説明

測定装置および測定方法

【課題】ミラー面の傾きが変更可能に構成されたミラーシステムの偏向特性を短時間かつ高精度に測定することを目的とする。
【解決手段】ミラー面11に測定光28を照射する測定用光源14と、測定用光源14から照射された測定光28がミラー面11で反射することにより形成された反射光13が投射される投射部17と、反射光13が投射された投射部17を撮像する撮像部18とをそなえたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミラー面の傾きが変更可能に構成されたミラーシステムの特性を測定する測定方法に関し、特に、ミラー面から反射された反射光に基づくミラーシステムの偏向特性の測定に用いて好適な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば、光ファイバを用いた通信分野において、光ファイバ網を流れる光信号を別の光ファイバ網に切り換える場合等に、光信号の経路を光のまま切り換えることが可能な光スイッチが用いられている。この光スイッチとして、光信号を反射させることにより光信号の伝搬方向を変えるミラーをそなえ、このミラーのミラー面の偏向角度(傾き)を制御することで立体的に光信号の切り換えを実現するミラーシステムが一般的に用いられている。又、このミラーシステムは、光スイッチの他、ミラーをアレイ状に配置し、入射する光をミラーアレイによって走査する装置にも用いられている。
【0003】
ミラーシステムとしては、例えば、下記特許文献1の図5に示すような静電力を利用してミラー面の偏向角度を制御するMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)ミラーや、モータの軸にミラー面が取り付けられ、電磁力を利用してモータを駆動させることによりモータの軸に取り付けられたミラー面の偏向角度を制御するガルバノミラーが知られている。
【0004】
図16はMEMSミラーの構成例を模式的に示す図である。MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)ミラー70は、例えば、この図16に示すように、ミラー面71,内側フレーム72,外側フレーム73,第1トーションバー74,74および第2トーションバー75,75をそなえて構成されており、第1トーションバー74,74が、矩形状のミラー面71における対向する1対の辺の各中央位置において当該辺と直交するように、X軸方向に沿ってそれぞれ配置されている。又、MEMSミラー70においては、第2トーションバー75,75が、矩形状の内側フレーム72における対向する1対の辺の各中央位置において当該辺と直交するように、X軸方向に直交するY軸方向に沿ってそれぞれ配置されている。そして、ミラー面71は、X軸まわりに回動可能となるように第1トーションバー74,74を介して内側フレーム72に取り付けられており、更に、この内側フレーム72がミラー面71とともにY軸まわりに回動可能となるように第2トーションバー75,75を介して外側フレーム73に取り付けられている。
【0005】
また、MEMSミラー70には、電圧が入力されることによって静電力を発生させる駆動回路(図示省略)がそなえられており、この静電力に応じた第1トーションバー74,74または第2トーションバー75,75のねじれ作用により、ミラー面71の偏向角度を自在に変更することができるようになっている。
上述したMEMSミラー70等のミラーシステムは、電圧を入力することによって偏向角度が制御されるようになっており、入力電圧に対するミラーシステムの偏向特性(最大偏向角度,所定の電圧を入力した場合の偏向角度,入力電圧を所定の振動周波数により変化させた場合の偏向速度および共振点等)に個体差が生じる場合がある。例えば、同一構成の複数のミラーシステムに同一の電圧を入力した場合であっても、偏向角度や共振点が異なったり、電圧の入力に対する偏向速度が異なったりすることがあるので、製造時においてミラーシステムの偏向特性を個別に測定し、この測定結果に基づいてミラーシステムを動作させるための電圧設定値を補正する工程が必要である。
【0006】
一般に、ミラーシステムの偏向特性の測定は、ミラー面から反射される反射光(以下、単に反射光という)に基づいて行なわれ、従来の手法としては、PSD(Position Sensitive Device)素子を用いて反射光の強度や位置を測定する手法(PSD手法)や、レーザードップラー振動系を用いて反射光の干渉を測定する手法(レーザードップラー振動系手法)等が知られている。
【0007】
図17,図18は従来の測定装置の構成例を模式的に示す図である。PSD手法を用いた測定装置80は、例えば、図17に示すように、ミラー面71に測定光81を照射する測定用光源82と、測定用光源82から照射された測定光81がミラー面71で反射することにより形成された反射光83を受光するPSD素子84とをそなえて構成されており、PSD素子84が反射光83を受光することにより、反射光83の強度や、PSD素子84への入射位置等の測定結果を電圧(アナログ信号)としてコンピュータ等の評価装置(図示省略)に出力するようになっている。そして、ミラーシステムに対して入力された入力電圧(電圧値,振動周波数等)とPSD素子84における反射光の測定結果とに基づいてミラーシステムの偏向特性を評価するようになっている。
【特許文献1】特開2005−283932号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、例えば、ミラーシステムの製造時にかかる測定に際して、測定した結果を用いてミラーシステムの特性補正を動的に行なう場合があり、このような場合にはミラーシステムの偏向特性を短時間かつ正確に測定することが要求されている。
しかしながら、上述したPSD手法においては、PSD素子84が反射光83の位置情報をアナログ信号として出力するようになっているので、位置情報の信頼性(安定性)が低く、精度の高い測定が困難であるという課題がある。更に、例えば、図18に示すように、ミラーシステム70の外側に保護用のカバーガラス85が設けられている場合には、PSD素子84がミラー面71からの反射光83だけでなく、カバーガラス85の表面85aおよび裏面85bからの反射光86a,86b,86cも受光する場合もある。PSD素子84においては、このように同時に複数の入力光を受光した場合には正確に測定することができないという課題がある。
【0009】
また、ミラー面71が高速に振動(偏向)することに伴って反射光83が高速に移動する場合には、PSD素子84の応答性の制約により反射光83の移動量を正確に読み取ることができないという課題もある。
一方、レーザードップラー振動系手法を用いた場合においては、反射光83と反射光83を反射させた光との干渉を測定する必要があるので、測定機器の配置等の条件設定が煩雑であり、又、測定機器が高価であるという課題がある。
【0010】
本発明は、このような課題に鑑み創案されたもので、ミラー面の傾きが変更可能に構成されたミラーシステムの偏向特性を短時間かつ高精度に測定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の測定装置(請求項1)は、ミラー面の傾きが変更可能に構成されたミラーシステムの特性を測定する測定装置であって、該ミラー面に測定光を照射する測定用光源と、該測定用光源から照射された該測定光が該ミラー面で反射することにより形成された反射光が投射光点として投射される投射部と、該反射光が該投射光点として投射された該投射部を撮像する撮像部とをそなえたことを特徴としている。
【0012】
なお、該撮像部によって撮像された該投射部の画像に基づいて該ミラーシステムの特性を測定する測定部をそなえることが好ましい(請求項2)。
また、該撮像部が、該投射部における該反射光の投射面の反対側に配置され、該投射面の裏面を撮像することが好ましい(請求項3)。
さらに、該投射部は、該ミラー面からの該反射光の一部を透過させる拡散板であることが好ましい(請求項4)。
【0013】
そして、該投射部は、該反射光が該反射光の投射面に対して90°以外の入射角度で入射するように構成されることが好ましい(請求項5)。
なお、本発明の測定方法(請求項6)は、ミラー面の傾きが変更可能に構成されたミラーシステムの特性を測定する測定方法であって、該ミラー面に測定光を照射する照射ステップと、該照射ステップにおいて照射された該測定光が該ミラー面で反射することにより形成された反射光が投射光点として投射部の投射面に投射される投射ステップと、該投射ステップにおいて該反射光が該投射光点として投射された該投射面を撮像する撮像ステップとをそなえたことを特徴としている。
【0014】
また、該撮像ステップにおいて撮像された該投射部の画像に基づいて該ミラーシステムの特性を測定する測定ステップをそなえることが好ましい(請求項7)。
さらに、該撮像ステップにおいて、該投射部における該反射光の反対側から該投射面の裏面を撮像することが好ましい(請求項8)。
なお、該投射部が、該ミラー面からの該反射光の一部を透過させる拡散板であることが好ましい(請求項9)。
【0015】
また、該投射ステップにおいて、該反射光が該反射光の投射面に対して90°以外の入射角度で入射されることが好ましい(請求項10)。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、測定光がミラー面で反射することにより形成された反射光が投射部に投射光点として投射され、反射光が投射光点として投射された投射部を撮像するようになっているので、撮像された投射部の画像に基づいて2次元的にミラーシステムの特性(最大偏向角度,所定の電圧を入力した場合の偏向角度,入力電圧を所定の振動周波数により変化させた場合の偏向速度および共振点等)を測定することができる。更に、反射光が投射光点として投射された投射部を撮像するだけでミラーシステムの特性を測定することができるので、測定機器の配置等の煩雑な条件設定を行なうことなく短時間で測定することができる。従って、ミラーシステムの特性を短時間で容易かつ高精度に測定することができる(請求項1,2,6,7)。
【0017】
また、制御部によって制御されたミラー面で反射することにより形成された反射光に基づいてミラーシステムの偏向特性を測定することにより、制御部による制御情報とミラー面の傾きとに基づいてミラーシステムの特性をより正確に測定することができる。
さらに、投射部としてミラー面からの反射光の一部を透過させる拡散板を用い、撮像部を投射部における反射光の投射面の反対側に配置して、この投射面の裏面を撮像することにより、測定用に細く絞った状態で測定用光源から出力される測定光(高エネルギー密度光)が投射部で結像し、撮像部には直接入射しないので、撮像部が測定光によって損傷することがない(請求項3,4,8,9)。
【0018】
また、反射光が反射光の投射面に対して90°以外の入射角度で入射することにより、投射部に入射した反射光が投射面で反射し、この投射面で反射した反射光が、測定光やミラー面からの反射光に干渉等することがなく、これにより測定が不安定にならず、ミラーシステムの特性をより高精度に測定することができる(請求項5,10)。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
〔1〕本発明の一実施形態の説明
図1は本発明の一実施形態としての測定装置の構成例を模式的に示す図、図2はその測定対象であるMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)ミラーの構成例を模式的に示す斜視図、図3はその撮像部により撮像された画像の例を示す図である。
【0020】
本実施形態に係る測定装置10は、ミラー面11の偏向角度(傾き)が変更可能に構成されたMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)ミラー(ミラーシステム)12の偏向特性(最大偏向角度,所定の電圧を入力した場合の偏向角度,入力電圧を所定の振動周波数により変化させた場合の偏向速度および共振点等)を測定するための装置であって、図1に示すように、測定用光源14,測定光制御部15,ステージ16,投射スクリーン(投射部)17,撮像部18,撮像制御部19,画像処理部20,処理端末21および駆動波形発生部22をそなえて構成されている。
【0021】
ここで、MEMSミラー(被測定偏向ミラー)12は、例えば、ミラー面11の偏向角度(傾き)を制御することで立体的に光信号の切り換えを実現する光スイッチに用いるものである。例えば、図2に示すように、ミラー面11,内側フレーム23,外側フレーム24,第1トーションバー(回転軸)25,25および第2トーションバー(回転軸)26,26をそなえて構成されており、第1トーションバー25,25が、矩形状のミラー面11における対向する1対の辺の各中央位置において当該辺と直交するように、X軸方向にそれぞれ沿って配置されている。又、MEMSミラー12においては、第2トーションバー26,26が、矩形状の内側フレーム23における対向する1対の辺の各中央位置において当該辺と直交するように、X軸方向に直交するY軸方向に沿ってそれぞれ配置されている。そして、ミラー面11は、X軸まわりに回動可能となるように第1トーションバー25,25を介して内側フレーム23に取り付けられ、更に、この内側フレーム23がミラー面11とともにY軸まわりに回動可能となるように第2トーションバー26,26を介して外側フレーム24に取り付けられている。
【0022】
また、MEMSミラー12には、電圧が入力されることによって静電力を発生させる駆動回路27(図1参照)がそなえられており、この静電力に応じた第1トーションバー25,25または第2トーションバー26,26のねじれ作用により、ミラー面11の偏向角度を自在に変更することができるようになっている。
なお、以下、この図2に示すような、X軸方向とY軸方向との2軸方向にミラー面11が回動可能に構成されたMEMSミラー12を、2軸をそなえたMEMSミラー12という場合もある。
【0023】
また、以下、第1トーションバー25,25および第2トーションバー26,26のことを、便宜上、単にトーションバーという場合もある。又、このMEMSミラー12は、上述した光スイッチの他、ミラーをアレー状に配置し、入射する光をミラーアレイによって走査する装置にも用いることができる。
測定用光源14は、ミラー面11にレーザ光(測定光)28を照射するものであって、レーザ光28をミラー面11に対して出力する既知の種々の手法により実現するようになっている。
【0024】
測定光制御部15は、測定用光源14から出力されたレーザ光28を制御するものであって、例えば、開閉動作によりレーザ光28を任意に遮断可能なシャッタ(遮光装置;図示省略)や、レーザ光28の強度やサイズ(光径)を調節することができる光量調節器(調節レンズ;図示省略)をそなえて構成されている。又、本実施形態では、後述する制御部31からの信号が入力されることにより、シャッタの開閉動作を行なうようになっている。
【0025】
ステージ16は、測定対象となるMEMSミラー12が載置されるものである。
投射スクリーン17は、測定用光源14から照射されたレーザ光28がミラー面11で反射することにより形成された反射光13が投射光点50として投射(照射,投影)されるものであって、図3に示すように、ミラー面11からの反射光13を投射光点50(点像)として表示(結像)するようになっている。この投射スクリーン17は、ミラー面11からの反射光13の一部を透過させる拡散板によって実現されており、具体的には、光の一部を透過させる光透過性の部材を用いて構成するとともに、反射光13が投射される投射面17aおよび裏面17b(投射面17aの反対側面)をそれぞれ凹凸状に形成することにより、入射した反射光13を拡散させるようになっている。
【0026】
また、この投射スクリーン17は、反射光13が投射面17aに対して90°以外の入射角度で入射するように配置されている。すなわち、投射スクリーン17の投射面17aの法線方向Aと、反射光13とが平行にならないように配置され、これにより、投射面17aに入射した反射光13の投射面17aにおける反射光が、反射光13に重合することがないように構成されている。すなわち、本測定装置10においては、この投射スクリーン17を反射光13に対して斜めに配置することにより、投射スクリーン17から反射する不要な光を排除させるようになっており、投射スクリーン17以降の撮像系の光軸を傾けることにより不要な光反射を無くすようになっている。
【0027】
撮像部18は、反射光13が図3に示すような投射光点50として投射された投射スクリーン17を撮像するものであって、画像取得部29と撮像レンズ30とをそなえて構成されている。
画像取得部29は、反射光13が投射光点50として投射された投射スクリーン17を撮像し、投射スクリーン17の画像(図3参照)を取得するものであって、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサ等の撮像素子(映像素子;センサ)をそなえたカメラ装置(TVカメラ等)によって実現される。又、この画像取得部29には、例えば、映像素子に受光させる時間(撮像蓄積時間)を任意に設定できるシャッタスピード変更機能や、複数の画像を1つの画像上に重ねて露光可能な多重露光機能をそなえて構成されている。又、本実施形態における画像取得部29は、取得した画像を画像データとして後述する撮像制御部19に出力するようになっている。
【0028】
撮像レンズ30は、焦点距離を一定の範囲で自由に変化させることにより、投射スクリーン17(裏面17b)に焦点を合わせたり、投射スクリーン17の画像を任意の倍率で画像取得部29に撮像させたりするものであって、例えば、ズームレンズにより実現される。
また、図1に示す例においては、撮像部18は、投射スクリーン17における裏面17b側に配置され、投射スクリーン17の裏面17bを撮像するように構成されており、撮像レンズ30の倍率等に基づいて撮像部18と投射スクリーン17との距離を任意に設定できるようになっている。
【0029】
すなわち、本測定装置10においては、MEMSミラー12(ミラー面11)で反射された光(反射光13)を一旦投射スクリーン17に投射し、撮像部18は、画像取得部29を用いることにより、その投射スクリーン17における裏面17bを画像取得部29で撮影し偏向光(反射光13)の変化を画像として捉えるようになっている。
撮像制御部19は、撮像部18を制御することによって画像取得部29で取得した画像を取り込むための制御回路として構成されるものであって、画像取得部29から入力された画像データを量子化する他、例えば、画像取得部29や撮像レンズ30に対して制御信号を出力することにより、画像取得部29に対して撮像指示を行なったり、画像取得部29のシャッタスピードを変更したり、撮像レンズ30の倍率の調整を行なったりするようになっている。本実施形態では、撮像制御部19によって量子化された量子化画像を後述する画像処理部20に出力するようになっている。
【0030】
画像処理部20は、撮像制御部19から入力された量子化画像を処理するための画像処理回路として構成されるものであって、例えば、量子化画像におけるノイズを除去するようになっており、処理された処理画像を後述する処理端末21に出力するようになっている。
処理端末21は、制御部31,抽出部32および測定部33としての機能をそなえたコンピュータとして構成されている。
【0031】
また、この処理端末21は、上述したCPUの他、例えば、処理端末に関する種々の情報を表示するためのディスプレイ(図示省略)や、検査者が各種入力や操作を行なうことによりデータや指示内容等を処理端末21に入力するための入力装置(キーボード,マウス等;図示省略)をそなえて構成されている。
制御部31は、ミラー面11の偏向角度を制御するものであって、例えば、上述した検査者が入力装置を介してミラー面11の偏向角度を変更させるための駆動条件(入力電圧の値,入力電圧の振動周波数等)を入力することにより、後述する駆動波形発生部22に対して、入力された駆動条件に対応する制御信号を出力するようになっている。又、この制御部31は、測定光制御部15におけるシャッタの開閉動作も制御するようになっており、例えば、検査者が入力装置を介して測定開始の指示を入力した場合にはシャッタの開動作を行ない、測定終了の指示を入力した場合にはシャッタの閉動作を行なうようになっている。
【0032】
抽出部32は、画像処理部20から出力された処理画像に基づいて、投射スクリーン17に投射された複数の光点から測定対象の投射光点を抽出するものである。なお、具体的な抽出手法については後述する。
測定部33は、撮像部18によって撮像された投射スクリーン17の画像(処理画像)に基づいてMEMSミラー12の偏向特性を測定するものであって、測定対象の投射光点50の強度(明るさ),サイズ(大きさ),座標値(位置)等を測定し、これらの値に基づいてMEMSミラー12の偏向特性(最大偏向角度,所定の電圧を入力した場合の偏向角度,入力電圧を所定の振動周波数により変化させた場合の偏向速度および共振点等)を測定するようになっている。
【0033】
そして、検査者は、入力された測定条件(入力電圧の値,入力電圧の振動周波数等)と測定部33の測定結果とに基づいて、MEMSミラー12の偏向特性を評価するようになっている。
上述した制御部31,抽出部32および測定部33としての機能は、CPU(Central Processing Unit;図示省略)により実現される。なお、これらの制御部31,抽出部32および測定部33としての各機能は、コンピュータ(CPU,情報処理装置,各種端末を含む)が所定のアプリケーションプログラムを実行することによって実現されてもよい。
【0034】
そのプログラムは、例えばフレキシブルディスク,CD(CD−ROM,CD−R,CD−RWなど),DVD(DVD−ROM,DVD−RAM,DVD−R,DVD−RW,DVD+R,DVD+RWなど)等のコンピュータ読取可能な記録媒体に記録された形態で提供される。この場合、コンピュータはその記録媒体からプログラムを読み取って内部記憶装置または外部記憶装置に転送し格納して用いる。また、そのプログラムを、例えば磁気ディスク,光ディスク,光磁気ディスク等の記憶装置(記録媒体)に記録しておき、その記憶装置から通信回線を介してコンピュータに提供するようにしてもよい。
【0035】
ここで、コンピュータとは、ハードウェアとOSとを含む概念であり、OSの制御の下で動作するハードウェアを意味している。また、OSが不要でアプリケーションプログラム単独でハードウェアを動作させるような場合には、そのハードウェア自体がコンピュータに相当する。ハードウェアは、少なくとも、CPU等のマイクロプロセッサと、記録媒体に記録されたコンピュータプログラムを読み取るための手段とをそなえている。
【0036】
上記プログラムとしてのアプリケーションプログラムは、上述のようなコンピュータに、制御部31,抽出部32および測定部33としての機能を実現させるプログラムコードを含んでいる。また、その機能の一部は、アプリケーションプログラムではなくOSによって実現されてもよい。
なお、本実施形態としての記録媒体としては、上述したフレキシブルディスク,CD,DVD,磁気ディスク,光ディスク,光磁気ディスクのほか、ICカード,ROMカートリッジ,磁気テープ,パンチカード,コンピュータの内部記憶装置(RAMやROMなどのメモリ),外部記憶装置等や、バーコードなどの符号が印刷された印刷物等の、コンピュータ読取可能な種々の媒体を利用することもできる。
【0037】
駆動波形発生部22は、制御部31によって入力された駆動条件に基づく駆動波形の制御信号(駆動信号)を生成する波形発生回路として構成されるものであって、生成した駆動信号をMEMSミラー12の駆動回路27に出力することにより、この駆動回路27が、駆動条件に応じて、ミラー面11を、トーションバー25,25,26,26により、所定角度に傾かせたり、振動させたりするようになっている。
【0038】
上述の如く構成された本発明の一実施形態に係る測定装置10における測定手順の一例について、図4に示すフローチャート(ステップS11〜S15)に従って説明する。
先ず、検査者が、MEMSミラー12をステージ16上に載置し、入力装置を介して測定開始の指示を入力することにより、測定光制御部15がシャッタの開動作を行ない、測定用光源14がミラー面11にレーザ光28を照射する(ステップS11;照射ステップ)。
【0039】
測定用光源14から照射されたレーザ光28は、ミラー面11で反射することにより反射光13を形成し、この反射光13が投射スクリーン17に投射される。反射光13が投射された投射スクリーン17においては、その投射面17aおよび裏面17bにおいて反射光13を投射光点50として表示される(投射ステップ)。
次に、検査者が、入力装置を介して駆動条件(入力電圧の値,入力電圧の振動周波数等)を制御部31に対して入力することにより、駆動波形発生部22は、入力された駆動条件に基づく駆動信号を生成し、この駆動信号を駆動回路27に出力する。駆動信号が入力された駆動回路27は、その駆動信号に基づいてミラー面11を所定角度に傾かせる(ステップS12;制御ステップ)。
【0040】
そして、画像取得部29は、投射スクリーン17における裏面17bを撮像し、その画像を取得する(ステップS13;撮像ステップ)。又、画像取得部29は、取得した画像を画像データとして撮像制御部19に出力する。
画像取得部29から出力された画像データは、撮像制御部19において量子化され、その後、画像処理部20においてノイズの除去等の画像処理が行なわれる。
【0041】
また、ここで投射スクリーン17に投射された光点が複数ある場合には、抽出部32は、撮像制御部19および画像処理部20によって処理された処理画像に基づいて、投射スクリーン17に投射された複数の光点から測定対象の投射光点50を抽出し(抽出ステップ)、測定部33が、測定対象の投射光点50の強度(明るさ),サイズ(大きさ),座標値(位置)等を測定する(ステップS14;測定ステップ)。
【0042】
測定後、ミラー面11の偏向角度を変更させて測定を行なう場合には(ステップS15の連続測定ルート参照)、ステップS12に戻る。一方、測定を終了する場合には(ステップS15の測定終了ルート参照)、測定を終了する。
図5は本発明の一実施形態としての測定装置を用いてミラー面の外側にカバーガラスが設けられているミラーシステムを測定する場合の例を示す図、図6はその場合に撮像部により撮像された画像の例を示す図、図7は反射光の光点と不要光の光点とが同一ライン上に並んで表示された場合の例を示す図、図8は反射光の光点と不要光の光点とが異なるライン上に表示された場合の例を示す図、図9は図8に示す状態における撮像部により撮像された画像の例を示す図である。
【0043】
さて、図5に示すように、ミラー面11の外側にミラー面11を保護するためのカバーガラス35が設けられている場合には、測定用光源14から照射されたレーザ光28は、ミラー面11で反射して反射光13を形成するだけでなく、カバーガラス35の表面35aや裏面35bでも反射して不要光34a,34b,34cをそれぞれ形成する。これにより、投射スクリーン17において、図6に示すように、投射光点50だけでなく、不要光34a,34b,34cの不要光点51a,51b,51cがそれぞれ表示されるのである。
【0044】
以下、本発明の一実施形態に係る測定装置を用いて、カバーガラスから反射する不要光に影響されずに測定する場合について説明する。
本発明の一実施形態に係る測定装置10は、MEMSミラー12およびカバーガラス35から反射された光(反射光13,不要光34a,34b,34c)を画像として捉え、ミラー面11により偏向された反射光13とカバーガラス35から反射された不要光34a,34b,34cについて、複数の取得画像から偏向による動きのあるなし、強度等から判別し、目的の光(反射光13)について選択計測を行うようになっている。
【0045】
先ず、投射スクリーンに投射された光点の特徴に基づいて、測定対象の投射光点のみを抽出する手法を説明する。
抽出部32は、投射スクリーン17に投射された光点が複数(図6に示す例では光点50,51a,51b,51cの4つ)ある場合には、撮像部18によって撮像された画像に基づいて、これらの複数の光点50,51a,51b,51cから測定対象の投射光点50を抽出するようになっており、PSDを用いた手法では不可能な複数の輝点(光点50,51a,51b,51c)から測定対象の投射光点50を検出することができ、これらの複数の光点50,51a,51b,51cについて、それぞれの輝点中心(重心)位置、サイズ、輝度等を求めることができ、これらの情報から主光線の輝点(投射光点50)を抽出することができる。
【0046】
具体的には、抽出部32は、複数の光点50,51a,51b,51cのそれぞれの、中心(重心)位置、サイズ(大きさ)、輝度(光点の強度)等の測定結果に基づいて、例えば、輝点強度が一番強いもの(またはn番目に強いもの;nは自然数)や,輝点サイズが一番大きいもの(またはn番目に大きいもの;nは自然数)を測定対象の投射光点50として抽出することができる。又、それぞれの光点(輝点)50,51a,51b,51cの配列位置から測定対象の投射光点(主光線による輝点)50の位置を抽出してもよい。
【0047】
また、抽出部32は、MEMSミラー12(被測定偏向ミラー)を定位置(回転しない状態)において画像を撮像し、各角度に偏向した場合の画像との差分を取ることで、カバーガラス35から直接反射してくる光(不要光点51a,51b,51c)による輝点を排除してもよい。すなわち、ミラー面11の偏向角度が変更される前後の複数の光点の座標値の差に基づいて測定対象の投射光点50を抽出してもよく、更に、上述した各手法を組み合わせて抽出してもよい。
【0048】
次に、MEMSミラー12における一方のトーションバーを所定偏向角度で固定した状態で他のトーションバーを制御する手法を用いて、不要光による影響を回避する手法を説明する。
図7に示す測定装置においては、測定対象の投射光点50が、投射スクリーン17上において、MEMSミラー12における第1トーションバー25,25の回動に伴って、ラインgに沿って移動するようになっており、更に、カバーガラス35の表面35aや裏面35bからの反射によって生じた不要光点51も投射光点50に接近してラインg上に表示され、これにより測定に支障が出る場合がある。又、この場合において、第1トーションバー25,25を回動させて投射光点50をラインgに沿って移動させると、投射光点50と不要光点51とが投射スクリーン17において重なって表示される状態が発生し、この状態では投射光点50と不要光点51とを判別することは困難である。
【0049】
そのため、本実施形態においては、図8に示すように、MEMSミラー12がX軸とY軸との2軸の偏向軸(ミラー軸)を持つ場合に、どちらか1軸の偏向特性を測定するために、一方のミラー軸を偏向しカバーガラス35などの影響が少ない位置にビーム(反射光13もしくは不要光34)を予め偏向して測定を行なうようになっている。これにより、被測定偏向ミラーが複数の偏向軸を持つ場合に、いずれか一の軸の測定時に他の軸を制御し、定位置(回転しない状態)から多少偏向角を持たせることで、測定に不要な輝点(不要光点51)と主光線による輝点(投射光点50)との距離を分離することができる。本手法は、特に偏向角が小さい場合に有効であって、投射スクリーン17上において、投射光点50と不要光点51とが重なってしまう状況を回避できる。
【0050】
従って、図8に示すように、不要光点51(不要光による輝点;測定に不要な輝点)がラインgから外れたラインm(図8ではラインgに対して平行)上に位置するように、第2トーションバー26,26(一の回転軸;非測定軸)を、予め回動(オフセット)させることにより、図9に示すように、偏向ミラーからの反射光とカバーガラスからの反射光が同一ライン上に位置しなくなるため正確な測定が可能となる。
【0051】
すなわち、予め非測定軸を回転させることで、測定対象の投射光点50を不要反射による輝点(不要光点51a,51b,51c)から分離できるので、第1トーションバー25,25(他の回転軸)を回動させて投射光点50(主光線による輝点)を移動させた場合であっても、投射光点50と不要光点51とが投射スクリーン17において重なって表示されないようになっている(図9参照)。
【0052】
例えば、図6に示すように、投射光点50と不要光点51a,51b,51cとが、投射スクリーン17において、投射光点50が第1トーションバー25,25の回転に伴って移動するラインg上に並んで表示された場合には、測定を行なわない軸(図8に示す例では第2トーションバー26,26)を回動させることにより、不要光点51a,51b,51cがラインgから外れた位置に移動し、この状態から、制御部31が、第1トーションバー25,25のみを回動させることによってミラー面11の偏向角度を制御し、測定を行なう。
【0053】
次に、本発明の一実施形態に係る測定装置を用いて、ミラー面11の偏向角度が高速に振動(偏向)するMEMSミラー12の偏向特性を測定する場合について説明する。
図10は本発明の一実施形態としての測定装置を用いてミラー面の偏向角度が高速に振動する場合に撮像部により撮像された画像の例を示す図、図11は図10に示す場合において撮像部のシャッタスピードを長く設定した状態で撮像された画像の例を示す図、図12は本発明の一実施形態としての測定装置を用いて2軸のトーションバーを同時に駆動させた場合に撮像部により撮像された画像の例を示す図、図13は図12に示す場合において撮像部のシャッタスピードを長く設定した状態で撮像された画像の例を示す図である。
【0054】
本実施形態における測定部33は、撮像部18によって撮像された裏面17bの画像に基づいて、制御部31によるミラー面11の偏向角度の変更に伴って移動する投射光点50の移動量を測定するようになっている。
先ず、ミラー面の偏向角度が変更される前後の画像に基づいて移動量を測定する手法を説明する。
【0055】
本実施形態においては、撮像部18が、制御部31によってミラー面11の偏向角度が変更される前の投射光点50を第1画像として撮像するとともに、制御部31によってミラー面11の偏向角度が変更された後の投射光点50を第2画像として撮像するようになっており、測定部33が、第1画像の投射光点50の座標値と第2画像の投射光点50の座標値とに基づいて、各投射光点50,50間の長さL1を測定することにより、ミラー面11の偏向量(偏向角度)等を求めることができる。
【0056】
次に、撮像部18のシャッタスピードを長くして移動量を測定する手法を説明する。
上述の如きミラー面11の偏向角度の変更の前後での投射光点50の各座標値に基づいて移動量を算出する手法では、ミラー面11の偏向角度が高速に振動(偏向)するMEMSミラー12の偏向特性を測定する場合には、図10に示すように、連続的に撮像することによって光点が断続的に撮像されるので(図10の例では投射光点50a,50b,50cの3つ)、投射光点50の正確な移動量を得るためには、振動周波数に同期させ、適度に遅延させて撮像する必要がある。しかしながら、振動周波数に同期させるための同期回路の準備や、遅延させて撮像するための調整が必要となり測定作業が煩雑となる。
【0057】
なお、図10に示す例においては、撮像部18によって撮像された3つの投射光点50a,50b,50cを多重露光により、同一画像中に示している。
そこで、撮像部18は、制御部31の制御によってMEMSミラー12におけるミラー面11の偏向角度が高速に振動(偏向)することに伴って反射光13が高速に移動する場合には、シャッタスピード(映像素子に受光させる時間;撮像蓄積時間)を長くして撮像することにより、投射光点50の軌跡52(図11参照)を撮像する。なお、映像素子に受光させる時間は、ミラー面11の振動周期より十分長い時間となっている。
【0058】
これにより、本手法においては、図11に示すように、撮像部18が、制御部31によってミラー面11の偏向角度が変更されている間の投射光点50の軌跡52を撮像し、測定部32が、この撮像部18によって撮像された投射光点50の軌跡52の長さL2を測定することにより、ミラー面11の偏向量(最大偏向角度等)を求める。又、この際、駆動波形発生部22によって生成される駆動信号の駆動周波数とは無関係にミラー面11の偏向量を求めることができる。
【0059】
本手法においては、高速偏向動作時の偏向角度測定について、高速な光検知器を使用せずに計測を行なう方法であって、画像取得部29の撮像蓄積時間(シャッタスピード)を長くして、MEMSミラー12の偏向による光(反射光13)の軌跡52を捉え、軌跡52の最大長さL2を偏向量として捉えるようになっているのである。
次に、本発明の一実施形態に係る測定装置を用いて、トーションバー25,25,26,26をそれぞれ同時に(2軸方向で)駆動させてMEMSミラー12の偏向特性を測定する手法を説明する。
【0060】
本手法において、測定部33は、MEMSミラー12の特性の測定に際して、トーションバー25,25,26,26を同時に駆動させて、投射スクリーン17に投射される投射光点50の動きを2次元的に測定する。
すなわち、トーションバー25,25,26,26を同時に駆動させて、図12に示すように、撮像部18が、制御部31によってミラー面11の偏向角度が変更される前の投射光点50aを第1画像として撮像した後、制御部31によってミラー面11の偏向角度が変更された後の投射光点50bを第2画像として撮像し、測定部33が、上述したミラー面11の偏向角度の変更の前後での投射光点50の移動量を算出する手法を用いて、第1画像の投射光点50aの座標値と第2画像の投射光点50bの座標値とに基づいて、各投射光点50a,50b間におけるt方向の長さL3とs方向の長さL4とを測定することにより、ミラー面11の偏向量(最大偏向角度等)を求める。
【0061】
なお、図12に示す例においても、撮像部18によって撮像された2の投射光点50a,50bを多重露光により、同一画像中に示している。
さらに、トーションバー25,25,26,26を同時に駆動させるとともに、上述したシャッタスピードを長くして光点の移動量を測定する手法を用いることにより、図13に示すように、撮像部18が、制御部31によってミラー面11の偏向角度が変更されている間の投射光点50の軌跡(リサージュ図形)53を撮像してもよい。
【0062】
測定部33は、撮像部18によって撮像された投射光点50の軌跡53(リサージュ図形)を判別することにより、X軸まわり,Y軸まわりのそれぞれの特性や、2軸間の相関(位相の遅れ等)を測定することができる。例えば、t方向の長さL5やs方向の長さL6を測定することにより、ミラー面11の偏向量(最大偏向角度等)を求めたり、楕円形のリサージュ図形として形成された軌跡53の短径の長さL7を測定することにより、2軸間の相関(位相の遅れ等)を求めることができる。
【0063】
なお、2軸をそなえたMEMSミラー12において、2軸を同時に駆動・測定を行なう場合、入射光と回転軸が平行となる軸については偏向光の描く軌跡が直線とならない(円弧を描く)。したがって撮像部18によって撮像・計測した値を補正する必要がある。
このように、本発明の一実施形態としての測定装置10によれば、レーザ光28がミラー面11で反射することにより形成された反射光13が投射スクリーン17の投射面17aに投射され、この反射光13が投射された投射面17aを撮像部18で撮像することにより、撮像された投射面17aの画像に基づいて2次元的にMEMSミラー12の偏向特性(最大偏向角度,所定の電圧を入力した場合の偏向角度,入力電圧を所定の振動周波数により変化させた場合の偏向速度および共振点等)を測定することができる。又、撮像された投射面17aを視認することによってMEMSミラー12の偏向特性を容易に測定することができ、更に、撮像された投射面17aの画像を画像処理部20や処理端末21等によって画像処理を施すことによって高精度に測定することができる。更に、反射光13が投射光点50として投射された投射面17aを撮像するだけでMEMSミラー12の偏向特性を測定することができるので、測定機器の配置等の煩雑な条件設定を行なうことなく短時間で測定することができる。従って、MEMSミラー12の偏向特性を短時間で容易かつ高精度に測定することができるのである。
【0064】
さらに、MEMSミラー12によって偏向された光(反射光13)を投射スクリーン17に映し、その裏面17bを撮像部18で撮像することにより、画像取得部29の撮像素子サイズの制約や撮像部18の位置的な制約も無く、利便性が高い。
さらにまた、従来のPSDを用いた方法に比べて容易に1桁以上高精度で高機能な測定系が低コスト(同機能比較でPSD方式の数分の1のコストダウンが可能)で構築できる。
【0065】
また、ミラー面11の外側にカバーガラス35等がそなえられている場合において、このカバーガラス35の表面35a,裏面35bに反射して、測定対象の投射光点50だけでなく、測定対象以外の複数の不要光34a,34b,34cが不要光点51a,51b,51cとして投射面17aに投射した場合であっても、撮像部18によって撮像された画像に基づいて、これら複数の光点50,51a,51b,51cを容易に判別できるようになるので、複数の光点50,51a,51b,51cから測定対象の投射光点50のみを抽出して高精度に測定することができる。従って、カバーガラス35等からの不要光34に影響されることなく計測(測定)することができる。
【0066】
さらに、制御部31によって制御されたミラー面11の反射光13に基づいてMEMSミラー12の偏向特性を測定することにより、制御部31による制御情報(駆動条件)とミラー面11の偏向角度とに基づいてMEMSミラー12の偏向特性をより正確に測定することができる。
さらにまた、投射スクリーン17としてミラー面11からの反射光13の一部を透過させる拡散板を用い、撮像部18により投射スクリーン17の裏面17b側から投射スクリーン17の裏面17bを撮像することにより、測定用に細く絞った状態で測定用光源14から出力されるレーザ光(高エネルギー密度光)28が投射スクリーン17で結像し、撮像部18には直接入射しないので、撮像部18がレーザ光28によって損傷することがない。
【0067】
またさらに、投射面17aにおいて、ミラー面11からの反射光13が、投射面17aに対して90°以外で入射されることにより、投射スクリーン17に入射した反射光13が投射面17aで反射し、この投射スクリーン17で反射した反射光が、レーザ光28やミラー面11からの反射光13に干渉等することがなく、これにより測定が不安定にならず、MEMSミラー12の偏向特性をより高精度に測定することができる。
【0068】
また、撮像された投射スクリーン17の画像に基づいて、制御されたミラー面11の偏向角度の変更に伴って移動する投射光点50の移動量を測定することにより、MEMSミラー12の偏向特性を容易に測定することができる。
さらに、ミラー面11の偏向角度が変更される前の投射光点50aを第1画像として撮像した後、ミラー面11の偏向角度が変更された後の投射光点50bを第2画像として撮像し、第1画像の投射光点50aの座標値と第2画像の投射光点50bの座標値とに基づいて、各投射光点50a,50b間の長さL1を測定することにより、投射光点50の移動量を求めることにより、MEMSミラー12の反射光13の動きを2次元的に計測することができ、ミラー面11の偏向動作に伴ったMEMSミラー12の偏向特性を測定することができる。
【0069】
さらにまた、ミラー面11の偏向角度が変更されている間の投射光点50の軌跡52を撮像し、撮像された投射光点50の軌跡52の長さL2に基づいて、投射光点50の移動量を測定することにより、MEMSミラー12におけるミラー面11の偏向角度が高速に振動(偏向)することに伴って投射光点50が高速に移動する場合であっても、投射光点50の正確な移動量を測定でき、更に、振動周波数に同期させ、適度に遅延させるような煩雑な調整が不要である。従って、ミラー面11の偏向速度や振動周波数に関係なく、偏向角度に相当する投射光点50の移動量を容易かつ正確に測定することができる。
【0070】
特に、ミラー面11の振動により、投射光点50が投射面17a上において、往復移動する場合には、投射光点50の軌跡52により、投射光点50の最大移動量を正確かつ容易に測定することができる。
なお、撮像部18において、シャッタスピードを長くして投射面17aを撮像することにより、軌跡52を容易に撮像することができる。
【0071】
また、2軸をそなえたMEMSミラー12に適用し、そのトーションバー25,25,26,26のそれぞれを高速に回動駆動させた場合には、撮像部18によって撮像された投射光点50の軌跡53が例えばリサージュ図形を描き、この軌跡53に基づいてそのt方向の長さL5およびs方向の長さL6を測定することにより、最大偏向角度に相当する反射光13の二次元的な移動量等を同時に測定することができる。更に、軌跡53における幅方向の長さL7を測定することにより、これら2軸のトーションバー25,25,26,26の相関(位相の遅れ等)を測定することができる。従って、ミラー面11の偏向速度や振動周波数に関係なく、2軸をそなえたMEMSミラー12の偏向特性を容易かつ正確に測定することができる。
【0072】
さらに、撮像された画像に基づいて、投射面17aに投射された複数の光点50,51a,51b,51cから測定対象の投射光点50を抽出することにより、測定対象の反射光13だけでなく、カバーガラス35等からの測定対象以外の不要光34が投射面17aに投射された場合であっても、撮像部18により撮像された裏面17bの画像に基づいて、これら複数の光点50,51a,51b,51cを容易に判別することができるようになるので、MEMSミラー12の偏向特性をより高精度に測定することができる。
【0073】
またさらに、投射面17aに輝点として表示された複数の光点50,51a,51b,51cの強度,大きさ,配列位置に基づいて測定対象の投射光点50を抽出したり、ミラー面11の偏向角度が変更される前後における光点50,51a,51b,51cの座標値の差に基づいて測定対象の投射光点50を抽出したりすることにより、投射面17aに投射した複数の光点50,51a,51b,51cから測定対象の投射光点50をより確実に抽出することができる。
【0074】
さらにまた、複数の輝点をグループ化して処理したり、複数の輝点(光点50,51a,51b,51c)を選択したりすることにより、複数の輝点があっても選別して位置を計測(測定)することができる。更に、複数の輝点をグループ化し、これら複数の輝点の移動量の平均を求めることにより、MEMSミラー12における偏向角度を測定することができる。
【0075】
また、投射光点50と不要光点51a,51b,51cとが、投射スクリーン17において、投射光点50が第1トーションバー25,25の回転に伴って移動する同一ラインg上に並んで表示された場合に、第2トーションバー26,26を、不要光点51a,51b,51cがラインgから外れた位置で表示されるミラー面11の偏向角度となるように回動させ、その後、第1トーションバー25,25のみを回動させることによってミラー面11の偏向角度を制御することにより、投射光点50と不要光点51a,51b,51cとを分離させた状態で測定することができる。
【0076】
さらに、撮像レンズ30におけるレンズの仕様を投射スクリーン17に合わせて任意に選択することにより、ミラー面11,投射スクリーン17,撮像部18のそれぞれの配置を自由に設定できるので、測定装置10の省スペース化を容易に図ることができる。更に、撮像レンズに高倍率のレンズを適用することにより、投射面17aに投射された測定対象の投射光点50を拡大した状態で撮像できるので、MEMSミラー12の偏向特性をより高精度に測定することができ、又、撮像部18の受光面が小さい場合であってもMEMSミラー12の偏向特性を高精度に測定することができる。更に、撮像部18として高分解能なカメラを用いる必要がなくなるので、測定装置10のコストを低減することができる。
【0077】
〔2〕その他
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
例えば、上記実施形態では、駆動回路27を内部にそなえたMEMSミラー12に適用しているが、それに限定されるものではなく、駆動回路27を外部にそなえたMEMSミラー12に適用してもよい。又、MEMSミラー12以外のミラーシステムに適用してもよく、例えば、モータの軸にミラー面が取り付けられ、電磁力を利用してモータを駆動させることによりモータの軸に取り付けられたミラー面の偏向角度を制御するガルバノミラーに適用してもよい。
【0078】
また、上記実施形態では、投射スクリーン17における投射面17aおよび裏面17bを凹凸状に形成しているが、それに限定されるものではなく、投射面17aまたは裏面17bのいずれか一方のみを凹凸状に形成してよい。更に、上述した以外のものであってもよく、投射した反射光13を拡散する既知の種々の手法を用いることができる。
さらに、上記実施形態では、反射光13が反射光13の投射面17aに対して90°以外の入射角度で入射するように構成されているが、それに限定されるものではなく、図14に示す測定装置10Aのように、反射光13が反射光13の投射面17aに対して90°の入射角度で入射するように構成してもよい。この場合、反射光13が投射スクリーン17で反射し、この反射光13がミラー面11に戻って測定が不安定になることを考慮する必要がある。
【0079】
また、上記実施形態では、撮像部18が投射スクリーン17の裏面17b側から投射スクリーン17の裏面17bを撮像するように構成されているが、それに限定されるものではなく、図15に示す測定装置10Bのように、投射スクリーン17の投射面17a側から投射スクリーン17の投射面17aを撮像するように構成してもよい。この場合、投射スクリーン17は、半透明である必要はない。
【0080】
なお、本実施形態における主目的は、本来被測定偏向ミラー(MEMSミラー12)の偏向角度を求めることであるためであり、偏向ミラー(ミラー面11)の動きにより複数の輝点(光点50,51a,51b,51c)が同時に変化することから偏向量を求めてもよいので、各輝点の分離は必ずしも必要ではない。従って、上記実施形態では、抽出部20が、撮像部18によって撮像された画像に基づいて、複数の光点50,51a,51b,51cから測定対象の投射光点50を抽出するようになっているが、それに限定されるものではなく、抽出部20を設けることなく、複数の光点50,51a,51b,51cを同時に測定してもよい。又、測定用光源14は、測定光28として、レーザ光以外の光線を照射してもよい。
【0081】
なお、上述したMEMSミラー12は、既知の種々の手法を用いて製造することができる(製造ステップ)。そして、本実施形態における測定装置10は、その製造工程の一部としてのMEMSミラー12の検査工程(検査ステップ)において用いられる。
〔3〕付記
(付記1) ミラー面の傾きが変更可能に構成されたミラーシステムの特性を測定する測定装置であって、
該ミラー面に測定光を照射する測定用光源と、
該測定用光源から照射された該測定光が該ミラー面で反射することにより形成された反射光が投射光点として投射される投射部と、
該反射光が該投射光点として投射された該投射部を撮像する撮像部とをそなえたことを特徴とする、測定装置。
【0082】
(付記2) 該撮像部によって撮像された該投射部の画像に基づいて該ミラーシステムの特性を測定する測定部をそなえたことを特徴とする、付記1に記載の測定装置。
(付記3) 該ミラー面の傾きを制御する制御部をそなえ、
該測定部が、該制御部によって制御された該ミラー面で反射することにより形成された該反射光に基づいて該ミラーシステムの特性を測定することを特徴とする、付記2に記載の測定装置。
【0083】
(付記4) 該撮像部が、該投射部における該反射光の投射面側に配置され、該投射面を撮像することを特徴とする、付記1〜付記3のいずれか1項に記載の測定装置。
(付記5) 該撮像部が、該投射部における該反射光の投射面の反対側に配置され、該投射面の裏面を撮像することを特徴とする、付記1〜付記3のいずれか1項に記載の測定装置。
【0084】
(付記6) 該投射部は、該ミラー面からの該反射光の一部を透過させる拡散板であることを特徴とする、付記1〜付記5のいずれか1項に記載の測定装置。
(付記7) 該投射部は、該反射光が該反射光の投射面に対して90°以外の入射角度で入射するように構成されることを特徴とする、付記1〜付記6のいずれか1項に記載の測定装置。
【0085】
(付記8) ミラー面の傾きが変更可能に構成されたミラーシステムの特性を測定する測定方法であって、
該ミラー面に測定光を照射する照射ステップと、
該照射ステップにおいて照射された該測定光が該ミラー面で反射することにより形成された反射光が投射光点として投射部の投射面に投射される投射ステップと、
該投射ステップにおいて該反射光が該投射光点として投射された該投射面を撮像する撮像ステップとをそなえたことを特徴とする、測定方法。
【0086】
(付記9) 該撮像ステップにおいて撮像された該投射部の画像に基づいて該ミラーシステムの特性を測定する測定ステップをそなえたことを特徴とする、付記8に記載の測定方法。
(付記10) 該ミラー面の傾きを制御する制御ステップをそなえ、
該測定ステップにおいて、該制御ステップにおいて制御された該ミラー面で反射することにより形成された反射光に基づいて該ミラーシステムの特性を測定することを特徴とする、付記9に記載の測定方法。
【0087】
(付記11) 該撮像ステップにおいて、該投射部における該反射光側から該投射面を撮像することを特徴とする、付記8〜付記10のいずれか1項に記載の測定方法。
(付記12) 該撮像ステップにおいて、該投射部における該反射光の反対側から該投射面の裏面を撮像することを特徴とする、付記8〜付記10のいずれか1項に記載の測定方法。
【0088】
(付記13) 該投射部が、該ミラー面からの該反射光の一部を透過させる拡散板であることを特徴とする、付記8〜付記12のいずれか1項に記載の測定方法。
(付記14) 該投射ステップにおいて、該反射光が該反射光の投射面に対して90°以外の入射角度で入射されることを特徴とする、付記8〜付記13のいずれか1項に記載の測定方法。
【0089】
(付記15) ミラー面の傾きが変更可能に構成されたミラーシステムの特性を測定する測定装置であって、
該ミラー面に測定光を照射する測定用光源と、
該測定用光源から照射された該測定光が該ミラー面で反射することにより形成された反射光が投射光点として投射される投射部と、
該反射光が該投射光点として投射された該投射部を撮像する撮像部と、
該ミラー面の傾きを制御する制御部と、
該撮像部によって撮像された該投射部の画像に基づいて、該制御部によって制御された該ミラー面の傾きの変更に伴って移動する該投射光点の移動量を測定する測定部とをそなえたことを特徴とする、測定装置。
【0090】
(付記16) 該撮像部が、該制御部によって該ミラー面の傾きが変更される前の該投射光点を第1画像として撮像した後に、該制御部によって該ミラー面の傾きが変更された後の該投射光点を第2画像として撮像し、
該測定部が、該撮像部によって撮像された該第1画像および該第2画像に基づいて、該投射光点の移動量を測定することを特徴とする、付記15に記載の測定装置。
【0091】
(付記17) 該撮像部が、該制御部によって該ミラー面の傾きが変更されている間の該投射光点の軌跡を撮像し、
該測定部が、該撮像部によって撮像された該軌跡に基づいて、該投射光点の移動量を測定することを特徴とする、付記15に記載の測定装置。
(付記18) 該撮像部によって撮像された画像に基づいて、該投射部に投射された複数の光点から測定対象の該投射光点を抽出する抽出部をそなえることを特徴とする、付記15〜付記17のいずれか1項に記載の測定装置。
【0092】
(付記19) 該抽出部が、該光点の強度に基づいて測定対象の該投射光点を抽出することを特徴とする、付記18に記載の測定装置。
(付記20) 該抽出部が、該光点の大きさに基づいて測定対象の投射光点を抽出することを特徴とする、付記18または付記19に記載の測定装置。
(付記21) 該抽出部が、該光点の配列位置に基づいて測定対象の該投射光点を抽出することを特徴とする、付記18〜付記20のいずれか1項に記載の測定装置。
【0093】
(付記22) 該抽出部が、該制御部によって該ミラー面の傾きが変更される前後の該光点の座標値の差に基づいて測定対象の該投射光点を抽出することを特徴とする、付記18〜付記21のいずれか1項に記載の測定装置。
(付記23) 該ミラーシステムが、複数の回転軸をそなえ、該ミラー面がこれらの複数の回転軸まわりにそれぞれ回動可能に構成されたものであって、
該制御部は、該投射部に投射された複数の該光点が該投射部において同一ライン上に並んで表示された場合に、該ミラーシステムにおける一の回転軸を、測定対象の該投射光点と測定対象以外の光点とが異なるライン上に表示されるミラー面の偏向角度となるように回動させた状態で、該ミラーシステムにおける他の回転軸を回動させることによってミラー面の偏向角度を制御することを特徴とする、付記18〜付記22のいずれか1項に記載の測定装置。
【0094】
(付記24) ミラー面の傾きが変更可能に構成されたミラーシステムの特性を測定する測定方法であって、
該ミラー面に測定光を照射する照射ステップと、
該照射ステップにおいて照射された該測定光が該ミラー面で反射することにより形成された反射光が投射光点として投射部に投射される投射ステップと、
該投射ステップにおいて該反射光が該投射光点として投射された該投射部を撮像する撮像ステップと、
該ミラー面の傾きを制御する制御ステップと、
該撮像ステップにおいて撮像された該投射部の画像に基づいて、該制御ステップにおいて制御された該ミラー面の傾きの変更に伴って移動する該投射光点の移動量を測定する測定ステップとをそなえたことを特徴とする、測定方法。
【0095】
(付記25) 該撮像ステップにおいて、該制御ステップによって該ミラー面の傾きが変更される前の該投射光点を第1画像として撮像した後に、該制御ステップにおいて該ミラー面の傾きが変更された後の該投射光点を第2画像として撮像し、
該測定ステップにおいて、該撮像ステップにおいて撮像された該第1画像および該第2画像に基づいて、該投射光点の移動量を測定することを特徴とする、付記24に記載の測定方法。
【0096】
(付記26) 該撮像ステップにおいて、該制御ステップにおいて該ミラー面の傾きが変更されている間の該投射光点の軌跡を撮像し、
該測定ステップにおいて、該撮像ステップにおいて撮像された該軌跡に基づいて、該投射光点の移動量を測定することを特徴とする、付記24に記載の測定方法。
(付記27) 該撮像ステップにおいて撮像された画像に基づいて、該投射ステップにおいて該投射部に投射された複数の光点から測定対象の該投射光点を抽出する抽出ステップをそなえることを特徴とする、付記24〜付記26のいずれか1項に記載の測定方法。
【0097】
(付記28) 該抽出ステップにおいて、該光点の強度に基づいて測定対象の該投射光点を抽出することを特徴とする、付記27に記載の測定方法。
(付記29) 該抽出ステップにおいて、該光点の大きさに基づいて測定対象の該投射光点を抽出することを特徴とする、付記27または付記28に記載の測定方法。
(付記30) 該抽出ステップにおいて、該光点の配列位置に基づいて測定対象の該投射光点を抽出することを特徴とする、付記27〜付記29のいずれか1項に記載の測定方法。
【0098】
(付記31) 該抽出ステップにおいて、該制御ステップにおいて該ミラー面の傾きが変更される前後の該光点の座標値の差に基づいて測定対象の該投射光点を抽出することを特徴とする、付記27〜付記30のいずれか1項に記載の測定方法。
(付記32) 該ミラーシステムが、複数の回転軸をそなえ、該ミラー面がこれらの複数の回転軸まわりにそれぞれ回動可能に構成されたものであって、
該制御ステップにおいて、該投射ステップによって投射された複数の該光点が該投射面において同一ライン上に並んで表示された場合に、該ミラーシステムにおける一の回転軸を、測定対象の該投射光点と測定対象以外の光点とが異なるライン上に表示されるミラー面の偏向角度となるように回動させた状態で、該ミラーシステムにおける他の回転軸を回動させることによってミラー面の偏向角度を制御することを特徴とする、付記27〜付記31のいずれか1項に記載の測定方法。
【0099】
(付記33) ミラー面の傾きが変更可能に構成されたミラーシステムの製造方法であって、
該ミラーシステムを製造する製造ステップと、
該製造ステップにおいて製造された該ミラーシステムを検査する検査ステップとをそなえ、
該検査ステップが、
該ミラー面に測定光を照射する照射ステップと、
該照射ステップにおいて照射された該測定光が該ミラー面で反射することにより形成された反射光が投射光点として投射部の投射面に投射される投射ステップと、
該投射ステップにおいて該反射光が該投射光点として投射された該投射面を撮像する撮像ステップと、
該撮像ステップにおいて撮像された該投射部の画像に基づいて該ミラーシステムの特性を測定する測定ステップとをそなえたことを特徴とする、ミラーシステムの製造方法。
【0100】
(付記34) ミラー面の傾きが変更可能に構成されたミラーシステムの製造方法であって、
該ミラーシステムを製造する製造ステップと、
該製造ステップにおいて製造された該ミラーシステムを検査する検査ステップとをそなえ、
該検査ステップが、
該ミラー面に測定光を照射する照射ステップと、
該照射ステップにおいて照射された該測定光が該ミラー面で反射することにより形成された反射光が投射光点として投射部に投射される投射ステップと、
該投射ステップにおいて該反射光が該投射光点として投射された該投射部を撮像する撮像ステップと、
該ミラー面の傾きを制御する制御ステップと、
該撮像ステップにおいて撮像された該投射部の画像に基づいて、該制御ステップにおいて制御された該ミラー面の傾きの変更に伴って移動する該投射光点の移動量を測定する測定ステップとをそなえたことを特徴とする、ミラーシステムの製造方法。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】本発明の一実施形態としての測定装置の構成例を模式的に示す図である。
【図2】本発明の一実施形態としての測定装置の測定対象であるMEMSミラーの構成例を模式的に示す図である。
【図3】本発明の一実施形態としての測定装置の撮像部により撮像された画像の例を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態としての測定装置の測定手順の一例を示すフローチャートである。
【図5】本発明の一実施形態としての測定装置の構成例を模式的に示す図である。
【図6】本発明の一実施形態としての測定装置の撮像部により撮像された画像の例を示す図である。
【図7】本発明の一実施形態としての測定装置の構成例を模式的に示す図である。
【図8】本発明の一実施形態としての測定装置の構成例を模式的に示す図である。
【図9】本発明の一実施形態としての測定装置の撮像部により撮像された画像の例を示す図である。
【図10】本発明の一実施形態としての測定装置の撮像部により撮像された画像の例を示す図である。
【図11】本発明の一実施形態としての測定装置の撮像部により撮像された画像の例を示す図である。
【図12】本発明の一実施形態としての測定装置の撮像部により撮像された画像の例を示す図である。
【図13】本発明の一実施形態としての測定装置の撮像部により撮像された画像の例を示す図である。
【図14】本発明の一実施形態としての測定装置の第1変形例の構成例を模式的に示す図である。
【図15】本発明の一実施形態としての測定装置の第2変形例の構成例を模式的に示す図である。
【図16】従来のMEMSミラーの構成例を模式的に示す図である。
【図17】従来の測定装置の構成例を模式的に示す図である。
【図18】従来の測定装置の構成例を模式的に示す図である。
【符号の説明】
【0102】
10,10A,10B,80 測定装置
11,71 ミラー面
12,70 MEMSミラー(ミラーシステム)
13,83 反射光
14,82 測定用光源
15 測定光制御部
16 ステージ
17 投射スクリーン(投射部)
17a 投射面
17b 裏面
18 撮像部
19 撮像制御部
20 画像処理部
21 処理端末
22 駆動波形発生部
23,72 内側フレーム
24,73 外側フレーム
25,74 第1トーションバー(回転軸)
26,75 第2トーションバー(回転軸)
27 駆動回路
28,81 レーザ光(測定光)
29 画像取得部
30 撮像レンズ
31 制御部
32 抽出部
33 測定部
35,85 カバーガラス
35a,85a カバーガラスの表面
35b,85b カバーガラスの裏面
34,34a,34b,34c,86,86a,86b,86c 不要光
50,50a,50b,50c 投射光点(光点)
51,51a,51b,51c 不要光点(光点)
52,53 軌跡
84 PSD素子
L1,L2,L3,L4,L5,L6,L7 長さ(移動量)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミラー面の傾きが変更可能に構成されたミラーシステムの特性を測定する測定装置であって、
該ミラー面に測定光を照射する測定用光源と、
該測定用光源から照射された該測定光が該ミラー面で反射することにより形成された反射光が投射光点として投射される投射部と、
該反射光が該投射光点として投射された該投射部を撮像する撮像部とをそなえたことを特徴とする、測定装置。
【請求項2】
該撮像部によって撮像された該投射部の画像に基づいて該ミラーシステムの特性を測定する測定部をそなえたことを特徴とする、請求項1に記載の測定装置。
【請求項3】
該撮像部が、該投射部における該反射光の投射面の反対側に配置され、該投射面の裏面を撮像することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の測定装置。
【請求項4】
該投射部は、該ミラー面からの該反射光の一部を透過させる拡散板であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の測定装置。
【請求項5】
該投射部は、該反射光が該反射光の投射面に対して90°以外の入射角度で入射するように構成されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の測定装置。
【請求項6】
ミラー面の傾きが変更可能に構成されたミラーシステムの特性を測定する測定方法であって、
該ミラー面に測定光を照射する照射ステップと、
該照射ステップにおいて照射された該測定光が該ミラー面で反射することにより形成された反射光が投射光点として投射部の投射面に投射される投射ステップと、
該投射ステップにおいて該反射光が該投射光点として投射された該投射面を撮像する撮像ステップとをそなえたことを特徴とする、測定方法。
【請求項7】
該撮像ステップにおいて撮像された該投射部の画像に基づいて該ミラーシステムの特性を測定する測定ステップをそなえたことを特徴とする、請求項6に記載の測定方法。
【請求項8】
該撮像ステップにおいて、該投射部における該反射光の反対側から該投射面の裏面を撮像することを特徴とする、請求項6または請求項7に記載の測定方法。
【請求項9】
該投射部が、該ミラー面からの該反射光の一部を透過させる拡散板であることを特徴とする、請求項6〜8のいずれか1項に記載の測定方法。
【請求項10】
該投射ステップにおいて、該反射光が該反射光の投射面に対して90°以外の入射角度で入射されることを特徴とする、請求項6〜9のいずれか1項に記載の測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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