説明

減衰力調整式油圧緩衝器

【目的】 減衰力調整式油圧緩衝器において、伸び側/縮み側でソフト/ソフト、ソフト/ハードおよびハード/ソフトの減衰力特性の組合わせを選択できるようにする。
【構成】 シリンダ2にピストンロッド4が連結されたピストン3を嵌装する。ピストン3に主油液通路6(減衰力大)を設ける。ピストンロッド4に沿ってバイパス通路9(減衰力小)を設け、バイパス通路9に逆止弁14,15を設ける。シャッタ20により、孔18,19を開くと、逆止弁14,15がバイパスされてバイパス通路9が常時連通され伸び縮み側共にソフト特性となる。孔18を開き孔19を閉じると、バイパス通路9が逆止弁15を介して連通されて逆支弁15が開く伸び側でソフト特性、逆止弁15が閉じる縮み側でハード特性となる。孔18を閉じ孔19を開くとバイパス通路9が逆止弁14を介して連通されて逆支弁14が開く縮み側でソフト特性、逆止弁14が閉じる伸び側でハード特性となる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車等の車両の懸架装置に装着される減衰力調整式油圧緩衝器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】自動車等の車両の懸架装置に装着される油圧緩衝器には、路面状況、走行状況等に応じて乗り心地や操縦安定性をよくするために減衰力を適宜調整できるようにした減衰力調整式油圧緩衝器がある。
【0003】従来、この種の油圧緩衝器としては、例えば実開昭58−70533号公報に記載されたもののように、油液を封入したシリンダ内に、ピストンロッドが連結されたピストンを摺動可能に嵌装し、このピストンにより画成されるシリンダ内の2室を第1および第2の油液通路で連通させ、第1の油液通路には比較的大きな減衰力を発生する減衰力発生機構(オリフィス、ディスクバルブ等)を設け、第2の油液通路には比較的減衰力の小さい減衰力発生機構および第2の油液通路を開閉する減衰力調整弁を設けたものがある。
【0004】この構成により、減衰力調整弁を開いた場合、ピストンロッドの伸縮にともなうピストンの摺動によって、シリンダ内の油液が主に第2の油液通路を流通して伸び縮み側共に比較的小さな減衰力を発生し、減衰力特性はソフト特性となる。減衰力調整弁を閉じた場合、ピストンロッドの伸縮にともなうピストンの摺動によって、シリンダ内の油液が第1の油液通路のみを流通して伸び縮み側共に比較的大きな減衰力を発生し減衰力特性はハード特性となる。このように、減衰力調整弁を開閉することにより減衰力特性を切換えることができる。
【0005】また、制御装置およびアクチュエータを用いて、路面状況、走行状況等に応じて上記減衰力調整式油圧緩衝器の減衰力特性を自動的に切換えることにより乗り心地および操縦安定性を向上させるようにしたサスペンション制御装置がある。
【0006】この種のサスペンション制御装置において、減衰力調整式油圧緩衝器の減衰力特性を、そのピストンロッドが所定の中立位置に向かってストロークするときハード特性とし、中立位置から離れる方向にストロークするときソフト特性とすることにより、車体のバウンシングを効果的に制御することができ、乗り心地を向上させることができることが知られている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このようなバウンシング制御を上記従来の減衰力調整式油圧緩衝器を用いて行う場合、ピストンロッドの伸び側でハード特性、縮み側でソフト特性など、伸び側と縮み側とで異なる特性が必要なときは、伸縮のストローク方向が変わる都度、減衰力調整弁を開閉させねばならないが、ピストンロッドのストローク方向の変化を検出して制御装置が切換信号を出力しアクチュエータが作動して減衰力調整弁を開閉するまで通常15〜20msec程度時間がかかるため、実際の走行に対して充分な制御を行うことが困難であるという問題を生じる。
【0008】本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、ピストンロッドのストロークの方向の変化にともない減衰力特性を迅速に切換えるため、伸び側と縮み側とで異なる減衰力特性の組み合わせを選択できるようにした減衰力調整式油圧緩衝器を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するために、第1の発明に係る減衰力調整式油圧緩衝器は、油液が封入されたシリンダと、該シリンダ内に摺動可能に嵌装され前記シリンダ内を2室に画成するピストンと、一端側が前記ピストンに連結され、他端側が前記シリンダの外部まで延ばされたピストンロッドと、前記2室を連通し減衰力発生機構を有する主油液通路と、前記減衰力発生機構をバイパスして前記2室を連通するバイパス通路と、該バイパス通路に直列に設けられ、互いに逆方向の流通を許容する第1の逆止弁と第2の逆止弁と、該第1の逆止弁をバイパスする第1の油液通路と、前記第2の逆止弁をバイパスする第2の油液通路と、前記第1の油液通路の通路面積を可変とする第1の減衰力調整弁と、前記第2の油液通路の通路面積を可変とする第2の減衰力調整弁とを備えてなることを特徴とする。
【0010】また、第2の発明に係る減衰力調整式油圧緩衝器は、油液が封入されたシリンダと、該シリンダ内に摺動可能に嵌装され該シリンダ内を2室に画成する油界画成部材と、一端側が該油界画成部材に連結され、他端側が前記シリンダの外部まで延ばされたロッドと、前記2室を連通する主油液通路と、該主油液通路中に設けられ減衰力を発生する第1の減衰力発生機構と、前記主油液通路中に前記第1の減衰力発生機構と直列に設けられ減衰力を発生する第2の減衰力発生機構と、前記第1の減衰力発生機構をバイパスする第1のバイパス通路と、前記第2の減衰力発生機構をバイパスする第2のバイパス通路と、前記第1、第2のバイパス通路のそれぞれに設けられ互いに異なる方向の流通を許容する第1、第2の逆止弁と、前記第1のバイパス通路の通路面積を可変とする第1の減衰力調整弁と、前記第2のバイパス通路の通路面積を可変とする第2の減衰力調整弁とを備えてなることを特徴とする。
【0011】また、第3の発明に係る減衰力調整式油圧緩衝器は、油液が封入されたシリンダと、該シリンダ内に摺動可能に嵌装され前記シリンダ内を2室に画成するピストンと、一端側が前記ピストンに連結され、他端側が前記シリンダの外部まで延ばされたピストンロッドと、前記2室を連通し減衰力発生機構を有する主油液通路と、前記減衰力発生機構をバイパスして前記2室を連通するバイパス通路と、該バイパス通路中に並列に配置されて互いに逆方向の流通を許容する第1および第2の逆止弁と、該第1の逆止弁側の通路の通路面積を可変とする第1の減衰力調整弁と、前記第2の逆止弁側の通路の通路面積を可変とする第2の減衰力調整弁とを備えてなることを特徴とする。
【0012】
【作用】このように構成したことにより、第1の発明においては、第1、第2の減衰力調整弁により、第1、第2の油液通路の通路面積が調整され、該第1、第2の油液通路が開いた状態では、第1、第2の油液通路を介してバイパス通路が連通され、伸び、縮み行程共に油液が主油液通路およびバイパス通路を流通して比較的小さな減衰力が発生する。また、第1、第2の減衰力調整弁により通路面積を縮小して閉じた場合、第1、第2の逆止弁および第1、第2の減衰力調整弁によってバイパス通路が閉鎖され、伸び、縮み行程共に油液が主油液通路のみを流通して比較的大きな減衰力が発生する。第1、第2の減衰力調整弁の一方を開き、他方を閉じた場合、閉じた側の逆止弁によってバイパス通路は一方向のみの油液の流通を許容するので、バイパス通路に許容方向の油液の流通させる行程では、油液が主油液通路およびバイパス通路を流通して比較的小さな減衰力が発生し、この反対の行程では、前記逆止弁によってバイパス通路が閉鎖され、油液が主油液通路のみを流通して比較的大きな減衰力が発生する。
【0013】また、第2の発明においては、第1、第2の減衰力調整弁により、第1、第2のバイパス通路の通路面積が調整され、該第1、第2のバイパス通路が開いた状態では、第1または第2の逆止弁のどちらか一方が伸び縮み両行程でそれぞれ開かれ、第1のバイパス流路または第2のバイパス流路を通り油液が2室間を流れる。よって、第1あるいは第2の減衰力発生機構のどちらか一方で減衰力を発生し、伸び縮み共に比較的小さな減衰力を発生する。第1または第2の減衰力調整弁のどちらか一方を閉じた場合、伸びあるいは縮みの一方の行程では、第1または第2のバイパス通路が開かれ、第1あるいは第2の減衰力発生機構のどちらか一方で減衰力を発生し比較的小さな減衰力を発生する。また、伸びあるいは縮みの他方の行程では、第1または第2減衰力調整弁と第1または第2逆止弁により第1または第2のバイパス通路が閉じられ、第1、第2の減衰力発生機構の両方を通り比較的大きな減衰力を発生する。第1、第2の減衰力調整弁の両方を閉じた場合、第1、第2のバイパス通路が閉じられ、伸び縮み両行程で第1、第2の減衰力発生機構の両方を通り比較的大きな減衰力を発生する。
【0014】また、第3の発明においては、第1、第2の減衰力調整弁により、第1および第2の逆止弁側の通路の通路面積を調整し、該通路が開いた状態では、第1または第2の逆止弁を介してバイパス通路が常時連通され、伸び、縮み行程共に油液が主油液通路およびバイパス通路を流通して比較的小さな減衰力が発生する。第1、第2の減衰力調整弁を閉じた場合、バイパス通路が常時閉鎖され、伸び、縮み行程共に油液が主油液通路のみを流通して比較的大きな減衰力が発生する。第1、第2の減衰力調整弁の一方を開き、他方を閉じた場合、閉じた側の逆止弁によってバイパス通路は一方向のみの油液の流通を許容するので、バイパス通路に許容方向の油液の流通させる行程では、油液が主油液通路およびバイパス通路を流通して比較的小さな減衰力が発生し、この反対の行程では、前記逆止弁によってバイパス通路が閉鎖され、油液が主油液通路のみを流通して比較的大きな減衰力が発生する。
【0015】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。第1実施例について図ないし図4を用いて説明する。
【0016】図1に示すように、減衰力調整式油圧緩衝器1は、油液が封入されたシリンダ2内にピストン3が摺動可能に嵌装されており、このピストン3によってシリンダ2内がシリンダ上室2aとシリンダ下室2bとの2室に画成されている。ピストン3には、先端がシリンダ2の外部まで延びるピストンロッド4の基端側が貫通されており、ピストンロッド4は、その基端部に円筒状の通路部材5が螺着されてピストン3に連結されている。シリンダ2には、ピストンロッド4がシリンダ2に侵入、退室した分の油液の出入りを補償するリザーバ室(図示せず)が設けられている。
【0017】ピストン3には、シリンダ上室2aとシリンダ下室2bを連通させる主油液通路6が設けられており、ピストン3の両端面には、主油液通路6内の油液の流動を制御して減衰力を発生するオリフィスおよびディスクバルブからなる減衰力発生機構としての第1の減衰力発生機構7(減衰力大)が設けられいる。
【0018】ピストンロッド4には、一端側がシリンダ上室2aに連通し、他端側がシリンダ下室2b側の通路部材5内に連通する油液通路8が設けられており、油液通路8と通路部材5とでシリンダ上室2aとシリンダ下室2bとを連通させるバイパス通路9が構成されている。
【0019】通路部材5のシリンダ下室2b側の開口部には、バイパス通路9と連通する油液通路10を有するバルブ本体11が嵌合されており、バルブ本体11の両端には、油液通路10内の油液の流動を制御して減衰力を発生するオリフィスおよびディスクバルブからなる第2の減衰力発生機構12(減衰力小)が設けられている。
【0020】通路部材5内には、円筒状のガイド部材13が嵌合されている。ガイド部材13のシリンダ上室2a側の端部には、ガイド部材13内側からシリンダ上室2a側への油液の流通を許容し、その反対方向の油液の流通を阻止する第1の逆止弁としての逆止弁14が設けられており、ガイド部材13のシリンダ下室2b側の端部にはガイド部材13内側からシリンダ下室2b側への油液の流通を許容し、その反対方向の油液の流通を阻止する第2の逆止弁としての逆止弁15が設けられている。
【0021】通路部材5とガイド部材13との間には、バイパス通路9内において、シリンダ上室2a側に連通する油液通路16とシリンダ下室2b側に連通する油液通路17とが形成されており、ガイド部材13の側壁には、油液通路16に連通する孔18および油液通路17に連通する孔19が設けられており、油液通路16と孔18とで逆止弁14をバイパスする第1の油液通路を構成し、油液通路17と孔19とで逆止弁15をバイパスする第2の油液通路を構成している。
【0022】ガイド部材13内には、第1および第2の減衰力調整弁として有蓋筒状のシャッタ20が回転可能に嵌合されている。シャッタ20の蓋部には、シャッタ20の内側と逆止弁14側とを連通させる油液通路21が設けられている。シャッタ20の側壁には、一対のスリット22が形成されており、シャッタ20を回転させスリット22をガイド部材13の孔に18,19に整合させるか否かにより第1および第2の油液通路の通路面積を可変し、該第1および第2の油液通路を開閉できるようになっている。
【0023】図2に示すように、ガイド部材13の孔18と19とは、ガイド部材13の中心から互いに異なる方向に向かって開口されており、シャッタ20が位置Aにある場合にはスリット22と孔18,19とが整合し、位置Bにある場合にはスリット22と孔18とだけが整合し、位置Cにある場合にはスリット22と孔19とだけが整合するようになってる。シャッタ20の底部には、操作ロッド23が連結され、操作ロッド23は逆止弁14を貫通してピストンロッド4に沿ってその外部まで延ばされており、減衰力調整式油圧緩衝器1の外部からシャッタ20を回転させられるようになっている。
【0024】以上のように構成した第1実施例の作用について次に説明する。減衰力調整式油圧緩衝器1の外部から操作ロッド23を操作してシャッタ20を回転させることにより減衰力特性を切換えることができる。
【0025】図2に示すように、シャッタ20が位置Aにある場合、孔18とスリット22とが整合することにより油液通路16および孔18によって逆止弁14がバイパスされ、また、孔19とスリット22とが整合することにより油液通路17および孔19によって逆止弁15がバイパスされる。このため、バイパス通路9が常時連通されるので、伸び、縮み行程共に、ピストンロッド4の伸縮にともなうピストン3の摺動によりシリンダ2内の油液が主油液通路6およびバイパス通路9を流通して第1の減衰力発生機構7および第2の減衰力発生機構12によって比較的小さな減衰力が発生する。よって、減衰力特性は、図3中にAで示すように伸び側、縮み側共にソフト特性となる。
【0026】シャッタ20が位置Bにある場合、孔18とスリット22とが整合することにより油液通路16および孔18によって逆止弁14がバイパスされる。一方、孔19は、シャッタ20によって閉鎖される。このため、バイパス通路9は、逆止弁15を介して連通されることになり、シリンダ上室2a側からシリンダ下室2b側への油液の流通を許容し、その反対方向の油液の流通を阻止することになる。よって、ピストンロッド4の伸び行程時は、ピストン3の摺動によりシリンダ2内の油液が主油液通路6およびバイパス通路9を流通して第1の減衰力発生機構7および第2の減衰力発生機構12によって比較的小さな減衰力が発生する。一方、縮み行程時は、バイパス通路9の油液の流通が阻止されるので、ピストン3の摺動によってシリンダ2内の油液が主油液通路6のみを流通して第1の減衰力発生機構7によって比較的大きな減衰力が発生する。よって、減衰力特性は、図3中にBで示すように伸び側はソフト特性となり、縮み側はハード特性となる。
【0027】シャッタ20が位置Cにある場合、孔18は、シャッタ20により閉鎖される。一方、孔19とスリット22とが整合することにより油液通路17および孔19によって逆止弁15がバイパスされる。このため、バイパス通路9は、逆止弁14を介して連通されることになり、シリンダ下室2b側からシリンダ上室2a側への油液の流通を許容し、その反対方向の油液の流通を阻止することになる。よって、ピストンロッド4の縮み行程時は、ピストン3の摺動によりシリンダ2内の油液が主油液通路6およびバイパス通路9を流通して第1の減衰力発生機構7および第2の減衰力発生機構12によって比較的小さな減衰力が発生する。一方、伸び行程時は、バイパス通路9の油液の流通が阻止されるので、ピストン3の摺動によってシリンダ2内の油液が主油液通路6のみを流通して第1の減衰力発生機構7によって比較的大きな減衰力が発生する。よって、減衰力特性は、図3中にCで示すように伸び側はハード特性となり、縮み側はソフト特性となる。
【0028】このようにして、シャッタ20を回転させてその位置を変化させるにより、減衰力調整式油圧緩衝器1の減衰力特性を位置A:伸び側/ソフト 縮み側/ソフト位置B:伸び側/ソフト 縮み側/ハード位置C:伸び側/ハード 縮み側/ソフトの3種類の組合わせの中から選択的に切換えることができる。なお、シャッタ20により孔18および19を閉じてバイパス通路9を閉鎖することにより、伸び縮み両側でハード特性とすることも可能である。
【0029】なお、上記第1実施例ではオリフィスおよびディスクバルブからなる第2の減衰力発生機構12を設けたが、この限りでなく、第2の減衰力発生機構12を省略し、孔18、19をオリフィスとしてもよい。また、特に低い減衰力(減衰力がゼロに近い)が必要な場合には、第2の減衰力発生機構を特に設けることなく、バイパス通路内の流体抵抗を第2の減衰力発生機構とするなどしてもよい。また、上記第1実施例の逆止弁14、15の向きは互いに異なる方向を向いていればよく、逆止弁14、15の向きを逆にしてもよい。
【0030】なお、上記第1実施例では、シャッタ20により、孔18,19を開閉する例を示したが、シャッタ20を孔18,19の全開と全閉との間の任意の位置で止めて孔18,19とシャッタ20のスリット22とで形成される開口部の通路面積を調整することにより、任意の減衰力を発生させることも可能である。この場合、孔18,19を後述する図15に示す孔84のような異形の孔とすることにより、孔18,19とシャッタ20のスリット22とで形成される開口部の通路面積を容易に連続的に変化させることができ、オリフィス特性を連続的に変化させることができる。また、シャッタ20には、スリット22の代わりに他形状の開口部を設けるようにしてもよい。
【0031】次に、第2実施例として、減衰力特性を連続的に変化できるようにした減衰力調整式油圧緩衝器について説明する。なお、本実施例は、上記第1実施例に対してガイドおよびシャッタの開口部が異なるので、以下、第1実施例のものと同様の部材には同一の番号を付し、異なる部分についてのみ詳細に説明する。
【0032】図4に示すように、第1実施例と同様に、通路部材5内には、円筒状のガイド部材13a が嵌合されている。そして、ガイド部材13a の一端部には、ガイド部材13a 内からシリンダ上室2a側への油液の流通を許容し、その反対方向の流通を阻止する第1の逆止弁としての逆止弁14a が設けられ、他端部には、ガイド部材13a 内からシリンダ下室2b側への油液の流通を許容し、その反対方向の流通を阻止する第2の逆止弁としての逆止弁15a が設けられている。
【0033】通路部材5とガイド部材13a との間には、バイパス通路9内において、シリンダ上室2a側に連通する油液通路16a とシリンダ下室2b側に連通する油液通路17aとが形成されており、ガイド部材13a の側壁には、油液通路16a に連通する一対の孔18a および油液通路17a に連通する一対の孔19a が設けられている。そして、油液通路16a と孔18a とで逆止弁14a をバイパスする第1の油液通路を構成し、油液通路17と孔19a とで逆止弁15a をバイパスする第2の油液通路を構成している。
【0034】ガイド部材13a 内には、第1および第2の減衰力調整弁として円筒状のシャッタ20a が回転可能に嵌合されている。シャッタ20a の側壁には、ガイド部材13aの孔18a に対向させて一対の開口部22a が設けられ、また、孔19a に対向させて一対の開口部22b が設けられている。開口部22a ,22b は、それぞれ、シャッタ20a の周方向に沿って延ばされて、開口部22a は一側にいくにつれて拡径される略くさび形に形成されており、開口部22b は、これと反対側にいくにつれて拡径される略くさび形に形成されている。そして、シャッタ20a を回転させることにより、孔18a と開口部22a との整合によって形成される連通路面積が変化して前記第1の油液通路の通路面積が調整され、また、孔19a と開口部22b との整合によって形成される連通路面積が変化して前記第2の油液通路の通路面積が調整されるようになっている。この場合、孔18a と開口部22a との連通路が全開のとき孔19a と開口部22b との連通路が全閉となり、この状態からシャッタ20a を一側に回転させるにつれて孔18a と開口部22a との連通路面積が小さくなり、孔19aと開口部22b との連通路面積が大きくなり、孔18a と開口部22a との連通路が全閉のとき孔19a と開口部22b との連通路が全開となるようになっている。
【0035】シャッタ20a には、操作ロッド23a が連結され、操作ロッド23a は逆止弁14aを貫通してピストンロッド4に沿ってその外部まで延ばされており、当該減衰力調整式油圧緩衝器の外部からシャッタ20a を回転させられるようになっている。また、シャッタ20a は、3つの部材20aA,20aBおよび20aCを操作ロッド23a により接合して構成されている。なお、図中、23b はシャッタ20a を小さいトルクで回転可能に支持する軸受であり、その内周部には油液通路が形成されている。
【0036】また、本実施例では、第1実施例の第2の減衰力発生機構12の代わりに油液通路10のシリンダ下室2b側からシリンダ上室2a側への油液の流通を許容する逆止弁12a が設けられている。
【0037】以上のように構成した第2実施例の作用について次に説明する。操作ロッド23a を外部から操作してシャッタ20a を回転させることにより減衰力特性を切換えることができる。
【0038】シャッタ20a を回転させて孔18a と開口部22a との連通路を全開、孔19a と開口部22b との連通路を全閉とした場合、ピストンロッド4の伸び行程時は、バイパス通路9内において、シリンダ上室2a側の油液は、逆止弁14a を閉じて油液通路16a 、孔18a および開口部22a を流通し、さらに、逆止弁15a を開いて油液通路10を通ってシリンダ下室2b側へ流れる。よって、孔18a と開口部22a との通路面積および減衰力発生機構12によって小さな減衰力が発生する。一方、ピストンロッド4の縮み行程時は、逆止弁15a が閉じ、孔19a と開口部22b との連通路が閉じているのでバイパス通路9が閉鎖される。よって、油液が主油液通路6のみを流通して減衰力発生機構7によって大きな減衰力が発生する。したがって、減衰力特性は、図5中にAで示すように、伸び側はソフト特性となり、縮み側はハード特性となる。
【0039】シャッタ20a を上記の位置から一側へ回転させ、孔18a と開口部22a との連通路面積を小さくし、孔19a と開口部22b との連通路を開いた場合、ピストンロッドの伸び行程時は、上記と同様にして、バイパス通路9内において、シリンダ上室2a側の油液がシリンダ下室2b側へ流れ、孔18a と開口部22a との連通路面積が小さくなった分だけ減衰力が大きくなる(バルブ特性の傾きが大きくなる)。一方、ピストンロッド4の縮み行程時は、バイパス通路9内において、シリンダ下室2b側の油液は、逆止弁12a を開き、逆止弁15a を閉じて油液通路17a 、孔19aおよび開口部22b を流通し、さらに、逆止弁14a を開いてシリンダ上室2a側へ流れる。よって、孔19a の開口部22b にいより開口された部分がオリフィスとなり、その連通路面積に応じた小さな減衰力(オリフィス特性)が発生する。したがって、減衰力特性は、図5中にBで示すように、伸び側、縮み側ともにミディアム特性となる。
【0040】シャッタ20a を上記の位置からさらに一側へ回転させ、孔18a と開口部22a との連通路を全閉、孔19a と開口部22b との連通路を全開とした場合、ピストンロッド4の伸び行程時は、逆止弁14a が閉じ、孔18a と開口部22a との連通路が閉じているのでバイパス通路9が閉鎖される。よって、油液が主油液通路6のみを流通して減衰力発生機構7によって大きな減衰力が発生する。一方、ピストンロッド4の縮み行程時は、上記と同様にして、バイパス通路9内において、シリンダ下室2b側の油液がシリンダ上室2a側へ流れ、孔19a と開口部22b との連通路面積が大きくなった分だけ減衰力(オリフィス特性)が小さくなる。したがって、減衰力特性は、図5中にCで示すように、伸び側はハード特性となり、縮み側はソフト特性となる。
【0041】このように、第1実施例と同様に、伸び側と縮み側とで異なる減衰力特性を設定することができ、さらに、シャッタ20a の回転角に応じて孔18a と開口部22a、孔19a と開口部22b の連通路面積を連続的に変化させることができるので、伸び側および縮み側のバイパス通路9の通路面積を変化させて減衰力特性を連続的に調整することができる。なお、シャッタ20a により孔18a および孔19a を閉じてバイパス通路9を閉鎖することにより、伸び縮み両側でハード特性とすることもできる。
【0042】次に、第1実施例の減衰力調整式油圧緩衝器1を用いたセミアクティブサスペンション装置のバウンシング制御の一例について説明する。
【0043】ピストンロッド4のストロークの中立位置N付近に中立範囲N1およびN2(>N1)を設定しておき、車高センサによりストロークSを検出して制御装置によりストロークSに応じて切換信号を出力してアクチュエータを作動させてシャッタ20の位置を切換える。シャッタ20の切換えは、ストロークSが中立範囲N1にあるときは位置A、伸び側で中立範囲N2から外れたときは位置B、縮み側で中立範囲N2から外れたときは位置Cとするように制御する。なお、中立範囲N2>N1としたのは、ハンチングを防止するためである。
【0044】このような制御によれば、平坦路を走行中の車両が路面の突起を乗り越した場合、図6に示すように、平坦路走行中はピストンロッド4のストロークSが中立範囲N1内にあるのでシャッタ20の位置はAとなり、減衰力特性は伸び、縮み側共にソフト特性となる。時刻t1で路面の突起を乗り越し、ピストンロッド4が縮み側へ大きくストロークし、時刻t2でストロークSが縮み側で中立範囲N2から外れると制御信号によりシャッタ20の位置がAからCに切換わるが減衰力特性はソフト特性のままである。時刻t3でストロークSが縮み側から伸び側へ変わると減衰力特性は制御信号なしで自動的にハード特性となる。時刻t4でストロークSが中立範囲N1内に戻ると制御信号によりシャッタ20の位置がCからAに切換わり減衰力特性はソフト特性となる。時刻t5でストロークSが伸び側で中立範囲N2から外れると制御信号によりシャッタ20の位置がAからBに切換わるが減衰力特性はソフト特性のままである。時刻t6でストロークSが伸び側から縮み側へ変わると減衰力特性は制御信号なしで自動的にハード特性となる。時刻t7でストロークSが中立範囲N1内に戻ると制御信号によりシャッタ20の位置はBからAに切換わり減衰力特性はソフト特性となる。このようにして、車体のバウンシングが抑えられる。
【0045】このとき、車高センサの検出に基づく制御信号による減衰力特性の切換えは、ストロークSが中立範囲N1またはN2を通過するとき(時刻t2,t4,t5,t7 )のみ行えばよく、縮み側から伸び側(時刻t3)および伸び側から縮み側(時刻t6)へ変わるときは制御信号なしで自動的に瞬時に切換わることになる。したがって、制御信号による減衰力特性の切換頻度が少なくなるので制御装置の応答遅れが少なく充分適切な制御を行うことができる。
【0046】本発明の第3実施例について説明する。第3実施例においては第1実施例と同様の部材あるいは相当する部材には同一の番号を付し異なる部分についてのみ詳細に説明する。
【0047】図7に示すように、ピストン3には、小径通路部材24が貫通され、その先端部に通路部材5が螺着されて固定されている。小径通路部材24の後端部にはピストンロッド4が連結されている。ピストンロッド4内には一端側が小径通路部材24内に連通し、他端側がシリンダ上室2a内に開口する油液通路25が形成されている。そして、通路部材5、小径通路部材24および油液通路25によりシリンダ上室2aとシリンダ下室2bとを連通するバイパス通路9が構成されている。
【0048】ピストンロッド4の油液通路25には円筒状のガイド部材26が嵌合されており、ガイド部材26の外周部に、バイパス通路9内において、シリンダ上室2a側に連通する油液通路27とシリンダ下室2b側に連通する油液通路28が形成されている。ガイド部材26の両端部寄りの側壁には、それぞれ孔29a,30a が設けられ、この孔29a,30a とこれをガイド部材26の外側から塞ぐ板状のばね部材29b,30b とでガイド部材26内側から油液通路27,28側への油液の流通を許容する第1の逆止弁としての逆止弁29および第2の逆止弁としての逆止弁30が構成されている。ガイド部材26の中央部寄りの側壁には油液通路27に連通する孔31および油液通路28に連通する孔32が設けられている。ガイド部材26には、円筒状のシャッタ33が摺動可能に嵌合されている。シャッタ33は、両端部にガイド部材26の内壁に周設する大径部33a が形成されており、シャッタ33とガイド部材26との間に弁室33b が形成されるようになっている。シャッタ34にはその軸線方向に貫通孔33c が設けられており、この貫通孔33c によりガイド部材26内のシャッタ33の両端の室と弁室33b とが連通されている。
【0049】そして、シャッタ33が図7に示す中立位置Aにあるとき、孔31,32と弁室33bとが連通して油液通路27、孔31、弁室33b 、孔32および油液通路28により逆止弁29および30がバイパスされ、バイパス通路9が常時連通され、シャッタ33が上方に移動して大径部33a が孔32を閉鎖すると(位置B)、油液通路27、孔31および弁室33b により逆止弁29がバイパスされ、バイパス通路9が逆止弁30を介して連通され、シャッタ33が下方に移動して大径部33a が孔31を閉鎖すると(位置C)、油液通路28、孔32および弁室33b により逆止弁30がバイパスされ、バイパス通路9が逆止弁29を介して連通されるようになっている。
【0050】また、シャッタ33には、操作ロッド34の一端側が連結されており、操作ロッド34の他端側はピストンロッド4に内蔵されたソレノイドアクチュエータ35のプランジャ36に連結されている。そして、シャッタ33は、通常ばね38により中立位置Aにあり、ソレノイド37へ通電することにより位置B,Cに移動可能となっている。
【0051】以上のように構成した第3実施例の作用について次に説明する。
【0052】シャッタ33が中立位置Aにある場合、バイパス通路9は、常時連通されるので、第1実施例と同様に、伸び、縮み行程共に、ピストン3の摺動によりシリンダ2内の油液が主油液通路6およびバイパス通路9を流通して第1及び第2の減衰力発生機構7,12によって比較的小さな減衰力が発生する。よって、減衰力特性は、図3中にAで示すように伸び側、縮み側共にソフト特性となる。
【0053】シャッタ33が上方の位置Bにある場合、バイパス通路9が逆止弁30を介して連通されるので、第1実施例と同様に、伸び行程時は、シリンダ2内の油液が主油液通路6およびバイパス通路9を流通して第1の減衰力発生機構7および第2の減衰力発生機構12によって比較的小さな減衰力が発生する。一方、縮み行程時は、バイパス通路9の油液の流通が阻止されるので、シリンダ2内の油液が主油液通路6のみを流通して第1の減衰力発生機構7よって比較的大きな減衰力が発生する。よって、減衰力特性は、図3中にBで示すように伸び側はソフト特性となり、縮み側はハード特性となる。
【0054】シャッタ33が下方の位置Cにある場合、バイパス通路9が逆止弁29を介して連通されるので、第1実施例と同様に、縮み行程時は、シリンダ2内の油液が主油液通路6およびバイパス通路9を流通して第1の減衰力発生機構7および第2の減衰力発生機構12によって比較的小さな減衰力が発生する。一方、伸び行程時は、バイパス通路9の油液の流通が阻止されるので、シリンダ2内の油液が主油液通路6のみを流通して第1の減衰力発生機構7によって比較的大きな減衰力が発生する。よって、減衰力特性は、図3中にCで示すように伸び側はハード特性となり縮み側はソフト特性となる。
【0055】このようにして、第1実施例と同様に、シャッタ33を移動させることにより減衰力特性を3種類の組合わせの中から選択的に切換えることができる。
【0056】なお、上記第3実施例においても、第1実施例の場合と同様に、第2の減衰力発生機構12を省略し、孔29a および30a をオリフィスとすることにより第2の減衰力発生機構としてもよい。
【0057】本発明の第4実施例について説明する。
【0058】図8に示すように、油液が封入されたシリンダ39内に、第1のピストン40と第2のピストン41とが直列に配置され摺動可能に嵌装されており、この第1、第2のピストン40,41で油界画成部材を形成し、シリンダ39内がシリンダ上室39a 、シリンダ中室39b およびシリンダ下室39c の3つに画成されている。第1、第2のピストン40,41には、ピストンロッド42の一端側が貫通されて連結されており、ピストンロッド42の他端はシリンダ39の外部まで延ばされている。また、シリンダ39には、ピストンロッド42がシリンダ39に侵入、退室した分の油液の出入りを補償するリザーバ室(図示せず)が設けられている。
【0059】第1のピストン40には、シリンダ上室39a とシリンダ中室39b とを連通させる油液通路43が設けられており、第1のピストン40の両端面には、油液通路43内の油液の流動を制御して減衰力を発生させるオリフィスおよびディスクバルブからなる第1の減衰力発生機構44が設けられている。また、第2のピストン41には、シリンダ中室39b とシリンダ下室39c とを連通させる油液通路45が設けられており、第2のピストン41の両端面には、油液通路45内の油液の流動を制御して減衰力を発生させるオリフィスおよびディスクバルブからなる第2の減衰力発生機構46が設けられている。そして、油液通路43,45およびシリンダ中室39b により主油液通路を構成している。
【0060】ピストンロッド42には、先端部から軸心に沿って延び、シリンダ上室39a 、シリンダ中室39b およびシリンダ下室39c のそれぞれに連通する開口部47a,47b,47c を有するバイパス通路47が設けられている。そして、バイパス通路47のシリンダ上室39a とシリンダ中室38b との間は第1の減衰力発生機構44をバイパスする第1のバイパス通路を形成し、該バイパス通路47のシリンダ中室39b とシリンダ下室39c との間は第2の減衰力発生機構46をバイパスする第2のバイパス通路を形成している。ピストンロッド42の先端部には、円筒状の通路部材48が取付けられており、通路部材48の開口部には、バイパス通路47の開口部47c からシリンダ下室39c 側への油液の流通を許容し、その反対方向の流通を阻止する逆止弁49が設けられている。
【0061】ピストンロッド42の開口部47を囲んで円筒状の通路部材50が設けられており、通路部材50の開口部にバイパス通路47の開口部47a からシリンダ上室39a 側への油液の流通を許容し、その反対方向の流通を阻止する逆止弁51が設けられている。
【0062】ピストンロッド42のバイパス通路47内に開口部47a に臨んで有底筒状のシャッタ52が回転可能に嵌合されており、また、開口部47c に臨んで有底筒状のシャッタ53が回転可能に嵌合されている。シャッタ52の側壁にはスリット52a が設けられており、シャッタ52を回転させてスリット52a を開口部47a に整合させるか否かにより開口部47a を開閉するようになっている。また、同様に、シャッタ53の側壁にはスリット53a が設けられており、シャッタ53を回転させてスリット53aを開口部47c に整合させるか否かにより開口部47c を開閉するようになっている。
【0063】シャッタ52および53は、ピストンロッド42の軸心に沿って延びる操作ロッド54に共に連結されており、操作ロッド54はピストンロッド42に沿って油圧緩衝器の外部まで延ばされている。そして、油圧緩衝器の外部から操作ロッド54を操作することにより、シャッタ52および53が同時に回転するようになっている。
【0064】図9に示すように、バイパス通路47の開口部47a と47c とは、互いに異なる方向に向かって開口されており、シャッタ52,53が位置aにある場合にはスリット52a と開口部47a とおよびスリット53a と開口部47c とが共に連通され、位置bにある場合にはスリット52a と開口部47a とが遮断されてスリット53a と開口部47c とが連通され、位置cにある場合にはスリット52a と開口部47a とが連通されてスリット53a と開口部47c とが遮断され、位置dにある場合にはスリット52a と開口部47a とおよびスリット53a と開口部47c とが共に遮断されるようになっている。
【0065】以上のように構成した第4実施例の作用について説明する。
【0066】シャッタ52,53が位置aにある場合、バイパス通路47の開口部47a および47cが開いているので、ピストンロッド42の伸び行程時には逆止弁51が閉じシリンダ上室39a の油液は第1のピストン40の油液通路43を通ってシリンダ中室39b へ流れ、シリンダ中室39b の油液は開口部47b 、バイパス通路47および開口部47c を通り逆止弁49を開いてシリンダ下室39c へ流れる。よって、第1のピストン40の第1の減衰力発生機構44のみにより比較的小さな減衰力が発生する。一方、縮み行程時には逆止弁49が閉じシリンダ下室39c の油液は第2のピストン41の油液通路45を通ってシリンダ中室39b へ流れ、シリンダ中室39b の油液は開口部47b 、バイパス通路47および開口部47a を通り逆止弁51を開いてシリンダ上室39a へ流れる。よって、第2のピストン41の第2の減衰力発生機構46のみにより比較的小さな減衰力が発生する。よって、減衰力特性は、図10中にaで示すように伸び側、縮み側共にソフト特性となる。
【0067】シャッタ52,53が位置bにある場合、バイパス通路47の開口部47a が閉じ開口部47c が開いているので、ピストンロッド42の伸び行程時には、位置aの場合と同様にシリンダ上室39a の油液は第1のピストン40の油液通路43を通ってシリンダ中室39b へ流れ、シリンダ中室39b の油液は開口部47b 、バイパス通路47および開口部47c を通り逆止弁49を開いてシリンダ下室39c へ流れる。よって、第1のピストン40の第1の減衰力発生機構44のみにより比較的小さな減衰力が発生する。一方、縮み行程時には逆止弁49が閉じてバイパス通路47が閉鎖されるので、油液は第1および第2のピストン40および41の油液通路43,45を流れて直列に配置された第1および第2の減衰力発生機構44,46により比較的大きな減衰力が発生する。よって、減衰力特性は、図10中にbで示すように伸び側はソフト特性となり、縮み側はハード特性となる。
【0068】シャッタ52,53が位置cにある場合、バイパス通路47の開口部47a が開き開口部47c が閉じているので、ピストンロッド42の縮み行程時には、位置aの場合と同様にシリンダ下室39c の油液は第2のピストン41の油液通路45を通ってシリンダ中室39b へ流れ、シリンダ中室39b の油液は開口部47b 、バイパス通路47および開口部47a を通り逆止弁51を開いてシリンダ上室39a へ流れる。よって、第2のピストン41の第2の減衰力発生機構46のみにより比較的小さな減衰力が発生する。一方、伸び行程時には逆止弁51が閉じてバイパス通路47が閉鎖されるので、位置cの場合と同様に、油液は第1および第2のピストン40および41の油液通路43,45を流れて直列に配置された第1および第2の減衰力発生機構44,46により比較的大きな減衰力が発生する。よって、減衰力特性は、図10中にcで示すように縮み側はソフト特性となり、伸び側はハード特性となる。
【0069】シャッタ52,53が位置dにある場合、バイパス通路47の開口部47a および47cが閉じており、バイパス通路47が常時閉鎖されるので、伸び、縮み行程時共に油液は第1および第2のピストン40および41の油液通路43,45を流れ、直列に配置された第1および第2の減衰力発生機構44,46により比較的大きな減衰力が発生する。よって、減衰力特性は、図10中にdで示すように伸び側、縮み側共にハード特性となる。
【0070】このようにして、操作ロッド54によりシャッタ52,53を移動させることによって減衰力特性を第1、第2、第3実施例の3種類に伸び側、縮み側共にハード特性を加えた4種類の組合わせの中から選択的に切換えることができる。
【0071】なお、上記第4実施例では、第1の減衰力発生機構44が設けられた第1のピストン40と、第2の減衰力発生機構46が設けられた第2のピストン41とで油界画成部材を形成した例を示したが、これに限らず、第1のピストン40の下側に油液通路43と開口部47b とが連通する閉塞された室を設け、この室とシリンダ下室39cを連通するところに第2の減衰力発生機構を設けるようにして、油界画成部材を第1のピストン40の1つで構成するようにしてもよい。
【0072】第5実施例について説明する。第5実施例は、第1実施例に対してバイパス通路の構造が異なるのみなので第1実施例と同様の部材あるいは相当する部材には同一の符号を付し異なる部分についてのみ詳細に説明する。
【0073】図11に示すように、油液が封入されたシリンダ2に、ピストンロッド4が連結されたピストン3が嵌装されており、シリンダ内がシリンダ上室2aとシリンダ下室2bとの2室に画成されている。ピストン3には、シリンダ上室2aとシリンダ下室2bとを連通する主油液通路6が設けられている。さらに、ピストンロッド4に沿って延ばされ、シリンダ上室2aとシリンダ下室2bとを連通させるバイパス通路9が設けられている。主油液通路6には減衰力発生機構として第1の減衰力発生機構7(減衰力大)が設けられており、バイパス通路9には第2の減衰力発生機構12(減衰力小)が設けられている。
【0074】バイパス通路9は、並列に構成された第1の通路60と第2の通路61とからなり、第1の通路60にはシリンダ下室2b側からシリンダ上室2a側への流通を許容する第1の逆止弁62が設けられており、第2の通路61にはシリンダ上室2a側からシリンダ下室2b側への流通を許容する第2の逆止弁63が設けられている。さらに、第1の通路60および第2の通路61には、4ポート4位置切換弁64が設けられており、それぞれを開閉できるようになっている。図11中、65は切換弁64を切換えるためのモータである。
【0075】この構成により、切換弁64によって第1の通路60および第2の通路61を開いた場合、第1および第2の逆止弁63,64によりバイパス通路9が常時連通されるので、伸び、縮み行程共に油液が主油液通路6およびバイパス通路9を流通して比較的小さな減衰力が発生する。よって、減衰力特性は伸び側、縮み側共にソフト特性となる。
【0076】第1の通路60を閉じ第2の通路61を開いた場合、バイパス通路9が第2の逆止弁63を介して連通されるので、伸び行程時は、油液が主油液通路6およびバイパス通路9を流通して比較的小さな減衰力が発生する。一方、縮み行程時は、バイパス通路9の油液の流通が阻止されるので、油液が主油液通路6のみを流通して比較的大きな減衰力が発生する。よって、減衰力特性は、伸び側はソフト特性となり、縮み側はハード特性となる。
【0077】第1の通路60を開き第2の通路61を閉じた場合、バイパス通路9が第1の逆止弁62を介して連通されるので、縮み行程時は、油液が主油液通路6およびバイパス通路9を流通して比較的小さな減衰力が発生する。一方、伸び行程時は、バイパス通路9の油液の流通が阻止されるので、油液が主油液通路6のみを流通して比較的大きな減衰力が発生する。よって、減衰力特性は、伸び側はハード特性となり、縮み側はソフト特性となる。
【0078】第1の通路60および第2の通路61を閉じた場合、バイパス通路9が常時閉鎖されるので、伸び、縮み行程共に油液が主油液通路6のみを流通して比較的大きな減衰力が発生する。よって、減衰力特性は伸び側、縮み側共にハード特性となる。
【0079】このようにして、切換弁64を切換えることによって減衰力特性を第4実施例と同様に4種類の組合わせの中から選択的に切換えることができる。
【0080】本発明の第6実施例について説明する。第6実施例は、第5実施例を具体化したものであり、第1および第5実施例と同様の部材あるいは相当する部材には同一の符号を付し異なる部分についてのみ詳細に説明する。
【0081】図12に示すように通路部材5内には、筒状のガイド部材70が嵌合されている。ガイド部材70の側壁の上部には孔71a ,71b が周方向に相対向して形成され、ガイド部材70の側壁の下部には孔71a ,71b の下方に位置するようにして孔72a ,72b が形成されている。
【0082】前記孔71a に位置対応して第1の逆止弁62が設けられており、ガイド部材70内側からシリンダ上室2a側への油液の流通を許容し、その反対方向の油液の流通を阻止するようになっている。前記孔72b に位置対応して第2の逆止弁63が設けられており、ガイド部材70のシリンダ下室2b側の端部にはガイド部材70内側からシリンダ下室2b側への油液の流通を許容し、その反対方向の油液の流通を阻止するようになっている。
【0083】ガイド部材70内には、第1および第2の減衰力調整弁である略軸状のシャッタ75が回転可能に嵌合されている。シャッタ75は、ガイド部材70の底部を貫通してガイド部材70の内部に挿入された操作ロッド23の先端部に取付けられており、操作ロッド23の作動により回転する。シャッタ75の側面部には、周方向に沿って第1、第2の凹部76,77が形成されている。第1、第2の凹部76,77は軸方向に長い形状になっていて、第1の凹部76は、孔71a と孔72a とに同時に整合し、第2の凹部77は、孔71b と孔72b とに同時に整合しうるようになっている。そして、シャッタ75を回転させ孔71a ,72a 及び孔71b ,72b に対して第1、第2の凹部76,77を整合させるか否かにより、第1、第2の逆止弁62,63を含むバイパス通路9の開閉を行なうようになっている。
【0084】図13に示すように、シャッタ75の第1、第2の凹部76,77とは、周方向に所定距離を開けて形成されており、シャッタ75が位置Xにある場合には,第1の凹部76が孔71a ,72a に整合し、同時に第2の凹部77が孔71b ,72b に整合する。シャッタ75が位置Yにある場合には、第2の凹部77が孔71b ,72b に整合し、位置Zにある場合には、第1の凹部76が孔71a ,72a に整合する。
【0085】以上のように構成した第6実施例の作用について次に説明する。減衰力調整式油圧緩衝器1の外部から操作ロッド23を操作してシャッタ75を回転させることにより減衰力特性を切換えることができる。
【0086】図13に示すように、シャッタ75が位置Xにある場合、第1の凹部76が孔71a ,72a に整合し、同時に第2の凹部77が孔71b ,72b に整合する。伸び行程では、油液が主油液通路6の他、第2の凹部77が孔71b ,72b に整合していることにより通路16、孔71b 、第2の凹部77、孔72b 、第2の逆止弁63、第2の減衰力発生機構12を通って流れ、第1の減衰力発生機構7及び第2の減衰力発生機構12によって比較的小さな減衰力が発生する。また、縮み行程では油液が主油液通路6の他、第1の凹部76が孔71a ,72a に整合していることにより第2の減衰力発生機構12、通路17、孔71a 、第1の凹部76、孔72b 、第1の逆止弁62を通って流れ、第1の減衰力発生機構7及び第2の減衰力発生機構12によって比較的小さな減衰力が発生する。よって、減衰力特性は、図3中にAで示すように伸び側、縮み側共にソフト特性となる。
【0087】シャッタ75が位置Yにある場合には、第2の凹部77が孔71b ,72b に整合する。伸び行程では、油液が主油液通路6の他、第2の凹部77が孔71b ,72b に整合していることにより通路16、孔71b 、第2の凹部77、孔72b 、第2の逆止弁63、第2の減衰力発生機構12を通って流れ、第1の減衰力発生機構7及び第2の減衰力発生機構12によって比較的小さな減衰力が発生する。縮み行程ではバイパス通路9の油液の流通が規制されて油液は主油液通路6のみを流れ第1の減衰力発生機構7によって比較的大きな減衰力が発生する。よって、減衰力特性は、図3中にBで示すように伸び側はソフト特性となり、縮み側はハード特性となる。
【0088】シャッタ75が位置Zにある場合には、第1の凹部76が孔71a ,72a に整合する。伸び行程では、バイパス通路9の油液の流通が規制されて油液は主油液通路6のみを流れ第1の減衰力発生機構7によって比較的大きな減衰力が発生する。また、縮み行程では、油液が主油液通路6の他、第1の凹部76が孔71a ,72a に整合していることにより第2の減衰力発生機構12、通路17、孔71a 、第1の凹部76、孔72b 、第1の逆止弁62を通って流れ、第1の減衰力発生機構7及び第2の減衰力発生機構12によって比較的小さな減衰力が発生する。よって、減衰力特性は、図3中にCで示すように伸び側、縮み側共にソフト特性となる。
【0089】このようにして、シャッタ75を回転させてその位置を変化させるにより、減衰力特性を第5実施例と同様に4種類の組合わせの中から選択的に切換えることができる。
【0090】本発明の第7実施例について説明する。第7実施例においては第1実施例及び第6実施例と同様の部材あるいは相当する部材には同一の符号を付し異なる部分についてのみ詳細に説明する。
【0091】第7実施例の減衰力調整式油圧緩衝器1には、図14に示すように第6実施例のシャッタ75に代わる略円筒形状のシャッタ80が設けられている。シャッタ80内部には中央壁80a が設けられており、内部に第1、第2の空隙81,82を形成している。第1の空隙81を形成するシャッタ80の側面上部及び第2の空隙82を形成するシャッタ80の側面上部には、周方向に長く伸びる第1、第2の上側スリット83,84がそれぞれ形成されている。第1の空隙81を形成するシャッタ80の側面下部及び第2の空隙82を形成するシャッタ80の側面下部には、周方向に長く伸びる第1、第2の下側スリット85,86がそれぞれ形成されている。なお、シャッタ80の、第1の空隙81側上部、下部にはそれぞれ天井部、床部を設けて第1の空隙81を遮蔽している。
【0092】第1の上側スリット83は、周方向に伸びた一定幅の長孔形状になっている。第2の上側スリット84は、矩形の長孔に幅寸法が周方向(この場合、図15右方向)になるにしたがって逓減する三角孔を連接した形状になっている。第1の下側スリット85は、周方向(この場合、図15右方向)になるにしたがって幅寸法が逓増する三角孔に矩形の長孔を連接した形状になっている。第2の下側スリット86は、矩形の長孔に幅寸法が周方向(この場合、図15右方向)になるしたがって逓減する三角孔を連接した形状になっている。この場合、第2の下側スリット86の幅寸法は、第2の上側スリット84のものに比して短く設定されている。
【0093】シャッタ80は初期状態で中立位置に設定されており、シャッタ80が中立位置にあるときは、第1、第2の上側スリット83,84及び第1、第2の下側スリット85,86と孔71a ,72a 及び孔71b ,72b との整合状態は、図15に示すようになっている。シャッタ80が回転されることにより各スリット及び孔相互の連通、遮断及び開口量を調整しえることとなり、前記スリット及び孔の整合状態により第1、第2の逆止弁62,63を含むバイパス通路9の開閉を行なうと共に、油液の通過量の調整を行なえるようになっている。
【0094】なお、前記シャッタ80は、別個に製造される第1、第2、第3のシャッタ片部材80D ,80E ,80F を接合して構成されている。
【0095】通路部材5の通路17に対応した部分には相対向して一対の貫通孔87a ,87b が形成されていて通路17とシリンダ下室2bとを連通している。バルブ本体11のシリンダ下室2b側には,第6実施例の減衰力発生機構12に代えて、第2の減衰力発生機構88が設けられている。
【0096】以上のように構成した第7実施例の作用について次に説明する。減衰力調整式油圧緩衝器1の外部から操作ロッド23を操作してシャッタ80を回転させることにより減衰力特性を切換えることができる。
【0097】図15に示すように、シャッタ80が中立位置にある場合、第1、第2の上側スリット83,84及び第1、第2の下側スリット85,86は孔71a ,72a 及び孔71b ,72b にそれぞれ整合している。伸び行程では、油液が主油液通路6を流れると共に、第2の上側スリット84及び第2の下側スリット86が孔71b 及び孔72b にそれぞれ整合していることにより、通路16、孔71b 、第2の上側スリット84、第2の空隙82を通った後、油液通路10及び第2の減衰力発生機構88のルートや孔72b 、第2の逆止弁63及び貫通孔87b のルートを通って流れ、第2の下側スリット86及び第2の減衰力発生機構7,88によって比較的小さな減衰力が発生する。また、縮み行程では油液が主油液通路6を流れると共に、第1の上側スリット83及び第1の下側スリット85が孔71a 及び孔72a にそれぞれ整合していることにより貫通孔87a 、通路16、孔72a 、第1の空隙81、第1の逆止弁62のルートを通って流れ、第1の下側スリット85及び第1の減衰力発生機構7によって比較的小さな減衰力が発生する。よって、減衰力特性は、図3中にAで示すように伸び側、縮み側共にソフト特性となる。
【0098】シャッタ80を中立位置から矢印P方向(図15左方向)に回転すると、第2の上側スリット84と孔71b との整合量(開口面積)及び第2の下側スリット86と孔72b との整合量(開口面積)は逓減し、第1の上側スリット83と孔71a との整合量(開口面積)及び第1の下側スリット85と孔72a との整合量(開口面積)は継続して同等値に維持される。そして、第2の上側スリット84と孔71b との整合量(開口面積)及び第2の下側スリット86と孔72b との整合量(開口面積)が逓減した状態では、伸び行程において、図3にCで示すような比較的大きなハード特性を得ることになる。また、縮み行程においては、中立位置の場合と同様にしてCに示すようなソフト特性を有することになる。
【0099】シャッタ80を中立位置から矢印Q方向(図15右方向)に回転すると、第2の上側スリット84と孔71b との整合量(開口面積)、第2の下側スリット86と孔72bとの整合量(開口面積)及び第1の上側スリット83と孔71a との整合量(開口面積)は継続して同等量に維持され、第1の下側スリット85と孔72a との整合量(開口面積)は逓減されることになる。そして、第2の上側スリット84と孔71b との整合量(開口面積)及び第2の下側スリット86と孔72b との整合量(開口面積)が中立位置の際と同等になっていることにより、伸び行程においては、中立位置の場合と同様にして図3にBで示すようなソフト特性を有することになる。また、第1の下側スリット85と孔72a との整合量(開口面積)が逓減した状態では、縮み行程において、図3にBで示すような比較的大きなハード特性を得ることになる。
【0100】このようにして、シャッタ80を回転させてその位置を変化させるにより、減衰力特性を前記実施例と同様に多くの組合わせの中から選択的に切換えることができる。
【0101】なお、第1、第2の上側スリット83,84及び第1、第2の下側スリット85,86の幅寸法、各スリットの三角孔の逓減割合や逓増割合を調整・設定しておくことにより、孔71a ,72a 及び孔71b ,72b との整合量を種々にわたって変更して設定でき、このような設定を行なうことにより種々の減衰力特性を得られることになる。例えば第1の上側スリット83の幅寸法や第1の下側スリット85の幅寸法を変更、設定することにより図16及び図17に示すように縮み行程においてd1 ,d2 … …等の種々の減衰力特性を得られる。また、第2の上側スリット84の幅寸法を変更、設定することにより伸び行程においてピストン速度が遅い際等に図17にe1 ,e2 ,e3 で示すような種々の減衰力特性を得ることになる。更に、第2の上側スリット84及び第2の下側スリット86の両者の幅寸法を変更、設定することにより伸び行程においてピストン速度が若干早い際に図16及び図17に示すようにf1 ,f2 ,f3 で示すような種々の減衰力特性を得ることになる。
【0102】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の減衰力調整式油圧緩衝器によれば、減衰力特性を伸び側と縮み側とで異なる組み合わせで選択的に切換えることができる。その結果、サスペンション制御装置と組合わせて用いた場合には、ストロークの方向が変わる前に次のストロークにおいて望まれる減衰力特性に減衰力特性を事前に切換えることができるので制御装置の応答遅れが少なくなり充分適切な制御を行うことができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例の要部の縦断面図である。
【図2】図1の装置のシャッタの位置を示すA−A線およびB−B線による横断面図である。
【図3】図1の装置の減衰力特性を示す図である。
【図4】本発明の第2実施例の要部の縦断面図である。
【図5】図4の装置の減衰力特性を示す図である。
【図6】図1の装置をサスペンション制御装置により制御したときの時間に対するストロークの変化およびシャッタの位置を示す図である。
【図7】本発明の第3実施例の要部の縦断面図である。
【図8】本発明の第4実施例の要部の縦断面図である。
【図9】図8の装置のシャッタの位置を示すA−A線およびB−B線による横断面図である。
【図10】図8の装置の減衰力特性を示す図である。
【図11】本発明の第5実施例の要部の縦断面を示す模式図である。
【図12】本発明の第6実施例の要部の縦断面図である。
【図13】図12の装置のシャッタの位置を示すA−A線およびB−B線による横断面図である。
【図14】本発明の第7実施例の要部の縦断面図である。
【図15】図14のガイド部材の孔とシャッタのスリットとの位置関係を示すシャッタの展開図である。
【図16】図14の装置の第1の上側スリット、第1の下側スリット、第2の上側スリットの各幅寸法を変更、設定したときの同装置の減衰力特性を示す図である。
【図17】図14の装置の第1の上側スリット、第1の下側スリット、第2の上側スリット、第2の下側スリットの各幅寸法等を変更、設定したときの同装置の減衰力特性を示す図である。
【符号の説明】
1 減衰力調整式油圧緩衝器
2 シリンダ
2a シリンダ上室
2b シリンダ下室
3 ピストン
4 ピストンロッド
6 主油液通路
7 第1の減衰力発生機構
9 バイパス通路
12 第2の減衰力発生機構
13 ガイド部材(第1、第2の減衰力調整弁)
14 逆止弁(第1の逆止弁)
15 逆止弁(第2の逆止弁)
20 シャッタ(第1、第2の減衰力調整弁)

【特許請求の範囲】
【請求項1】 油液が封入されたシリンダと、該シリンダ内に摺動可能に嵌装され前記シリンダ内を2室に画成するピストンと、一端側が前記ピストンに連結され、他端側が前記シリンダの外部まで延ばされたピストンロッドと、前記2室を連通し減衰力発生機構を有する主油液通路と、前記減衰力発生機構をバイパスして前記2室を連通するバイパス通路と、該バイパス通路に直列に設けられ、互いに逆方向の流通を許容する第1の逆止弁と第2の逆止弁と、該第1の逆止弁をバイパスする第1の油液通路と、前記第2の逆止弁をバイパスする第2の油液通路と、前記第1の油液通路の通路面積を可変とする第1の減衰力調整弁と、前記第2の油液通路の通路面積を可変とする第2の減衰力調整弁とを備えてなることを特徴とする減衰力調整式油圧緩衝器。
【請求項2】 油液が封入されたシリンダと、該シリンダ内に摺動可能に嵌装され該シリンダ内を2室に画成する油界画成部材と、一端側が該油界画成部材に連結され、他端側が前記シリンダの外部まで延ばされたロッドと、前記2室を連通する主油液通路と、該主油液通路中に設けられ減衰力を発生する第1の減衰力発生機構と、前記主油液通路中に前記第1の減衰力発生機構と直列に設けられ減衰力を発生する第2の減衰力発生機構と、前記第1の減衰力発生機構をバイパスする第1のバイパス通路と、前記第2の減衰力発生機構をバイパスする第2のバイパス通路と、前記第1、第2のバイパス通路のそれぞれに設けられ互いに異なる方向の流通を許容する第1、第2の逆止弁と、前記第1のバイパス通路の通路面積を可変とする第1の減衰力調整弁と、前記第2のバイパス通路の通路面積を可変とする第2の減衰力調整弁とを備えてなることを特徴とする減衰力調整式油圧緩衝器。
【請求項3】 油液が封入されたシリンダと、該シリンダ内に摺動可能に嵌装され前記シリンダ内を2室に画成するピストンと、一端側が前記ピストンに連結され、他端側が前記シリンダの外部まで延ばされたピストンロッドと、前記2室を連通し減衰力発生機構を有する主油液通路と、前記減衰力発生機構をバイパスして前記2室を連通するバイパス通路と、該バイパス通路中に並列に配置されて互いに逆方向の流通を許容する第1および第2の逆止弁と、該第1の逆止弁側の通路の通路面積を可変とする第1の減衰力調整弁と、前記第2の逆止弁側の通路の通路面積を可変とする第2の減衰力調整弁とを備えてなることを特徴とする減衰力調整式油圧緩衝器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図6】
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【図10】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図15】
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【図8】
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【図9】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図16】
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【図17】
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