液状物移送装置
【課題】装置自体の構成をコンパクトにできるとともに小さい駆動力により作動させることができるようにすることを課題としている。
【解決手段】可撓性資材からなり直線状に配設されるチューブ3と、このチューブの軸方向に等間隔をもって配設される複数本の油圧シリンダ41〜48と、これら油圧シリンダのピストンロッド5に設けられ前記チューブの外面に当接してこれを押し潰すための押圧部材6と、圧油供給源からの圧油を前記油圧シリンダの伸縮作動順を流動物移送方向としてピストンロッドを順次伸縮作動させる切換弁装置7とを具有し、当該シリンダの上記動作によりチューブ内の流動物を一方から他方へ向けて移送するようにしたことにある。
【解決手段】可撓性資材からなり直線状に配設されるチューブ3と、このチューブの軸方向に等間隔をもって配設される複数本の油圧シリンダ41〜48と、これら油圧シリンダのピストンロッド5に設けられ前記チューブの外面に当接してこれを押し潰すための押圧部材6と、圧油供給源からの圧油を前記油圧シリンダの伸縮作動順を流動物移送方向としてピストンロッドを順次伸縮作動させる切換弁装置7とを具有し、当該シリンダの上記動作によりチューブ内の流動物を一方から他方へ向けて移送するようにしたことにある。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シールド工法における生コンクリート、土木工事において発生した粒状物を含有する泥水等の流動物の搬送に用いる流動物移送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シールド工法の施工時における骨材を含有する生コンクリートや土木作業時に発生する砂利等の櫟を含む泥水等の流動物の搬送には、通常の圧送式ポンプを用いることは不可であることから、従来からこの種流動物を移送するチューブをしごいて搬送する所謂チューブポンプと称される移送装置が用いられている。
【0003】
従来の上記チューブポンプは、図12に略示し、特許文献1にもみられるように、エンドレスに回転する左右の回転部材a,a間に複数本のドラム型のローラb,b…を等間隔をおいて軸支し、このローラbを、基台c上に置かれる天然ゴム等の復元力に富む材料からなるチューブdの上部でこれを押し潰しながら転動するよう配設し、前記回動部材aを矢印方向に回転駆動させることにより各ローラb,b…がガイドeにそってf点からg点に至る間を移動する間にチューブdを順次押し潰しながら進行し、これによりチューブd内の流動物をしごき出して矢印Y方向へ移送するように構成されたものである。
【0004】
しかるに上記構成によるチューブポンプでは、ローラb,b…によってチューブdを押し潰しながら進行することによって流動物を押し出して行く構成であるため、チューブdの直径に対しローラbの半径を1/2以上の大径とすることが必要となり、したがってチューブdの上方位置に設置する回動部材aの回転軌道を含み大型な装置となって設置スペースを大きく必要とすると共に大きな駆動力を必要とするという問題点があるうえ、装置の価格自体が著しく高価になるという問題点があった。
【特許文献1】特許第3620917号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、装置自体の構成を著しくコンパクトにできると共に小さい駆動力により作動させることができ、かつ安価に得ることができる流動物移送装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する手段として本発明は、可撓性資材からなり直線状に配設されるチューブと、このチューブの軸方向に等間隔をもって配設される複数本の油圧シリンダと、これら油圧シリンダのピストンロッドに設けられ前記チューブの外面に当接してこれを押し潰すための押圧部材と、圧油供給源からの圧油を前記油圧シリンダの伸長作動順を流動物移送方向としてピストンロッドを順次伸縮作動させる切換弁装置とを具有し、当該シリンダの上記動作によりチューブ内の流動物を一方から他方へ向けて移送するように構成したことにある。
【0007】
前記切換弁装置は、ピストンロッドが最伸長状態となる油圧シリンダの下流側に位置する油圧シリンダのピストンロッドが伸長途上におかれ、同上流側に位置する油圧シリンダのピストンロッドが短縮途上におかれるよう切換え動作を行うように構成することが好ましい。
【0008】
上記切換弁装置として、基台に固定されるハウジングと、このハウジング内にあって前記油圧シリンダの本数に対応して間欠回動するロータとを有し、このロータの間欠回動時に前記ハウジングの軸心位置に設けられた圧油導入路から前記ハウジングに設けられた各油圧シリンダへの油路を通じて順次圧油を給送する油路と、油圧シリンダからの戻り油をタンクへ戻す戻し路とを備え、前記戻し路に連通する半円状の戻し用溝以外の部位で最伸長状態にある油圧シリンダの前部の油圧シリンダは伸長途中に、後部の油圧シリンダは短縮途中におかれるように構成することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、複数本列設される油圧シリンダのピストンロッドを切換弁装置による特定の順番に従った伸縮動作により流動物をチューブ内で順送りして移送するようにしたので、従来のチューブポンプのように大径のローラを用いてこれを所定距離にわたり転動させてしごき出すものに比し装置全体を著しくコンパクトに構成することができ、また作動源は油圧ポンプでよいので大馬力の動力を必要とすることなく実施することができる。
【0010】
切換弁装置は、ロータを油圧シリンダの本数に対応してその本数で徐した回転角相当により間欠回動させることで油路の切り換えと排油をなさしめるようにすることによりコンパクトな構成の下に油圧シリンダの作動順を的確に行わせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1は本発明による流動物移送装置の一実施形態の外側板を除去した側面図、図2は同平面図、図3は図1のA−A矢視拡大断面図を示すもので、この実施形態では、装置本体1の水平台2上に水平姿勢に設置され天然ゴム等の復元性に富む可撓性資材からなるチューブ3と、このチューブ3の軸線方向下部に相互に等間隔をもって直立姿勢に設置される複数本(図示の実施形態では8本)の油圧シリンダ41〜48(符号4で総称する)と、これら各油圧シリンダ41〜48のピストンロッド5の先端に固設され前記チューブ3を押圧してこれを略偏平状に押し潰し得る長さを有する押圧部材6と、圧油供給源からの圧油を前記油圧シリンダ41〜48の伸縮作動順を流動物移送方向Yとしてピストンロッド5を順次伸縮作動させる切換弁装置7とを備えており、前記チューブ3は流動物移送配管8,8の途中部に接続される。
【0012】
前記油圧シリンダ4のピストンロッド5は、伸長時にチューブ3を装着本体1の受板9の下面に押し付けて略偏平状に押し潰すに足るストロークを有するものとされている。
【0013】
前記押圧部材6は、図2にみられるように隣位の油圧シリンダ4の押圧部材6に対し可及的近接する幅寸法とされ、チューブ3を押し潰す際に隣位の押圧部材6との間に隙間が生じないようになされている。なお10,10は押圧部材6の昇降ガイドを示す。
【0014】
図4は上記装置の油圧シリンダ41〜48に対する圧油供給系を模式的に示しており、切換弁装置7は説明の便宜上展開した形として示している。
【0015】
上記切換弁装置7には圧油供給源である油圧ポンプ12が管路13により接続され、タンク14から作動油を汲み上げて油圧シリンダ41〜48のボトム側に逆止弁15,15…を介装した油路16,16…を経て圧送するように構成されている。
【0016】
上記油路16の逆止弁15と油圧シリンダ4との間から分岐する油路17が前記タンク14に導かれ、排油するよう構成されている。
【0017】
また油圧シリンダ41〜48のヘッド側に接続される油路18は、補助ポンプ19を通じて油をタンク14へ戻すようになっている。
【0018】
なお図4において20,21はリリーフ弁、22,23は圧力計を示す。
【0019】
次に上記切換弁装置7の具体的構成例を図5〜図9によって説明する。
【0020】
この切換弁装置7は、基台24に固定されるハウジング25と、このハウジング25内にあって軸受26,26により回転自在に支持されるロータ27とを構成部材とされ、前記ロータ27はモータ28により間欠回転されるゼネバ29を有し、その回転比はモータ28の1回転によりロータ27が油圧シリンダ41〜48の本数に対応する1/8回転するようにゼネバ29の歯数が定められている。
【0021】
前記ハウジング25およびロータ27には、前記油圧ポンプ12からの圧油を受け入れて前記油圧シリンダ41〜48へ分配給排する油路が形成されている。
【0022】
上記油路は、ハウジング25の軸心位置に形成され前記油圧ポンプ12からの圧油が導入されるポート30と、前記ハウジング25の外周に開口するよう周方向に等間隔に8個設けられるポート31,31…を有し、このポート31,31…に通じハウジング25の内面に開口された通孔32,32…内に逆止弁15,15…が内蔵されている。
【0023】
前記ロータ27には、前記油路30に連通しタンク14に連通する油路33と、前記油路30を中心として左右対称的に半円形状に形成され前記ハウジング25の油路33,33…に選択的に連通して圧油をタンク14に戻すための戻し用溝34と、この戻し用溝34の中間位置に設けられる戻し用ポート35とを有している。
【0024】
次に作用を説明する。
【0025】
油圧ポンプ12を駆動して油路13からポート30に圧油を供給する一方、モータ28を駆動してゼネバ29を間欠回動させると、切換弁装置7のロータ27は1歯分ずつ回動する。
【0026】
このときポート30に導入された圧油は、戻し用溝34に位置していない油路32を通じて1つの油圧シリンダ(図4においては符号43で示す油圧シリンダ)のボトム側に供給され、その油圧シリンダ43のピストンロッド5が伸長してその押圧部材6によりチューブ3を受板9に押しつけてこれを押し潰す。
【0027】
なお後述するようにこの油圧シリンダ43に対し下流側に隣在する油圧シリンダ44のピストンロッド5は下降途中にあり、同じく上流側に隣在する油圧シリンダ42のピストンロッド5は上昇途中にある。他の油圧シリンダへは小量の油で加圧(1〜2MPa程度)している。
【0028】
こうしてピストンロッド5によるチューブ3の押し潰し動作に連続性が与えられ、チューブ3内の流動物をスムーズに移送することができる。
【0029】
油路32が油路33を通じて戻し用溝34へ移行して連通すれば、圧油はポート35、油路17を通ってタンク14へ戻され、ピストンロッド5は下降する。
【0030】
このようにロータ27の間欠回動により油路36が順次油圧シリンダ41〜48の順に開通して圧油を送り、チューブ3を順次押し潰してチューブ3内の流動物を下流方向へ送り出すことができる。
【0031】
なお油圧シリンダ41〜48の作動順を逆にすれば吸込み作用を行わせることができ、吐出と吸込みとに切り換えて両用に使用することができる。
【0032】
上記油圧シリンダ41〜48の動作を図10に、また図11に模式的に示している。
【0033】
図10は油圧シリンダ44がチューブ3を押し潰している状態を示し、次位の油圧シリンダ45のピストンロッド5が上昇途上に、手前の油圧シリンダ43のピストンロッド5が下降途上におかれる状況を示し、この状態が図11(A)として模式的に示している。図11の左側に切換弁装置7のロータ27の回転角を示している。
【0034】
この図11から分かるように、ピストンロッド5を伸長させる油圧シリンダ4が送り出し方向へ順番に作動し、同図(A)から(H)に至って1サイクルを終り、再び(A)の動作に戻ることを繰り返すことによりチューブ3内の流動物を送り出し方向Yへ移送することになる。
【0035】
油圧シリンダ4の作動順を逆にすれば、吸込み用として使用することができる。
【0036】
図示の実施形態では、油圧シリンダ4を8本用いた場合について示しているが、これは流動物の移送量やその性状に応じて適宜増減することは任意である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明による流動物移送装置の一実施形態を示す側面図。
【図2】同、要部のみを示す平面図。
【図3】図1のA−A矢視拡大断面図。
【図4】本発明による流動物移送装置の作動回路を模式的に示す説明図。
【図5】本発明において用いられる切換弁装置の一実施形態を示す断面図。
【図6】図5におけるハウジングの断面図。
【図7】同、正面図。
【図8】同、ロータの断面図。
【図9】同、正面図。
【図10】油圧シリンダの伸長作動状況を示す説明図。
【図11】(A)〜(H)はこれを模式的に示す説明図。
【図12】従来の技術を示す説明図。
【符号の説明】
【0038】
1 装置本体
3 チューブ
4(41〜48) 油圧シリンダ
5 ピストンロッド
6 押圧部材
7 切換弁装置
9 天板
12 油圧ポンプ
14 タンク
15 逆止弁
19 補助ポンプ
25 ハウジング
27 ロータ
28 モータ
29 ゼネバ
34 戻し用溝
【技術分野】
【0001】
本発明は、シールド工法における生コンクリート、土木工事において発生した粒状物を含有する泥水等の流動物の搬送に用いる流動物移送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シールド工法の施工時における骨材を含有する生コンクリートや土木作業時に発生する砂利等の櫟を含む泥水等の流動物の搬送には、通常の圧送式ポンプを用いることは不可であることから、従来からこの種流動物を移送するチューブをしごいて搬送する所謂チューブポンプと称される移送装置が用いられている。
【0003】
従来の上記チューブポンプは、図12に略示し、特許文献1にもみられるように、エンドレスに回転する左右の回転部材a,a間に複数本のドラム型のローラb,b…を等間隔をおいて軸支し、このローラbを、基台c上に置かれる天然ゴム等の復元力に富む材料からなるチューブdの上部でこれを押し潰しながら転動するよう配設し、前記回動部材aを矢印方向に回転駆動させることにより各ローラb,b…がガイドeにそってf点からg点に至る間を移動する間にチューブdを順次押し潰しながら進行し、これによりチューブd内の流動物をしごき出して矢印Y方向へ移送するように構成されたものである。
【0004】
しかるに上記構成によるチューブポンプでは、ローラb,b…によってチューブdを押し潰しながら進行することによって流動物を押し出して行く構成であるため、チューブdの直径に対しローラbの半径を1/2以上の大径とすることが必要となり、したがってチューブdの上方位置に設置する回動部材aの回転軌道を含み大型な装置となって設置スペースを大きく必要とすると共に大きな駆動力を必要とするという問題点があるうえ、装置の価格自体が著しく高価になるという問題点があった。
【特許文献1】特許第3620917号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、装置自体の構成を著しくコンパクトにできると共に小さい駆動力により作動させることができ、かつ安価に得ることができる流動物移送装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する手段として本発明は、可撓性資材からなり直線状に配設されるチューブと、このチューブの軸方向に等間隔をもって配設される複数本の油圧シリンダと、これら油圧シリンダのピストンロッドに設けられ前記チューブの外面に当接してこれを押し潰すための押圧部材と、圧油供給源からの圧油を前記油圧シリンダの伸長作動順を流動物移送方向としてピストンロッドを順次伸縮作動させる切換弁装置とを具有し、当該シリンダの上記動作によりチューブ内の流動物を一方から他方へ向けて移送するように構成したことにある。
【0007】
前記切換弁装置は、ピストンロッドが最伸長状態となる油圧シリンダの下流側に位置する油圧シリンダのピストンロッドが伸長途上におかれ、同上流側に位置する油圧シリンダのピストンロッドが短縮途上におかれるよう切換え動作を行うように構成することが好ましい。
【0008】
上記切換弁装置として、基台に固定されるハウジングと、このハウジング内にあって前記油圧シリンダの本数に対応して間欠回動するロータとを有し、このロータの間欠回動時に前記ハウジングの軸心位置に設けられた圧油導入路から前記ハウジングに設けられた各油圧シリンダへの油路を通じて順次圧油を給送する油路と、油圧シリンダからの戻り油をタンクへ戻す戻し路とを備え、前記戻し路に連通する半円状の戻し用溝以外の部位で最伸長状態にある油圧シリンダの前部の油圧シリンダは伸長途中に、後部の油圧シリンダは短縮途中におかれるように構成することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、複数本列設される油圧シリンダのピストンロッドを切換弁装置による特定の順番に従った伸縮動作により流動物をチューブ内で順送りして移送するようにしたので、従来のチューブポンプのように大径のローラを用いてこれを所定距離にわたり転動させてしごき出すものに比し装置全体を著しくコンパクトに構成することができ、また作動源は油圧ポンプでよいので大馬力の動力を必要とすることなく実施することができる。
【0010】
切換弁装置は、ロータを油圧シリンダの本数に対応してその本数で徐した回転角相当により間欠回動させることで油路の切り換えと排油をなさしめるようにすることによりコンパクトな構成の下に油圧シリンダの作動順を的確に行わせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1は本発明による流動物移送装置の一実施形態の外側板を除去した側面図、図2は同平面図、図3は図1のA−A矢視拡大断面図を示すもので、この実施形態では、装置本体1の水平台2上に水平姿勢に設置され天然ゴム等の復元性に富む可撓性資材からなるチューブ3と、このチューブ3の軸線方向下部に相互に等間隔をもって直立姿勢に設置される複数本(図示の実施形態では8本)の油圧シリンダ41〜48(符号4で総称する)と、これら各油圧シリンダ41〜48のピストンロッド5の先端に固設され前記チューブ3を押圧してこれを略偏平状に押し潰し得る長さを有する押圧部材6と、圧油供給源からの圧油を前記油圧シリンダ41〜48の伸縮作動順を流動物移送方向Yとしてピストンロッド5を順次伸縮作動させる切換弁装置7とを備えており、前記チューブ3は流動物移送配管8,8の途中部に接続される。
【0012】
前記油圧シリンダ4のピストンロッド5は、伸長時にチューブ3を装着本体1の受板9の下面に押し付けて略偏平状に押し潰すに足るストロークを有するものとされている。
【0013】
前記押圧部材6は、図2にみられるように隣位の油圧シリンダ4の押圧部材6に対し可及的近接する幅寸法とされ、チューブ3を押し潰す際に隣位の押圧部材6との間に隙間が生じないようになされている。なお10,10は押圧部材6の昇降ガイドを示す。
【0014】
図4は上記装置の油圧シリンダ41〜48に対する圧油供給系を模式的に示しており、切換弁装置7は説明の便宜上展開した形として示している。
【0015】
上記切換弁装置7には圧油供給源である油圧ポンプ12が管路13により接続され、タンク14から作動油を汲み上げて油圧シリンダ41〜48のボトム側に逆止弁15,15…を介装した油路16,16…を経て圧送するように構成されている。
【0016】
上記油路16の逆止弁15と油圧シリンダ4との間から分岐する油路17が前記タンク14に導かれ、排油するよう構成されている。
【0017】
また油圧シリンダ41〜48のヘッド側に接続される油路18は、補助ポンプ19を通じて油をタンク14へ戻すようになっている。
【0018】
なお図4において20,21はリリーフ弁、22,23は圧力計を示す。
【0019】
次に上記切換弁装置7の具体的構成例を図5〜図9によって説明する。
【0020】
この切換弁装置7は、基台24に固定されるハウジング25と、このハウジング25内にあって軸受26,26により回転自在に支持されるロータ27とを構成部材とされ、前記ロータ27はモータ28により間欠回転されるゼネバ29を有し、その回転比はモータ28の1回転によりロータ27が油圧シリンダ41〜48の本数に対応する1/8回転するようにゼネバ29の歯数が定められている。
【0021】
前記ハウジング25およびロータ27には、前記油圧ポンプ12からの圧油を受け入れて前記油圧シリンダ41〜48へ分配給排する油路が形成されている。
【0022】
上記油路は、ハウジング25の軸心位置に形成され前記油圧ポンプ12からの圧油が導入されるポート30と、前記ハウジング25の外周に開口するよう周方向に等間隔に8個設けられるポート31,31…を有し、このポート31,31…に通じハウジング25の内面に開口された通孔32,32…内に逆止弁15,15…が内蔵されている。
【0023】
前記ロータ27には、前記油路30に連通しタンク14に連通する油路33と、前記油路30を中心として左右対称的に半円形状に形成され前記ハウジング25の油路33,33…に選択的に連通して圧油をタンク14に戻すための戻し用溝34と、この戻し用溝34の中間位置に設けられる戻し用ポート35とを有している。
【0024】
次に作用を説明する。
【0025】
油圧ポンプ12を駆動して油路13からポート30に圧油を供給する一方、モータ28を駆動してゼネバ29を間欠回動させると、切換弁装置7のロータ27は1歯分ずつ回動する。
【0026】
このときポート30に導入された圧油は、戻し用溝34に位置していない油路32を通じて1つの油圧シリンダ(図4においては符号43で示す油圧シリンダ)のボトム側に供給され、その油圧シリンダ43のピストンロッド5が伸長してその押圧部材6によりチューブ3を受板9に押しつけてこれを押し潰す。
【0027】
なお後述するようにこの油圧シリンダ43に対し下流側に隣在する油圧シリンダ44のピストンロッド5は下降途中にあり、同じく上流側に隣在する油圧シリンダ42のピストンロッド5は上昇途中にある。他の油圧シリンダへは小量の油で加圧(1〜2MPa程度)している。
【0028】
こうしてピストンロッド5によるチューブ3の押し潰し動作に連続性が与えられ、チューブ3内の流動物をスムーズに移送することができる。
【0029】
油路32が油路33を通じて戻し用溝34へ移行して連通すれば、圧油はポート35、油路17を通ってタンク14へ戻され、ピストンロッド5は下降する。
【0030】
このようにロータ27の間欠回動により油路36が順次油圧シリンダ41〜48の順に開通して圧油を送り、チューブ3を順次押し潰してチューブ3内の流動物を下流方向へ送り出すことができる。
【0031】
なお油圧シリンダ41〜48の作動順を逆にすれば吸込み作用を行わせることができ、吐出と吸込みとに切り換えて両用に使用することができる。
【0032】
上記油圧シリンダ41〜48の動作を図10に、また図11に模式的に示している。
【0033】
図10は油圧シリンダ44がチューブ3を押し潰している状態を示し、次位の油圧シリンダ45のピストンロッド5が上昇途上に、手前の油圧シリンダ43のピストンロッド5が下降途上におかれる状況を示し、この状態が図11(A)として模式的に示している。図11の左側に切換弁装置7のロータ27の回転角を示している。
【0034】
この図11から分かるように、ピストンロッド5を伸長させる油圧シリンダ4が送り出し方向へ順番に作動し、同図(A)から(H)に至って1サイクルを終り、再び(A)の動作に戻ることを繰り返すことによりチューブ3内の流動物を送り出し方向Yへ移送することになる。
【0035】
油圧シリンダ4の作動順を逆にすれば、吸込み用として使用することができる。
【0036】
図示の実施形態では、油圧シリンダ4を8本用いた場合について示しているが、これは流動物の移送量やその性状に応じて適宜増減することは任意である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明による流動物移送装置の一実施形態を示す側面図。
【図2】同、要部のみを示す平面図。
【図3】図1のA−A矢視拡大断面図。
【図4】本発明による流動物移送装置の作動回路を模式的に示す説明図。
【図5】本発明において用いられる切換弁装置の一実施形態を示す断面図。
【図6】図5におけるハウジングの断面図。
【図7】同、正面図。
【図8】同、ロータの断面図。
【図9】同、正面図。
【図10】油圧シリンダの伸長作動状況を示す説明図。
【図11】(A)〜(H)はこれを模式的に示す説明図。
【図12】従来の技術を示す説明図。
【符号の説明】
【0038】
1 装置本体
3 チューブ
4(41〜48) 油圧シリンダ
5 ピストンロッド
6 押圧部材
7 切換弁装置
9 天板
12 油圧ポンプ
14 タンク
15 逆止弁
19 補助ポンプ
25 ハウジング
27 ロータ
28 モータ
29 ゼネバ
34 戻し用溝
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性資材からなり直線状に配置されるチューブと、このチューブの軸方向に等間隔をもって配設される複数本の油圧シリンダと、これら油圧シリンダのピストンロッドに設けられ前記チューブの外面に当接してこれを押し潰すための押圧部材と、圧油供給源からの圧油を前記油圧シリンダの伸長作動順を流動物移送方向としてピストンロッドを順次伸縮作動させる切換弁装置とを具有し、当該シリンダの上記動作によりチューブ内の流動物を一方から他方へ向けて移送するようにされていることを特徴とする流動物移送装置。
【請求項2】
前記切換弁装置は、ピストンロッドが最伸長状態となる油圧シリンダの下流側に位置する油圧シリンダのピストンロッドが伸長途上におかれ、同上流側に位置する油圧シリンダのピストンロッドが短縮途上におかれるよう切換え動作を行うように構成されている請求項1記載の流動物移送装置。
【請求項3】
前記切換弁装置は、基台に固定されるハウジングと、このハウジング内にあって前記油圧シリンダの本数に対応して間欠回動するロータとを有し、このロータの間欠回動時に前記ハウジングの軸心位置に設けられた圧油導入路から前記ハウジングに設けられた各油圧シリンダへの油路を通じて順次圧油を給送する油路と、油圧シリンダからの戻り軸をタンクへ戻す戻し路とを備え、前記戻し路に連通する半円状の戻し用溝以外の部位で最伸長状態にある油圧シリンダの前部の油圧シリンダは伸長途中に、後部の油圧シリンダは短縮途中におかれるようになされている請求項2記載の流動物移送装置。
【請求項1】
可撓性資材からなり直線状に配置されるチューブと、このチューブの軸方向に等間隔をもって配設される複数本の油圧シリンダと、これら油圧シリンダのピストンロッドに設けられ前記チューブの外面に当接してこれを押し潰すための押圧部材と、圧油供給源からの圧油を前記油圧シリンダの伸長作動順を流動物移送方向としてピストンロッドを順次伸縮作動させる切換弁装置とを具有し、当該シリンダの上記動作によりチューブ内の流動物を一方から他方へ向けて移送するようにされていることを特徴とする流動物移送装置。
【請求項2】
前記切換弁装置は、ピストンロッドが最伸長状態となる油圧シリンダの下流側に位置する油圧シリンダのピストンロッドが伸長途上におかれ、同上流側に位置する油圧シリンダのピストンロッドが短縮途上におかれるよう切換え動作を行うように構成されている請求項1記載の流動物移送装置。
【請求項3】
前記切換弁装置は、基台に固定されるハウジングと、このハウジング内にあって前記油圧シリンダの本数に対応して間欠回動するロータとを有し、このロータの間欠回動時に前記ハウジングの軸心位置に設けられた圧油導入路から前記ハウジングに設けられた各油圧シリンダへの油路を通じて順次圧油を給送する油路と、油圧シリンダからの戻り軸をタンクへ戻す戻し路とを備え、前記戻し路に連通する半円状の戻し用溝以外の部位で最伸長状態にある油圧シリンダの前部の油圧シリンダは伸長途中に、後部の油圧シリンダは短縮途中におかれるようになされている請求項2記載の流動物移送装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2008−156993(P2008−156993A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−350077(P2006−350077)
【出願日】平成18年12月26日(2006.12.26)
【出願人】(591016817)相模サーボ株式会社 (3)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年12月26日(2006.12.26)
【出願人】(591016817)相模サーボ株式会社 (3)
【Fターム(参考)】
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