説明

液晶セルのセル厚測定方法

【目的】この発明は、正確なギャップ測定が可能な液晶セルのセル厚測定方法を目的にしている。
【構成】内面に透明電極40を有する一対のガラス基板10をシール材50で接着すると共に、該一対のガラス基板10間には誘電率異方性が正の液晶60を注入し、液晶セルのギャップ測定時に、該液晶セルにしきい電圧の50倍以上の高電圧若しくはしきい磁界の50倍以上の高磁界をかけながら測定して成る。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、液晶表示セルに利用される液晶セルのセル厚測定方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の液晶セルの構造は、図3に図示したように、一対のガラス基板1をシール材2で接着し、該一対のガラス基板1間には液晶3が注入してあり、上方にはディテクター5を配置し、上側からは反射測定光4bを、下側からは透過測定光4aを照射している。
【0003】そして、光干渉法等を用いて液晶3注入後のセル厚を測定する場合は、測定光4a、4bが偏光を含む時、該偏光に対する液晶セルの方向を決めて透過光スペストルを測定して液晶セルの光学的光路差を求め、その偏光方向に対応する液晶の屈折率で割ることによりセル厚を求めている。
【0004】なお、上記屈折率は、例えば、ホモジニアス配向したセル(図4参照)では、ガラス基板1間で、偏光方向と液晶分子3aの主軸方向が平行な場合には、その液晶分子3aの異常光に対する屈折率であり、また、ガラス基板1間で、偏光方向と液晶分子3aの主軸方向が直交する場合には、常光に対する屈折率をいう。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、ホモジニアス配向のセルでは、その主軸の方向を決めることによって、そのセルの屈折率を規定することが可能であるが、例えばTNセル(図5参照)や、STNセル(図6参照)の場合は、液晶分子の主軸方向の空間分布が連続的に変化(ツイストとテイルト)しているため、例え測定偏光に対する基板界面の液晶配向方向が判っているとしても、そのセルの屈折率の値を簡単に規定することができない。
【0006】従って、従来の液晶セル厚測定方法では、光学的光路差は測定できても、ギャップの値を計算できないという大きな問題点がある。
【0007】また、一軸配向のセルの場合も、プレテイルト角θ(図7参照)を有するときは、同様な問題点がある。
【0008】そこで、本発明は、上記従来の技術の問題点に鑑み案出されたもので、正確なギャップ測定が可能な液晶セルのセル厚測定方法の提供を目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明における液晶セルのセル厚測定方法においては、内面に透明電極を有する一対のガラス基板をシール材で接着すると共に、該一対のガラス基板間には誘電率異方性が正の液晶を注入し、液晶セルのギャップ測定時に、該液晶セルにしきい電圧の50倍以上の高電圧若しくはしきい磁界の50倍以上の高磁界をかけながら測定して成るものである。
【0010】
【作用】ギャップ測定時に、該液晶セルに高電圧をかけながら測定を行うため、液晶セルの屈折率が規定できる。従って、TN,STN、プレテイルト配向セル等モードにおいても、正確なギャップ測定ができる。
【0011】
【実施例】本発明は、誘電率異方性が正の液晶に電界をかけた場合、液晶分子が電界方向を向くという性質を利用したものであり、誘電率異方性が正の液晶を用いて該液晶分子が水平若しくはプレテイルト配向(ツイスト配向の有無は問わない)している液晶セルのギャップ測定方法である。
【0012】次に、実施例について図1から図2を参照して説明すると、一対のガラス基板10の内面には、透明電極40が配設してあり、該一対のガラス基板10同士はシール材50で接着し、ガラス基板10間には誘電率異方性が正の液晶60が注入されている。
【0013】また、上方にはデイテクター80を配置し、透明電極40には交流電圧90が印加可能に配置されている。
【0014】さらに、上方からは反射測定光70b、下側からは透明測定光70aが照射されている。
【0015】A.ところで、図2に図示したように、透明電極40に高電界をかけた時は、液晶セル内の液晶分子20の殆どは、該電界方向にすなわち、ガラス基板10に対し法線方向に再配列する。すなわち、電界が弱いときには、界面のアンカーリング力により,基板界面付近の液晶分子20は初期配向の方向に近い方向に配向しているが、電界が強いときには、このような部分の厚さ30が、セル厚に比べて無視できる程薄くなる。
【0016】そこで、上記条件にするために、液晶セルにしきい電圧の50倍以上の高電圧若しくはしきい磁界の50倍以上の高磁界をかけるようにしている。
【0017】B.次に、上記Aと同様な条件下で、従来と同様な方法でセル厚を測定し光学的光路差を決定している。
【0018】C.また、上記Aの様な条件下では、セルの垂直方向であれば、如何なる方向から入射する偏光に対しても、該液晶セルの屈折率は該液晶の常光方向の屈折率になるため、この値でBで求めた光学的光路差を割ることにより、該液晶セルのセル厚を求めることができる。
【0019】なお、垂直配向したセルに於いても、液晶60の誘電率異方性が正である限り、此の方法は有効である。
【0020】
【発明の効果】本発明は、上述の通り構成され、液晶セルの屈折率が規定できるため、セルギャップ測定が困難なモードのTN,STN、プレテイルト配向セル等においても正確なギャップ測定ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の測定方法の概略図である。
【図2】本発明の液晶の配列状態の説明図である。
【図3】従来の測定方法の概略図である。
【図4】ホモジニアス配向セルの分子配列説明図である。
【図5】TNセルの分子配列説明図である。
【図6】STNセルの分子配列説明図である。
【図7】プレテイルト角セルの分子配列説明図である。
【符号の説明】
10 ガラス基板
20 液晶分子
40 透明電極
50 シール材
60 液晶
70a 測定光(反射)
70b 測定光(透過)
80 ディテクター

【特許請求の範囲】
【請求項1】内面に透明電極を有する一対のガラス基板をシール材で接着すると共に、該一対のガラス基板間には誘電率異方性が正の液晶を注入し、液晶セルのギャップ測定時に、該液晶セルにしきい電圧の50倍以上の高電圧若しくはしきい磁界の50倍以上の高磁界をかけながら測定して成る液晶セルのセル厚測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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