液滴吐出装置および液滴吐出方法
【課題】吐出部と対象物の間の離間距離の変動を検査する対象物上の地点が少ない場合でも、吐出タイミングの補正を良好に行うことができる技術を提供すること。
【解決手段】液滴吐出装置は、液滴を吐出する複数の吐出口が形成された吐出部に対して対象物を移動機構によって相対的に移動させ、該吐出部から吐出した前記液滴を前記対象物に着弾させる。液滴吐出装置は、吐出部に対して吐出信号を出力することにより、吐出口からの液滴の吐出を制御する吐出制御部と、対象物上の複数の地点について、対象物の相対的な移動に応じた、吐出部と前記対象物との間の離間距離の変動を検査する検査部と、対象物上の領域のうち、前記複数の地点を除く地点における前記変動を、検査部の検査結果に基づいた演算により補間する補間部と、補間部によって取得された前記変動に関する情報に基づいて、吐出口からの液滴の吐出タイミングを補正する補正部とを備える。
【解決手段】液滴吐出装置は、液滴を吐出する複数の吐出口が形成された吐出部に対して対象物を移動機構によって相対的に移動させ、該吐出部から吐出した前記液滴を前記対象物に着弾させる。液滴吐出装置は、吐出部に対して吐出信号を出力することにより、吐出口からの液滴の吐出を制御する吐出制御部と、対象物上の複数の地点について、対象物の相対的な移動に応じた、吐出部と前記対象物との間の離間距離の変動を検査する検査部と、対象物上の領域のうち、前記複数の地点を除く地点における前記変動を、検査部の検査結果に基づいた演算により補間する補間部と、補間部によって取得された前記変動に関する情報に基づいて、吐出口からの液滴の吐出タイミングを補正する補正部とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、対象物に向けて液滴を吐出して所定のパターンの形成する技術に関し、特に、吐出部と対象物との間の離間距離の変動に応じて処理液を吐出するタイミングを補正して、対象物上の理想的な位置に液滴を着弾させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット方式で液滴を吐出し、対象物に所望のパターンを形成する液滴吐出装置が知られている。例えば、液晶表示装置の製造過程においては、液晶を封入する2枚の基板の間隔を規制するために、基板間にスペーサが形成される。このスペーサは、スペーサ粒子を含む処理液を基板の各地点に塗布するインクジェット方式の塗布装置によって形成される場合がある。このような塗布装置は、例えば、特許文献1に開示されている。
【0003】
ところで、液滴を吐出する吐出部に対して対象物を相対的に移動させた際に、吐出部と対象物との間の離間距離が意図せずに変動する場合がある。離間距離に意図しない変動が生じた場合、液滴の着弾位置にズレが生じてしまう。そこで、液滴を理想的な位置に着弾させるための技術が、これまでにもいくつか提案されている。
【0004】
例えば、特許文献2では、記録ヘッドをキャリッジによって往復走査させながら記録媒体にインクを吐出して記憶を行うインクジェット記録装置が開示されている。このインクジェット記録装置においては、記録ヘッドと記録媒体との間の距離を検出し、該距離の変動量に基づいて、インクの目標吐出位置からのズレを補正するようにインク吐出タイミングが制御されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−210770号公報
【特許文献2】特開2007−331315号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、特許文献2に記載のインクジェット記録装置において、記録精度を向上するためには、上記距離を測定する記録媒体上の地点の数を増やす必要がある。このような場合、測定回数が増大することで、補正のための演算処理量が増大し、補正処理に時間がかかってしまう。このようなことは、上述のスペーサ粒子を塗布する塗布装置においても、同様に起こり得る。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、吐出部と対象物の間の離間距離の変動を検査する対象物上の地点が少ない場合でも、吐出タイミングの補正を良好に行うことができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、第1の態様は、液滴を吐出する複数の吐出口が形成された吐出部に対して対象物を移動機構によって相対的に移動させ、前記吐出部から吐出した前記液滴を前記対象物に着弾させる液滴吐出装置において、前記吐出部に対して吐出信号を出力することにより、前記吐出口からの液滴の吐出を制御する吐出制御部と、前記対象物の相対的な移動に応じた、前記吐出部と前記対象物との間の離間距離の変動を、前記対象物上の複数の地点について検査する検査部と、前記対象物上の領域のうち、前記複数の地点とは異なる地点における前記変動に関する情報を、前記検査部の検査結果に基づいた演算により補間する補間部と、前記補間部によって取得された前記変動に関する情報に基づいて、前記吐出口からの前記液滴の吐出タイミングを補正する補正部とを備える。
【0009】
また、第2の態様は、第1の態様に係る液滴吐出装置において、前記補間部は、前記変動が検査された前記複数の地点の位置と、前記複数の地点における変動との相関を示す関数に基づいて、前記変動に関する情報を補間する。
【0010】
また、第3の態様は、第2の態様に係る液滴吐出装置において、前記関数が、スプライン曲線を表す関数である。
【0011】
また、第4の態様は、第2または第3の態様に係る液滴吐出装置において、前記移動機構は、前記吐出部に対して前記対象物を第一方向に沿って移動させ、複数の前記吐出口は、前記一方向に直交する第二方向の成分を持つ方向に沿って配列された状態で前記液滴を吐出し、前記補間部は、第二方向に関して、前記変動に関する情報を補間する。
【0012】
また、第5の態様は、第4の態様に係る液滴吐出装置において、前記補間部は、前記一方向に関して、前記変動に関する情報を補間する。
【0013】
また、第6の態様は、第1から第5の態様までのいずれか1態様に係る液滴吐出装置において、前記検査部は、前記離間距離を測定する測定器の測定結果に基づいて、前記変動を検査する。
【0014】
また、第7の態様は、第1から5の態様までのいずれか1態様に係る液滴吐出装置において、前記吐出制御部は、前記対象物に補正用のパターンを形成するように前記吐出部を制御し、前記検査部は、前記対象物に形成されたパターンと前記補正用のパターンとの比較に基づいて、前記液滴の着弾位置のズレ量を取得し、該ズレ量から前記変動を検査する。
【0015】
また、第8の態様は、第7の態様に係る液滴吐出装置において、前記補正用のパターンが、前記対象物の表面の縦方向および横方向に沿って等間隔で液滴が着弾することにより形成されるパターンである。
【0016】
また、第9の態様は、第7または第8の態様に係る液滴吐出装置において、前記対象物の表面には、ブラックマトリックスが形成されており、前記液滴は、スペーサ粒子を含み、前記吐出ノズルが前記ブラックマトリックスに向けて前記液滴を吐出することによって、前記補正用のパターンが形成される。
【0017】
また、第10の態様は、液滴を吐出する複数の吐出口が形成された吐出部に対して対象物を移動機構によって相対的に移動させ、前記吐出部から吐出した前記液滴を前記対象物に着弾させる液滴吐出方法において、(a)前記吐出部に対して吐出信号を出力することにより、前記吐出部からの液滴の吐出を制御する工程と、(b)前記対象物の相対的な移動に応じた、前記吐出部と前記対象物との間の離間距離の変動を、前記対象物上の複数の地点について検査する工程と、(c)前記対象物上の領域のうち、前記複数の地点とは異なる地点における前記変動に関する情報を、前記(b)工程の検査結果に基づき演算により補間する工程と、(d)前記(b)工程および前記(c)工程において取得された前記変動に関する情報に基づいて、前記(a)工程における前記吐出部からの前記液滴の吐出タイミングを補正する工程とを含む。
【発明の効果】
【0018】
第1から第9の態様に係る液滴吐出装置によると、複数の地点における吐出部と対象物との間の離間距離の変動の検査結果に基づいて、未検査部分における離間距離の変動を演算により取得することができる。したがって、離間距離の変動の測定に必要な時間または演算量を軽減しつつ、対象物のあらゆる地点に対する液滴の吐出タイミングの補正を適切に行うことができる。
【0019】
第2の態様にかかる検査装置によると、離間距離の変動を検査した複数の地点の位置と、各地点での離間距離の変動との相関を示す関数に基づいて、未検査の地点における離間距離の変動が補間される。このため、未検査部分における離間距離の変動を、検査された周辺部分の変動から合理的に取得することができる。
【0020】
第3の態様にかかる検査装置によると、スプライン曲線の関数に基づいて、未検査部分における離間距離の変動を合理的に補間することができる。
【0021】
第4の態様に係る検査装置によると、対象物の相対的な移動方向と直交する方向に関して、離間距離の変動を補間することができる。したがって、複数の吐出口のそれぞれの位置に対応する、対象物上の地点における離間距離の変動を補間することができる。
【0022】
第5の態様に係る検査装置によると、対象物の相対的な移動方向に関して、離間距離の変動を補間することができる。
【0023】
第6の態様に係る液滴吐出装置によると、離間距離の変動量を直接的に取得することができる。
【0024】
第7の態様に係る液滴吐出装置によると、実際の着弾位置と理想的な着弾位置とのズレ量から、離間距離の変動検査することができる。
【0025】
第8の態様に係る液滴吐出装置によると、補正用のパターンを縦方向および横方向に等間隔で着弾させて形成されるようにすることで、補正処理の演算のアルゴリズムを容易化できる。
【0026】
第9の態様に係る液滴吐出装置によると、ブラックマトリックス上にスペーサ領域を形成する場合と同条件で補正用パターンを形成することができる。したがって、補正精度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】第1実施形態に係る液滴吐出装置の斜視図である。
【図2】表面にスペーサ粒子分散液が吐出された基板の表面の一部を示す部分平面図である。
【図3】吐出ヘッドユニットをその下面から見た斜視図である。
【図4】吐出ヘッドユニットの移動機構を示す斜視図である。
【図5】基板1におけるブラックマトリックスのピッチと、吐出ヘッドの吐出口の配置との関係を示す説明図である。
【図6】液滴吐出装置の概略構成図である。
【図7】制御部の機能ブロックをデータの流れとともに示す図である。
【図8】吐出ヘッドユニットから処理液であるスペーサ粒子分散液を吐出する様子を示す概略側面図である。
【図9】理想的な補正用パターンが描画された基板の表面を示す概略平面図である。
【図10】補正用パターンが形成された基板の表面の一例を示す概略平面図である。
【図11】図10に示した補正用パターンの一部を示す概略平面図である。
【図12】図10に示した補正用パターンの一部を示す概略平面図である。
【図13】第2実施形態に係る液滴吐出装置の概略構成図である。
【図14】第2実施形態に係る制御部8Aの機能ブロックをデータの流れとともに示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、この発明の実施形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下の実施形態に記載されている構成要素はあくまでも例示であり、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0029】
<1. 第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る液滴吐出装置100の斜視図である。また、図2は、表面にスペーサ粒子分散液が吐出された基板1の表面の一部を示す部分平面図である。
【0030】
図1においては、吐出ヘッドユニット12の配列方向をx軸、テーブル11の移動方向をy軸および鉛直方向をz軸とする左手系のxyz座標系を付している。ただし、これらの軸方向は、液滴吐出装置100の各要素の配置方向を説明するために便宜上定義したものであり、本願発明の構成を限定する趣旨のものではない。
【0031】
液滴吐出装置100は、インクジェット方式により、基板1上にスペーサ粒子を分散させたスペーサ粒子分散液を塗布する。これにより、基板1上にスペーサ粒子を含むスペーサ領域が形成され、液晶層封入用のギャップが形成される。ここで、図2を参照しつつ、液晶表示装置の製造工程について説明する。この液晶表示装置の製造工程は、液晶の封入工程などの前工程として実行されるものであり、2枚の基板の間に、スペーサ粒子を介在させることによって、液晶層封入用のギャップを形成するものである。
【0032】
液晶表示装置が製造する工程の1つに、スペーサ領域生成工程がある。このスペーサ領域生成工程においては、透明の基板1上にスペーサ粒子を分散させたスペーサ粒子分散液が吐出される。これにより、スペーサ粒子を含むスペーサ領域31が形成される。具体的には、液滴吐出装置100において、多数の吐出ヘッド18が列設された吐出ヘッドユニット12が基板1に対して相対的に移動する(走査する)ことにより、基板1の表面にスペーサ粒子分散液を吐出する。
【0033】
このスペーサ領域31が形成される透明の基板1の表面には、図2に示したように、それぞれ画素領域であるレッドのカラーフィルターの領域Rと、グリーンのカラーフィルターの領域Gと、ブルーのカラーフィルターの領域Bと、これらの画素領域を区画するブラックマトリックス33とが設けられている。スペーサ粒子分散液は、ブラックマトリックス33に向けて吐出され、そこにスペーサ領域31が形成される。図2に示した例では、縦方向および横方向に延在するブラックマトリックス33の交差点上にスペーサ領域31が形成されている。したがって、基板1上において、多数のスペーサ領域31が縦方向および横方向に沿って等間隔で点在している。
【0034】
液晶表示装置の製造過程においては、スペーサ領域生成工程に引き続き、乾燥工程が実施される。この乾燥工程では、透明の基板1がホットプレートに搬送され、基板1がホットプレート上で加熱される。これにより、スペーサ粒子分散液から揮発成分が蒸発するとともに、スペーサ領域31のスペーサ粒子が基板1に固着することとなる。
【0035】
この乾燥工程においては、最初にスペーサ粒子分散液から揮発成分が蒸発することにより、表面張力によりスペーサ領域31のスペーサ粒子同士が互いに集まって接触する。そして、それらを焼成して互いに固着させ、スペーサ領域31のスペーサ粒子を基板1に固着させる。このようにして製造された基板1ともう1枚の透明基板とを相互に貼り合わせた場合、スペーサ領域31のスペーサ粒子によって、基板間に隙間が形成される。この隙間に液晶が封入されることによって、液晶表示装置用のパネルが製造される。
【0036】
図1に戻って、本実施形態に係る液滴吐出装置100の構成について説明する。
【0037】
液滴吐出装置100は、基板1を支持するテーブル11と、複数(ここでは、12個)の吐出ヘッドユニット12と、複数の吐出ヘッドユニット12を支持するガントリー13とを備えている。x軸に沿って延びるガントリー13の内側には、x軸に沿って延びる開口部が形成されている。複数の吐出ヘッドユニット12は、このガントリー13の内側に形成されたz軸方向に開口する開口部に配列されている。
【0038】
テーブル11は、基台14上に配設されたリニアモータ15の駆動を受けて、一対のガイド部材16,16により案内された状態で、複数の吐出ヘッドユニット12の列設方向と直交するy軸方向を主走査方向として往復移動する。液滴吐出装置100においては、基板1を載置したテーブル11を主走査方向に移動させながら、12個の吐出ヘッドユニット12よりスペーサ粒子分散液を吐出することにより、基板1にスペーサ粒子を含むスペーサ領域31を形成する。
【0039】
ガントリー13の両端部には、一対のリニアモータ21,21が配列されている。ガントリー13は、これらのリニアモータ21,21を介して基台14に支持されている。このため、ガントリー13は、これらのリニアモータ21,21を個別に駆動することにより、テーブル11による基板1の搬送方向と交差角度を変更することができる構成となっている。
【0040】
基台14の一端には、吐出ヘッドユニット12を洗浄する洗浄部22が配設されている。この洗浄部22は、テーブル11による基板1のy軸に沿う搬送方向と直交するx軸に沿う方向(x軸方向)に往復移動可能となっている。また、この洗浄部22の移動方向に沿って、吐出ヘッドユニット12の乾燥を防止するための乾燥防止部23が複数(ここでは、12個)配設されている。後述する各吐出ヘッド18は、待機時においては、これらの乾燥防止部23と対向配置される。
【0041】
図3は、吐出ヘッドユニット12をその下面から見た斜視図である。なお図3においては、吐出ヘッド18の一部を拡大して示している。
【0042】
ガントリー13に支持された12個の吐出ヘッドユニット12には、ヘッド支持板17が配設されている。このヘッド支持板17には、一方向に沿って、複数(ここでは5個)の吐出ヘッド18が配設されている。そしてこれらの吐出ヘッド18には、一方向に沿って多数のスペーサ粒子分散液の吐出口19が配列されている。
【0043】
図4は、吐出ヘッドユニット12の移動機構を示す斜視図である。図4においては、図1に示した12個の吐出ヘッドユニット12のうちの1つのみを図示している。
【0044】
複数の吐出ヘッドユニット12が装着されるガントリー13の内周面のうちy軸方向において対向する両側内側面のそれぞれには、リニアガイド24とリニアスケール25と、リニアモータ26とが設けられている。リニアガイド24、リニアスケール25およびリニアモータ26は、長手方向がx軸に沿うようして設けられている。また、複数の吐出ヘッドユニット12は、それぞれ支持板27によって支持されている。各支持板27の下面には、リニアモータ26の固定子に沿って移動する図示しない可動子が設けられている。
【0045】
支持板27は、リニアモータ26の駆動により、そのy軸方向おける両端部がリニアガイド24により案内された状態で、基板1の搬送方向(y軸方向)と交差するx軸に沿って移動する。そして、その移動量は、リニアスケール25により測定される。このような吐出ヘッドユニット12の移動機構によって、各吐出ヘッドユニット12を設定された移動量だけ基板1の搬送方向と交差する方向に移動させることができる。これにより、吐出ヘッドユニット12のピッチを変更することが可能となる。
【0046】
上述したように、ガントリー13は、一対のリニアモータ21,21を個別に駆動することにより、テーブル11による基板1の搬送方向との交差角度を変更する。この交差角度が変更されることにより、ガントリー13に支持された吐出ヘッドユニット12の角度も変更され、これに伴って、吐出ヘッドユニット12に配設された吐出ヘッド18におけるスペーサ粒子分散液の吐出口19の列設方向と基板1の搬送方向との交差角度が変更されることとなる。
【0047】
上述したように、吐出ヘッドユニット12のピッチと、吐出ヘッド18におけるスペーサ粒子分散液の吐出口19の列設方向と基板1の搬送方向との交差角度とを変更する構成を採用しているのは、以下の理由によるものである。
【0048】
図5は、基板1におけるブラックマトリックス33のピッチと、吐出ヘッド18の吐出口19の配置との関係を示す説明図である。
【0049】
ブラックマトリックス33のピッチは、液晶表示装置の種類や製造業者などによって異なっている。このようなブラックマトリックス33のピッチに対応するため、図5に示したように、吐出ヘッド18間において、スペーサ粒子分散液の吐出口19のピッチを調整する必要がある。そこで、液滴吐出装置100においては、ここでは、隣り合う吐出ヘッドユニット12間において、吐出ヘッドユニット12同士の距離を変更すればよい。このような理由から、この液滴吐出装置100においては、吐出ヘッドユニット12のピッチと、ガントリー13と基板1の搬送方向との交差角度とを変更する構成を採用している。
【0050】
以上のような構成を有する液滴吐出装置100を使用して基板1にスペーサ粒子分散液を塗布するときには、最初に、基板1をテーブル11上に位置決めして固定する。また、基板1におけるブラックマトリックス33のピッチに対応させて、吐出ヘッド18におけるスペーサ粒子分散液の吐出口19の列設方向と基板1の搬送方向との交差角度と、吐出ヘッドユニット12のピッチとを変更する。
【0051】
この状態において、テーブル11を基板1とともに主走査方向に移動させながら12個の吐出ヘッドユニット12における各吐出ヘッド18からスペーサ粒子分散液を吐出することにより、基板1におけるブラックマトリックス33上にスペーサ粒子を含むスペーサ領域31を形成することができる。なお、スペーサ領域31をできるだけ基板1上の正確な位置に形成するため、テーブル11が等速で移動している期間中に、スペーサ粒子分散液の吐出が行われることが望ましい。ただし、テーブル11が加速中または減速中の間にであっても、スペーサ粒子分散液の吐出が行われてもよい。
【0052】
図6は、液滴吐出装置100の概略構成図である。また、図7は、制御部8の機能ブロックをデータの流れとともに示す図である。図6に示したように、液滴吐出装置100は、レーザー測長器4と、撮影部5とを備えている。
【0053】
レーザー測長器4は、テーブル11の側面に取り付けられた図示しないコーナーキューブにレーザー光を照射して、該コーナーキューブにて反射されたレーザー光を検出することにより、テーブル11のy軸方向における位置を高精度に検出する。レーザー測長器4は、制御部8に向けてテーブル11の位置情報を送信する。
【0054】
撮影部5は、基板1の表面を撮影した表面画像を取得する。なお、撮影部5は、図示しない移動機構によって、x軸方向に沿って移動することができる。テーブル11をy軸方向に移動させるとともに、撮影部5をx軸方向に移動させることで、撮影部5により、テーブル11に固定された基板1の略全面の画像を撮影することができる。撮影部5は画像信号を制御部8に送信する。取得された画像データ93は画像処理部83において処理され、後述する吐出タイミングの補正のために利用される。なお、基板1の位置を特定して所要位置に配置させる際、または、スペーサ領域31の形成状況などの解析を行う際に、撮影部5で撮影した画像を利用するようにしてもよい。
【0055】
制御部8は、CPU、RAMなどのメモリを備えた一般的なコンピュータとして構成されている。本実施形態では、制御部8は、図7に示したように、吐出制御部81、画像処理部83、検査部85、補間部87および補正部89として機能する。これらの機能ブロックは、メモリ上に展開されるプログラム(図示せず)にしたがってCPUが動作することにより実現される。なお、制御部8は複数台のコンピュータで構成されていてもよい。また、図7に示した機能ブロックの一部または全部が、専用の回路によってハードウェア的に実現されてもよい。
【0056】
吐出制御部81は、吐出タイミングが記述されたデータに基づいて、吐出ヘッドユニット12に向けて吐出信号を出力することによって、吐出ヘッドユニット12からのスペーサ粒子分散液の吐出を制御する。本実施形態においては、吐出タイミングが記述されたデータとして、第一吐出タイミングデータ91および第二吐出タイミングデータ92とが記憶部9に格納されている。
【0057】
第一吐出タイミングデータ91は、図2に示したブラックマトリックス33上にスペーサ領域31を基板1に形成するために、複数の吐出ヘッドユニット12がスペーサ粒子分散液(液滴191)を各吐出口19から吐出すべきタイミングを規定するデータである。また第二吐出タイミングデータ92は、基板1に補正用パターンを形成するために、複数の吐出ヘッドユニット12がスペーサ粒子分散液を各吐出口19から吐出すべきタイミングを規定するデータである。補正用パターンの詳細については後述する。
【0058】
第一吐出タイミングデータ91および第二吐出タイミングデータ92は、吐出タイミングが具体的な時間として規定されていてもよいし、吐出タイミングが基板1と吐出ヘッドユニット12との相対的な位置関係を基準にして規定されていてもよい。前者の場合は、液滴吐出が時間経過に基づいて行われるのに対し、後者の場合は、例えば、基板1が、吐出ヘッドユニット12から液滴を吐出すべき位置に到達したか否かで液滴吐出の制御が行われることとなる。
【0059】
画像処理部83は、撮影部5から送られる画像信号に基づいて、ノイズ除去やコントラスト調整などの画像処理を適宜行い、基板1の表面画像に関する画像データ93を生成する。検査部85は、画像処理部83によって取得された画像データ93に基づいて、スペーサ粒子分散液が着弾した着弾位置を取得する。また、検査部85は、補正用パターンの理想的な着弾位置と、実際の着弾位置とを比較することによって、着弾位置のズレ量を取得する。さらに検査部85は、該ズレ量を測定することによって、基板1の移動に応じた、吐出ヘッド18と基板1との間の離間距離の変動を検査する。検査部85は、離間距離の変動の検査結果を検査結果データ95として記憶部9に格納する。ここで、離間距離の変動に伴う、吐出タイミングの補正について具体的に説明する。
【0060】
<吐出タイミングの補正>
図8は、吐出ヘッドユニット12から処理液であるスペーサ粒子分散液を吐出する様子を示す概略側面図である。
【0061】
図8に示したように、吐出ヘッドユニット12(詳細には吐出口19)から吐出されたスペーサ粒子分散液の液滴191は、鉛直方向に落下する。このとき、テーブル11はy軸に沿って移動しているため、y軸方向における、液滴191の着弾位置は、吐出時の位置から移動することとなる。具体的にこの着弾位置の移動量をDvとして、液滴191の落下速度をVd、テーブル11の移動速度をVs、吐出ヘッドユニット12(具体的には、吐出口19)と基板1表面との間の間隔(離間距離)をGapとすると、以下の等式が成立する。
【0062】
Dv=Vs*(Gap/Vd) ・・・ 式(1)
ここで、離間距離に意図しない変動が生じなければ、基板1上の理想位置にスペーサ粒子分散液を着弾させることができる。しかしながら、テーブル11を移動させると、その移動精度に応じて、離間距離に意図しない変動が生じる場合がある。このように離間距離が変動すると、液滴191の実際の着弾位置が理想的な着弾位置からずれてしまうこととなる。
【0063】
具体的に、離間距離が想定よりも小さくなった場合、液滴191が基板1に着弾するタイミングが想定よりも早くなってしまう。したがって、理想位置よりも基板1の移動方向と同方向にずれて着弾することとなる。これに対して、離間距離が想定よりも大きくなった場合は、着弾するタイミングが遅延されるため、液滴191は理想位置よりも基板1の移動方向とは逆方向にずれて着弾することとなる。
【0064】
図2に示したスペーサ領域31の形成を理想的に行うためには、基板1の移動に伴う離間距離の変動を検出して、該離間距離の変動に応じて吐出タイミングを補正することが望ましい。そこで本実施形態では、液滴吐出装置100によって基板1に補正用パターンを描画し、形成されたパターンと理想的な補正用パターンとを比較する。このとき、離間距離の意図しない変動は、スペーサ粒子分散液が着弾する理想的な位置と実際に着弾した位置の相違として検出される。液滴吐出装置100は、この着弾位置の相違から、吐出タイミングの補正を行う。具体的には、補正部89が、この吐出タイミングを補正するための補正量を所要の演算により算出する。次に、補正量を算出する方法について説明する。
【0065】
図9は、理想的な補正用パターンが描画された基板1の表面を示す概略平面図である。また図10は、補正用パターンが形成された基板1の表面の一例を示す概略平面図である。なお、図9および図10においては、基板1の表面の一部分のみが図示されている。また図9では、基板1に補正用パターンを描画するときの複数の吐出口19(吐出口19a〜19j)の相対的な位置が概念的に図示されている。
【0066】
図9,10においては、左手系のXY座標系を付している。このXY座標系は、基板1上において定義される座標系であり、基板1の移動(テーブル11の移動)により、xyz座標系に対して相対的に移動する座標系となっている。ただし、X軸方向はx軸方向と平行であり、Y軸方向はy軸方向と平行としている。以下の説明において、基板1上の地点の位置は、このXY座標系における位置をいうものとする。
【0067】
本実施形態では、補正用パターンとして、格子点状パターンを基板1の表面に描画するように第二吐出タイミングデータ92が設定されている。ここで、格子点状パターンとは、図9に示したように、縦方向(Y軸方向)または横方向(X軸方向)に関して、所要間隔で周期的にスペーサ粒子分散液を塗布することにより形成されるパターンをいう。図9では、ドットD01〜D16からなる格子点状パターンを図示している。ドットD01〜D16のそれぞれは、単一の吐出口19(吐出口19a,19d,19gまたは19j)から吐出されるスペーサ粒子分散液の液滴191が基板1に着弾したものに相当する。
【0068】
また、本実施形態では、Y軸に沿って一直線上に並ぶドットは、同一の吐出口19から所要時間間隔でスペーサ粒子分散液の液滴191が吐出されることにより形成される。例えば、ドットD01,D05,D09,D13は、吐出口19aから順次吐出された液滴191によって形成される。また、本実施形態では、基板1がY軸方向に沿って一方向(図9中、矢頭で示す「移動方向」であり+Y方向)に1回移動することによって、補正用パターンが形成されるようにしている。したがって、図9に示した例では、最初にドットD01〜D04が形成され、その次にドットD05〜D08,その次にドットD09〜D12、そして最後にドットD13〜ドットD16が形成されることとなる。なお、テーブル11をy軸方向に沿って往復移動させることで、ドットD01〜D16を形成するようにすることも可能である、しかしながら、ここでは、理解を容易にするため、基板1を一方向にのみ移動させて補正用パターンを形成させるものとする。
【0069】
本実施形態では、吐出ヘッド18に設けられている多数の吐出口19のうちの一部のみからスペーサ粒子分散液が吐出されることにより補正用パターンが形成される。図9に示した例では、吐出口19a〜19jのうち、一部の吐出口19a,19d,19g,19jからのみ液滴191を吐出するようにしている。換言すると、ドットD01〜D16のうち、X軸方向に関して隣り合う2つのドット(例えばドットD01,D02)は、1つ以上の吐出口19(吐出口19b,19c)を飛ばして選択される2つの吐出口19(吐出口19a,19d)からスペーサ粒子分散液が吐出されることにより形成される。
【0070】
なお、補正用パターンを形成するときのテーブル11の移動速度は、基板1にスペーサ領域31を形成するとき同じになるように設定されている。これにより、スペーサ領域31形成時に生じ得る離間距離の変動を同じように再現することができる。また、本実施形態では、テーブル11の移動開始位置、移動終了位置、およびテーブル11の加速条件なども一致させることで、スペーサ領域31形成時に生じる離間距離の変動を、補正用パターン形成時において略完全に再現するようにしている。
【0071】
また、テーブル11上における基板1の配置位置は、補正用パターン形成時とスペーサ領域31形成時とで略一致させている。これにより、基板1上における補正用パターンを構成するドット(例えば、ドットD01〜D16)の位置情報を、そのままスペーサ領域31を形成するときの基板1上の位置情報として扱うことができる。ただし、補正パターン形成時とスペーサ領域31形成時とで、テーブル11上における基板1の配置位置が異なっていたとしても、基板1に描画された補正用パターンのドットの位置情報を、配置位置の相違分だけシフトさせる演算処理を行えばよい。
【0072】
また、図9に示した補正用パターンの構成するドットを形成する基板1上の位置は、スペーサ領域31を形成する地点の一部に一致していてもよい。この場合、ドットの形成位置のズレ量から算出される吐出タイミングの補正量を、該形成位置に対応するスペーサ領域31の形成時に適用することができる。
【0073】
ここで、補正用パターンの形成中に、離間距離に意図しない変動が生じることで、ドットD01〜D16の位置が、図9に示した理想的な位置からずれるケースを想定する。図10に示した例では、補正用パターンとしてドットDa01〜Da16が形成されているが、一部のドットDa03,Da07,Da10,Da11が理想的な位置(つまり、ドットD01〜D16が形成される位置)に形成されずに、基板1の移動方向に平行なy軸方向に沿ってその着弾位置がずれている。
【0074】
具体的に、ドットDa03,Da11は、基板1の移動方向と同方向に距離dDv03,dDv11だけ位置ズレしている。このことから、ドットDa03,Da11が形成されるべき位置(つまり、ドットD03,D11が形成される位置)では、基板1と吐出ヘッド18(具体的には吐出口19g)との間の離間距離が、想定よりも短くなっていることが予想される。また、ドットDa07,Da10は、基板1の移動方向とは逆方向にdDv07,dDv10分の距離だけ位置ズレしている。このことから、ドットDa07,Da10が形成されるべき位置(つまり、ドットD07,D10が形成されるべき位置)における基板1と吐出ヘッド18(より具体的には吐出口19dまたは吐出口19g)との間の離間距離が、想定よりも長くなっていることが予想される。
【0075】
ここで、離間距離(Gap)の想定値からの変動量をdGapとし、着弾位置のズレ量をdDvとすると、離間距離の変動量は、以下の数式で表すことができる。
【0076】
dGap=Vs*(dDv/Vd) ・・・ 式(2)
上記式(2)に示されるように、離間距離の変動量dGapは、着弾位置のズレ量dDvを変数とする関数として定義される。したがって、着弾位置のズレ量dDvを取得することと、離間距離の変動を検出することとは等価となっている。したがって、着弾位置のズレ量は、離間距離の変動に関する情報と言うこともできる。
【0077】
なお、吐出口19から吐出される液滴191の大きさが想定している大きさと異なると、落下速度などに違いが生じてしまい、着弾位置がずれてしまう虞がある。そこで、吐出タイミングの補正を高精度に行うためには、吐出口19からの液滴191の吐出量は、予め調整されていることが望ましい。
【0078】
検査部85は、図10に示したような基板1に形成されているドットの位置情報と、各ドットの着弾位置のズレ量とを検査結果データ95として記憶部9に格納する。つまり検査結果データ95は、基板1上の位置(X軸方向の位置およびY軸方向の位置)と、その位置での着弾位置のズレ量(離間距離の変動量(dGap)に相関する。)とで構成される3次元データの集合とされる。なお、着弾位置のズレ量の代わりに、上記式(2)などから算出される離間距離の変動量(dGap)を、検査結果データ95の一部としてもよい。
【0079】
ところで、図10に示したような補正用パターンのドットの位置については、画像処理部83によって取得された画像データから取得することができる。具体的には、検査部85が画像データ93から各ドットを画像認識により抽出して、各ドットの中心または重心などの位置情報を、各ドットの位置情報として取得するようにすればよい。このドットの画像認識については、従来の画像認識技術またはこれに類似する各種画像処理技術を適用することで容易に実現できる。
【0080】
図7に戻って、検査部85によって検査結果データ95が生成されると、補間部87により、検査結果データ95について、補間処理が行われる。この補間処理について、図11および図12を参照しつつ説明する。
【0081】
<補間処理>
図11および図12は、図10に示した補正用パターンの一部を示す概略平面図である。上述したように、本実施形態では、補正用パターンを格子点状パターンとしている。このため、検査部85によって着弾位置のズレ量(dDv)を測定した地点(つまり、離間距離の変動(dGap)を検査した地点)は、図10に示したように、基板1上において、所要間隔をあけて離散的に分散している。したがって、基板1上において、離間距離の変動が検査されていない地点は、多数存在していることとなる。
【0082】
補間部87は、この基板1上で離間距離の変動が検出されていない地点における離間距離の変動を所定の演算処理に基づいて補間する。この補間処理は、検査部85による検査結果に基づいて実施される。本実施形態においては、補間部87は、X軸方向に沿った補間処理と、Y軸方向に沿った補間処理とを独立して行う。それぞれの補間処理について、図11または図12を参照しつつ具体的に説明する。
【0083】
図11は、X軸方向に沿った補間処理を説明するための図である。ここでは、補間処理によって、ドットD10,D11の間における離間距離の変動を推定する場合について具体的に説明する。この場合、ドットD10,D11形成時の着弾位置のズレ量dDv10,dDv11と、各ドットD10,D11のX軸方向における位置との相関を示すスプライン曲線SC1の関数が取得される。このスプライン曲線SC1の関数は、n次の多項式(nは0以上の任意の整数)で定義される。なお、各ドットD10,D11のX軸方向に関する位置は、ドットD10,D11を通る直線SL1上に任意に設定される図示しない原点を基準として定義される。
【0084】
スプライン曲線SC1は、図11に示したように、実際に形成されたドットDa10,Da11を通る(ここでは、中心点を通る)曲線と捉えることも可能である。このようなスプライン曲線SC1の関数を求めることによって、ドットを形成していない部分(つまり、離間距離の変動を検査していない部分)における着弾位置のズレ量を仮想的に取得できる。この仮想的に取得された着弾位置のズレ量から、離間距離の変動を演算により取得することができる。つまり、離間距離の変動が検査されていない部分についても、離間距離の変動を推定することが可能となる。
【0085】
例えば、格子点状の補正用パターンを形成した場合、図11に示したように、吐出口19d,19gから液滴191が吐出されており、それらに挟まれる吐出口19e,19fからは液滴191が吐出されない。したがって、吐出口19e,19fに対応する位置における離間距離の変動は、検査部85によって検査されないこととなる。しかしながら、補間部87によって、これらの吐出口19e,19fから吐出したと想定した場合における、離間距離の変動を補間することができる。
【0086】
具体的に、第二吐出タイミングデータ92において、吐出口19e,19fから直線SL1上に液滴191を吐出するように設定されていたと仮定する。すると、ドットD10,D11間における離間距離の変動を想定した場合、吐出口19e,19fから吐出された液滴191の着弾位置は、スプライン曲線SC1上の地点L1,L2となることが推定される。この地点L1,L2は、吐出口19e,19fが基板1に対して相対的に移動するときの移動軌跡線と、スプライン曲線SC1との交差部分である。そこで地点L1,L2の直線SL1からのY軸方向のズレ量dDv21,dDv22を算出することで、吐出口19e,19fに対応する位置での離間距離の変動を算出することができる。
【0087】
以上のような補間処理を、他のX軸方向において隣り合う2つのドット間に適用することによって、各ドット間における、X軸方向に沿った離間距離の変動を容易に推定することができる。次にY軸方向に関する補間処理について説明する。
【0088】
図12は、Y軸方向に関する補間処理を説明するための図である。ここでは、ドットD07,D11の間に関して補間処理を行う場合について具体的に説明する。この場合、実際に形成されたドットDa07,Da11の着弾位置のズレ量dDv07,dDv11と、ドットD07,D11のY軸方向における位置との相関を示すスプライン曲線SC2の関数が取得される。なお、ドットD07,D11のY軸方向における位置は、ドットD07,D11を通る直線SL2上に任意に設定される図示しない原点を基準にしてそれぞれ定義される。このスプライン曲線SC2の関数から、ドットD07とドットD11の間の各地点に対して、仮想的に液滴191を吐出した場合の、着弾位置のズレ量を算出することができる。そしてこの算出されたズレ量から、ドットD07,D11間における離間距離の変動を推定することができる。
【0089】
補間部87は、以上のような補間処理を、他のY軸方向に関して隣り合うドット間に関して行う。これにより、基板1上の各ドット間におけるY軸方向に沿った離間距離の変動を容易に推定することができる。
【0090】
なお、図11,12に示した例では、スプライン曲線SC1,SC2を補間方法として利用しているが、その他の一般的なデータ補間方法(例えばラグランジュ補間、ニュートン補間など)を適用してもよい。いずれのデータ補間方法が採用されたとしても、基板1に実際に形成された複数のドットの着弾位置のズレ量と、各ドットの位置情報との相関関係に基づいてデータ補間が行われる。
【0091】
また、本実施形態では、X軸方向またはY軸方向に沿ってデータ補間するようにしているが、X軸方向およびY軸方向の双方に成分を持つ斜め方向に沿ってデータ補間することも可能である。この場合は、この斜め方向に沿って並ぶ2つのドット(例えばドットD01,D06など)を抽出し、それぞれのドットの位置情報と実際に描画されたそれぞれのドットの着弾位置のズレ量との相関関係から、スプライン曲線などのデータ補間用の関数を算出すればよい。
【0092】
また、本実施形態では、ある地点のX軸方向またはY軸方向の位置情報(つまり一次元の位置情報)と、その地点での着弾位置のズレ量との相関から、スプライン曲線の関数を求めるようにしている。しかしながら、各地点のX軸方向およびY軸方向における位置情報(つまり2次元の位置情報)と、各地点での着弾位置のズレ量の相関関係を示す、スプライン曲面の関数を取得するようにしてもよい。このような関数を用いることで、基板1上のあらゆる地点における離間距離の変動を、容易に推定することが可能となる。
【0093】
なお、補間部87は、基板1上のスペーサ領域31が形成される全地点のうち、検査部85によって着弾位置のズレ量が検査されていない地点について、仮想的なズレ量を補間処理により取得する。これにより、スペーサ領域31が形成される地点における離間距離の変動量を取得することができる。補間部87は、その補間処理結果を補間後データ96として記憶部9に格納する(図7参照)。以上が補間処理についての説明である。
【0094】
補正部89は、補間後データ96を参照して、第一吐出タイミングデータ91を補正する。詳細には、補正部97は、スペーサ領域31を形成させる各地点のうち、離間距離が想定よりも短くなっているとされる地点については、その距離分に相当する時間量だけ、吐出タイミングを遅延させるように第一吐出タイミングデータ91を補正する。一方、離間距離が想定よりも長くなっているとされる地点については、補間部87は、その距離分に相当する時間量だけ、吐出タイミングを早めるように第一吐出タイミングデータ91を補正する。吐出制御部81は、このようにして補正された第一吐出タイミングデータ91に基づいて液滴191の吐出を行う。これにより、基板1上において、基板1上の理想的な位置に、スペーサ領域31を形成することができる。
【0095】
なお、図9に示した補正用パターンの構成するドットを形成する基板1上の位置を、スペーサ領域31を形成する地点の一部に一致させた場合、補正用パターンドットの形成位置のズレ量から算出される吐出タイミングの補正量を、該位置に対応するスペーサ領域31の形成時に適用できる。したがって、補正用パターンのドットの形成位置に対応するスペーサ領域31の基板1上の地点に関して、改めて離間距離の変動に関する情報を取得する必要がないため、補正処理に必要な演算処理または時間を軽減することができる。ただし、基板1上における、補正用パターンのドットの形成位置と、スペーサ領域31の形成位置とは、必ずしも一致していなくてもよい。このような場合であっても、上述した補間処理によって、スペーサ領域31が形成される地点の、離間距離の変動に関する情報は取得可能である。
【0096】
また、本実施形態では、補正用パターンを格子点状に形成している。しかしながら、補正用パターンは、このようなものに限定されるものではない。つまり、液滴191が着弾する位置を測定することができるのであれば、どのような補正用パターンが採用されてもよい。例えば図9,図10に示した例では、同じ吐出口19a,19d,19g,19jからのみ液滴191を吐出することで、Y軸方向に沿ってドットが形成されている。しかしながら、基板1の移動中の位置に応じて、液滴191を吐出する吐出口19の組み合せを切り替えるようにしてもよい。この場合、例えばジグザグ状に分散する複数のドットを補正用パターンとして基板1に形成することができる。
【0097】
<2. 第2実施形態>
上記実施形態にかかる液滴吐出装置100は、補正用パターンを基板1に形成して、基板1上の各地点における着弾位置のズレ量から、各地点における吐出ヘッドユニット12と基板1との間の離間距離の変動を検査するように構成されている。しかしながら、離間距離の変動を直接的に測定するようにしてもよい。
【0098】
図13は、第2実施形態に係る液滴吐出装置100Aの概略構成図である。なお、以下の説明において、第1実施形態の場合と同様の機能を有する要素については同一符号を付してその説明を省略する。
【0099】
液滴吐出装置100Aは、撮影部5の代わりに、ギャップ計測器6を備えている。ギャップ計測器6は、テーブル11の上方の所要位置に固定されており、基板1の表面までの距離を測定する。したがって、ギャップ計測器6によって、テーブル11を駆動したとき(つまり基板1を移動させたとき)の吐出ヘッドユニット12と基板1との間の離間距離の変動を計測することができる。なお、ギャップ計測器6をx軸に沿って移動させる図示しない移動機構を設けられている。この移動機構を駆動してギャップ計測器6をx軸方向に移動させるとともに、基板1をy軸方向に沿って移動させることで、基板1上のあらゆる地点における離間距離の変動を計測することができる。
【0100】
ギャップ計測器6の構成は、特に限定されるものではないが、例えば光学式変位計を利用することができる。光学式変位計では、レーザー光が投光レンズを通して集光され、該集光されたレーザー光が測定対象物(基板1)に照射される。そして測定対象物から反射された光線の一部について、受光レンズを通して受光素子(光センサ)上にスポットを結ばせる。このとき、測定対象物の変位に応じてスポットの位置が変動する。光学式変位計は、スポットの位置の変動から、測定対象物の変位量を測定するものである。光学式変位計の場合、離間距離をより精密に測定することができる。
【0101】
図14は、第2実施形態に係る制御部8Aの機能ブロックをデータの流れとともに示す図である。図14に示したように、制御部8Aは、検査部85Aとして機能する。検査部85Aは、基板1上の各地点における吐出ヘッドユニット12と基板1との間の離間距離の測定結果に基づき、離間距離の変動を検査することによって、検査結果データ95を生成し、記憶部9に格納する。
【0102】
なお、ギャップ計測器6によって離間距離を測定する基板1上の各地点は、スペーサ領域31を形成する地点に一致していてもよい。ただし、スペーサ領域31が形成される地点の数は膨大であるため、全地点での離間距離を測定に時間がかかり、また、補正のための演算量も膨大となる。そこで、第1実施形態と同様に、スペーサ領域31が形成される全地点のうちの一部のみの地点のみについて、離間距離を測定すればよい。その結果に基づいて生成される検査結果データ95に対して、補間部87が補間処理を行うことによって、離間距離が測定されなかった地点においても離間距離の変動を取得することができる。
【0103】
なお、液滴吐出装置100Aの場合、ギャップ測定器6による離間距離の測定を、スペーサ領域31を形成する前に予め行ってもよいし、スペーサ領域31を形成する最中にリアルタイムで行ってもよい。後者の場合、基板1上のスペーサ領域31の形成地点が対応する吐出口19の位置に到達する前に、該形成地点における離間距離を測定するようにすればよい。このとき、x軸方向に沿ってギャップ測定器6を複数台並べておけば、基板1上のX軸方向に沿う複数の地点での離間距離を測定することができる。また、この測定結果に基づいて、補間部87により、スプライン曲線などの関数を利用した補間処理を行うことで、複数のギャップ測定器6によって測定されなかった基板1上の地点における離間距離を取得することができる。
【0104】
<3. 変形例>
以上、実施形態について説明してきたが、本発明は上記のようなものに限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
【0105】
例えば、第1実施形態では、説明を容易化するために、基板1を一方向にのみ移動させて補正用パターンを形成して、基板1上の各地点における離間距離の変動を検査するようにしているが、往復移動をさせて補正用パターンを形成することも可能である。この場合、液滴191の着弾位置のズレる方向が、往路移動と復路移動との間で逆転することを考慮する必要がある。
【0106】
また、上記実施形態では、液滴吐出装置100,100Aは、液晶表示装置を製造するとして説明している。しかしながら、本発明は、その他の表示装置(プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイなど)用の基板や、半導体ウェハ、太陽電池用の基板に、液滴を吐出する装置にも適用可能である。もちろん、本発明は、記録媒体にインクを吐出して画像を記録するインクジェット記録装置にも適用可能である。
【0107】
また、上記各実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0108】
100,100A 液滴吐出装置
1 基板(対象物)
11 テーブル
12 吐出ヘッドユニット
15 リニアモータ
16 ガイド部材
18 吐出ヘッド
19 吐出口
191 液滴
31 スペーサ領域
33 ブラックマトリックス
4 レーザー測長器
5 撮影部
6 ギャップ計測器
8,8A 制御部
81 吐出制御部
83 画像処理部
85,85A 検査部
87 補間部
89 補正部
9 記憶部
91 第一吐出タイミングデータ
92 第二吐出タイミングデータ
93 画像データ
95 検査結果データ
96 補間後データ
97 補正部
CPU
D01〜D16,Da01〜Da16 ドット
SC1,SC2 スプライン曲線
【技術分野】
【0001】
この発明は、対象物に向けて液滴を吐出して所定のパターンの形成する技術に関し、特に、吐出部と対象物との間の離間距離の変動に応じて処理液を吐出するタイミングを補正して、対象物上の理想的な位置に液滴を着弾させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット方式で液滴を吐出し、対象物に所望のパターンを形成する液滴吐出装置が知られている。例えば、液晶表示装置の製造過程においては、液晶を封入する2枚の基板の間隔を規制するために、基板間にスペーサが形成される。このスペーサは、スペーサ粒子を含む処理液を基板の各地点に塗布するインクジェット方式の塗布装置によって形成される場合がある。このような塗布装置は、例えば、特許文献1に開示されている。
【0003】
ところで、液滴を吐出する吐出部に対して対象物を相対的に移動させた際に、吐出部と対象物との間の離間距離が意図せずに変動する場合がある。離間距離に意図しない変動が生じた場合、液滴の着弾位置にズレが生じてしまう。そこで、液滴を理想的な位置に着弾させるための技術が、これまでにもいくつか提案されている。
【0004】
例えば、特許文献2では、記録ヘッドをキャリッジによって往復走査させながら記録媒体にインクを吐出して記憶を行うインクジェット記録装置が開示されている。このインクジェット記録装置においては、記録ヘッドと記録媒体との間の距離を検出し、該距離の変動量に基づいて、インクの目標吐出位置からのズレを補正するようにインク吐出タイミングが制御されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−210770号公報
【特許文献2】特開2007−331315号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、特許文献2に記載のインクジェット記録装置において、記録精度を向上するためには、上記距離を測定する記録媒体上の地点の数を増やす必要がある。このような場合、測定回数が増大することで、補正のための演算処理量が増大し、補正処理に時間がかかってしまう。このようなことは、上述のスペーサ粒子を塗布する塗布装置においても、同様に起こり得る。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、吐出部と対象物の間の離間距離の変動を検査する対象物上の地点が少ない場合でも、吐出タイミングの補正を良好に行うことができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、第1の態様は、液滴を吐出する複数の吐出口が形成された吐出部に対して対象物を移動機構によって相対的に移動させ、前記吐出部から吐出した前記液滴を前記対象物に着弾させる液滴吐出装置において、前記吐出部に対して吐出信号を出力することにより、前記吐出口からの液滴の吐出を制御する吐出制御部と、前記対象物の相対的な移動に応じた、前記吐出部と前記対象物との間の離間距離の変動を、前記対象物上の複数の地点について検査する検査部と、前記対象物上の領域のうち、前記複数の地点とは異なる地点における前記変動に関する情報を、前記検査部の検査結果に基づいた演算により補間する補間部と、前記補間部によって取得された前記変動に関する情報に基づいて、前記吐出口からの前記液滴の吐出タイミングを補正する補正部とを備える。
【0009】
また、第2の態様は、第1の態様に係る液滴吐出装置において、前記補間部は、前記変動が検査された前記複数の地点の位置と、前記複数の地点における変動との相関を示す関数に基づいて、前記変動に関する情報を補間する。
【0010】
また、第3の態様は、第2の態様に係る液滴吐出装置において、前記関数が、スプライン曲線を表す関数である。
【0011】
また、第4の態様は、第2または第3の態様に係る液滴吐出装置において、前記移動機構は、前記吐出部に対して前記対象物を第一方向に沿って移動させ、複数の前記吐出口は、前記一方向に直交する第二方向の成分を持つ方向に沿って配列された状態で前記液滴を吐出し、前記補間部は、第二方向に関して、前記変動に関する情報を補間する。
【0012】
また、第5の態様は、第4の態様に係る液滴吐出装置において、前記補間部は、前記一方向に関して、前記変動に関する情報を補間する。
【0013】
また、第6の態様は、第1から第5の態様までのいずれか1態様に係る液滴吐出装置において、前記検査部は、前記離間距離を測定する測定器の測定結果に基づいて、前記変動を検査する。
【0014】
また、第7の態様は、第1から5の態様までのいずれか1態様に係る液滴吐出装置において、前記吐出制御部は、前記対象物に補正用のパターンを形成するように前記吐出部を制御し、前記検査部は、前記対象物に形成されたパターンと前記補正用のパターンとの比較に基づいて、前記液滴の着弾位置のズレ量を取得し、該ズレ量から前記変動を検査する。
【0015】
また、第8の態様は、第7の態様に係る液滴吐出装置において、前記補正用のパターンが、前記対象物の表面の縦方向および横方向に沿って等間隔で液滴が着弾することにより形成されるパターンである。
【0016】
また、第9の態様は、第7または第8の態様に係る液滴吐出装置において、前記対象物の表面には、ブラックマトリックスが形成されており、前記液滴は、スペーサ粒子を含み、前記吐出ノズルが前記ブラックマトリックスに向けて前記液滴を吐出することによって、前記補正用のパターンが形成される。
【0017】
また、第10の態様は、液滴を吐出する複数の吐出口が形成された吐出部に対して対象物を移動機構によって相対的に移動させ、前記吐出部から吐出した前記液滴を前記対象物に着弾させる液滴吐出方法において、(a)前記吐出部に対して吐出信号を出力することにより、前記吐出部からの液滴の吐出を制御する工程と、(b)前記対象物の相対的な移動に応じた、前記吐出部と前記対象物との間の離間距離の変動を、前記対象物上の複数の地点について検査する工程と、(c)前記対象物上の領域のうち、前記複数の地点とは異なる地点における前記変動に関する情報を、前記(b)工程の検査結果に基づき演算により補間する工程と、(d)前記(b)工程および前記(c)工程において取得された前記変動に関する情報に基づいて、前記(a)工程における前記吐出部からの前記液滴の吐出タイミングを補正する工程とを含む。
【発明の効果】
【0018】
第1から第9の態様に係る液滴吐出装置によると、複数の地点における吐出部と対象物との間の離間距離の変動の検査結果に基づいて、未検査部分における離間距離の変動を演算により取得することができる。したがって、離間距離の変動の測定に必要な時間または演算量を軽減しつつ、対象物のあらゆる地点に対する液滴の吐出タイミングの補正を適切に行うことができる。
【0019】
第2の態様にかかる検査装置によると、離間距離の変動を検査した複数の地点の位置と、各地点での離間距離の変動との相関を示す関数に基づいて、未検査の地点における離間距離の変動が補間される。このため、未検査部分における離間距離の変動を、検査された周辺部分の変動から合理的に取得することができる。
【0020】
第3の態様にかかる検査装置によると、スプライン曲線の関数に基づいて、未検査部分における離間距離の変動を合理的に補間することができる。
【0021】
第4の態様に係る検査装置によると、対象物の相対的な移動方向と直交する方向に関して、離間距離の変動を補間することができる。したがって、複数の吐出口のそれぞれの位置に対応する、対象物上の地点における離間距離の変動を補間することができる。
【0022】
第5の態様に係る検査装置によると、対象物の相対的な移動方向に関して、離間距離の変動を補間することができる。
【0023】
第6の態様に係る液滴吐出装置によると、離間距離の変動量を直接的に取得することができる。
【0024】
第7の態様に係る液滴吐出装置によると、実際の着弾位置と理想的な着弾位置とのズレ量から、離間距離の変動検査することができる。
【0025】
第8の態様に係る液滴吐出装置によると、補正用のパターンを縦方向および横方向に等間隔で着弾させて形成されるようにすることで、補正処理の演算のアルゴリズムを容易化できる。
【0026】
第9の態様に係る液滴吐出装置によると、ブラックマトリックス上にスペーサ領域を形成する場合と同条件で補正用パターンを形成することができる。したがって、補正精度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】第1実施形態に係る液滴吐出装置の斜視図である。
【図2】表面にスペーサ粒子分散液が吐出された基板の表面の一部を示す部分平面図である。
【図3】吐出ヘッドユニットをその下面から見た斜視図である。
【図4】吐出ヘッドユニットの移動機構を示す斜視図である。
【図5】基板1におけるブラックマトリックスのピッチと、吐出ヘッドの吐出口の配置との関係を示す説明図である。
【図6】液滴吐出装置の概略構成図である。
【図7】制御部の機能ブロックをデータの流れとともに示す図である。
【図8】吐出ヘッドユニットから処理液であるスペーサ粒子分散液を吐出する様子を示す概略側面図である。
【図9】理想的な補正用パターンが描画された基板の表面を示す概略平面図である。
【図10】補正用パターンが形成された基板の表面の一例を示す概略平面図である。
【図11】図10に示した補正用パターンの一部を示す概略平面図である。
【図12】図10に示した補正用パターンの一部を示す概略平面図である。
【図13】第2実施形態に係る液滴吐出装置の概略構成図である。
【図14】第2実施形態に係る制御部8Aの機能ブロックをデータの流れとともに示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、この発明の実施形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下の実施形態に記載されている構成要素はあくまでも例示であり、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0029】
<1. 第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る液滴吐出装置100の斜視図である。また、図2は、表面にスペーサ粒子分散液が吐出された基板1の表面の一部を示す部分平面図である。
【0030】
図1においては、吐出ヘッドユニット12の配列方向をx軸、テーブル11の移動方向をy軸および鉛直方向をz軸とする左手系のxyz座標系を付している。ただし、これらの軸方向は、液滴吐出装置100の各要素の配置方向を説明するために便宜上定義したものであり、本願発明の構成を限定する趣旨のものではない。
【0031】
液滴吐出装置100は、インクジェット方式により、基板1上にスペーサ粒子を分散させたスペーサ粒子分散液を塗布する。これにより、基板1上にスペーサ粒子を含むスペーサ領域が形成され、液晶層封入用のギャップが形成される。ここで、図2を参照しつつ、液晶表示装置の製造工程について説明する。この液晶表示装置の製造工程は、液晶の封入工程などの前工程として実行されるものであり、2枚の基板の間に、スペーサ粒子を介在させることによって、液晶層封入用のギャップを形成するものである。
【0032】
液晶表示装置が製造する工程の1つに、スペーサ領域生成工程がある。このスペーサ領域生成工程においては、透明の基板1上にスペーサ粒子を分散させたスペーサ粒子分散液が吐出される。これにより、スペーサ粒子を含むスペーサ領域31が形成される。具体的には、液滴吐出装置100において、多数の吐出ヘッド18が列設された吐出ヘッドユニット12が基板1に対して相対的に移動する(走査する)ことにより、基板1の表面にスペーサ粒子分散液を吐出する。
【0033】
このスペーサ領域31が形成される透明の基板1の表面には、図2に示したように、それぞれ画素領域であるレッドのカラーフィルターの領域Rと、グリーンのカラーフィルターの領域Gと、ブルーのカラーフィルターの領域Bと、これらの画素領域を区画するブラックマトリックス33とが設けられている。スペーサ粒子分散液は、ブラックマトリックス33に向けて吐出され、そこにスペーサ領域31が形成される。図2に示した例では、縦方向および横方向に延在するブラックマトリックス33の交差点上にスペーサ領域31が形成されている。したがって、基板1上において、多数のスペーサ領域31が縦方向および横方向に沿って等間隔で点在している。
【0034】
液晶表示装置の製造過程においては、スペーサ領域生成工程に引き続き、乾燥工程が実施される。この乾燥工程では、透明の基板1がホットプレートに搬送され、基板1がホットプレート上で加熱される。これにより、スペーサ粒子分散液から揮発成分が蒸発するとともに、スペーサ領域31のスペーサ粒子が基板1に固着することとなる。
【0035】
この乾燥工程においては、最初にスペーサ粒子分散液から揮発成分が蒸発することにより、表面張力によりスペーサ領域31のスペーサ粒子同士が互いに集まって接触する。そして、それらを焼成して互いに固着させ、スペーサ領域31のスペーサ粒子を基板1に固着させる。このようにして製造された基板1ともう1枚の透明基板とを相互に貼り合わせた場合、スペーサ領域31のスペーサ粒子によって、基板間に隙間が形成される。この隙間に液晶が封入されることによって、液晶表示装置用のパネルが製造される。
【0036】
図1に戻って、本実施形態に係る液滴吐出装置100の構成について説明する。
【0037】
液滴吐出装置100は、基板1を支持するテーブル11と、複数(ここでは、12個)の吐出ヘッドユニット12と、複数の吐出ヘッドユニット12を支持するガントリー13とを備えている。x軸に沿って延びるガントリー13の内側には、x軸に沿って延びる開口部が形成されている。複数の吐出ヘッドユニット12は、このガントリー13の内側に形成されたz軸方向に開口する開口部に配列されている。
【0038】
テーブル11は、基台14上に配設されたリニアモータ15の駆動を受けて、一対のガイド部材16,16により案内された状態で、複数の吐出ヘッドユニット12の列設方向と直交するy軸方向を主走査方向として往復移動する。液滴吐出装置100においては、基板1を載置したテーブル11を主走査方向に移動させながら、12個の吐出ヘッドユニット12よりスペーサ粒子分散液を吐出することにより、基板1にスペーサ粒子を含むスペーサ領域31を形成する。
【0039】
ガントリー13の両端部には、一対のリニアモータ21,21が配列されている。ガントリー13は、これらのリニアモータ21,21を介して基台14に支持されている。このため、ガントリー13は、これらのリニアモータ21,21を個別に駆動することにより、テーブル11による基板1の搬送方向と交差角度を変更することができる構成となっている。
【0040】
基台14の一端には、吐出ヘッドユニット12を洗浄する洗浄部22が配設されている。この洗浄部22は、テーブル11による基板1のy軸に沿う搬送方向と直交するx軸に沿う方向(x軸方向)に往復移動可能となっている。また、この洗浄部22の移動方向に沿って、吐出ヘッドユニット12の乾燥を防止するための乾燥防止部23が複数(ここでは、12個)配設されている。後述する各吐出ヘッド18は、待機時においては、これらの乾燥防止部23と対向配置される。
【0041】
図3は、吐出ヘッドユニット12をその下面から見た斜視図である。なお図3においては、吐出ヘッド18の一部を拡大して示している。
【0042】
ガントリー13に支持された12個の吐出ヘッドユニット12には、ヘッド支持板17が配設されている。このヘッド支持板17には、一方向に沿って、複数(ここでは5個)の吐出ヘッド18が配設されている。そしてこれらの吐出ヘッド18には、一方向に沿って多数のスペーサ粒子分散液の吐出口19が配列されている。
【0043】
図4は、吐出ヘッドユニット12の移動機構を示す斜視図である。図4においては、図1に示した12個の吐出ヘッドユニット12のうちの1つのみを図示している。
【0044】
複数の吐出ヘッドユニット12が装着されるガントリー13の内周面のうちy軸方向において対向する両側内側面のそれぞれには、リニアガイド24とリニアスケール25と、リニアモータ26とが設けられている。リニアガイド24、リニアスケール25およびリニアモータ26は、長手方向がx軸に沿うようして設けられている。また、複数の吐出ヘッドユニット12は、それぞれ支持板27によって支持されている。各支持板27の下面には、リニアモータ26の固定子に沿って移動する図示しない可動子が設けられている。
【0045】
支持板27は、リニアモータ26の駆動により、そのy軸方向おける両端部がリニアガイド24により案内された状態で、基板1の搬送方向(y軸方向)と交差するx軸に沿って移動する。そして、その移動量は、リニアスケール25により測定される。このような吐出ヘッドユニット12の移動機構によって、各吐出ヘッドユニット12を設定された移動量だけ基板1の搬送方向と交差する方向に移動させることができる。これにより、吐出ヘッドユニット12のピッチを変更することが可能となる。
【0046】
上述したように、ガントリー13は、一対のリニアモータ21,21を個別に駆動することにより、テーブル11による基板1の搬送方向との交差角度を変更する。この交差角度が変更されることにより、ガントリー13に支持された吐出ヘッドユニット12の角度も変更され、これに伴って、吐出ヘッドユニット12に配設された吐出ヘッド18におけるスペーサ粒子分散液の吐出口19の列設方向と基板1の搬送方向との交差角度が変更されることとなる。
【0047】
上述したように、吐出ヘッドユニット12のピッチと、吐出ヘッド18におけるスペーサ粒子分散液の吐出口19の列設方向と基板1の搬送方向との交差角度とを変更する構成を採用しているのは、以下の理由によるものである。
【0048】
図5は、基板1におけるブラックマトリックス33のピッチと、吐出ヘッド18の吐出口19の配置との関係を示す説明図である。
【0049】
ブラックマトリックス33のピッチは、液晶表示装置の種類や製造業者などによって異なっている。このようなブラックマトリックス33のピッチに対応するため、図5に示したように、吐出ヘッド18間において、スペーサ粒子分散液の吐出口19のピッチを調整する必要がある。そこで、液滴吐出装置100においては、ここでは、隣り合う吐出ヘッドユニット12間において、吐出ヘッドユニット12同士の距離を変更すればよい。このような理由から、この液滴吐出装置100においては、吐出ヘッドユニット12のピッチと、ガントリー13と基板1の搬送方向との交差角度とを変更する構成を採用している。
【0050】
以上のような構成を有する液滴吐出装置100を使用して基板1にスペーサ粒子分散液を塗布するときには、最初に、基板1をテーブル11上に位置決めして固定する。また、基板1におけるブラックマトリックス33のピッチに対応させて、吐出ヘッド18におけるスペーサ粒子分散液の吐出口19の列設方向と基板1の搬送方向との交差角度と、吐出ヘッドユニット12のピッチとを変更する。
【0051】
この状態において、テーブル11を基板1とともに主走査方向に移動させながら12個の吐出ヘッドユニット12における各吐出ヘッド18からスペーサ粒子分散液を吐出することにより、基板1におけるブラックマトリックス33上にスペーサ粒子を含むスペーサ領域31を形成することができる。なお、スペーサ領域31をできるだけ基板1上の正確な位置に形成するため、テーブル11が等速で移動している期間中に、スペーサ粒子分散液の吐出が行われることが望ましい。ただし、テーブル11が加速中または減速中の間にであっても、スペーサ粒子分散液の吐出が行われてもよい。
【0052】
図6は、液滴吐出装置100の概略構成図である。また、図7は、制御部8の機能ブロックをデータの流れとともに示す図である。図6に示したように、液滴吐出装置100は、レーザー測長器4と、撮影部5とを備えている。
【0053】
レーザー測長器4は、テーブル11の側面に取り付けられた図示しないコーナーキューブにレーザー光を照射して、該コーナーキューブにて反射されたレーザー光を検出することにより、テーブル11のy軸方向における位置を高精度に検出する。レーザー測長器4は、制御部8に向けてテーブル11の位置情報を送信する。
【0054】
撮影部5は、基板1の表面を撮影した表面画像を取得する。なお、撮影部5は、図示しない移動機構によって、x軸方向に沿って移動することができる。テーブル11をy軸方向に移動させるとともに、撮影部5をx軸方向に移動させることで、撮影部5により、テーブル11に固定された基板1の略全面の画像を撮影することができる。撮影部5は画像信号を制御部8に送信する。取得された画像データ93は画像処理部83において処理され、後述する吐出タイミングの補正のために利用される。なお、基板1の位置を特定して所要位置に配置させる際、または、スペーサ領域31の形成状況などの解析を行う際に、撮影部5で撮影した画像を利用するようにしてもよい。
【0055】
制御部8は、CPU、RAMなどのメモリを備えた一般的なコンピュータとして構成されている。本実施形態では、制御部8は、図7に示したように、吐出制御部81、画像処理部83、検査部85、補間部87および補正部89として機能する。これらの機能ブロックは、メモリ上に展開されるプログラム(図示せず)にしたがってCPUが動作することにより実現される。なお、制御部8は複数台のコンピュータで構成されていてもよい。また、図7に示した機能ブロックの一部または全部が、専用の回路によってハードウェア的に実現されてもよい。
【0056】
吐出制御部81は、吐出タイミングが記述されたデータに基づいて、吐出ヘッドユニット12に向けて吐出信号を出力することによって、吐出ヘッドユニット12からのスペーサ粒子分散液の吐出を制御する。本実施形態においては、吐出タイミングが記述されたデータとして、第一吐出タイミングデータ91および第二吐出タイミングデータ92とが記憶部9に格納されている。
【0057】
第一吐出タイミングデータ91は、図2に示したブラックマトリックス33上にスペーサ領域31を基板1に形成するために、複数の吐出ヘッドユニット12がスペーサ粒子分散液(液滴191)を各吐出口19から吐出すべきタイミングを規定するデータである。また第二吐出タイミングデータ92は、基板1に補正用パターンを形成するために、複数の吐出ヘッドユニット12がスペーサ粒子分散液を各吐出口19から吐出すべきタイミングを規定するデータである。補正用パターンの詳細については後述する。
【0058】
第一吐出タイミングデータ91および第二吐出タイミングデータ92は、吐出タイミングが具体的な時間として規定されていてもよいし、吐出タイミングが基板1と吐出ヘッドユニット12との相対的な位置関係を基準にして規定されていてもよい。前者の場合は、液滴吐出が時間経過に基づいて行われるのに対し、後者の場合は、例えば、基板1が、吐出ヘッドユニット12から液滴を吐出すべき位置に到達したか否かで液滴吐出の制御が行われることとなる。
【0059】
画像処理部83は、撮影部5から送られる画像信号に基づいて、ノイズ除去やコントラスト調整などの画像処理を適宜行い、基板1の表面画像に関する画像データ93を生成する。検査部85は、画像処理部83によって取得された画像データ93に基づいて、スペーサ粒子分散液が着弾した着弾位置を取得する。また、検査部85は、補正用パターンの理想的な着弾位置と、実際の着弾位置とを比較することによって、着弾位置のズレ量を取得する。さらに検査部85は、該ズレ量を測定することによって、基板1の移動に応じた、吐出ヘッド18と基板1との間の離間距離の変動を検査する。検査部85は、離間距離の変動の検査結果を検査結果データ95として記憶部9に格納する。ここで、離間距離の変動に伴う、吐出タイミングの補正について具体的に説明する。
【0060】
<吐出タイミングの補正>
図8は、吐出ヘッドユニット12から処理液であるスペーサ粒子分散液を吐出する様子を示す概略側面図である。
【0061】
図8に示したように、吐出ヘッドユニット12(詳細には吐出口19)から吐出されたスペーサ粒子分散液の液滴191は、鉛直方向に落下する。このとき、テーブル11はy軸に沿って移動しているため、y軸方向における、液滴191の着弾位置は、吐出時の位置から移動することとなる。具体的にこの着弾位置の移動量をDvとして、液滴191の落下速度をVd、テーブル11の移動速度をVs、吐出ヘッドユニット12(具体的には、吐出口19)と基板1表面との間の間隔(離間距離)をGapとすると、以下の等式が成立する。
【0062】
Dv=Vs*(Gap/Vd) ・・・ 式(1)
ここで、離間距離に意図しない変動が生じなければ、基板1上の理想位置にスペーサ粒子分散液を着弾させることができる。しかしながら、テーブル11を移動させると、その移動精度に応じて、離間距離に意図しない変動が生じる場合がある。このように離間距離が変動すると、液滴191の実際の着弾位置が理想的な着弾位置からずれてしまうこととなる。
【0063】
具体的に、離間距離が想定よりも小さくなった場合、液滴191が基板1に着弾するタイミングが想定よりも早くなってしまう。したがって、理想位置よりも基板1の移動方向と同方向にずれて着弾することとなる。これに対して、離間距離が想定よりも大きくなった場合は、着弾するタイミングが遅延されるため、液滴191は理想位置よりも基板1の移動方向とは逆方向にずれて着弾することとなる。
【0064】
図2に示したスペーサ領域31の形成を理想的に行うためには、基板1の移動に伴う離間距離の変動を検出して、該離間距離の変動に応じて吐出タイミングを補正することが望ましい。そこで本実施形態では、液滴吐出装置100によって基板1に補正用パターンを描画し、形成されたパターンと理想的な補正用パターンとを比較する。このとき、離間距離の意図しない変動は、スペーサ粒子分散液が着弾する理想的な位置と実際に着弾した位置の相違として検出される。液滴吐出装置100は、この着弾位置の相違から、吐出タイミングの補正を行う。具体的には、補正部89が、この吐出タイミングを補正するための補正量を所要の演算により算出する。次に、補正量を算出する方法について説明する。
【0065】
図9は、理想的な補正用パターンが描画された基板1の表面を示す概略平面図である。また図10は、補正用パターンが形成された基板1の表面の一例を示す概略平面図である。なお、図9および図10においては、基板1の表面の一部分のみが図示されている。また図9では、基板1に補正用パターンを描画するときの複数の吐出口19(吐出口19a〜19j)の相対的な位置が概念的に図示されている。
【0066】
図9,10においては、左手系のXY座標系を付している。このXY座標系は、基板1上において定義される座標系であり、基板1の移動(テーブル11の移動)により、xyz座標系に対して相対的に移動する座標系となっている。ただし、X軸方向はx軸方向と平行であり、Y軸方向はy軸方向と平行としている。以下の説明において、基板1上の地点の位置は、このXY座標系における位置をいうものとする。
【0067】
本実施形態では、補正用パターンとして、格子点状パターンを基板1の表面に描画するように第二吐出タイミングデータ92が設定されている。ここで、格子点状パターンとは、図9に示したように、縦方向(Y軸方向)または横方向(X軸方向)に関して、所要間隔で周期的にスペーサ粒子分散液を塗布することにより形成されるパターンをいう。図9では、ドットD01〜D16からなる格子点状パターンを図示している。ドットD01〜D16のそれぞれは、単一の吐出口19(吐出口19a,19d,19gまたは19j)から吐出されるスペーサ粒子分散液の液滴191が基板1に着弾したものに相当する。
【0068】
また、本実施形態では、Y軸に沿って一直線上に並ぶドットは、同一の吐出口19から所要時間間隔でスペーサ粒子分散液の液滴191が吐出されることにより形成される。例えば、ドットD01,D05,D09,D13は、吐出口19aから順次吐出された液滴191によって形成される。また、本実施形態では、基板1がY軸方向に沿って一方向(図9中、矢頭で示す「移動方向」であり+Y方向)に1回移動することによって、補正用パターンが形成されるようにしている。したがって、図9に示した例では、最初にドットD01〜D04が形成され、その次にドットD05〜D08,その次にドットD09〜D12、そして最後にドットD13〜ドットD16が形成されることとなる。なお、テーブル11をy軸方向に沿って往復移動させることで、ドットD01〜D16を形成するようにすることも可能である、しかしながら、ここでは、理解を容易にするため、基板1を一方向にのみ移動させて補正用パターンを形成させるものとする。
【0069】
本実施形態では、吐出ヘッド18に設けられている多数の吐出口19のうちの一部のみからスペーサ粒子分散液が吐出されることにより補正用パターンが形成される。図9に示した例では、吐出口19a〜19jのうち、一部の吐出口19a,19d,19g,19jからのみ液滴191を吐出するようにしている。換言すると、ドットD01〜D16のうち、X軸方向に関して隣り合う2つのドット(例えばドットD01,D02)は、1つ以上の吐出口19(吐出口19b,19c)を飛ばして選択される2つの吐出口19(吐出口19a,19d)からスペーサ粒子分散液が吐出されることにより形成される。
【0070】
なお、補正用パターンを形成するときのテーブル11の移動速度は、基板1にスペーサ領域31を形成するとき同じになるように設定されている。これにより、スペーサ領域31形成時に生じ得る離間距離の変動を同じように再現することができる。また、本実施形態では、テーブル11の移動開始位置、移動終了位置、およびテーブル11の加速条件なども一致させることで、スペーサ領域31形成時に生じる離間距離の変動を、補正用パターン形成時において略完全に再現するようにしている。
【0071】
また、テーブル11上における基板1の配置位置は、補正用パターン形成時とスペーサ領域31形成時とで略一致させている。これにより、基板1上における補正用パターンを構成するドット(例えば、ドットD01〜D16)の位置情報を、そのままスペーサ領域31を形成するときの基板1上の位置情報として扱うことができる。ただし、補正パターン形成時とスペーサ領域31形成時とで、テーブル11上における基板1の配置位置が異なっていたとしても、基板1に描画された補正用パターンのドットの位置情報を、配置位置の相違分だけシフトさせる演算処理を行えばよい。
【0072】
また、図9に示した補正用パターンの構成するドットを形成する基板1上の位置は、スペーサ領域31を形成する地点の一部に一致していてもよい。この場合、ドットの形成位置のズレ量から算出される吐出タイミングの補正量を、該形成位置に対応するスペーサ領域31の形成時に適用することができる。
【0073】
ここで、補正用パターンの形成中に、離間距離に意図しない変動が生じることで、ドットD01〜D16の位置が、図9に示した理想的な位置からずれるケースを想定する。図10に示した例では、補正用パターンとしてドットDa01〜Da16が形成されているが、一部のドットDa03,Da07,Da10,Da11が理想的な位置(つまり、ドットD01〜D16が形成される位置)に形成されずに、基板1の移動方向に平行なy軸方向に沿ってその着弾位置がずれている。
【0074】
具体的に、ドットDa03,Da11は、基板1の移動方向と同方向に距離dDv03,dDv11だけ位置ズレしている。このことから、ドットDa03,Da11が形成されるべき位置(つまり、ドットD03,D11が形成される位置)では、基板1と吐出ヘッド18(具体的には吐出口19g)との間の離間距離が、想定よりも短くなっていることが予想される。また、ドットDa07,Da10は、基板1の移動方向とは逆方向にdDv07,dDv10分の距離だけ位置ズレしている。このことから、ドットDa07,Da10が形成されるべき位置(つまり、ドットD07,D10が形成されるべき位置)における基板1と吐出ヘッド18(より具体的には吐出口19dまたは吐出口19g)との間の離間距離が、想定よりも長くなっていることが予想される。
【0075】
ここで、離間距離(Gap)の想定値からの変動量をdGapとし、着弾位置のズレ量をdDvとすると、離間距離の変動量は、以下の数式で表すことができる。
【0076】
dGap=Vs*(dDv/Vd) ・・・ 式(2)
上記式(2)に示されるように、離間距離の変動量dGapは、着弾位置のズレ量dDvを変数とする関数として定義される。したがって、着弾位置のズレ量dDvを取得することと、離間距離の変動を検出することとは等価となっている。したがって、着弾位置のズレ量は、離間距離の変動に関する情報と言うこともできる。
【0077】
なお、吐出口19から吐出される液滴191の大きさが想定している大きさと異なると、落下速度などに違いが生じてしまい、着弾位置がずれてしまう虞がある。そこで、吐出タイミングの補正を高精度に行うためには、吐出口19からの液滴191の吐出量は、予め調整されていることが望ましい。
【0078】
検査部85は、図10に示したような基板1に形成されているドットの位置情報と、各ドットの着弾位置のズレ量とを検査結果データ95として記憶部9に格納する。つまり検査結果データ95は、基板1上の位置(X軸方向の位置およびY軸方向の位置)と、その位置での着弾位置のズレ量(離間距離の変動量(dGap)に相関する。)とで構成される3次元データの集合とされる。なお、着弾位置のズレ量の代わりに、上記式(2)などから算出される離間距離の変動量(dGap)を、検査結果データ95の一部としてもよい。
【0079】
ところで、図10に示したような補正用パターンのドットの位置については、画像処理部83によって取得された画像データから取得することができる。具体的には、検査部85が画像データ93から各ドットを画像認識により抽出して、各ドットの中心または重心などの位置情報を、各ドットの位置情報として取得するようにすればよい。このドットの画像認識については、従来の画像認識技術またはこれに類似する各種画像処理技術を適用することで容易に実現できる。
【0080】
図7に戻って、検査部85によって検査結果データ95が生成されると、補間部87により、検査結果データ95について、補間処理が行われる。この補間処理について、図11および図12を参照しつつ説明する。
【0081】
<補間処理>
図11および図12は、図10に示した補正用パターンの一部を示す概略平面図である。上述したように、本実施形態では、補正用パターンを格子点状パターンとしている。このため、検査部85によって着弾位置のズレ量(dDv)を測定した地点(つまり、離間距離の変動(dGap)を検査した地点)は、図10に示したように、基板1上において、所要間隔をあけて離散的に分散している。したがって、基板1上において、離間距離の変動が検査されていない地点は、多数存在していることとなる。
【0082】
補間部87は、この基板1上で離間距離の変動が検出されていない地点における離間距離の変動を所定の演算処理に基づいて補間する。この補間処理は、検査部85による検査結果に基づいて実施される。本実施形態においては、補間部87は、X軸方向に沿った補間処理と、Y軸方向に沿った補間処理とを独立して行う。それぞれの補間処理について、図11または図12を参照しつつ具体的に説明する。
【0083】
図11は、X軸方向に沿った補間処理を説明するための図である。ここでは、補間処理によって、ドットD10,D11の間における離間距離の変動を推定する場合について具体的に説明する。この場合、ドットD10,D11形成時の着弾位置のズレ量dDv10,dDv11と、各ドットD10,D11のX軸方向における位置との相関を示すスプライン曲線SC1の関数が取得される。このスプライン曲線SC1の関数は、n次の多項式(nは0以上の任意の整数)で定義される。なお、各ドットD10,D11のX軸方向に関する位置は、ドットD10,D11を通る直線SL1上に任意に設定される図示しない原点を基準として定義される。
【0084】
スプライン曲線SC1は、図11に示したように、実際に形成されたドットDa10,Da11を通る(ここでは、中心点を通る)曲線と捉えることも可能である。このようなスプライン曲線SC1の関数を求めることによって、ドットを形成していない部分(つまり、離間距離の変動を検査していない部分)における着弾位置のズレ量を仮想的に取得できる。この仮想的に取得された着弾位置のズレ量から、離間距離の変動を演算により取得することができる。つまり、離間距離の変動が検査されていない部分についても、離間距離の変動を推定することが可能となる。
【0085】
例えば、格子点状の補正用パターンを形成した場合、図11に示したように、吐出口19d,19gから液滴191が吐出されており、それらに挟まれる吐出口19e,19fからは液滴191が吐出されない。したがって、吐出口19e,19fに対応する位置における離間距離の変動は、検査部85によって検査されないこととなる。しかしながら、補間部87によって、これらの吐出口19e,19fから吐出したと想定した場合における、離間距離の変動を補間することができる。
【0086】
具体的に、第二吐出タイミングデータ92において、吐出口19e,19fから直線SL1上に液滴191を吐出するように設定されていたと仮定する。すると、ドットD10,D11間における離間距離の変動を想定した場合、吐出口19e,19fから吐出された液滴191の着弾位置は、スプライン曲線SC1上の地点L1,L2となることが推定される。この地点L1,L2は、吐出口19e,19fが基板1に対して相対的に移動するときの移動軌跡線と、スプライン曲線SC1との交差部分である。そこで地点L1,L2の直線SL1からのY軸方向のズレ量dDv21,dDv22を算出することで、吐出口19e,19fに対応する位置での離間距離の変動を算出することができる。
【0087】
以上のような補間処理を、他のX軸方向において隣り合う2つのドット間に適用することによって、各ドット間における、X軸方向に沿った離間距離の変動を容易に推定することができる。次にY軸方向に関する補間処理について説明する。
【0088】
図12は、Y軸方向に関する補間処理を説明するための図である。ここでは、ドットD07,D11の間に関して補間処理を行う場合について具体的に説明する。この場合、実際に形成されたドットDa07,Da11の着弾位置のズレ量dDv07,dDv11と、ドットD07,D11のY軸方向における位置との相関を示すスプライン曲線SC2の関数が取得される。なお、ドットD07,D11のY軸方向における位置は、ドットD07,D11を通る直線SL2上に任意に設定される図示しない原点を基準にしてそれぞれ定義される。このスプライン曲線SC2の関数から、ドットD07とドットD11の間の各地点に対して、仮想的に液滴191を吐出した場合の、着弾位置のズレ量を算出することができる。そしてこの算出されたズレ量から、ドットD07,D11間における離間距離の変動を推定することができる。
【0089】
補間部87は、以上のような補間処理を、他のY軸方向に関して隣り合うドット間に関して行う。これにより、基板1上の各ドット間におけるY軸方向に沿った離間距離の変動を容易に推定することができる。
【0090】
なお、図11,12に示した例では、スプライン曲線SC1,SC2を補間方法として利用しているが、その他の一般的なデータ補間方法(例えばラグランジュ補間、ニュートン補間など)を適用してもよい。いずれのデータ補間方法が採用されたとしても、基板1に実際に形成された複数のドットの着弾位置のズレ量と、各ドットの位置情報との相関関係に基づいてデータ補間が行われる。
【0091】
また、本実施形態では、X軸方向またはY軸方向に沿ってデータ補間するようにしているが、X軸方向およびY軸方向の双方に成分を持つ斜め方向に沿ってデータ補間することも可能である。この場合は、この斜め方向に沿って並ぶ2つのドット(例えばドットD01,D06など)を抽出し、それぞれのドットの位置情報と実際に描画されたそれぞれのドットの着弾位置のズレ量との相関関係から、スプライン曲線などのデータ補間用の関数を算出すればよい。
【0092】
また、本実施形態では、ある地点のX軸方向またはY軸方向の位置情報(つまり一次元の位置情報)と、その地点での着弾位置のズレ量との相関から、スプライン曲線の関数を求めるようにしている。しかしながら、各地点のX軸方向およびY軸方向における位置情報(つまり2次元の位置情報)と、各地点での着弾位置のズレ量の相関関係を示す、スプライン曲面の関数を取得するようにしてもよい。このような関数を用いることで、基板1上のあらゆる地点における離間距離の変動を、容易に推定することが可能となる。
【0093】
なお、補間部87は、基板1上のスペーサ領域31が形成される全地点のうち、検査部85によって着弾位置のズレ量が検査されていない地点について、仮想的なズレ量を補間処理により取得する。これにより、スペーサ領域31が形成される地点における離間距離の変動量を取得することができる。補間部87は、その補間処理結果を補間後データ96として記憶部9に格納する(図7参照)。以上が補間処理についての説明である。
【0094】
補正部89は、補間後データ96を参照して、第一吐出タイミングデータ91を補正する。詳細には、補正部97は、スペーサ領域31を形成させる各地点のうち、離間距離が想定よりも短くなっているとされる地点については、その距離分に相当する時間量だけ、吐出タイミングを遅延させるように第一吐出タイミングデータ91を補正する。一方、離間距離が想定よりも長くなっているとされる地点については、補間部87は、その距離分に相当する時間量だけ、吐出タイミングを早めるように第一吐出タイミングデータ91を補正する。吐出制御部81は、このようにして補正された第一吐出タイミングデータ91に基づいて液滴191の吐出を行う。これにより、基板1上において、基板1上の理想的な位置に、スペーサ領域31を形成することができる。
【0095】
なお、図9に示した補正用パターンの構成するドットを形成する基板1上の位置を、スペーサ領域31を形成する地点の一部に一致させた場合、補正用パターンドットの形成位置のズレ量から算出される吐出タイミングの補正量を、該位置に対応するスペーサ領域31の形成時に適用できる。したがって、補正用パターンのドットの形成位置に対応するスペーサ領域31の基板1上の地点に関して、改めて離間距離の変動に関する情報を取得する必要がないため、補正処理に必要な演算処理または時間を軽減することができる。ただし、基板1上における、補正用パターンのドットの形成位置と、スペーサ領域31の形成位置とは、必ずしも一致していなくてもよい。このような場合であっても、上述した補間処理によって、スペーサ領域31が形成される地点の、離間距離の変動に関する情報は取得可能である。
【0096】
また、本実施形態では、補正用パターンを格子点状に形成している。しかしながら、補正用パターンは、このようなものに限定されるものではない。つまり、液滴191が着弾する位置を測定することができるのであれば、どのような補正用パターンが採用されてもよい。例えば図9,図10に示した例では、同じ吐出口19a,19d,19g,19jからのみ液滴191を吐出することで、Y軸方向に沿ってドットが形成されている。しかしながら、基板1の移動中の位置に応じて、液滴191を吐出する吐出口19の組み合せを切り替えるようにしてもよい。この場合、例えばジグザグ状に分散する複数のドットを補正用パターンとして基板1に形成することができる。
【0097】
<2. 第2実施形態>
上記実施形態にかかる液滴吐出装置100は、補正用パターンを基板1に形成して、基板1上の各地点における着弾位置のズレ量から、各地点における吐出ヘッドユニット12と基板1との間の離間距離の変動を検査するように構成されている。しかしながら、離間距離の変動を直接的に測定するようにしてもよい。
【0098】
図13は、第2実施形態に係る液滴吐出装置100Aの概略構成図である。なお、以下の説明において、第1実施形態の場合と同様の機能を有する要素については同一符号を付してその説明を省略する。
【0099】
液滴吐出装置100Aは、撮影部5の代わりに、ギャップ計測器6を備えている。ギャップ計測器6は、テーブル11の上方の所要位置に固定されており、基板1の表面までの距離を測定する。したがって、ギャップ計測器6によって、テーブル11を駆動したとき(つまり基板1を移動させたとき)の吐出ヘッドユニット12と基板1との間の離間距離の変動を計測することができる。なお、ギャップ計測器6をx軸に沿って移動させる図示しない移動機構を設けられている。この移動機構を駆動してギャップ計測器6をx軸方向に移動させるとともに、基板1をy軸方向に沿って移動させることで、基板1上のあらゆる地点における離間距離の変動を計測することができる。
【0100】
ギャップ計測器6の構成は、特に限定されるものではないが、例えば光学式変位計を利用することができる。光学式変位計では、レーザー光が投光レンズを通して集光され、該集光されたレーザー光が測定対象物(基板1)に照射される。そして測定対象物から反射された光線の一部について、受光レンズを通して受光素子(光センサ)上にスポットを結ばせる。このとき、測定対象物の変位に応じてスポットの位置が変動する。光学式変位計は、スポットの位置の変動から、測定対象物の変位量を測定するものである。光学式変位計の場合、離間距離をより精密に測定することができる。
【0101】
図14は、第2実施形態に係る制御部8Aの機能ブロックをデータの流れとともに示す図である。図14に示したように、制御部8Aは、検査部85Aとして機能する。検査部85Aは、基板1上の各地点における吐出ヘッドユニット12と基板1との間の離間距離の測定結果に基づき、離間距離の変動を検査することによって、検査結果データ95を生成し、記憶部9に格納する。
【0102】
なお、ギャップ計測器6によって離間距離を測定する基板1上の各地点は、スペーサ領域31を形成する地点に一致していてもよい。ただし、スペーサ領域31が形成される地点の数は膨大であるため、全地点での離間距離を測定に時間がかかり、また、補正のための演算量も膨大となる。そこで、第1実施形態と同様に、スペーサ領域31が形成される全地点のうちの一部のみの地点のみについて、離間距離を測定すればよい。その結果に基づいて生成される検査結果データ95に対して、補間部87が補間処理を行うことによって、離間距離が測定されなかった地点においても離間距離の変動を取得することができる。
【0103】
なお、液滴吐出装置100Aの場合、ギャップ測定器6による離間距離の測定を、スペーサ領域31を形成する前に予め行ってもよいし、スペーサ領域31を形成する最中にリアルタイムで行ってもよい。後者の場合、基板1上のスペーサ領域31の形成地点が対応する吐出口19の位置に到達する前に、該形成地点における離間距離を測定するようにすればよい。このとき、x軸方向に沿ってギャップ測定器6を複数台並べておけば、基板1上のX軸方向に沿う複数の地点での離間距離を測定することができる。また、この測定結果に基づいて、補間部87により、スプライン曲線などの関数を利用した補間処理を行うことで、複数のギャップ測定器6によって測定されなかった基板1上の地点における離間距離を取得することができる。
【0104】
<3. 変形例>
以上、実施形態について説明してきたが、本発明は上記のようなものに限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
【0105】
例えば、第1実施形態では、説明を容易化するために、基板1を一方向にのみ移動させて補正用パターンを形成して、基板1上の各地点における離間距離の変動を検査するようにしているが、往復移動をさせて補正用パターンを形成することも可能である。この場合、液滴191の着弾位置のズレる方向が、往路移動と復路移動との間で逆転することを考慮する必要がある。
【0106】
また、上記実施形態では、液滴吐出装置100,100Aは、液晶表示装置を製造するとして説明している。しかしながら、本発明は、その他の表示装置(プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイなど)用の基板や、半導体ウェハ、太陽電池用の基板に、液滴を吐出する装置にも適用可能である。もちろん、本発明は、記録媒体にインクを吐出して画像を記録するインクジェット記録装置にも適用可能である。
【0107】
また、上記各実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0108】
100,100A 液滴吐出装置
1 基板(対象物)
11 テーブル
12 吐出ヘッドユニット
15 リニアモータ
16 ガイド部材
18 吐出ヘッド
19 吐出口
191 液滴
31 スペーサ領域
33 ブラックマトリックス
4 レーザー測長器
5 撮影部
6 ギャップ計測器
8,8A 制御部
81 吐出制御部
83 画像処理部
85,85A 検査部
87 補間部
89 補正部
9 記憶部
91 第一吐出タイミングデータ
92 第二吐出タイミングデータ
93 画像データ
95 検査結果データ
96 補間後データ
97 補正部
CPU
D01〜D16,Da01〜Da16 ドット
SC1,SC2 スプライン曲線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液滴を吐出する複数の吐出口が形成された吐出部に対して対象物を移動機構によって相対的に移動させ、前記吐出部から吐出した前記液滴を前記対象物に着弾させる液滴吐出装置において、
前記吐出部に対して吐出信号を出力することにより、前記吐出口からの液滴の吐出を制御する吐出制御部と、
前記対象物の相対的な移動に応じた、前記吐出部と前記対象物との間の離間距離の変動を、前記対象物上の複数の地点について検査する検査部と、
前記対象物上の領域のうち、前記複数の地点とは異なる地点における前記変動に関する情報を、前記検査部の検査結果に基づいた演算により補間する補間部と、
前記補間部によって取得された前記変動に関する情報に基づいて、前記吐出口からの前記液滴の吐出タイミングを補正する補正部と、
を備える液滴吐出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液滴吐出装置において、
前記補間部は、前記変動が検査された前記複数の地点の位置と、前記複数の地点における変動との相関を示す関数に基づいて、前記変動に関する情報を補間する液滴吐出装置。
【請求項3】
請求項2に記載の液滴吐出装置において、
前記関数が、スプライン曲線を表す関数である液滴吐出装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載の液滴吐出装置において、
前記移動機構は、前記吐出部に対して前記対象物を第一方向に沿って移動させ、
複数の前記吐出口は、前記一方向に直交する第二方向の成分を持つ方向に沿って配列された状態で前記液滴を吐出し、
前記補間部は、第二方向に関して、前記変動に関する情報を補間する液滴吐出装置。
【請求項5】
請求項4に記載の液滴吐出装置において、
前記補間部は、前記一方向に関して、前記変動に関する情報を補間する液滴吐出装置。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれか1項に記載の液滴吐出装置において、
前記検査部は、前記離間距離を測定する測定器の測定結果に基づいて、前記変動を検査する液滴吐出装置。
【請求項7】
請求項1から5までのいずれか1項に記載の液滴吐出装置において、
前記吐出制御部は、前記対象物に補正用のパターンを形成するように前記吐出部を制御し、
前記検査部は、前記対象物に形成されたパターンと前記補正用のパターンとの比較に基づいて、前記液滴の着弾位置のズレ量を取得し、該ズレ量から前記変動を検査する液滴吐出装置。
【請求項8】
請求項7に記載の液滴吐出装置において、
前記補正用のパターンが、前記対象物の表面の縦方向および横方向に沿って等間隔で液滴が着弾することにより形成されるパターンである液滴吐出装置。
【請求項9】
請求項7または8に記載の液滴吐出装置において、
前記対象物の表面には、ブラックマトリックスが形成されており、
前記液滴は、スペーサ粒子を含み、
前記吐出ノズルが前記ブラックマトリックスに向けて前記液滴を吐出することによって、前記補正用のパターンが形成される液滴吐出装置。
【請求項10】
液滴を吐出する複数の吐出口が形成された吐出部に対して対象物を移動機構によって相対的に移動させ、前記吐出部から吐出した前記液滴を前記対象物に着弾させる液滴吐出方法において、
(a) 前記吐出部に対して吐出信号を出力することにより、前記吐出部からの液滴の吐出を制御する工程と、
(b) 前記対象物の相対的な移動に応じた、前記吐出部と前記対象物との間の離間距離の変動を、前記対象物上の複数の地点について検査する工程と、
(c) 前記対象物上の領域のうち、前記複数の地点とは異なる地点における前記変動に関する情報を、前記(b)工程の検査結果に基づき演算により補間する工程と、
(d) 前記(b)工程および前記(c)工程において取得された前記変動に関する情報に基づいて、前記(a)工程における前記吐出部からの前記液滴の吐出タイミングを補正する工程と、
を含む液滴吐出方法。
【請求項1】
液滴を吐出する複数の吐出口が形成された吐出部に対して対象物を移動機構によって相対的に移動させ、前記吐出部から吐出した前記液滴を前記対象物に着弾させる液滴吐出装置において、
前記吐出部に対して吐出信号を出力することにより、前記吐出口からの液滴の吐出を制御する吐出制御部と、
前記対象物の相対的な移動に応じた、前記吐出部と前記対象物との間の離間距離の変動を、前記対象物上の複数の地点について検査する検査部と、
前記対象物上の領域のうち、前記複数の地点とは異なる地点における前記変動に関する情報を、前記検査部の検査結果に基づいた演算により補間する補間部と、
前記補間部によって取得された前記変動に関する情報に基づいて、前記吐出口からの前記液滴の吐出タイミングを補正する補正部と、
を備える液滴吐出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液滴吐出装置において、
前記補間部は、前記変動が検査された前記複数の地点の位置と、前記複数の地点における変動との相関を示す関数に基づいて、前記変動に関する情報を補間する液滴吐出装置。
【請求項3】
請求項2に記載の液滴吐出装置において、
前記関数が、スプライン曲線を表す関数である液滴吐出装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載の液滴吐出装置において、
前記移動機構は、前記吐出部に対して前記対象物を第一方向に沿って移動させ、
複数の前記吐出口は、前記一方向に直交する第二方向の成分を持つ方向に沿って配列された状態で前記液滴を吐出し、
前記補間部は、第二方向に関して、前記変動に関する情報を補間する液滴吐出装置。
【請求項5】
請求項4に記載の液滴吐出装置において、
前記補間部は、前記一方向に関して、前記変動に関する情報を補間する液滴吐出装置。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれか1項に記載の液滴吐出装置において、
前記検査部は、前記離間距離を測定する測定器の測定結果に基づいて、前記変動を検査する液滴吐出装置。
【請求項7】
請求項1から5までのいずれか1項に記載の液滴吐出装置において、
前記吐出制御部は、前記対象物に補正用のパターンを形成するように前記吐出部を制御し、
前記検査部は、前記対象物に形成されたパターンと前記補正用のパターンとの比較に基づいて、前記液滴の着弾位置のズレ量を取得し、該ズレ量から前記変動を検査する液滴吐出装置。
【請求項8】
請求項7に記載の液滴吐出装置において、
前記補正用のパターンが、前記対象物の表面の縦方向および横方向に沿って等間隔で液滴が着弾することにより形成されるパターンである液滴吐出装置。
【請求項9】
請求項7または8に記載の液滴吐出装置において、
前記対象物の表面には、ブラックマトリックスが形成されており、
前記液滴は、スペーサ粒子を含み、
前記吐出ノズルが前記ブラックマトリックスに向けて前記液滴を吐出することによって、前記補正用のパターンが形成される液滴吐出装置。
【請求項10】
液滴を吐出する複数の吐出口が形成された吐出部に対して対象物を移動機構によって相対的に移動させ、前記吐出部から吐出した前記液滴を前記対象物に着弾させる液滴吐出方法において、
(a) 前記吐出部に対して吐出信号を出力することにより、前記吐出部からの液滴の吐出を制御する工程と、
(b) 前記対象物の相対的な移動に応じた、前記吐出部と前記対象物との間の離間距離の変動を、前記対象物上の複数の地点について検査する工程と、
(c) 前記対象物上の領域のうち、前記複数の地点とは異なる地点における前記変動に関する情報を、前記(b)工程の検査結果に基づき演算により補間する工程と、
(d) 前記(b)工程および前記(c)工程において取得された前記変動に関する情報に基づいて、前記(a)工程における前記吐出部からの前記液滴の吐出タイミングを補正する工程と、
を含む液滴吐出方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−71039(P2013−71039A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−210849(P2011−210849)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】
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