説明

灌水装置

【課題】
温室に、定温度かつ定流量の水を長時間連続的に供給しうる簡易な灌水装置を提供することを目的とする。
【解決手段】
原水が取水配管20で供給され、灌水装置1の入口に設けた定流量弁21に接続される。前記定流量弁21の下流に設けられた分配継手23により、ガス給湯器4又は冷水装置5への給水配管272及びバイパス配管271に分岐される。前記バイパス配管271には、前記定流量弁21の流量より少ない流量の定流量弁22を設け、原水は前記バイパス配管271を介して、放水配管28及び灌水配管29に接続される。分配継手23で分岐された他方の原水は、ガス給湯器4又は冷水装置5を介して、前記バイパス配管271を介した原水と合流し、放水配管28又は灌水配管29に導かれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温室等での使用に好適な灌水装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
温室等における灌水は、地下(井戸)水、上水、農業用水からの取水が一般的である。しかし、季節、天候等により水温が安定していないため、灌水による地温への影響が懸念され、灌水の時間帯を配慮せざるを得ない。
【0003】
そこで、農産物の生育促進と収穫量の増大を図るため、貯水槽の水を電気温水器により所定温度に加温して、灌水するシステムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
しかし、当該システムはバッチ式のため、長時間の連続使用には限度がある。これを解決するため、連続的に灌水可能な装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】特開平5−316888号
【特許文献2】特開平8−140505号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上に述べた従来の装置にあっては、ボイラで製造される温水の流量を制御し、原水とミキサで混合することで所定温度の灌水を得る方式が用いられている。この方式では、灌水流量が変化し易く、また、制御の複雑化と設備の大型化による設備コストの増大などの問題がある。
【0007】
灌水作業においては、灌水温度の安定性もさることながら、灌水ムラを避けるために、流量を一定にすることが重要である。
【0008】
また、設備導入に際しては、直接的費用の軽減は当然のことながら、複雑な制御システムを避け、故障や不具合の少ない機器を採用することにより総合的なコストダウンが求められる。
【0009】
本発明は、かかる従来技術の問題点に鑑みてなされたもので、定温度かつ定流量の水を、長時間連続的に供給しうる簡易な灌水装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、灌水装置であって、取水配管に定流量弁を設けるとともに、前記取水配管の下流に設けた分配継手により、ガス給湯器又は冷水装置への給水配管及びバイパス配管に分岐され、前記バイパス配管に灌水温度から確定される前記定流量弁の流量より少ない流量の定流量弁を設けることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、簡易な装置により、定温度かつ定流量の温水又は冷水を、長時間連続的に供給することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
図1は灌水装置の構成である。水源より原水が取水配管20で供給され、灌水装置1の入口に設けた定流量弁21に接続される。定流量弁21を通過する流量は、水源の圧力変動の影響を受けることなく一定に制限される。前記定流量弁21の下流に設けられた分配継手23により、ガス給湯器4又は冷水装置5への給水配管272及びバイパス配管271に分岐される。前記バイパス配管271には、前記定流量弁21の流量より少ない流量の定流量弁22を設け、原水は前記バイパス配管271を介して、放水配管28及び灌水配管29に接続される。定流量弁22の流量は、灌水量、灌水温度、ガス給湯器4又は冷水装置5の能力により算出される量にて設定される。分配継手23で分岐された他方の原水は、給水配管272でガス給湯器4又は冷水装置5に供給され、前記バイパス配管271を介した原水と合流し、合流後の水温が温度センサー26にて温度計測され、放水配管28又は灌水配管29に導かれる。
【実施例1】
【0014】
灌水装置1を温水灌水装置として用いた場合の運転操作手順を説明する。灌水装置1は、通常、水源と同圧の配管圧力で待機状態となっており、装置制御部3のタイムスィッチ31が設定時刻となった時点で運転状態となる。その際、温度センサー26で計測される温度が、電子温度調節器30で設定された灌水温度未満の時、電磁弁25が開となり、図2に示す温室9の外部に放出される。同時に、ガス給湯器4が流量を検知し、自動的に着火、燃焼して、原水が加温され、設定温度以上になった段階で、電磁弁25が閉となり、ソリッドステートタイマ32に連動する電磁弁91が開き、温水灌水が開始される。その後、他のソリッドステートタイマ32の設定時間に応じ、他の電磁弁91が順次開となり温水灌水される。なお、前記ソリッドステートタイマ32と前記電磁弁91の組み合わせ数は、灌水時間と灌水面積により任意に設定可能である。また、配管閉塞等により温水温度が上昇し、電子温度調節器30で設定された温度以上になった場合には、開状態の電磁弁91を閉止し、灌水を停止する。
【0015】
灌水装置が運転され、温室に温水灌水されていて、液肥ポンプ7用のタイムスィッチ31の設定が運転時刻となった場合、チューブポンプ等の液肥ポンプ7により、加圧注入で液肥を自動的に施用することが可能である。添加量は、灌水時間、液肥希釈倍率、ポンプの供給速度及び台数により任意に設定可能である。
【0016】
また、灌水装置と同様の操作で、ガス給湯器4の出口温度を75度に設定し、必要な場合にあっては、通常全開となっている流量調整弁24の開度調整により、希望の高温水を得ることが出来、土壌消毒用の高温水灌水として使用可能である。
【0017】
温水灌水用にガス給湯器4が運転される時、発生する燃焼排気ガスを排気筒により温室9内に導入し、灌水装置上部に設置した送風ファン6を用いて、温室9内の雰囲気ガスを混合循環させる。このことにより、燃焼排気ガス中の炭酸ガスを植物の光合成の原料として用いることが可能である。また同時に、燃焼排気ガスの顕熱を補助暖房熱として有効利用することができる。
【0018】
さらに、灌水装置1を、日の出時刻を参考として自動運転させることで、植物の光合成が始まる段階には、水分、炭酸ガス、肥料、温度など諸条件を揃えることが可能であり、最適な光合成を誘導することができ、成長促進、収穫量の増大を図れる。
【実施例2】
【0019】
灌水装置1を冷水灌水に用いる場合について説明する。図1に示した複数の仕切弁8の開閉切替により、冷水装置5を用いて、目標の温度にて温室9に冷水灌水が可能である。
【0020】
冷水を供給する場合の運転操作手順について説明する。
灌水装置1は、通常、水源と同圧の配管圧力で待機状態となっており、装置制御部3のタイムスィッチ31が設定時刻となった時点で運転状態となる。その際、温度センサー26で計測される温度が電子温度調節器30で設定された灌水温度以上の時、電磁弁25が開となり、図2示す温室9の外部に放出される。同時に冷水装置5が連続運転され、設定温度未満になった段階で電磁弁25が閉となり、ソリッドステートタイマ32に連動する電磁弁91が開、冷水灌水が開始される。その後、他のソリッドステートタイマ32の設定時間に応じ、他の電磁弁91が順次開となり冷水灌水される。なお、前記ソリッドステートタイマ32と前記電磁弁91の組み合わせ数は、灌水時間と灌水面積により任意に設定可能である。また、配管閉塞等により冷水温度が下降し、電子温度調節器30で設定された温度以下になった場合、その時点で開となっている電磁弁を閉止し、灌水を停止する。
【0021】
灌水装置1が運転され、温室に冷水灌水されていて、液肥ポンプ用タイムスィッチ31の設定が運転時刻となった場合、チューブポンプ等の液肥ポンプ7により加圧注入で、液肥を自動的に施用することが可能である。その添加量等は、灌水時間、液肥希釈倍率、ポンプの供給速度及び台数等により任意に設定可能である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】灌水装置の主要な構造図である。
【図2】温室の配管構成図である。
【符号の説明】
【0023】
1 灌水装置
2 装置配管部
20 取水配管
21 定流量弁
22 定流量弁
23 分配継手
24 流量調整弁
25 電磁弁
26 温度センサー
271 バイパス配管
272 給水配管
28 放水配管
29 灌水配管
3 装置制御部
30 電子温度調節器
31 タイムスィッチ
32 ソリッドステートタイマ
4 ガス給湯器
5 冷水装置
6 送風ファン
7 液肥ポンプ
71 液肥タンク
8 仕切弁
9 温室
91 電磁弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
取水配管に定流量弁を設けるとともに、前記取水配管の下流に設けた分配継手により、ガス給湯器又は冷水装置への給水配管及びバイパス配管に分岐され、前記バイパス配管に灌水温度から確定される前記定流量弁の流量より少ない流量の定流量弁を設けることを特徴とする灌水装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−148664(P2008−148664A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−342364(P2006−342364)
【出願日】平成18年12月20日(2006.12.20)
【出願人】(306038835)秋葉商事株式会社 (1)
【Fターム(参考)】