説明

温熱治療用具

【課題】艾の有効成分を皮膚からより多く吸収させるために、皮膚を這うように煙を出させる。ベース部分から伝わる温熱を緩和に皮膚へ伝えると共にベース部分に含まれる有効成分をより多く皮膚へ吸収させる。
【解決手段】任意の形状に形成した艾部分の底面から頂点へ空洞部分を作り、頂点から点火し燃焼させた場合、底面部から煙が押し出され皮膚上を這うように流れていき皮膚へ付着する。艾の燃焼と共にベース部分の温度が徐々に上昇し皮膚へ伝達され、皮膚表面の毛細血管が拡張され皮膚を透してベース部分の有効成分が身体に吸収されていく。ベースのみを皮膚上に置き、艾以外の温熱を与える方法であっても同様に、ベース部分の有効成分は身体内に吸収される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、煙が皮膚の上を這い有効油分成分(チネオール)を皮膚表面に付着させ、皮膚からの吸収をより多く行わせ、また、艾の温灸の熱が緩和に皮膚に伝わり、ベースに含まれる成分を皮膚から吸収し易いようにしたものである。
【特許文献1】特開2000−254205号公報
【特許文献2】特開10−211251号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
解決しようとする課題は、現在までの隔物灸として行われて来ている温熱治療は、生姜、ニンニクなどをスライスし、皮膚の上に置きその上に円錐形や円柱形・球形の艾を乗せ燃焼させるものである。隔物灸をする際、ショウガ・ニンニクのスライスか塩・ビワの葉などの上に艾を乗せて施灸していた。この場合、固形物であるため、ある程度の温度にならないと温熱が隔物へ蓄積されず、蓄積されたとたんに熱が皮膚への伝わり、皮膚面の温度上昇が急であり、隔物に含まれる成分の皮膚吸収も十分ではなかった。また、隔物の上に載せた艾の煙は上昇するのみで、艾の効果成分であるチネオールは、ほとんど身体に触れることはない。また、生姜やニンニクのスライスを身体に乗せるため、身体の平らな面の上面のみに施灸部分が限られている。
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明は隔物灸や温熱治療をする際に、艾の煙が皮膚上に這うように排出されることと、ベースに柔軟性、粘性があり温灸も安定し皮膚にも密着し易く、体側面に施灸した場合でも落下しづらく、ベースの温度が上昇すると共にベースに含まれる有効成分が温熱により皮膚へ浸透すると共に、皮膚への温熱の伝達が緩和であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0004】
本発明の艾部分は、任意の大きさ、形に形成した艾の底面より先端に近い部分までの中央部を空洞にする事により、形成された艾の先端部より点火すると燃焼することにより空洞部より皮膚に向け煙が押し出され、皮膚の上を煙が這う結果となり、煙に含まれる有効成分が皮膚に付着する。ベースは、生姜など任意の身体に有効な成分やエキスまたは細粒をゼラチン・寒天などの軟性凝固剤で固め、任意の形状にした物であるため、温熱の伝達が低温域より皮膚へ感じさせることが出来、火傷を起こすほどの高温になる前に、温熱によりベース内部の成分が皮膚へ浸透し易い事と、柔軟性、粘性があるため体側面への温灸も可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
艾部分は、円錐形の型に艾を入れ圧し固め、底面より先端の鋭利な円錐形の物で圧し空洞部を作る。これを型から取り出し作製する。ベース部分は、ゼラチンなどを溶かした水溶液に生姜などの任意の有効成分やエキス、細粒を混入し、平らな円錐形の型などに入れ凝固させる。凝固した後型から取りだし作製する。
【実施例1】
【0006】
身体の随意のつぼへ施灸する際には、ベースをつぼ上へ置き、皮膚へ密着させる。ベースの上へ温灸(艾)を載せ安定させる。艾部の頂点部へ点火し、燃焼が進むにつれて温灸部の底部より煙が皮膚表面へ這うように流出し皮膚へ付着する。燃焼が進み温灸ベースの温度が徐々に上昇し、熱感が強くなる前に艾部分を除去する。その後、ベースを除去すると、皮膚上のベース部分が程良く発赤しており、その周囲は艾の煙成分が皮膚へ付着している。皮膚上の発赤は皮膚毛細血管が拡張されるため起こるもので、温灸ベース中の成分が毛細血管より体内へ吸収されていくこととなる。また、煙中の成分(チネオール)は皮膚表面に付着しているためそのままにするか、皮膚を軽擦することにより、皮膚より吸収させることが可能である。
【実施例2】
【0007】
ベースを皮膚上に密着させ、近赤外線レーザー光線などの波長や超音波で温度を上昇させても、同様に皮膚上に発赤が起こり毛細血管の拡張が起こって、ベース中の成分が吸収され易くなっている。
【実施例3】
【0008】
体側面や上肢下肢へ使用した場合、ベースは平らな円錐形の物を使用した。はがれ落ちることなく、艾を燃焼させていても艾も落下することなく燃焼し、煙は皮膚上を這い皮膚へ付着し、ベースを密着させていた部分は、温熱の上昇は穏やかでありながら十分な熱感があり、ほんのりと発赤しベースの有効成分の吸収が達成できた。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の円錐形にした場合の艾部分の断面図である。
【図2】本発明の円錐形にした場合の艾部分の上面図である。
【図3】本発明の円錐形にした場合の艾部分の側面図である。
【図4】本発明の円錐形にした場合の艾部分の底面図である。
【図5】本発明の使用例の斜視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
任意の大きさの、任意の形状に形成した艾の底面から先端に近い部分までの中央部を空洞にする事により、形成された艾の先端部より点火すると燃焼することにより空洞部から底面へ煙が流出し、皮膚に向け煙が押し出され、皮膚の上を煙が這う結果となり、煙に含まれる有効成分が皮膚に付着する。付着した煙の中の有効成分は皮膚より浸透し身体に効果を与えるものである。
【請求項2】
生姜など任意の身体に対しての有効成分やエキスまたは細粒をゼラチン・寒天などの軟性に固まる凝固剤で固め、任意の形状にした物をベースとして、物質の燃焼による温度上昇か、温熱を発生できる波長の光や超音波等を利用し、ベースの温度を上昇させ身体に有効成分を浸透させるものである。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−345878(P2006−345878A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−171784(P2005−171784)
【出願日】平成17年6月13日(2005.6.13)
【出願人】(302009110)有限会社一二三館 (2)
【Fターム(参考)】