説明

清浄化可能な打抜装置

【課題】 清浄化が容易で、打抜装置の清浄化のための工程を単純化し、かつ清浄化時間を短縮することができる飲料容器の製造のための打抜装置を清浄化する方法を提供する。
【解決手段】 打抜ストリップから容器底または蓋を打抜きかつ形成する方法であって、ダイが清浄化の目的のためにその作動位置から除去され、かつその後その作動位置に戻されるものにおいて、ダイがその作動位置から除去されたとき案内要素を介して打抜装置と連結したままであることを特徴とする方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は打抜ストリップから容器底または蓋を打抜きかつ形成するための打抜装置を清浄化するための方法に関し、そこではダイが清浄化の目的のためにその作動位置から除去されかつ続いてそこに戻される。
【0002】
本発明は更に、打抜ストリップから蓋または容器底を打抜きかつ形成するための解放可能な方式で可動中心スリーブに取付けられるダイを持つ打抜装置に関する。
【背景技術】
【0003】
この形式の打抜設備は材料ウエブを加工するための種々の機械で工業的に使用されている。特に、打抜装置はウエブ形の複合板紙材料が飲料容器、特に板紙カップまたは本質的に円筒形状の飲料缶を形成するために加工される機械で利用されることができる。この方法では、材料切抜体が打抜ストリップの形で供給された複合板紙材料から打抜かれ、前記材料切抜体は飲料容器の場合には、通常、円形であり、飲料容器の容器底または蓋に形成される。複合板紙のためにはポリエチレン、アルミニウム、及び厚紙または板紙の層から構成された材料が使用される。材料が打抜ストリップから打抜かれるとき、小さなアルミニウム、紙またはポリエチレン粒子を含むほこりが発生し、それらは装置の幾つかの部分に堆積状態で蓄積しうる。関連した装置の部分は主として切断ブッシュ及び打抜装置のダイである。ある量の作動時間後、かなりのほこりがダイ及び切断ブッシュ上に集まり、これらのほこりがまた、ポリエチレン粒子及び打抜装置の増加した温度のためそれらに付着するので、欠陥のない打抜工程はもはや実施されることができない。打抜かれた材料切抜体はそのとき欠陥があるかもしれず、従って加工されることができない。この場合打抜装置は清浄化されねばならない。清浄化工程は通常一日一回実施されなければならない。既知の打抜装置の場合の清浄化工程は非常に時間消費型である。清浄化される打抜装置のために、飲料容器を製造するための全設備が停止されなければならず、ダイが打抜装置から除去されなければならない。打抜及び成形運動を実行する可動中心スリーブからダイを分解するために、ダイが打抜装置から除去されることができるようにダイベースの三本のねじが解放されなければならない。ダイが除去されたとき、ダイ自身及び切断ブッシュのほこりで覆われた表面が清浄化される。ダイは続いて三本のねじにより再組立てされる。ダイの再組立て時、ダイのねじは第一段階で軽く締めつけられるだけである。試験打抜が次いで必要であり、そこでダイが整合され、その正しい位置を見出す。第二段階で、ダイを固定するためのねじが完全に締めつけられ、打抜装置はその時作動のための準備が整う。分解、再組立て及び再整合の作業段階はかなりの時間を必要とするので設備の多くの他の要素は容認できない水準まで冷却してしまう。従って清浄化工程後、まず機械を始動時に再び作動温度までもたらす必要があり、この時間中、不良品が製造される。設備の停止から暖機段階の終わりまでの全清浄化時間は略30分に達し、略5000の飲料容器の不良品製造をもたらす。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、清浄化が容易で、かかる打抜装置の清浄化のための工程を単純化し、かつ清浄化時間を短縮する、飲料容器の製造のための打抜装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、本発明によれば、ダイがその作動位置から除去されるときダイが案内要素を介して打抜装置と連結したままであることにより達成される。この装置の場合、この目的はダイを案内するための案内要素が中心スリーブから解放された後にダイに割り当てられることにより達成される。
【0006】
ダイのための案内要素の利用はダイが打抜装置の他の構成要素に関してその位置を失うことなく打抜装置から引き出されることができるという利点を持つ。ダイは案内要素に沿ってある距離打抜装置から引っ張られることができかつ清浄化されることができる。清浄化工程が完了した後、ダイは案内要素に沿って再度その位置に押し戻されることができる。ダイの整合は従って不必要となる。
【0007】
この方式で、打抜装置は略3分で清浄化されることができ、それによりこの設備の全ての他の構成要素はそれらの作動温度を保持し、従って設備は清浄化工程が完了した後直ちに作動の準備ができる。従来技術の必要な暖機段階は省かれ、従って多数の不良飲料容器、すなわち清浄化工程当り略5000の不良飲料容器が避けられる。略27分の節約された時間内に、更に5000の飲料容器が製造されることができ、従って一日当りの飲料容器の正味量は本発明によって略10000増大する。
【0008】
本発明の実施態様ではダイが固定解除され、続いて案内要素に沿って打抜装置から引っ張り出されるという利点がある。中心スリーブと連結された固定カップリングはダイのための案内要素に配置されることができる。固定カップリングは案内要素に沿って打抜装置中に再び押し戻されるダイがその位置に固定するように設計されている。更に、案内要素はまた、中心スリーブの中心に配置されることができる案内棒を含むことができる。
【0009】
清浄化工程の更なる単純化のために、固定カップリングが加圧空気の突風に曝され、それにより開かれることができることは有利である。固定カップリングが開かれた後、ダイは中心スリーブの中心に配置されている案内棒のために中心スリーブから軸方向に引き出されることができる。ダイは有利には中心スリーブから略10センチメートル引き出される。停止具が案内棒に配置され、従って案内要素が中心スリーブから完全に引き出されることができず、また打抜装置から偶然に抜け落ちることができないことは有利である。案内棒はダイが中心スリーブに対して方位角的に回転されることができないように案内溝を含むことができる。固定カップリング内に係合する案内要素のため、ダイが清浄化された後押し戻されるときその予め決められた作動位置に自動的に到達することが確保される。
【0010】
図面の簡略説明
本発明のこれらの及び更なる目的、特徴及び利点は添付図面に関してなされるそれらの以下の詳細な説明からより容易に明らかとなるであろう。図面において:
図1は打抜工程直前の作動位置の打抜装置を示し、
図2は第一製造段階時の図1による打抜装置を示し、
図3は第二製造段階時の図1による打抜装置を示し、
図4は清浄化工程時の図1による打抜装置を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の利点を更に明確化するために、飲料容器のための容器底の打抜及び形成工程の製造段階が図1から3の助けによりまず説明される。清浄化工程は続いて図4の助けにより説明される。単純化の理由のため、本発明を説明するために必要である打抜装置1の本質的な部分のみが概略的に示されている。上述のように、以下の説明は容器底のみに関する。この説明は全く等しく蓋に適用され、それは通常、飲料缶を製造するための設備の上記形式の第二打抜装置で打抜かれる。
【0012】
図1において、打抜装置1は打抜工程の直前のその作動位置で示されている。板紙複合材料から作られた打抜ストリップ2が折り曲げマンドレル3と打抜装置1の間に位置している。折り曲げマンドレル3、ドローイングブッシュ13及び打抜装置1は互いに関して軸方向に整合されている。切断ブッシュ4が位置aに位置しており、ダイ5が位置bにあり、中心スリーブ6が位置cにあり、案内棒7が位置dにあり、固定カップリン8が位置eにあり、固定装置9及び10が位置fとgにあり、中心スリーブ駆動体11が位置hにあり、そして切断ブッシュ駆動体12が位置iに位置している。文字aからoにより示された位置は打抜ストリップ2に関してのそれぞれの構成要素の高さを与え、打抜装置1の個々の要素の移動を示す役目をする。
【0013】
図2に、打抜ストリップ2からの円形素材16の打抜が示されている。これは切断ブッシュ駆動体12の位置iから位置jへの移動により達成される。打抜工程で、打抜ストリップ2はドローイングブッシュ13の切断刃14によりかつ切断ブッシュ4の切断刃15により切断され、それから円形素材16がもたらされる。ほこりに似た摩擦粒子がこれにより打抜ストリップ及び円形素材16の切断縁17及び18に発生する。摩擦粒子はダイ5、切断ブッシュ4、ドローイングブッシュ13及びダイプレート19の全ての露出された表面の上に堆積され、これら粒子はまたそれらが紙に加えてポリエチレンを含むとき、それらに部分的に付着するかもしれない。打抜装置が略8時間作動した後、かなりの多くのほこりが蓄積するので円形素材16はもはや適正にかつ欠陥なしに切断されることができない。従って清浄化工程が必要である。
【0014】
図3に、円形素材16が打抜かれた後の円形素材16からの容器底20の形成が示されている。ダイ5はドローイングブッシュ13の内側で中心スリーブ駆動体11を介して中心スリーブ6により折り曲げマンドレル3のダイプレート19中に移動される。円形素材はこれによりダイ5の前面でダイプレート19中に駆動される。これは中心スリーブ駆動体11が位置hから位置kに移動することによって達成される。ダイ5に対向して中心スリーブ6の端部に配置された固定カップリング8がこの製造段階で中心スリーブ駆動体11と共に移動し、その位置をeからlに変える。ダイ5は図1の出発位置b(それは以下で作動位置bとしても示されている)から位置mに移動しており、円形素材16を折り曲げマンドレルのダイプレート19中に押している。
【0015】
これらの製造段階後に、容器底20が形成される。更なる製造段階のために折り曲げマンドレル3を外すために、ダイ5が位置mからその作動位置bに戻され、切断ブッシュ4がその位置aに戻される。切断ブッシュ駆動体12は位置iに戻り、中心スリーブ駆動体11は位置cに戻る。従って中心スリーブ6に取付けられた固定カップリングは位置eに戻る。完成した容器底20を持つ折り曲げマンドレル3は打抜装置1から離れるように移動され、飲料容器の製造のために更なる作業ステーション(図示せず)に供給される。同時に、空の折り曲げマンドレルが打抜装置に供給され、打抜ストリップ2が更に一段階輸送される。新しい容器底20の打抜及び形成の製造段階が繰り返されることができる。
【0016】
作動時、一分当り略15メートルの打抜ストリップ2が打抜装置1を通して走行し、その時間中に略120の打抜工程が打抜装置1内で実施される。8時間の作動後、切断ブッシュ4、ダイ5、ドローイングブッシュ13及びダイプレート19の機械部品はこれらの要素が清浄化される必要があるような範囲までほこりにより覆われる。
【0017】
全設備が清浄化工程のために停止される。機械制御システムの制御台から選択されることができる特別の清浄化プログラムが提供されることも多い。図4に示すように、折り曲げマンドレル3及びドローイングブッシュ13は打抜装置1のダイ5が自由に接近可能であるような方式で位置決めされる。打抜装置1は二つの折り曲げマンドレル3の間の中心に位置する。設備はこの位置で停止され、固定カップリング8は機械オペレーターにより固定解除される。固定カップリング8の固定解除は有利には空気圧的に行われ、そこでは加圧空気がそれに通入され、それにより固定装置9と10が位置nとoに移動する。固定カップリング8の固定解除のため、案内棒7と中心スリーブ6の間の連結が中止され、ダイ5は案内棒7と共に中心スリーブから略10センチメートル引き出されることができる。案内棒7は案内要素21を形成し、それが固定カップリング8の固定解除された状態でのダイ5の案内を確保する。停止具は案内要素に図示していない方式で割り当てられることができ、それは案内棒7が中心スリーブ6から完全に引き出されるのを防ぐ。
【0018】
ダイ5の引き出された状態で、ダイ5の表面及び今や自由に接近可能な切断ブッシュ4の表面は清浄化され、ほこりから解放されることができる。清浄化工程後、それに固定されたダイ5を持つ案内棒は中心スリーブ6中に押し戻される。案内棒7は有利には中心スリーブ6内の案内溝(これも図示せず)により非回転方式で案内される。案内棒7が中心スリーブ中に完全に押し戻されると、固定カップリング8の固定装置9及び10はそれらの位置fとgに戻され、従ってダイ5は中心スリーブ6に再び固定されることとなる。固定カップリング8の空気圧賦活の場合、固定装置9及び10は加圧空気の付与により固定解除され、ばねによりそれらの出発位置fとgに押し戻される。固定カップリング8及び/または案内棒7の対応する実施態様を適用することは固定装置9及び10がそれらの出発位置fとgへ早期に押し戻されるのを防ぐ。例えば、案内棒7の打抜装置から引き出されたときのダイ5の距離に関しての長さは案内棒7の引き出された状態時に固定装置9及び10が案内棒7の外表面上に支持され、ばね力によりそれらに対して押圧されるように選ばれる。ダイ5がその作動位置bに押し戻されるや否や、固定装置9及び10は案内棒7上の凹み中に係合する。案内棒7を固定解除するためには、時間制御されたリレーからの加圧空気が短時間、例えば2秒の間固定装置に作用することのみが必要である。固定及び係合はそのとき自動的に進む。
【0019】
ダイ5と切断ブッシュ4が清浄化された後、ドローイングブッシュ13とダイプレート19が清浄化される。清浄化工程が完了した後、設備は再度作動状態に置かれることができる。清浄化のための非常に短い停止のために、設備が再始動されるとき殆ど不良飲料容器が製造されない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】打抜工程直前の作動位置の打抜装置を示す。
【図2】第一製造段階時の図1による打抜装置を示す。
【図3】第二製造段階時の図1による打抜装置を示す。
【図4】清浄化工程時の図1による打抜装置を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
打抜ストリップから容器底または蓋を打抜きかつ形成するための打抜装置を清浄化する方法であって、ダイが清浄化の目的のためにその作動位置から除去され、かつその後その作動位置に戻されるものにおいて、ダイがその作動位置から除去されたとき案内要素を介して打抜装置と連結したままであることを特徴とする方法。
【請求項2】
ダイが固定解除され、その後打抜装置から案内要素に沿って引き出されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ダイが清浄化後案内要素に沿ってスライドされ、打抜装置に戻され、そこでそれがその作動位置に再度係合することを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
打抜ストリップ(2)から蓋または容器底(20)を打抜き、形成するためのダイ(5)を持つ打抜装置(1)であって、そのダイ(5)が可動中心スリーブ上に解放可能な方式で取付けられているものにおいて、ダイ(5)が中心スリーブ(6)から解放された後にダイ(5)を案内するための案内要素(21)がダイ(5)に割り当てられていることを特徴とする打抜装置。
【請求項5】
中心スリーブ(6)に連結された固定カップリング(8)が案内要素(21)に配置されていることを特徴とする請求項4に記載の打抜装置。
【請求項6】
案内要素(21)が案内棒(7)を含むことを特徴とする請求項4または5に記載の打抜装置。
【請求項7】
案内棒(7)が中心スリーブ(7)の中心に配置されていることを特徴とする請求項4から6のいずれかに記載の打抜装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−196369(P2007−196369A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−347493(P2006−347493)
【出願日】平成18年12月25日(2006.12.25)
【出願人】(506110597)ピーティーエム・パッケージング・ツールズ・マシネリー・ピーティーイー.・リミテッド (7)
【Fターム(参考)】