説明

液状歯磨き剤塗布ブラシ及び液状歯磨き剤

【課題】液状歯磨き剤の飛沫の発生を抑えつつ、歯茎・歯牙全体に塗布し易く、歯茎・歯牙へ薬効成分を効果的に適用することができる液状歯磨き剤塗布ブラシを提供すること。
【解決手段】低反発弾性材料からなる複数突起毛13a,13bを表裏両面、多面または全周面に有してなる液状歯磨き剤を塗布するブラシ部12を備えたことを特徴とする液状歯磨き剤塗布ブラシ10。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液状歯磨き剤を歯茎・歯牙へ塗布するために使用される液状歯磨き剤塗布ブラシ、前記塗布ブラシに用いるための液状歯磨き剤に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に歯磨きの形態としては、歯磨き剤と歯ブラシを使用するものであって、練り歯磨き剤や液体歯磨き剤が使用されている。
いずれにおいても、歯垢分解剤、フッ素、研磨剤などを含有する歯磨き剤を歯ブラシに付け、歯牙表面や歯茎を歯ブラシの刷毛先端で擦り、刷毛の先鋭な先端で歯牙表面や歯間にある食べ物屑を除去している。
【0003】
【特許文献1】特開2002−345560号公報
【特許文献2】特開平11−209256号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、例えば、特許文献1に開示されている歯ブラシ等では、細いブリッスルを束ねたブリッスル束を複数本植設している構成では、刷毛の先鋭な先端で、歯茎を傷つけやすく、更には子供、特に幼児に対して、親がブラッシングする場合が多いが、このブラッシングを子供は嫌がる傾向があり、結果的に磨き残しが発生する可能性が増大する。しかも、刷毛先端の弾性により、ブラッシングしている時に、飛沫が発生し、衣服を汚すなどの問題もある。
このような問題は特許文献2のような液状歯磨き剤において発生しやすい。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたもので、この目的としては、液状歯磨き剤の飛沫の発生を抑えつつ、歯茎・歯牙を傷つけることなく全体に塗布し易く、歯茎・歯牙へ薬効成分を効果的に適用することができ、特に、親が子供に対して塗布するのに好適である液状歯磨き剤塗布ブラシ及びこの塗布ブラシに用いるための液状歯磨き剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る上記課題は、下記構成により達成される。
(1)低反発弾性材料からなる複数突起毛を表裏両面、多面または全周面に有して液状歯磨き剤を塗布するブラシ部を備えたことを特徴とする液状歯磨き剤塗布ブラシ。
【0007】
このように構成された液状歯磨き剤塗布ブラシ(以下、「本発明の塗布ブラシ」とも言う)によれば、低反発弾性材料からなる突起毛を複数配置する構成により液状歯磨き剤の飛沫の発生を抑え、突起毛を表裏両面、多面または全周面に配置しているので、素早く、正確に塗布でき、更に、上下の歯牙に同時に均一に効率良く塗布でき、歯茎・歯牙全体へ薬効成分を満遍なく効果的に適用することができる。
【0008】
(2)複数の前記突起毛先端部の仮想接触面(歯茎・歯牙と接触する面)が少なくとも1つの凹状曲面部分を有することを特徴とする上記(1)記載の液状歯磨き剤塗布ブラシ。
表裏両面、多面または全周面に配置された突起毛の先端部の仮想接触面が少なくとも1つの凹状曲面部分を有する構成により、この凹面が液状歯磨き剤を十分に保持でき、しかも歯茎・歯牙への当たりがより効果的となる。
【0009】
(3)前記突起毛の硬さが15N/cm以下であることを特徴とする上記(1)又は(2)記載の液状歯磨き剤塗布ブラシ。
【0010】
(4)前記低反発弾性材料がシリコーンゴムもしくは熱可塑性エラストマーからなることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の液状歯磨き剤塗布ブラシ。
このように構成された液状歯磨き剤塗布ブラシによれば、所定の低反発弾性状態を有することで、塗布中の液状歯磨き剤の飛沫の発生をより確実に抑制することができる。また、歯茎・歯牙を傷つけることもなく、子供が嫌がることもない。
【0011】
(5)後端部周方向凸部と中間部周方向凸部とを有する棒状握り部と、前記握り部の中間部周方向凸部から前記ブラシ部へ子供の歯の側面湾曲に合わせた曲率を以て延びる首部とを備えたことを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の液状歯磨き剤塗布ブラシ。
【0012】
このように構成された液状歯磨き剤塗布ブラシによれば、自身の歯に塗布する場合にも、他者が塗布する場合(特に親が子供へ塗布する場合)でも、握り部分の後端部周方向凸部では主に小指が掛かり、握り部の中間部周方向凸部では主に親指または人差し指が掛かるようになるので、パームグリップやぺングリップにおいても、確実且つ柔らかく握り部分を保持することができ、突起毛を優しく歯茎・歯牙へ当てることができる。更に、握り部の中間部周方向凸部から前記ブラシ部へ子供の歯の側面湾曲に合わせた曲率を以て延びる首部により、歯の湾曲に合わせて動かすことが容易となる。そして、子供がより嫌がらず、親が子供に対してブラッシングするのに好都合となる。
【0013】
(6)上記(1)〜(5)のいずれか1項に記載の液状歯磨き剤塗布ブラシに用いるための液状歯磨き剤であって、
20℃の条件下で20〜4000mPa・Sの粘性を有することを特徴とする液状歯磨き剤。
【0014】
このように所定の粘性を有する液状歯磨き剤は、本発明の塗布ブラシに用いるのに好適であり、その適度な流動性により、塗布中の歯磨き剤の飛沫の発生を抑え、使用感も良く、歯茎・歯牙全体へ薬効成分を満遍なく適用することができる。
【0015】
本発明のブラシ部を構成する低反発弾性材料としてはエラストマーがあり、具体的には、シリコーンゴム又は熱可塑性エラストマーなどが適用可能である。このような構成により、液状歯磨き剤の飛沫の発生を抑え、突起毛を表裏両面、多面または全周面に配置しているので、素早く、正確に塗布でき、歯茎・歯牙全体へ薬効成分を満遍なく効果的に適用することができる。
【0016】
ここで、シリコーンゴムとしては、天然ゴムや合成ゴムと同様にロール作業で可塑化させて形成されるミラブル型、例えば、メチルビニルシリコーンゴム、フェニルメチルシリコーンゴム、フルオロシリコーンゴム等が挙げられる。この他にも、低粘度の液状で、室温又は加熱により硬化してゴム形状となる液状シリコーン、例えば、縮合型シリコーン、付加型シリコーン等が挙げられる。また、熱可塑性エラストマーとしては、例えば、スチレン系、塩ビ系、オレフィン系、ウレタン系、ポリエステル系、ニトリル系、ポリアミド系、フッ素系、塩素化ポリエチレン系、塩素化エチレンコポリマー架橋体アロイ系、エステルハロゲン系ポリマー系などから挙げられる。これらの中でも、メチルビニルシリコーンゴム、スチレン系エラストマーが柔軟性が付与でき、薬剤や劣化に耐性があることから好ましい。また、柔軟性などを向上させるため可塑剤を添加しても良い。
更には、低反発弾性材料からなる突起毛の硬さとして、15N/cm以下とするのが、液状歯磨き剤の飛沫が飛び散ることをより抑制できるので好ましい。ここで、毛の硬さとは、後述のとおり日本工業規格の「歯ブラシ」にある圧縮試験機を用いる方法(JIS S3016)に準じて測定されるものである。
【0017】
本発明の塗布ブラシの首部は、子供の歯の側面湾曲に沿うような曲率を以て伸びており、首部の長さが30〜70mm、曲率半径Rは10〜500mmが好ましい。
また、本発明の塗布ブラシのブラシ部は、塗布しやすいように一般の歯磨きブラシと比べて長さに比して太く構成されている。ブラシ部の具体例としては以下のものが例示される。
ブラシ部の幅:7〜15mm、ブラシ部の長さ:10〜25mm、突起毛の配置面積:1.0〜2.5cm、突起毛数:20〜150本、突起毛直径:0.5〜2.0mm、突起毛長さ:2〜12mm、突起毛先端形状:円弧状、平面状、円錐状、角錐状、波形状
なお、突起毛の配置状態としては、前記のような表裏面のほかに、多面形態や、首部長手方向に対して全周面に設置することが可能である。
【0018】
本発明のブラシの使用形態としては、前述のようにパームグリップやぺングリップのいずれかで使用するのであるが、一般のブラシと比較すると本発明のブラシの突起毛は非常に柔らかいので、歯茎・歯牙に対してブラッシングといって擦り当てるという動作よりも、あくまでも液状歯磨き剤の塗布であり、歯牙表面に液状歯磨き剤を付着させるような使用形態となり、その過程で、歯垢や食べかすなどを取り除くこととなる。このように、子供への使用がより好適となっている。
【0019】
本発明の塗布ブラシは、ブラシ部と棒状握り部とを別々に成形して組み付ける、取り外し可能なタイプとすることができる。具体的には、シリコーンゴム等でブラシ部を成形し、棒状握り部をポリプロピレン等の樹脂で成形した後、前記握り部に前記ブラシ部をはめ込むことで製造できる。
この他に、ブラシ部と棒状握り部とが一体に成形された、取り外しできないタイプとしても良い。具体的には、一次型を用いてポリプロピレンの握り部を成形した後、前記握り部を二次型にセットしてエラストマー樹脂を周囲に流し込んで成形することで製造できる。
【0020】
ここで、本発明の塗布ブラシに用いるのに好適な液状歯磨き剤について詳述する。
本発明の液状歯磨き剤は、以下の各種成分から成り、20℃条件下で20〜4000mPa、好ましくは50〜1000mPaの粘性を有するように調製されている。
ここでの粘性は、液温20℃条件下での測定値であり、例えば、RB80H型粘度計(東機産業社製)で測定することができる。
【0021】
用いられる各種成分としては、例えば、フッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化デカリニウム、塩化ベンゼトニウム、イソプロピルメチルフェノール、塩化リゾチーム、デキストラナーゼ、ムタステイン、グリチルリチン酸ジカリウム、アラントイン、アラントインクロルヒドロキシアルミニウム、ヒノキチオール、酢酸トコフェノール、ポリリン酸塩、ピロリン酸塩などの有効成分、精製水、エタノール、グリセリン、プロピレングリコール、ブチレングリコール等の溶剤、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、キサンタンガム、ヒアルロン酸ナトリウム、寒天、カラギーナン、アルギン酸ナトリウム等の増粘剤、POEアルキルエーテル、POE硬化ヒマシ油、POE・POP共重合体、ラウリル硫酸ナトリウム等の界面活性剤、サッカリンナトリウム、キリシトール、エリスリトール、マルチトース、メントール、ミントなどの香味剤、安息香酸ナトリウム、パラベン等の防腐剤、クエン酸、リン酸ナトリウム等のPH調整剤、各種法定色素、香料等が挙げられる。
以下の表1に、本発明の液状歯磨き剤の処方例1〜4を示す。(質量%にて表示)
【0022】
【表1】

【発明の効果】
【0023】
本発明の液状歯磨き剤塗布ブラシによれば、特に液状歯磨き剤の飛沫の発生を抑えつつ、歯茎・歯牙を傷つけることなく、全体に素早く、正確に塗布し、歯茎・歯牙へ薬効成分を効果的に満遍なく適用することができる。特に、突起毛が柔らかいことにより、親が子供に対して塗布するのに好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明に係る液状歯磨き剤塗布ブラシの実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1〜図3は本発明に係る液状歯磨き剤塗布ブラシの実施形態を示しており、図1は本発明の第1実施形態に係る液状歯磨き剤塗布ブラシの斜視図、図2は図1の液状歯磨き剤塗布ブラシの側面図、図3は図1のブラシ部分の部分拡大斜視図である。
【0025】
図1に示すように、液状歯磨き剤塗布ブラシ10は、低反発弾性材料からなる複数突起毛13a,13bを表裏両面に備えるブラシ部12と、ブラシ部12に接続して歯の湾曲に合わせた曲率(図2の一点鎖線14a)を以て延びる首部14と、首部14から延びる棒状握り部16が備えられ、首部14との接続位置には中間部周方向凸部17が配置され、棒状握り部16の後端は後端部周方向凸部18が配置される。棒状握り部16の中間部周方向凸部17近くには滑り止めとしてのゴム部材部分19が部分縞状に埋め込まれている。
【0026】
ブラシ部12の表側突起毛13aの複数先端全体(仮想接触面)として成すのが凹形状曲面となっており、裏側の突起毛13bでは平面形状を成している。歯茎・歯牙と接触する面であるこれらにより、液状歯磨き剤の塗布中に、歯の形状に対応してより塗布しやすい面を選択できることとなる。
また、ブラシ部12の複数突起毛13a,13bの成形は、プレス成形や射出成形によるもので、各先端は球状などの丸みを帯びた形状のほか、平面形状としてもよい。
【0027】
棒状握り部16に備えられている中間部周方向凸部17および後端部周方向凸部18は棒状握り部16の全周に渡って突出しているが、一部突出する配置とすることもできる。また、ゴム部材部分19は全周に渡って施す事もできる。
後端部周方向凸部18では主に小指を掛ける握りが安定し、中間部周方向凸部17では主に親指または人差し指を掛ける握りが安定するので、パームグリップやぺングリップにおいても、確実且つ柔らかく握り部分を保持することができ、自身の歯に塗布する場合にも、他者が塗布する場合(親が子供へ塗布)でも、突起毛を優しく歯茎・歯牙へ当てることができる。更に、首部14には図2の一点鎖線14aで示したように子供の歯側面の湾曲に合うような曲率を備えるので、子供の歯の湾曲に合わせて塗布ブラシ10を動かすことがより容易となる。
【0028】
次に、図4、図5により、本発明の塗布ブラシのブラシ部分を取り外し可能とした実施形態を説明する。
図4は、本発明の第2実施形態に係る液状歯磨き剤塗布ブラシのブラシ部分を取り外した状態の斜視図、図5(a),(b)は図4のブラシ部分の部分拡大側面図である。
【0029】
図4に示すように、液状歯磨き剤塗布ブラシ20は、低反発弾性材料からなる複数突起毛23a,23bを表裏両面に備えるブラシ部22と、図1に示したブラシ部12、首部14、棒状握り部16、中間部周方向凸部17、後端部周方向凸部18に対応して同様の構成となるブラシ部22、首部24、棒状握り部26、中間部周方向凸部27、後端部周方向凸部28が配置される。首部24の先端ではブラシ部22が着脱自在に備えられるブラシ固定部25が備えられる。また、棒状握り部16の中間部周方向凸部17近くには滑り止めとしてのゴムリング29が配設されている。これは中間部周方向凸部17を中心にした部分拡大断面図として図4内に構成を示している。棒状握り部16には中間部周方向凸部17近くに全周を切り欠け形状とした狭細部26aが配置され、ゴムリング29がこの狭細部26aに埋め込まれて、配置される。これにより、どの様な持ち方でも滑り止めとして有効に作用することとなる。
【0030】
図5(a),(b)に示すように、ブラシ部22の内にはブラシ固定部25が押し込まれる固定部受容空隙22aが配置され、ブラシ固定部25には肩部25aが備えられ、ブラシ部22の固定は固定部受容空隙22aにブラシ固定部25が肩部25aまで押し込まれ、ブラシ部22自身の弾性力によりブラシ固定部25を締め付ける状態で固定維持される。
塗布ブラシ20のその他機能は図1に示した塗布ブラシ10と同等である。
【0031】
図6(a),(b)はブラシ部の他の実施形態を示す部分拡大図である。
ブラシ部32は、図2に示すブラシ部12、または図5に示すブラシ部22と同等の機能を有しているが、形状の違いとして、ブラシ部32の表側突起毛33aの複数先端全体として成すのが凹形状曲面を2つ連ねた形状となっている点である。裏側の突起毛13bでは平面形状を成している。これにより、ブラシ部12、またはブラシ部22と同じく、液状歯磨き剤の塗布中により塗布しやすい面を選択できることとなる。
【0032】
図7(a),(b),(c)は、本発明の第2実施形態の変形例を示す斜視図である。
首部24の先端ではブラシ部22が着脱自在に備えられるブラシ固定部251が備えられる。図7(b)は図7(a)のM−M断面図であり、この図から分かるように、ブラシ固定部251には矢じり形状の肩部251aが長手方向に連なって複数備えられる。図7(c)はブラシ部と首部との装着状態を示す透視図であり、この図から分かるように、ブラシ部22内部にブラシ固定部251の肩部251a全てが押し込まれ、ブラシ部22内部に形成された肩部251aの形状とブラシ部22自身の弾性力とにより、ブラシ固定部251を締め付け且つ引っかかる状態となり、ブラシ部22内部にブラシ固定部251をより強固に固定維持することができる。
【0033】
[実施例]
〈突起毛の硬さ試験(JIS S3016に準じる)〉
JIS S3016では、毛の長さを7.00±0.15mmに切りそろえたもので測定するが、実施例1,2のシリコーンの突起毛の長さは3.0mmとして測定した。また、比較例1,2はサンプルを加工せず、記載した毛の長さで測定した。
プッシュプルゲージにて突起毛試料を固定し、10mm/minの速度で荷重を加え、荷重の最大値を求め、次式によって毛の硬さを算出した。
H=P/B
ここで、H:(N/cm)、P:荷重の最大値(N)、B:植毛面積(cm
1Kgf=9.80665Nの換算とする。
【0034】
(試料)
実施例1.硬度40°のシリコーンからなるブラシ部を有した図1記載の本発明の塗布ブラシ
実施例2.硬度55°のシリコーンからなるブラシ部を有した図1記載の本発明の塗布ブラシ
比較例1.市販のナイロン歯ブラシ(GUMデンタルブラシ♯76(商品名)[サンスター(株)製]、毛の長さ:6.0mm、)
(結果及び考察)
測定結果を表2に示す。
本発明の塗布ブラシは市販の柔らかめの歯ブラシと比べても約7〜13倍の柔らかさを有していた。
【0035】
【表2】

【0036】
(飛散試験)
図8は液剤飛散試験の概要を示す概念図である。この図8に示すように、ブラシに液剤を300μLをつけて、白色バット上に設置した義歯(下顎)を被験者に30秒間自由にブラッシングしてもらった。ブラッシング後、図8中の範囲X,Y,Zで示した5cm四方の領域内に飛んだ飛沫(肉眼で観測できる大きさ)の数を計測した。
・使用した液剤:赤色102号を0.1%添加した処方例1
・実施例3:本発明の塗布ブラシ(実施例2)(表3−2)
・比較例2:市販のナイロン歯ブラシ[check超コンパクト(商品名)(花王(株)製、毛の長さ:9.0mm、最大荷重:36.3N、植毛面積:1.4cm、毛の硬さ:25.9N/cm)](結果は表3−1)
【0037】
(結果及び考察)
5名の被験者により試験を行った。市販の歯ブラシによる比較例2を表3−1に、本発明の塗布ブラシによる実施例3を表3−2に示す。
比較例2で使用した歯ブラシは毛の長さが9.0mmと長く、毛の硬さが低くなっているが、それでも、全体としては比較例2の歯ブラシよりも本発明の塗布ブラシの方が飛散しにくい傾向が明らかに見られた。本発明の塗布ブラシは、比較例2の結果から飛沫数からブラッシング圧の強いと推察される被験者A,Cにおいてもほとんど飛散は見られなかった。
【0038】
【表3】

【0039】
【表4】

【0040】
なお、本発明に係る液状歯磨き剤塗布ブラシは、前述した各実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形や改良等が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の第1実施形態に係る液状歯磨き剤塗布ブラシの斜視図である。
【図2】図1の液状歯磨き剤塗布ブラシの側面図である。
【図3】図1のブラシ部分の部分拡大斜視図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る液状歯磨き剤塗布ブラシのブラシ部分を取り外した状態の斜視図である。
【図5】(a),(b)はそれぞれ図4のブラシ部分の部分拡大側面図である。
【図6】(a)はブラシ部の他の実施形態を示す部分拡大斜視図,(b)は(a)のブラシ部の部分拡大側面図である。
【図7】本発明の第2実施形態の変形例を示す斜視図である。
【図8】飛散試験の概要を示す概念図である。
【符号の説明】
【0042】
10,20,30 液状歯磨き剤塗布ブラシ
12 塗布ブラシ部
13a,13b 突起毛
14 首部
16 握り部
17 中間部周方向凸部
18 後端部周方向凸部
25 ブラシ固定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
低反発弾性材料からなる複数の突起毛を表裏両面、多面または全周面に有してなる液状歯磨き剤を塗布するブラシ部を備えたことを特徴とする液状歯磨き剤塗布ブラシ。
【請求項2】
複数の前記突起毛先端部の仮想接触面が少なくとも1つの凹状曲面部分を有することを特徴とする請求項1記載の液状歯磨き剤塗布ブラシ。
【請求項3】
前記突起毛の硬さが15N/cm以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の液状歯磨き剤塗布ブラシ。
【請求項4】
前記低反発弾性材料がシリコーンゴムもしくは熱可塑性エラストマーからなることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の液状歯磨き剤塗布ブラシ。
【請求項5】
後端部周方向凸部と中間部周方向凸部とを有する棒状握り部と、前記握り部の中間部周方向凸部から前記ブラシ部へ子供の歯の側面湾曲に合わせた曲率を以て延びる首部とを備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の液状歯磨き剤塗布ブラシ。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の液状歯磨き剤塗布ブラシに用いるための液状歯磨き剤であって、
20℃の条件下で20〜4000mPa・Sの粘性を有することを特徴とする液状歯磨き剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−136615(P2009−136615A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−318573(P2007−318573)
【出願日】平成19年12月10日(2007.12.10)
【出願人】(000100539)アース製薬株式会社 (191)
【Fターム(参考)】