説明

火消し具

【課題】ろうそく又はアロマキャンドルなどの火を安全かつ簡単で衛生的に、広範囲で消火できる火消し具を提供する。
【解決手段】芯を覆うための凹部と芯を保護するための覆芯隙部を、一対の覆芯部の少なくとも片方に設けることにより、一対の覆芯部を合体させると形成される内部空間と隙間を併せ持つ構造を備え、火消し具柄に連結した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ろうそく又はアロマキャンドルなどの火消しにおいて、両側から挟むように芯だけを覆い、芯を保護しつつ酸素不足により消火できる、火消し具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来まで、ろうそく又はアロマキャンドルの火消しは息で吹き消すのが当たり前で、他には手ではたいたり、芯を割りばしで挟んだり、筒状の物を上からかぶせる方法をとっていた。
【特許文献1】実用新案第3021322号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、仏壇用ろうそく又はアロマキャンドルには様々な形状があり、かぶせるタイプの火消し具は消火しようとする動作が上から下であるため、簡易的な消火を行うにはアロマキャンドルの使用状況に限定性があった。例えば図8のようなアロマポットにはキャンドルを露出しないと使用できない。また、図9に示す形状のものは、火消し具先端部分にロウが付着しやすい問題があった。次に、割りばしや先幅の広いピンセットにおいては、消火しようとする動作が前に突き出すことと、挟むのは芯のみであることから使用範囲こそ広いものの、芯を折ってしまうことや煤が下に落ちるという不具合を生じる場合がある。煤は火消し具の先端部分にも付着するため、汚れ易く衛生的な問題がある。
【0004】
本発明は、このような従来の問題を解決しようとするもので、ろうそく又はアロマキャンドルなどの芯についた炎を安全にかつ簡単に、しかも衛生的に広い使用範囲で消火できることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、芯の先の炎を消すための火消し具において、芯を覆う一対の覆芯部の少なくとも片方に凹部を備え、一対の覆芯部が合体したときに、凹部が芯の側部又は周囲に空間を形成することのできる形態を備えた火消し具としたことで、上記課題を解決したものである。
【0006】
さらに、ろうそく又はアロマキャンドルなどの芯を保護するために、前記一対の覆芯部の少なくとも片方に、芯の側部又は周囲に隙間を形成するための覆芯隙部を設けることが好ましい。
【0007】
前記一対の覆芯部を互いに連結する火消し具柄を備えることで、火消し具柄から前記一対の覆芯部に、合体するための力を加えることが可能な火消し具となる。
【0008】
前記一対の覆芯部が合体したときに、互いに接触する突起部をそれぞれの覆芯部に備えることで、物を挟み易くすることが出来る。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、前に突き出す動作で、ろうそく又はアロマキャンドルなどの芯部両側に一対の覆芯部を位置づけ、合わせ覆うことにより芯の周りを酸素不足にし、出来た隙間により芯の保護を高め、安全かつ迅速はもちろん、より衛生的で広範囲な火消しが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の火消し具は図1に示されるように、ろうそく又はアロマキャンドルなどの芯を覆うための凹部を少なくとも片方に備えることで、化学的作用を生みだす一対の覆芯部1と2と、一対の覆芯部1と2を合わせるための力を加えることが出来る、物理的作用を生み出す火消し具柄3により構成される。
【0011】
図1において、火消し具柄3は手動で両側から力を加えられるように二股に分かれており、材質はバネがあるステンレスが望ましい。しかし、一対の覆芯部1と2を合わせる力を伝えることができれば、火消し具柄3の連結位置及び形態、動力、材質は問わない。
【0012】
また、図2のように一対の覆芯部1と2を合わせると、4と5の覆芯隙部から出来る隙間を、合体した一対の覆芯部に設けられるようになっている。4と5の覆芯隙部は、一対の覆芯部1と2を合体させたときに隙間を形成することが出来れば、1と2の少なくとも片方に備えればよい。
【0013】
一対の覆芯部1と2及び覆芯隙部4と5におけるそれぞれの形状は、1と2が合体したときに内部空間と隙間を形成することが出来れば、球体、多面体、曲面、平面、直線、曲線、いずれの組み合わせでもよく限定されない。したがって図2に示される一対の覆芯部1と2を合体させた形状は、球体、多面体など3次元の図形、あるいはハチの巣や気泡の塊のように、図16の(c)に示される、1つの立体に複数の立体が融合した多胞体のような図形でもよく限定されない。また図17に示される通り、一対の覆芯部が合体したときに、一対の覆芯部の少なくとも片方に設けた覆芯隙部により形成される隙間の形状においても、円、楕円、多角形、ルーローの多角形、扇形、のいずれも含まれ限定されない。
【0014】
次に図3に示されるように、一対の覆芯部1と2の少なくとも片方に設けた凹部により、1と2を合体させたとき内部空間が出来る特徴を備える。図7に示される、一対の覆芯部1と2を合体させた形状の断面図において、内部空間が酸素不足になり易いように、上部には隙間が出来ないようになっている。また、内部空間の形状においても、球体、多面体、曲面、平面、直線、曲線、いずれの組み合わせでもよく限定されない。
【0015】
次に図18に示すように、合体した一対の覆芯部は、ろうそく又はアロマキャンドル17の芯16を覆ったとき、一対の覆芯部の少なくとも片方に設けた凹部により、芯16の側部又は周囲に空間を形成する特徴を備える。図18の(b)は芯16の側部に空間が形成され、図18の(a)と(c)は芯16の周囲に空間が形成されている。同様に、合体した一対の覆芯部は、ろうそく又はアロマキャンドル17の芯16を覆ったとき、一対の覆芯部の少なくとも片方に設けた覆芯隙部により、芯16の側部又は周囲に隙間を形成する特徴を備える。
【0016】
また、図3に示す、一対の覆芯部1と2が合わさったときの断面1Aと2Aにおいて、物質的な内部密度は問わず、断面内部に空間を有することで軽量化が可能である。加えて、図1に示されるように、一対の覆芯部1と2のそれぞれに、互いに接触する突起部11と12を設けることにより、ろうそく又はアロマキャンドルなどの芯の位置修正や、マッチ棒を挟んで捨てるといった動作をより行い易くすることが可能である。また、図14と図15にあるように、一対の突起部11と12の内壁に溝14または凹凸15を設けることにより、挟んだときに滑りにくくすることが出来る。
【0017】
また、本発明の火消し具の対象は、ろうそくやオイルランプなど、着火することを特徴とする芯を有している物であれば、限定されない。
【0018】
次に、図19のように高い位置にろうそくがある場合は、図13に示す、覆芯可動部7と柄伸縮部8を備えたタイプで対応できる。図20に示すように、一対の覆芯可動部7と7aを支点に一対の覆芯部1と2の角度を変え、一対の柄伸縮部8と8aにより火消し具柄を長くすることで、高い位置にあるろうそくにも対応出来る。他にも、図12に示すように火消し具専用スタンド6を使用することにより、外観性と衛生性をさらに高めることが出来る。
【0019】
次に動作について説明する。まず、図4に示すとおり上方から火消し具柄3を利き手で握る。今度は図5の形になるように、ろうそく又はアロマキャンドル17の芯16を一対の覆芯部1と2で両側から挟むように覆う。この時、図7のとおり一対の覆芯部1と2が合わさったときにできる空間と隙間の中に、ろうそく又はアロマキャンドル17の芯16が、根元から収まるようにする。後、火は酸素不足により消えてしまうので、あとは図6のように一対の覆芯部1と2を開いて、消火を確認し完了する。
【0020】
アロマポットの上皿に張ってある水が減るとアロマオイルの比率が高くなり、暴発する恐れがある。よって、火に顔を近づけて吹き消すのは危険である。また、手で火をはたくのもアロマポット本体やキャンドルを過って倒してしまうという事故につながることは否めない。
【0021】
本発明は、図8のような狭い隙間しかないアロマポットでも、キャンドルを露出させることなく、その隙間に一対の覆芯部を差し込んで消火することが出来る。図9でも同様に、従来のかぶせるタイプの火消し具は、先端部へのロウの付着や、消火しようとする動作が上から下であるため、ろうそくの形状によっては安全性や確実性における問題が生じる場合がある。しかしながら、本発明による火消し具は芯部分のみで消火を行うため、その問題を解決することが出来る。
【0022】
本発明は、単体の金型で製造が可能なので量産が容易であり、材質もステンレス等の耐久性のある金属であればよいため、コストも極めて安価である。さらには前述で述べた従来の問題も解決したことから、流通性もあり日用品化される可能性が高い。
【0023】
これからは高齢化社会がさらに進み、従来の火消し具では手が震えてうまく定まらないことから、図10、図11のような転倒事故が起きてしまう可能性がある。本発明による火消し具が広く認知されれば、ろうそく又はアロマキャンドルなどによる火災や事故も減らすことができ、社会的貢献度も高いと考えられる。
【0024】
本発明は、単に火消しを目的に持つだけではなく、様々な付加価値を生み出す可能性を有している。デザインに関して言えば、図16に示す一対の覆芯部の外観や図17に示す覆芯隙部の形状は、曲面、平面、曲線、直線を使って様々な外観を持たせることができる。さらには図18のように、一対の覆芯部が合わさったときの内部空間においても、曲面体、多面体といった内部デザインに視点を置くこともできる。また、一対の覆芯部に物を挟み易くするための突起部11と12が着くことにより、デザイン性のある多機能ピンセットにもなり得る。
【0025】
本発明における火消し具の概念は、一対の覆芯部を合体させることにより形成される内部空間と隙間を利用して、ろうそく又はアロマキャンドルなどの芯を保護しつつ、芯の周りを酸素不足にして消火するものである。本発明における概念を遵守する火消し具であれば、一対の覆芯部と火消し具柄の形状は限定されない。また、着火することを特徴とする芯を有する物であれば、本発明における火消しの対象は限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0026】
上記の発明は、ろうそく又はアロマキャンドルなどの芯部分のみを覆い、芯の保護を高め、酸素不足により消火させる火消し具として利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明にかかる火消し具の上方から見た外観図である。
【図2】一対の覆芯部を合わせた状態にしたときに下方から見た図である。
【図3】一対の覆芯部を合わせた状態にしたときに正面から見た断面図である。
【図4】火消し具の動作手順を示す図である。
【図5】火消し具の動作手順を示す図である。
【図6】火消し具の動作手順を示す図である。
【図7】ろうそく又はアロマキャンドルの芯を一対の覆芯部で覆ったとき、正面から見た断面図である。
【図8】アロマポットの形状を示す図である。
【図9】ろうそく又はアロマキャンドルの形状を示す図である。
【図10】従来の火消し具における問題を示した図である。
【図11】従来の火消し具における問題を示した図である。
【図12】火消し具を専用スタンドに立て掛けた図である。
【図13】一対の覆芯部の可動機能、及び火消し具柄の伸縮機能を備えた火消し具を、側面から見た図である。
【図14】一対の覆芯部に設けられた突起部内壁の溝を示す図である。
【図15】一対の覆芯部に設けられた突起部内壁の凹凸を示す図である。
【図16】一対の覆芯部を上方から見た外観図である。
【図17】一対の覆芯部を合体させたときに形成される隙間の形状を示した図である。
【図18】ろうそく又はアロマキャンドルの芯を覆ったときに形成される、一対の覆芯部の断面図と内部空間における形状を示した図である。
【図19】高い位置に設置されたろうそく又はアロマキャンドルと、一対の覆芯部の可動機能、及び火消し具柄の伸縮機能を備えた火消し具の動作手順を示す図である。
【図20】高い位置に設置されたろうそく又はアロマキャンドルと、一対の覆芯部の可動機能、及び火消し具柄の伸縮機能を備えた火消し具の動作手順を示す図である。
【符号の説明】
【0028】
1、2 一対の覆芯部
3 火消し具柄
4、5 覆芯隙部
6 火消し具専用スタンド
7、7a 覆芯可動部
8、8a 柄伸縮部
9、10 凹部
11、12 突起部
13 火消し具
14 溝
15 凹凸
16 芯
17 ろうそく又はアロマキャンドル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯の先の炎を消すための火消し具において、芯を覆う一対の覆芯部の少なくとも片方に凹部を備え、一対の覆芯部が合体したときに、凹部が芯の側部又は周囲に空間を形成することのできる形態を備えた火消し具。
【請求項2】
前記一対の覆芯部の少なくとも片方に、芯の側部又は周囲に隙間を形成するための覆芯隙部を設けた、請求項1に記載の火消し具。
【請求項3】
前記一対の覆芯部が合体したときに、互いに接触する突起部をそれぞれの覆芯部に備えた、請求項1または2のいずれかに記載の火消し具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate


【公開番号】特開2009−41908(P2009−41908A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−292394(P2008−292394)
【出願日】平成20年11月14日(2008.11.14)
【分割の表示】特願2008−44670(P2008−44670)の分割
【原出願日】平成20年2月26日(2008.2.26)
【出願人】(307023719)