説明

準個室化設備及びこれを備えた医療・介護施設

【課題】医療・介護施設の大部屋を個室状空間に仕切るための設備において、物の収納機能や机としての機能を保持させて価値を高めつつ、ベッドの出し入れも容易ならしめる。
【手段】準個室化設備は、収納ユニット7,8と仕切り壁60とを備えた固定式仕切り装置1と、その前面に取付けた可動式仕切り体2とから成っている。可動式仕切り体2は水平回動式又は前後スライド式である。可動式仕切り体2を突出していない退避状態にすることにより、通路12の横幅を多きくすることなくベッドBの出し入れを行える。固定式仕切り装置1はキャビネットとしても机としても使用できる多機能であるため、しごく便利である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、例えば病院の大部屋を個室状に仕切る場合のように広い空間を複数の個室状空間に仕切ることに使用する準個室化設備、及び、この設備を使用した医療介護施設に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記したように、病院や介護施設では病室を各患者ごとに仕切ることが行われている。この仕切り手段として従来はカーテンや衝立が主流であったが、近年、患者のプライバシー尊重や生活環境改善のため、個室に近い状態に仕切ることが推奨されている。他方、病院や介護施設ではベッドを移動させることが行われており、従って、大部屋を個室状に仕切ってもベッドを出し入れできる必要がある。
【0003】
そこで、例えば特許文献1では、個室状空間を左右の壁と通路側の壁とで仕切ると共に、通路側には出入り口を設けた構造において、通路側に位置した壁を水平回動自在な構成とすることにより、個室状空間の仕切り機能を確保しつつベッドの出し入れの容易性を図っている。
【0004】
他方、特許文献2には、収納部を一体化した仕切り装置が開示されている。すなわちこの特許文献2のものは、隣合ったベッドの間のうち奥側の部位に(すなわち壁際の部分に)、引き出しや扉を有する左右一対の収納部が一体化された設備を配置し、左右の収納部の間に間仕切パネルを前後動自在に配置している。また、この特許文献2の設備は、隣合ったベッドの上方まで延びる天蓋を備えており、天蓋に照明器具を設けている。
【特許文献1】特開平09−256519号公報
【特許文献2】特開平11−216032号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献1の設備は、オフィスで多用されている間仕切構造を病院の準個室化設備に転用したものと言え、仕切り機能しか備えていない。従って、物を収納するためにはロッカーやキャビネット等の家具を別に設置しなければならない。このため、全体としてのコストが嵩むことになる。また、通路側に位置した壁を水平回動させると、隣の個室状空間の出入り口が塞がれることになり、隣の患者に迷惑を掛ける場合があるという点も問題であった。
【0006】
他方、特許文献2では、収納部の本体は個室状空間の出入り口の方に向かって開口しており、従って、収納部は仕切り機能は備えておらず、空間の仕切り機能は専ら間仕切パネルが担うことになるため、仕切り機能が低いという問題がある。
【0007】
更に述べると、この特許文献2では、間仕切パネルはその後端が収納部の前端部に位置した前進位置と、その後端が収納部の奥部まで移動した後退位置とに移動させるもので、従って、間仕切パネルの移動ストロークは収納部の奥行き寸法と略同じ寸法になるが、収納部の奥行き寸法は物品出し入れの容易性やスペース確保の点からあまり大きくできず、このため、隣合った空間を完全に仕切る位置まで間仕切パネルを引き出すことはできず、この面からも仕切り機能が低かった。
【0008】
本願発明は、このような現状を改善することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願発明の準個室化設備は、室内空間を仕切って同じ方向に開口した左右の個室状空間を形成する設備であり、この設備は、安定して自立できる横幅を有する固定式仕切り装置と、自身では自立できない薄型の可動式仕切り体とを備えており、これら固定式仕切り装置と可動式仕切り体とは、固定式仕切り装置が個室状空間の奥側に位置して可動式仕切り体が入り口側に位置した状態で平面視直線状に配置することによって左右の個室状空間を完全に仕切るようになっている。
【0010】
そして、前記固定式仕切り装置には、平面視で両個室状空間の境界線と直交した方向から物を出し入れできる収納部が形成されており、この固定式仕切り装置に前記可動式仕切り体を、左右の個室状空間を完全に仕切るように固定式仕切り装置から前向きに延びる突出状態と固定式仕切り装置から殆ど又は全く突出しない退避状態とに自在に切り換えできるように取付けている。
【0011】
なお、本願発明における「固定式」とは、使用状態で動かさないという意味であり、移動できないという意味や床にアンカー等で固定されることを要件とする意味ではない(勿論、アンカー等で固定することは可能である)。また、「固定式」とは全体として移動しないという意味であり、固定式仕切り装置が例えばキャビネットの扉や引出しのような動く部分を含んでいても差し支えない。
【0012】
請求項2の発明及び請求項3の発明は、請求項1において、前記固定式仕切り装置は、一方の個室状空間から使用できる一方の収納ユニットと他方の個室状空間から使用できる他方の収納ユニットとを備えており、これら両収納ユニットを背中合わせに配置している。
【0013】
そして、可動式仕切り体を突出状態と退避状態とに切り換える手段として、請求項2では、前記固定式仕切り装置には、可動式仕切り体を突出状態と同じ姿勢のままで後退させて退避状態と成し得る格納部が形成されている一方、請求項3の発明では、前記可動式仕切り体は退避状態で固定式仕切り装置の前面に重なるようになっており、可動式仕切り体を、突出状態と退避状態とに姿勢変更自在となるように固定式仕切り装置に回動自在に取付けている。
【0014】
請求項4の発明は医療・介護施設に係るものであり、この施設は、請求項1〜3のうちの何れかに記載した準個室化設備で仕切られることによって個室状空間が形成されており、各個室状空間に、平面視長方形でかつ突出状態にある可動式仕切り体の手前側にはみ出ない長さの移動自在なベッドが、奥行き方向に長く延びる姿勢でかつ準個室化設備との間に人の歩行通路が空く状態で配置されている。
【0015】
そして、前記準個室化設備の固定式仕切り装置は、個室状空間の奥側に位置して高さが一般成人の身長よりも高い表裏一対の収納ユニットと、表裏収納ユニットと略同じ高さでかつ表裏収納ユニットの境界部から手前に延びる仕切り壁とを備えており、仕切り壁の左右両側に、一般成人が机とて使用可能な天板を配置しており、天板の下方は椅子を格納できるオープン空間と成しているか又はキャビネット状の収納部と成しており、
更に、各個室状空間の開口部には、当該開口部を塞ぐスライド自在なカーテンが、突出状態にある可動式仕切り体の左右両側の空間を開閉できる状態で吊支されている。
【発明の効果】
【0016】
本願発明の準個室化設備は、仕切り機能に加えて物品収納機能とを備えているため、個室状空間にわざわざ収納家具を設置する必要がなく、全体としてのコストを抑制することができる。また、固定式仕切り装置は安定して自立できるためその高さを高くでき、このためスペースを収納部の収納量も大きくすることができる。
【0017】
また、固定式仕切り装置の収納部は、平面視で両個室状空間の境界線と直交した方向から物を出し入れするものであるため、固定式仕切り装置の長さ(個室状空間の奥行き方向の長さ)を長くすることができ、このため設備全体としても重厚を持たせて高い仕切り機能を発揮することができる。
【0018】
そして、可動式仕切り体は突出状態と退避状態とに切り換え自在であるため、請求項4のように医療・介護施設に設置すると、通常は可動式仕切り体を突出状態にしておくことによって隣り合った個室状空間を確実に仕切りつつ、可動式仕切り体を退避状態に動かすことによってベッドの出し入れを容易に行える。
【0019】
請求項2及び3のように、収納部が背中合わせに配置された収納ユニットを備えた構成にすると、安定性がより一層向上する利点がある。また、請求項2のように可動式仕切り体を固定式仕切り装置の格納部に退避させる構成にすると、可動式仕切り体を退避状態にしたときに全体としてスッキリさせることができる利点があり、請求項の3のように可動式仕切り体を回動式に構成すると、スライド式のような戸袋部やスライド機構は不要になるため、構造を著しく簡単にすることができ、このため大巾にコストダウンできる利点がある。
【0020】
固定式仕切り装置は、全体をキャビネット状や棚状の収納部に形成して、その高さを一般成人の身長より高い高さに設定することも可能であるが、収納部は両個室状空間の境界線を挟んだ両側に広がっているため、固定式仕切り装置の全体を高い高さの収納部と成すと人に圧迫感を与える場合があり、また、天井からの照明が遮られ過ぎる虞がある。
【0021】
これに対して請求項4のように構成すると、仕切り壁を挟んだ両側の空間は天板の上方に広い空間が開くため圧迫感を無くすか抑制でき、また、天井からの採光減少も抑制できる。また、天板を書き物や読書やパソコン操作等に使用できるため頗る便利である。
【0022】
また、請求項4のように構成すると、カーテンを閉じた状態で可動式仕切り体の左右両側に空間が開いていわば出入りが広がった状態になるため、個室状空間の使用者が圧迫感を受けることを抑制がきる。また、カーテンを閉じると可動式仕切り体の左右両側の空間が外部から隠れるため、この可動式仕切り体の左右両側の空間に外部から視認できない状態で物を置くことができ、このため便利である。
【0023】
ところで、病院には、例えば4床以上のベッドを配置できる大部屋の他に、床から天井まで届く基礎壁で四方を仕切った個室があり、この個室を患者の希望で使用する場合は、病院は差額ベッド代を徴収できる仕組みになっている。この場合、差額ベッド代を徴収できる個室の条件として、固定物を除いた床面積が一定の広さ(概ね6.4m2 )以上あることが求められている。
【0024】
入院患者の環境改善のためには完全な個室を多数設けるということも考えられるが、これは膨大な工事費が必要であるため現実性に乏しく、また、完全な個室であると患者の状態を看護士や医師が容易に把握しがたいという問題や、患者に圧迫感を与える問題があり、このため患者によっては却って不安を覚える場合もある。
【0025】
この点について特許文献1のように固定式の間仕切で大部屋を仕切って個室化することも考えられるが、これは既述のような問題があり、また、ドアの開閉が面倒であるため看護士等が患者の容体を把握しづらいという問題もある。更に、間仕切りで仕切られた内部を差額ベッド代の徴収可能な広さにすると、スペースの利用効率が悪化することになる。
【0026】
他方、本願請求項4のように構成すると、左右の個室状空間が収納部を有する仕切り設備で仕切られていることにより、隣り合った個室状空間の仕切り機能を向上させてプライバシーの確保に貢献でき、しかも、個室状空間の開口部を塞いでいるカーテンはドアに比べて簡単に開閉できるため、看護士や医師による患者の容体確認も容易にできて看護士・医師(或いは付き添い人)の手間を軽減できると共に、患者は安心感を得ることができる。
【0027】
また、空間をパネル類で完全に仕切るものではないため過度の圧迫感を与えることもない。更に、既述のとおり、可動式仕切り体の存在により、スペースの利用効率を確保した状態でベッドの出し入れも容易に行える。
【0028】
そして、仕切り設備が固定式仕切り装置を備えて高い仕切り機能を持っていることや、仕切り設備が収納部や机として使用できる天板を備えていた患者に高い満足度を与え得ることから、本願発明の仕切り設備で仕切られた個室状空間は差額ベッド代を徴収可能な準個室に認定され得るが、その場合、カーテンは固定構造物ではないため、個室状空間の手前の通路部分も準個室の一部と見なされ、このため、仕切り設備の奥行き寸法を過度に大きくすることなく、差額ベッド代を徴収できる準個室としての床面積を確保することができる。
【0029】
結局、請求項4のように本願の仕切り設備とカーテンとを組み合わせることにより、患者に高い満足度を与えて差額ベッド代の徴収に値する準個室を効率よく簡単に形成できるため、病院の収益向上にも貢献できるのであり、結果として、病院・介護施設のサービスの質の向上に貢献できるのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
次に、本願発明の実施形態を図面に基づいて説明する。本願発明は医療施設の大部屋病室を複数の準個室に仕切る(例えば従来の6人部屋を4人用の準個室に仕切る)ための設備に適用している。
【0031】
(1).第1実施形態の概要
図1〜図5では第1実施形態を示しており、このうち図1は病室に設置した状態での斜視図、図2は設備の分離斜視図、図3は設備の平面図である。
【0032】
準個室化設備Aは、平行に配置された2つのベッドBの間に配置することにより、1つのベッドBが設置されているスペースを個室状空間Sと成すもので、準個室化設備Aは、木製の固定式仕切り装置1と可動式仕切り体2とを備えている。各ベッドBは平面視長方形であり、個室状空間Sの奥行き方向に延びる姿勢で配置されている。なお、ベッドBの配置態様は病室の広さや形状に合わせて自由に設定できる。
【0033】
固定式仕切り装置1と可動式仕切り体2とは、平面視で2つの個室状空間Sの境界線(仕切りライン)3(図3参照)に沿って長く延びており、個室状空間Sの開口部はカーテン4で遮られている。カーテン4は、室の天井に固定した又はロッドを介して天井から吊支されたレール5にスライド自在に吊支されている。
【0034】
固定式仕切り装置1は、個室状空間Sの奥側に位置した表裏一対の第1収納ユニット7と、その手前に位置した第2収納ユニット8とから成っている。第1収納ユニット7の対と第2収納ユニット8の対とは、それぞれ両個室状空間Sの境界線(仕切りライン)3を挟んで背中合わせ状に配置されており、一体に連結されている。第1収納ユニット7は一般成人の身長よりも高い高さ(例えば180〜200cm程度)である一方、第2収納ユニット8は一般成人の大腿部程度の高さ(例えば60〜80cm程度)になっており、上面を机として使用することが可能になっている。
【0035】
可動式仕切り体2は板状に形成されていて第1収納ユニット7よりも若干低い高さであり、表裏の収納ユニット7,8の間には可動式仕切り体2を格納するための格納部の一例として戸袋状空間6が形成されている。そして、可動式仕切り体2は、平面視でその大部分が表裏収納ユニット7,8の間に入り込んだ退避状態と、第2収納ユニット8の手前側に大きくはみ出した突出状態とに前後動自在であり、前後移動自在にガイドするガイド手段として本実施形態では、第1収納ユニット7の上面に固定して手前側に延びる天レール9で吊支している。可動式仕切り体2の前端面には把手10を設けている。
【0036】
可動式仕切り体2は、前進し切った状態でその後端部が表裏の第1収納ユニット7の間に位置している。また、可動式仕切り体2が後退した状態でも前進した状態でも、第2収納ユニット8の上方の空間は可動式仕切り体2で仕切られている。
【0037】
ベッドBはキャスター11を備えていて自在に移動させることができる。そして、通常は可動式仕切り体2を前進させておくことによって個室状空間Sを完全に仕切り、ベッドBを移動させる場合は、可動式仕切り体2を後退させる。個室状空間Sに出入りするための通路12はベッドBを移動させ得る程度の幅寸法しかないのが一般的であるため、可動式仕切り体2を後退させることにより、狭い通路であっても図3に示すようにベッドBを容易に移動させることができる。
【0038】
本明細書では構造を特定するために前後・左右の文言を使用するが、これは、個室状空間Sを出入り口の方向から向いた状態での前後・左右である。
【0039】
なお、病室でのベッドBの配置態様は部屋の大きさや形状に応じてまちまちであり、通路12の片側が壁Wである場合と、通路12を挟んだ両側にベッドBを配置している場合とがある。病室のドア13の側に位置したベッドBを移動させる場合は、可動式仕切り体2を後退させてベッドBをいったん通路12の奥側に移動させ、それから、進行方向を変えて移動させたら良い。
【0040】
可動式仕切り体2は板状で薄いため、可動式仕切り体2を突出させた状態でその左右両側に前部空間S′(図3参照)が空いており、このため個室状空間Sの出入り口が広くなっていて出入りしやすい。カーテン4を閉じると前部空間S′も覆われる。本実施形態ではカーテン4が突出状態での可動式仕切り体2のやや手前に位置しているが、カーテン4の前後位置と突出状態での可動式仕切り体2の前端の前後位置を揃えてもよい。
【0041】
(2).固定式仕切り装置の詳細
次に、各部位の詳細を、従前の図に加えて図4及び図5も参照して説明する。図4のうち(A)は準個室化設備Aの側面図、(B)は(A)のB−B視断面図、(C)は(A)のC−C視図、図5のうち(A)は図4の VA-VA視断面図、(B)は図4の VB-VB視断面図、(C)は図4の VC-VC視断面図である。
【0042】
第1収納ユニット7及び第2収納ユニット8は、人がベッドBを背にして境界線3を向いた状態で物品を出し入れできる姿勢になっている。換言すると、各収納ユニット7,8はベッドBに向けて開口している。
【0043】
第1収納ユニット7の下部は2段の抽斗15で構成され、抽斗15の上方の部分は観音開き式の扉16,17で覆われたロッカー状(キャビネット状)の上部収納空間になっている。この場合、観音開き式の2枚の扉16,17は大きさ(横幅)が相違しており、奥側に位置した扉16の横幅を大きくしている。また、ロッカー状の部分の内部は、2枚の扉16,17の先端が重なる縦仕切り板18で前後に仕切られている。
【0044】
ところで、水平回動式の扉は開いた状態で邪魔なることがある。この場合、奥側の扉16は開いても壁Wと重なって人の邪魔にはならず、主として手前側の扉17が開いたときに邪魔になるが、本実施形態のように手前側の扉17の幅を小さくすると、扉16,17を開いても邪魔になりにくい利点がある。また、第1収納ユニット7の上部空間に検査機器等の機器類を置く場合があり、これら機器類はある程度の大きさも持っているものが多いが、上部空間を前後に仕切ることにより、検査機器類の載置機能を損なうことなく、例えば衣類を検査機器類と緩衝しない状態で収納できる。
【0045】
なお、第1収納ユニット7の上部空間に固定式又は着脱式の棚板を配置しても良いのである。更に、上部空間の扉として引き戸を設けたり、扉を設けずにオープンのままにすることも可能である。また、必ずしも抽斗15は必要ない。
【0046】
図2や図5から理解できるように、表裏の第1収納ユニット7は天板19と底板20と奥側板21とを共用しており、従って、表裏の第1収納ユニット7は一体化されている(勿論、表裏の収納ユニットを別体に構成しても良い。)そして、表裏の第1収納ユニット7の背板22の間に、既述のとおり、可動式仕切り体2が移動自在な戸袋空間6が空いている。表裏の第1収納ユニット7が1枚の天板19を共用していることを利用して、天レール9は第1収納ユニット7の天板19にビスで固定されている。
【0047】
図2から容易に理解できるように、第1収納ユニット7における前側板24の下端部は可動式仕切り体2の移動通路を挟んだ両側に開いた切欠き部25になっており、この切欠き部25にケーブル類Cを配線できるようになっている。また、図示していないが、第1収納ユニット7における奥側板21の下端にも配線用切欠き部が形成されている。
【0048】
第2収納ユニット8は天板31を備えており、前面が開口して底板8aが露出しているオープン方式になっている(勿論、扉を設けても良い。)。図示していないが、内部に棚板を配置することが可能である。本実施形態では第1収納ユニット7の手前に第2収納ユニット8を配置して、第2収納ユニット8を机に兼用しているが、第2収納ユニット7の手前に天板のみを配置することも可能である。
【0049】
図5(C)に示すように、第1収納ユニット7の一方の側板26はビス27で第1収納ユニット7に固定されている。従って、固定式仕切り装置1は全体として一体化して堅牢な構造になっている。
【0050】
また、第2収納ユニット8の奥部には、背板28とその手前に配置した補助仕切り板29とで囲われた配線空間30が形成されている。第2収納ユニット8の天板31には、前記配線空間30と連通する長穴(図示せず)が空いており、この長穴を塞ぐ状態で天板31の上面にリアパネル32を固着し、このリアパネル32にコンセント33(図2及び図3参照)を設けている。コンセント33に加えて又は代えて、リアパネル32に通信用やテレビ用ジャックを設けることも可能である。
【0051】
第2収納ユニット8のリアパネル32は天板31から段違い状に高くなっているため、天板31の上に置いた小物が後方に落ちることを防止できる。また、天板31に載せた物品が可動式仕切り体2に当たった状態であると、可動式仕切り体2を引き出すことによって物品が落下したり倒れたりする虞があるが、リアパネル32を設けることにより、天板31に置いた物品が可動式仕切り体2に当たることを防止できるため、可動式仕切り体2の引き出しによって物が転倒したり落下したりすることを防止できる。
【0052】
可動式仕切り体2に物品が当たることを防止する間隔保持手段としては、コンセント類を有するリアパネル32には限らず、例えば線材製の堰部材を配置するなどしても良い。
【0053】
図示していないが、第2収納ユニット8に奥側の側板34の下端部には、前記配線空間にケーブル類Cを引き出すための切欠きが下向きに開口するように形成されており、この第2収納ユニット8の切欠きは、例えば図2に示した第1収納ユニット7における前側板24の切欠き部25と連通している。このため、ケーブル類Cは外部に露出させることなく美麗に配線できる。配線空間30を背板28と補助仕切り板29との間に形成したことにより、ケーブル類が可動式仕切り体2と緩衝することを防止できる。
【0054】
(3).可動式仕切り体の詳細
可動式仕切り体2は側面視略四角形に形成されており、例えば図2に明示するように、周囲を構成する上下左右の外枠36を備えており、外枠36で囲われて部分のうち略下半部は木製等の不透明素材からなる幕板37で塞ぎ、幕板37の上方には、縦横の桟材38で固定された透光板39の群を配置している。
【0055】
透光板39は半透明の樹脂板やスリガラス、障子紙等の紙類、樹脂フィルム、スクリーン状の織地又は編み地など、様々のものを採用できる。また、桟材38は必ずしも必要はなく、例えば、1枚の広い透光板(或いは透光シート)を外枠材36に張ることも可能であり、更には、例えば上半部を開口して、これに引き違い式の扉を設けるといったことも可能である。透光板39に代えて非透光板を用いることも可能である。
【0056】
図4から理解できるように、可動式仕切り体2の幕板37の上端は第2収納ユニット8よりも上方に位置している。このため、第2収納ユニット8の上面に置いた物品が透光板39に当たって透光板39が破損する事故を防止できる。
【0057】
天レール9は下向き開口の略C字状の形態であり、可動式仕切り体2の上面には、天レール9の内部に嵌まり込む前後一対のランナー40を突設している。ランナー40には天レール9の二つのリップを転動するコロ41を設けている。可動式仕切り体2の上部の外枠36には、ランナー40を取付けるための横向き開口の丸穴42が空いており、丸穴42に嵌め込んだ固定具43によってランナー40を固定している。
【0058】
本実施形態では既述のとおり天レール9は第1収納ユニット7の天板19の上面に固定されており、従って、天レール9は片持ち梁状に突出した部分でのみランナー40の走行が可能である。他方、可動式仕切り体2の後部は表裏の第1収納ユニット7の間に進入する。このため、ランナー40は、可動式仕切り体2の上面のうち前後方向に沿った中途部に設けている。
【0059】
可動式仕切り体2は、第1収納ユニット7の天板19と底板20との間に入り込むが、底板20は床面Fからある程度の高さがある。このため、可動式仕切り体2は前倒れする傾向を呈する。そこで、可動式仕切り体2の下面のうち略前半部に、床面Fに近接する高さの下向き突出部44を一体に設け、この下向き突出部44の前部と後部とに、床面Fを転動し得る前部支持ローラ45を設けている。
【0060】
下向き突出部44は板状に形成されており、その後端が第1収納ユニット7の底板20に当たることによって可動式仕切り体2の後退位置が規制されるようになっている。換言すると、下向き突出部44を後退位置規制用のストッパーに兼用している。なお、可動式仕切り体2の後退位置又は前進位置で停止するに際して衝撃を緩和するクッション材やアブソーバ等の緩衝手段を設けても良い。
【0061】
可動式仕切り体2の後端のうちその下部には後向き張り出し部46を設け、この張り出し部46に、第1収納ユニット7の底板20に当接して転動し得る後部支持ローラ47を設けている。室の床面Fは凹凸があるのが通常である。そこで、前後支持ローラ45,47のうちいずれか一方又は両方を、ばねに抗して上昇動するタイプ(換言するとばねで下向きに押されたタイプ)を使用すると、床面の凹凸を吸収して可動式仕切り体2を軽快に前後動かせることができて好適である。
【0062】
図4(A)及び図5(A)に一点鎖線で示すように、天レール9を第1収納ユニット7の天板19の下面に配置して、天レール9を第1収納ユニット7の内部に進入させることも可能である。このように構成すると、前後ランナー40の間隔を広げて可動式仕切り体2の振れ(前後方向に振れるピッチング及び左右方向に振れるローリング)を著しく抑制することができる利点がある。
【0063】
なお、2つの第1収納ユニット7の天板19を分離して、両天板19に跨がった状態で天レール9を配置し、この天レール9を両天板19に固定することによって天レール9にて2枚の天板19を連結し、更に、前後の天板19の間を可動式仕切り体2が移動するように構成することも可能である。また、前後の天板19に固定したブラケットに天レール9を固定することも可能である。
【0064】
病室では一般に人は頭を奥にしてベッドBに寝るものであるが、特許文献では収納家具の収納量を確保するためには横幅を大きくせざるを得ず、すると、収納家具がベッドに近接し、このため人に圧迫感を与えたり寝起き動作をしにくくなったりする虞がある。これに対して本願発明では、収納部がベッドBの方向に開口していることにより、ベッドBの全長にわたって歩行通路が空いているため、人に圧迫感を与えたり寝起き動作を阻害したりすることはない。この点も本願発明の利点である。
【0065】
(4).前後スライド方式の他の実施形態
図6〜図10では、可動式仕切り体2を前後動させる方式の準個室化設備の別例を示している。このうち図6に示す第2実施形態では、表裏の第2収納ユニット8の底板8aを共通し、かつ、前後側板34の下端間に補強下板49を固定している。この実施形態では、第1収納ユニット7の底板20と第1収納ユニット7の底板8aとは同一面を成しており、両底板20,8aの上方を可動式仕切り体2が移動する。
【0066】
可動式仕切り体2は第1実施形態と同様に前後の支持ローラ45,47を備えているが、第1実施形態のような下向き突出部44は備えていない。この実施形態では、表裏の第2収納ユニット8が一体化し、それら前後の第2収納ユニット8の背板28の間隔は一定に保持される。そこで、可動式仕切り体2の下部と第2収納ユニット8の背板28とのうち何れか一方又は両方にスライダー50を設けることにより、可動式仕切り体2の振れを防止することができる。なお、第1実施形態においても、表裏の固定式仕切り装置1の下端をスペーサ部材で連結することにより、両者の間隔を一定に保持すること可能である。
【0067】
図7に示す第3実施形態では、第2収納ユニット8の天板31の後端部を第1収納ユニット7の前側板24にビス51で固定している。すなわち、第1収納ユニット7と第2収納ユニット8とで1枚の側板24を共用している。
【0068】
図8に示すのは第4実施形態であり、(A)は側面図、(B)は(A)のB−B視断面図である。この第4実施形態では、第1収納ユニット7の天板19と天レール9との間にスペーサ52を介在させている。ランナー40の高さ寸法が大きくて、天板19に天レール9を取付けただけでは可動式仕切り体2を吊支できない場合に、このような構成が有効である。
【0069】
ところで、可動式仕切り体2は通常は引き出しており、ベッドBを出し入れするときだけ可動式仕切り体2を後退させるものである。従って、例えば人が可動式仕切り体2の前端面にもたれ掛かったり、物が可動式仕切り体2の前端面に当たったりして可動式仕切り体2が不測に後退する虞がある。この点は可動式仕切り体2を前進位置に保持するロック手段を設けることで解決できる。このロック手段の一例を、図9において第5実施形態として示している。
【0070】
(A)は一部破断側面図、(B)は(A)のB−B視平面図である。この実施形態では、天レール9の前端にホルダー53を固着し、このホルダー53に、ロック杆54を上下動自在及び水平回転自在に取り付けている。
【0071】
ロック杆54の上端には水平外向きの操作部54aが形成されており、ホルダー53には、ロック杆54を下降位置に保持する深い切欠き53aと、上昇させて適宜角度旋回させると高い位置に保持する浅い切欠き53bとを形成している。他方、可動式仕切り体2の上面には、前進させ切った状態でロック杆54を下降させると当該ロック杆54が嵌まる係合穴55を空けている。
【0072】
言うまでもないが、図示のロック装置は一例であり、ロック手段の構造や取付け位置など、必要に応じて自由に選択することができる。
【0073】
第1実施形態ではガイド手段として、可動式仕切り体2を吊支する天レール(吊支レール)を使用したが、本願発明においてガイド手段は様々の構造を採用できる。その別例を図10に第6実施形態として示している。(A)は固定式仕切り装置1を一点鎖線で示した側面図、(B)は固定式仕切り装置1を実線で示した(A)のB−B視断面図である。
【0074】
この実施形態では、可動式仕切り体2の表裏両面でかつ上端部と下端寄り部位とに水平状に長く延びる可動レール56を固着している一方、第1収納ユニット7及び第2収納ユニット8の背板22,28に、前記可動レール56に嵌合する固定側レール57を固着している。
【0075】
図示した形態では可動側レール56が固定側レール57で抱持されているが、逆の嵌合関係でも良い。また、両レール56,57は多数のボールを備えた方式としても良いし、或いは、合成樹脂製スライダーを設けてスムースな相対動を図っても良い。
【0076】
(5).第7実施形態
図11及び図12では第7実施形態を示している。図11のうち(A)は斜視図、(B)は(A)のB−B視断面図、(C)は(A)のC−C視断面図であり、図12はベッドBの出し入れをしている状態を示す平面図である。
【0077】
この実施形態において、準個室化設備Aが第1収納ユニット7と第2収納ユニット8とを備えている点は第1実施形態と同じであるが、第1実施形態との大きな相違点として、固定式仕切り装置1が表裏の第2収納ユニット8の境界線に沿って延びる固定式の仕切り壁60を備えている点と、可動式仕切り体2が仕切り壁60の前端にヒンジ61を介して水平回動自在に取付けられている点と、一方の(右側の)第2収納ユニット8の前面にエンドパネル(或いはフロントパネル)62が固定されている点が挙げられる。
【0078】
また、この実施形態では、第1収納ユニット7の上部には空気清浄機63を嵌め込み装着しており、更に、第2収納ユニット8には引き出し8aを設けている。仕切り壁60は前後の支柱60aと不透明又は半透明の採光板60bを備えており、前部の支柱60aに可動式仕切り体2を取付けている。
【0079】
この実施形態では、エンドパネル62が存在することにより、可動式仕切り体2は左側のみに閉じるようになっており、図12に示すように、可動式仕切り体2を左側の第2収納ユニット8の前面に重なる退避状態に回動させることにより、ベッドBの出し入れを支障なく行うことができる。可動式仕切り体2は片持ち梁状になっているので、安定性を確保するための先端部の下面にキャスター65を設けている。
【0080】
また、可動式仕切り体2の突出状態を保持するため、図11(B)に示すように、固定式仕切り装置1の前端と可動式仕切り体2の基端とに、可動式仕切り体2突出状態のときに重なり合うマグネット64を設けている(一方のみをマグネットにして他方は磁性体としてもよい)。このため、可動式仕切り体2は開閉操作の容易性を損なうことなく突出状態を保持できる。また、突出状態において可動式仕切り体2はその基端部の側面がエンバパネル62の側面に重なっており、このため、可動式仕切り体2が右側に開くことは阻止されていて安定性に優れている。また、エントドパネル62の存在によって安定性が向上している。
【0081】
一点鎖線で示すように、エンドパネル62を左右の第2収納ユニット8の前面に配置して、可動式仕切り体2をエンドパネル62に取付けてもよい(この場合は、左右のエンドパネル62は1枚板とするのが好ましい)。
【0082】
本実施形態では可動式仕切り体2は仕切り壁60やエンドパネル61よりもやや低い高さになっているが、図11に一点鎖線で示すように、仕切り壁60と同じ高さに設定してもよい。また、仕切り壁60には半透明又は不透明の化粧板60aを嵌め込んでいるが、単なる板状としたり、フレームにシートを張った構造にするなど、具体的な構造に様々に設定できる。図11(A)及び図12に一点鎖線で示すように、仕切り壁60の片面又は両面に段違い状等の飾り棚65を設けて和風の雰囲気を醸すことも可能である。仕切り壁60や可動式仕切り体2の一部を障子タイプとすることも可能である。
【0083】
第2収納ユニット8における天板31の奥部に、電源コンセントや通信線用ジャックを備えたコネクタパネル31aが設けられている。コネクタパネル31の下方は配線用空間になっており、この配線用空間を着脱自在なカバー板8bで塞いでいる。配線用空間を隣り合った第2収納ユニット8の間に配置することも可能であるが、かくすると、配線作業が面倒であり、また、左右の第2収納ユニット8の間(机天板を設けている場合は左右机天板の間)の間隔が広がるため机として使用できる面積が低下する不具合がある。
【0084】
本実施形態はこのような課題も改善しているのであり、本実施形態のように構成すると、カバー板8bを取り外すことによって配線作業を楽に行え、また、左右の第2収納ユニット8の間には薄い仕切り壁60が存在するだけであるため、天板31の左右幅寸法(使用状態を基準にしたら奥行き寸法)を大きくできるため、設備の全体としての横幅を大きくすることなく机として使用できる面積を大きくできる利点がある。なお、本実施形態ではコネクタパネル31aは左右長手となるように配置しているが、仕切り壁60の下端に重ねて前後長手となるように配置しても良い。
【0085】
この第7実施形態では、可動式仕切り体2は水平回動するだけで突出状態と退避状態とに切り換えできるため作業が簡単であり、また、可動式仕切り体2はヒンジ61で取り付けるだけで良いため、可動式仕切り体2の取付け構造が著しく簡単になる利点がある。また、仕切り壁60は固定式であるため、可動式仕切り体2を動かすに際して例えば仕切り壁60に紙類をピン止めしていても一々取り外す必要はない。なお、第2収納ユニット8に代えて机天板のみを配置しても良い。
【0086】
ところで、可動式仕切り体2の突出寸法があまり大きくなると安定性が低下し、また、固定式仕切り装置1における物の収納量が少なくなる。従って、固定式仕切り装置1の前後長さは可動式仕切り体2の突出寸法よりも大きくするべきである。本実施形態及び第1実施形態のような病室用設備の場合、固定式仕切り装置1の前後長さは可動式仕切り体2の突出寸法の2〜5倍程度であるのが好適である。換言すると、可動式仕切り体2の突出寸法は退避状態でベッドBの移動を許容する範囲でできるだけ小さくするのが好ましい。
【0087】
(6).回動式タイプの別例
図13では可動式仕切り体2を回動式にした準個室化設備1の別例である第8実施形態を示している。この実施形態では第1収納ユニット7の手前に机天板66を配置し、その下方は完全なオープン方式にしている。また、可動式仕切り体2は仕切り壁60と同じ高さになっている。机天板66の前端部は脚66aで支持されて奥端部は第1収納ユニット8に固定している。奥端部を専用の脚で支持しても良い。また、一点鎖線で示すように、左右第2収納ユニット8の前面に1枚板状(又は別々)のエンドパネル62を固定することも可能である。
【0088】
図14(A)に示す第9実施形態では、可動式仕切り体2を回動自在に取り付けるための取付け手段の別例と、可動式仕切り体2を突出状態に保持する姿勢保持手段の別例とを示している。
【0089】
すなわちこの第9実施形態では、ヒンジ手段として、固定式仕切り装置1の前端部の上下両面にピン67を突設する一方、可動式仕切り体2の基端部の上下両面には、前記ピン67に嵌まる長穴68が形成されたヒンジ板69を固着しており、また、姿勢保持手段として、固定式仕切り装置1の前面に係合溝70を形成し、可動式仕切り体2の基端部には係合溝70と嵌合する係合突起71を形成している。
【0090】
従って、この実施形態では、可動式仕切り体2を手前に引き出すことによって自在に回動させることができ、また、前向き姿勢で後退させると係合突起72と係合溝71とが嵌まりあって突出状態が保持される。姿勢保持手段としては、ピンとこれが嵌まる穴との組み合わせなど、様々の構造を採用できる。
【0091】
図14(B)に示す第10実施形態では、可動式仕切り体2の先端部の側面にカーテン4の端部の止め手段72を設けている。カーテンの止め手段72としては磁石を利用したりフックを設けた引っ掛け式にするなど、様々の方法を採用できる。
【0092】
図15(A)に示す第11実施形態では、可動式仕切り体2は姿勢を変えながら回動して、退避状態でエンドパネル62の前面に重なるようになっている。詳細は省略するが、可動式仕切り体2の一端部にローラ等のスライダーが水平回動自在に取付けられている一方、ンドパネル62の前面にはスライダーが水平動自在に嵌まるレールを設けている。また、可動式仕切り体2の回動をガイドするためのリンクも設けている。
【0093】
図15(B)に示す第12実施形態では、可動式仕切り体2を2枚のパーツからなる折り畳み式にしており、また、図15(C)に示す第13実施形態では可動式仕切り体2を外部材2aとこれに嵌まった内部材2bとで伸縮式に構成している。これら図15の各実施形態のように構成すると、退避状態で可動式仕切り体2が固定式仕切り装置1の左右外側にはみ出ることを防止しつつ、可動式仕切り体2の突出寸法を大きくすることができる。
【0094】
図16に示す第14実施形態では、固定式仕切り装置1の前端部に設けた支柱(フレーム)73でカーテンレール5の一部を支持している。このような構造は第1実施形態にも適用可能である。
【0095】
(7).その他
本願発明は上記の実施形態の他にも様々に具体化することができる。例えば可動式仕切り体を前後スライド式とする場合、前後動をガイドする天レール等のガイド手段は固定式仕切り装置に設ける必然性はなく、例えば室の天井面に固定したり、天井から吊り下げられた吊り枠に固定したりすることも可能である。また、可動式仕切り体は相対動しつつ全体として前後動し得る複数の部材で複動式に構成することも可能である。
【0096】
固定式仕切り装置1はその全体をベッドの方向に向けて開口した棚方式とすること、或いは、全体を扉付きとすることも可能である。更に、本願発明の準個室化設備は、病室を仕切ることのみでなく、例えば一般住宅で子供のプライベートスペースを形成することに使用するなど、様々の用途に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】第1実施形態の組立後の斜視図である。
【図2】第1実施形態の分離斜視図である。
【図3】平面図である。
【図4】(A) は準個室化設備の側面図、 (B)は (A)の B-B視断面図、 (C)は (A)の C-C視図である。
【図5】(A)は図4の VA-VA視断面図、 (B)は図4の VB-VB視断面図、 (C)は図4のVC-VC視断面図である。
【図6】第2実施形態を示す図である。
【図7】第3実施形態を示す図である。
【図8】第4実施形態を示す図である。
【図9】第5実施形態を示す図である。
【図10】第6実施形態を示す図である。
【図11】第7実施形態の斜視図である。
【図12】第7実施形態の平面図である。
【図13】第8実施形態の斜視図である。
【図14】第9〜第10実施形態を示す図である。
【図15】第11〜第13実施形態を示す図である。
【図16】第14実施形態を示す図である。
【符号の説明】
【0098】
S 個室状空間
B ベッド
A 準個室化設備
1 固定式仕切り装置
2 可動式仕切り体
3 左右の個室状空間を仕切る境界線(準個室化設備の平面視中心線)
4 カーテン
7 第1収納ユニット
8 第2収納ユニット
9 ガイド手段の一例としての天レール
31 第2収納ユニットの天板
61 ヒンジ
66 机天板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内空間を仕切って同じ方向に開口した左右の個室状空間を形成する設備であって、
安定して自立できる横幅を有する固定式仕切り装置と、自身では自立できない薄型の可動式仕切り体とを備えており、これら固定式仕切り装置と可動式仕切り体とは、固定式仕切り装置が個室状空間の奥側に位置して可動式仕切り体が入り口側に位置した状態で平面視直線状に配置することによって左右の個室状空間を完全に仕切るようになっており、
前記固定式仕切り装置には、平面視で両個室状空間の境界線と直交した方向から物を出し入れできる収納部が形成されており、この固定式仕切り装置に前記可動式仕切り体を、左右の個室状空間を完全に仕切るように固定式仕切り装置から前向きに延びる突出状態と固定式仕切り装置から殆ど又は全く突出しない退避状態とに自在に切り換えできるように取付けている、
準個室化設備。
【請求項2】
前記固定式仕切り装置は、一方の個室状空間から使用できる一方の収納ユニットと他方の個室状空間から使用できる他方の収納ユニットとを備えており、これら両収納ユニットを背中合わせに配置している一方、
前記固定式仕切り装置には、可動式仕切り体を突出状態と同じ姿勢のままで後退させて退避状態と成し得る格納部が形成されている、
請求項1に記載した準個室化設備。
【請求項3】
前記固定式仕切り装置は、一方の個室状空間から使用できる一方の収納ユニットと他方の個室状空間から使用できる他方の収納ユニットとを備えており、これら両収納ユニットを背中合わせに配置している一方、
前記可動式仕切り体は退避状態で固定式仕切り装置の前面に重なるようになっており、可動式仕切り体を、突出状態と退避状態とに姿勢変更自在となるように固定式仕切り装置に回動自在に取付けている、
請求項1に記載した準個室化設備。
【請求項4】
請求項1〜3のうちの何れかに記載した準個室化設備で仕切られることによって個室状空間が形成されており、各個室状空間に、平面視長方形でかつ突出状態にある可動式仕切り体の手前側にはみ出ない長さの移動自在なベッドが、奥行き方向に長く延びる姿勢でかつ準個室化設備との間に人の歩行通路が空く状態で配置されている一方、
前記準個室化設備の固定式仕切り装置は、個室状空間の奥側に位置して高さが一般成人の身長よりも高い表裏一対の収納ユニットと、表裏収納ユニットと略同じ高さでかつ表裏収納ユニットの境界部から手前に延びる仕切り壁とを備えており、仕切り壁の左右両側に、一般成人が机として使用可能な天板を配置しており、天板の下方は椅子を格納できるオープン空間と成しているか又はキャビネット状の収納部と成しており、
更に、各個室状空間の開口部には、当該開口部を塞ぐスライド自在なカーテンが、突出状態にある可動式仕切り体の左右両側の空間を開閉できる状態で吊支されている、
医療・介護施設。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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