説明

液晶表示装置

【課題】 バックライトの光漏れを防止することによって良好な液晶表示を実現することができる液晶表示装置を提供すること。
【解決手段】 接着シート22の少なくとも一側縁に、導光板18の光源17が配設されていない対応する端面を被覆するように配設される被覆突縁22Bを突設し、前記被覆突縁22Bの前記導光板18の光源17が配設されていない端面に対向する面を反射面とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示素子および電源側配線基板間にバックライトを配設したバックライト一体型の液晶表示装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
まず、この種の液晶表示装置における一般的な液晶表示素子の一例を図5により説明する。
【0003】
図5は、液晶表示装置に搭載される表示可能な液晶表示素子10を示すものであり、間隔を隔ててほぼ平行に配置された2枚の透明基板1A,1Bを有している。これらの両透明基板1A,1B間の外周はシール材2により密閉されており、上方に位置する一方の透明基板1Aの下面には、透明共通電極3Aが密着するように配設されている。また、この透明共通電極3Aの下方には、液晶表示素子10の非表示部分を覆うように遮光膜4が配置されている。
【0004】
前記遮光膜4の下方には、電極間に印加される電圧に応じて液晶分子の配向を制御する配向膜6Aが密着するように配設されており、さらに、前記透明基板1Aの上面には偏光板7Aが配設されている。
【0005】
一方、下方に位置する前記透明基板1Bの上面には、透明セグメント電極3Bが配置されており、この透明セグメント電極3Bの上方にはカラーフィルタ膜5が配置されており、このカラーフィルタ膜5の上方には配向膜6Bが密着するように配設されている。さらに、前記透明基板1Bの下面には偏光板7Bが配設されている。
【0006】
そして、前記両透明基板1A,1Bおよびシール材2により囲繞された密閉空間内には液晶8が封入され、前記両配向膜6A,6B間に介装された複数の球状あるいは柱状のスペーサ9により、両透明基板1A,1Bは一定の間隔をもって保持されている。
【0007】
なお、前記透明基板1Bの上面の透明セグメント電極3Bは、前記シール材2などに含有されている導電性部材(図示せず)などを介して前記透明基板1Aの下面上に導出されており、この透明基板1Aの下面の図1における右端部には、各電極3A,3Bの各リード端子3Cが形成されている。
【0008】
一方、可撓配線基板11のベースフィルム12上には電気回路13が形成されており、この電気回路13の端部に形成されている図示しない端子に前記各電極3A,3Bの各リード端子3Cが接続されている。また、前記可撓配線基板11の電気回路13には、前記液晶表示素子10の制御を行うLSI14が接続されている。そして、この可撓配線基板11は、液晶表示装置の平面積を減少するため、彎曲部15を形成されたうえで、図6に示すように前記液晶表示素子10の下方にまで延在しており、液晶表示素子10の下方に位置する剛性を有する電源側配線基板16と電気的に接続されている。
【0009】
ところで、バックライト一体型液晶表示装置においては、前記液晶表示素子10と対向する電源側配線基板16の上面の一端部には、発光ダイオード、蛍光ランプなどのバックライトの点光源17が支持されている。
【0010】
また、前記電源側配線基板16の上面には略矩形状とされたアクリルなどの材料からなる導光板18とこの導光板18を支承するガイド枠19とを有する導光体20が搭載されており、実装時において、この導光体20の端面の側方に、前記点光源17が位置するようになされている。
【0011】
また、図6に示す液晶表示装置においては、前記導光板18の上面には複数枚のプリズムシート21が配設されており、前記導光板18、ガイド枠19とともに、前記導光体20を構成している。
【0012】
そして、前記導光体20と前記液晶表示素子10は、当該液晶表示装置において前記液晶表示素子10の表示領域を囲繞する略矩形の枠状に形成された接着部材としての接着シート22により接着され、固定されている。詳しくは、前記接着シート22の裏面側には前記導光体20、詳しくは導光体20のガイド枠19が貼設され、その表面側には前述の構成の液晶表示素子10、詳しくは偏光板7Bの下面が配設されて固定されることとなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ところで、前記点光源17から発光された光は、前記導光体20内を通過する際にバックライトとしての機能を果たすが、この点光源17からの光は、例えば、前記導光体の端面に対向する当該液晶表示装置の筐体24の内壁を白色に形成しておけば、前記内壁に反射した光を液晶表示素子1の方向へ反射させて、再び、バックライトとして利用することができる。しかし、前記導光体20の端面と当該液晶表示装置1の筐体24の内壁との間に前記可撓配線基板11が配設されている場合には、その可撓配線基板11が介在する部分だけ、反射光を再利用することができない。このため、点光源17からの光が液晶表示素子10のバックライトとして十分に機能できず、液晶表示素子10の表示が部分的に見にくくなるおそれがあった。
【0014】
そこで、従来は、前記導光体20の端面に光漏れ防止用テープを接着する等して光の漏洩を防止していたが、このような構成とすると、光漏れ防止用テープを接着する工程が増し、液晶表示装置の生産効率が悪化するとともに、液晶表示装置のコストが高価となるおそれがあった。
【0015】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、バックライトの光漏れを防止することによって良好な液晶表示を実現することができる液晶表示装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記目的を達成するため本発明の請求項1に係る液晶表示装置の特徴は、液晶表示素子と、前記液晶表示素子の下方に対向配置された電源側配線基板と、前記液晶表示素子と前記電源側配線基板とを接続する可撓配線基板と、導光板を有する導光体と、前記導光体の一端面の側方に対向配置された光源とを備え、前記導光体を前記電源側配線基板の上に配置させ、前記液晶表示素子と前記導光体とを接着シートを介して接着してなる液晶表示装置において、前記接着シートの少なくとも一側縁には、前記導光板の光源が配設されていない対応する端面を被覆するように配設される被覆突縁が突設されており、前記被覆突縁の前記導光板の光源が配設されていない端面に対向する面は反射面とされている点にある。
【0017】
また、請求項2に係る液晶表示装置の特徴は、請求項1において、前記液晶表示素子、前記導光体及び前記電源側配線基板が収納される筐体を備え、前記被覆突縁は、前記筐体の内壁と前記導光板の光源が配設されていない端面との間に配設された前記可撓配線基板よりも前記導光体側に位置するようにして配設されている点にある。
【0018】
また、請求項3に係る液晶表示装置の特徴は、請求項1または請求項2に記載の液晶表示装置において、前記導光体が前記導光板を支承するガイド枠を備え、前記接着シートが前記ガイド枠と前記液晶表示素子とを接着してなる点にある。
【0019】
さらに、請求項4に係る液晶表示装置び特徴は、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の液晶表示装置において、前記導光板が平面視矩形であり、前記被覆突縁の幅寸法が前記端面の幅寸法よりも大きく形成されている点にある。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る液晶表示装置によれば、簡易な構成からなる被覆突縁によって前記導光板の端面から光が装置外部へ漏洩することを適正に防止することができるため、液晶表示装置の製造工数を低減しつつ良好な液晶表示を実現することができる。
【0021】
そして、導光板端面から漏れた光を液晶表示素子側に反射させ、液晶表示のために再利用することができるため、より多くの光を液晶表示素子の表示領域に集光させて鮮明で良好な液晶表示を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る液晶表示装置において接着シートを示す液晶表示装置の要部分解斜視図
【図2】本発明の液晶表示装置における接着シートの実装構造の一例を示す断面図
【図3】図1と異なる位置に被覆突縁を形成した接着シートと液晶表示素子および可撓配線基板の位置関係を示す平面図
【図4】図3の接着シートの平面図
【図5】一般的な液晶表示素子の一例を示す縦断面図
【図6】従来の液晶表示装置における接着シートの実装構造の一例を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、本発明に係る液晶表示装置の接着シート22とこの接着シート22を用いた実装構造の実施形態を示すものである。なお、前述した従来のものと同一ないし相当する構成については、図面中に同一の符号を付して説明する。
【0024】
本実施形態の接着シート22は、前記液晶表示素子10と前記導光体20とを前記液晶表示素子10の表示領域を囲繞するようにして貼付される略矩形の枠状シート22A部と、前記枠状シート部22Aの一側縁に突設し、前記導光体20の対応する端面を被覆しうる鍔状の被覆突縁22Bとから構成されている。
【0025】
前記被覆突縁22Bは、前記枠状シート部22Aの全側縁に形成することも可能であるが、少なくとも、前述のように、前記導光体20の端面と当該液晶表示装置1の筐体24の内壁との間に前記可撓配線基板11が配設されている等、当該液晶表示装置の筐体24の内壁からの反射光を反射させて再利用することが期待されないような導光体20の端面に対応させて形成するものとする。
【0026】
図1に示す本実施形態においては、前記被覆突縁22Bは、前記導光体20の前記点光源17が配設された端面および前記点光源17の背部を被覆するものとし、前記被覆突縁22Bの裏面の少なくとも前記点光源17の背部に位置する部分に白色の拡散反射層23を設けている。
【0027】
すなわち、一般に、白色は光の反射率が大きいため、前記拡散反射層23を白色にすることによって、前記導光体20の端面から漏れる光を導光体20側に良好に反射することができる。なお、前記拡散反射層23は前述の白色に限らず、例えば、銀色のつや消しとしてもよい。
【0028】
そして、このような構成を採用したことにより、光の反射率が大きな拡散反射層23によって、導光体20の端面から漏れた光を液晶表示素子1側に反射させ、液晶表示のために再利用することができ、また、点光源17の光を前記拡散反射層23によって導光体20側に反射させ、より多くの光を導光体20に集めることができるので、点光源17の配列方向に発生する帯状の光の明暗として現れる照度ムラを目立たなくすることができ、さらに鮮明で良好な液晶表示を実現することができる。
【0029】
また、本実施形態において、前記被覆突縁22Bの形成された部位の幅寸法が前記導光体20の対応する端面の幅寸法よりも大きく形成されている。また、前記枠状シート部22Aと被覆端縁22Bとの連接部には、ミシン目からなる弱め線22Cが形成され、前記被覆端縁22B部分を前記導光体20の対応する端面方向へ折り曲げ易いようになされている。
【0030】
このように構成された接着シート22の前記被覆突縁22Bによって前記導光体20の端面を、幅方向の長手方向における両端部に至るまで適正に被覆することができるため、この端面から光が装置外部に抜けるのを防止することができるようになっている。
【0031】
さらに、前記接着シート22に前記被覆突縁22Bを形成するだけでよいため、前記導光板18の端面を光漏れ防止用テープで覆う場合よりも製造工数を低減することができる。
【0032】
次に、本実施形態の作用について説明する。
【0033】
前記接着シート22の当該液晶表示装置への実装にあたっては、図1および図2に示すように、液晶表示素子10と対向し、その一端辺縁部に4つの点光源17を配列した電源側配線基板16の上面に、略矩形状とされたアクリルなどの材料からなる導光板18とこの導光板18を支承するガイド枠19とを有する導光体20を搭載し、この導光体20端面の側方に、前記点光源17が位置するように配置する。
【0034】
図1に示す液晶表示装置においては、前記導光板18の上面には複数枚のプリズムシート21が配設されており、前記導光板18、ガイド枠19とともに、前記導光体20を構成している。
【0035】
そして、前記導光体20の上面に、当該液晶表示装置における前記液晶表示素子10の表示領域を囲繞する枠状に形成された枠状シート部22Aと、前記枠状シート部22Aの一側縁に突設し、その裏面に白色の拡散反射層が形成された被覆突縁22Bとからなる接着シート部材22を配設し、この接着シート22の上方に、前記液晶表示素子10が配設され、固着されている。その実装にあっては、前記接着シート22の被覆突縁22Bは、前記点光源17の配設側の導光体22の端面および前記点光源17の背部を被覆するように、前記接着シート22の弱め線22Cで折り曲げ、前記液晶端子10と電源側配線基板16とを接続する可撓配線基板11よりも内側、つまり、導光体20側に位置するようにして、当該液晶表示装置の筐体24に実装する。
【0036】
このように構成した液晶表示装置においては、前記点光源17を点灯し、この点光源17から放出された光の一部を直接、また他の一部の光を前記点光源17の背部に配設された前記接着シート22の拡散反射層23によって導光体20側に反射させて間接的に前記導光体20に入光させる。
【0037】
こうして、点光源17の光を、その背部に配設された前記接着シート22の拡散反射層23によって導光体20側に反射させることにより、点光源17であるが故に発生していた帯状の光の明暗が繰り返される照度ムラを緩和することができる。
【0038】
点光源17の配設側からの入光は、導光体20の導光板18内を全反射を繰り返しながら前記点光源17の反配設側に進行する。
【0039】
そして、前記導光板18内を進行する光は、前記導光体20の上部近傍に位置された前記液晶表示素子10側に、直接あるいは図示しない拡散板を介して拡散され、これによって液晶表示素子10の表示領域に平面光が照射される。
【0040】
このとき、前記導光板18内を進行する光の一部が全反射されずに前記電源側配線基板16側に漏れてしまうことを防止するために、導光体20の反液晶表示素子10側には反射層(図示せず)を設けておく。
【0041】
このように、前記構成からなる液晶表示装置によれば、点光源20からの光をバックライトとして適正に機能させることができるため、良好な液晶表示を行うことができる。
【0042】
また、前記被覆突縁22Bの配設数は、前述したように1つに限らない。例えば、図3および図4に示すように、前記液晶表示素子10と前記液晶端子10と電源側配線基板16とを接続する可撓配線基板11が2つ配設されている場合には、この可撓配線基板11の配設される前記導光体20の端面を被覆し得るように、2つの前記被覆突縁22Bを配設した接着シート22を形成し、当該液晶表示装置に実装する。
【0043】
さらにまた、前記被覆突縁22Bは、前記導光体20の端面と当該液晶表示装置1の筐体24の内壁との間に前記可撓配線基板11が配設されないような場合であっても、前記枠状シート部22Aの側縁に形成することは任意である。
【0044】
このように前記接着シートの被覆突縁22Bを形成し、この被覆突縁22Bにより、前記導光体20の対応する端面を被覆することで、前記端面から漏れ出ようとした光を前記被覆突縁22Bによって遮光することができるため、光が装置外部に漏洩するのを防止することができる。
【0045】
以上のように、本実施形態によれば、被覆突縁22Bによって導光板18の端面から光が装置外部に漏洩することを防止することができるため、点光源17からの光をバックライトとして適正に機能させることができ、良好な液晶表示を行うことができる。
【0046】
また、可撓配線基板11Aに被覆突縁22Bを形成するだけでよいため、製造工数を低減しつつバックライトの光漏れを適正に防止することができる。
【0047】
さらに、前記接着シート22の被覆突縁22Bの裏面の前記導光体20の端面に対向する部分に拡散反射層23を設けることにより、前記導光体20の端面から漏れた光を液晶表示のために再利用することができるため、液晶表示素子10の表示領域により多くの光を集光することができ、これによってより鮮明で良好な液晶表示を行うことができる。
【0048】
なお、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、必要に応じて種々の変更が可能である。例えば、前記接着シートの枠状形成部分は、その表面を黒色に形成して前記液晶表示素子10の非表示領域を被覆するブラックマスクとしての機能を併有させることもできる。
【0049】
また、前記実施形態においては、前記導光体20を、いわゆる導光板18と、ガイド枠19、そしてプリズムシート21とから構成したが、導光体20の必須の構成要素は導光板18のみであり、いわゆる導光板18の縁部に前記係合凸部25を形成するような構成とすることも可能である。なお、プリズムシート21を配設する場合、その枚数は本実施形態の3枚に限らず、1枚であってもよい。
【符号の説明】
【0050】
10 液晶表示素子
11 可撓配線基板
12 ベースフィルム
13 電気回路
14 LSI
15 彎曲部
16 電源側配線基板
17 点光源
18 導光板
19 ガイド枠
20 導光体
21 プリズムシート
22 接着シート
22A 枠状シート部
22B 被覆突縁
22C 弱め線
23 拡散反射層
24 筐体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶表示素子と、前記液晶表示素子の下方に対向配置された電源側配線基板と、前記液晶表示素子と前記電源側配線基板とを接続する可撓配線基板と、導光板を有する導光体と、前記導光体の一端面の側方に対向配置された光源とを備え、前記導光体を前記電源側配線基板の上に配置させ、前記液晶表示素子と前記導光体とを接着シートを介して接着してなる液晶表示装置において、
前記接着シートの少なくとも一側縁には、前記導光板の光源が配設されていない対応する端面を被覆するように配設される被覆突縁が突設されており、前記被覆突縁の前記導光板の光源が配設されていない端面に対向する面は反射面とされていることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記液晶表示素子、前記導光体及び前記電源側配線基板が収納される筐体を備え、前記被覆突縁は、前記筐体の内壁と前記導光板の光源が配設されていない端面との間に配設された前記可撓配線基板よりも前記導光体側に位置するようにして配設されていることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記導光体が前記導光板を支承するガイド枠を備え、前記接着シートが前記ガイド枠と前記液晶表示素子とを接着してなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記導光板が平面視矩形であり、前記被覆突縁の幅寸法が前記端面の幅寸法よりも大きく形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−154399(P2011−154399A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−101809(P2011−101809)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【分割の表示】特願2000−300306(P2000−300306)の分割
【原出願日】平成12年9月29日(2000.9.29)
【出願人】(000103747)オプトレックス株式会社 (843)
【Fターム(参考)】