説明

液状調味料セット

【課題】
ストレートタイプの液体調味料の使用中に味が薄くなってしまったときに、液量を増加させず、また、鍋の汁に溶け出している旨味を損なうことなく、味を調節することができる液状調味料セットを提供する。
【解決手段】
ストレートタイプの液状調味料に異なる調味料を添付した液状調味料セットである。ストレートタイプの液状調味料および異なる調味料がそれぞれレトルトパウチに封入されたものであり、それらのレトルトパウチが連結されたものが好ましい。連結方法の1態様としては、1つのレトルトパウチを2区画に区分してそれぞれの区画に2種類の液体調味料を封入する。ストレートタイプの液状調味料と異なる調味料の量比が100:1〜10:1である液状調味料セットである。異なる調味料としては濃縮タイプの液状調味料、スパイス等が例示される。液状調味料が鍋つゆ、または麺つゆ等に適している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鍋つゆ、麺つゆなどに使用される液状調味料に関する。詳細には、ストレートタイプの液状調味料の弱点がカバーされた液状調味料セットに関する。
【背景技術】
【0002】
あらかじめ調味された鍋つゆは、具材等を準備するだけで誰でも手軽に本格的な鍋料理を楽しむことができることから昨今需要が増加している。通常、四角い形状のレトルトパウチ、あるいはスタンディングパウチで提供されている。液状調味料には水等で希釈して使用する濃縮タイプとそのまま使用するストレートタイプの2種類存在する。濃縮タイプは容量が少なくて済むので、流通、保存に便利であり、好みの濃度に希釈して使うことができるメリットがある。一方、濃縮タイプは、濃縮工程において出汁の風味が飛んでしまったり、味が変性することもあるため、美味しさを追求する場合ストレートタイプが好まれている。
しかし、ストレートタイプの鍋つゆはそのままでちょうど良い濃度になっているため、水分の多い野菜などの具材を追加しているうちにだんだん味が薄くなってしまうことがある。このとき、薄くなってしまった鍋の中の液量が多いためストレートタイプの鍋つゆの追加ではちょうど良い濃度に戻すのにかなりの量を追加する必要になるが、鍋の中の液は具材の旨味が溶け出しているので捨てたくないという事情もある。
【0003】
特許文献1には液状調味料の成分を耐熱性のものと熱に弱いものの2つにわけて、それぞれ異なる殺菌条件で処理したものを組み合わせてセットとする発明が記載されている。また、特許文献2、3には1つのレトルトパウチが2室に分けられそれぞれに異なった食品が封入されたものが記載されている。
【0004】
【特許文献1】特開2003−88325号
【特許文献2】特開平9−216664号
【特許文献3】特開平9−221150号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、ストレートタイプの鍋つゆの使用時に、水分の多い野菜などの具材を追加しているうちに味が薄くなってしまった場合に、液量を増加させず、また、鍋の汁に溶け出している旨味を損なうことなく、味を元に戻すことができる液状調味料セット、あるいは、味付けが最初から決まっているストレートタイプの鍋つゆの味を消費者が好みに応じて調節したり、最初から最後まで同じ味であるため単調になりがちな鍋つゆの味を途中で調節することができる液状調味料セットを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ストレートタイプの液状調味料に異なる調味料を添付した液状調味料セットを要旨とする。
本発明は、レトルトパウチに封入されたストレートタイプの液状調味料にレトルトパウチに封入された異なる調味料を添付した液状調味料セットを要旨とする。それぞれのレトルトパウチは連結されたものが好ましく、1つのレトルトパウチを2区画に区分してそれぞれの調味料を封入したものは1つの好ましい態様である。
また、本発明は、レトルトパウチに封入されたストレートタイプの液状調味料にレトルトパウチに封入された濃縮タイプの液状調味料を添付した液状調味料セットを要旨とする。それぞれのレトルトパウチは連結されたものが好ましく、1つのレトルトパウチを2区画に区分してそれぞれの液状調味料を封入した液状調味料セットは特に好ましい態様の1つである。
本発明の液状調味料セットにおいては、ストレートタイプの液状調味料と異なる調味料の量比が100:1〜10:1であるのが適当である。
本発明の、液状調味料は鍋つゆ、または、麺つゆに適している。
【発明の効果】
【0007】
本発明の液状調味料セットを用いて、鍋物等を楽しむ場合、最初は風味、味に優れたストレートタイプの調味液を使用し、野菜等の具材の水分により、鍋つゆが薄まってしまったら、添付されている濃縮タイプの調味液を追加する。これにより、鍋の液量を増やしすぎることなく、また、すでに具材の旨味が抽出された鍋の味を損なうことなく、味を濃くすることができる。あるいは、味付けが最初から決まっているストレートタイプの鍋つゆの味を消費者が好みに応じて調節したり、最初から最後まで同じ味であるため単調になりがちな鍋つゆの味を途中で調節することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明に用いる液状調味料は、一般に市販されている鍋つゆ、麺つゆ等として販売されている、昆布出汁、カツオ出汁、ビーフエキス、ポークエキス等に代表される各種畜産物、水産物エキスをベースとし、それに塩、醤油、味噌の他、甘味料、酸味量、香辛料、着色料、乳化剤などの調味料原料を混合したものであり、和風、韓国風、中華風、洋風といったいずれの調味料でもよい。
ストレートタイプの液状調味料とは、使用時に水等で希釈せずに使用するものであり、濃縮タイプとは、使用時に水等で希釈して使用するべく、濃縮されたものである。
本発明における異なる調味料とは、鍋つゆ、麺つゆなどに添加することができるあらゆる調味料を意味する。具体的には、醤油、みりん等の液状調味料、辛子、味噌等のペースト状の調味料、胡椒、トウガラシ、胡麻等のハーブ、スパイス、乾燥野菜等の粉末の調味料などが例示される。これらを混合したものでもよい。ストレートタイプの液状調味料が薄くなってしまったものを補う目的では、ストレートタイプの液状調味料を濃縮した濃縮タイプの液状調味料を用いるのがよく、濃縮タイプの液状調味料にさらに異なる風味を追加したものも好ましい。これら調味料はレトルト耐性のあるものが好ましい。
液状調味料セットとは、ストレートタイプと濃縮タイプを組み合わせて1つの商品として販売することを意味し、個別の容器に入ったものをセットとしてもよいし、一体に成型されたパウチなどにそれぞれを封入してセットとしても良いが、一体になったものは流通、販売などの面で優れている。
【0009】
本発明の液状調味料はレトルト殺菌された常温保存用でも、冷蔵保存用、冷凍保存用、いずれでも構わない。レトルト殺菌されたものが保存性の点で優れているが、高温で味を損なうような場合はその限りではない。
本発明のレトルトパウチをセットとして販売するためには2種の液体調味液が入ったレトルトパウチが連結されていることが好ましい。最も簡便には、1つのレトルトパウチを2区画に区分してその区画にそれぞれの液体調味液を封入し、それら区画を切り離せるようにミシン目等をつけておくのが好ましい。
【0010】
本発明において、濃縮タイプの液体調味料はストレートタイプの調味液の濃度が薄まってしまったときの補助的な役割で添付されるものであるから、その量比は、ストレートタイプの液状調味料と濃縮タイプの液状調味料の量比が100:1〜10:1程度であるのが適当である。バランスが悪いとどちらかが過剰であり、無駄になる。
例えば、4〜5人で使用する鍋つゆの製品の場合、ストレートタイプを700mlに対して濃縮タイプを2〜5倍濃縮であれば10〜20ml程度の添付で目的を達する。このバランスは水分が多い野菜等を多く使う鍋であるか、肉類のように水分が出にくい鍋であるかによって、また全体の量によって調節する。
【0011】
ストレートタイプと濃縮タイプの調味液の量比が1:1ではないので、レトルト殺菌を行う際に、配慮が必要である。すなわち、通常のレトルト殺菌用のパウチなどの耐熱性の容器にその他の調味料の部分を入れ、通常の加圧下での加熱殺菌、例えば、蒸気式のレトルト装置、熱水式レトルト装置、シャワー式レトルト装置、スプレー式レトルト装置などで圧力0.1〜3.0MPa(ゲージ圧力)、110〜130℃、好ましくは、圧力1.0〜1.5MPa(ゲージ圧力)、115〜123℃で5〜60分程度、の条件でレトルト処理する。
【0012】
本発明の液状調味料は、上述のようにストレートタイプを使用していて、濃度が薄まってしまうという状況が発生するような場合に有効であるから、鍋つゆ、または、麺つゆやラーメン等のスープ等に適している。また、ストレートタイプは平均的な味付けになっているので、平均的な消費者より濃い味を望む消費者にとっては、好みの味付けに調節するために使用することもできる。したがって、鍋つゆ、麺つゆ以外でも味の調節が望まれる液体調味料は本発明の対象となる。
【0013】
本発明で使用するレトルトパウチは通常液状調味料に使用されるものなら何でもよい。 本発明のレトルトパウチは、耐熱性を有し、かつレトルト加工処理に耐えられることから、機械的、物理的、化学的、その他等において優れた性質を有する樹脂のフィルムないしシ−トを使用することができ、具体的には、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアラミド系樹脂、ポリカ−ボネ−ト系樹脂、フッ素系樹脂、その他等の強靱な樹脂のフィルムないしシ−トを使用すること、更に樹脂フィルムないしシートにアルミフィルムもしくはシートを蒸着した、アルミ蒸着フィルムを使用できる。而して、上記の樹脂のフィルムないしシ−トとしては、未延伸フィルム、あるいは一軸方向または二軸方向に延伸した延伸フィルム等のいずれのものでも使用することができる。また、本発明において、その樹脂のフィルムないしシ−トは透明または、不透明のもので厚さとしては、耐熱性を有し、強度、剛性等について必要最低限に保持され得る厚さであればよく、約10μmないし100μm位、好ましくは、約30μmないし80μm位のものがよい。
【実施例】
【0014】
以下に本発明の実施例を記載するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
薄口醤油30g、鶏ガラスープ10g、糖類10g、鰹エキス4.5g、昆布エキス2g、食塩3g、生姜エキス2g、香辛料1.5g、水640gの原材料を70℃到達加熱処理を施し、BRIX1〜3、塩分0.8〜1.5、pH5.5〜6.5のストレートタイプの液体調味料を製造した。また、濃縮タイプの液体調味料は、ストレートタイプを基本に濃縮した製法で、BRIX15〜20、塩分6〜8、pH5〜6.5に調整し製造した。
上記のストレートタイプ液体調味料700mlと濃縮タイプの調味料10mlを図1に示したレトルトパウチの大小の区画にそれぞれ封入し、120℃、17分、0.2MPaの条件でレトルト殺菌を行い、本発明の液体調味料セットを製造した。
この液体調味料セットを用いて鍋料理を作って食した。レトルトパウチに設けられた切り目を切り離し、最初にストレートタイプの調味料をと具剤を鍋にいれて鍋料理とし、途中で鍋つゆの濃度が薄くなったときに適宜濃縮タイプの調味料を追加することで、最後まで適切な味の鍋を楽しむことができた。
【産業上の利用可能性】
【0015】
本発明の液体調味料セットは、ストレートタイプの鍋つゆ等の使用時に味が薄くなってしまった場合に、液量を増加させず、また、鍋の汁に溶け出している旨味を損なうことなく、味を元に戻すことができる液状調味料セットを提供することができる。また、平均的な味付けがされているストレートタイプの液体調味料の味を自分の好みに調整したり、味付けを途中で調節したいという消費者の要望に応えることができる商品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の液体調味料セットの1態様である2つの区画に分割されたレトルトパウチを示した説明図である。
【図2】本発明の液体調味料セットの1態様である2つの区画に分割されたレトルトパウチを示した写真である。
【符号の説明】
【0017】
1、1′壁面フィルム
2 底部シール部
3 底面フィルム折り返し部
4 底面フィルム切り欠き部
5 ガセット部
6 側面シール部
7、8 レトルトパウチを2室に分けるためのシール部
9 レトルトパウチを2室に分けるための切り取り線
10 V字状切り欠き部
100 レトルトパウチ
A ストレートタイプの液状調味料を封入する部分
B 異なる調味料を封入する部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ストレートタイプの液状調味料に異なる調味料を添付した液状調味料セット。
【請求項2】
ストレートタイプの液状調味料および異なる調味料がそれぞれレトルトパウチに封入されたものである請求項1の液状調味料セット。
【請求項3】
ストレートタイプの液状調味料と異なる調味料の封入されたレトルトパウチが連結されたものである請求項1の液状調味料セット。
【請求項4】
ストレートタイプの液状調味料と異なる調味料が1つのレトルトパウチを2区画に区分して封入されたものである請求項1の液状調味料セット。
【請求項5】
ストレートタイプの液状調味料と異なる調味料の量比が100:1〜10:1である請求項1ないし4いずれかの液状調味料セット。
【請求項6】
異なる調味料が濃縮タイプの液状調味料である請求項1ないし5いずれかの液状調味料セット。
【請求項7】
液状調味料が鍋つゆ、または、麺つゆである請求項1ないし6いずれかの液状調味料セット。

【図1】
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【図2】
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