向けて旋回状態で流動するので、貯水槽4内の湯水Wが良好に攪拌されることになって、貯水槽4内における上下方向での湯水Wの温度差を十分に小さくすることができる。
しかも、断続用設定時間Tiが経過する毎に、つまり、貯水槽4内の上部の湯水Wの温度が下限温度に低下するまでに、蒸気噴出部12から蒸気Sが噴出されて、貯水槽4内の湯水Wが加熱されると共に攪拌される。
【0045】
従って、待機状態に切り換えられている気化器Vの貯水槽4内の湯水Wの温度を貯水槽4内の略全域にわたって、液化燃料ガスGに含まれる成分のうちで沸点の最も高い成分も十分に気化させることができる温度以上に維持することができるので、気化器Vが待機状態になっている間に、その気化器Vに残留している液化燃料ガスGの組成が変動するのを抑制することができる。
その結果、気化器Vが待機状態から運転状態に切り換えられる際の供給燃料ガスGの熱量変動を的確に抑制することができる。
【0046】
〔第2実施形態〕
以下、第2実施形態を説明するが、この第2実施形態は、攪拌手段Mの作動制御に関する別の実施形態を説明するものであるので、第1実施形態と同じ構成要素や同じ作用を有する構成要素については、重複説明を避けるために、同じ符号を付すことにより説明を省略し、主として、液化燃料ガス気化装置の全体構成並びに制御部2の制御動作において、上記の第1実施形態と異なる点について説明する。
【0047】
この第2実施形態では、図4に示すように、各気化器Vには、上記の第1実施形態で説明した構成に加えて、貯水槽4内下部の湯水の温度を検出する下部湯水温度センサ18が設けられている。
又、上記の第1実施形態と同様に、加熱手段Hが、蒸気噴出部12と蒸気用開閉弁13とを備えて構成されて、加熱手段Hが攪拌手段Mに兼用されている。
【0048】
そして、制御部2が、運転切換用開閉弁11より気化器Vを待機状態に切り換えている間において、下部湯水温度センサ18にて検出される湯水の温度が攪拌開始用設定温度(設定温度に相当する)以下になると、当該気化器Vの攪拌手段Mを攪拌作動させるように構成されている。ちなみに、前記攪拌開始用設定温度は、例えば、上記の第1実施形態で説明した下限温度に設定される。
つまり、加熱手段Hが攪拌手段Mに兼用されているので、この第2実施形態においても、加熱手段Hが、当該加熱手段Hを備えた気化器Vが運転切換用開閉弁11により待機状態に切り換えられている間においても、加熱作動を行うように構成されている。
【0049】
制御部2の制御動作において、運転切換用開閉弁11により気化器Vを待機状態に切り換えている間の当該気化器Vの攪拌手段Mの作動を制御する制御動作、即ち、蒸気用開閉弁13の作動を制御する制御動作が異なる以外は、上記の第1実施形態と同様である。
従って、制御部2の制御動作の説明については、制御動作のタイムチャートの図示を省略して、上記の第1実施形態と異なる点を主として説明する。
【0050】
制御部2は、上記の第1実施形態と同様に、気化ガス温度センサ16の検出温度に基づいて切換タイミングになったと判別する毎に、2系統の気化器Vのうちの一方が運転状態となり他方が待機状態となる形態で、2系統の気化器V夫々を運転状態と待機状態とに切り換えるべく、2系統の運転切換用開閉弁11の作動を制御する。
【0051】
そして、制御部2は、A系統の気化器Vaを運転状態に維持している間、待機状態のB系統の気化器Vbに備えられた下部湯水温度センサ18の検出温度が攪拌開始用設定温度以下になる毎に、B系統の蒸気用開閉弁13を攪拌用設定時間Tmの間開弁して、B系統の攪拌手段Mを攪拌作動させると共に、B系統の加熱手段Hを加熱作動させる。
又、制御部2は、B系統の気化器Vbを運転状態に維持している間、待機状態のA系統の気化器Vaに備えられた下部湯水温度センサ18の検出温度が攪拌開始用設定温度以下になる毎に、A系統の蒸気用開閉弁13を攪拌用設定時間Tmの間開弁して、A系統の攪拌手段Mを攪拌作動させると共に、A系統の加熱手段Hを加熱作動させる。
【0052】
この第2実施形態の液化燃料ガス気化装置でも、待機状態に切り換えられている気化器Vの貯水槽4内の湯水Wの温度を貯水槽4内の略全域にわたって、液化燃料ガスGに含まれる成分のうちで沸点の最も高い成分も十分に気化させることができる温度以上に維持することができるので、気化器Vが待機状態になっている間に、その気化器Vに残留している液化燃料ガスGの組成が変動するのを抑制することができる。
従って、気化器Vが待機状態から運転状態に切り換えられる際の供給燃料ガスGの熱量変動を的確に抑制することができる。
【0053】
〔別実施形態〕
次に別実施形態を説明する。
(イ) 蒸気噴出部12からの蒸気の噴出形態は、上記の各実施形態において例示した噴出形態、即ち、貯水槽4内の下部における内周面の近傍から貯水槽4の内周面に沿って周方向に向けて噴出する形態に限定されるものではない。例えば、貯水槽4内の下部から上方に向けて噴出する形態でも良い。この場合は、例えば、容器状体や、先端が閉塞され且つリング状に成形された管状体に複数の蒸気噴出孔を形成して、この容器状体や管状体により蒸気噴出部12を構成する。そして、このような蒸気噴出部12を蒸気噴出孔が上向きになる状態で貯水槽4内の下部に設けることになる。
【0054】
(ロ) 加熱手段H及び攪拌手段Mの構成は、上記の各実施形態において例示した構成、即ち、加熱手段Hを蒸気噴出部12と噴出断続手段としての蒸気用開閉弁13とを備えて構成して、加熱手段Hを攪拌手段Mに兼用する構成に限定されるものではない。
例えば、加熱手段Hを貯水槽4内に設けた電気ヒータにて構成しても良い。あるいは、貯水槽4外に湯水を加熱する熱源を設け、貯水槽4内の湯水を槽外の熱源を通して循環させる湯水循環手段を設けて、これら熱源と湯水循環手段とにより加熱手段Hを構成しても良い。
攪拌手段Mは、例えば、貯水槽4内の底部に設けた羽根体と、この羽根体を回転駆動させるモータとを備えて構成しても良い。
【0055】
このように、加熱手段Hを攪拌手段Mに兼用しないように構成する場合において、加熱手段Hを、当該加熱手段Hを備えた気化器Vが運転切換用開閉弁11により待機状態に切り換えられている間においても加熱作動を行うように構成するに当たっては、その加熱目標温度は、上記の第1及び第2の各実施形態で説明した運転用設定温度よりも低い温度に設定する。
【0056】
(ハ) 貯水槽4の形状は、上記の各実施形態において例示した有底円筒状に限定されるものではなく、例えば、横断面形状が矩形状の槽でも良い。
【0057】
(ニ) 上記の各実施形態では、運転切換用開閉弁11を液化燃料ガス供給路7に設けたが、燃料ガス送出路8に設けても良い。
【0058】
(ホ) 上記の各実施形態では、気化器Vを2系統設けたが、3系統以上設けても良い。この場合は、複数系統の気化器Vのうちの一部が運転状態となり残りが待機状態となる形態で、複数系統の気化器V夫々を運転状態と待機状態とに切り換えることになる。
【0059】
(ヘ) 上記の各実施形態では、運転状態切換手段Cを、2系統の液化燃料ガス供給路7に夫々設けられた2系統の運転切換用開閉弁11にて構成したが、この構成に限定されるものではない。
例えば、複数系統の気化器Vとして、2系統の気化器Vを設ける場合、運転状態切換手段Cを三方弁にて構成することができる。
【0060】
(ト) 複数系統の気化器Vのうちの一部が運転状態となり残りが待機状態となる形態で、複数系統の気化器V夫々を運転状態と待機状態とに切り換える切換タイミングは、上記の各実施形態において例示したタイミング、即ち、気化ガス温度センサ16の検出温度に基づいて、運転状態の気化器Vの気化能力低下を検知したタイミングに限定されるものではない。例えば、所定の設定時間が経過する毎に設定しても良い。あるいは、運転する気化器Vの切り換えを指令する手動操作式の気化器切換スイッチを設けて、その気化器切換スイッチにより気化器切り換えが指令されると、切換タイミングになった判別するように構成しても良い。
【0061】
(チ) 上記の各実施形態においては、気化器Vを複数系統設けたが、気化器Vを1系統設けても良い。
この場合は、図示を省略するが、気化器Vを上記の各実施形態と同様に構成し、燃料ガス供給路7を直接液化燃料ガス貯槽1に接続し、燃料ガス送出路8を通して需要家に燃料ガスを供給するように構成する。
又、燃料ガス供給路7又は燃料ガス送出路8のいずれかに、運転切換用開閉弁11を設けて、この運転切換用開閉弁11により運転状態切換手段Cを構成することになる。
そして、例えば、気化器Vの運転及び停止を指令する運転スイッチを設けて、その運転スイッチにより運転や停止が指令されるタイミングを、気化器Vを運転状態と待機状態とに切り換える切換タイミングとする。
切換タイミングになったときの運転切換用開閉弁11の制御、並びに、運転切換用開閉弁11により気化器Vが運転状態に切り換えられている間及び待機状態に切り換えられている間夫々における蒸気用開閉弁13の制御に関する制御部2の制御動作は、上記の各実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0062】
(リ) 本発明は、LNGを気化対象とする液化燃料ガス気化装置の他に、LNG以外の種々の液化燃料ガス(但し、沸点が異なる複数の成分からなる組成のもの)を気化対象とする液化燃料ガス気化装置に適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
以上説明したように、気化器が待機状態から運転状態に切り換えられる際の供給燃料ガスの熱量変動を抑制し得る液化燃料ガス気化装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0064】
2 制御部(制御手段)
4 貯水槽(貯槽)
5 伝熱管
12 蒸気噴出部
13 蒸気用開閉弁(噴出断続手段)
C 運転状態切換手段
G 液化燃料ガス、燃料ガス
H 加熱手段
M 攪拌手段
S 蒸気
V 気化器
W 熱媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液状の熱媒体を貯留する貯槽と、その貯槽内の熱媒体を加熱する加熱手段と、その貯槽内に配設されて、供給される液化燃料ガスを熱媒体との熱交換により気化して燃料ガスを送出する伝熱管とを備えて構成された気化器が、複数系統設けられ、
それら複数系統の気化器を各別に液化燃料ガスを通流させる運転状態と液化燃料ガスを通流させない待機状態とに切り換える運転状態切換手段が設けられ、
前記複数系統の気化器のうちの一部が前記運転状態となり残りが前記待機状態となる形態で、前記複数系統の気化器夫々を前記運転状態と前記待機状態とに切り換えるべく、前記運転状態切換手段の作動を制御する制御手段が設けられた液化燃料ガス気化装置であって、
前記複数系統の気化器夫々に、前記貯槽内の熱媒体を攪拌する攪拌作動を行う攪拌手段が設けられ、
前記制御手段が、前記運転状態切換手段により前記待機状態に切り換えている気化器の攪拌手段を攪拌作動させるように構成されている液化燃料ガス気化装置。
【請求項2】
液状の熱媒体を貯留する貯槽と、その貯槽内の熱媒体を加熱する加熱手段と、その貯槽内に配設されて、供給される液化燃料ガスを熱媒体との熱交換により気化して燃料ガスを送出する伝熱管とを備えて構成された気化器が設けられ、
その気化器を液化燃料ガスを通流させる運転状態と液化燃料ガスを通流させない待機状態とに切り換える運転状態切換手段と、
前記気化器を前記運転状態と前記待機状態とに切り換えるべく、前記運転状態切換手段の作動を制御する制御手段とが設けられた液化燃料ガス気化装置であって、
前記気化器に、前記貯槽内の熱媒体を攪拌する攪拌作動を行う攪拌手段が設けられ、
前記制御手段が、前記運転状態切換手段により前記気化器を前記待機状態に切り換えている間において、前記攪拌手段を攪拌作動させるように構成されている液化燃料ガス気化装置。
【請求項3】
前記制御手段が、前記運転状態切換手段により前記気化器を前記待機状態に切り換えている間において、設定時間が経過する毎に、又は、前記貯槽内の下部の熱媒体の温度が設定温度以下になると、当該気化器の攪拌手段を攪拌作動させるように構成されている請求項1又は2に記載の液化燃料ガス気化装置。
【請求項4】
前記加熱手段が、当該加熱手段を備えた気化器が前記運転状態切換手段により前記待機状態に切り換えられている間においても、加熱作動を行うように構成されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の液化燃料ガス気化装置。
【請求項5】
前記加熱手段が、前記貯槽内に加熱媒体としての蒸気を噴出する蒸気噴出部と、その蒸気噴出部からの蒸気の噴出を断続する噴出断続手段とを備えて、前記蒸気噴出部による蒸気の噴出により前記貯槽内の熱媒体を加熱するのに合わせて攪拌するように構成されて、前記加熱手段が前記攪拌手段に兼用されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の液化燃料ガス気化装置。
【請求項6】
前記貯槽が有底円筒状であり、
前記蒸気噴出部が、前記有底円筒状の貯槽内の下部における内周面の近傍から、前記貯槽の内周面に沿って周方向に向けて蒸気を噴出するように設けられている請求項5に記載の液化燃料ガス気化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−144915(P2011−144915A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−8486(P2010−8486)
【出願日】平成22年1月18日(2010.1.18)
【出願人】(501246488)株式会社クリエイティブテクノソリューション (10)
【Fターム(参考)】