説明

溶融ガラスの製造方法、気中溶融バーナー、ガラス溶融炉、ガラスビーズの製造方法、ガラス物品の製造方法、及びガラス物品の製造装置

【課題】本発明は、バーナー先端部へのガラス原料の付着を抑制できる溶融ガラスの製造方法及び気中溶融バーナーなどの提供を目的とする。
【解決手段】本発明の溶融ガラスの製造方法は、ガラス原料粒子を加熱気相雰囲気中に投入して溶融ガラス粒子とする溶融ガラスの製造方法において、加熱気相雰囲気を形成する燃料ガスFG及び支燃性ガスBG並びにガラス原料GMを供給する原料供給ガスCGの加熱気相雰囲気へ噴出する流速を等しくする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶融ガラスの製造方法、気中溶融バーナー、ガラス溶融炉、ガラスビーズの製造方法、ガラス物品の製造方法、及びガラス物品の製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、板ガラス、瓶ガラス、繊維ガラスを始めとして表示装置用ガラスに至るまで、量産規模のガラスの多くはガラス原料をガラス溶融炉(以下、単に溶融炉とも呼ぶ。)にて溶融するシーメンス型の溶融炉に基づき生産されている。シーメンス型の溶融炉による溶融法では、粉末状ガラス原料の混合物を、溶融炉で先に溶融したガラス融液面上に投入し、それが塊(バッチともいう。)となったものをバーナーなどにより加熱してその表面から融解を進行させ、徐々にガラス融液とする。このとき、融液上のバッチは、反応あるいは溶融しやすい物質から順次溶け出るため、原料層内に難溶融性物質が形成されやすい。また、同様の理由で、融液形成の初期状態においては、局所的に見るとバッチと組成が異なったガラス融液が生じ、融液の不均一化が生じやすい。さらに、シーメンス型の溶融炉は大量のエネルギーを必要とするため、溶融炉の消費エネルギー削減が望まれている。最近では、表示装置用途のガラス板として高品質、高付加価値のガラス物品の需要が増大の一途にあり、エネルギー消費も増大しており、ガラス物品の製造にかかる省エネルギー技術の開発は重要かつ緊急の課題とされている。
【0003】
このような背景から、省エネルギー型のガラス製造技術の一例として、ガラス原料の混合物からなる微細粒子(造粒体)を高温の気相雰囲気中で加熱し溶かして溶融ガラス粒子とし、次いで溶融ガラス粒子を集積して液体相(ガラス融液)を形成する気中溶融法と呼ばれるガラス物品の製造方法が提案されている(例えば、特許文献1、2参照。)。気中溶融法によれば、従来のシーメンス型の溶融炉による溶融法と比較して、ガラス溶融工程の消費エネルギーを1/3程度まで低減できると言われており、短時間で溶融が可能になり、溶融炉の小型化、蓄熱室の省略、品質の向上、COの削減、ガラス品種の変更時間の短縮化を図ることができる技術として注目されている。
【0004】
図9は特許文献1に記載の溶融炉を示す断面模式図である。特許文献1の溶融炉100は、高温の気相雰囲気K100を形成する加熱手段として、複数本のアーク電極102と酸素燃焼ノズル103を備えている。これら複数のアーク電極102が形成する熱プラズマアークまたは酸素燃焼ノズル103による酸素燃焼炎(フレーム)F100によって炉体101内に約1600℃以上の高温の気相雰囲気K100を形成する。この高温の気相雰囲気K100中に、ガラス原料粒子R100を投入することにより、高温の気相雰囲気K100内でガラス原料粒子R100を液状ガラス粒子U100に変化させる。液状ガラス粒子U100は落下して炉体101の炉底部101Aに溜まり、ガラス融液G100となる。
【0005】
気中溶融法において、加熱手段として酸素バーナーを用いる場合、図9に示すように、酸素バーナーの燃焼火炎中にガラス原料粒子を投入し、火炎中で液状ガラス粒子を形成している。そのため、ガラス原料粒子を供給する原料供給路と、支燃性ガス及び燃料ガスをそれぞれ供給するガス供給路を備える酸素バーナーが使用される。
例えば、特許文献2に記載の溶融炉は、溶融炉の天井壁に下向きに取り付けられた酸素バーナーを備えており、この酸素バーナーには、酸素を含む支燃性ガスと燃料ガスを供給するガス供給系と、ガラス原料粒子を供給する原料供給系とが接続されている。この溶融炉では、酸素バーナーを燃焼させ下向きに火炎を形成するとともに、酸素バーナーからガラス原料粒子をその火炎中に下向きに供給し、火炎中で液状ガラス粒子を生成させ、生成した液状ガラス粒子を火炎直下の炉底部に集積させてガラス融液を形成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−297239号公報
【特許文献2】特開2008−290921号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように、気中溶融法に用いられる従来の酸素バーナーは、バーナーの先端部に原料の吐出口と燃料ガスや支燃性ガスの吐出口を備えている。本発明者らが、このような構成のバーナーを用いてガラスの気中溶融法の研究を行ったところ、直径数10μm程度の微細なガラス原料粒子が、バーナー先端部の原料の吐出口付近に部分的に滞留して、バーナー先端部に付着しやすいことが判明した。さらに、バーナーの先端部にガラス原料粒子が付着して徐々に肥大化してつらら状となると、火炎が不安定になるだけでなく、ガラス原料粒子の吐出口が徐々に閉塞するという問題が明らかとなった。このようなつらら状物がバーナー先端部に形成されると、前述の火炎の不安定化や吐出口の閉塞を引き起こすだけでなく、肥大化したつらら状物がバーナー下方のガラス融液へと落下する場合がある。その結果、落下したつらら状物とガラス融液との組成差に起因して、製造される溶融ガラス及びガラスが不均質になり、ガラス物品の品質が低下するおそれがある。
【0008】
また、通常、気中溶融法は長期間の連続稼働で行われるため、バーナーも長期間連続使用される。バーナーの先端部にガラス原料粒子が付着してつらら状物が形成されると、バーナーを停止してバーナーの清掃または交換を行う必要があるため、生産性の面においてもバーナー先端部へガラス原料粒子が付着し難く、つらら状の付着物が形成されない技術の開発は重要である。
【0009】
以上のような背景から本発明は、バーナー先端部へのガラス原料の付着を抑制できる溶融ガラスの製造方法、気中溶融バーナー、及びガラス溶融炉の提供を目的とする。
また、本発明は、上述の溶融ガラスの製造方法を用いるガラスビーズの製造方法及びガラス物品の製造方法の提供を目的とする。
さらに、本発明は、上述のガラス溶融炉を備えたガラス物品の製造装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、ガラス原料粒子を加熱気相雰囲気中に投入して溶融ガラス粒子とする溶融ガラスの製造方法において、加熱気相雰囲気を形成する燃料ガス及び支燃性ガス並びにガラス原料を供給する原料供給ガスの加熱気相雰囲気へ噴出する流速を等しくする溶融ガラスの製造方法を提供する。
本発明の溶融ガラスの製造方法においては、前記燃料ガス及び前記支燃性ガス並びに前記原料供給ガスの流量比を、前記支燃性ガス及び前記原料供給ガスに含まれる酸素と前記燃料ガスとが化学量論比となる比率とすることが好ましい。
本発明の溶融ガラスの製造方法においては、前記燃料ガスがアルカンC2n+2(nは1以上の整数を表す。)で、前記支燃性ガス及び前記原料供給ガスに含まれる酸素とアルカンC2n+2との流量比が1:(3n+1)/2となるように、前記各ガスの流量を調整することが好ましい。
【0011】
本発明は、ガラス原料粒子を気相雰囲気中で溶融する気中溶融法に用いられる気中溶融バーナーであって、ガラス原料粒子及び原料供給ガスを供給する原料供給管と、燃料ガスを供給する燃料ガス供給管と、支燃性ガスを供給する支燃性ガス供給管と、前記原料供給管と前記燃料ガス供給管と前記支燃性ガス供給管から噴出する前記原料供給ガス、前記燃料ガス、前記支燃性ガスの流速を等しくするように各ガスを供給するガス供給手段と、を備える気中溶融バーナーを提供する。
本発明の気中溶融バーナーにおいては、前記各供給管から噴出する前記燃料ガス及び前記支燃性ガス並びに前記原料供給ガスの流量比が、前記支燃性ガス及び前記原料供給ガスに含まれる酸素と前記燃料ガスとが化学量論比となるように、前記各供給管に形成された供給路の開口面積比が設定されていることが好ましい。
本発明の気中溶融バーナーにおいては、前記燃料ガスがアルカンC2n+2(nは1以上の整数を表す。)で、前記支燃性ガス及び前記原料供給ガスに含まれる酸素とアルカンC2n+2との流量比が1:(3n+1)/2となるように、前記各供給管に形成された供給路の開口面積比が設定されていることが好ましい。
本発明の気中溶融バーナーにおいては、前記原料供給管と前記燃料ガス供給管と前記支燃性ガス供給管が同心円状に配置されることが好ましい。
本発明の気中溶融バーナーにおいては、各供給管の開口部の壁厚が1〜10mmであってもよい。
【0012】
本発明は、溶融ガラスを収容する炉体と、前記炉体の上部に下向きに配置され、前記炉体の内側にガラス原料粒子を加熱溶融して溶融ガラス粒子とする加熱気相雰囲気を形成し、かつ、前記加熱気相雰囲気に前記ガラス原料粒子を供給する前記のいずれかに記載の気中溶融バーナーと、を備えるガラス溶融炉を提供する。
本発明のガラス溶融炉においては、前記炉体の下部に、前記溶融ガラス粒子を集積してガラス融液とする貯留部が設けられてもよい。
本発明のガラス溶融炉においては、前記炉体の下部に、前記溶融ガラス粒子を冷却してガラスビーズとし、該ガラスビーズを集積する貯留部が設けられてもよい。
【0013】
本発明は、前記のいずれかに記載の溶融ガラスの製造方法により製造された前記溶融ガラス粒子を冷却することによりガラスビーズを形成するガラスビーズの製造方法を提供する。
本発明は、前記のいずれかに記載の溶融ガラスの製造方法を用いて溶融ガラスを製造する工程と、該溶融ガラスを成形する工程と、成形後のガラスを徐冷する工程と、を含むガラス物品の製造方法を提供する。
本発明は、前記のいずれかに記載のガラス溶融炉と、該ガラス溶融炉により製造された溶融ガラスを成形する成形手段と、成形後のガラスを徐冷する徐冷手段とを備えるガラス物品の製造装置を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の気中溶融バーナーは、各供給管から噴出する全てのガスの流速が等しくなるように調整しながら各供給管にガスを供給するガス供給手段を備えることにより、気中溶融バーナーから噴出するガス流を等速かつ平行にすることができる。したがって、気中溶融バーナーの先端部付近でガスの渦流が生じることが無く、ガラス原料粒子が気中溶融バーナーに付着することを抑止できる。
【0015】
本発明の溶融ガラスの製造方法は、気中溶融バーナーの各供給管から噴出する全てのガスの流速が等しくなるように調整しながら該気中溶融バーナーにより加熱気相雰囲気を形成して、この加熱気相雰囲気にガラス原料粒子を供給して溶融ガラス粒子を製造する構成である。そのため、気中溶融バーナーの先端部付近でガスの渦流が生じることが無く、ガラス原料粒子が気中溶融バーナーに付着することを抑止できる。したがって、付着物が肥大化してつらら状物が形成されることがなく、このつらら状物の融液ガラス中への落下による溶融ガラスの不均質化が起こらず、均質な溶融ガラスを製造できる。
【0016】
本発明のガラス溶融炉は、上記した本発明の溶融バーナーを用いることにより、ガラス原料粒子が気中溶融バーナーに付着することを抑止できるので、この付着物が肥大化してつらら状物が形成されることがない。そのため、このつらら状物の融液ガラス中への落下による溶融ガラスの不均質化が起こらず、均質な溶融ガラスを製造できる。
また、本発明のガラスビーズの製造方法及びガラス物品の製造方法は、上述の溶融ガラスの製造方法を用いることにより、均質で高品質なガラスビーズ及びガラス物品を提供できる。
さらに、本発明のガラス物品の製造装置は、上述のガラス溶融炉を備えることにより、均質で高品質なガラス物品を製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は本発明に係る気中溶融バーナーの第1実施形態を模式的に示す横断面図である。
【図2】図2は図1に示す気中溶融バーナーの縦断面図である。
【図3】図3は本発明に係る気中溶融バーナーの第2実施形態を模式的に示す横断面図である。
【図4】図4は図3に示す気中溶融バーナーの縦断面図である。
【図5】図5は本発明に係るガラス溶融炉の第1実施形態を模式的に示す断面図である。
【図6】図6は本発明に係るガラス原料の溶融方法を用いてガラス物品を製造する方法の一例を示すフロー図である。
【図7】図7は本発明に係るガラス原料の溶融方法を用いて溶融ガラス及びガラス物品を製造する装置の他の例を示す構成図である。
【図8】図8は本発明に係るガラス原料の溶融方法を実施してガラスビーズを製造する装置の一実施形態を示す構成図である。
【図9】図9は特許文献1に記載のガラス溶融炉を示す断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る溶融ガラスの製造方法、気中溶融バーナー、ガラス溶融炉、ガラスビーズの製造方法、ガラス物品の製造方法、ガラス物品の製造装置の一実施形態について説明するが、本発明は以下の実施形態に制限されるものではない。
【0019】
図1は本発明に係る気中溶融バーナーの第1実施形態を模式的に示す横断面図であり、図2は同気中溶融バーナーの縦断面図である。
図1及び図2に示す気中溶融バーナー10は、中央に配置された原料供給管11と、原料供給管11を取り囲むように順次配置された燃料ガス供給管12と、支燃性ガス供給管13と、から構成され、これらの供給管11、12、13が同心円状に配置された多重管構造となっている。
原料供給管11の内部にガラス原料粒子GMと原料供給ガスCGを通過させるための原料供給路11Aが形成され、原料供給管11と燃料ガス供給管12との間に燃料ガスFGを通過させるための燃料ガス供給路12Aが形成され、燃料ガス供給管12と支燃性ガス供給管13との間に酸素を含む支燃性ガスBGを通過させるための支燃性ガス供給路13Aが形成されている。
【0020】
気中溶融バーナー10の基端側には供給管17を介してガラス原料粒子GMを収容した原料供給器15が接続されており、供給管17にはガラス原料粒子GMを気中溶融バーナー10の原料供給路11Aへと搬送するための原料供給ガスCGを供給するガス供給装置16が接続されている。また、気中溶融バーナー10の燃料ガス供給路12A及び支燃性ガス供給路13Aは、それぞれ、気中溶融バーナー10の基端側に接続された供給管19a、19bを介してガス供給装置18に接続されている。
【0021】
気中溶融バーナー10において、燃料ガスFGがガス供給装置18から供給管19aを介して燃料ガス供給路12Aに導入される。また、酸素を含む支燃性ガスBGがガス供給装置18から供給管19bを介して支燃性ガス供給路13Aに導入される。さらに、ガラス原料粒子GMが原料供給器15から供給管17を介してガス供給装置16からの原料供給ガスCGとともに原料供給路11Aに供給される。これにより、気中溶融バーナー10の先端から酸素燃焼炎を噴射するとともに、ガラス原料粒子GMを酸素燃焼炎に向けて吹き出すことができる。
【0022】
本発明による気中溶融バーナーの材質は、JIS規格のSUS430等のフェライト系ステンレス鋼、SUS308、SUS309S、SUS309Cb、SUS310、SUS310S、SUS310Cb、SUS310Mo等の耐熱性オーステナイト系ステンレス鋼、Fe基耐熱合金、Co基耐熱合金、Ni基耐熱合金等の超耐熱合金、Cr、Nb、MoまたはWとの高融点金属との合金、または石英ガラスであることが好ましい。
燃料ガスFGとしては、メタン、プロパン、ブタン、LPG(液化石油ガス)などのアルカンC2n+2(nは1以上の整数を表す。)を使用することができる。支燃性ガスBGとしては、酸素や酸素富化ガスなど、酸素を含有するガスであればいかなるガスも使用することができる。原料供給ガスCGとしては、酸素、空気、窒素、アルゴン、ヘリウム及びこれらの混合ガスを使用することができる。なお、ガラス原料粒子GMについては、後述する。
【0023】
ガス供給装置16及びガス供給装置18は、各供給路11A、12A、13Aに供給するガスの流量及び流速を調整する機能を備えており、この機能により各供給管11、12、13から噴出するガスの流速を等しく設定できる。このように各供給管11、12、13から噴出するガスの流速を等しく設定することにより、気中溶融バーナー10の先端部から噴出される全てのガスは平行かつ等速となるため、気中溶融バーナー10の先端部付近で渦流が生じることが無く、ガラス原料粒子GMが気中溶融バーナー10に付着することを抑止できる。本実施形態の気中溶融バーナー10においては、脈動なくガラス原料粒子GMを搬送するため、気中溶融バーナー10の先端部から噴出されるガスの流速を15〜50m/秒の範囲とすることが好ましい。
【0024】
しかしながら、各供給管11、12、13から噴出するガスの流速を等しく設定するだけでは、燃料ガスFGの燃焼が不完全となり、良好な酸素燃焼炎が噴出できない問題がある。
そこで、本実施形態の気中溶融バーナー10において、各供給路11A、12A、13Aの開口部11K、12K、13Kの面積(以下、「開口面積」と称する。)は、各供給管11、12、13から噴出する全ての燃料ガスと酸素の流量比が、燃料ガスと酸素とが化学量論比となるように設定されている。
燃料ガスであるアルカンC2n+2(nは1以上の整数を表す。)の燃焼反応式は式(1)で表される。
【0025】
【数1】

【0026】
式(1)に示すように、気中溶融バーナー10の先端部で燃料ガスであるアルカンC2n+2と酸素とが化学量論比となるようにするためには、燃料ガスと酸素の流量比が1:(3n+1)/2の比率を満たすようにする必要がある。本実施形態の気中溶融バーナー10では、前述のように各供給管11、12、13から噴出するガスの流速は等しく設定されている。そのため、燃料ガスと酸素の流量比が前記比率を満たすために、燃料ガス供給路12Aと、酸素を供給する供給路の開口面積比を前記比率とする。図1及び図2に示す構成で、酸素を供給する供給路としては、支燃性ガス供給路13A及び原料供給路11Aが該当する。支燃性ガス供給路13Aに供給する支燃性ガス中の酸素の体積比、及び原料供給路11Aに供給する原料供給ガス中の酸素の体積比に応じて、各供給路11A、13Aから供給される酸素の体積(すなわち、流量)の総計が、燃料ガス供給管12Aから供給される燃料ガスC2n+2の(3n+1)/2倍となるように各供給路11A、12A、13Aの開口面積比を設定すればよい。
【0027】
本実施形態の気中溶融バーナー10は、前記のように各供給路11A、12A、13Aの開口面積比が設定されていることにより、各供給管から噴出するガス流を平行かつ等速に発生させることができる。そのため、気中溶融バーナー10の先端部付近で噴射されるガスの渦流が生じることが無く、ガラス原料粒子GMが気中溶融バーナー10に付着することを抑止できる。したがって、気中溶融バーナー10の先端部にガラス原料粒子GMが付着して肥大化することが無いので、各供給管11、12、13の吐出口が閉塞しにくく、酸素燃焼炎の形成とガラス原料粒子GMの供給を安定して行うことができる。また、ガラス原料粒子GMの付着物が肥大化したつらら状物が形成されないので、このつらら状物の融液ガラス中への落下による溶融ガラスの不均質化が起こらず、均質な溶融ガラスを製造できる。
【0028】
本実施形態の気中溶融バーナー10において、各供給管11、12、13の開口部の壁厚は特に制限されず適宜調整可能であるが、1〜10mmの範囲とすることが好ましい。各供給管11、12、13の開口部11K、12K、13Kの壁厚を前記範囲とすることにより、各供給管11、12、13の先端部から噴射されるガスをより平行かつ等速な一体流として淀みなく通過させることができ、気中溶融バーナー10の先端部へガラス原料粒子GMが付着することをより効果的に抑止できる。
【0029】
以下、本実施形態の気中溶融バーナー10の具体例をいくつか示すが、本発明は以下の例に限定されるものではない。
(例1)
図1及び図2に示す構造の気中溶融バーナー10において、各供給管11、12、13の開口部11K、12K、13Kの壁厚を2mmとし、各供給路11A、12A、13Aの開口面積を表1に示す値に設定し、気中溶融バーナー10の先端における全ての気体の流速を50m/秒に設定する。なお、気中溶融バーナーの設計にあたっては、ガスの噴出流速を等速とすることを前提に、ガスの気体流速を設定し、気体流速に対応する各供給路の開口面積を計算し、その開口面積に対応する流路開口面積を計算し、それらに基づいて、各開口からの気体流量が計算される。燃料ガスをメタンCH、支燃性ガスを酸素、原料供給ガスを空気と設定する。なお、空気中の酸素の割合は、体積比で20%として計算する。そのため、原料供給路11Aの開口面積25πmmのうち、酸素が流通する分の開口面積はその20%の5πmmである。
【0030】
例1の気中溶融バーナー10は、燃料ガスをメタンCHとしているため、式(2)に示す燃焼反応式を満たすように、すなわち、各供給管から噴出する全てのメタンガスと酸素の流量比が1:2となるように、各供給路の開口面積比を設定する。
【0031】
【数2】

【0032】
【表1】

【0033】
例1の気中溶融バーナー10では、酸素を供給する供給路の開口面積は、支燃性ガス供給路13Aの開口面積59πmmに、原料供給路11Aの開口面積の20%である5πmmを加えた64πmmとなる。そのため、メタンガスを供給する燃料ガス供給路12Aと、酸素を供給する供給路との開口面積比は、32:64=1:2となる。これにより、各供給管からのガスの流速は等しいため、各供給管から噴出するメタンガスと酸素の流量比は各供給路の開口面積に比例し、メタンガス:酸素=1.28:(0.20+2.36)=1:2となる。
【0034】
(例2)
図1及び図2に示す構造の気中溶融バーナー10において、各供給管11、12、13の開口部11K、12K、13Kの壁厚を2mmとし、各供給路11A、12A、13Aの開口面積を表2に示す値に設定し、気中溶融バーナー10の先端における全ての気体の流速を50m/秒に設定する。燃料ガスをメタンCH、支燃性ガスを酸素、原料供給ガスを酸素と設定する。
例2の気中溶融バーナー10では、例1と同様に燃料ガスをメタンCHとしているため、式(2)に示す燃焼反応式を満たすように、すなわち、各供給管から噴出する全てのメタンガスと酸素の流量比が1:2となるように、各供給路の開口面積比を設定する。
【0035】
【表2】

【0036】
例2の気中溶融バーナー10では、酸素を供給する供給路の開口面積は、支燃性ガス供給路13Aの開口面積39πmmに、原料供給路11Aの開口面積25πmmを加えた64πmmとなる。そのため、メタンガスを供給する燃料ガス供給路12Aと、酸素を供給する供給路との開口面積比は、32:64=1:2となる。これにより、各供給管からのガスの流速は等しいため、各供給管から噴出するメタンガスと酸素の流量比は各供給路の開口面積に比例し、メタンガス:酸素=1.28:(1.00+1.56)=1:2となる。
【0037】
(例3)
図1及び図2に示す構造の気中溶融バーナー10において、各供給管11、12、13の開口部11K、12K、13Kの壁厚を2mmとし、各供給路11A、12A、13Aの開口面積を表3に示す値に設定し、気中溶融バーナー10の先端における全ての気体の流速を30m/秒に設定する。燃料ガスをプロパンC、支燃性ガスを酸素、原料供給ガスを空気と設定する。
例3の気中溶融バーナー10は、燃料ガスをプロパンCとしているため、式(3)に示す燃焼反応式を満たすように、すなわち、各供給管から噴出する全てのプロパンガスと酸素の流量比が1:5となるように、各供給路の開口面積比を設定する。
【0038】
【数3】

【0039】
【表3】

【0040】
例3の気中溶融バーナー10では、酸素を供給する供給路の開口面積は、支燃性ガス供給路13Aの開口面積70πmmに、原料供給路11Aの開口面積の20%である5πmmを加えた75πmmとなる。そのため、プロパンガスを供給する燃料ガス供給路12Aと、酸素を供給する供給路との開口面積比は、15:75=1:5となる。これにより、各供給管からのガスの流速は等しいため、各供給管から噴出するプロパンガスと酸素の流量比は各供給路の開口面積に比例し、プロパンガス:酸素=1.00:(0.33+4.67)=1:5となる。
【0041】
(例4)
図1及び図2に示す構造の気中溶融バーナー10において、各供給管11、12、13の開口部11K、12K、13Kの壁厚を2mmとし、各供給路11A、12A、13Aの開口面積を表4に示す値に設定し、気中溶融バーナー10の先端における全ての気体の流速を30m/秒に設定する。燃料ガスをプロパンC、支燃性ガスを酸素、原料供給ガスを酸素と設定する。
例4の気中溶融バーナー10では、例3と同様に燃料ガスをプロパンCとしているため、式(3)に示す燃焼反応式を満たすように、すなわち、各供給管から噴出する全てのプロパンガスと酸素の流量比が1:5となるように、各供給路の開口面積比を設定する。
【0042】
【表4】

【0043】
例4の気中溶融バーナー10では、酸素を供給する供給路の開口面積は、支燃性ガス供給路13Aの開口面積50πmmに、原料供給路11Aの開口面積25πmmを加えた75πmmとなる。そのため、プロパンガスを供給する燃料ガス供給路12Aと、酸素を供給する供給路との開口面積比は、15:75=1:5となる。これにより、各供給管からのガスの流速は等しいため、各供給管から噴出するプロパンガスと酸素の流量比は各供給路の開口面積に比例し、プロパンガス:酸素=1.00:(1.67+3.33)=1:5となる。
【0044】
例1〜4の気中溶融バーナー10を鉛直下向きに設置し、それぞれ、表1〜4に示す条件で気中溶融バーナー10の先端から酸素燃焼炎を発生させ、この酸素燃焼炎中にガラス原料粒子を供給して加熱溶融する気中溶融法を行えば、例1〜4のいずれの気中溶融バーナー10においても、気中溶融バーナー10の先端部での渦流の発生は抑えられ、ガラス原料粒子が気中溶融バーナー10に付着することを抑止できる。
【0045】
図3は本発明に係る気中溶融バーナーの第2実施形態を模式的に示す横断面図であり、図4は同気中溶融バーナーの縦断面図である。
図3及び図4に示す気中溶融バーナー20は、中央に配置された1次支燃性ガス供給管21と、1次支燃性ガス供給管21を取り囲むように順次配置された燃料ガス供給管22と、原料供給管23と、2次支燃性ガス供給管24と、から構成され、これらの供給管21、22、23、24が同心円状に配置された多重管構造となっている。
1次支燃性ガス供給管21の内部に1次支燃性ガスBG1を通過させるための1次支燃性ガス供給路21Aが形成され、1次支燃性ガス供給管21と燃料ガス供給管22との間に燃料ガスFGを通過させるための燃料ガス供給路22Aが形成され、燃料ガス供給管22と原料供給管23との間にガラス原料粒子GMと原料供給ガスCGを通過させるための原料供給路23Aが形成され、原料供給管23と2次支燃性ガス供給管24との間に2次支燃性ガスBG2を通過させるための2次支燃性ガス供給路24Aが形成されている。
【0046】
気中溶融バーナー20において、各ガスの供給管の先端は同一面上に配置されるので、1次支燃性ガス供給管21が最も長く、この1次支燃性ガス供給管21から燃料ガス供給管22、原料供給管23、2次支燃性ガス供給管24の順に、各供給管が若干短くなるように形成され、中央側に位置する供給管がそれよりも外側に位置する他の供給管の後端部を順次貫通して後方側に突出するようになっている。すなわち、一番短く径が大きく形成された2次支燃性ガス供給管24の後端部24aを閉塞するように端面壁24bが設けられ、この端面壁24bを貫通して後部側に突出するように原料供給管23の後端部23aが設けられている。原料供給管23の後部側は、端面壁24bの貫通位置よりも後方の後端部23aで若干拡径しており、この後端部23aは端面壁23bにより閉塞されている。端面壁23bを貫通して後部側に突出するように燃料ガス供給管22の後端部22aが設けられ、この後端部22aは端面壁22bにより閉塞されている。燃料ガス供給管22の端面壁22bを貫通して後部側に突出するように1次支燃性ガス供給管21の後端部21aが設けられている。
【0047】
原料供給管23の後端部23aの側面には、原料供給管23と連通する送入管23dが設けられており、この送入管23dには供給管17を介してガラス原料粒子GMを収容した原料供給器15が接続され、供給管17には原料供給ガスCGを供給するガス供給装置16が接続されている。燃料ガス供給管22の後端部22aの側面には、燃料ガス供給管22と連通する送入管22dが設けられており、この送入管22dには供給管19aを介してガス供給装置18に接続されている。1次支燃性ガス供給管21の後端部21aは、供給管19bを介してガス供給装置18に接続されている。2次支燃性ガス供給管24の後端部24aの側面には、2次支燃性ガス供給管24と連通する送入管24dが設けられており、この送入管24dには供給管19cを介してガス供給装置18に接続されている。
【0048】
気中溶融バーナー20において、燃料ガスFGがガス供給装置18から供給管19a及び送入管22dを介して燃料ガス供給路22Aに導入される。また、酸素を含む1次支燃性ガスBG1がガス供給装置18から供給管19bを介して1次支燃性ガス供給路21Aに導入される。酸素を含む2次支燃性ガスBG2がガス供給装置18から供給管19c及び送入管24dを介して2次支燃性ガス供給路24Aに導入される。さらに、ガラス原料粒子GMが原料供給器15から供給管17及び送入管23dを介してガス供給装置16からの原料供給ガスCGとともに原料供給路23Aに供給される。これにより、気中溶融バーナー20の先端から酸素燃焼炎を噴射するとともに、ガラス原料粒子GMを酸素燃焼炎に向けて吹き出すことができる。
【0049】
ガス供給装置16及びガス供給装置18は、前記した気中溶融バーナー10と同様であり、各供給路21A〜24Aに供給するガスの流量及び流速を調整する機能を備えており、この機能により各供給管21A〜24Aから噴出するガスの流速を等しく設定できる。
本実施形態の気中溶融バーナー20の材質、各供給管21〜24の開口部21K、22K、23K、24Kの壁厚は、前記した気中溶融バーナー10と同様である。また、支燃性ガスBG1、BG2は、前記した支燃性ガスBGと同様である。
【0050】
本実施形態の気中溶融バーナー20の各供給路21A、22A、23A、24Aの開口部21K、22K、23K、24Kの開口面積(以下、「開口面積」と称する。)は、第1実施形態の気中溶融バーナー10と同様に、各供給管21、22、23、24から噴出する全ての燃料ガスと酸素の流量比が、燃料ガスと酸素とが化学量論比となるように設定されている。すなわち、各供給路21A、22A、23A、24Aの開口面積は、1次支燃性ガス供給路21A、2次支燃性ガス供給路24A、原料供給管23Aから供給される酸素の体積(流量)の総計が、燃料ガス供給管22Aから供給される燃料ガスC2n+2の(3n+1)/2倍となるように設定されている。
【0051】
本実施形態の気中溶融バーナー20は、前記のように各供給路21A〜24Aの開口面積比が設定されていることにより、各供給管から噴出するガス流を平行かつ等速に発生させることができる。そのため、気中溶融バーナー20の先端部付近で噴射されるガスの渦流が生じることが無く、ガラス原料粒子GMが気中溶融バーナー20に付着することを抑止できる。したがって、気中溶融バーナー20の先端部にガラス原料粒子GMが付着して肥大化することが無いので、各供給管21〜24の吐出口が閉塞しにくく、酸素燃焼炎の形成とガラス原料粒子GMの供給を安定して行うことができる。また、ガラス原料粒子GMの付着物が肥大化したつらら状物が形成されないので、このつらら状物の融液ガラス中への落下による溶融ガラスの不均質化が起こらず、均質な溶融ガラスを製造できる。
【0052】
以下、本実施形態の気中溶融バーナー20の具体例をいくつか示すが、本発明は以下の例に限定されるものではない。
(例5)
図3及び図4に示す構造の気中溶融バーナー20において、各供給管21、22、23、24の開口部21K、22K、23K、24Kの壁厚を2mmとし、各供給路21A、22A、23A、24Aの開口面積を表5に示す値に設定し、気中溶融バーナー20の先端における全ての気体の流速を50m/秒に設定する。燃料ガスをメタンCH、1次及び2次支燃性ガスを酸素、原料供給ガスを空気と設定する。
例5の気中溶融バーナー20は、燃料ガスをメタンCHとしているため、式(2)に示す燃焼反応式を満たすように、すなわち、各供給管から噴出する全てのメタンガスと酸素の流量比が1:2となるように、各供給路の開口面積比を設定する。
【0053】
【表5】

【0054】
例5の気中溶融バーナー20では、酸素を供給する供給路の開口面積は、1次支燃性ガス供給路21Aの開口面積25πmmに、2次支燃性ガス供給路24Aの開口面積34πmmと原料供給路23Aの開口面積の20%である5πmmを加えた64πmmとなる。そのため、メタンガスを供給する燃料ガス供給路22Aと、酸素を供給する供給路との開口面積比は、32:64=1:2となる。これにより、各供給管からのガスの流速は等しいため、各供給管から噴出するメタンガスと酸素の流量比は各供給路の開口面積に比例し、メタンガス:酸素=1.28:(1.00+0.20+1.36)=1:2となる。
【0055】
(例6)
図3及び図4に示す構造の気中溶融バーナー20において、各供給管21、22、23、24の開口部21K、22K、23K、24Kの壁厚を2mmとし、各供給路21A、22A、23A、24Aの開口面積を表6に示す値に設定し、気中溶融バーナー20の先端における全ての気体の流速を50m/秒に設定する。燃料ガスをメタンCH、支燃性ガスを酸素、原料供給ガスを酸素と設定する。
例6の気中溶融バーナー20では、例5と同様に燃料ガスをメタンCHとしているため、式(2)に示す燃焼反応式を満たすように、すなわち、各供給管から噴出する全てのメタンガスと酸素の流量比が1:2となるように、各供給路の開口面積比を設定する。
【0056】
【表6】

【0057】
例6の気中溶融バーナー20では、酸素を供給する供給路の開口面積は、1次支燃性ガス供給路21Aの開口面積25πmmに、2次支燃性ガス供給路24Aの開口面積14πmmと原料供給路23Aの開口面積25πmmを加えた64πmmとなる。そのため、メタンガスを供給する燃料ガス供給路22Aと、酸素を供給する供給路との開口面積比は、32:64=1:2となる。これにより、各供給管からのガスの流速は等しいため、各供給管から噴出するメタンガスと酸素の流量比は各供給路の開口面積に比例し、メタンガス:酸素=1.28:(1.00+1.00+0.56)=1:2となる。
【0058】
(例7)
図3及び図4に示す構造の気中溶融バーナー10において、各供給管21、22、23、24の開口部21K、22K、23K、24Kの壁厚を2mmとし、各供給路21A、22A、23A、24Aの開口面積を表7に示す値に設定し、気中溶融バーナー20の先端における全ての気体の流速を30m/秒に設定する。燃料ガスをプロパンC、支燃性ガスを酸素、原料供給ガスを空気と設定する。
例7の気中溶融バーナー20は、燃料ガスをプロパンCとしているため、式(3)に示す燃焼反応式を満たすように、すなわち、各供給管から噴出する全てのプロパンガスと酸素の流量比が1:5となるように、各供給路の開口面積比を設定する。
【0059】
【表7】

【0060】
例7の気中溶融バーナー20では、酸素を供給する供給路の開口面積は、1次支燃性ガス供給路21Aの開口面積25πmmに、2次支燃性ガス供給路24Aの開口面積45πmmと原料供給路23Aの開口面積の20%である5πmmを加えた75πmmとなる。そのため、プロパンガスを供給する燃料ガス供給路22Aと、酸素を供給する供給路との開口面積比は、15:75=1:5となる。これにより、各供給管からのガスの流速は等しいため、各供給管から噴出するプロパンガスと酸素の流量比は各供給路の開口面積に比例し、プロパンガス:酸素=1.00:(1.67+0.33+3.00)=1:5となる。
【0061】
(例8)
図3及び図4に示す構造の気中溶融バーナー20において、各供給管21、22、23、24の開口部21K、22K、23K、24Kの壁厚を2mmとし、各供給路21A、22A、23A、24Aの開口面積を表8に示す値に設定し、気中溶融バーナー20の先端における全ての気体の流速を30m/秒に設定する。燃料ガスをプロパンC、支燃性ガスを酸素、原料供給ガスを酸素と設定する。
例8の気中溶融バーナー20では、例7と同様に燃料ガスをプロパンCとしているため、式(3)に示す燃焼反応式を満たすように、すなわち、各供給管から噴出する全てのプロパンガスと酸素の流量比が1:5となるように、各供給路の開口面積比を設定する。
【0062】
【表8】

【0063】
例8の気中溶融バーナー20では、酸素を供給する供給路の開口面積は、1次支燃性ガス供給路21Aの開口面積25πmmに、2次支燃性ガス供給路24Aの開口面積25πmmと原料供給路23Aの開口面積25πmmを加えた75πmmとなる。そのため、プロパンガスを供給する燃料ガス供給路22Aと、酸素を供給する供給路との開口面積比は、15:75=1:5となる。これにより、各供給管からのガスの流速は等しいため、各供給管から噴出するプロパンガスと酸素の流量比は各供給路の開口面積に比例し、プロパンガス:酸素=1.00:(1.67+1.67+1.67)=1:5となる。
【0064】
例5〜8の気中溶融バーナー20を鉛直下向きに設置し、それぞれ、表5〜8に示す条件で気中溶融バーナー20の先端から酸素燃焼炎を発生させ、この酸素燃焼炎中にガラス原料粒子を供給して加熱溶融する気中溶融法を行えば、例5〜8のいずれの気中溶融バーナー20においても、良好な酸素燃焼炎が発生し、かつ、気中溶融バーナー20の先端部での渦流の発生は抑えられており、ガラス原料粒子が気中溶融バーナー20に付着することを抑止できる。
【0065】
以上、本発明に係る気中溶融バーナーについて説明したが、本発明の気中溶融バーナーは前記した気中溶融バーナー10、20に限定されない。例えば、原料供給管、燃料ガス供給管、支燃性ガス供給管の配置は適宜変更可能である。また、気中溶融バーナーを構成する供給管が全て同心円状に配置された多重管構造でなくてもよく、たとえば、図1に示す気中溶融バーナー10の場合、支燃性ガス供給管13を、燃料ガス供給管12の外側に小径の供給管を円周上に複数配置することにより形成してもよい。すなわち、本発明の気中溶融バーナーにおいて、各供給管から噴出する全ての燃料ガスと酸素の流量比が、燃料ガスと酸素とが化学量論比となるように、各供給管の内部に形成された供給路の開口面積が設定された構成であれば、複数の供給管が同心円状に配置された多重管構造と、小径の供給管が複数配置された構造を組み合わせることもできる。
【0066】
図5は本発明に係るガラス溶融炉の第1実施形態を模式的に示す断面図である。図5に示すガラス溶融炉は、本発明に係る溶融ガラスの製造方法及びガラス物品の製造方法に用いられる。
【0067】
図5に示すガラス溶融炉40は、中空箱型の炉体41と、ガラス原料粒子GMを噴出するとともに酸素燃焼炎Fを形成するために炉体41の上部の天井部41Aを貫通して下向きに配置された前述の気中溶融バーナー10と、炉体41の底部に形成された溶融ガラスGの貯留部41Bとを備え、気中溶融バーナー10の噴射方向先端側(図5では下方側)に加熱気相雰囲気Kを形成できるようになっている。以下、本発明に係るガラス溶融炉が前述の気中溶融バーナー10を備える場合について説明するが、本発明に係るガラス溶融炉は、本発明に係る気中溶融バーナーのいずれを備えていてもよい。また、以下に示す例では、図1〜4に示す気中溶融バーナー10、20と同一の構成要素には同一の符号を付し、同一要素の説明は省略する。
【0068】
本発明において、炉体41の上部とは、炉体41の天井部41A及び側壁41Cの上部を含む範囲を意味する。
なお、炉体41の形状は図5に示す箱型の直方体形状に限定されるものではなく、円筒状に構成されたものであってもよい。また、気中溶融バーナー10を鉛直方向下向きに設置しているが、これに限らず、下向きであれば傾斜して設置してもよい。さらに、炉体41の天井部41Aをフラットな形状としたが、これに限らず、アーチ形状、ドーム形状等の形状であってもよい。
加熱気相雰囲気Kは、気中溶融バーナー10から噴射される酸素燃焼炎F及び酸素燃焼炎F近傍の高温部から構成される。
【0069】
炉体41の底部側は溶融ガラスGの貯留部41Bとされており、炉体41の側壁底部側に形成された排出口44を介して炉体41から溶融ガラスGを外部に排出できるように構成されている。なお、本実施形態のガラス溶融炉40を備えてガラス物品の製造装置を構成する場合は、炉体41の排出口44から溶融ガラスGを排出する方向の下流側に、一例として、成形装置45などが接続され、形成した溶融ガラスGを成形装置45により目的の形状に成形してガラス物品を得ることができるように構成されている。なお、泡品質によっては、成形装置の前に脱泡装置を設けてもよい。
【0070】
炉体41は耐火レンガなどの耐火材からなり、高温の溶融ガラスGを貯留できるように構成されている。炉体41の下部の貯留部41Bには図示していないが加熱ヒータが設置され、必要に応じて貯留部41Bに貯留されている溶融ガラスGを目的の温度(たとえば1400℃程度)に溶融状態で保持できるように構成されている。貯留部41Bの側壁部に排気口42及び排気管42aを介し排ガス処理装置3が接続されている。
【0071】
本実施形態のガラス溶融炉40により溶融ガラスGを製造するには、まず、気中溶融バーナー10の燃料ガス供給路12A及び支燃性ガス供給路13Aに、それぞれ、供給管19a及び19bを介してガス供給装置18から燃料ガス及び支燃性ガスを等速で供給する。これにより、気中溶融バーナー10から酸素燃焼炎Fを噴出させて、気中溶融バーナー10の下方に加熱気相雰囲気Kを形成する。そして、気中溶融バーナー10の原料供給路11Aにガラス原料粒子GMを原料供給ガスとともに供給する。ここで、気中溶融バーナー10の先端部において原料供給ガスの流速が、燃料ガス及び支燃性ガスと等しくなるように設定する。これにより、ガラス原料粒子GMは、気中溶融バーナー10から噴射された酸素燃焼炎Fにより形成される加熱気相雰囲気K中を通過し、加熱され、溶融ガラス粒子Uを形成し、貯留部41Bに貯留する溶融ガラスG上に降下する。
【0072】
本実施形態のガラス溶融炉40は、前記した本発明に係る気中溶融バーナー10を備える構成である。気中溶融バーナー10は、前記のように各供給路11A、12A、13Aの開口面積が設定されていることにより、各供給管から噴出するガス流を平行かつ等速として気中溶融バーナー10の先端部へのガラス原料粒子GMの付着を抑止することができる。そのため、本実施形態のガラス溶融炉40は、気中溶融バーナー10の先端部にガラス原料粒子GMが付着しにくいので、付着物が肥大化したつらら状物の形成を抑止できる。したがって、気中溶融バーナー10の火炎が不安定になることがなく、また、気中溶融バーナー10の吐出口が閉塞することがない。さらに、つらら状物が形成されないので、つらら状物が気中溶融バーナー10下方の溶融ガラスGへと落下することがなく、落下したつらら状物とガラス融液との組成差によりガラスが不均質化することがなく、均一な組成の高品質の溶融ガラスG及びガラスを製造できる。
【0073】
本実施形態のガラス溶融炉40を用いて製造する溶融ガラスGは、気中溶融法により製造されるガラスである限り、組成的には制限されない。したがって、ソーダライムガラス、混合アルカリ系ガラス、ホウケイ酸ガラス、あるいは、無アルカリガラスのいずれであってもよい。また、製造されるガラス物品の用途は、建築用や車両用に限定されず、フラットパネルディスプレイ用、その他の各種用途が挙げられる。
たとえば、液晶ディスプレイ用または有機ELディスプレイ用の基板に使用される無アルカリガラスの場合には、酸化物基準の質量百分率表示で、SiO:39〜75%、Al:3〜27%、B:0〜20%、MgO:0〜13%、CaO:0〜17%、SrO:0〜20%、BaO:0〜30%、という組成を有することが好ましい。
【0074】
本実施形態においては、前記いずれかの用途のガラスの原料の各成分の粒子状の原料粉末粒子を目的のガラスの組成比に合わせて混合し、造粒体としたガラス原料粒子GMを用意する。
基本的に気中溶融法は、複数(通常3成分以上)の成分から成るガラスを製造するためにガラス原料粒子GMを溶融してガラスを製造する方法である。
【0075】
また、たとえば、ガラス原料粒子GMの一例として、無アルカリガラスの一例を適用する場合、珪砂、アルミナ(Al)、ホウ酸(HBO)、水酸化マグネシウム(Mg(OH))、炭酸カルシウム(CaCO)、炭酸ストロンチウム(SrCO)、炭酸バリウム(BaCO)などの原料粉末粒子を目的のガラスの組成比に合致するように調合し、たとえばスプレードライ造粒法により30〜1000μm程度の造粒体として、ガラス原料粒子GMを得ることができる。
【0076】
前記ガラス原料粉末粒子からガラス原料粒子GMを調製する方法としては、スプレードライ造粒法などの方法が使用でき、ガラス原料を分散溶解させた水溶液を高温雰囲気中に噴霧させて乾燥固化させる造粒法が好ましい。また、この造粒体は目的とするガラスの成分組成に対応する混合比の原料のみで構成してもよいが、その造粒体に更に同一組成のガラスカレット微粉を混合して、これをガラス原料粒子GMとして用いることもできる。
【0077】
スプレードライ造粒によりガラス原料粒子GMを得るための一例方法として、上述の各成分のガラス原料粉末粒子として2〜100μmの範囲のガラス原料粉末粒子を蒸留水などの溶媒中に分散してスラリーを構成し、このスラリーをボールミルなどの攪拌装置で所定時間攪拌し、混合し、粉砕したのちにスプレードライ造粒することで上述の各成分のガラス原料粉末粒子がほぼ均一に分散されたガラス原料粒子GMが得られる。
なお、前述のスラリーを攪拌装置で攪拌する際、原料粉末粒子の均一分散の目的で2−アミノエタノール、造粒原料の強度を向上させる目的でPVA(ポリビニルアルコール)などのバインダーを混合してから攪拌してもよい。
本実施形態において用いるガラス原料粒子GMは、上述のスプレードライ造粒法の他に、転動造粒法、攪拌造粒法などの乾式造粒法により形成することもできる。
【0078】
ガラス原料粒子GMの平均粒径(質量平均)は30〜1000μmの範囲が好ましい。より好ましくは、平均粒径(質量平均)が50〜500μmの範囲内のガラス原料粒子GMが使用され、さらに70〜300μmの範囲内のガラス原料粒子GMが好ましい。このガラス原料粒子GMの一例を拡大して図5に示すが、1つのガラス原料粒子GMにおいて最終目的とするガラスの組成比にほぼ合致するか近似した組成比となっていることが好ましい。
ガラス原料粒子GMが溶融した溶融ガラス粒子Uの平均粒径(質量平均)は、通常ガラス原料粒子GMの平均粒径の80%程度となることが多い。ガラス原料粒子GMの粒径は、短時間で加熱でき、発生ガスの放散が容易である点、及び粒子間の組成変動の低減の点から、前述の範囲を選択することが好ましい。
【0079】
また、これらのガラス原料粒子GMは、必要に応じて、副原料として清澄剤、着色剤、溶融助剤、乳白剤等を含むことができる。また、これらのガラス原料粒子GM中のホウ酸などは、高温時の蒸気圧が比較的高いため加熱により蒸発しやすいことから、最終製品であるガラスの組成よりも余分に混合しておくことができる。
本実施形態において、副原料として清澄剤を含有する場合、塩素(Cl)、硫黄(S)、フッ素(F)の中から1種または2種以上の元素を選択して含む清澄剤を必要量添加することができる。
また、従来から用いられているSb、As酸化物などの清澄剤は、泡削減効果が生じたとしても、これら清澄剤の元素は環境負荷低減の面で望ましくない元素であり、それらの利用は環境負荷低減の方向性から見て削減することが好ましい。
【0080】
上述した本実施形態のガラス溶融炉40を備えたガラス物品の製造装置においては、ガラス溶融炉40で製造したこの溶融ガラスGを所定の速度で排出口44から排出し、必要に応じ脱泡装置に導入し、脱泡した後、成形装置45に移送して目的の形状に成形し、ガラス物品を製造できる。
以上のように製造されたガラス物品は、上述のように高品質の溶融ガラスGより形成されているため、高い品質のガラス物品を得ることができる。
【0081】
図6は本発明に係るガラス原料の溶融方法を用いてガラス物品を製造する方法の一例を示すフロー図である。
図6に示す方法に従い、ガラス物品を製造するには、上述のガラス溶融炉40を用いた上述の溶融ガラスの製造方法によるガラス溶融工程S1により溶融ガラスGを得たならば、溶融ガラスGを成形装置45に送って目的の形状に成形する成形工程S2を経た後、徐冷工程S3にて徐冷し、切断工程S4において必要な長さに切断することでガラス物品G5を得ることができる。
なお、必要に応じて、成形後の溶融ガラスを研磨する工程を設けて、ガラス物品G5を製造できる。
【0082】
本発明のガラス溶融炉は図5に示す例に限定されない。図7に示すガラス溶融炉40Bように、加熱気相雰囲気Kを形成する手段として、気中溶融バーナー10に加えて、さらに、熱プラズマを発生させる、一対以上の電極31で構成される多相アークプラズマ発生装置を備えていてもよい。また、気中溶融バーナー10の酸素燃焼炎F、熱プラズマにより形成される加熱気相雰囲気Kの温度は、ガラス原料粒子GMに含まれる気体成分を迅速にガス化散逸させ、ガラス化反応を進行させるために、珪砂の溶融温度以上である1600℃以上に設定することが好ましい。これにより、炉体41内に投下されたガラス原料粒子GMは、酸素燃焼炎Fまたは、酸素燃焼炎F及び熱プラズマによって、迅速にガス化散逸されるとともに、高温で加熱されることにより液状の目的組成物の溶融ガラスUとなって降下し、炉体41の底部1Bの溶融ガラスGに着地し、溶融ガラスGとして貯留される。
【0083】
図8は本発明に係る溶融ガラスの製造方法を用いてガラスビーズ(球状ガラス体)を製造する装置の一実施形態を示すもので、本実施形態の製造装置50は、収容部54と、収容部54の天井部54Aを貫通するように酸素燃焼炎Fが下向きに噴射されるように配置された気中溶融バーナー10とを備えて構成されている。図8に示す製造装置50は、先の実施形態のガラス溶融炉40と類似の構造であり、先の装置の炉体41を収容部44に変更した点が異なる。その他の構成は図5に示すガラス溶融炉40の構成と同等であり、同一の要素には同一の符号を付し、同一要素の説明は省略する。なお、気中溶融バーナーとしては、前述の気中溶融バーナー10、20のいずれを備えていてもよい。
【0084】
本実施形態の製造装置50において、収容部54の内部には、ステンレス鋼製のバケツ状の貯留部51を備えた搬送台車52が収容されている。また、図示されていないが収容部54の筐体表面は冷却水で冷却されている。さらに、収容部54の側壁部に排気管53を介し排ガス装置55が接続されている。
なお、図8では略しているが、収容部54の側壁部には収容部54を密閉状態とすることが可能な開閉扉が形成されていて、搬送台車52は開閉扉を開けることで収容部54の外部に移動できるようになっている。
【0085】
先に説明した実施形態の場合と同様に、ガラス原料粒子GMを気中溶融バーナー10の酸素燃焼炎Fからなる加熱気相雰囲気Kに投入することで、ガラス原料粒子GMを加熱気相雰囲気K中で溶融させて溶融ガラス粒子Uとすることができ、この溶融ガラス粒子Uをステンレス鋼製の貯留部51に落下させて冷却することで、ガラスビーズGBを得ることができる。したがって、本実施形態の装置50において貯留部51は、溶融ガラス粒子Uを冷却してガラスビーズGBとし、ガラスビーズBGを集積する構成とされている。なお、本実施形態の装置50において、貯留部51と搬送台車52は必須ではなく、これらを略して収容部54の床部54Bにおいて溶融ガラス粒子を受ける構造としてもよく、その場合は収容部54の内部空間と床部54Bが溶融ガラス粒子を冷却するように構成する。
【0086】
図8に示す製造装置50は、前記した本発明に係る気中溶融バーナー10を備える構成であるため、気中溶融バーナー10の先端部にガラス原料粒子GMが付着しにくく、付着物が肥大化してつらら状物が形成されることがなく、つらら状物を落下させることがないため、均一な品質のガラスビーズGBを製造できる。
このようにして得られたガラスビーズGBは、ガラスビーズとしてそのまま利用されたり、他の原料と混合されて利用されたり、その他の溶融炉の中に投入されてガラス物品の製造に利用される。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明の技術は、建築用ガラス、車両用ガラス、光学用ガラス、医療用ガラス、表示装置用ガラス、ガラスビーズ、その他一般のガラス物品の製造に広く適用できる。
【符号の説明】
【0088】
10…気中溶融バーナー、11…原料供給管、11A…原料供給路、12…燃料ガス供給管、12A…燃料ガス供給路、13…支燃性ガス供給管、13A…支燃性ガス供給路、11K、12K、13K…開口部、15…原料供給器、16…ガス供給装置(ガス供給手段)、17、19a、19b、19c…供給管、18…ガス供給装置(ガス供給手段)、20…気中溶融バーナー、21…1次支燃性ガス供給管、21A…1次支燃性ガス供給路、22…燃料ガス供給管、22A…燃料ガス供給路、23…原料供給管、23A…原料供給路、24…2次支燃性ガス供給管、24A…2次支燃性ガス供給路、21K、22K、23K、24K…開口部、21a、22a、23a、24a…後端部、22b、23b、24b…端面壁、22d、23d、24d…送入管、40、40B…ガラス溶融炉、41…炉体、41A…天井部、41B…貯留部、41C…側壁、42…排気口、42a…排気管、43…排ガス処理装置、44…排出口、45…成形装置、31…電極、50…製造装置、51…貯留部、53…排気管、54…収容部、55…排ガス処理装置、K…加熱気相雰囲気、G…溶融ガラス、GM…ガラス原料粒子、U…溶融ガラス粒子、F…酸素燃焼炎、GB…ガラスビーズ、CG…原料供給ガス、FG…燃料ガス、BG、BG1、BG2…支燃性ガス。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス原料粒子を加熱気相雰囲気中に投入して溶融ガラス粒子とする溶融ガラスの製造方法において、
加熱気相雰囲気を形成する燃料ガス及び支燃性ガス並びにガラス原料を供給する原料供給ガスの加熱気相雰囲気へ噴出する流速を等しくする溶融ガラスの製造方法。
【請求項2】
前記燃料ガス及び前記支燃性ガス並びに前記原料供給ガスの流量比を、前記支燃性ガス及び前記原料供給ガスに含まれる酸素と前記燃料ガスとが化学量論比となる比率とする請求項1に記載の溶融ガラスの製造方法。
【請求項3】
前記燃料ガスがアルカンC2n+2(nは1以上の整数を表す。)で、前記支燃性ガス及び前記原料供給ガスに含まれる酸素とアルカンC2n+2との流量比が1:(3n+1)/2となるように、前記各ガスの流量を調整する請求項1または2に記載の溶融ガラスの製造方法。
【請求項4】
ガラス原料粒子を気相雰囲気中で溶融する気中溶融法に用いられる気中溶融バーナーであって、
ガラス原料粒子及び原料供給ガスを供給する原料供給管と、
燃料ガスを供給する燃料ガス供給管と、
支燃性ガスを供給する支燃性ガス供給管と、
前記原料供給管と前記燃料ガス供給管と前記支燃性ガス供給管から噴出する前記原料供給ガス、前記燃料ガス、前記支燃性ガスの流速を等しくするように各ガスを供給するガス供給手段と、
を備える気中溶融バーナー。
【請求項5】
前記各供給管から噴出する前記燃料ガス及び前記支燃性ガス並びに前記原料供給ガスの流量比が、前記支燃性ガス及び前記原料供給ガスに含まれる酸素と前記燃料ガスとが化学量論比となるように、前記各供給管に形成された供給路の開口面積比が設定されている請求項4に記載の気中溶融バーナー。
【請求項6】
前記燃料ガスがアルカンC2n+2(nは1以上の整数を表す。)で、前記支燃性ガス及び前記原料供給ガスに含まれる酸素とアルカンC2n+2との流量比が1:(3n+1)/2となるように、前記各供給管に形成された供給路の開口面積比が設定されている請求項4または5に記載の気中溶融バーナー。
【請求項7】
前記原料供給管と前記燃料ガス供給管と前記支燃性ガス供給管が同心円状に配置された請求項4〜6のいずれか一項に記載の気中溶融バーナー。
【請求項8】
各供給管の開口部の壁厚が1〜10mmである請求項4〜7のいずれか一項に記載の気中溶融バーナー。
【請求項9】
溶融ガラスを収容する炉体と、
前記炉体の上部に下向きに配置され、前記炉体の内側にガラス原料粒子を加熱溶融して溶融ガラス粒子とする加熱気相雰囲気を形成し、かつ、前記加熱気相雰囲気に前記ガラス原料粒子を供給する請求項4〜8のいずれか一項に記載の気中溶融バーナーと、
を備えるガラス溶融炉。
【請求項10】
前記炉体の下部に、前記溶融ガラス粒子を集積してガラス融液とする貯留部が設けられている請求項9に記載のガラス溶融炉。
【請求項11】
前記炉体の下部に、前記溶融ガラス粒子を冷却してガラスビーズとし、該ガラスビーズを集積する貯留部が設けられている請求項9に記載のガラス溶融炉。
【請求項12】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の溶融ガラスの製造方法により製造された前記溶融ガラス粒子を冷却することによりガラスビーズを形成するガラスビーズの製造方法。
【請求項13】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の溶融ガラスの製造方法を用いて溶融ガラスを製造する工程と、該溶融ガラスを成形する工程と、成形後のガラスを徐冷する工程と、を含むガラス物品の製造方法。
【請求項14】
請求項9または10に記載のガラス溶融炉と、該ガラス溶融炉により製造された溶融ガラスを成形する成形手段と、成形後のガラスを徐冷する徐冷手段とを備えるガラス物品の製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−250886(P2012−250886A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−125707(P2011−125707)
【出願日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【出願人】(000000044)旭硝子株式会社 (2,665)