減衰部材を組み込んだゴルフ・クラブ
【課題】ゴルフ・クラブの減衰部材を開示する。
【解決手段】減衰部材40は、ゴルフ・クラブ10内の振動の振幅を低減させるのに使用される。減衰部材40は、ゴルフ・クラブ10のシャフト20の内部空隙内に位置させることができ、かつシャフト20内の空隙の形状に対応する形状を示してよい。減衰部材40は、シャフト20の少なくとも一部に沿って延びる細長い構造を示してよく、かつ減衰部材40は、流体が充填されたチャンバの構造または発泡体構造を有してよい。
【解決手段】減衰部材40は、ゴルフ・クラブ10内の振動の振幅を低減させるのに使用される。減衰部材40は、ゴルフ・クラブ10のシャフト20の内部空隙内に位置させることができ、かつシャフト20内の空隙の形状に対応する形状を示してよい。減衰部材40は、シャフト20の少なくとも一部に沿って延びる細長い構造を示してよく、かつ減衰部材40は、流体が充填されたチャンバの構造または発泡体構造を有してよい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、ゴルフのスポーツ用品に関する。本発明は特に、たとえば、流体が充填されたチャンバやポリマー発泡体部材などの減衰部材を密閉するシャフトを有するゴルフ・クラブに関する。
【背景技術】
【0002】
背景技術の説明
最も古い国際的なスポーツの1つであるゴルフ競技の正式な起源は、16世紀に遡り、スコットランドにあるセイント・アンドリュースのThe Royal and Ancient Golf Clubで発祥したと言われる。ゴルフ競技が、特有の奥深さを有し、評判がよく、娯楽として適切であるため、その後数世紀にわたってゴルフ人口は増加し続けている。ゴルフをする人の数が増えているため、ゴルフ・クラブ、ボール、および靴を含むゴルフ用品の製造業者は、ゴルフ用品の様々な特徴および特性を定期的に修正し改良している。したがって、ゴルフ用品は長期間にわたって進歩し、広範囲の競技能力および競技スタイルに応じて性能および適切性が改善されており、この改善の多くはゴルフ用品に使用される構造および材料に関するものである。
【0003】
ゴルフ技術の進歩は、ゴルフ・ボールを狙った目標の方に飛ばすのに利用されるゴルフ・クラブにも応用されている。ゴルフ・クラブの主要な部材は、シャフトの端部に固定されたヘッドである。いくつかの従来のゴルフ・クラブ・ヘッドは木材または木材とスチールの組合せで形成されていたが、現代のヘッドは主として、スチール、アルミニウム、チタンのような1つまたは複数の金属で形成されている。同様に、従来のゴルフ・クラブ・シャフトは木材で作られることが多く、一方、現代のシャフトは一般に金属または黒鉛材料で作られている。
【0004】
ゴルフの競技中、プレーヤーはシャフトを握り、ヘッドが概ね弧状の経路に沿って動いてゴルフ・ボールに当たるようにゴルフ・クラブを振る。すると、ゴルフ・クラブ・クラブの慣性の一部、特にヘッドの慣性がゴルフ・ボールに伝わり、ゴルフ・ボールが狙った目標の方へ飛んでいく。クラブが当たった後のゴルフ・クラブの軌跡に影響を与える1つの要素は、シャフトの構造およびシャフトに使用される材料である。ゴルフ・クラブ・シャフトは、シャフトの長さ全体にわたって一定の厚さを有する中空の円筒形構造を有することができるが、多くの現代のシャフトは、先細りまたは段状の構造を有している。すなわち、シャフトの直径は、プレーヤーがシャフトを握る領域からヘッドがシャフトに固定される領域まで小さくなっていく。シャフトの構造およびシャフト用に選択される材料は、たとえば、シャフトのたわみ度、キック・ポイントの位置、およびシャフトを捻るのに必要なトルクを含む、シャフトの性能特性に影響を与える。
【0005】
特定のシャフト構造に応じて、シャフトには、ゴルフ・ボールまたは地面に当たった後振動が生じる。振動力の一部を吸収しても一般に問題はないが、振動力の一部を繰り返し吸収すると、プレーヤーの手または関節が影響を受けることがある。一般に、シャフトの構造(たとえば、厚さ、材料、先細り度など)をシャフトの振幅を小さくするかまたは周波数を調整するように修正することができるが、このような修正は、シャフトの性能特性に悪影響を与える恐れがある。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、ゴルフ・クラブ、特にゴルフ・クラブの振動の振幅を低減させるゴルフ・クラブ用の減衰部材である。減衰部材は、シャフトの内部空隙内に位置しており、シャフト内の空隙の形状に対応する形成を有してよい。減衰部材は、本発明の範囲内の様々な構造を有してよいが、減衰部材は、シャフトの少なくとも一部に沿って延びる細長い構造を有することができる。さらに、減衰部材は、流体が充填されたチャンバまたは発泡体構造の構造を有してよい。
【0007】
減衰部材は、流体が充填されたチャンバとして形成されるときは、流体を実質的に浸透させないポリマー材料で形成された密封された外側障壁を有してよい。本発明のいくつかの態様では、ポリマー材料は熱可塑性エラストマであり、流体は気体である。同様に、減衰部材は、発泡体構造として形成されるときは、エチルビニルアセテートやポリウレタンなどのポリマー発泡体を含んでよい。減衰部材には様々な形状が適切である。たとえば、減衰部材は円筒形構造、先細り構造、または段状構造を有してよい。減衰部材が流体が充填されたチャンバである態様では、チャンバの向かい合う側面を互いに連結することができる。
【0008】
減衰部材は、シャフトの振動の振幅を低減させるのに使用される。したがって、本発明の一態様は、ゴルフ・クラブの振動特性を修正する方法であって、減衰部材の形状を選択する段階と、シャフトに対する減衰部材の位置を選択する段階と、減衰部材をシャフト内に配置する段階とを含む方法に関する。本発明の他の局面は、シャフトを、その内部に空隙を形成するように形成する段階と、空隙内に減衰部材を配置する段階と、ヘッドをシャフトの端部に固定する段階とを含む、ゴルフ・クラブを製造する方法である。
【0009】
本発明を特徴付ける新規の利点および特徴は、特に添付の特許請求の範囲で指摘されている。しかし、新規の利点および特徴をさらに理解するには、本発明に関する様々な態様および概念を説明し例示する以下の説明および添付の図面を参照することができる。
【0010】
上記の「発明の概要」と以下の「発明の詳細な説明」は、添付の図面に関連して読んだときによりよく理解されよう。
【0011】
発明の詳細な説明
以下の議論および添付の図は、本発明による減衰部材を組み込んだゴルフ・クラブ10およびゴルフ・クラブ10'を開示している。ゴルフ・クラブ10はドライバーの構造を有しているが、ゴルフ・クラブ10'はアイアンの構造を有している。ゴルフ・クラブ10およびゴルフ・クラブ10'は、減衰部材を組み込むことのできる様々な種類のゴルフ・クラブの例を示すものである。しかし、具体的に図示されておらずまた以下の説明で論じられていない他の種類のゴルフ・クラブも、本発明の範囲内の減衰部材を組み込むことができる。したがって、本発明に関連する概念は、様々なゴルフ・クラブ形式に適用される。
【0012】
ゴルフ・クラブ10は、図1に示されており、シャフト20およびヘッド30を含んでいる。シャフト20は、第1の端部21および第2の端部22を含む概ね中空の細長い構造を有している。グリップ23は、第1の端部21の上方を延びて、ゴルフ・クラブ10を握るための手になじみ滑りにくい領域を形成している。シャフト20の適切な材料は、たとえば黒鉛やスチールのような従来のゴルフ・クラブ・シャフト材料を含んでいる。ヘッド30は、第2の端部22に固定されており、ゴルフ・ボールに当たり、それによってゴルフ・ボールを狙った方法に飛ばすように構成された概ね平面状のフェース31を形成している。各図に示されているように、ヘッド30は、ドライバーの構造を有するゴルフ・クラブ10を形成する概ね中空の拡大された構造を有している。
【0013】
ゴルフの競技中、プレーヤーは、グリップ23を握り(すなわち、プレーヤーはシャフト20の、第1の端部21に隣接する部分を掴む)、ヘッド30が概ね湾曲したまたは弧状の経路に沿って動いてゴルフ・ボールに当たるようにゴルフ・クラブ10を振る。すると、ゴルフ・クラブ10の慣性の一部、特にヘッド30の慣性がボルフ・ボールに伝わり、ゴルフ・ボールを狙った目標の方へ飛ばす。ゴルフ・クラブ10は、ゴルフ・ボールに当たった後、振動する傾向を有することがある。しかし、ゴルフ・クラブ10によって励起される振動の程度は、シャフト20内に位置しシャフト40の少なくとも一部に沿って延びる減衰部材40によって変調される。減衰部材40は、流体が充填されたチャンバの構造を有することができるが、たとえばポリマー発泡体部材であってもよい。ゴルフ・クラブ10、特にシャフト20が、ゴルフ・ボールに当たった後に振動すると、減衰部材40は、振動に伴うエネルギーを吸収し、それによって振動を減衰させる。
【0014】
減衰部材40は、図2〜4に示されているように、流体42を密閉する密封外側障壁41を含んでいる。障壁41は、シャフト20内の中空の領域に対応するような形成された比較的幅の狭い細長い構造を有している。障壁41を形成する材料は、流体42用に選択された液体または気体を実質的に浸透させない熱可塑性エラストマなどのポリマー材料であってよい。したがって、減衰部材40は、参照として本明細書に組み入れられる、Rudyの米国特許第4,183,156号に開示された流体が充填されたチャンバの構造を有してよい。
【0015】
シャフト20の中空の構造は、減衰部材40を受けるシャフト20の内部に空隙24を形成する。空隙24を横切って延びる寸法(すなわち、シャフト20の内径)は、1ミリメートルから20ミリメートル以上の範囲であってよい。したがって、減衰部材40の幅は、空隙24を横切って延びる寸法に一致するように選択することができる。つまり、減衰部材20は空隙24内に適合し、かつ空隙24の少なくとも一部分に沿って延びる構造を有してもよい。いくつかの態様では、減衰部材40は、障壁41が流体42の圧力のためにシャフト20に実質的に外向きの力をかけるようにシャフト20に組み込むことができる。すなわち、減衰部材40は、空隙24を横切って延びる寸法を超える自然な幅を有してよく、かつ減衰部材40は、圧縮された構造になるようにシャフト20内に配置することができる。他の態様では、減衰部材40は、空隙24を横切る寸法である自然な幅を有してよく、または減衰部材40は、空隙24を横切って延びる寸法よりわずかに小さな自然な幅を有してよい。空隙24内の減衰部材40の動きを制限するために、減衰部材40とシャフト20との間に接着層を形成することができ、またはシャフト20が、たとえば減衰部材40の各側で空隙24内に延びる様々な突起を形成することができる。
【0016】
図1の減衰部材40の位置は、第1の端部21と第2の端部22との間の距離の約2分の1として示されている。しかし、他の態様では、減衰部材40をシャフト20の他の領域に位置させることができる。同様に、減衰部材40の長さは、シャフト20の比較的小さな部分のみに沿って延びるように示されている。一般に、減衰部材40の長さと減衰部材40の幅との比は少なくとも5:1であるが、2:1から50:1の範囲であってもよい。図5A〜5Iを参照すると、減衰部材40は、シャフト20に沿った様々な位置に位置するように示されており、減衰部材40の様々な長さ・幅比が示されている。
【0017】
減衰部材40は、図1では中央に配置されるように示されているが、減衰部材40は、図5Aの構造では第2の端部22に隣接して位置している。同様に、減衰部材40は、図5Bの構造では、第1の端部21に隣接して位置している。図5Cを参照すると、減衰部材40は、シャフト20の長さの約2分の1である長さを有し、中央に配置されている。図5Dおよび5Eでは、減衰部材40は、やはりシャフト20の長さの約2分の1の長さを有するが、それぞれ第2の端部22および第1の端部21に隣接して配置されている。減衰部材40の長さをさらに長くしたものが図5Fの構造に示されており、減衰部材40はシャフト20の全長に沿って延びている。上記の議論は、単一の減衰部材40がシャフト20内に位置する態様を示している。図5Gおよび5Hを参照すると、2つおよび3つの減衰部材40がそれぞれ示されている。図5Gおよび5Hの減衰部材は同様の長さを有しているが、図5Iの減衰部材40は異なる長さを有している。図5Jを参照すると、減衰部材40は、減衰部材40を受ける外側突起25を含むシャフト20内に位置するように示されている。減衰部材40は、概ねシャフト20の直径よりも大きな直径またはサイズを有するように形成することができ、突起25を使用してシャフト20の長さに対する減衰部材40の位置を保持することができる。したがって、上記の議論は、シャフト20および減衰部材40の様々な考えられる構造および組合せが本発明の範囲内のものであることを示している。
【0018】
シャフト20は全長にわたって一定の厚さを持つ円筒形構造を有してよいが、シャフト20は、たとえば先細りまたは段状構造を有してもよい。すなわち、シャフト20の直径は、第1の端部21に対応する領域から第2の端部22に対応する領域まで小さくすることができる。シャフト20が先細りまたは段状構造を有する態様では、空隙24は、対応する構造を有してよい。したがって、減衰部材40は、それぞれ図6Aおよび6Bに示されているように、空隙24の形状に対応する先細りまたは段状構造を有してもよい。減衰部材40は、図6Cに示されているように、シャフト20の内面に接触する複数の突起を形成する波形構造を有してもよい。減衰部材40の様々な構造は、概ね丸形の構造を有している。しかし、図6Dに示されているように、選択された接着部位43の所で障壁41の互いに向かい合う側面を接着することによって、減衰部材40に比較的平坦な構造を加えることができる。減衰部材40は、図6Eに示されているように、端部が中央部よりも広い幅を有する構造を有してもよい。上述の様々な態様では、減衰部材40は単一のチャンバである。しかし、図6Fを参照すると、減衰部材40は、各チャンバ44a〜44cを互いに分離するように障壁41の互いに向かい合う側面を接着することによって形成された3つのチャンバ44a〜44cを有するように示されている。各チャンバ44a〜44c内の流体42の圧力は互いに異なっていてよい。たとえば、チャンバ44a〜44cが比較的低い圧力を有し、チャンバ44bが比較的高い圧力を有してよい。または、チャンバ44a〜44cが比較的高い圧力を有し、チャンバ44bが比較的低い圧力を有してよい。各チャンバ44a〜44c内の流体42が互いに異なる圧力を有してもよく、または互いに異なる流体42を使用してもよい。したがって、減衰部材40は、本発明の範囲内の様々な構造を有してよい。
【0019】
上述の障壁41を形成する材料は、流体42を実質的に浸透させない熱可塑性エラストマなどのポリマー材料であってよい。具体的には、障壁41に適した材料は、参照として本明細書に組み入れられる、Mitchellらへの米国特許第5,713,141号および第5,952,065号に開示されたように熱可塑性ポリウレタンとエチレン−ビニルアルコールコポリマーが交互に積み重ねられた層で形成された膜である。中央層がエチレン−ビニルアルコールコポリマーで形成され、中央層に隣接する2つの層が熱可塑性ポリウレタンで形成され、外側層が熱可塑性ポリウレタンおよびエチレンービニルアルコールコポリマーの粉砕再生材料で形成されたこの材料の変形態様を利用してもよい。他の適切な材料は、どちらも参照として本明細書に組み入れられるBonkらへの米国特許第6,082,025号および第6,127,026号に開示されたように気体障壁材料と弾性材料が交互に積み重ねられた層を含む可とう性のマイクロ層膜である。他の適切な熱可塑性弾性材料または膜には、ポリウレタン、ポリエステル、鋳造されるかまたは押出し成形されたエステル系ポリウレタン膜などのポリエステルポリウレタンが含まれる。他の適切な材料は、参照として本明細書に組み入れられるRudyらへの米国特許第4,183,156号および第4,219,945号に開示される。さらに、すべてがエステルまたはエーテル系であるDow Chemical Companyの製品であるPELLETHANE、BASF Corporationの製品であるELASTOLLIAN、B.F. Goodrich Companyの製品であるESTANEのような多数の熱可塑性ウレタンを使用することができる。ポリエステル、ポリエーテル、ポリカプロラクトン、およびポリカーボネートマイクロゲルをベースとする他の熱可塑性ウレタンを使用してよく、様々な窒素遮断材料を使用してもよい。他の適切な材料には、参照として本明細書に組み入れられるRudyへの米国特許第4,936,029号および第5,042,176号に開示されているように結晶材料を含む熱可塑性膜、ならびにやはり参照として本明細書に組み入れられるBonkらへの米国特許第6,013,340号、第6,203,868号、および第6,321,465号に開示されているようにポリエステルポリオールを含むポリウレタンが含まれる。流体42は、たとえばヘキサフルオロエタンや六フッ化硫黄など、参照として本明細書に組み入れられるRudyへの米国特許第4,340,626号に開示された気体のうちのどれかを含んでもよい。さらに、流体42は、加圧されたオクタフルオロプロパン、窒素、または空気を含んでよい。流体42の圧力は、たとえば、零のゲージ圧から1平方インチ当たり40ポンドまでの範囲であってよい。
【0020】
減衰部材40は、たとえば2膜技術、熱成形、吹込み成形、回転成形のような様々な製造技術によって製造することができる。減衰部材40用の特定の製造方法は、たとえば障壁41用に選択される材料や減衰部材40の所望の構造に依存してよい。
【0021】
2膜技術に関しては、弾性障壁41の2つの別々の層は、減衰部材40の全体的な形状を有するように形成される。各層は次いで、そのそれぞれの周囲に沿って接着されるかまたは少なくとも部分的に密封され、流体42を密閉する内部領域が形成される。減衰部材40はその後、流体圧力源に連結されたノズルまたは針を、障壁41に形成された注入口に挿入することによって、周囲圧力よりも高い圧力に加圧される。加圧後に、ノズルが取り外され、注入口が、たとえば溶接によって密封される。図6Dの構造に関しては、たとえば、障壁41の互いに向かい合う側面を所定の内部位置で接着する追加的な段階を実行することができる。同様に、減衰部材40全体を横切って延びる接着部を形成することによってチャンバ44a〜44cを分離することができる。従来熱成形と呼ばれているこの技術の変形態様では、正の圧力を有する流体が障壁41の各層間に塗布され、各層が型の輪郭にされる。さらに、障壁41と型との間の領域に真空を誘発させ、各層を型の輪郭に延伸させることができる。
【0022】
減衰部材40のような流体が充填されたチャンバを製造する他の製造技術は、液化された弾性材料が、減衰部材40の所望の全体的な形状および構造を有する型内に配置される吹込み成形プロセスによるものである。型は、加圧された空気を供給するための開口部をある位置に有している。加圧された空気は、液化された弾性材料を型の内面に押し付け、材料を型内で硬化させ、それによって減衰部材40を所望の構造を有するように形成する。回転成形は、液化された弾性材料が、減衰部材40の所望の全体的な形状および構造を有する型内に配置されるという点で吹込み成形と同様である。型は次いで回転させられ、遠心力によって、液化された弾性材料が型の内面に押し付けられる。
【0023】
減衰部材40は、製造後、ゴルフ・クラブ10内に配置される。特に、減衰部材40はシャフト20内に組み込まれる。たとえば、多くの黒鉛シャフトは、コア・ロッドの周りを炭素シート(すなわち、プリプレグ・シート)で覆い、次いで加熱して材料を硬化させることによって作製される。シートの数は、シャフトに関して指定された、たとえば硬度や、トルクや、重量を実現するように変化させることができる。ホウ素などの材料を組み込むことによってシャフトの強度を向上させるか、またはコア・ロッドの厚さもしくは形状を調整することによって、シャフトの仕様を変更することもできる。シャフトを硬化させた後、コア・ロッドを取り外し、ヘッドをシャフトに固定する。減衰部材40は、コア・ロッドが取り外された後で減衰部材40がシャフト20内に残るようにコア・ロッドの一部に置き換わる。または、コア・ロッドを取り外した後で減衰部材40をシャフト20内に配置することができる。したがって、減衰部材40は、製造中にシャフト20内に組み込んでも、製造後にシャフト20内に組み込んでもよい。さらに、減衰部材40を使用して既存のシャフトをシャフト内の振動を減衰させるように改造することができる。
【0024】
上述のシャフト20用の製造方法に代わる方法として、圧縮成形、またはシャフト20内に所望の形状の空隙を有する加圧されたブラダーがマンドレル上で伸ばされるブラダー成形によってシャフト20を形成することができる。シャフト20を形成する材料でブラダーの周りを覆い、ダイによって圧縮する。シャフト20が形成された後、加圧されたブラダー内の流体を排出し、ブラダーをシャフト20内の空隙から取り外す。これらの製造方法のいずれかをシャフト20に利用することができるが、他の様々な製造方法を利用してもよい。
【0025】
上記では、減衰部材40を、流体が充填されたチャンバの構造を有するものとして説明した。しかし、減衰部材40を、ポリウレタンやエチルビニルアセテートなどのポリマー発泡体材料で形成された減衰部材50と交換することができる。さらに、比重が0.5g/cm3から0.7g/cm3であり、Asker Cスケール上の硬度が70から76である微孔性発泡体を利用することができる。減衰部材40と異なり、減衰部材50は、流体を密閉する内部体積を含まない固体構造を有してよい。しかし、減衰部材50の全体的な形状は、減衰部材40の全体的な形状と類似していてよい。たとえば、減衰部材50は、それぞれ図7Aおよび7Bに示されているように先細りまたは段状構造を有してよい。減衰部材50は、図7Cに示されているように、シャフト20の内面に接触する複数の突起を形成する波形構造を有してもよい。図7Dに示されているように、減衰部材50に比較的平坦な構造を加えることができる。減衰部材50は、図7Eに示されているように、端部が中央部よりも大きな幅を有する構造を有してもよい。上述の様々な態様では、減衰部材50は単一の発泡体で形成される。しかし、図7Fを参照すると、減衰部材50は、それぞれの異なる密度を有するポリマー発泡体材料で形成された3つの領域54a〜54cを有するように示されている。たとえば、領域54a〜54cが比較的低い密度を有し、領域54bが比較的高い密度を有してよい。または、たとえば、領域54a〜54cが比較的高い密度を有し、領域54bが比較的低い密度を有してよい。各領域54a〜54cはそれぞれの異なる密度を有してもよい。減衰部材50は、図7Gに示されているように概ね円筒形の構造を有してもよく、また減衰部材は、図7Hに示されているように複数の円形フィンを含む全体的な構造を有してもよい。したがって、減衰部材50は、本発明の範囲内の様々な構造を有してよい。
【0026】
ゴルフ・クラブ10、特にシャフト20がゴルフ・ボール(または地面)に当たった後で振動すると、減衰部材40(減衰部材50)は、振動に関連するエネルギーを吸収し、それによって振動を減衰させる。シャフト20に関連する減衰力がない場合、シャフト20は、ゴルフ・ボールに当たった後引き続き一定の振幅で振動する。しかし、調和運動の場合、様々な力が連続する各振動の振幅を低減させる(すなわち、力が動きを減衰させる)傾向がある。これらの力が、最初の変位から生じる復元力と比べて小さい場合、目標は、動きが徐々に終了するまで、振幅が徐々に小さくなるように比較的少ない回数だけ振動する。たとえば、ゴルフ・クラブの周りの空気に関連する摩擦力は、振動の振幅を確実に低減させる傾向がある。さらに、シャフトを握ると振動力の一部が吸収される。振動力の一部を吸収しても一般に問題はないが、振動力の一部を繰り返し吸収すると、プレーヤーの手または関節が影響を受ける。したがって、減衰部材40を使用して振動力を吸収すると共に、プレーヤーによって吸収される振動力の量を制限することができる。
【0027】
減衰状態の3つのグラフが図8〜10に示されている。各グラフでは、水平軸が時間(t)を表し、垂直軸が振動の振幅(a)を表している。さらに、各グラフは、シャフト20の振動を表す概ね正弦状の線を含んでいる。図8を参照すると、約20回の振動周期にわたって線の振幅が実質的に小さくなっていく。
同様の振幅の減少が図9で5回の振動周期にわたって生じている。したがって、図8および9のそれぞれによれば、減衰部材40は比較的少ない回数の振動周期にわたって振動の振幅を低減させるように働き、この状態は、従来減衰調和運動と呼ばれている。しかし、図10では、第1の振動周期で完全な減衰が生じており、この状態は従来過減衰調和運動と呼ばれている。
【0028】
シャフト20およびヘッド30の構造は、ゴルフ・クラブ10の全体的な減衰に影響を与える。主として減衰効果に責任を負っているのは減衰部材40(または減衰部材50)の構造である。すなわち、減衰部材40の特徴は、シャフト20が、たとえば図8、図9、または図10に示されているように振動するかどうかを決定する。上記の議論から減衰部材40の構造に関する多数の変形態様が得られる。たとえば、シャフト20に対する位置、減衰部材40の長さ、量、形状、および圧力はすべて、減衰部材40の減衰特性に影響を与える。同様に、減衰部材50の材料および形状は、減衰部材50の減衰特性に影響を与える。したがって、それぞれの異なる構造を有する減衰部材40または50を使用してシャフト20の振動特性を修正または調整することができる。
【0029】
減衰部材40(または減衰部材50)を使用してゴルフ・クラブ10の他の特性を修正することができる。減衰部材40は比較的小さな質量を有するが、減衰部材40は、ゴルフ・クラブ10の全体的な質量を増大させる。シャフト20に対する減衰部材40の位置に応じて、ゴルフ・スイング中のゴルフ・クラブ10の有効慣性が影響を受けることがある。たとえば、減衰部材40を第2の端部22(すなわち、隣接するヘッド30)に隣接して位置させた場合、ヘッド30を通じてゴルフ・ボールに伝達される慣性力を強くするこができる。しかし、減衰部材40を第1の端部21に隣接して位置させた場合、ヘッド30を通じてゴルフ・ボールに伝達される慣性力を弱くすることができる。シャフト20の曲げ特性または剛性も減衰部材40の存在および位置の影響を受けることがある。たとえば、減衰部材40をシャフト20の比較的可とう性の部分に位置させてシャフト20のその特定の領域の剛性を高めることができる。剛性は、障壁41の厚さおよび流体42の圧力の影響も受けることがある。したがって、これらの要素を、シャフト20の剛性を調整するように修正することができる。同様の考えを減衰部材50にも利用することができ、減衰部材50の位置および発泡体密度を使用してシャフト20の慣性力と剛性の両方を調整することができる。
【0030】
上記の議論は、ドライバーの構造を有するように示されているゴルフ・クラブ10に焦点を当てている。しかし、本発明に関する概念は、様々なゴルフ・クラブ形式に適用される。図11を参照すると、アイアンの構造を有するゴルフ・クラブ10'が示されている。ゴルフ・クラブ10'は、アイアン用の従来の構造を有してよいシャフト20'およびヘッド30'を含んでいる。さらに、ゴルフ・クラブ10'は、シャフト20'内に位置する減衰部材40'を含んでいる。減衰部材40'は、減衰部材40または減衰部材50の概略的な構造を有してよい。したがって、ゴルフ・クラブ10'の振動特性は、減衰部材40'の構造によって選択的に変更することができる。
【0031】
本発明は、上記および添付の図面において様々な態様に関して開示されている。しかし、開示によって実現される目的は、本発明に関する様々な特徴および概念の一例を示すことであり、本発明の範囲を制限することではない。当業者には、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲から逸脱せずに上述の態様に多数の変形および修正を加えられることが認識されよう。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明による減衰部材を含むシャフトを有するゴルフ・クラブの斜視図である。
【図2】シャフトの、減衰部材を露出させる部分の切欠き斜視図である。
【図3】図1の断面線3-3によって形成された、シャフトの断面図である。
【図4】減衰部材の側面図である。
【図5】本発明による複数のシャフト構造の側面図である。
【図6】本発明の範囲内の複数の減衰部材構造の平面図である。
【図7】本発明の範囲内の複数の他の減衰部材構造の平面図である。
【図8】図1に示されているゴルフ・クラブの振動特性の第1のグラフである。
【図9】図1に示されているゴルフ・クラブの振動特性の第2のグラフである。
【図10】図1に示されているゴルフ・クラブの振動特性の第3のグラフである。
【図11】本発明による減衰部材を含むシャフトを有する他のゴルフ・クラブの斜視図である。
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、ゴルフのスポーツ用品に関する。本発明は特に、たとえば、流体が充填されたチャンバやポリマー発泡体部材などの減衰部材を密閉するシャフトを有するゴルフ・クラブに関する。
【背景技術】
【0002】
背景技術の説明
最も古い国際的なスポーツの1つであるゴルフ競技の正式な起源は、16世紀に遡り、スコットランドにあるセイント・アンドリュースのThe Royal and Ancient Golf Clubで発祥したと言われる。ゴルフ競技が、特有の奥深さを有し、評判がよく、娯楽として適切であるため、その後数世紀にわたってゴルフ人口は増加し続けている。ゴルフをする人の数が増えているため、ゴルフ・クラブ、ボール、および靴を含むゴルフ用品の製造業者は、ゴルフ用品の様々な特徴および特性を定期的に修正し改良している。したがって、ゴルフ用品は長期間にわたって進歩し、広範囲の競技能力および競技スタイルに応じて性能および適切性が改善されており、この改善の多くはゴルフ用品に使用される構造および材料に関するものである。
【0003】
ゴルフ技術の進歩は、ゴルフ・ボールを狙った目標の方に飛ばすのに利用されるゴルフ・クラブにも応用されている。ゴルフ・クラブの主要な部材は、シャフトの端部に固定されたヘッドである。いくつかの従来のゴルフ・クラブ・ヘッドは木材または木材とスチールの組合せで形成されていたが、現代のヘッドは主として、スチール、アルミニウム、チタンのような1つまたは複数の金属で形成されている。同様に、従来のゴルフ・クラブ・シャフトは木材で作られることが多く、一方、現代のシャフトは一般に金属または黒鉛材料で作られている。
【0004】
ゴルフの競技中、プレーヤーはシャフトを握り、ヘッドが概ね弧状の経路に沿って動いてゴルフ・ボールに当たるようにゴルフ・クラブを振る。すると、ゴルフ・クラブ・クラブの慣性の一部、特にヘッドの慣性がゴルフ・ボールに伝わり、ゴルフ・ボールが狙った目標の方へ飛んでいく。クラブが当たった後のゴルフ・クラブの軌跡に影響を与える1つの要素は、シャフトの構造およびシャフトに使用される材料である。ゴルフ・クラブ・シャフトは、シャフトの長さ全体にわたって一定の厚さを有する中空の円筒形構造を有することができるが、多くの現代のシャフトは、先細りまたは段状の構造を有している。すなわち、シャフトの直径は、プレーヤーがシャフトを握る領域からヘッドがシャフトに固定される領域まで小さくなっていく。シャフトの構造およびシャフト用に選択される材料は、たとえば、シャフトのたわみ度、キック・ポイントの位置、およびシャフトを捻るのに必要なトルクを含む、シャフトの性能特性に影響を与える。
【0005】
特定のシャフト構造に応じて、シャフトには、ゴルフ・ボールまたは地面に当たった後振動が生じる。振動力の一部を吸収しても一般に問題はないが、振動力の一部を繰り返し吸収すると、プレーヤーの手または関節が影響を受けることがある。一般に、シャフトの構造(たとえば、厚さ、材料、先細り度など)をシャフトの振幅を小さくするかまたは周波数を調整するように修正することができるが、このような修正は、シャフトの性能特性に悪影響を与える恐れがある。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、ゴルフ・クラブ、特にゴルフ・クラブの振動の振幅を低減させるゴルフ・クラブ用の減衰部材である。減衰部材は、シャフトの内部空隙内に位置しており、シャフト内の空隙の形状に対応する形成を有してよい。減衰部材は、本発明の範囲内の様々な構造を有してよいが、減衰部材は、シャフトの少なくとも一部に沿って延びる細長い構造を有することができる。さらに、減衰部材は、流体が充填されたチャンバまたは発泡体構造の構造を有してよい。
【0007】
減衰部材は、流体が充填されたチャンバとして形成されるときは、流体を実質的に浸透させないポリマー材料で形成された密封された外側障壁を有してよい。本発明のいくつかの態様では、ポリマー材料は熱可塑性エラストマであり、流体は気体である。同様に、減衰部材は、発泡体構造として形成されるときは、エチルビニルアセテートやポリウレタンなどのポリマー発泡体を含んでよい。減衰部材には様々な形状が適切である。たとえば、減衰部材は円筒形構造、先細り構造、または段状構造を有してよい。減衰部材が流体が充填されたチャンバである態様では、チャンバの向かい合う側面を互いに連結することができる。
【0008】
減衰部材は、シャフトの振動の振幅を低減させるのに使用される。したがって、本発明の一態様は、ゴルフ・クラブの振動特性を修正する方法であって、減衰部材の形状を選択する段階と、シャフトに対する減衰部材の位置を選択する段階と、減衰部材をシャフト内に配置する段階とを含む方法に関する。本発明の他の局面は、シャフトを、その内部に空隙を形成するように形成する段階と、空隙内に減衰部材を配置する段階と、ヘッドをシャフトの端部に固定する段階とを含む、ゴルフ・クラブを製造する方法である。
【0009】
本発明を特徴付ける新規の利点および特徴は、特に添付の特許請求の範囲で指摘されている。しかし、新規の利点および特徴をさらに理解するには、本発明に関する様々な態様および概念を説明し例示する以下の説明および添付の図面を参照することができる。
【0010】
上記の「発明の概要」と以下の「発明の詳細な説明」は、添付の図面に関連して読んだときによりよく理解されよう。
【0011】
発明の詳細な説明
以下の議論および添付の図は、本発明による減衰部材を組み込んだゴルフ・クラブ10およびゴルフ・クラブ10'を開示している。ゴルフ・クラブ10はドライバーの構造を有しているが、ゴルフ・クラブ10'はアイアンの構造を有している。ゴルフ・クラブ10およびゴルフ・クラブ10'は、減衰部材を組み込むことのできる様々な種類のゴルフ・クラブの例を示すものである。しかし、具体的に図示されておらずまた以下の説明で論じられていない他の種類のゴルフ・クラブも、本発明の範囲内の減衰部材を組み込むことができる。したがって、本発明に関連する概念は、様々なゴルフ・クラブ形式に適用される。
【0012】
ゴルフ・クラブ10は、図1に示されており、シャフト20およびヘッド30を含んでいる。シャフト20は、第1の端部21および第2の端部22を含む概ね中空の細長い構造を有している。グリップ23は、第1の端部21の上方を延びて、ゴルフ・クラブ10を握るための手になじみ滑りにくい領域を形成している。シャフト20の適切な材料は、たとえば黒鉛やスチールのような従来のゴルフ・クラブ・シャフト材料を含んでいる。ヘッド30は、第2の端部22に固定されており、ゴルフ・ボールに当たり、それによってゴルフ・ボールを狙った方法に飛ばすように構成された概ね平面状のフェース31を形成している。各図に示されているように、ヘッド30は、ドライバーの構造を有するゴルフ・クラブ10を形成する概ね中空の拡大された構造を有している。
【0013】
ゴルフの競技中、プレーヤーは、グリップ23を握り(すなわち、プレーヤーはシャフト20の、第1の端部21に隣接する部分を掴む)、ヘッド30が概ね湾曲したまたは弧状の経路に沿って動いてゴルフ・ボールに当たるようにゴルフ・クラブ10を振る。すると、ゴルフ・クラブ10の慣性の一部、特にヘッド30の慣性がボルフ・ボールに伝わり、ゴルフ・ボールを狙った目標の方へ飛ばす。ゴルフ・クラブ10は、ゴルフ・ボールに当たった後、振動する傾向を有することがある。しかし、ゴルフ・クラブ10によって励起される振動の程度は、シャフト20内に位置しシャフト40の少なくとも一部に沿って延びる減衰部材40によって変調される。減衰部材40は、流体が充填されたチャンバの構造を有することができるが、たとえばポリマー発泡体部材であってもよい。ゴルフ・クラブ10、特にシャフト20が、ゴルフ・ボールに当たった後に振動すると、減衰部材40は、振動に伴うエネルギーを吸収し、それによって振動を減衰させる。
【0014】
減衰部材40は、図2〜4に示されているように、流体42を密閉する密封外側障壁41を含んでいる。障壁41は、シャフト20内の中空の領域に対応するような形成された比較的幅の狭い細長い構造を有している。障壁41を形成する材料は、流体42用に選択された液体または気体を実質的に浸透させない熱可塑性エラストマなどのポリマー材料であってよい。したがって、減衰部材40は、参照として本明細書に組み入れられる、Rudyの米国特許第4,183,156号に開示された流体が充填されたチャンバの構造を有してよい。
【0015】
シャフト20の中空の構造は、減衰部材40を受けるシャフト20の内部に空隙24を形成する。空隙24を横切って延びる寸法(すなわち、シャフト20の内径)は、1ミリメートルから20ミリメートル以上の範囲であってよい。したがって、減衰部材40の幅は、空隙24を横切って延びる寸法に一致するように選択することができる。つまり、減衰部材20は空隙24内に適合し、かつ空隙24の少なくとも一部分に沿って延びる構造を有してもよい。いくつかの態様では、減衰部材40は、障壁41が流体42の圧力のためにシャフト20に実質的に外向きの力をかけるようにシャフト20に組み込むことができる。すなわち、減衰部材40は、空隙24を横切って延びる寸法を超える自然な幅を有してよく、かつ減衰部材40は、圧縮された構造になるようにシャフト20内に配置することができる。他の態様では、減衰部材40は、空隙24を横切る寸法である自然な幅を有してよく、または減衰部材40は、空隙24を横切って延びる寸法よりわずかに小さな自然な幅を有してよい。空隙24内の減衰部材40の動きを制限するために、減衰部材40とシャフト20との間に接着層を形成することができ、またはシャフト20が、たとえば減衰部材40の各側で空隙24内に延びる様々な突起を形成することができる。
【0016】
図1の減衰部材40の位置は、第1の端部21と第2の端部22との間の距離の約2分の1として示されている。しかし、他の態様では、減衰部材40をシャフト20の他の領域に位置させることができる。同様に、減衰部材40の長さは、シャフト20の比較的小さな部分のみに沿って延びるように示されている。一般に、減衰部材40の長さと減衰部材40の幅との比は少なくとも5:1であるが、2:1から50:1の範囲であってもよい。図5A〜5Iを参照すると、減衰部材40は、シャフト20に沿った様々な位置に位置するように示されており、減衰部材40の様々な長さ・幅比が示されている。
【0017】
減衰部材40は、図1では中央に配置されるように示されているが、減衰部材40は、図5Aの構造では第2の端部22に隣接して位置している。同様に、減衰部材40は、図5Bの構造では、第1の端部21に隣接して位置している。図5Cを参照すると、減衰部材40は、シャフト20の長さの約2分の1である長さを有し、中央に配置されている。図5Dおよび5Eでは、減衰部材40は、やはりシャフト20の長さの約2分の1の長さを有するが、それぞれ第2の端部22および第1の端部21に隣接して配置されている。減衰部材40の長さをさらに長くしたものが図5Fの構造に示されており、減衰部材40はシャフト20の全長に沿って延びている。上記の議論は、単一の減衰部材40がシャフト20内に位置する態様を示している。図5Gおよび5Hを参照すると、2つおよび3つの減衰部材40がそれぞれ示されている。図5Gおよび5Hの減衰部材は同様の長さを有しているが、図5Iの減衰部材40は異なる長さを有している。図5Jを参照すると、減衰部材40は、減衰部材40を受ける外側突起25を含むシャフト20内に位置するように示されている。減衰部材40は、概ねシャフト20の直径よりも大きな直径またはサイズを有するように形成することができ、突起25を使用してシャフト20の長さに対する減衰部材40の位置を保持することができる。したがって、上記の議論は、シャフト20および減衰部材40の様々な考えられる構造および組合せが本発明の範囲内のものであることを示している。
【0018】
シャフト20は全長にわたって一定の厚さを持つ円筒形構造を有してよいが、シャフト20は、たとえば先細りまたは段状構造を有してもよい。すなわち、シャフト20の直径は、第1の端部21に対応する領域から第2の端部22に対応する領域まで小さくすることができる。シャフト20が先細りまたは段状構造を有する態様では、空隙24は、対応する構造を有してよい。したがって、減衰部材40は、それぞれ図6Aおよび6Bに示されているように、空隙24の形状に対応する先細りまたは段状構造を有してもよい。減衰部材40は、図6Cに示されているように、シャフト20の内面に接触する複数の突起を形成する波形構造を有してもよい。減衰部材40の様々な構造は、概ね丸形の構造を有している。しかし、図6Dに示されているように、選択された接着部位43の所で障壁41の互いに向かい合う側面を接着することによって、減衰部材40に比較的平坦な構造を加えることができる。減衰部材40は、図6Eに示されているように、端部が中央部よりも広い幅を有する構造を有してもよい。上述の様々な態様では、減衰部材40は単一のチャンバである。しかし、図6Fを参照すると、減衰部材40は、各チャンバ44a〜44cを互いに分離するように障壁41の互いに向かい合う側面を接着することによって形成された3つのチャンバ44a〜44cを有するように示されている。各チャンバ44a〜44c内の流体42の圧力は互いに異なっていてよい。たとえば、チャンバ44a〜44cが比較的低い圧力を有し、チャンバ44bが比較的高い圧力を有してよい。または、チャンバ44a〜44cが比較的高い圧力を有し、チャンバ44bが比較的低い圧力を有してよい。各チャンバ44a〜44c内の流体42が互いに異なる圧力を有してもよく、または互いに異なる流体42を使用してもよい。したがって、減衰部材40は、本発明の範囲内の様々な構造を有してよい。
【0019】
上述の障壁41を形成する材料は、流体42を実質的に浸透させない熱可塑性エラストマなどのポリマー材料であってよい。具体的には、障壁41に適した材料は、参照として本明細書に組み入れられる、Mitchellらへの米国特許第5,713,141号および第5,952,065号に開示されたように熱可塑性ポリウレタンとエチレン−ビニルアルコールコポリマーが交互に積み重ねられた層で形成された膜である。中央層がエチレン−ビニルアルコールコポリマーで形成され、中央層に隣接する2つの層が熱可塑性ポリウレタンで形成され、外側層が熱可塑性ポリウレタンおよびエチレンービニルアルコールコポリマーの粉砕再生材料で形成されたこの材料の変形態様を利用してもよい。他の適切な材料は、どちらも参照として本明細書に組み入れられるBonkらへの米国特許第6,082,025号および第6,127,026号に開示されたように気体障壁材料と弾性材料が交互に積み重ねられた層を含む可とう性のマイクロ層膜である。他の適切な熱可塑性弾性材料または膜には、ポリウレタン、ポリエステル、鋳造されるかまたは押出し成形されたエステル系ポリウレタン膜などのポリエステルポリウレタンが含まれる。他の適切な材料は、参照として本明細書に組み入れられるRudyらへの米国特許第4,183,156号および第4,219,945号に開示される。さらに、すべてがエステルまたはエーテル系であるDow Chemical Companyの製品であるPELLETHANE、BASF Corporationの製品であるELASTOLLIAN、B.F. Goodrich Companyの製品であるESTANEのような多数の熱可塑性ウレタンを使用することができる。ポリエステル、ポリエーテル、ポリカプロラクトン、およびポリカーボネートマイクロゲルをベースとする他の熱可塑性ウレタンを使用してよく、様々な窒素遮断材料を使用してもよい。他の適切な材料には、参照として本明細書に組み入れられるRudyへの米国特許第4,936,029号および第5,042,176号に開示されているように結晶材料を含む熱可塑性膜、ならびにやはり参照として本明細書に組み入れられるBonkらへの米国特許第6,013,340号、第6,203,868号、および第6,321,465号に開示されているようにポリエステルポリオールを含むポリウレタンが含まれる。流体42は、たとえばヘキサフルオロエタンや六フッ化硫黄など、参照として本明細書に組み入れられるRudyへの米国特許第4,340,626号に開示された気体のうちのどれかを含んでもよい。さらに、流体42は、加圧されたオクタフルオロプロパン、窒素、または空気を含んでよい。流体42の圧力は、たとえば、零のゲージ圧から1平方インチ当たり40ポンドまでの範囲であってよい。
【0020】
減衰部材40は、たとえば2膜技術、熱成形、吹込み成形、回転成形のような様々な製造技術によって製造することができる。減衰部材40用の特定の製造方法は、たとえば障壁41用に選択される材料や減衰部材40の所望の構造に依存してよい。
【0021】
2膜技術に関しては、弾性障壁41の2つの別々の層は、減衰部材40の全体的な形状を有するように形成される。各層は次いで、そのそれぞれの周囲に沿って接着されるかまたは少なくとも部分的に密封され、流体42を密閉する内部領域が形成される。減衰部材40はその後、流体圧力源に連結されたノズルまたは針を、障壁41に形成された注入口に挿入することによって、周囲圧力よりも高い圧力に加圧される。加圧後に、ノズルが取り外され、注入口が、たとえば溶接によって密封される。図6Dの構造に関しては、たとえば、障壁41の互いに向かい合う側面を所定の内部位置で接着する追加的な段階を実行することができる。同様に、減衰部材40全体を横切って延びる接着部を形成することによってチャンバ44a〜44cを分離することができる。従来熱成形と呼ばれているこの技術の変形態様では、正の圧力を有する流体が障壁41の各層間に塗布され、各層が型の輪郭にされる。さらに、障壁41と型との間の領域に真空を誘発させ、各層を型の輪郭に延伸させることができる。
【0022】
減衰部材40のような流体が充填されたチャンバを製造する他の製造技術は、液化された弾性材料が、減衰部材40の所望の全体的な形状および構造を有する型内に配置される吹込み成形プロセスによるものである。型は、加圧された空気を供給するための開口部をある位置に有している。加圧された空気は、液化された弾性材料を型の内面に押し付け、材料を型内で硬化させ、それによって減衰部材40を所望の構造を有するように形成する。回転成形は、液化された弾性材料が、減衰部材40の所望の全体的な形状および構造を有する型内に配置されるという点で吹込み成形と同様である。型は次いで回転させられ、遠心力によって、液化された弾性材料が型の内面に押し付けられる。
【0023】
減衰部材40は、製造後、ゴルフ・クラブ10内に配置される。特に、減衰部材40はシャフト20内に組み込まれる。たとえば、多くの黒鉛シャフトは、コア・ロッドの周りを炭素シート(すなわち、プリプレグ・シート)で覆い、次いで加熱して材料を硬化させることによって作製される。シートの数は、シャフトに関して指定された、たとえば硬度や、トルクや、重量を実現するように変化させることができる。ホウ素などの材料を組み込むことによってシャフトの強度を向上させるか、またはコア・ロッドの厚さもしくは形状を調整することによって、シャフトの仕様を変更することもできる。シャフトを硬化させた後、コア・ロッドを取り外し、ヘッドをシャフトに固定する。減衰部材40は、コア・ロッドが取り外された後で減衰部材40がシャフト20内に残るようにコア・ロッドの一部に置き換わる。または、コア・ロッドを取り外した後で減衰部材40をシャフト20内に配置することができる。したがって、減衰部材40は、製造中にシャフト20内に組み込んでも、製造後にシャフト20内に組み込んでもよい。さらに、減衰部材40を使用して既存のシャフトをシャフト内の振動を減衰させるように改造することができる。
【0024】
上述のシャフト20用の製造方法に代わる方法として、圧縮成形、またはシャフト20内に所望の形状の空隙を有する加圧されたブラダーがマンドレル上で伸ばされるブラダー成形によってシャフト20を形成することができる。シャフト20を形成する材料でブラダーの周りを覆い、ダイによって圧縮する。シャフト20が形成された後、加圧されたブラダー内の流体を排出し、ブラダーをシャフト20内の空隙から取り外す。これらの製造方法のいずれかをシャフト20に利用することができるが、他の様々な製造方法を利用してもよい。
【0025】
上記では、減衰部材40を、流体が充填されたチャンバの構造を有するものとして説明した。しかし、減衰部材40を、ポリウレタンやエチルビニルアセテートなどのポリマー発泡体材料で形成された減衰部材50と交換することができる。さらに、比重が0.5g/cm3から0.7g/cm3であり、Asker Cスケール上の硬度が70から76である微孔性発泡体を利用することができる。減衰部材40と異なり、減衰部材50は、流体を密閉する内部体積を含まない固体構造を有してよい。しかし、減衰部材50の全体的な形状は、減衰部材40の全体的な形状と類似していてよい。たとえば、減衰部材50は、それぞれ図7Aおよび7Bに示されているように先細りまたは段状構造を有してよい。減衰部材50は、図7Cに示されているように、シャフト20の内面に接触する複数の突起を形成する波形構造を有してもよい。図7Dに示されているように、減衰部材50に比較的平坦な構造を加えることができる。減衰部材50は、図7Eに示されているように、端部が中央部よりも大きな幅を有する構造を有してもよい。上述の様々な態様では、減衰部材50は単一の発泡体で形成される。しかし、図7Fを参照すると、減衰部材50は、それぞれの異なる密度を有するポリマー発泡体材料で形成された3つの領域54a〜54cを有するように示されている。たとえば、領域54a〜54cが比較的低い密度を有し、領域54bが比較的高い密度を有してよい。または、たとえば、領域54a〜54cが比較的高い密度を有し、領域54bが比較的低い密度を有してよい。各領域54a〜54cはそれぞれの異なる密度を有してもよい。減衰部材50は、図7Gに示されているように概ね円筒形の構造を有してもよく、また減衰部材は、図7Hに示されているように複数の円形フィンを含む全体的な構造を有してもよい。したがって、減衰部材50は、本発明の範囲内の様々な構造を有してよい。
【0026】
ゴルフ・クラブ10、特にシャフト20がゴルフ・ボール(または地面)に当たった後で振動すると、減衰部材40(減衰部材50)は、振動に関連するエネルギーを吸収し、それによって振動を減衰させる。シャフト20に関連する減衰力がない場合、シャフト20は、ゴルフ・ボールに当たった後引き続き一定の振幅で振動する。しかし、調和運動の場合、様々な力が連続する各振動の振幅を低減させる(すなわち、力が動きを減衰させる)傾向がある。これらの力が、最初の変位から生じる復元力と比べて小さい場合、目標は、動きが徐々に終了するまで、振幅が徐々に小さくなるように比較的少ない回数だけ振動する。たとえば、ゴルフ・クラブの周りの空気に関連する摩擦力は、振動の振幅を確実に低減させる傾向がある。さらに、シャフトを握ると振動力の一部が吸収される。振動力の一部を吸収しても一般に問題はないが、振動力の一部を繰り返し吸収すると、プレーヤーの手または関節が影響を受ける。したがって、減衰部材40を使用して振動力を吸収すると共に、プレーヤーによって吸収される振動力の量を制限することができる。
【0027】
減衰状態の3つのグラフが図8〜10に示されている。各グラフでは、水平軸が時間(t)を表し、垂直軸が振動の振幅(a)を表している。さらに、各グラフは、シャフト20の振動を表す概ね正弦状の線を含んでいる。図8を参照すると、約20回の振動周期にわたって線の振幅が実質的に小さくなっていく。
同様の振幅の減少が図9で5回の振動周期にわたって生じている。したがって、図8および9のそれぞれによれば、減衰部材40は比較的少ない回数の振動周期にわたって振動の振幅を低減させるように働き、この状態は、従来減衰調和運動と呼ばれている。しかし、図10では、第1の振動周期で完全な減衰が生じており、この状態は従来過減衰調和運動と呼ばれている。
【0028】
シャフト20およびヘッド30の構造は、ゴルフ・クラブ10の全体的な減衰に影響を与える。主として減衰効果に責任を負っているのは減衰部材40(または減衰部材50)の構造である。すなわち、減衰部材40の特徴は、シャフト20が、たとえば図8、図9、または図10に示されているように振動するかどうかを決定する。上記の議論から減衰部材40の構造に関する多数の変形態様が得られる。たとえば、シャフト20に対する位置、減衰部材40の長さ、量、形状、および圧力はすべて、減衰部材40の減衰特性に影響を与える。同様に、減衰部材50の材料および形状は、減衰部材50の減衰特性に影響を与える。したがって、それぞれの異なる構造を有する減衰部材40または50を使用してシャフト20の振動特性を修正または調整することができる。
【0029】
減衰部材40(または減衰部材50)を使用してゴルフ・クラブ10の他の特性を修正することができる。減衰部材40は比較的小さな質量を有するが、減衰部材40は、ゴルフ・クラブ10の全体的な質量を増大させる。シャフト20に対する減衰部材40の位置に応じて、ゴルフ・スイング中のゴルフ・クラブ10の有効慣性が影響を受けることがある。たとえば、減衰部材40を第2の端部22(すなわち、隣接するヘッド30)に隣接して位置させた場合、ヘッド30を通じてゴルフ・ボールに伝達される慣性力を強くするこができる。しかし、減衰部材40を第1の端部21に隣接して位置させた場合、ヘッド30を通じてゴルフ・ボールに伝達される慣性力を弱くすることができる。シャフト20の曲げ特性または剛性も減衰部材40の存在および位置の影響を受けることがある。たとえば、減衰部材40をシャフト20の比較的可とう性の部分に位置させてシャフト20のその特定の領域の剛性を高めることができる。剛性は、障壁41の厚さおよび流体42の圧力の影響も受けることがある。したがって、これらの要素を、シャフト20の剛性を調整するように修正することができる。同様の考えを減衰部材50にも利用することができ、減衰部材50の位置および発泡体密度を使用してシャフト20の慣性力と剛性の両方を調整することができる。
【0030】
上記の議論は、ドライバーの構造を有するように示されているゴルフ・クラブ10に焦点を当てている。しかし、本発明に関する概念は、様々なゴルフ・クラブ形式に適用される。図11を参照すると、アイアンの構造を有するゴルフ・クラブ10'が示されている。ゴルフ・クラブ10'は、アイアン用の従来の構造を有してよいシャフト20'およびヘッド30'を含んでいる。さらに、ゴルフ・クラブ10'は、シャフト20'内に位置する減衰部材40'を含んでいる。減衰部材40'は、減衰部材40または減衰部材50の概略的な構造を有してよい。したがって、ゴルフ・クラブ10'の振動特性は、減衰部材40'の構造によって選択的に変更することができる。
【0031】
本発明は、上記および添付の図面において様々な態様に関して開示されている。しかし、開示によって実現される目的は、本発明に関する様々な特徴および概念の一例を示すことであり、本発明の範囲を制限することではない。当業者には、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲から逸脱せずに上述の態様に多数の変形および修正を加えられることが認識されよう。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明による減衰部材を含むシャフトを有するゴルフ・クラブの斜視図である。
【図2】シャフトの、減衰部材を露出させる部分の切欠き斜視図である。
【図3】図1の断面線3-3によって形成された、シャフトの断面図である。
【図4】減衰部材の側面図である。
【図5】本発明による複数のシャフト構造の側面図である。
【図6】本発明の範囲内の複数の減衰部材構造の平面図である。
【図7】本発明の範囲内の複数の他の減衰部材構造の平面図である。
【図8】図1に示されているゴルフ・クラブの振動特性の第1のグラフである。
【図9】図1に示されているゴルフ・クラブの振動特性の第2のグラフである。
【図10】図1に示されているゴルフ・クラブの振動特性の第3のグラフである。
【図11】本発明による減衰部材を含むシャフトを有する他のゴルフ・クラブの斜視図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を含むゴルフ・クラブ用の振動減衰部材:
ポリマー材料で形成された密封されたチャンバであって、チャンバの形状がゴルフ・クラブ内の空隙の形状に対応する密封されたチャンバ;および
チャンバ内に配置された加圧流体。
【請求項2】
ポリマー材料が、流体を実質的に浸透させない障壁を形成する、請求項1記載の減衰部材。
【請求項3】
流体が気体である、請求項2記載の減衰部材。
【請求項4】
ポリマー材料が熱可塑性エラストマである、請求項1記載の減衰部材。
【請求項5】
空隙がゴルフ・クラブのシャフト内に存在する、請求項1記載の減衰部材。
【請求項6】
チャンバが細長い構造を有する、請求項1記載の減衰部材。
【請求項7】
チャンバの長さとチャンバの幅との比が少なくとも5:1である、請求項6記載の減衰部材。
【請求項8】
チャンバが円筒形構造を有する、請求項1記載の減衰部材。
【請求項9】
チャンバが先細り構造を有する、請求項1記載の減衰部材。
【請求項10】
チャンバが段状構造を有する、請求項1記載の減衰部材。
【請求項11】
チャンバの互いに向かい合う側面が互いに接着される、請求項1記載の減衰部材。
【請求項12】
以下を含むゴルフ・クラブ:
内部の空隙を形成する中空の構造を有する細長いシャフト;
シャフトの端部に固定されたヘッド;および
空隙内に配置され、シャフト内の振動の振幅を低減させる構造を有する減衰部材。
【請求項13】
減衰部材が、加圧された流体を密閉するチャンバである、請求項12記載のゴルフ・クラブ。
【請求項14】
チャンバが、流体を実質的に浸透させないポリマー材料で形成される、請求項13記載のゴルフ・クラブ。
【請求項15】
ポリマー材料が熱可塑性エラストマである、請求項14記載のゴルフ・クラブ。
【請求項16】
流体が気体である、請求項13記載のゴルフ・クラブ。
【請求項17】
減衰部材がポリマー発泡体材料で形成される、請求項12記載のゴルフ・クラブ。
【請求項18】
ポリマー発泡体材料が、シャフトの、内部の空隙を形成する表面に接触する、複数の突起を形成する、請求項17記載のゴルフ・クラブ。
【請求項19】
ポリマー発泡体が、エチルビニルアセテートおよびポリウレタン発泡体からなる群より選択される、請求項17記載のゴルフ・クラブ。
【請求項20】
減衰部材の形状がシャフト内の空隙の形状に対応する、請求項12記載のゴルフ・クラブ。
【請求項21】
減衰部材が、細長い構造を有する、請求項12記載のゴルフ・クラブ。
【請求項22】
減衰部材の長さと減衰部材の幅との比が少なくとも5:1である、請求項21記載のゴルフ・クラブ。
【請求項23】
シャフトが外部突起を含み、減衰部材が突起内に位置する、請求項21記載のゴルフ・クラブ。
【請求項24】
以下の段階を含む、ゴルフ・クラブの振動特性を修正する方法:
減衰部材用の形状を選択する段階;
ゴルフ・クラブのシャフトに対する減衰部材の位置を選択する段階;および
減衰部材をシャフト内に配置する段階。
【請求項25】
流体を密閉する密封された障壁を組み込んだ減衰部材を形成する段階をさらに含む、請求項24記載の方法。
【請求項26】
流体を実質的に浸透させない熱可塑性エラストマになるように、障壁を選択する段階をさらに含む、請求項25記載の方法。
【請求項27】
流体用の圧力を選択する段階をさらに含む、請求項25記載の方法。
【請求項28】
気体になるように流体を選択する段階をさらに含む、請求項25記載の方法。
【請求項29】
ポリマー発泡体構造を組み込むように、減衰部材を形成する段階をさらに含む、請求項24記載の方法。
【請求項30】
ポリマー発泡体を、エチルビニルアセテートおよびポリウレタン発泡体からなる群より選択する段階をさらに含む、請求項29記載の方法。
【請求項31】
シャフトに外部突起を形成する段階をさらに含み、配置段階が、減衰部材を突起内に位置させる段階を含む、請求項24記載の方法。
【請求項32】
以下の段階を含む、ゴルフ・クラブを製造する方法:
シャフトの内部に空隙を形成するシャフトを形成する段階;
空隙内に減衰部材を配置する段階;および
シャフトの端部にヘッドを固定する段階。
【請求項33】
配置段階が、加圧された流体を密閉する密封されたチャンバになるように、減衰部材を形成する段階を含む、請求項32記載の方法。
【請求項34】
配置段階が、減衰部材をポリマー発泡体材料から形成する段階を含む、請求項32記載の方法。
【請求項35】
形成段階がシャフトに外部突起を形成する段階を含み、かつ配置段階が減衰部材を突起内に位置させる段階を含む、請求項32記載の方法。
【請求項1】
以下を含むゴルフ・クラブ用の振動減衰部材:
ポリマー材料で形成された密封されたチャンバであって、チャンバの形状がゴルフ・クラブ内の空隙の形状に対応する密封されたチャンバ;および
チャンバ内に配置された加圧流体。
【請求項2】
ポリマー材料が、流体を実質的に浸透させない障壁を形成する、請求項1記載の減衰部材。
【請求項3】
流体が気体である、請求項2記載の減衰部材。
【請求項4】
ポリマー材料が熱可塑性エラストマである、請求項1記載の減衰部材。
【請求項5】
空隙がゴルフ・クラブのシャフト内に存在する、請求項1記載の減衰部材。
【請求項6】
チャンバが細長い構造を有する、請求項1記載の減衰部材。
【請求項7】
チャンバの長さとチャンバの幅との比が少なくとも5:1である、請求項6記載の減衰部材。
【請求項8】
チャンバが円筒形構造を有する、請求項1記載の減衰部材。
【請求項9】
チャンバが先細り構造を有する、請求項1記載の減衰部材。
【請求項10】
チャンバが段状構造を有する、請求項1記載の減衰部材。
【請求項11】
チャンバの互いに向かい合う側面が互いに接着される、請求項1記載の減衰部材。
【請求項12】
以下を含むゴルフ・クラブ:
内部の空隙を形成する中空の構造を有する細長いシャフト;
シャフトの端部に固定されたヘッド;および
空隙内に配置され、シャフト内の振動の振幅を低減させる構造を有する減衰部材。
【請求項13】
減衰部材が、加圧された流体を密閉するチャンバである、請求項12記載のゴルフ・クラブ。
【請求項14】
チャンバが、流体を実質的に浸透させないポリマー材料で形成される、請求項13記載のゴルフ・クラブ。
【請求項15】
ポリマー材料が熱可塑性エラストマである、請求項14記載のゴルフ・クラブ。
【請求項16】
流体が気体である、請求項13記載のゴルフ・クラブ。
【請求項17】
減衰部材がポリマー発泡体材料で形成される、請求項12記載のゴルフ・クラブ。
【請求項18】
ポリマー発泡体材料が、シャフトの、内部の空隙を形成する表面に接触する、複数の突起を形成する、請求項17記載のゴルフ・クラブ。
【請求項19】
ポリマー発泡体が、エチルビニルアセテートおよびポリウレタン発泡体からなる群より選択される、請求項17記載のゴルフ・クラブ。
【請求項20】
減衰部材の形状がシャフト内の空隙の形状に対応する、請求項12記載のゴルフ・クラブ。
【請求項21】
減衰部材が、細長い構造を有する、請求項12記載のゴルフ・クラブ。
【請求項22】
減衰部材の長さと減衰部材の幅との比が少なくとも5:1である、請求項21記載のゴルフ・クラブ。
【請求項23】
シャフトが外部突起を含み、減衰部材が突起内に位置する、請求項21記載のゴルフ・クラブ。
【請求項24】
以下の段階を含む、ゴルフ・クラブの振動特性を修正する方法:
減衰部材用の形状を選択する段階;
ゴルフ・クラブのシャフトに対する減衰部材の位置を選択する段階;および
減衰部材をシャフト内に配置する段階。
【請求項25】
流体を密閉する密封された障壁を組み込んだ減衰部材を形成する段階をさらに含む、請求項24記載の方法。
【請求項26】
流体を実質的に浸透させない熱可塑性エラストマになるように、障壁を選択する段階をさらに含む、請求項25記載の方法。
【請求項27】
流体用の圧力を選択する段階をさらに含む、請求項25記載の方法。
【請求項28】
気体になるように流体を選択する段階をさらに含む、請求項25記載の方法。
【請求項29】
ポリマー発泡体構造を組み込むように、減衰部材を形成する段階をさらに含む、請求項24記載の方法。
【請求項30】
ポリマー発泡体を、エチルビニルアセテートおよびポリウレタン発泡体からなる群より選択する段階をさらに含む、請求項29記載の方法。
【請求項31】
シャフトに外部突起を形成する段階をさらに含み、配置段階が、減衰部材を突起内に位置させる段階を含む、請求項24記載の方法。
【請求項32】
以下の段階を含む、ゴルフ・クラブを製造する方法:
シャフトの内部に空隙を形成するシャフトを形成する段階;
空隙内に減衰部材を配置する段階;および
シャフトの端部にヘッドを固定する段階。
【請求項33】
配置段階が、加圧された流体を密閉する密封されたチャンバになるように、減衰部材を形成する段階を含む、請求項32記載の方法。
【請求項34】
配置段階が、減衰部材をポリマー発泡体材料から形成する段階を含む、請求項32記載の方法。
【請求項35】
形成段階がシャフトに外部突起を形成する段階を含み、かつ配置段階が減衰部材を突起内に位置させる段階を含む、請求項32記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図5E】
【図5F】
【図5G】
【図5H】
【図5I】
【図5J】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図7E】
【図7F】
【図7G】
【図7H】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図5E】
【図5F】
【図5G】
【図5H】
【図5I】
【図5J】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図7E】
【図7F】
【図7G】
【図7H】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−46498(P2010−46498A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−223876(P2009−223876)
【出願日】平成21年9月29日(2009.9.29)
【分割の表示】特願2006−545684(P2006−545684)の分割
【原出願日】平成16年12月15日(2004.12.15)
【出願人】(505087849)ナイキ インコーポレーティッド (123)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月29日(2009.9.29)
【分割の表示】特願2006−545684(P2006−545684)の分割
【原出願日】平成16年12月15日(2004.12.15)
【出願人】(505087849)ナイキ インコーポレーティッド (123)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]