説明

温風暖房機

【課題】 小型化しても機器本体の外装体の側面の過熱や温風吹出口での高温の温風の集中吹き出しを防止できる温風暖房機を提供する。
【解決手段】 送風ボックスの側面部と燃焼筒との間の隙間で温風暖房機本体の側面板に隣接する側に邪魔板を設けると共に、燃焼筒の略正面上方で邪魔板と反対側に燃焼筒の一部を切り欠いて低くなっている切り欠き部を形成したので、邪魔板を設けた側が反対側より負圧となって燃焼筒から吹き出す高温の燃焼ガスが邪魔板を設けた側に引っ張られ、更に多くの高温の燃焼ガスが燃焼筒上方の開口部分から吹き出さずに切り欠き部から横方向に吹き出すので、その切り欠き部から吹き出した高温の燃焼ガスが邪魔板を設けた側に引っ張られ、反対側の送風ボックスの側面部が過熱されるのを防止できると共に、送風ボックス正面から吹き出す温風が幅も広くなり、高温の温風が集中して吹き出すのを防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、灯油等の燃料の燃焼によって発生する燃焼ガスと送風用空気を混合して温風として送風することで暖房を行う温風暖房機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来よりこの種の温風暖房機に於いては、図8に示すように101は温風暖房機本体で、102は温風を案内するルーバ103が取り付けられた温風吹出口、104は背面の温風取入口105にファンガード106を介して取り付けられた対流ファン、107は前記温風取入口105と温風吹出口102とを連通する送風ボックス、108は前記送風ボックス107内にバーナヘッド109を突出して設けられたバーナ部、110は前記バーナヘッド109を囲堯して燃焼空間を形成する燃焼筒、111は前記送風ボックス7内で前記燃焼筒110の真上に配設された遮熱板で、前記バーナ部108は燃焼筒基板112の底部に固定されていると共にそのバーナヘッド109は燃焼筒基板112の上面に突出し、その突出したバーナヘッド109を囲堯するように燃焼筒110が燃焼筒基板112の上面に固定されているものである。
【0003】
又前記機器本体101の外装体は、前面を覆う前パネル113と、上面を覆う上面板114と、側面及び背面を覆う背面板115とを置き台116の上に固定して構成されている。
【0004】
次に117は燃焼用空気を送風管118を介してバーナ部108へ送風する燃焼ファンで、カートリッジ式タンク(図示せず)からの燃料を一時的に溜め置く固定タンク(図示せず)内の燃料を、電磁ポンプにて送油管(図示せず)及び送油ノズル(図示せず)を介してバーナ部108へ圧送して気化させ、その気化ガスと燃焼ファン117からの燃焼用空気を混合させた後、その混合気を燃焼するものである。
【0005】
ところで従来の温風暖房機に於いては、燃焼筒110の直径に対して燃焼筒基板112や送風ボックス107の寸法が大きく、燃焼筒110から送風ボックス107の側面までの距離が充分あるので、その燃焼筒110から送風ボックス107の側面までの間を対流ファン104からの送風空気が充分に通り抜け、送風ボックス107の側面を過熱することがなかった。
【0006】
又送風ボックス107の側面と機器本体101の外装体の側面との間隔も広かったので、機器本体101の外装体の側面が過熱されることがなかった。
【0007】
又送風ボックス107の寸法が大きいことにより、送風ボックス107から吹き出す温風の幅も広く、温風が機器本体101の温風吹出口102から機器本体101外に吹き出す時も、温風の温度の偏りがない状態で温風吹出口102の幅に広がって温風が吹き出していた。
【0008】
ところで温風暖房機を小型化すると、機器本体101が小さくなるほど送風ボックス107も小さくなり、そのため燃焼筒110から送風ボックス107の側面までの距離が短くなり、それにより燃焼筒110からの熱が送風ボックス107の側面に伝わりやすくなると共に、燃焼筒110から送風ボックス107の側面までの間を対流ファン104からの送風空気が通り抜けにくくなるため、送風ボックス107の側面が過熱される課題があった。
【0009】
又温風暖房機を小型化することで、送風ボックス107の側面と機器本体101の外装体の側面との間隔も狭くなるので、機器本体101の外装体の側面が送風ボックス107からの熱で過熱され、又送風ボックス107が小さくなることで送風ボックス107から吹き出す温風の幅が短くなり、温風が機器本体101の温風吹出口102から機器本体101外に吹き出す時、温風吹出口102で送風ボックス107の中心付近に位置する部分に高温の温風が集中して吹き出す課題があった。
【0010】
又温風暖房機を小型化することで、燃焼筒110内の二次火炎が燃焼筒110の出口付近まで伸びて二次火炎の急激な冷却により二酸化窒素が大量に発生してしまう課題があった。
【0011】
そこで燃焼筒の出口部分において対流ファンの旋回方向に対してその起風側に燃焼筒の出口部分よりも上方に突出する防風壁を設けたものがある。
【0012】
【特許文献1】特開平04−155152号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかし、この従来のものでは、二次火炎の急激な冷却を防止して二酸化窒素が大量に発生してしまうのを防止する効果はあるが、温風暖房機を小型化することによる送風ボックス107の側面の過熱や機器本体101の外装体の側面の過熱、温風吹出口102での高温の温風の集中吹き出し等の課題は解決できていなかった。
【課題を解決するための手段】
【0014】
そこで、本発明は前記課題を解決するため、請求項1では、気化した燃料と空気とを混合し、該混合気を上部のバーナヘッドにて燃焼させるバーナ部と、前記バーナ部のバーナヘッドが上面に突出するようにバーナ部を取り付けた燃焼筒基板と、上面に突出したバーナヘッドを覆うように燃焼筒基板の上面に設けられた筒状の燃焼筒と、該燃焼筒を覆うように燃焼筒基板に取り付けられる送風ボックスカバー部とからなり、正面には送風流出部が開口され、背面には送風流入部が開口された送風ボックスを温風暖房機本体内に内蔵し、該送風ボックスの背面に設けた対流ファンからの送風空気と燃焼筒からの燃焼ガスを混合して温風として吹き出す温風暖房機に於いて、前記送風ボックスの側面部と燃焼筒との間の隙間で温風暖房機本体の側面板に隣接する側に邪魔板を設けると共に、前記燃焼筒の略正面上方で邪魔板と反対側に燃焼筒の一部を切り欠いて低くなっている切り欠き部を形成したものである。
【0015】
又請求項2に係る温風暖房機では、特にその構成を、請求項1に於いて、前記燃焼筒上方の開口部分の一部を塞ぐ蓋状部と、該蓋状部の端から燃焼筒の後方に向かって斜めに切り上がりっている切り上がり部とからなり、該切り上がり部の邪魔板の反対側には邪魔板側よりも高くした突出部を設けた蓋部を燃焼筒の上方の開口部分に設けたものである。
【0016】
又請求項3に係る温風暖房機では、特にその構成を、請求項2に於いて、前記燃焼筒基板の正面側で、燃焼筒の切り欠き部の手前の位置に板状の整流板を設けたものである。
【発明の効果】
【0017】
この発明の請求項1によれば、送風ボックスの側面部と燃焼筒との間の隙間で温風暖房機本体の側面板に隣接する側に邪魔板を設けることで、送風ボックス後方の対流ファンからの送風が邪魔板を設けた側が反対側より通過しにくくなり、それにより邪魔板を設けた側が負圧となって燃焼筒から吹き出す高温の燃焼ガスが邪魔板を設けた側に引っ張られ、反対側の送風ボックスの側面部が過熱されるのを防止できると共に、送風ボックス正面から吹き出す温風が幅も広くなり、高温の温風が集中して吹き出すのを防止できるものである。
【0018】
更に前記燃焼筒の略正面上方で邪魔板と反対側に燃焼筒の一部を切り欠いて低くなっている切り欠き部を形成したことで、高温の燃焼ガスの多くが燃焼筒上方の開口部分から吹き出す前に切り欠き部に向かって流れ、切り欠き部から燃焼筒の横方向に吹き出し、それにより高温の燃焼ガスの多くが邪魔板を設けた側に引っ張られ、反対側の送風ボックスの側面部が過熱されるのを防止できると共に、送風ボックス正面から吹き出す温風が幅も広くなり、高温の温風が集中して吹き出すのを防止できるものである。
【0019】
又本発明の請求項2に記載の温風暖房機によれば、請求項1に於いて、燃焼筒上方の開口部分の一部を塞ぐ蓋状部と、該蓋状部の端から燃焼筒の後方に向かって斜めに切り上がりっている切り上がり部とからなり、該切り上がり部の邪魔板の反対側には邪魔板側よりも高くした突出部を設けた蓋部を燃焼筒の上方の開口部分に設けたことで、単に燃焼筒に切り欠き部を設けるよりも、蓋状部により燃焼筒上方の開口部分に燃焼ガスが吹き出すのを規制しつつ、突出部を設けた切り上がり部により燃焼ガスのより多くが切り欠き部に案内されるので、高温の燃焼ガスのより多くが邪魔板を設けた側に引っ張られ、反対側の送風ボックスの側面部が過熱されるのをより防止できると共に、送風ボックス正面から吹き出す温風が幅もより広くなり、高温の温風が集中して吹き出すのを防止できるものである。
【0020】
又本発明の請求項3に記載の温風暖房機によれば、請求項2に於いて、燃焼筒基板の正面側で、燃焼筒の切り欠き部の手前の位置に板状の整流板を設けたことで、切り欠き部から燃焼筒の横方向に吹き出した燃焼ガスが切り欠き部側の送風ボックスの側面部に吹き出すのを規制して燃焼ガスを邪魔板側に案内すると共に、送風ボックス背面から正面に向かって流れる対流ファンからの送風が切り欠き部側の送風ボックスの側面部と燃焼筒との間をスムーズに流れるようになり、それにより切り欠き部側の送風ボックスの側面部が過熱されず、切り欠き部側の送風ボックスに接近している温風暖房機本体の外装体の側面が過熱されるのを防止できると共に、送風ボックス正面から吹き出す温風が幅も広くなり、高温の温風が集中して吹き出すのを防止できるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
次に、本発明に係る発明の一実施例を図面に基づいて説明する。
1は温風暖房機本体で、2は前面上部に備えられた操作部、3は温風を案内するルーバ4が取り付けられた温風吹出口、5は背面の温風取入口6にファンガード7を介して取り付けられた対流ファン、8は前記温風取入口6と温風吹出口3とを連通する送風ボックス、9は前記送風ボックス8内にバーナヘッド10を突出して設けられたバーナ部、11は前記バーナヘッド10を囲堯して燃焼空間を形成する燃焼筒、12は前記送風ボックス8内で前記燃焼筒11の真上に配設された遮熱板で、前記バーナ部9と燃焼筒11は燃焼筒基板13に取り付けられ、そのバーナ部9と燃焼筒11が取り付けられた燃焼筒基板13が送風ボックス8に取り付けられるものである。
【0022】
前記機器本体1の外装体は、前面を覆う前パネル14と、上面を覆う上面板15と、側面及び背面を覆う背面板16とを置き台17の上に固定して構成されている。
【0023】
次に18は灯油などの液体燃料を供給するカートリッジ式タンク、19はこのカートリッジ式タンク18からの燃料を一時的に溜め置く固定タンク、20は固定タンク19内の燃料を送油管21介してバーナ部9へ圧送する電磁ポンプ、22は燃焼用空気を送風管23を介して送風する燃焼ファンである。
【0024】
次に送風ボックス8の構造について説明する。
前記送風ボックス8は、バーナ部9と燃焼筒11が取り付けられた燃焼筒基板13に、左右の側面部24、25と天板部26からなる断面コの字状ので送風ボックスカバー部27が取り付けられたもので、送風ボックス8の正面と背面は開口されていて、背面には温風取入口6からの送風が流入する送風流入部28、正面には温風吹出口3へ温風を流出する送風流出部29が形成されている。
【0025】
又前記燃焼筒11の正面左側に燃焼筒11の一部を切り欠いて低くなっている切り欠き部30が形成され、該切り欠き部30には燃焼筒11上方の燃焼ガス吹き出し口31の約半分を塞ぐ蓋部32が取り付けられている。
【0026】
前記蓋部32は燃焼筒11の手前約三分の一を完全に塞ぐ蓋状部33と、該蓋状部33の端から燃焼筒11の後方に向かって斜めに切り上がっている切り上がり部34とからなり、該切り上がり部34は正面左側約半分が高い突出部35を形成しているものである。
【0027】
又前記燃焼筒基板13には、燃焼筒11正面より手前で燃焼筒11の中心と送風ボックスカバー部27の正面左側の側面部24との略中間の位置に板状の整流板36が送風ボックス8の送風流入部28から送風流出部29方向に設けられているものである。
【0028】
又送風ボックスカバー部27の正面右側の側面部25には、バーナ部9と燃焼筒11が取り付けられた燃焼筒基板13を取り付けた時に、燃焼筒11の正面から見て右側後方の開口部分の一部を塞ぐように邪魔板37が設けられ、該邪魔板37は燃焼筒11と接触しないように上方に行くにしたがって燃焼筒11の左後方部分に近づくように斜めに設けられていると共に、上方に行くにしたがって幅が短くなっており、略直角三角形状の形状をしているものである。
【0029】
次に暖房運転時の燃焼状態について説明する。
バーナ部9で電磁ポンプ20から圧送された燃料が気化すると共に、その気化ガスに燃焼ファン22からの燃焼用空気が混合して混合気となり、その混合気がバーナヘッド10から吹き出し、この吹き出した混合気を着火することによりバーナヘッド10にて炎が発生して混合気が燃焼する。
【0030】
燃焼ガスは燃焼筒11上方に向かって流れるが、その燃焼ガスの多くが燃焼筒11上方に吹き出す前に、蓋部32の切り上がり部34の右側の低い部分から切り欠き部30に向かって流れ、切り欠き部30から燃焼筒11の横方向に吹き出すものである。
【0031】
そして燃焼筒11の正面から見て右側後方の開口部分の一部を塞ぐように設けられた邪魔板37により、送風ボックス8背面から正面に向かって流れる対流ファン5からの送風が、送風ボックス8正面から見て右側が左側より少なくなるので送風ボックス8正面から見て右側が左側より負圧となり、切り欠き部30から燃焼筒11の横方向に吹き出した燃焼ガスは、送風ボックス8正面から見て右側から左側に向かって引っ張られるもので、それにより送風ボックスカバー部27の正面左側の側面部24が切り欠き部30から燃焼筒11の横方向に吹き出す燃焼ガスにより過熱されず、又送風ボックス8正面から吹き出す温風が幅も広くなり、中心付近に高温の温風が集中するのを防止できるものである。
【0032】
更に燃焼筒基板13で燃焼筒11正面より手前で燃焼筒11の中心と送風ボックスカバー部27の正面左側の側面部24との略中間の位置に設けた板状の整流板36により、切り欠き部30から燃焼筒11の横方向に吹き出した燃焼ガスが送風ボックス8正面から見て左側に流れるのを規制して整流板36の右側、つまり送風ボックス8正面から見て右側により多く燃焼ガスを案内すると共に、送風ボックス8背面から正面に向かって流れる対流ファン5からの送風が送風ボックスカバー部27の正面左側の側面部24と燃焼筒11との間をスムーズに流れるようになり、それにより送風ボックスカバー部27の正面左側の側面部24が過熱されず、温風暖房機本体1の外装体の側面が過熱されるのを防止できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】この発明の一実施形態の概略斜視図。
【図2】同温風暖房機の概略断面図。
【図3】同前パネルを外した状態での正面図。
【図4】同送風ボックスの斜視図。
【図5】同送風ボックスの背面図。
【図6】同燃焼筒を取り付けた状態の燃焼筒基板の斜視図。
【図7】同接燃焼筒を取り付けた状態の燃焼筒基板の平面図。
【図8】従来温風暖房機の概略断面図。
【符号の説明】
【0034】
1 温風暖房機本体
5 対流ファン
8 送風ボックス
9 バーナ部
10 バーナヘッド
11 燃焼筒
13 燃焼筒基板
24、25 側面部
27 送風ボックスカバー部
28 送風流入部
29 送風流出部
30 切り欠き部
37 邪魔板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
気化した燃料と空気とを混合し、該混合気を上部のバーナヘッドにて燃焼させるバーナ部と、前記バーナ部のバーナヘッドが上面に突出するようにバーナ部を取り付けた燃焼筒基板と、上面に突出したバーナヘッドを覆うように燃焼筒基板の上面に設けられた筒状の燃焼筒と、該燃焼筒を覆うように燃焼筒基板に取り付けられる送風ボックスカバー部とからなり、正面には送風流出部が開口され、背面には送風流入部が開口された送風ボックスを温風暖房機本体内に内蔵し、該送風ボックスの背面に設けた対流ファンからの送風空気と燃焼筒からの燃焼ガスを混合して温風として吹き出す温風暖房機に於いて、前記送風ボックスの側面部と燃焼筒との間の隙間で温風暖房機本体の側面板に隣接する側に邪魔板を設けると共に、前記燃焼筒の略正面上方で邪魔板と反対側に燃焼筒の一部を切り欠いて低くなっている切り欠き部を形成したことを特徴とする温風暖房機。
【請求項2】
前記燃焼筒上方の開口部分の一部を塞ぐ蓋状部と、該蓋状部の端から燃焼筒の後方に向かって斜めに切り上がりっている切り上がり部とからなり、該切り上がり部の邪魔板の反対側には邪魔板側よりも高くした突出部を設けた蓋部を燃焼筒の上方の開口部分に設けたことを特徴とする請求項1記載の温風暖房機。
【請求項3】
前記燃焼筒基板の正面側で、燃焼筒の切り欠き部の手前の位置に板状の整流板を設けたことを特徴とする請求項2記載の温風暖房機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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