説明

測定装置

【課題】単一的な手段により、かつ連続的に一連のマーカ操作によりゾーンマーカの所定幅と波形の表示範囲との相対的な大きさの調整をスムースに行う。
【解決手段】マーカ操作によって、波形が表示されている表示部12のゾーンマーカ上に指針を置いてその指針を移動することでゾーンマーカを移動可能な構成にされている。そして、指示位置検知部63dがゾーンマーカ上に位置する指針の縦方向の位置を検知し、幅決定部63eが、検知された指針の縦方向の位置に応じて表示部の所定表示範囲を変更させる。ピークマーカ生成部61bが変更された所定表示範囲で表示されたゾーンマーカの所定幅のゾーン内における波形の最大位置にピークマーカを表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば被測定物或いは被測定信号を測定し、その測定データを表示する測定装置に関する。特に、本発明は、例えば、測定データに基づく測定波形を表示するとともに、その測定波形上の目標点を波形マーカ等で指定して、その特定点の測定波形の特性値を求める場合に、その波形マーカを目標点に容易に設定できる測定装置に係る。
【背景技術】
【0002】
操作者が、表示画面を観測しながら操作部、例えば、マウス等を手操作して、波形マーカ(或いは、マーカ、カーソル等と呼ばれている。)を表示画面の目標点の位置に一致させようとして移動させようとすると、目標点を通り過ぎてしまう等、微調整が困難な面がある。それを解決するための技術として、特許文献1の技術がある。
【0003】
特許文献1に記載の技術は、キー入力部から波形マーカの移動速度が設定可能にされており、その設定された移動速度と表示画面の表示データ数とから、波形マーカの移動量を求めて、その求めた移動量だけ表示画面における波形マーカの位置を移動させて、調整するものである。
【0004】
特許文献1の技術によれば、波形マーカの移動速度が任意に設定できるので、目標点にカーソルを設定しやすくすることができる。
【0005】
又、特許文献2のように、所定幅を有するゾーンマーカを生成して、その所定幅のゾーン内の波形のピーク位置をサーチし、自動でその波形のピーク位置にピークマーカを付して表示する技術があった。これは、ピーク位置等の特徴部分をサーチするのに便利であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平5−142262号公報
【特許文献2】特許2880711号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記、特許文献1の技術は、波形マーカの移動速度がキー入力部で切り替え、設定しなければならない。一般に、画面上で波形マーカを目標点へ移動させるとき、操作者は目で画面を直視しながら、手でマウス等を操作して波形マーカを移動させる。その波形マーカを移動させているとき操作者が微調整を望んだとき、特許文献1では、操作者が、マウス等による波形マーカの移動操作とは異なる、キー操作により、移動速度を変更させなければならないので、スムースに流れるような感覚で波形マーカの位置調整ができない恐れがあった。特に、移動速度を複数段階に切り替える場合は、一層、調整のスムースさを欠く欠点があった。
【0008】
特許文献2の技術は、ピーク点がゾーン内に複数ある場合に、希望するピーク点ではない他のピーク点にマーカが表示される可能性があった。
【0009】
本発明の目的は、単一的な手段による、かつ連続的に一連のマーカ操作の中で粗調整、微調整を切り替え可能にして、波形マーカの位置(移動)調整がスムースに行える技術を提供することである。
【0010】
さらに、ピーク点をサーチする場合は、測定データが表示される表示範囲と,サーチしたい範囲であるゾーンマーカの所定幅との相対的な大きさを容易に変更できるようにすることで、複数のピーク点を分離して観測し易い技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
先ず、本発明における「マーカ操作」について説明する。「マーカ操作」とは、操作者による波形マーカを移動させるための操作であって、直接的(例えばタッチパネルで指(指針)で操作)或いは間接的(タッチパネルでペン(指針)で操作、或いは表示画面に指の代わりになる指針マーカ(指針)を出してそれをマウス等で操作、等の態様)な操作を言う。
【0012】
上記目的を達成するために具体的には、請求項1に記載の発明は、操作部(11)と表示部(12)とを有するユーザI/F部(10)と、被測定物又は被測定信号を測定する測定部(30)と、前記測定部により得られた測定データに基づいて前記表示部に所定表示範囲で表示される測定波形上に、前記ユーザI/F部からのマーカ操作に応じて所定幅のゾーンマーカの位置を移動させて表示させるゾーンマーカ生成部(64)、及びその所定幅のゾーン内における波形の最大位置にピークマーカを表示させるピークマーカ生成部(61b)を有する表示制御部(60b)と、を備えた測定装置であって、前記表示制御部は、前記マーカ操作が前記表示部の前記ゾーンマーカ上に指針を置いて、該指針を移動させることで該ゾーンマーカが移動可能な構成にされており、さらに、該ゾーンマーカ上に位置する該指針の前記所定幅と直交する縦方向の位置を検知する指示位置検知部(63d)と、該検知された該指針の縦方向の位置に応じて、前記所定表示範囲を変更させる幅決定部(63e)とを備え、前記ピークマーカ生成部は、変更された該所定表示範囲で表示された前記ゾーンマーカの所定幅のゾーン内における波形の最大位置に前記ピークマーカを表示させる構成とした。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記指示位置検知部は、さらに前記ゾーンマーカの所定幅の中心位置を検知し、前記測定部は、該指示位置検出手段が検知した該ゾーンマーカの中心位置を中心に、前記所定表示範囲を前記幅決定部から変更指示された前記表示範囲に変更して表示させる構成とした。
【発明の効果】
【0014】
上記、請求項1,2に記載の本発明の構成によれば、操作者は、表示部の表示上で、指針を連続的に移動操作する中でゾーンマーカの所定幅と測定データの表示範囲との相対的な大きさが変更することでゾーンマーカの相対的なかつ実効的な分解能が調整できるので、複数あるピーク点を分離してゾーンマーカで捉えやすくなる。また、マーカを連続的に移動操作するなかでゾーンマーカの相対的なかつ実効的な分解能がスムースに調整できるので、操作がしやすい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1の実施形態の機能・構成を示す図である。
【図2】第1の実施形態における波形マーカについての動作・操作を説明するための図であって、一表示例である。
【図3】図2と同じ表示例であって、第1の実施形態における波形マーカについての動作・操作を説明するための図である。
【図4】図2と同じ表示例であって、第1の実施形態における波形マーカについての動作・操作を説明するための図である。
【図5】第1の実施形態における波形マーカについての動作・操作を説明するための図であって、他の一表示例である。
【図6】第1の実施形態における波形マーカについての動作・操作を説明するための図であって、他の一表示例である。
【図7】第1の実施形態における波形マーカについての動作・操作を説明するための図であって、他の一表示例である。
【図8】第1の実施形態における動作フローを示す図である。
【図9】第2の実施形態の機能・構成を示す図である。
【図10】第2の実施形態における波形マーカを操作するための第1の表示形態を示す図である。
【図11】第2の実施形態における動作フローを示す図である。
【図12】第3の実施形態の機能構成を示す図である。
【図13】第4の実施形態の機能構成を示す図である。
【図14】第3の実施形態における波形マーカについての動作・操作を説明するための図である。
【図15】第3の実施形態における波形マーカについての動作・操作を説明するための図である。
【図16】第3の実施形態における波形マーカについての動作・操作を説明するための図である。
【図17】第3の実施形態における波形マーカについての動作・操作を説明するための図である。
【図18】第5の実施形態の機能構成を示す図である。
【図19】第6の実施形態の機能構成を示す図である。
【図20】第5の実施形態における波形マーカについての動作・操作を説明するための図である。
【図21】第5の実施形態における波形マーカについての動作・操作を説明するための図である。
【図22】第5の実施形態における波形マーカについての動作・操作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
ここでは、マーカの移動量をコンロールに係る本発明について、測定装置の表示部の画面にセンサ機能を有するタッチパネルを用いた第1の実施形態、画面にセンサ機能の無い通常の表示装置を用いた第2の実施形態に分けて説明する。また、ピークマーカを複数のピークを分離しやすくする本発明については、ゾーン幅を変更する例を第3、4の実施形態で、測定データ(測定部30で測定された測定波形)を表示する範囲である表示範囲を変更する例を第5、6の実施形態で説明する。
【0017】
[第1の実施形態]
図1を基に第1の実施形態について説明する。測定部30は、ここでは、例えば、移動体通信機器等の被試験機器に信号発生部30aから実際の無線システムで規定される信号を送り、被試験機器からの信号を信号解析部30bで受信して、解析することにより、被試験機器を検査するものである。そのとき、受信した信号を時間領域で解析したり、周波数領域でその信号の周波数スペクトラムを解析することがある。そのような解析を行うとき、受信した信号、或いはそれらを変換した信号を表示部11に横軸を時間、縦軸をその時間におけるレベル(つまり測定波形の大きさ)とした時間領域座標で表される時間領域の測定波形100、或いは横軸を周波数、縦軸をその周波数におけるレベル(測定波形の大きさ)とした周波数領域座標で表されるスペクトラムの測定波形100として表示制御部20へ送り、表示制御部20でそれらを表示部11に表示させる。なお、本発明が適用可能な測定装置としては、上記の移動体通信機器を検査する測定部30を有するものに限らず、測定(撮影等も含む)して得られたデータを画像として表示し、その中に波形マーカを挿入して、その波形マーカの位置における画像特性を取得するもの、例えば、形状測定、流量測定、医用測定等の測定分野に適用可能である(第1〜第6の実施形態とも同じ)。但し、以下の説明では、測定波形を、横軸を解析の基準とする時間、周波数等、縦軸をそれらにおける測定波形の大きさで表される座標で展開されるデータとして説明する。
【0018】
表示制御部20内のデータ表示制御部21は、測定データ記憶部21aに、測定部30からの測定波形100を、測定されたときの横軸情報(例えば、横軸の時間、周波数等)をアドレスとしてその波形の大きさ(縦軸の位置に相当)を記憶する。そして、測定データ記憶部21aに記憶された測定波形100を、表示部11上の画面上に横軸―縦軸の座標とともに表示させる。
【0019】
マーカ生成部21bは、図2に示すような形態の波形マーカ110を生成するとともに、後記する指示量検知部22及び指標表示制御部23から得られる情報を基に横軸位置X1を決定し、かつその決定した横軸位置に相当するアドレスにある波形の大きさ(Y1)を測定データ記憶部21aから読み出し、表示部11に表示されている横軸―縦軸の座標上であって測定波形の上に波形マーカ110を表示させる。図2(A)がその表示例である。なお、指示量検知部22からの情報が無い初期状態では、マーカ生成部21bが横軸の特定の初期位置を与えておく。
【0020】
指示量検知部22は、図2(A)に示すように表示部11の画面(波形データを表示する表示領域、つまり横軸―縦軸で示される座標が表示される領域、以下同様の意味である。)で指針150が操作されたときの操作量、例えば、操作者が指で画面のタッチパネルに触れてその触れる位置を移動させるときはその指(指針)の移動量(操作量:以下、単に「移動量」と言ったときは、移動距離を示す。)と移動方向、或いは操作者がペン等でタッチパネルに触れてその触れる位置を移動させるときはそのペン等の移動量と移動方向を検知する。この検知は指針150の移動時間に比較して速い処理サイクルで行われる。なお、第1の実施形態では、指、ペン等を指針150で説明する。
【0021】
指標表示制御部23の指標記憶部23cは、上記の指針150の移動量の大小に対して実際に波形マーカ110を移動させる波形マーカの移動変化量(以下「波形マーカ移動量」と言う。)の大小を複数段階に分けて規定し、その規定情報を記憶しておく。例えば、波形マーカ移動量=k×(指針移動量)/N;kは比例定数、Nは自然数、として、その自然数Nを複数段階に分ける。指標記憶部2cは、規定情報としての移動量比H(N)=(波形マーカ移動量)/(指針移動量)=k/NのNに対する値を記憶しておく。
【0022】
指標生成部23bは、前記複数段階のいずれかの段階が表示部11の画面上で特定できるように管理する。その一つの形態として、指標生成部23bは、図2(A)に示すように縦方向に長さを有する棒状のマーカに、長さ方向の領域を上記の複数段階に対応して色別(或いは模様別)区分けした指標120を生成し、表示部11に表示する。図2(A)の場合は、その指標120の横軸位置は、マーカ生成部21bが決定した横軸位置、つまり波形マーカ110と同一位置にしてある。図2(A)では、指標120を4つの領域(N=N1、N2、N3、N4)に区分けして、指標の最上段の領域が移動量比H(N)=(波形マーカ移動量)/(指針移動量)が1に近い段階、指標の領域が下がるほど、移動量比H(N)が小さくなり、最下段の領域では、最小になる構成としている。
【0023】
指標選択検知部23aは、表示部11の画面に、測定波形100,波形マーカ110,指標120が表示されているときに、指針150により指標120のどの領域、つまりどの段階が指定されたかを検知する。指標選択検知部23aは、指標生成部23bが、指標をどの位置で、どのように領域(段階)を区分けして表示しているか知っているので、画面のタッチパネルでの指針150の位置から指針150で選択された特定段階Ngを判定できる。そして選択された特定段階Ngに対応する移動量比H(Ng)を指標記憶部23cを参照して読み出し、マーカ生成部21bへ送る。
【0024】
再び、上記マーカ生成部21bに戻って説明する。マーカ生成部21bは、現在の波形マーカ110の横軸位置を記憶している。そして、指針150が指標120の特定段階Ngを選択して移動したとき、その指針150の移動量と移動方向を指示量検知部22から受けて、指標選択検知部23aが検知し判定した前記特定段階Ngに対する移動量比H(Ng)を基に波形マーカ移動量を求める。つまり、波形マーカの横軸位置を波形マーカ移動量=H(Ng)×(指針150の移動量)と決定する。そして、指針150が移動した方向に、その求めた波形マーカ移動量だけ、上記の現在の波形マーカ位置の移動させた横軸位置であって、その横軸位置の測定データ記憶部21aにある波形の大きさで示される縦軸位置に、波形マーカを表示する。
【0025】
上記した一連の動作「指針150の移動―指示量検知部22による指針150の移動量の検知―指標選択検知部23aによる指標120の検知及び特定段階の判定―マーカ生成部21bによる波形マーカ110の位置決定及びその表示」は、指針150の移動中に上記した速い処理サイクルで行われて、波形マーカ110の位置が順次更新される。したがって、指針150の移動と波形マーカ110の移動とは、移動量(距離)が異なるものの時間差はない。
【0026】
したがって、見方を変えれば、同じ時間に指針150の移動量(距離)が大きく、波形マーカの移動量(距離)が少ないので、指標120の複数段階は、波形マーカ110の移動速度を複数段階に区分けし、マーカ生成部21bは、波形マーカ110の移動速度を決定しているとも言える。つまり、それぞれの移動量(距離)を速度(Vm、Vs)で表せば、波形マーカ移動量=Vm・t、指針移動量=Vs・tになる。したがって、上記移動量比H(N)=(波形マーカ移動量)/(指針移動量)=Vm・t/Vs・t=Vm/Vs=k/Nで表せる。このような理由で、特許請求の範囲における「移動量」には、距離的、速度的、双方の概念を含む表現をしている。ただし、各実施形態の説明には、距離としての移動量で説明する。
【0027】
第1の実施形態の一連の動作及び波形マーカ110の実際の動きを、図8及び図2〜図4を基に説明する。
【0028】
ステップS1;波形マーカ110を設定するスイッチがオン(Marker on)になっている状態で、タッチパネル構造の表示部11に、測定部30で測定された測定波形100及び指標生成部23bで生成した指標120を生成して、予め決めた初期位置に表示させる。指標120は、図2(A)に示すように棒状であって長さ方向に4段階に色別(模様別)で段階別に領域に区分けされている。一方、指標記憶部23cは、予め4段階の移動量比H(N)を、段階N1、N2、N3、N4(N1<N2<N3<N4)に応じて、H1,H2,H3,H4(H1>H2>H3>H4)として、段階毎に区分けされた領域に対応して記憶している。
ステップS2;マーカ生成部21bは、指標120の初期位置と同じ位置に波形マーカ110を表示させる。
【0029】
データ表示制御部21は、マーカ生成部21bが波形マーカ110の位置に相当する測定波形100の横軸の値(例えば、時間又は周波数)と縦軸の値(例えば、その時間における波形の大きさ、又はその周波数における波形の大きさ)を読み出して、表示する。図2(A)の測定値140を参照。以下、波形マーカ110の位置が更新される毎に測定値140も更新される。
【0030】
ステップS3;操作者は指針(指)150を棒状の指標120の最上段に重ねて、目標点130方向へ移動させる。
ステップS4;指標選択検知部23aは、指針150の位置が最上段の領域(N1)であることを検知、指標記憶部23cから最上段の領域に対応する移動量比H1をマーカ生成部21bへ送る。
ステップS5;指示量検知部22は、指針150の移動量及び移動方向を検知してマーカ生成部21bへ通知する。
ステップS6;マーカ生成部21bは、(移動量比H1)×(指針の移動量)なる移動量を決定する。そして、現在の波形マーカ110の位置に(移動量比H1)×(指針の移動量)なる距離を指針150の移動方向へずらした位置X1における測定波形100の大きさY1を測定データ記憶部21aから読み出す。
ステップS7;マーカ生成部21bは、波形マーカ110を座標位置(X1,Y1)に表示させる(先の表示位置を更新する)。併せて、指標生成部23bは指標120を波形マーカ110の位置へ移動、表示させる。
【0031】
上記ステップS2,ステップS4〜ステップS7の動作は、ステップS3により指針150の移動中に所定の速い処理サイクルで動作する。したがって、指針150の移動と波形マーカ110の移動とは即座に対応しているように視覚できる。
【0032】
例えば、図2(A)で指針150を移動させた結果、波形マーカ110が図2(B)のように目標点を通り過ぎた位置に表示されたとき、操作者は、指針150を下げて図3(A)のように指標120の上から2段目(N2)に置いて、目標点側へ移動させる。そうすると波形マーカ110及び指標120は(移動量比H2)×(指針の移動量)で、図3(B)のように移動することになる。移動量比H1に比べより調整しやすくなる。さらに、細かく微調整したい場合は、図4(A)のように指針150をさらに最下段(N4)に位置させた状態で移動させ、図4(B)のように目標点130に合わせることができる。
【0033】
[指針150による指標120の各段階を特定するときの特定の態様]
これには次の(1)、(2)の態様がある。
(1)態様1;指標120特定段階(特定領域)に指針150が先に置かれていたとき、次に指針150が別な特定段階(別な特定領域)に指定されるまでの間は、指針150が指標120から離れて移動しても先に置かれた位置の特定段階に対応する移動量比Hとする。そして、次に別な特定段階(別な特定領域)に置かれたときに別な特定段階に対応する移動量比Hに更新される。実際には、このような動作は、指標選択検知部23aの検知のし方で対応できる。
【0034】
これは、上記説明のステップS3で指針150を移動したときに、移動量比H1=1であれば、見かけ上波形マーカ110、指標120は、指針150の移動にほぼ同時に(ステップS2,ステップS4〜ステップS7のループ動作分の遅れは生じる。)追随して移動するので、見かけ上、これら三者はほぼ同じ位置のまま移動するように見える。しかし、移動量比H1<1であるときは、指針150の移動量が波形マーカ110及び指標120の移動量より大きいため、指針150が波形マーカ110及び指標120より離れて移動するようになる(図3(B)を参照)。したがって、態様1であれば、指標120から指針150が離れても先に決定した移動量比Hで移動できるようにできる。
(2)態様2;測定波形100が表示されている画面領域を棒状の指標120が区分けされている、例えば4段階を表す4領域に、かつ互いに平行な領域に区分けして、棒状の指標120は、各領域の目安として使用する。典型的な表示例が図5である。この場合の指標120は、目安として配置されものであって、実効的な指標は、画面において区分線160(水平な点線)で区分されている領域である。なお、図5の区分線160内の各領域を色や模様で識別表示するようにした態様が、図6に示す態様である。
【0035】
なお、図5,図6は、指標120を視覚的に認識可能に表示しているが、必ずしも視認可能にする必要はない。指針150を画面の特定領域で移動させ、次に図4(A)のように領域を下げて変更し、図4(B)のように波形マーカ110を移動させたい方向に移動させたときに、操作者は、即座に波形マーカ110の移動量がその前の領域で指針150を移動させてたときに比べ少ないのが認識できるからである。少なくとも、例えば、画面の最上段が移動量比Hが大きく、最下段が移動量比Hが小さいということさえ、操作者が認識できれば良い。
【0036】
態様2も実質は、指標選択検知部23aが移動量比Hの大きさ毎に、画面の領域を管理し、いずれの領域に指針150があるかを検知する構成で対応できる。
[指標120の態様]
(3)指標120の方向
上記(1)(2)も指標120の態様と言うことができる。ところで、上記の場合は、いずれも表示部11の画面の座標の縦軸に平行に指標120を設け、縦軸方向に指標120の各段階(各領域)を分割していたが、図7に示すように、指標120を画面の座標の横軸に平行に設け、横軸方向に指標120の各段階(各領域)を分割する構成であっても良い。これは、上記の(1)(2)も何れも適用できる。
(4)指標120と波形マーカ110との関係
指標120と波形マーカ110とは、図8及び図2、図3で説明の説明では、互いに位置が一致するように構成していた。しかし、図5や図6のように、指標120は固定であって、波形マーカ110と切り離す構成であっても良い。
【0037】
[第2の実施形態]
ここでは、図1の第1の実施形態がタッチパネルを用いていたのに対して、図9の第2の実施形態は、画面にセンサ機能の無い通常の表示装置を用いた形態の場合である。タッチパネルの場合はタッチパネルそのものが操作者の指やペンでの操作をセンシングでき、かつ操作内容が視認できる構成であるが、第2の実施形態の場合は、操作者の指やペンの代わりに画面で視認できる指針マーカ150aを表示させるとともに、その指針マーカ150aを操作部42からの操作で移動可能にすることで、第1の実施形態と同様の機能、効果を得ようとするものである。
【0038】
以下、図9を基に第1の実施形態と異なった点を中心に説明する。図9で図1と同一符号の構成は同一機能を有する。
【0039】
図9のユーザI/F部40と表示制御部50が、それぞれ、図1のユーザI/F部10と表示制御部20と、一部において異なる。
【0040】
図9の実施形態では、ユーザI/F部40の表示部41が、図1の表示部11の指針150の代わりになるものとして指針マーカ150aを表示する。その指針マーカ150aを移動させるのは、操作者が操作する操作部42におけるマウス等である。指標表示制御部24の指針マーカ生成部23dが、指針マーカ150aを生成するとともに、操作部42におけるマウス等の動きをエンコーダでコード化した操作量として受けて、その操作量に応じて指針マーカ150aを移動させる。
【0041】
図9の指示量検知部22は、操作部42のマウス等の操作量を指針マーカ生成部23dから受けて検知することになる。指針マーカ生成部23dが指針マーカ150aを画面上で移動させる量がそのまま指針マーカ150aの移動量となる場合は、必ずしも指示量検知部22は必要ではない(図9の指示量検知部22が点線枠で囲んである理由)。また、図9の表示制御部50の指標選択検知部23aは、指針マーカ生成部23dがマウス等の移動操作による操作量だけ移動させた指針マーカ150aの位置情報を受けて、その指針マーカ150aの位置情報と指標生成部23bが生成した指標120の位置情報とから指針マーカ150aで指定された特定段階Ngを特定し、移動量比H(Ng)を決定することができる。
【0042】
その他の構成は、第1の実施形態と同じである。第1の実施形態の説明における指針150を指針マーカ150aと言い換えれば、構成・動作は同じであるので、他の説明を省略する。なお、上記(1)〜(5)の態様も同じように適用できる。
【0043】
第1の実施形態の表示例である図2(A)に対応して、第2の実施形態の表示例を図10に示す。指針150が指針マーカ150aに代わっただけである。
【0044】
また、第2の実施形態の一連の動作を示すフローを図11に示す。図11と図8とは、図8における「指針」を「指針マーカ」に読み替えている点、及び、ステップS2aで指針マーカ150aを表示し、ステップS3aでステップS3における操作に応じて指針マーカ150aを移動させる点で異なる。図11でその他ステップの動作は、図8と同じなので、説明を省略する。
【0045】
[第3の実施形態]
第3の実施形態は、第1の実施形態における指標120を、幅が可変なゾーンマーカ170としての機能をもたせ、第1の実施形態における波形マーカ110を測定波形100のピーク点に表示されるピークマーカ110aとしての機能を持たせたものである。
【0046】
図12を基に第3の実施形態について説明する。図12で、図1,図9と同一符号を付した要部は、同一機能を有する。
【0047】
表示制御部60内のデータ表示制御部61は、測定データ記憶部61aに、測定部30からの測定波形100を、測定されたときの測定時間範囲における時間情報(横軸の位置に相当)をアドレスとしてその波形の大きさ(縦軸の位置に相当)を記憶する。そして、測定データ記憶部61aに記憶された測定波形100を、表示部11上の画面上に横軸―縦軸の座標とともに表示させる(図14を参照)。なお、表示部11は、タッチパネルで構成されているとして説明する。そして、マーカ操作(後記するゾーンマーカの移動操作)は第1の実施形態と同様に指針として指を用いる形態で説明する。
【0048】
ゾーンマーカ生成部64は、装置がスイッチオンされたときはデフォルトの位置と幅で、その後は後記する幅決定部63aからの指示に従った位置(以下、「ゾーン位置」と言う。)と幅(以下「ゾーン幅」と言う。)のゾーンマーカ170を生成して、表示部11に表示させる。この場合、指定されたゾーン位置(ゾーンのセンター位置)を中心にゾーン幅を変更する。図14に所定幅のゾーン幅を有する棒状のゾーンマーカ170の例を示す。
【0049】
ピークマーカ生成部61bは、幅決定部63aから(或いはゾーンマーカ生成部64から)ゾーン位置とゾーン幅の情報を受けて、そのゾーン位置とゾーン幅の情報に該当する時間位置及び時間幅を算出して、その時間位置及び時間幅における測定波形100の測定データを測定データ記憶部61aから読み出して、そのゾーン幅内における測定波形100のピーク値を求める。そして、その測定波形100のピーク位置にピークマーカ110aを生成して表示させる(図14の▽印を参照)。なお、データ表示制御部61は、その測定時間範囲を表示部11の表示面の物理的なフルスケール範囲(例えば、512ドット)に割り振って表示させる。一方で、ゾーン位置及びゾーン幅は、表示部11の表示面の物理的な位置、範囲であるので、ピークマーカ生成部61bは、ゾーン位置及びゾーン幅を受けて、測定データ記憶部61aに記憶されている測定時間範囲を参照して時間の位置及び幅に換算している。
【0050】
指標制御部63の指示位置検知部63dは、図14に示すようにタッチパネルの表示部11の画面(波形データを表示する表示領域、つまり横軸―縦軸で示される座標が表示される領域、以下同様の意味である。)上の、上記ゾーンマーカ170上で指針150が操作されたときの移動方向の位置(横方向の位置;以下「ゾーン位置」と言う。)と縦方向の位置(以下「縦位置」と言う。)とを検知する。例えば、操作者が指で画面のタッチパネルに触れてその触れる位置(指針150の位置)を移動させるときのその指(指針)の横位置と縦位置とを検知する。この検知は指針150の移動時間に比較して速い処理サイクルで行われる。なお、第3の実施形態では、指、ペン等を指針150で説明する。
【0051】
指標記憶部63cには、出荷前、或いは測定前に、予め、上記の指針150の縦位置に対応したゾーン幅を記憶しておく。例えば、縦位置の高い方から低い方に5段階に分け、指針150の位置が下がる程、ゾーン幅が狭くなる値を記憶しておく(5段階に限らない。連続的であっても良い。又、段階的に識別表示しても良い。さらにゾーン幅の広狭方向は、上記と逆であっても良い。)。これは、予め操作部12からの指示を受けて指標生成部63bが指標記憶部63cに記憶させる。
【0052】
幅決定部63aは、指示位置検知部63dが検知した縦位置を受けて、指標記憶部63cからその縦位置に該当するゾーン幅をサーチして、サーチしたゾーン幅と、指示位置検知部63dが検知したゾーン位置とを、ゾーンマーカ生成部64及びピークマーカ生成部61bに送る。
【0053】
そうすることにより、ゾーンマーカ生成部64は、表示部11上で、上記したように幅決定部63aから指示されたゾーン幅のゾーンマーカ170を、指示されたゾーン位置に配置する。一方、ピークマーカ生成部61bは、幅決定部63aから指示されたゾーン位置で決定される時間位置を中心に、指示されたゾーン幅に相当する時間幅内の波形データを測定データ記憶部61aから読みだして、その読みだされた測定データの中から最大値を示す波形位置を求めて、その位置にピークマーカ110aを付して表示させる。
【0054】
なお、指針150で変更指示してから、ゾーンマーカ170及びピークマーカ110aが変更された位置に表示される迄の時間は、速いスピードで処理されるので、操作者はゾ−ンマーカのゾーン幅及びゾーン位置の変更をし、その結果を違和感無く(スムースに)知ることができる。
【0055】
次に図14から図17の表示例を参照しながら、使用方法を含む一連の動作を説明する(一部は、上記説明と重なる)。
【0056】
図14は横軸が測定時間で縦軸が測定波形100の大きさを示す。ここでは、図14のゾーンマーカ170の位置から測定したい目標点130(○印)にセットするまでの動作を説明する。図14は、ゾーンマーカ生成部64がデフォルトとして所定のゾーン位置に所定幅のゾーン幅を有するゾーンマーカ170を表示し、ピークマーカ生成部61bがそのゾーン位置及びゾーン幅内の測定波形100のデータのピーク位置をサーチして、その位置にピークマーカ110aを表示している状態である。
【0057】
操作者が、図14において、指針150(指)をゾーンマーカ170の上部に置いて、目標点130に向けて移動させる。指示位置検知部63dは、指針の移動位置(ゾーン位置)を検知するとともに、その指針150の縦位置を検出する。幅決定部63aは、指示位置検知部63dが検知した縦位置を受けて、指標記憶部63cからその縦位置に該当するゾーン幅をサーチして、サーチしたゾーン幅と、指示位置検知部63dが検知したゾーン位置とを、ゾーンマーカ生成部64及びピークマーカ生成部61bに指示する。この縦位置に変更がなく指針150の位置だけ右側へ移動したので、ゾーンマーカ生成部64はゾーン幅を変更することなく、ゾーン位置だけ指針150の移動量と同じだけを右側へ移動させる。ピークマーカ生成部61bは、移動したゾーン位置におけるゾーン幅内の測定波形100の最大値の波形位置にピークマーカ110aを表示させる。図15は、その一例で、ゾーン幅内に目標点130を含む2つのピーク位置があり、ピークマーカ110aは目標点130より高い目標外の最大の位置に表示されている。そこで、操作者は、指針150をゾーンマーカ170上の下位の位置へ下げる。そうすると、指示位置検知部63dはその変更された指針150の位置に応じたゾーン幅(縮小したゾーン幅;実効的に指示分解能を上げることになる。)を指標記憶部63cから読み出してゾーンマーカ生成部64及びピークマーカ生成部61bに指示する。ゾーンマーカ生成部64は指示位置検知部63dの指示にしたがってゾーンマーカ170のセンター位置を変えることなくそのゾーン幅を縮小して表示する。ピークマーカ生成部61bは、縮小したゾーン幅内における測定波形の最大値の位置にピークマーカ110aを表示させる(図16を参照)。さらに、操作者は指針150を下位の位置にしたまま、縮小したゾーンマーカ170内に目標点130が入るまで移動させる。そうすることにより、指示位置検知部63dが指針150によるゾーン位置を検出し、ゾーンマーカ生成部64及びピークマーカ生成部61bに指示する。ゾーンマーカ生成部64はゾーン幅を変更することなく目標点130を含むゾーンマーカ170を表示し、ピークマーカ生成部61bは、移動したゾーン位置におけるゾーン幅内の測定波形100の最大値の位置、この場合は目標点130にピークマーカ110aを表示させる(図17を参照)。
【0058】
上記構成により、ゾーンマーカ170の幅をスムーズに変更しながら移動させることができるので、目標点130近くにあるピーク点をスムーズに分離して、ゾーンマーカ170により目標点を捉えることができる。
【0059】
[第4の実施形態]
図13を基に第4の実施形態について説明する。図13で、図1,図9、図12と同一符号を付した要部は、同一機能を有する。
【0060】
第4の実施形態は、第3の実施形態において、図13におけるユーザI/F部40の表示部41をタッチパネルではない通常の表示部に変更したものである。それにしたがって、第3の実施形態で指針150を指として説明していたが、その指に代わるマーカとしての指針マーカ150aを操作部42から操作できる構成にしたものである。つまり、図13の指針マーカ生成部67が、操作部42からのエンコーダ等(例えば、マウス)により操作者による操作量、方向を示す情報を受けて、その情報に沿った移動方向、位置に指針マーカ150aを生成して表示部41に表示させるとともに、その指針マーカ150aの移動方向、位置を指示位置検知部63dに知らせる。その他の動作は、第3の実施形態と同じなので説明を省略する。
【0061】
[第5の実施形態]
図18を基に第5の実施形態について説明する。図18で、図1,図9、図12、図13と同一符号を付した要部は、同一機能を有する。
【0062】
第3の実施形態が、指針150の縦位置に応じてゾーンマーカ170の幅を変えて、測定波形100に対する指示分解能を変更していたのに対して、第5の実施形態は、ゾーンマーカ170の幅を一定幅にしたまま測定波形100を表示するときの表示範囲(「表示時間範囲」とも言える。)を変更することで、ゾーンマーカ170の測定波形100に対する指示分解能が変更され、目標点130をピークマーカ110aで捉えやすくしたものである。したがって、第3の実施形態と第5の実施形態では、指示分解能を良くするために制御する対象が異なるものの、相対的に、かつ実効的に同じ思想である。
【0063】
ただし、測定部30は、後記するように測定波形100を表示するときの横軸の表示時間幅の拡大/縮小に対応できるように、横軸の時間の細かさのデータ数を取得して、測定波形100の測定データとして測定データ記憶部61aに記憶させておくものとする。例えば、横軸を物理的な表示ポイント数をNとしたときの、最小に縮小時の時間幅ΔTを表示するとし、最大Max倍に拡大可能にするためには、(ΔT/N)÷Maxより細かい細かさで、N×Max個以上のデータ数を取得しておく。
【0064】
また、表示部11をタッチパネルで構成した例が、第5の実施形態であり、通常の表示部で構成した例が、後記する第6の実施形態である。
【0065】
図18において、以下、図12との差違を中心に説明する。図13の指標制御部65内の指標記憶部63fには、出荷前、或いは測定前に、予め、上記の指針150(指)の縦位置に対応した、表示させるために測定データ記憶部61aから読み出す表示範囲(横軸相当の表示時間幅になる。)を記憶しておく。例えば、縦位置の高い方から低い方に5段階に分け、指針150の位置が下がる程、表示時間幅が短くなる値を記憶しておく。これは、予め操作部12からの指示を受けて指標生成部63gが指標記憶部63fに記憶させる。指標記憶部63fに記憶される表示時間幅は、絶対値でも良いし、倍率m(<Max)でも良い。
【0066】
幅決定部63eは、指示位置検知部63dが検知した縦位置を受けて、指標記憶部63fからその縦位置に該当する表示時間幅をサーチして、サーチした表示時間幅と、指示位置検知部63dが検知したゾーン位置とを、ゾーンマーカ生成部64及び測定データ記憶部61aに送る。
【0067】
ゾーンマーカ生成部64は、一定の幅(操作部12から変更可能にされていても良い。)の縦長の棒状のゾーンマーカ170を生成し、幅決定部63eから指示されたゾーン位置(ゾーンマーカのセンターの位置)に表示する。一方、ゾーンマーカ生成部64は、一定の幅の情報をピークマーカ生成部61bに送る。
【0068】
データ表示制御部61は、指示位置検知部63dが検知したゾーン位置に該当する時間位置を中心に、横軸の時間範囲を上記の幅決定部63eから受けた表示時間幅とし、縦軸を測定波形100の大きさとする座標と測定データ記憶部61aに記憶されている測定波形100を表示部11に表示させる。最新のゾーンマーカ生成部64はこの表示部11に表示されている測定波形100上に表示される。データ表示制御部61は、例えば、上記のように、横軸の表示ポイント数をN、最小に縮小表示時の時間幅ΔT、最大拡大幅Max倍という条件のもとで、最小に縮小表示しているときは、測定データ記憶部61aから時間間隔(アドレス間隔)がMaxおきに測定波形データを取得して表示ポイントNに順次割り当てて表示させる。そのとき、幅決定部63eから受けた表示時間幅がm倍にする変更指示があったときは、測定データ記憶部61aから時間間隔(アドレス間隔)がMax/mおきに測定波形データを取得して表示ポイントNに順次割り当てて表示させる。しかも、ゾーン位置に該当する時間位置に該当する表示ポイントを中心に割当てて表示する。
【0069】
ピークマーカ生成部61bは、測定データ記憶部61aから指示位置検知部63dが検知したゾーン位置に該当する時間位置を中心(ゾーンマーカ170の中心位置)にゾーンマーカ生成部64から指示されたゾーンマーカ170の幅の時間範囲に該当するデータを読み出して、最大値を示す波形位置をサーチし、その表示部11上のサーチした波形位置にピークマーカ110aを表示させる。
【0070】
指針150(指)が移動してから、その指針150の縦位置、横位置(ゾーン位置)を検知して最新のゾーンマーカ170及びピークマーカ110aが表示されるまでの処理時間は短いので、操作者は違和感なく観察できる。
【0071】
次に図20〜22を基に、操作方法と併せて、一連の動作を説明する。
【0072】
図20は横軸が測定時間で縦軸が測定波形100の大きさを示す。ここでは、図20のゾーンマーカ170の位置から測定したい目標点130(○印)にセットするまでの動作を説明する。図20は、ゾーンマーカ生成部64がデフォルトとして所定のゾーン位置に一定幅のゾーン幅のゾーンマーカ170を表示し、ピークマーカ生成部61bがそのゾーン位置及びゾーン幅内の測定波形100のデータのピーク位置をサーチして、その位置におけるピークマーカ110aを表示している状態として説明する。
【0073】
操作者が、図20において、指針150(指)をゾーンマーカ170の上部に置いて、目標点130に向けて移動させる。指示位置検知部63dは、指針150の移動位置(ゾーン位置)を検知するとともに、その指針150の縦位置を検出する。幅決定部63eは、指示位置検知部63dが検知した縦位置を受けて、指標記憶部63fからその縦位置に該当する表示時間幅をサーチして、サーチした表示時間幅と、指示位置検知部63dが検知したゾーン位置とを、ゾーンマーカ生成部64及び測定データ記憶部61a(データ表示制御部61)に指示する。この縦位置に変更がなく指針150の位置だけ右側へ移動したので、ゾーンマーカ生成部64はゾーン位置だけ指針150の移動量と同じだけ右側へ移動させる。ピークマーカ生成部61bは、移動したゾーン位置におけるゾーン幅内の測定波形100の最大値の位置にピークマーカ110aを表示させる。図21はその一例で、ゾーン幅内に目標点130を含む2つのピーク位置があり、その中でもピークマーカ110aは目標外の最大の位置に表示されている。そこで、操作者は、指針150をゾーンマーカ170上の下位の位置へ下げる。そうすると、指示位置検知部63dはその縦位置を検出し、幅決定部63eは変更された指針150の縦位置に応じた表示時間幅を指標記憶部63fから読み出してゾーンマーカ生成部64及び測定データ記憶部61a(データ表示制御部61)に送り、短くした表示時間幅での表示を指示する。データ表示制御部61は、短くされた表示時間幅を横軸のフルスケールに割り振った座標とともに測定波形100を表示部11に表示させる。したがって、表示される測定波形100は、表示時間幅が短く変更される前に比べ拡大して表示される。図22はその一例である。図22では、この時点でゾーン幅内に目標点130が含まれている。ゾーンマーカ170の幅が一定のままであるから、ゾーンマーカ170が測定波形100に対する指示分解能は実効的に良くなる。ピークマーカ生成部61bは、短くされた表示時間内の測定波形100のデータであって、ゾーンマーカ170のゾーン幅内における測定波形の最大値の位置にピークマーカ110aを表示させる。図22では、目標点130にピークマーカ110aが表示され、そのピークの波形位置における測定値が、画面の右サイドに数値として表示される。
【0074】
上記構成により、測定波形100の表示範囲をスムーズに変更しながら移動させることができるので、相対的にゾーンマーカ170の指示解能を上げることにより、目標点130近くにあるピーク点をスムーズに分離して、ゾーンマーカ170及びピークマーカ110aにより目標点130を捉えることができる。
【0075】
[第6の実施形態]
図19を基に第6の実施形態について説明する。図19で、図1,図9、図12、図13、図18と同一符号を付した要部は、同一機能を有する。
【0076】
第6の実施形態は第5の実施形態において、図19におけるユーザI/F部40の表示部41をタッチパネルではない通常の表示部に変更したものである。それにしたがって、第5の実施形態で指針150を指として説明していたが、その指に代わるマーカとしての指針マーカ150aを操作部42から操作できる構成にしたものである。つまり、図19の指針マーカ生成部67が、操作部42からのエンコーダ等により操作者による操作量、方向を示す情報を受けて、その情報に沿った移動方向、位置に指針マーカ150aを生成して表示部41に表示させるとともに、その指針マーカ150aの移動方向、位置を指示位置検知部63dに知らせる。その他の動作は、第5の実施形態と同じなので説明を省略する。
【0077】
上記の第1〜第6の実施形態の各表示制御部は、上記説明の機能動作を行うプログラム及びそれを実行するCPU、及びデータを記憶するメモリを含んで構成される。各表示制御部は機能動作毎にブロック分けして説明しているが、各機能動作及びブロックを集合・離散させて動作させることも可能である。いずれにしても、本発明の主旨を実行する機能動作を実行する構成を有する限り、本発明の範疇である。
【符号の説明】
【0078】
10 ユーザI/F部、 11 表示部、 12 操作部、 20 表示制御部、
21 データ表示制御部、 21a 測定データ記憶部、 21b マーカ生成部、
22 指示量検知部、 23 指標表示制御部、 23a 指標選択検知部、
23b 指標生成部、 23c 指標記憶部、 23d 指針マーカ生成部、
24 指標表示制御部、30 測定部、 30a 信号発生部、
30b 信号解析部、 40 ユーザI/F部、
41 表示部、 42 操作部、 50 表示制御部
60 表示制御部、 60A 表示制御部、 60B 表示制御部、
60C 表示制御部、 61 データ表示制御部、61a 測定データ記憶部、
61b ピークマーカ生成部、63 指標制御部、 63a 幅決定部、
63b 指標生成部、 63c 指標記憶部、 63e 幅決定部、
63f 指標記憶部、63g 指標生成部、64 ゾーンマーカ生成部、
65 指標制御部、67 指針マーカ生成部
100 測定波形、 110 波形マーカ、 110a ピークマーカ
120 指標、 130 目標点、
140 測定値、150 指針、15a 指針マーカ、160 区分線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作部(11)と表示部(12)とを有するユーザI/F部(10)と、被測定物又は被測定信号を測定する測定部(30)と、前記測定部により得られた測定データに基づいて前記表示部に所定表示範囲で表示される測定波形上に、前記ユーザI/F部からのマーカ操作に応じて所定幅のゾーンマーカの位置を移動させて表示させるゾーンマーカ生成部(64)、及びその所定幅のゾーン内における波形の最大位置にピークマーカを表示させるピークマーカ生成部(61b)を有する表示制御部(60b)と、を備えた測定装置であって、
前記表示制御部は、前記マーカ操作が前記表示部の前記ゾーンマーカ上に指針を置いて、該指針を移動させることで該ゾーンマーカが移動可能な構成にされており、さらに、該ゾーンマーカ上に位置する該指針の前記所定幅と直交する縦方向の位置を検知する指示位置検知部(63d)と、該検知された該指針の縦方向の位置に応じて、前記所定表示範囲を変更させる幅決定部(63e)とを備え、前記ピークマーカ生成部は、変更された該所定表示範囲で表示された前記ゾーンマーカの所定幅のゾーン内における波形の最大位置に前記ピークマーカを表示させることを特徴とする測定装置。
【請求項2】
前記指示位置検知部は、さらに前記ゾーンマーカの所定幅の中心位置を検知し、前記測定部は、該指示位置検出手段が検知した該ゾーンマーカの中心位置を中心に、前記所定表示範囲を前記幅決定部から変更指示された前記表示範囲に変更して表示させることを特徴とする請求項1に記載の測定装置。

【図8】
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【図9】
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【図11】
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【図13】
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【図19】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図10】
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【図12】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2012−18192(P2012−18192A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−234933(P2011−234933)
【出願日】平成23年10月26日(2011.10.26)
【分割の表示】特願2009−85235(P2009−85235)の分割
【原出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000000572)アンリツ株式会社 (838)